JPH06337154A - 赤外線源検知器及び該検知器を用いた居住環境制御装置 - Google Patents

赤外線源検知器及び該検知器を用いた居住環境制御装置

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JPH06337154A
JPH06337154A JP12586793A JP12586793A JPH06337154A JP H06337154 A JPH06337154 A JP H06337154A JP 12586793 A JP12586793 A JP 12586793A JP 12586793 A JP12586793 A JP 12586793A JP H06337154 A JPH06337154 A JP H06337154A
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JP
Japan
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human body
infrared
detector
incident
infrared source
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JP12586793A
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English (en)
Inventor
Tetsuo Furuya
哲夫 古谷
Gichu Ota
義注 太田
Yuji Kawaguchi
裕次 川口
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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  • Geophysics And Detection Of Objects (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 簡単な機構で赤外線源の位置及び数を検知可
能とする。 【構成】 赤外線センサ1と、赤外線を入射面に集光す
るレンズ集合体2と、開口部4により入射方向を制限す
る回動可能な遮蔽板3及びその駆動手段6と、赤外線セ
ンサ1の出力信号をもとに人体の位置を算出する演算器
とを具備し、遮蔽板3は複数の開口部4を有し、これら
は上下方向には相互に重なり合わず、左右方向には所定
角度だけ離間する。 【効果】 複数の開口部からの赤外線入射量を比較する
ことにより、赤外線源の方向のみならず、距離も検知で
きる。また赤外線源検知器を人体検知器として空調機に
応用することにより、人数や人の分布に応じた空調動作
を行い、快適な空調空間を提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、人体等の赤外線源を検
知して信号を出力する検知器に係り、特に居住空間にお
ける人体の位置及び人数を検知し、その検知情報を居住
環境の制御に用いるのに好適な赤外線源検知器及び該検
知器を用いた居住環境制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の赤外線源検知器においては、特開
平4-43929号公報に記載の走査型非接触温度測定装置及
びそれを用いた空気調和装置や、特開平1-121647号公報
に記載の空気調和装置が挙げられる。
【0003】前者は、集光レンズ及びミラーよりなる光
学系を用いて焦電素子への赤外線の入射方向を一方向に
限定し、かつ光学系を回動可能として一方向、例えば左
から右へと走査するものである。そしてレンズの前方
に、多数の開口部(スリット)を平行に設けた円筒形の
遮蔽板を回転させ、焦電素子への入射赤外線を断続させ
るものである。
【0004】後者は、焦電素子等の赤外線検知素子の前
方に、複数の検知エリアを有するフレネルレンズ集合体
を配置し、その前方に回動可能な遮蔽板を配置する。そ
してレンズ集合体を逐次覆っていくように遮蔽板を回動
させる。回動中に赤外線検知素子の出力の大幅低下を検
知した場合、遮蔽板により遮蔽された検知エリアの直前
に熱源つまり人体が存在すると判定するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の赤外線源検知器
にあっては、集光レンズと遮蔽板との回転用の2個のモ
ータを設けるか、又はモータ1個の場合、複雑な駆動機
構が必要であり、コスト高となる。また、集光レンズの
走査方向は左右又は上下の一方向のみであり、人体の位
置を検知する上で、方向角は検知可能でも、距離は焦電
素子の出力レベルより推定するしかなく、人体の位置を
精度よく検知することは困難な問題がある。
【0006】また、複数の人体が異なる方向に存在する
場合、これらのすべてを検知することは困難である。つ
まり赤外線検知素子の出力は一般に熱源の放射温度と距
離に依存するため、遮蔽板がすべての人体からの赤外線
を遮蔽し終わるまでは、少なくとも一人体からの赤外線
が入射し続けるので、他の人体からの赤外線を遮蔽して
も、その前後で赤外線検知素子の出力がほとんど変化し
ないことが考えられる。従って最後に赤外線を遮蔽する
人体以外の人体の検知は困難な問題がある。
【0007】本発明の目的は、簡単な機構で空間内の赤
外線源の存在位置つまり方向角及び距離を検知可能とす
る赤外線源検知器及び該検知器を用いた居住環境制御装
置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
め、本発明に係る赤外線源検知器は、赤外線の入射によ
り信号を出力する赤外線検知手段と、赤外線検知手段の
前方に配置され、所定の角度範囲からの赤外線を赤外線
検知手段の入射面に集光させる集光手段とを備えた赤外
線源検知器において、集光手段の前方に近接して配置さ
れ少なくとも一つの開口部を有し、かつ赤外線検知手段
への赤外線の入射方向を限定する回動可能な入射方向限
定手段と、入射方向限定手段を回動させる駆動手段と、
駆動手段の回動を制御するとともに赤外線検知手段の出
力信号に基づき赤外線源の位置を演算する演算手段とを
具備した構成とする。
【0009】そしてそれぞれの開口部は、赤外線の入射
方向を一方向に限定するスリットで形成され、演算手段
は、それぞれのスリットの方向角と赤外線検知手段の出
力信号との関係に基づき、赤外線源の位置を演算するも
のである構成でもよい。
【0010】また集光手段は、複数のレンズを集合した
レンズ集合体である構成でもよい。
【0011】さらに入射方向限定手段は、レンズ集合体
のうちの特定のレンズからの入射赤外線を透過させるも
のである構成でもよい。
【0012】そして入射方向限定手段は、それぞれの開
口部を往復回動することにより、赤外線検知手段への赤
外線入射量に時間変化を与えるものである構成でもよ
い。
【0013】また入射方向限定手段は、それぞれの開口
部の所定回数の往復回動と、所定角度の回転移動とを交
互に繰り返すものである構成でもよい。
【0014】さらにそれぞれの開口部は、上下方向には
相互に重なり合わず、左右方向には相互に所定角度だけ
離間されている構成でもよい。
【0015】そして演算手段は、それぞれのスリットの
上下方向の位置と赤外線検知手段の出力信号との関係に
基づき、赤外線源の距離を算出するものである構成でも
よい。
【0016】また演算手段は、赤外線検知手段への赤外
線の入射方向及び入射量の時間的変化に基づき、赤外線
源が静止熱物体か否かを判定するものである構成でもよ
い。
【0017】さらに人体検知器においては、前記いずれ
か一つの赤外線源検知器よりなる構成とする。
【0018】そして居住環境制御装置においては、人体
検知器を設けてなる構成とする。
【0019】また人体検知器が出力する人体の位置の情
報に基づき居住環境制御の動作を行う制御手段を備えて
なる構成でもよい。
【0020】さらに人体検知器を設けた空気調和機を備
えてなる構成でもよい。
【0021】そして人体検知器が出力する人体の位置の
情報に基づき、少なくとも設定温度、風量及び風向の空
調動作を制御する空気調和機を備えてなる構成でもよ
い。
【0022】また人体検知器が出力する人体の位置の情
報に基づいて人数を算出し、人数に応じて空調能力を制
御する空気調和機を備えてなる構成でもよい。
【0023】さらに人体検知器が出力する人体の位置の
情報に基づいて人体の分布密度を算出し、分布密度に応
じて風向を制御する空気調和機を備えてなる構成でもよ
い。
【0024】そして人体検知器が出力するそれぞれの人
体の距離の情報に応じて、風量を制御する空気調和機を
備えてなる構成でもよい。
【0025】また空気調和機の遠隔操作手段及び遠隔操
作手段の方向の検知手段を具備し、検知手段が出力する
前記遠隔操作手段の存在方向及び人体検知器が出力する
人体の位置の情報に基づき、遠隔操作手段を操作した人
体の位置を算出し、位置の付近のみ遠隔操作手段の特定
操作に応じた空調動作を行う空気調和機を備えてなる構
成でもよい。
【0026】さらに空調動作は、特定操作に応じた送風
動作である構成でもよい。
【0027】そして人体検知器が出力する人体の位置の
情報に基づき人体の接近を検知し、接近に応じた空調動
作を行う空気調和機を備えてなる構成でもよい。
【0028】また空調動作は、至近距離への送風動作で
ある構成でもよい。
【0029】さらに空調動作は、少なくとも気温及び季
節の環境条件に応じた送風動作である構成でもよい。
【0030】
【作用】本発明によれば、入射方向限定手段により赤外
線の入射方向が狭い角度範囲に限定され、限定方向を視
野の1つに合わせることにより、視野内のみの赤外線の
入射強度が測定される。視野内に人体が存在する場合は
赤外線入射強度が高くなり、赤外線センサの出力レベル
が大となる。従って赤外線センサの出力レベルより、視
野内の人体の存在又は不在が判定される。従って限定入
射方向を逐次変化させて各視野を走査し、各視野で人体
の存在又は不在の判定を行うことにより、空間内の人体
の存在又は不在のみならず、存在する視野つまり上下左
右のおよその存在方向が検知される。そして上下の存在
方向より、人体のおよその距離が算出される。つまり、
人体の方向及び距離が検知されることにより、空間内で
の人体の存在位置を算出できる。また複数の人体が異な
る視野内に存在する場合は、人数分の視野において人体
が存在と判定されるため、空間内の人数の検知も可能と
なる。
【0031】
【実施例】本発明の一実施例を図1及び図2を参照しな
がら説明する。図1は、本発明による赤外線源検知器の
一実施例の機構部の横断面図であり、図2はその正面図
である。図1及び図2に示すように、赤外線の入射によ
り信号を出力する赤外線検知手段1と、赤外線検知手段
1の前方に配置され、所定の角度範囲からの赤外線を赤
外線検知手段1の入射面に集光させる集光手段2とを備
えた赤外線源検知器において、集光手段2の前方に近接
して配置され少なくとも一つの開口部4a,4bを有
し、赤外線検知手段1への赤外線の入射方向を限定する
回動可能な入射方向限定手段3と、入射方向限定手段3
を回動させる駆動手段6と、駆動手段6の回動を制御す
るとともに、赤外線検知手段1の出力信号に基づき赤外
線源の位置を演算する図示しない演算手段とを具備した
構成である。
【0032】赤外線センサ(赤外線検知手段)1は、焦
電素子等の赤外線の入射により入射強度に応じて電気信
号を発生する素子であり、通常、特定波長範囲の赤外線
のみ通過する光学フィルタを入射面に配置している。レ
ンズ集合体(集光手段)2は、多数の凸レンズセルを集
積したドーム型の光学レンズであり、各凸レンズセルの
焦点は一致している。この焦点が赤外線センサ1の入射
面の中心と一致するように、レンズ集合体2を配置す
る。基板5は、赤外線センサ1とレンズ集合体2とを取
付ける取付け板である。遮蔽板(入射方向限定手段)3
は例えば、2mm幅程度の細い線状又は円弧状の開口部
(スリット)4を有する球形の遮蔽板であり、レンズ集
合体2を遮蔽板3内に収納する。図示のように、2個の
開口部4a,4bを有し、開口部4により入射赤外線の
方向角を限定する。遮蔽板3の球形の中心と、焦点と、
赤外線センサ1の入射面の中心とを一致させる。そして
球形は入射面上でかつその中心を含む回転軸を中心とし
て回転する。そして開口部4の中心線は、回転軸と同一
平面上に含まれるようにする。従って開口部4は、レン
ズ集合体2の各凸レンズセルの前方を、これらに近接し
て回転移動する。モータ(駆動手段)6は遮蔽板3の回
転を行うステッピングモータ等である。
【0033】次に、レンズ集合体2の一例の側面及び正
面を図3に示す。ドーム型の頂点を中心として、19個の
凸レンズセル又は平面型のフレネルレンズ等を配置した
ものである。またこれらの視野、つまり各レンズセルの
中心部の集光感度の高い入射角度範囲(検知エリア)を
図4に示す。視野は上下(垂直)、左右(水平)に間欠
的に放射状に広がる。
【0034】次に、遮蔽板3の形状の一例を図5に示
す。2個の開口部4a,4bを、左右方向角を例えば90
°位の角度間隔で離間して配置する。そして2個の開口
部のうちの一方は球面の上半分、他方は下半分のみ開口
とする。つまり、各開口部は上下方向には相互に全く、
又はほとんど重ならないように配置する。
【0035】2個の開口部の角度間隔θsと、レンズ集
合体2の左右方向の入射角度範囲θLとの関係を図6に
示して説明する。開口部4以外からの入射光がレンズ集
合体2に入射しないためには、開口部4a又は4bがレ
ンズ集合体2の左右端に位置する場合に、入射角度範囲
が遮蔽板3で覆われていなければならない。つまり開口
部4a又は4bから遮蔽板3の右端又は左端までの角度
θsはθL以上必要である。従って遮蔽板3の左右方向
の回転角度範囲は2θL+θs以上必要である。図の左
側はθs≧θLの場合である。この場合、レンズ集合体
2への入射光は2個の開口部のいずれか1個からのもの
に限られる。図の右側はθs<θLの場合である。同図
に示すように、2個の開口部4a,4bから同時に、レ
ンズ集合体2の左右端付近に入射する場合がある。この
場合、いずれの開口部からの入射かの判定が必要であ
り、これについては後述する。
【0036】以後の説明では、赤外線センサ1の入射面
中心における法線方向を角度の基準0°とする。従って
レンズ集合体2の左右端は±(θL/2)となる。また開
口部4a,4bの方向角をそれぞれ、θa,θbとす
る。
【0037】次に、2個の開口部の上下方向の入射範囲
について、図7及び図8を参照しながら説明する。赤外
線源検知器を高所に取付け、下方を見下ろすように設置
した場合、図7に示すように開口部4aは遮蔽板3の下
半分にあるため、入射範囲は伏角の大きい範囲、つまり
近距離の範囲となる。また図8に示すように開口部4b
は遮蔽板3の上半分にあるため、入射範囲は伏角の小さ
い範囲、つまり遠距離の範囲となる。従って人体等の赤
外線源からの赤外線により、赤外線センサ1の出力レベ
ルが高まった時点で、開口部4a,4bのいずれがレン
ズ集合体2の前方に存在したかにより、人体が人体検知
器(赤外線源検知器)から見て近距離か遠距離かを判定
できる。つまり人体が室内の手前か奥か等のように、人
体のおよその距離を確実に判定できる。理論的には、赤
外線の入射強度は赤外線センサ1と、人体等の赤外線源
の距離との2乗に反比例するが、実際には人体の姿勢等
により、同一距離でも入射強度は大幅に変動する。従っ
て赤外線センサ1の出力レベルのみで人体の距離を推定
すると、大幅な誤差を生じる恐れがある。近距離/遠距
離の判定に加えて出力レベルを参照することにより、人
体の距離をより確実に推定することができる。
【0038】前記のようにθs<θLとし、2個の開口
部が同時にレンズ集合体2の前方に存在する場合があ
る。この時、赤外線センサ1の出力レベルが高くなる
と、人体からの赤外線がいずれの開口部から入射したか
を判定する必要である。これは、前記出力レベルを参照
して行うことができる。つまり開口部4aからの入射の
場合、人体は近距離に存在するので赤外線の入射強度が
高く、出力レベルも高くなる。開口部4bからの入射の
場合、人体は遠距離に存在するので赤外線の入射強度が
それほど高くなく、出力レベルもそれほど高くならな
い。従って出力ベルに一定のしきい値を設けて判定する
ことにより、いずれの開口部の方向に人体が存在するか
を判定できる。
【0039】なお開口部は、人体の方向検知用の小開口
部と、人体の活動量検知用の大開口部とを有する構成で
もよい。
【0040】次に本発明による人体検知器101の一実施
例の回路構成を図9に示す。増幅器7は、赤外線センサ
1が出力する微弱な電気信号を増幅する。演算器(演算
手段)10はあらかじめ内部に記録されたプログラムに従
いディジタル演算を行うものであり、市販の1チップマ
イコン等である。演算器10はディジタル信号に変換する
アナログ信号を入力し、これに演算を施し、演算結果に
基づきディジタル信号を出力する。また演算器10はA/
D(アナログ−ディジタル)変換器を有する。赤外線セ
ンサ1の出力信号は増幅器7により増幅され、A/D変
換器に入力されて、ディジタル信号に変換される。つま
り演算器10は赤外線センサ1の出力信号をディジタル化
して入力し、これに演算処理を施して、人体の検知情
報、つまり人体の位置、人数等の情報を演算結果として
通信端子11に出力する。また演算器10は、遮蔽板3の回
転制御を行う。つまり遮蔽板3の回転の向き、回転角に
対応するモータ駆動信号を算出し出力する。モータ駆動
回路9はモータ駆動信号を入力し、これに基づきモータ
6の駆動電圧を発生する回路である。また位置センサ8
は遮蔽板3の位置検知センサであり、フォトインタラプ
タ等の、物体の位置を光学的に検知するセンサである。
つまり遮蔽板3が所定範囲の位置に存在する時のみ、遮
蔽板3による光線の遮断又は反射を示す信号を出力す
る。信号は演算器10に入力され、演算器10はこれを参照
して遮蔽板3の回転制御を行う。
【0041】赤外線センサ1が焦電素子の場合、赤外線
入射強度の時間変化に応じて信号を出力する。従って人
体等の赤外線源が静止している場合、赤外線入射強度の
時間変化がないため信号が出力されない。そこで赤外線
センサ1への入射光を例えば0.5秒程度の一定間隔で断
続させて赤外線入射強度を変化する必要がある。以下、
この断続の動作のことをチョッピングと称する。前記第
1の公知例では、多数の開口部(スリット)を平行に設
けた円筒形の遮蔽板を設け、これを回転させてチョッピ
ングを行っていた。本実施例では、遮蔽板3の往復回動
によるチョッピングについて、図10及び図11を参照
しながら説明する。
【0042】まず図10に示すように、開口部4a又は
4bを1個のレンズセルの中心に向けて例えば、0.5秒
程度の一定時間だけ静止させる。次に図11に示すよう
に、開口部4a又は4bをレンズセルと隣のレンズセル
との境界まで、例えば、0.03秒程度の短時間で回動移動
し、前記一定時間だけ静止させる。そして再び開口部4
a又は4bを前記レンズセルの中心まで、前記短時間で
回動移動して戻す。以上の時間変化を与えた動作をくり
返す。開口部4a又は4bがレンズセルの中心つまり視
野に向いている時は集光感度が高いため、視野内に人体
等の赤外線源が存在すれば、赤外線の入射強度は高くな
る。開口部4a又は4bが2個のレンズセルの境界つま
り視野外に向いている時は集光感度が低いため、入射強
度も低い。つまり入射光が遮断されたのとほぼ同様の状
態となる。従って遮蔽板3の往復回動運動により、入射
光を断続させるのと同様の効果が得られる。この方式に
よれば、遮蔽板3により入射方向角の限定と、入射光の
断続との両者を行うことができ、遮蔽板3とは別に入射
光の断続手段を設ける必要がない。
【0043】次に遮蔽板3を用いた人体検知器の動作に
ついて、再び図7及び図8を参照しながら説明する。人
体検知器101は室内の例えば高さ2m位の高所に、傾き
角を例えば35°位で下方を見下ろすように取付ける。こ
れによりレンズ集合体2の視野は上下方向で見れば、室
内の人体の存在範囲をほぼカバーする。開口部4aはレ
ンズ集合体2の下半分のレンズセルの視野からの入射光
のみ、開口部4bは上半分のレンズセルの視野からの入
射光のみ通過させる。従って図7及び図8に示すよう
に、開口部4aが左端から右端のレンズセルまで回転す
る間は、下半分のレンズセルの視野、つまり人体検知器
101から近距離の人体のみ検知可能である。同様に開口
部4bが左端から右端まで回転する間は、上半分のレン
ズセルの視野、つまり人体検知器101から遠距離の人体
のみ検知可能である。従って開口部4aが左端から右端
まで回転する間の角度範囲、例えばθa=-45°〜45°
で赤外線センサ1の出力レベルが一定値以上となれば、
人体が下半分のレンズセルの視野つまり人体検知器101
から近距離に存在すると判定できる。同様に開口部4b
が左端から右端まで回転する間の角度範囲、例えばθb
=-45°〜45°で出力レベルが一定値以上となれば、人
体が上半分のレンズセルの視野、つまり人体検知器101
から遠距離に存在すると判定できる。従って人体の姿勢
の違い等により赤外線源の入射強度が変動しても、人体
の位置が室内の手前か奥かという程度の、人体のおおよ
その距離を確実に検知することができる。
【0044】次に人体検知器の動作の詳細について、演
算器10の動作を示す図12のフローチャートを参照しな
がら説明する。演算器10はまず開口部4aを、レンズ集
合体2の左端のレンズセルの視野に向ける。この位置検
知は例えば位置センサ8を、前記の場合における遮蔽板
3の端部がくる位置にあらかじめ設置しておき、モータ
6により遮蔽板3を回転させ、遮蔽板3の端部がその位
置に達すると、位置センサ8はこれを示す信号を出力す
る。演算器10はその信号を入力すると、モータ6の回転
を停止する(s−1)。
【0045】そして演算器10は図10,図11で説明し
た遮蔽板によるチョッピングの動作を行う。つまり開口
部4aをレンズセル中心と、右隣のレンズセルの中間と
の間で、例えば10回程度の所定回数だけ一定周期で往復
回動させる(s−2)。同時に演算器10は赤外線センサ
1の出力信号をA/D変換して入力し(s−3)、その
パワー、例えばr.m.s.(root-mean-square)値を計算する
(s−4)。
【0046】そして演算器10は開口部4aを右隣のレン
ズセルの視野に向ける。つまり、2個のレンズセルの間
隔の角度だけモータ6を回転する(s−5)。開口部4
aが右端のレンズセルに至るまで、演算器10は(s−
2)から(s−5)までの動作をくり返す(s−6)。
【0047】開口部4bについても、(s−1)から
(s−6)までと全く同様の動作を行う。つまり図13
に示すように、演算器10はまず、開口部4bをレンズ集
合体2の左端のレンズセルの視野に向ける(s−7)。
そして演算器10は、遮蔽板によるチョッピングの動作を
行う(s−8)。同時に赤外線センサ1の出力信号をA
/D変換して入力し(s−9)、そのパワー値を計算す
る(s−10)。そして演算器10は、開口部4bを右隣の
レンズセルの視野に向ける(s−11)。開口部4bが右
端のレンズセルに至るまで、演算器10は(s−8)から
(s−11)までの動作をくり返す(s−12)。
【0048】開口部4bが右端のレンズセルに至った後
には(s−12)、演算器10は前記の動作により得られた
開口部4a,4bの方向角θa,θbと赤外線センサ1
の出力信号のパワーpa,pbとの関係に基づき、人体
の存在/不在、存在の場合はその人数及び位置を判定す
る。以下、この動作について図14を参照しながら説明
する。なお方向角θa,θbの値は、各レンズセルの中
心の方向角となる。
【0049】演算器10はまず、パワーpaの極大値のう
ち、一定値以上のものを検知する。つまり方向角θaと
パワーpaとの関係におけるパワーpaの極大値のう
ち、一定しきい値Th1以上のものpai(iは自然数)を
検知し、この時の開口部4aの方向角θaiとともに記
録する(s−13)。つまり人体等の赤外線源が近距離で
方向角θaiの方向に存在すれば、その方向からの赤外
線の入射強度が高くなり、赤外線センサ1の出力信号の
パワーpaiも大となる。従ってパワーpaiが一定値
以上となる方向角θaiを検知すれば、近距離のその方
向に人体が存在することを検知できる。
【0050】全く同様に演算器10は、パワーpbの極大
値のうちしきい値以上のパワーpbjを検知し、この時
の開口部4bの方向角θbjとともに記録する(s−1
4)。
【0051】もしパワーpaの極大値とパワーpbの極
大値とがほぼ同一方向に検知された場合、同一方向の
近、遠距離に2人の人体が存在する場合と、中間くらい
の距離に1人の人体が存在する場合の両者が考えられ
る。そこでこの両者の判定を行う。θai≒θbjなる
θai,θbjの組が存在すれば(s−15)、演算器10
はこれにおけるパワーpai,pbjを比較する。両者
の値が近く、一定しきい値Th2未満であれば(s−1
6)、演算器10は中間くらいの距離に1人の人体が存在
するものとして、その人体の方向を方向角θck=θa
i又は方向角θbjとして記録し、方向角θai,θb
jを記録消去する(s−17)。
【0052】一定しきい値Th1以上のパワーpa,pb
が検知され、図15に示すように、方向角θai,θb
j,θckが記録されていれば(s−18)、演算器10は
近距離で方向角θai方向、中距離で方向角θck方向
及び遠距離で方向角θbj方向に人体が存在するものと
して、人数(n=i+j+k)、各人体の距離(近、中、遠)及
び方向角θai,θbj,θckをディジタル信号で通
信端子11に出力する(s−19)。一定しきい値Th1以上
のパワーpa,pbが検知されず、方向角θai,θb
j,θckが記録されていなければ(s−18)、演算器
10は無人状態と判定して、人数=0を通信端子11に出力
する(s−20)。
【0053】開口部4a,4bの方向角θa,θbと、
パワーpa,pbとの関係の一例を図16及び図17に
示す。いずれも人体検知器101を高さ2mに取付け、35
°下向きに傾けた例である。人体は人体検知器101の正
面、つまり方向角θ=0°に存在する。
【0054】図16及び図17は、人体検知器101より
0.5mの近距離に人体が立っている場合である。図7に
示すように開口部4aの入射角度範囲は近距離であり、
距離0.5mの人体を十分含む。従って、開口部4aの方
向角θaが人体の方向角0°に近い方向角θai=-3.7
5°でパワーpaの大きなピークが検知される。しかし
開口部4bの入射角度範囲は遠距離であり、同距離の人
体をほとんど含まないため、パワーpbの大きなピーク
は検知されない。
【0055】図18及び図19は、人体検知器101より
1mの距離に人が立っている場合である。図7及び図8
に示すように、人体の大部分は開口部4aの入射角度範
囲に含まれるが、人体で最も放射温度の高い顔の部分は
開口部4bの入射角度範囲に含まれるため、方向角θa
i=-3.75°,θbj=-3.75°でともにパワーpa,p
bの大きなピークが検知され、顔の部分のためパワーピ
ーク値pbjの方がより大である。このように人体が開
口部4a,4bの入射角度範囲の境界付近に存在する場
合は、1人の人体でパワーpa,pb両方とも大きなピ
ークが検知され、その大きさには大きな差がない。
【0056】人体が方向角θ=0°に存在する場合にお
ける人体の距離Lと、パワーピーク値pai,pbjと
の関係を図20に示す。立った状態より座った状態の方
が顔の位置が低くなるため、開口部4aの入射角度範囲
に含まれる距離Lの範囲が広がる。至近距離L=0.5m
では立、座状態ともパワーpaiのみ検知される。距離
L=1mで立状態ではパワーpai、pbjとも検知さ
れるが、座状態ではパワーpaiのみ検知される。遠距
離L≧2mではパワーpbjのみが検知される。そして
パワーpbjは距離とともに低下する。従ってほぼ同一
の方向角θai,θbjにおいてパワーpai,pbj
のピーク値が検知された場合、パワーpai,pbjの
差の大小により、同一方向の近距離と遠距離に2人存在
する場合か、中くらいの距離に1人存在する場合か判定
し得る。例えば図20に示すように立ちの場合、距離L
=0.5mにおけるパワーpaiと、距離L≧3mにおけ
るパワーpbjとは大きな差があるが、距離L=1mに
おけるパワーpai,pbjには大きな差がない。従っ
て|pai−pbj|に一定しきい値Th2を設けて、|
pai−pbj|≧Th2であれば同一方向の近距離と遠
距離に2人存在、|pai−pbj|<Th2であれば中
くらいの距離に1人存在と判定することにより、前記の
判定が可能となる。
【0057】以上は、2個の開口部を有する遮蔽板によ
り、人体の距離を遠、近程度で検知する実施例について
説明したが、3個以上の上下方向に重なり合わない開口
部を有する遮蔽板を用いても、同様の手順により人体の
距離を検知できる。そして、開口部の個数に応じて、よ
り高い精度で人体の距離を検知できる。以下、3個の開
口部を有する遮蔽板による例ついて説明する。
【0058】図21は3個の開口部を有する球形遮蔽板
の一例の形状を示す。3個の開口部4d,4e,4fは
いずれも遮蔽板3の回転方向に交叉する細い線状又は円
弧状であり、上下方向には相互に重なり合わず、左右方
向には90°ずつ離れている。従ってレンズ集合体2の左
右方向の入射角度範囲θL≦90°であれば、赤外線が2
個の開口部から同時にレンズ集合体2に入射することは
ない。
【0059】各開口部の上下方向の入射範囲を図22〜
図24に示す。人体検知器101を2m位の高所に下向き
に取り付けた場合、開口部4d,4e,4fの入射範囲
はそれぞれ、近距離、中距離及び遠距離となる。遮蔽板
3を1回転する間に3個の開口部がレンズ集合体2の前
方を左端から右端まで通過する。従って強度の高い赤外
線を検知した時点における、レンズ集合体2の前方を通
過中の開口部の番号及び方向角を知ることにより、人体
の方向角及び近、中、遠距離のいずれかを確実に検知で
きる。従って人体検知器101の演算器10の動作は、図1
2〜図15に示す開口部2個の遮蔽板の場合とほぼ同様
である。つまり、最初に開口部4dをレンズ集合体2の
左端に合わせ、遮蔽板によるチョッピングと、遮蔽板の
右方向への回転移動を、開口部4fがレンズ集合体2の
右端に至るまでくり返す。そして各開口部について、開
口部がレンズ集合体2の前方を通過中における入射赤外
線のパワーの極大値のうち一定値以上のものを求め、極
大値を与える開口部の番号及びその方向角より、人体の
存在方向及び距離を近、中、遠の段階で検知できる。隣
り合う2個の開口部について、極大値を与える方向角が
ほぼ同一であった場合は、開口部2個の遮蔽板の場合と
同様、2個の極大値の差が一定値未満であれば、1人が
中、遠距離、又は近、中距離の境界付近に存在するもの
と判定し、一定値以上であれば、2人が同一方向の異な
る距離に存在するものと判定する。また隣り合わない開
口部4d,4fについて、ほぼ同じ方向角に極大値が存
在し、中間の開口部4eについて、方向角に明らかな極
大値が存在しない場合は、明らかに近、遠距離に2人が
存在すると判定できる。
【0060】遮蔽板3の開口部4の数を増やすことによ
り、人体の距離の検知精度は高まるが、隣り合う開口部
同志の間隔が小さくなるため、複数の開口部が同時にレ
ンズ集合体2の前方を通過することになり、検知した赤
外線がいずれの開口部からの入射であるかの判定が難し
くなる。従って開口部4の数は、隣り合う2個の開口部
4同志、及び遮蔽板3の端から最初の開口部4までの角
度間隔θsがレンズ集合体2の入射範囲θLを上回る
か、下回っても大幅に下回らないという限度のもとに定
まってくる。
【0061】また以上の実施例においては、レンズ集合
体2が球形の場合について説明したが、赤外線センサ1
への集光手段として、平面形のフレネルレンズを用いた
場合も、複数の開口部を有する回動可能な遮蔽板を用い
ることにより、同様の手順で人体の距離及び方向の検知
が可能である。以下、平面形のフレネルレンズを用いた
人体検知器の構成の一例を図25〜図27を参照しなが
ら説明する。なお同図において、図1と同符号のものは
同一の物である。
【0062】遮蔽板53は円筒形の回転スリットであり、
赤外線センサ1の入射面を回転軸として、モータ6によ
り回転する。そして回転軸に平行な3個の開口部54a,
54b,54cを有する。遮蔽板53の前方に平面形のフレネ
ルレンズ52を設ける。フレネルレンズ52はフレネルレン
ズ要素の集合体であり、各フレネルレンズ要素の焦点は
一致する。フレネルレンズ52は、焦点が赤外線センサ1
の入射面の中心に一致する位置に配置する。外箱57は、
赤外線及び外光がフレネルレンズ52以外から赤外線セン
サ1に入射するのを防ぎ、フレネルレンズ52を所定の位
置に取り付け、また赤外線センサ1、遮蔽板53等の機構
を保護するため、これらを覆う形状の箱である。この内
側は赤外線の反射を防ぐため黒色等に塗装する。フレネ
ルレンズ52の形状の一例を図27に示す。フレネルレン
ズ要素は、上下方向には52a,52b,52cの3段に分か
れて配列される。そして遮蔽板53の開口部54a,54b,
54cの上下方向の位置はそれぞれ、フレネルレンズ要素
の列52a,52b,52cと一致させる。つまりフレネルレ
ンズ要素52a,52b,52cの各段からの入射光がそれぞ
れ、開口部54a,54b,54cを通過する。そして開口部
54a,54b,54cは左右方向には、フレネルレンズ52の
左右方向の開口角より大きい角度幅で離間している。
【0063】次に、フレネルレンズ52の視野つまり集光
感度の高い角度範囲を図28及び図29に示す。上下方
向にはフレネルレンズ要素52a,52b,52cの各段に対
応して、3方向の視野となる。ただし下段のフレネルレ
ンズ要素52aの左右端のフレネルレンズ要素52a’の
み、他のフレネルレンズ要素より下向きの視野となって
いる。左右方向には、各段のレンズ要素の数だけ視野が
広がる。つまり人体検知器101が上方に設置されている
場合、各段のフレネルレンズ要素52a,52b,52cの視
野はそれぞれ、近距離、中距離及び遠距離をカバーす
る。従って遮蔽板53が1回転する間に、開口部54a,54
b,54cはそれぞれ、フレネルレンズ要素52a,52b,
52c各段の左端から右端までのレンズ要素の方向を順次
向きながら回転する。従って、遮蔽板53を回転させなが
ら赤外線センサ1の出力を測定し、出力が大となる時点
における開口部の方向角より、人体の存在方向及び近、
中、遠の距離を検知できる。
【0064】本実施例によれば、赤外線センサへの赤外
線入射量により、赤外線源である人体の位置を検知して
いる。従って、電気カーペット等、人体と同等くらいの
放射温度の熱物体が存在する場合、これを人体と誤検知
する恐れがある。そこで、一定時間以上静止している
か、つまり位置及び赤外線の放射量が全く不変、あるい
はほとんど不変であるかにより、静止熱物体と人体とを
判定する例について、以下、演算器10の動作を示す図1
2〜図15及び図30,図31を参照しながら説明す
る。
【0065】演算器10は、近、遠、中距離の人体又は熱
物体の方向角θai,θbj,θckを検知すると(図
15に示すs−18、Yesより)、以下、これが人体
か、静止熱物体かの判定を行う。
【0066】一定時間以上、位置が不変の熱物体を静止
熱物体として判定するため、前回検知した位置、及び赤
外線のパワーのピーク値が同じものが検知された場合、
これを静止熱物体の候補として登録する。この位置角を
θd1、赤外線パワーのピーク値をpdlとする。(d
=a,b,c、l=1,・・・,L)最初は(θdl,
pdl)は全く登録されていないため(r−1)、演算
器10は静止熱物体の候補を検知する。つまり、近、遠、
中距離の熱物体の方向角θai,θbj,θck及びパ
ワーピーク値pai,pbj,pckについて、前回検
知した値と、今回検知した値とを比較する。つまり差を
計算する(r−5)。全く、又はほぼ同じ値の方向角θ
ai,pai等の組が存在すれば、つまり差が一定値未
満であれば(r−6)、演算器10はこの方向角θai,
pai等を静止熱物体の候補の位置角θdl、パワーp
dlとして登録する。そしてこれに対応するカウント数
を1とする(r−7)。そして今回検知された方向角θ
ai,θbj,θck及びパワーpai,pbj,pc
kを、次回の比較のために保存する(r−11)。そして
検知した人体の方向角、距離および人数を通信端子11に
出力する(図15に示すs−19)。
【0067】(θdl,pdl)が既に登録されている
場合は(r−1)、今回検知された(θai,pai)
等をこれらと比較する(r−2)。(θdl,pdl)
と全く同一値、又はほぼ同じ値の(θai,pai)等
の組が存在すれば(r−3)、この(θdl,pdl)
に対応するカウント値を1増加する(r−8)。そして
カウント数が一定値に達すると(r−9)、一定検知回
数つまり一定時間、位置も赤外線放射量も不変の物体が
存在するものとし、位置角θdlに存在するものを静止
熱物体として判定する(r−10)。判定結果は、人体又
は熱物体の位置及び数とともに通信端子11より出力され
る(図15に示すs−19)。そして今回検知された方向
角θai,θbj,θck及びパワーpai,pbj,
pckを、次回の比較のために保存する(r−11)。
【0068】以上をまとめて、本実施例の人体検知器に
より、空間内における人体のおよその存在位置及び人数
の検知が可能である。つまり人体の存在方向から誤差数
度以内の方向角θai,θbjにおいてパワーピーク値
pai,pbjが検知され、しかもパワーピーク値がp
ai,pbjのいずれか、あるいは両方かにより、近、
中、遠程度の大まかな距離の検知が可能である。複数の
人体が異なる方向に存在すれば、人数分だけピーク値が
検知され、また前記のように同一方向で大幅に異なる距
離に2名存在した場合の判定も可能であるため、少ない
誤差で人数の検知が可能である。
【0069】また、位置及び赤外線パワーが一定時間以
上不変であるかにより、人体と静止熱物体とを判定して
いるため、新たにハードウエアを追加することなく、静
止熱物体を人体と誤検知することを防止できる。
【0070】以下、本発明による人体検知器の居住環境
制御機器への応用例について、図面を参照しながら説明
する。最初に、空気調和機への応用例について説明す
る。図32は本発明による人体検知器を応用した空調機
の一例の構成を示すブロック図である。空調機は室内機
201と室外機202とより構成される。まず室内機201につ
いて説明する。人体検知器101は室内機201に取り付けら
れている。制御器102は図9に示す演算器10と同様、あ
らかじめ内部に記録されたプログラムに従って信号を入
力して演算を行い、演算結果に基づいてモータ等を駆動
する制御信号を出力するものであり、市販の1チップマ
イコン等である。制御器102は通信端子103より、人体検
知の開始、中止のコマンド信号を演算器10の通信端子11
に送信し、演算器10からの人体検知の結果、つまり人体
の有無、人数、距離及び方向角を通信端子103により受
信する。ファンモータ105は空調空気を室内に送風する
貫流ファンのモータであり、ファンモータの駆動回路10
4は、制御器102が出力するファンモータ105の回転制御
信号に基づき、ファンモータ105の駆動電圧を発生す
る。風向板モータ107はファンモータによる送風空気を
誘導し、上下、左右の吹き出し方向を制御する風向板の
回転用モータであり、一定の角度範囲を往復回転する。
風向板モータの駆動回路106は、制御器102が出力する風
向板モータ107の回転制御信号に基づき、風向板モータ1
07の駆動電圧を発生する。室温センサ111は、これが設
置された個所の気温を電気信号に変換し出力するセンサ
であり、電気信号はインタフェース回路110によりディ
ジタル信号に変換され、制御器102に入力される。リモ
コン125は、利用者が室内の任意の位置より、ボタン操
作等により空調機の運転、停止及び空調温度設定等の操
作を行う遠隔操作器である。その操作を表現する信号は
例えば赤外線パルス信号に変調され、リモコン125の発
光部126より送信される。室内機201に取り付けられた受
光部109は、赤外線パルス信号を受光して復調し、復調
信号はインタフェース回路108を経由して制御器102に入
力される。つまり制御器102は人体検知器101、リモコン
125及び室温センサ111からの信号を入力し、これに基づ
いて演算を行い、ファンモータ105、風向板モータ107の
制御信号を出力する。なお室温センサ111をリモコン125
の内部に組み込み、室温の情報を赤外線パルス信号に変
調して送信することもできる。
【0071】次に室外機202について説明する。室外機
機構部124は、圧縮機、熱交換器等、室外機の駆動部分
であり、室外機駆動回路123は制御器102が出力する室外
機機構部124の制御信号に基づき、室外機機構部124の駆
動電圧を発生する。外気温センサ121は室温センサ111と
同様、外気温を電気信号に変換し出力するセンサであ
り、電気信号はインタフェース回路122によりディジタ
ル信号に変換され、制御器102に入力される。
【0072】次に、人体検知器101からの人体の位置及
び人数の情報に基づき、空調機の制御を行う場合におけ
る制御器102の動作の一例を、図33,図34に示すフ
ローチャートを参照しながら説明する。
【0073】制御器102は、人体検知器101が通信端子11
より逐次出力する人数、人体の距離及び方向角の情報を
通信端子103より入力する(t−1)。人数=0、つま
り無人状態であれば(t−2)、無人状態が一定時間以
上継続した場合は、制御器102は省エネルギーのため、
ファンモータ105及び空調機機構部124内の圧縮機の回転
数を低下する(t−4)。無人状態が一定時間以上継続
するまでは、現在の運転状態を継続する(t−5)。人
体が存在すれば(t−2)、制御器102は人数による空
調負荷の増減に応じた空調動作を行う。つまり冷房又は
除湿運転の場合(t−6)、人数が多いほど空調負荷も
増加するため、圧縮機の回転数を増加する(t−9)。
暖房運転の場合(t−6)、人数が多いほど空調負荷は
減少するため、圧縮機の回転数を減少する(t−7)。
また送風運転の場合(t−6)、人数が多いほど送風空
気が行き渡り難くなるため風量を増加する。また人数が
多いほど空気が汚染されるので、特に換気を伴う送風の
場合、風量の増加は有効である(t−8)。冷房、暖
房、除湿及び送風の各運転における人数と圧縮機回転数
の増減率との換算表はあらかじめ制御器102のメモリに
記録しておき、人数の増減があれば、人数差又は人数変
化率に基づき、換算表より圧縮機の回転数を算出する。
次に制御器102は人体の存在する角度範囲を算出する。
つまり人体を検知した方向角θai,θbj,θckの
最大、最小値を求める(t−10)。そして制御器102は
人体の存在する角度範囲のみに送風するため、前記角度
範囲で左右風向板が往復運動するように風向板モータ10
7を駆動する(t− 11)。なお(t−1)の人数、人体
の距離及び方向角の情報の入力は一定時間周期で行い、
そのたびに(t−11)までの動作を繰り返す。
【0074】また左右風向板を等速で駆動する代りに、
人体が密集している角度範囲では低速で駆動して、各人
への送風時間を均等にすることもできる。この場合にお
ける制御器102の動作を図34に示して説明する。人体
が存在する場合、制御器102は人体を検知した方向角θ
ai,θbj,θckをソートする。つまり小さい順に
並べ、値の近いもの同志は1個の代表値に置き換える。
このようにソートした方向角を小さい順にθ1〜θNと
する(u−1)。人体を検知した方向角θi(i=1〜N)
の前後、つまりθi±Δθの間で左右風向板を低速駆動
する。同時に、人体の距離に応じて上下風向板の角度及
び送風の風量を制御し、人体の存在位置に向けて送風す
ることもできる。つまり近、中、遠距離に応じて、上下
風向板を下向き、中くらい、上向きとし、風量を運転開
始時の設定値(例えば微風、弱風、強風)に比べて減
少、設定値、増加とする。同一方向の異なる距離に複数
の人体が存在する場合は、最も近距離の人に合わせる
か、中距離とみなす(u−2)。左右風向板が人体の存
在する角度範囲の端、つまりθ1又はθNに達したら
(u−3)、制御器102は左右風向板の回転方向を逆に
して、人体の存在する角度範囲で往復運動させる(u−
4)。
【0075】本実施例によれば、空調空間内の人数を検
知することにより空調負荷の増減を検知し、増減に応じ
て空調能力を増減することができる。従って、人数の増
減により空調負荷が増減し、実際温度と空調目標温度と
の間に誤差が生じて初めて空調能力を増減する従来の空
調機に比べて、人数の増減による空調負荷の増減により
迅速に対応することができ、実際温度と空調目標温度と
の誤差を低減することができる。また、空調空間内の空
調対象者の分布状態によることなく、各空調対象者への
送風時間、風量とも均等にすることができ、かつ空調対
象者の存在範囲にのみ送風を行うため、空調対象者への
平均送風時間を高めることができる。
【0076】また逆に人体を避けて、空調空間内に送風
を行うこともできる。この場合の制御器102の動作につ
いて図33を参照しながら説明する。制御器102は人体
の存在する角度範囲を算出すると(t−10)、(t−1
1)において、角度範囲の外側で左右風向板を往復させ
る。つまり左右風向板の回転可能範囲の端と、角度範囲
の端との間で左右風向板を往復させる。ただしこの方法
によると、人体が広範囲に分布し角度範囲が大きい場
合、左右風向板を往復させる角度範囲が非常に狭くなっ
たり、全くとれない場合が生じる。また常に室内の隅に
向けて送風を行うため、室内の空調効果にムラが生じる
恐れがある。
【0077】そこで、人体の存在方向付近のみで風量を
低下させる方法が考えられる。図34に示す(u−2)
において、左右風向板を回転可能範囲の両端の間で往復
させ、人体の方向角の前後、つまりθi±Δθの間のみ
で風量を低下する。このように本実施例によれば、空調
対象者に直接風を当てない空調動作もできる。
【0078】次に、リモコン(遠隔操作手段)125の方
向を検知し、その方向のみ風量を増減する例について、
図35を参照しながら説明する。
【0079】図35はリモコン125による空調機の操作
の一例を示す図である。利用者はリモコン125のボタン
操作により、空調機の運転、停止や運転状態の設定を行
う。操作内容は発光部126より、赤外線パルス信号で受
光部(検知手段)109に送信される。これは運転・停止
ボタン301の他、「暑がり」ボタン302、「寒がり」ボタン30
3、「気配り」ボタン304を有する。「暑がり」ボタン302は
暑がりの人が冷房時に強い冷風が欲しく、暖房時に温風
を避けたい場合、「寒がり」ボタン303は寒がりの人が冷
房時に冷風を避けたく、暖房時に温風が欲しい場合、
「気配り」ボタン304は冷、暖房、送風のいずれの場合に
も、直接風が当たるのを避けたい場合に押す。受光部10
9は、赤外線信号を電気信号に変換する受光素子305を有
する。ここでは指向性を持つ受光素子305を複数個、互
いに異なる向きに配置している。電気信号はインタフェ
ース回路108でディジタル信号に変換され、制御器102に
入力される。受光素子305は互いに異なる向きに配置さ
れているため、リモコン125からの赤外線信号の入射強
度は各素子で異なる。各素子への入射強度の割合は、リ
モコンの存在方向に依存する。そこで、各素子の出力信
号のレベルを比較することにより、リモコンの存在方向
を算出することができる。その具体例として、特開平4-
71132号に記載の空気調和機のリモコン位置検出装置が
あげられる。
【0080】次に、空調機運転中に「暑がり」、「寒が
り」、「気配り」ボタンを押した場合における演算器10
2の動作を、図36,37に示すフローチャートを参照
しながら説明する。利用者が必要により「暑がり」ボタ
ン302、「寒がり」ボタン303、又は「気配り」ボタン30
4を押すと、リモコン125はこれを示す赤外線信号を発光
する(v−1)。受光部109が該信号を受光すると、制
御器102は各受光素子305の出力レベルを比較して、リモ
コン125の方向角θrを算出する(v−2)。人体検知
器101より、人数、各人体の距離及び方向角を入力する
と(図33に示すt−1)、制御器102は人体の距離及
び方向角より、リモコン125の方向を補正する。具体的
には検知された人体の方向角θai,θbj,θckの
うち、リモコン125の方向角θrに最も近い方向角θR
を検索する。そしてリモコン125の方向角をθRに補正
し、同時にリモコン125の距離を、方向角をθRに検知
された人体の距離とする。赤外線信号の入射強度より算
出したリモコン125の方向角θrは、利用者がリモコン1
25を受光部109に正しく向けなかった場合等により誤差
を生じやすい。リモコン125を操作するのは人間であ
り、検知した人体の位置とリモコン125の位置とは一致
するはずである。そこでリモコン125の位置を、より少
ない誤差で検知した人体の位置で置き換えて補正するこ
とができる(v−3)。そして制御器102は、図33に
示す(t−6)から(t−10)までの動作を行う。つま
り人数に応じて圧縮機の回転数、風量を増減し、人体の
存在する角度範囲を算出する。そして制御器102は図3
3に示す(t−11)又は図34と同様にして、左右風向
板を人体の存在範囲で往復させる。ただしリモコン125
の方向角θR前後では、「暑がり」、「寒がり」、「気
配り」の各ボタンに対応して、風量を図37に示すとお
りとする。つまり「暑がり」ボタン302の場合は、冷
房、除湿時は風量を強風とするか、現在より増加させ、
暖房時は微風とするか、減少させる。「寒がり」ボタン
303の場合は、冷房、除湿時は微風とするか、減少さ
せ、暖房時は強風とするか、増加させる。「気配り」ボ
タン304の場合は、冷房、除湿時、暖房、送風いずれの
場合にも、微風とする(v−4)。
【0081】本実施例によれば、人体の位置検知の結果
を用いて、リモコン操作により「暑がり」、「寒が
り」、「気配り」に応じた送風を要求した利用者の位置
を、リモコンそのものの位置検知よりも少ない誤差で検
知し、利用者の位置にのみ、好みに応じた送風を行うこ
とができる。従って空調空間内に複数の人が存在する場
合、空調の好みが他の人と異なる特定の利用者の好みに
も応じることができる。例えば同じ室内で子供が遊び回
り、老人がじっとしている場合等に有効である。
【0082】次に、風呂上がり、帰宅時等に利用者が室
内機201に接近した際に、室内機201より下方に、一定時
間だけ冷風又は温風を送風する例について説明する。
【0083】利用者が室内機201に接近した際の側面か
ら見た状況を図38に示す。室内機201は2m位の高所
に取り付けられているため、利用者の位置は室内機201
の下方となり、人体検知器101の遮蔽板3の開口部4a
の入射範囲となる。従って接近した人体を検知した際、
距離は「近距離」となり、方向は一般に正面となる。ま
た特に顔の部分が人体検知器101に接近するため、赤外
線センサ1の出力信号のパワーのピーク値は大きい値と
なる。従ってこれらの条件より、利用者の室内機201へ
の接近を検知できる。
【0084】以下、利用者の接近を検知して、一定時間
だけ冷風又は温風を下方に送風する場合の制御器102の
動作を、図39,図40にフローチャートで示して説明
する。なお本実施例では、空調機が停止中でも、人体検
知器101は常時動作しているものとする。
【0085】制御器102は人体検知器101からの人体検知
結果、つまり人数、距離、方向角を通信端子103より入
力する(図33に示すt−1)。そして人体接近の条件
に合えば、つまり近距離、パワーピークpaiがしきい
値p1以上、方向角θaiが正面つまり0°付近であれ
ば(w−1)、この状態が例えば5〜10秒くらいの一定
時間継続することを確認する。つまり一定時間人体検知
結果を入力し、接近の条件に合う人体の存在を確認する
(w−3)。一定時間の継続の確認により、利用者が意
識して室内機201に接近した場合と、たまたま室内機201
の付近を通過した場合とを区別する。無人状態を含めて
人体接近の条件に合う人体が存在しない場合は(w−
1)、空調機が運転中であれば(w−2)、図33に示
す(t−2)以降の動作を行う。運転中でなければ(w
−2)、再び人体検知結果の入力に戻る。
【0086】一定時間継続の後(w−3)、制御器102
は空調機が運転中でなければ(w−5)、運転を開始す
る(w−6)。なおリモコン125又は室内機201に、冷風
又は温風を下方に送風する動作を利用者が意識的に行わ
せる「エアシャワー」ボタン(図示せず)を設け、ボタ
ンが操作された場合にも(w−4)、制御器102は人体
の接近を検知した場合と全く同様の動作を行う。
【0087】次に制御器102は下方、正面に送風するた
め、上下風向板を下向きにし、左右風向板を正面向きと
する(w−7)。そして冷房、送風、暖房の各条件に対
応する送風動作を行う。冷房、送風、暖房の各条件は、
制御器102が記憶している前回の運転状態、外気温、カ
レンダ等より判定する。その一例を図41に示す。冷
房、送風、暖房の各条件として、前回運転状態、外気
温、カレンダの各要素の少なくとも1つにより判定す
る。つまり制御器102が記憶している、前回の運転状態
に合わせる。又は外気温tに2段階のしきい値t1、t2
(t1>t2)を設け、t≧t1であれば「暑い」、t2
t<t1であれば「中くらい」、t<t2であれば「寒
い」とし、それぞれ冷房、送風、暖房とする。又はカレ
ンダを参照し、6月〜9月は「夏」、4月中頃〜5月、
及び10月〜11月中旬は「冬」とし、それぞれ冷房、送
風、暖房とする。なお、冷房、送風、暖房の各条件は、
必要により利用者があらかじめ設定可能な手段を設ける
こともできる。
【0088】再び図40に戻って説明する。冷房条件の
場合(w−8)、制御器102は冷風を強風で送風する
(w−10)。送風条件の場合(w−8)制御器102は強
風で送風する(w−11)。暖房条件の場合(w−8)、
室内が既に十分暖房されている場合、つまり暖房運転中
かつ室温が一定値t3以上の場合には(w−9)、制御
器102は微風又は弱風で送風する。室内が十分暖房され
ていない場合は(w−9)、制御器102は温風を強風で
送風する。冬期の帰宅時、風呂上がり等の場合、体はあ
る程度温まっているため、室内が既に暖房されている場
合は、強風の温風を吹き付けると、かえって暑過ぎとな
る。逆に室内が十分暖房されていない場合は、利用者を
できるだけ早く温める必要がある。いずれの場合も例え
ば数分程度の一定時間T2が経過した後(w−14)、
制御器102は図33に示す(t−6)以降に記す空調動
作を行う。
【0089】なお室内機201が部屋の隅に取り付けられ
ている場合は、利用者が意識して室内機201に接近した
時、人体検知器101の正面方向でなく、斜め方向となる
場合がある。このため、(w−4)のエアシャワーボタ
ンの操作が行われた際の人体の検知方向を、接近時の方
向として学習記憶し、以後方向角を(w−1)の人体の
接近の判別に用いることもできる。
【0090】本実施例によれば、帰宅時、風呂上がり
等、利用者が冷風、温風を求めて室内機201に接近した
ことを自動的に検知し、季節、室内外の気温等より、利
用者が求める送風の温度、風量を自動的に設定して直ち
に送風を行うことができる。
【0091】本発明によれば、遮蔽板に複数の開口部を
設け、開口部は上下方向には重なり合わないように、左
右方向には大幅に隔離して配置しているため、遮蔽板を
1回転することにより、人体の方向に加えて、近、中、
遠程度の距離を検知できる。従って赤外線センサの出力
レベルのみより人体の距離を推定する従来方法における
人体の姿勢の違い等による距離の検知誤差を低減でき
る。また従来方法では1人として検知される同一方向の
近、遠距離の2人も、距離の違いにより2人として検知
することができる。従って室内の人数を従来方法より正
確に検知できる。
【0092】また、熱源の位置及び赤外線放射量が一定
時間以上不変であるかにより、人体と静止熱物体とを判
別しているため、構成要素を追加することなく、静止熱
物体を人体と誤検知することを防止できる。
【0093】また人体検知器を空調機等の居住環境制御
機器に応用することにより、空調空間内の人数の増減を
速やかに検知できるため、人数の増減による空調負荷の
増減に即座に対応して、空調能力を増減することができ
る。従って人数の増減による、設定温度等の誤差及びそ
の継続時間を低減することができる。また人体の存在範
囲にのみ送風を行い、各人への送風時間を均等にする、
又は遠距離の人に強風で送風する等、空調空間内の個々
の人体の位置に合わせた空調動作を行うことができる。
【0094】さらに人体検知器をリモコンの方向検知機
能と併用することにより、リモコンの操作を行った特定
の利用者の位置を検知することができ、その位置にのみ
送風を行わない等の特定利用者の要求に応じた空調動作
を行うことができる。
【0095】さらに近距離の人体を検知できることによ
り、帰宅時、風呂上がり等、利用者が冷気、暖気を求め
て、意識して空調機に接近したことを検知し、季節、
内、外気温等の環境条件に応じ、利用者の要求する送風
動作を行うことができる。
【0096】
【発明の効果】本発明によれば、空調空間内の人数、利
用者の分布状態を常時検知して、これに対応する空調動
作を即座に行い、かつ特別な空調動作を要求する利用者
の位置を検知して、その位置付近のみ空調動作を行うこ
とができるため、空調空間内のすべての利用者にとって
快適性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る赤外線源検知器の機構
部を示す横断面図である。
【図2】図1の正面図である。
【図3】図1の赤外線源検知器に備えられるレンズ集合
体を示す図である。
【図4】レンズ集合体の視野を示す図である。
【図5】図1の赤外線源検知器に備えられる遮蔽板を示
す図である。
【図6】図1の赤外線源検知器に備えられる遮蔽板を示
す図である。
【図7】遮蔽板の各開口部の赤外線入射範囲を示す図で
ある。
【図8】遮蔽板の各開口部の赤外線入射範囲を示す図で
ある。
【図9】図1の赤外線源検知器の回路構成を示すブロッ
ク図である。
【図10】遮蔽板によるチョッピングの動作を示す図で
ある。
【図11】遮蔽板によるチョッピングの動作を示す図で
ある。
【図12】演算器の赤外線源の位置検知時における動作
を示すフローチャートである。
【図13】演算器の赤外線源の位置検知時における動作
を示すフローチャートである。
【図14】演算器の赤外線源の位置検知時における動作
を示すフローチャートである。
【図15】演算器の赤外線源の位置検知時における動作
を示すフローチャートである。
【図16】人体の位置の検知状況の一例を示す図であ
る。
【図17】人体の位置の検知状況の一例を示す図であ
る。
【図18】人体の位置の検知状況の一例を示す図であ
る。
【図19】人体の位置の検知状況の一例を示す図であ
る。
【図20】人体距離と赤外線パワーとの関係の一例を示
す図である。
【図21】本発明の遮蔽板の他の実施例を示す図であ
る。
【図22】図21の遮蔽板の各開口部の赤外線入射範囲
を示す図である。
【図23】図21の遮蔽板の各開口部の赤外線入射範囲
を示す図である。
【図24】図21の遮蔽板の各開口部の赤外線入射範囲
を示す図である。
【図25】本発明の赤外線源検知器の他の実施例を示す
横断面図である。
【図26】本発明の赤外線源検知器の他の実施例を示す
正面図である。
【図27】本発明の赤外線源検知器の他の実施例を示す
図である。
【図28】赤外線源検知器の他の実施例の視野を示す図
である。
【図29】赤外線源検知器の他の実施例の視野を示す図
である。
【図30】赤外線源検知器の他の実施例の演算器の動作
を示すフローチャートである。
【図31】赤外線源検知器の他の実施例の演算器の動作
を示すフローチャートである。
【図32】本発明の一実施例に係る空気調和機の構成を
示すブロック図である。
【図33】図32の空調機に備えられる演算器の動作を
示すフローチャートである。
【図34】図32の空調機に備えられる演算器の動作を
示すフローチャートである。
【図35】図32の空調機のリモコン操作の一例を示す
ブロック図である。
【図36】図35の空調機に備えられる制御器の動作を
示すフローチャートである。
【図37】図35の空調機に備えられる制御器の動作を
示す図である。
【図38】図35の空調機の室内機に利用者が接近した
際の状況を示す側面図である。
【図39】図35の空調機に備えられる演算器の動作を
示すフローチャートである。
【図40】図35の空調機に備えられる演算器の動作を
示すフローチャートである。
【図41】冷房、送風、暖房の判定条件の一例を説明す
る図である。
【符号の説明】
1 赤外線センサ 2 レンズ集合体 3 遮蔽板 4 開口部 5 基板 6 モータ 7 増幅器 8 位置センサ 9 モータ駆動回路 10 演算器 11 通信端子 101 人体検知器(赤外線源検知器) 102 制御器 103 通信端子 104 ファンモータ駆動回路 105 ファンモータ 106 風向板モータ駆動回路 107 風向板モータ 108 インタフェース回路 109 受光部 110 インタフェース回路 111 室温センサ 121 外気温センサ 122 インタフェース回路 123 室内機駆動回路 124 室外機駆動回路 125 リモコン 126 発光部 201 室内機 202 室外機 301 運転・停止ボタン 302 「暑がり」ボタン 303 「寒がり」ボタン 304 「気配り」ボタン 305 受光素子

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 赤外線の入射により信号を出力する赤外
    線検知手段と、該赤外線検知手段の前方に配置され、所
    定の角度範囲からの赤外線を該赤外線検知手段の入射面
    に集光させる集光手段とを備えた赤外線源検知器におい
    て、前記集光手段の前方に近接して配置され少なくとも
    一つの開口部を有し、かつ前記赤外線検知手段への赤外
    線の入射方向を限定する回動可能な入射方向限定手段
    と、該入射方向限定手段を回動させる駆動手段と、該駆
    動手段の回動を制御するとともに前記赤外線検知手段の
    出力信号に基づき赤外線源の位置を演算する演算手段と
    を具備したことを特徴とする赤外線源検知器。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の赤外線源検知器におい
    て、それぞれの開口部は、赤外線の入射方向を一方向に
    限定するスリットで形成され、演算手段は、それぞれの
    スリットの方向角と赤外線検知手段の出力信号との関係
    に基づき、赤外線源の位置を演算するものであることを
    特徴とする赤外線源検知器。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の赤外線源検知器におい
    て、集光手段は、複数のレンズを集合したレンズ集合体
    であることを特徴とする赤外線源検知器。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の赤外線源検知器におい
    て、入射方向限定手段は、レンズ集合体のうちの特定の
    レンズからの入射赤外線を透過させるものであることを
    特徴とする赤外線源検知器。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の赤外線源検知器におい
    て、入射方向限定手段は、それぞれの開口部を往復回動
    することにより、赤外線検知手段への赤外線入射量に時
    間変化を与えるものであることを特徴とする赤外線源検
    知器。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の赤外線源検知器におい
    て、入射方向限定手段は、それぞれの開口部の所定回数
    の往復回動と、所定角度の回転移動とを交互に繰り返す
    ものであることを特徴とする赤外線源検知器。
  7. 【請求項7】 請求項1記載の赤外線源検知器におい
    て、それぞれの開口部は、上下方向には相互に重なり合
    わず、左右方向には相互に所定角度だけ離間されている
    ことを特徴とする赤外線源検知器。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の赤外線源検知器におい
    て、演算手段は、それぞれのスリットの上下方向の位置
    と赤外線検知手段の出力信号との関係に基づき、赤外線
    源の距離を算出するものであることを特徴とする赤外線
    源検知器。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれか1項記載の赤外
    線源検知器において、演算手段は、赤外線検知手段への
    赤外線の入射方向及び入射量の時間的変化に基づき、赤
    外線源が静止熱物体か否かを判定するものであることを
    特徴とする赤外線源検知器。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれか1項記載の赤
    外線源検知器よりなることを特徴とする人体検知器。
  11. 【請求項11】 請求項10記載の人体検知器を設けて
    なることを特徴とする居住環境制御装置。
  12. 【請求項12】 請求項11記載の居住環境制御装置に
    おいて、人体検知器が出力する人体の位置の情報に基づ
    き居住環境制御の動作を行う制御手段を備えてなること
    を特徴とする居住環境制御装置。
  13. 【請求項13】 請求項10記載の人体検知器を設けた
    空気調和機を備えてなることを特徴とする居住環境制御
    装置。
  14. 【請求項14】 請求項13記載の居住環境制御装置に
    おいて、人体検知器が出力する人体の位置の情報に基づ
    き、少なくとも設定温度、風量及び風向の空調動作を制
    御する空気調和機を備えてなることを特徴とする居住環
    境制御装置。
  15. 【請求項15】 請求項13記載の居住環境制御装置に
    おいて、人体検知器が出力する人体の位置の情報に基づ
    いて人数を算出し、該人数に応じて空調能力を制御する
    空気調和機を備えてなることを特徴とする居住環境制御
    装置。
  16. 【請求項16】 請求項13記載の居住環境制御装置に
    おいて、人体検知器が出力する人体の位置の情報に基づ
    いて人体の分布密度を算出し、該分布密度に応じて風向
    を制御する空気調和機を備えてなることを特徴とする居
    住環境制御装置。
  17. 【請求項17】 請求項13記載の居住環境制御装置に
    おいて、人体検知器が出力するそれぞれの人体の距離の
    情報に応じて、風量を制御する空気調和機を備えてなる
    ことを特徴とする居住環境制御装置。
  18. 【請求項18】 請求項13記載の居住環境制御装置に
    おいて、空気調和機の遠隔操作手段及び該遠隔操作手段
    の方向の検知手段を具備し、該検知手段が出力する前記
    遠隔操作手段の存在方向及び人体検知器が出力する人体
    の位置の情報に基づき、前記遠隔操作手段を操作した人
    体の位置を算出し、該位置の付近のみ前記遠隔操作手段
    の特定操作に応じた空調動作を行う空気調和機を備えて
    なることを特徴とする居住環境制御装置。
  19. 【請求項19】 請求項18記載の居住環境制御装置に
    おいて、空調動作は、特定操作に応じた送風動作である
    ことを特徴とする居住環境制御装置。
  20. 【請求項20】 請求項13記載の居住環境制御装置に
    おいて、人体検知器が出力する人体の位置の情報に基づ
    き該人体の接近を検知し、該接近に応じた空調動作を行
    う空気調和機を備えてなることを特徴とする居住環境制
    御装置。
  21. 【請求項21】 請求項20記載の居住環境制御装置に
    おいて、空調動作は、至近距離への送風動作であること
    を特徴とする居住環境制御装置。
  22. 【請求項22】 請求項21記載の居住環境制御装置に
    おいて、空調動作は、少なくとも気温及び季節の環境条
    件に応じた送風動作であることを特徴とする居住環境制
    御装置。
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