JPH06343434A - 低アルコール発酵飲料及びその製造方法 - Google Patents

低アルコール発酵飲料及びその製造方法

Info

Publication number
JPH06343434A
JPH06343434A JP14081493A JP14081493A JPH06343434A JP H06343434 A JPH06343434 A JP H06343434A JP 14081493 A JP14081493 A JP 14081493A JP 14081493 A JP14081493 A JP 14081493A JP H06343434 A JPH06343434 A JP H06343434A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
concentration
fermentation
alcohol
sugar
solution
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP14081493A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2654742B2 (ja
Inventor
Toshiyuki Shiiki
稔幸 椎木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yanase & Arishieitsu Kk
Original Assignee
Yanase & Arishieitsu Kk
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yanase & Arishieitsu Kk filed Critical Yanase & Arishieitsu Kk
Priority to JP14081493A priority Critical patent/JP2654742B2/ja
Publication of JPH06343434A publication Critical patent/JPH06343434A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2654742B2 publication Critical patent/JP2654742B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Alcoholic Beverages (AREA)
  • Non-Alcoholic Beverages (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 製造過程で高濃度アルコール液を製造しない
で有機成分に富んだ低アルコール発酵飲料を製造する方
法及びその製法で製造した飲料を提供する。 【構成】 発酵後のアルコール濃度が3%以下となる濃
度の糖を有する糖化液をアルコール発酵処理して糖濃度
を低減させる工程、得られた低糖濃度液を水分を除き濃
縮する工程、濃縮された濃縮液と未処理の糖化液を混合
し、発酵後のアルコール濃度が3%以下となる濃度の糖
を有する糖液を得る工程、及び前記糖液を原料とするア
ルコール発酵工程を具備する低アルコール発酵飲料の製
造方法及びその方法で製造した飲料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、低アルコール発酵飲料
及びその製法に関する。さらに詳しく言えば、本発明
は、製造過程で高濃度アルコール液を製造しないでペプ
チド、アミノ酸等の有機成分に富んだ低アルコール発酵
飲料、例えばノンアルコールビール、を製造する方法及
びその製法で製造した低アルコール発酵飲料に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、市場にでている主な麦芽発酵飲料
は、ビールとノンアルコールビールに分けられる。これ
らの内ノンアルコールビール(低アルコールビールとも
いい、通常アルコール濃度が1%未満のビールを指す)
は、消費者の嗜好の多様化、特に近年のライト指向によ
り需要の増大が著しい。従来のノンアルコールビールの
製法としては、次の4種類の方法が挙げられ、いずれも
通常のアルコール濃度のビールを造っていずれかの工程
で脱アルコールする観点で考えられたものが多い。 1)通常の製法によりビールを造った後、逆浸透膜を用
いて又は真空蒸発によりビールから脱アルコールを行う
方法。 2)ビールの製造において酵母の失活等により発酵を途
中で止め、アルコール濃度1%未満のノンアルコールビ
ールとする方法。 3)通常のビールの製法においてアルコール生成能力の
劣る酵母をアルコール発酵に使用し、アルコール濃度1
%未満のノンアルコールビールを造る方法。 4)糖、麦芽エキス、香料等を用いて調合することによ
り、ノンアルコールビールを造る方法。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】現在、市販されている
ノンアルコールビールは、これらの方法を用いて製造さ
れているが、日本で製造されて市販されているものはな
く、すべて海外からの輸入品である。従って、これらの
方法により製造されたノンアルコールビールは、それぞ
れ下記の問題点を有することに加えて、長時間の輸送を
経ているため、ビール本来の風味が失われているのが普
通である。前記のような製造方法があるにもかかわら
ず、これまでに日本でノンアルコールビールは製造され
ていない。その理由は、まず、前記の方法によって得ら
れる製品が消費者を満足させる品質ではないことにあ
る。加えて酒税法による法的規制と市場性のある商品が
開発できないとする先入観によるものと考えられる。前
記1)〜4)の方法はそれぞれ下記の欠点を有するもの
である。
【0004】1)の方法では、アルコール分の除去とと
もにホップのフレーバー及び発酵の芳香も抜けてしまい
好ましくない。またこの方法の日本国内での実施にはビ
ールの製造免許が必要であり、さらに納税義務が発生す
るのでコスト高になる。世界では、この方法が最も主流
であるが、日本国内では未だにこの方法で造った製品は
出ていない。 2)の方法では酵母失活後に未発酵の糖分が液中に多量
に残存し、それにより不必要な甘酸っぱい風味が付与さ
れてしまい好ましくない。加えて通常のアルコール発酵
でアルコール濃度が1%以上になりうるような糖濃度で
あれば、法律上「もろみ」と認定され、規制の対象とな
る。現在、酒類製造以外の目的で「もろみ」を製造する
ことは禁じられているので、現実的にはこの方法では製
造できない。 3)の方法は、糖濃度が十分高い場合でもアルコール生
成能力に欠陥を有する酵母を用いるため、アルコール濃
度が1%未満になるものである。しかしこの方法では上
記2)と同様に不必要な糖が残存してしまう。またこの
アルコール生成能力の欠損した酵母はその取得が困難で
ある。 4)の方法は、最も容易であるが、酵母による発酵を経
ていないためにビールの風味が得られ難い欠点を有す
る。
【0005】これらの規制と問題点を解決する方法とし
て、アルコール発酵による到達アルコール濃度が1%未
満となるように水及び炭酸水で糖分を希釈した糖化液を
原料として使用する方法がある。しかしながら、この方
法では、これまで香味成分等の有機成分の乏しい水っぽ
い製品しか得られなかった。また、糖分のみを膜で除去
する方法もあるが、糖を分離・除去できる膜は高価であ
り、コストの高騰をもたらすものである。そこで本発明
は、発酵香気、香味等の有機成分の付与されたノンアル
コールビール等のアルコール濃度3%以下の低アルコー
ル発酵飲料を高濃度アルコール液を製造しないで製造す
る方法を提供することを目的とする。さらに本発明の第
二の目的は、前記方法で製造された低アルコール発酵飲
料を提供することである。本発明は、低アルコール発酵
飲料を製造することを目的とする。この低アルコールと
は、特に制限はないが通常3%以下、好ましくは2%以
下、より好ましくは1%未満をいう。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記課題を
解決すべく鋭意研究を重ねた結果、予め発酵処理するこ
とで糖分が消費され糖濃度が低いが有機成分に富む糖化
液と未処理の糖化液を混合してアルコール発酵に供され
る糖液を得、かつ両者の混合割合を調整して糖液の糖濃
度を発酵後のアルコールの濃度が3%以下(以下低アル
コール濃度又は単に低アルコールという。)となるよう
にすることにより、香味成分等の有機成分に富んだ低ア
ルコール濃度の発酵飲料が得られることを見い出した。
本発明はこの知見に基づきなされるに至ったものであ
る。すなわち本発明は(1)アルコール発酵により生ず
るアルコールの濃度が3%以下である糖濃度を有する糖
液から低アルコールの発酵飲料を製造するに当り、 1) 発酵後のアルコール濃度が3%以下となる濃度の
糖を有する糖化液をアルコール発酵処理して糖濃度を低
減させる工程、 2) 1)の低糖濃度液を水分を除き濃縮する工程、 3) 2)で濃縮された濃縮液と未処理の糖化液を混合
し、発酵後のアルコール濃度が3%以下となる濃度の糖
を有する糖液を得る工程、及び 4) 3)の糖液を原料とするアルコール発酵工程を具
備することを特徴とする低アルコール発酵飲料の製造方
法、 (2)前記1)の糖化液を二分し、一方の糖化液をその
糖濃度を発酵により3%以下のアルコール濃度となるよ
うに調整し、アルコール発酵処理して糖濃度を低減さ
せ、さらに濃縮した後に、前記の他方の糖化液と混合
し、発酵後のアルコール濃度が3%以下となる濃度の糖
を有する糖液を得ることを特徴とする(1)項記載の方
法、(3)糖化液のアルコール発酵に用いた酵母を処理
液から分離し、糖液のアルコール発酵に再利用すること
を特徴とする(1)項記載の方法、及び(4)(1)、
(2)又は(3)項に記載の方法で製造された低アルコ
ール発酵飲料を提供するものである。
【0007】次に本発明方法をアルコール濃度1%未満
のノンアルコールビールの製造工程を例に詳細に説明す
る。図1に本発明方法の一実施態様として、ノンアルコ
ールビールの製造方法の工程図を示す。原料の麦芽は粉
砕槽(1)中で3〜4mmの大きさまで粉砕された後、
糖化釜(2)中で糖化される。得られた糖化液は二液に
区分されてその一方は保存槽(3)に、残りは発酵槽
(4)に移送される。発酵槽(4)の糖化液は希釈によ
り糖濃度を調整された後、酵母が添加されて発酵処理さ
れる。発酵により糖が消費された処理液は逆浸透膜分離
装置(5)により適宜、水、アルコールを除かれた後、
煮沸釜(6)に移され、保存槽(3)に保存されていた
未処理の糖化液と混合される。(7)は発酵槽であり、
ホップを添加して煮沸された麦汁の本発酵に用いられ、
その結果ノンアルコールビールが得られる。逆浸透膜分
離装置(5)を用いる代わりに、発酵槽(4)中で真空
蒸発により水及びアルコールの除去(濃縮)を行っても
よい。また煮沸釜(6)の前段に混合槽(図示しない)
を設けて、保存槽(3)の糖化液と発酵槽(4)で発酵
処理した後に濃縮された濃縮液を混合し、その後混合液
を煮沸釜(6)に移送してもよい。また煮沸工程に用い
られる糖液は、同じ時に区分された発酵処理後の糖化液
と未処理の糖化液からなる混合液であっても、各々異な
る糖化液から得られた二液の混合液であってもよい。
【0008】次に各工程を説明する。原料として用いら
れる麦芽の糖化液は、通常のビール製造時と同様の方法
で得られる。例えば、粉砕された麦芽を糖化釜(2)に
仕込み、麦芽中の蛋白質や澱粉を糖化して糖化液を得
る。この際、糖化液中の糖濃度は、発酵により生じるア
ルコールの濃度が1%以上となるような濃度として、す
なわち2%以上の糖濃度であれば自由に設定できる。糖
化液の糖濃度は好ましくは2〜8%である。前記麦芽の
糖化液は二分して用いられる。糖化液の一部は本発酵の
前に予め酵母によりアルコール発酵処理される区分(以
下、前発酵区分という)であり発酵槽(4)に移送され
る。糖化液の残りは未処理のまま保存されて本発酵に用
いられる区分(以下、保存区分という)であり、保存槽
(3)に移送される。また保存槽(3)を設けず、保存
区分を糖化槽(2)中でそのまま保存してもよい。前発
酵区分は、アルコール発酵による到達アルコール濃度が
1%未満になるように、すなわち糖濃度が2%未満とな
るまで水で希釈して糖濃度を調整し、酵母を添加し、酵
母のアルコール発酵により糖化液中の糖を消費させる。
このアルコール発酵(前発酵)は、糖化液中の糖が完全
に失くなるまで行われることが好ましい。前発酵区分中
で酵母は糖を消費して増殖しながら、種々の香味成分を
生産している。よって前発酵区分中では、糖の消費に伴
ってプロテアーゼによって蛋白質が分解され、ペプチ
ド、アミノ酸、エステル等が生成し、麦芽の糖化により
生じた未発酵性のデキストリン等と合わせて有機成分量
が増加する。
【0009】次に糖が消費された糖化液(前発酵区分)
から、煮沸、逆浸透膜、真空蒸発等により水分、アルコ
ール分を除去し、有機成分が糖に対して相対的に濃縮さ
れた濃縮液を調整する。除去された水分、アルコール分
を発酵槽(4)または煮沸釜(6)に移送して糖化液又
は麦汁の希釈、増量に用いることができる。逆浸透膜法
を利用した場合、水を除くことが主体の膜であるため、
不要のアルコールが濃縮されるが、濃縮液中のアルコー
ルは後の煮沸工程において加熱により飛散するので、製
品のアルコール濃度には影響を与えない。この濃縮液に
先に分けた未処理の糖化液(保存区分)を加えて糖液と
する。両液の混合時には、糖液中の糖濃度が2%未満と
なるようにする。この糖液を通常のビール製造における
ホップ添加後の煮沸工程の原料として使用する。その後
は、通常のビール製造工程と同じ方法で、前記煮沸後、
適宜冷却、ろ過した後に本発酵処理してアルコール濃度
1%未満の麦芽発酵飲料を得る。前記方法によれば、製
造工程においてアルコール濃度を低く保ったままで、原
料物質由来の優れたフレーバー及びアロマ特徴を有し、
十分に有機成分を含んでコクのある、低アルコール、好
ましくはアルコール濃度1%未満の麦芽発酵飲料が得ら
れる。
【0010】本発明方法において原料となる糖化液を保
存区分及び前発酵区分に分ける割合は、糖化液の糖濃
度、本発酵時の設定アルコール濃度、及び前発酵処理後
の前発酵区分の濃縮の程度により異なる。糖化液の分割
される割合を保存区分に対する前発酵区分の比で表わす
と、通常5:1〜1:5であり、特に2:1〜1:2で
あることが好ましい。予め発酵処理される区分は、発酵
処理により生じたアルコールが濃縮により除かれるので
アルコール濃度の向上には寄与せず、糖の消費により生
ずる有機成分によってコク味の付与に寄与する。アルコ
ール濃度の高い飲料を製造する場合は、保存区分の比を
高くする。最終製品のアルコール濃度は、保存区分の量
に依存する。また前発酵処理後の前発酵区分の濃縮の程
度は本発酵後の発酵飲料の設定アルコール濃度に依存す
るが、濃縮度は1〜5倍であることが好ましく、特に1
〜2倍であることが好ましい。濃縮を行うと芳香が失わ
れる可能性がある。濃縮度が高くなればなるほどそのリ
スクは高くなり、他の有機成分も影響を受ける。したが
って、濃縮度は低い方が好ましい。さらに前発酵区分か
ら得た濃縮液と糖化液の保存区分を混合する際には、通
常両液とも全量を混合するが、どちらかの区分について
全量を用いなくてもよい。好ましくは両液を濃縮液の保
存区分に対する比で5:1〜1:5、特に好ましくは
2:1〜1:2の比で混合する。この内特に、前発酵区
分から得た濃縮液の全量を同じ時に同じ糖化液から区分
された保存区分の全量と混合することが、経済性及び得
られるノンアルコールビールの風味の点から好ましい。
この混合比は、用いた糖化液を区分した割合に等しいこ
とが好ましい。例えば、製造するノンアルコールビール
の種類によって原料の種類及び量が決まっており、最初
の糖化液の成分構成及び総量が以後の工程において変動
しないことが望ましい。もしこれらが変動すれば、多様
な味はだせるであろうが、味の特性を管理しにくくな
る。
【0011】糖化液の区分及び混合割合、前発酵処理後
の濃縮の程度につき、アルコール濃度1%未満のノンア
ルコールビールの製造を例に説明する。例えば、糖濃度
10%の糖化液が100リットルある場合に、80リッ
トルを前発酵処理区分とし、20リットルを保存区分と
する。前発酵処理区分の80リットルは、糖濃度が2%
未満になるように5倍の400リットルに水で希釈した
後に前発酵処理し、さらに濃縮処理する。保存区分を濃
縮液に添加した後の調整糖液の糖濃度を2%未満にする
必要があるため、保存区分の糖化液20リットルを全て
使用すると仮定すれば、前発酵処理の終了後、処理液全
量からの濃縮残量が80リットルになるまで濃縮するこ
とができる。もし、80リットル未満に濃縮した場合に
は、煮沸工程中又はその前後に糖液の液量が100リッ
トル以上になるように水で調整する必要がある。また、
本発明方法において、本発酵に使用する酵母は、糖化液
の前発酵処理工程で使用され、前発酵処理後に処理液か
ら分離された酵母を再利用することが好ましい。酵母
は、自発沈下したものを採取し、液体をデカンテーショ
ン、遠心分離器で分離した後、使用時まで低温で保管す
る。この活性豊かな酵母を使用することで、雑菌汚染の
無い正常な発酵が維持できる。本発明の方法をノンアル
コールビールの場合を例に説明してきたが、この場合と
同様に原料糖化液の一部を予め前発酵に付して糖分含量
の少ないものとすることにより、ビール以外の種々の発
酵飲料の製造にこの方法を応用することができ、香気・
芳香に富んだ低アルコール濃度の発酵飲料を得ることが
できる。
【0012】
【実施例】次に本発明を実施例に基づきさらに詳細に説
明する。 実施例1 糖濃度10.2W/V%の麦芽の糖化液50リットル
を、40リットルの糖消費に用いる発酵処理用糖化液と
10リットルの保存用糖化液に分けた。40リットルの
発酵処理用糖化液を、200リットル容量の発酵槽に移
し、浄化装置で処理した水道水を加えて200リットル
に増量した。この希釈された糖化液は糖濃度が2.3W
/V%であった。希釈糖化液に、乾燥酵母20gを加
え、温度20℃で4日間発酵処理した。発酵処理終了後
の希釈糖化液の糖濃度は、0.2W/V%に低下した。
この液のアルコール濃度は約1V/V%であった。この
発酵処理液を逆浸透膜装置(ダイセル社製逆浸透膜、S
V−022型)で処理し、水分を除去して有機成分を濃
縮した。6時間の処理で42リットルとなった。濃縮後
の発酵処理液の糖濃度は0.6W/V%であり、アルコ
ール濃度は0.9V/V%であった。発酵槽から全ての
発酵処理液を除去した後、発酵槽下部からクリーム状の
酵母スラリーを採取し、水分除去後、冷蔵保管した。濃
縮処理した42リットルを煮沸釜に移し、最初に区分し
た保存用糖化液10リットルを加えて全容量52リット
ルの麦汁(糖液)とした。この時、麦汁の糖濃度は2.
0W/V%であった。
【0013】この煮沸釜にホップを添加し、90分間煮
沸処理した。煮沸により減少した液量を発酵処理液の濃
縮時に除去された水(逆浸透膜の透過水、アルコール濃
度0.1V/V%)で増量して全量を50リットルとし
た後、冷却し、発酵槽に移送した。温度15℃に調整
後、冷蔵保管しておいた酵母を加え5日間発酵を継続し
た。発酵終了後、発酵液をケグに移し、冷蔵庫に1週間
保管後、麦芽発酵飲料(ノンアルコールビール)として
得た。得られた麦芽発酵飲料のアルコール濃度は、0.
7V/V%、残糖濃度は0.3W/V%であった。次
に、5人(男3人、女2人)のパネラーにより市販のノ
ンアルコールビール(A、B、C いずれもアルコール
濃度は0.5%未満である。)、市販のビールを対象と
して前記で得た試作品の味覚・性状の比較試験を行っ
た。ノンアルコールビールAは逆浸透膜を使用して、B
及びCは真空蒸発により通常のアルコール濃度を有する
ビールを製造した後にアルコール分を除去したものであ
る。結果を表1に示す。指標は、芳香、コク、苦味、泡
立ちとし、ビールを0点とし、ビールより良い方向を1
〜3点、悪い方向を−1〜−3点の尺度で評価した。表
1中の数字は、パネラー5人の平均値である。
【0014】
【表1】
【0015】表1から判るように、試作品は芳香の点で
対象とした通常のアルコール濃度のビールよりやや劣る
ものの、コクの点でビールより優れ、苦味、泡立ちはほ
ぼビールと同等の評価を得た。また試作品に対して市販
のノンアルコールビール(A、B、C)は芳香、コク、
苦みとも劣る「水っぽい」ものであった。このことは本
発明方法により得られる低アルコール飲料中には、原料
由来の種々の有機成分、特に香味成分が多量に含まれる
ことを意味する。
【0016】実施例2 ノンアルコールビールの製造 糖濃度8.5W/V%の麦芽の糖化液30リットルを、
20リットルの糖消費に用いる発酵処理用糖化液と10
リットルの保存用糖化液に分けた。20リットルの発酵
処理用糖化液を、100リットル容量の発酵槽に移し、
浄化装置で処理した水道水を加えて80リットルに増量
した。この希釈された糖化液は糖濃度が2.0W/V%
であった。希釈糖化液に、乾燥酵母10gを加え、温度
20℃で4日間保持して発酵させた。発酵処理終了後の
希釈糖化液の糖濃度は、0.3W/V%に低下してい
た。この液のアルコール濃度は約1V/V%であった。
この発酵処理液を真空蒸発装置で100Torr、50
℃に維持することにより残量が32リットルとなるま
で、4時間で濃縮した。濃縮された発酵処理液の糖濃度
は、0.7W/V%であり、アルコール濃度は0V/V
%に低下していた。また、発酵処理液を濃縮する前に、
発酵槽下部からクリーム状の酵母スラリーを採取し、水
を除去した後、酵母を冷蔵保管した。濃縮された発酵処
理液32リットルは、ポンプで煮沸釜に移送し、最初に
区分した保存用糖化液10リットルを加えて42リット
ルの糖液(麦汁)とした。この時、麦汁の糖濃度は2.
3W/V%であった。
【0017】この煮沸釜にホップを添加し、90分煮沸
した。煮沸により減少した液量を発酵処理液の濃縮時に
得た蒸発水(アルコール濃度0.8V/V%)で増量し
て全量を50リットルとした後、冷却し、発酵槽に移送
した。液温を温度15℃にした後、前記冷蔵保管してお
いた酵母を加え5日間発酵を継続した。発酵終了後、発
酵液をケグに移し、冷蔵庫に1週間保管後、ノンアルコ
ールビールとして得た。得られたノンアルコールビール
のアルコール濃度は、0.6V/V%、残糖濃度は0.
2W/V%であった。このノンアルコールビールは、フ
レーバー及び適度なコクを有しており、通常のアルコー
ル濃度のビールとよく似た味であった。この製造した麦
芽発酵飲料を、実施例1と同様の方法で味覚、性状の比
較試験を行った。その結果を表2に示す。
【0018】
【表2】
【0019】表2から判るように試作品は、芳香の点で
対象としたビールよりやや劣るものの、コク、苦味、泡
立ちは、ほぼビールと同等の評価を得た。また試作品に
対して市販のノンアルコールビール(A、B、C)は芳
香、コク、苦みとも劣る「水っぽい」ものであった。
【0020】
【発明の効果】本発明方法によれば、糖化液の一部を予
め発酵処理して含有する糖を分解することにより、原料
物質由来の分解生成物である有機成分を多量に含有し、
原料に基づく自然なフレーバー及び発酵香気に富み、ま
たコクのある低アルコール濃度の発酵飲料を得ることが
できる。さらに本発明方法は、製造工程においてアルコ
ール濃度の高い液を製造しないのでコストが低く、また
酒税法による規制を受けない。また本発明の低アルコー
ル発酵飲料は本発明方法により初めて製造されたもので
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明方法の一実施態様としての、ノンアル
コールビールの製造方法の工程図である。
【符号の説明】
1 麦芽粉砕槽 2 糖化釜 3 糖化液保存槽 4 発酵槽 5 逆浸透膜分離装置 6 煮沸釜 7 発酵槽

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルコール発酵により生ずるアルコール
    の濃度が3%以下である糖濃度を有する糖液から低アル
    コールの発酵飲料を製造するに当り、(1)発酵後のア
    ルコール濃度が3%以下となる濃度の糖を有する糖化液
    をアルコール発酵処理して糖濃度を低減させる工程、
    (2)(1)の低糖濃度液を水分を除き濃縮する工程、
    (3)(2)で濃縮された濃縮液と未処理の糖化液を混
    合し、発酵後のアルコール濃度が3%以下となる濃度の
    糖を有する糖液を得る工程、及び(4)(3)の糖液を
    原料とするアルコール発酵工程を具備することを特徴と
    する低アルコール発酵飲料の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記(1)の糖化液を二分し、一方の糖
    化液をその糖濃度を発酵により3%以下のアルコール濃
    度となるように調整し、アルコール発酵処理して糖濃度
    を低減させ、さらに濃縮した後に、前記の他方の糖化液
    と混合し、発酵後のアルコール濃度が3%以下となる濃
    度の糖を有する糖液を得ることを特徴とする請求項1記
    載の方法。
  3. 【請求項3】 糖化液のアルコール発酵に用いた酵母を
    処理液から分離し、糖液のアルコール発酵に再利用する
    ことを特徴とする請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 請求項1、2又は3に記載の方法で製造
    された低アルコール発酵飲料。
JP14081493A 1993-06-11 1993-06-11 低アルコール発酵飲料及びその製造方法 Expired - Lifetime JP2654742B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14081493A JP2654742B2 (ja) 1993-06-11 1993-06-11 低アルコール発酵飲料及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14081493A JP2654742B2 (ja) 1993-06-11 1993-06-11 低アルコール発酵飲料及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06343434A true JPH06343434A (ja) 1994-12-20
JP2654742B2 JP2654742B2 (ja) 1997-09-17

Family

ID=15277360

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP14081493A Expired - Lifetime JP2654742B2 (ja) 1993-06-11 1993-06-11 低アルコール発酵飲料及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2654742B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7302974B2 (en) 2002-08-21 2007-12-04 Sapporo Breweries Limited Process for producing low-alcoholic beer-like drink and low-alcoholic beer-like drink
JP2009142290A (ja) * 2004-11-30 2009-07-02 Suntory Holdings Ltd マルトトリオース比率の低い発酵原液を用いた発酵飲料の製造方法
WO2013146201A1 (ja) * 2012-03-28 2013-10-03 サッポロビール株式会社 植物原料液及び飲料並びにこれらに関する方法
JP2018191554A (ja) * 2017-05-16 2018-12-06 サントリーホールディングス株式会社 水溶性食物繊維を含有する飲料

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS58129969A (ja) * 1982-01-21 1983-08-03 ジヨセフ・イ−・シ−グラム・アンド・サンズ・インコ−ポレイテツド アルコール濃度を減少した酒及び酒のアルコール濃度減少装置並びに方法
JPS5998677A (ja) * 1982-11-29 1984-06-07 ジヨセフ・イ−・シ−グラム・アンド・サンズ・インコ−ポレイテツド ワインのアルコ−ル濃度減少装置および方法
JPH0445777A (ja) * 1990-06-11 1992-02-14 Asahi Breweries Ltd ノンアルコールビールとその製法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS58129969A (ja) * 1982-01-21 1983-08-03 ジヨセフ・イ−・シ−グラム・アンド・サンズ・インコ−ポレイテツド アルコール濃度を減少した酒及び酒のアルコール濃度減少装置並びに方法
JPS5998677A (ja) * 1982-11-29 1984-06-07 ジヨセフ・イ−・シ−グラム・アンド・サンズ・インコ−ポレイテツド ワインのアルコ−ル濃度減少装置および方法
JPH0445777A (ja) * 1990-06-11 1992-02-14 Asahi Breweries Ltd ノンアルコールビールとその製法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7302974B2 (en) 2002-08-21 2007-12-04 Sapporo Breweries Limited Process for producing low-alcoholic beer-like drink and low-alcoholic beer-like drink
JP2009142290A (ja) * 2004-11-30 2009-07-02 Suntory Holdings Ltd マルトトリオース比率の低い発酵原液を用いた発酵飲料の製造方法
JP4732528B2 (ja) * 2004-11-30 2011-07-27 サントリーホールディングス株式会社 マルトトリオース比率の低い発酵原液を用いた発酵飲料の製造方法
WO2013146201A1 (ja) * 2012-03-28 2013-10-03 サッポロビール株式会社 植物原料液及び飲料並びにこれらに関する方法
JP5671652B2 (ja) * 2012-03-28 2015-02-18 サッポロビール株式会社 植物原料液及び飲料並びにこれらに関する方法
JP2018191554A (ja) * 2017-05-16 2018-12-06 サントリーホールディングス株式会社 水溶性食物繊維を含有する飲料

Also Published As

Publication number Publication date
JP2654742B2 (ja) 1997-09-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4532140A (en) Method of manufacturing and processing alcoholic beverages, and alcoholic liquids obtained by performing the method
JP4652469B2 (ja) 麦芽発酵飲料
JP2017079695A (ja) ビールテイスト飲料、ビールテイスト飲料の製造方法及びビールテイスト飲料の呈味改善方法
WO2008069027A1 (ja) 泡安定剤及びそれを含有してなる発泡性飲料
JP2019010126A (ja) 発泡性飲料の製造方法
CN103582431A (zh) 非发酵啤酒味饮料及其制造方法
JPS6251975A (ja) アルコ−ル分のないか又はアルコ−ル分の少ないビ−ルの製造方法
AU2005275818A1 (en) Process for producing highly stable fermented drink
JPH0445777A (ja) ノンアルコールビールとその製法
JP2005333981A (ja) 発泡アルコール飲料及びその製造方法
JP2654742B2 (ja) 低アルコール発酵飲料及びその製造方法
JP5855579B2 (ja) ピルビン酸含有量の高いビール様発泡性発酵飲料の製造方法
JP4286719B2 (ja) 小麦を用いた発酵麦芽飲料の製造方法
JP2015107100A (ja) ビールテイスト飲料のアルコール感改善方法
JPH0523160A (ja) 蜂蜜発酵酒及びその製造方法
JP2018108095A (ja) ビールテイスト飲料
JP7153617B2 (ja) ビールテイスト飲料、ビールテイスト飲料の製造方法、及び、ビールテイスト飲料の香味向上方法
JP2019071843A (ja) ビールテイスト飲料、ビールテイスト飲料の製造方法、及び、ビールテイスト飲料の香味向上方法
US613915A (en) Manufacture of non-intoxicating beverages
JPH07168A (ja) ビール類似の新規な発泡酒の製造法
JP7181333B2 (ja) 穀物香が低減された麦芽飲料
JPS6149942B2 (ja)
CN1045275A (zh) 勾兑制酒方法
RU2686636C1 (ru) Способ приготовления пивного напитка
US1337027A (en) Process of producing soft drinks