JPH06333722A - 磁性フェライトの製造方法、磁性フェライト、積層型インダクタ部品、および複合積層部品 - Google Patents

磁性フェライトの製造方法、磁性フェライト、積層型インダクタ部品、および複合積層部品

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JPH06333722A
JPH06333722A JP5144259A JP14425993A JPH06333722A JP H06333722 A JPH06333722 A JP H06333722A JP 5144259 A JP5144259 A JP 5144259A JP 14425993 A JP14425993 A JP 14425993A JP H06333722 A JPH06333722 A JP H06333722A
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ferrite
magnetic
magnetic ferrite
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inductor
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JP5144259A
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Atsushi Nakano
敦之 中野
Takahiro Sato
高弘 佐藤
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TDK Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 本発明の磁性フェライトの製造方法は、仮焼
体を湿式粉砕して、フェライト原料を製造する磁性フェ
ライトの製造方法において、粉砕時の分散媒としてフッ
素系不活性溶液を用いたことを特徴とする。 【効果】 フェライト結晶粒界上のストレス縞(干渉
縞)が従来の条件でのフェライトより極端に低減され、
高いインダクタンスLおよび高いQ値が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁性フェライトの製造
方法、磁性フェライト、この磁性フェライトを磁性材料
として用いるインダクタ部品、およびLC複合部品等の
複合積層部品に関する。
【0002】
【従来の技術】各種フェライトが、その優れた磁気特性
からインダクタや複合積層部品等、各種電子部品として
用いられている。
【0003】積層LC複合部品は、セラミック誘電体層
と内部電極層とを積層して構成されるコンデンサチップ
体と、フェライト磁性層と内部導体とを積層して構成さ
れるインダクタチップ体とを一体的に形成したものであ
る。
【0004】このような複合積層部品は、体積が小さい
こと、堅牢性および信頼性が高いことなどから、各種電
子機器に多用されている。
【0005】これらの部品、例えばLC複合部品は、通
常、内部導体用ペースト、磁性層用ペースト、誘電体層
用ペーストおよび内部電極層用ペーストを厚膜技術によ
って積層一体化した後、焼成し、得られた焼結体表面に
外部電極用ペーストを印刷ないし転写した後、焼成する
ことにより製造される。この場合、磁性層に用いられる
磁性材料としては、低温焼成が可能であることからNi
−Cu−Zn系フェライトが一般に用いられている。
【0006】このようなNi−Cu−Zn系フェライト
は、次のようにして製造される。出発原料としては、通
常NiO、CuO、ZnOおよびFe2 3 等を用い、
それらを適量秤量し、ボールミル等により湿式混合す
る。こうして湿式混合したものを、通常スプレードライ
ヤにより乾燥し、その後仮焼し、仮焼体を湿式粉砕して
フェライト粉末を得る。
【0007】上記仮焼体の湿式粉砕は、一般に、収納容
器であるポットと、粉砕媒体である金属性ボールとを用
いるボールミルで、上記ポット内に仮焼体、金属性ボー
ルおよび通常水である粉砕時の分散媒を入れた状態で粉
砕を行なう。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】Ni−Cu−Zn系フ
ェライトは、概略上記したようにして製造されるが、こ
のようにして製造されるフェライト粉末を用いた各種電
子部品について、インダクタンスLの更なる増大、およ
びQの更なる増加が望まれている。
【0009】そこで、本発明は、従来に比べ、インダク
タンスLが増大し、Qが増加した電子部品を構成するこ
とができる磁性フェライトを製造する方法を提供するこ
とを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(8)の本発明によって達成される。 (1)仮焼体を湿式粉砕して、フェライト原料を製造す
る磁性フェライトの製造方法において、粉砕時の分散媒
としてパーフルオロ不活性液体を用いたことを特徴とす
る磁性フェライトの製造方法。 (2)前記パーフルオロ不活性液体が、パーフルオロア
ルカン、パーフルオロ環状エーテルおよびパーフルオロ
3級アミンのうち一種以上である上記(1)の磁性フェ
ライトの製造方法。 (3)上記(1)または(2)のいずれかの方法により
製造された磁性フェライト。 (4)Ni−Cu−Zn系磁性フェライトである上記
(3)の磁性フェライト。 (5)Cu成分の出発原料として水酸化銅を用いる上記
(4)の磁性フェライト。 (6)フェライトの組成がFe23 :45〜50mo
l%、NiO:4〜50mol%、CuO:3〜30m
ol%およびZnO:0.5〜35mol%である上記
(4)または(5)の磁性フェライト。 (7)フェライト磁性層と内部導体層とを積層して構成
されるインダクタ部を有するインダクタ部品であって、
前記フェライト磁性層が上記(3)ないし(6)のいず
れかの磁性フェライトで構成されていることを特徴とす
る積層型インダクタ部品。 (8)フェライト磁性層と内部導体層とを積層して構成
されるインダクタ部を少なくとも有する複合積層部品で
あって、前記フェライト磁性層が上記(3)ないし
(6)のいずれかの磁性フェライトで構成されているこ
とを特徴とする複合積層部品。
【0011】
【作用】本発明の発明者らは、電子部品の電磁気特性
と、該電子部品の磁性フェライトの微細構造との関係を
研究した結果、磁性フェライト層の断面の透過型電子顕
微鏡写真において、フェライト結晶粒界上にストレス縞
(干渉縞)がある場合に、インダクタンスLの劣化、お
よびQの劣化があることを見出した。更に、ストレス縞
(干渉縞)の発生原因を詳しく調べた結果、Ni−Cu
−Zn系フェライトから解離したCuOX が結晶粒界に
析出することでフェライト粒子に圧縮応力を与え、格子
が歪み、上記ストレス縞(干渉縞)が発生していること
が判明した。
【0012】以上に鑑みて、フェライトの結晶粒界にお
けるCuOX の析出を抑制すべく、種々研究を行なった
ところ、上記CuOX の析出は、粉砕時の分散媒として
フッ素系不活性溶液を用いることにより極度に減少する
ことを見出した。
【0013】本発明は、この知見に基づくものであり、
粉砕時の分散媒としてフッ素系不活性溶液を用い、その
中で、仮焼体の粉砕を行なうものである。
【0014】そして、このように粉砕時の分散媒として
フッ素系不活性溶液を用いた条件で仮焼体の粉砕を行な
ったフェライト素材を用いた電子部品は、フェライト結
晶粒界上のストレス縞(干渉縞)が従来の条件でのフェ
ライトより極端に低減され、高いインダクタンスLおよ
び高いQ値が得られる。
【0015】
【具体的構成】以下、本発明の具体的構成について詳細
に説明する。
【0016】<フェライトの組成>本発明の磁性フェラ
イトとしては、Ni−Cu−Zn系磁性フェライトが用
いられる。Ni−Cu−Zn系磁性フェライトに特に制
限はなく、目的に応じて種々の組成のものを選択すれば
よいが、Fe23 :45〜50mol%、特に47.
5〜49.5mol%、NiO:4〜50mol%、特
に5〜45mol%、CuO:3〜30mol%、特に
4.5〜15.5mol%およびZnO:0.5〜35
mol%、特に1〜31mol%であることが好まし
い。
【0017】この他、Co、Mn等が全体の5wt% 程度
以下含有されていてもよく、またCa、Si、Bi、
V、Pb等が1wt% 程度以下含有されていてもよい。
【0018】そして、上記磁性フェライトの出発原料の
Cu成分として、酸化銅あるいは水酸化銅を用いる。こ
こで、水酸化銅とは、水酸化銅(I)Cu(OH)およ
び水酸化銅(II)Cu(OH)2 の両者を含むものとす
る。
【0019】<積層インダクタ>第1図および第2図に
は、本発明の積層インダクタすなわち積層型インダクタ
の好適例が示される。
【0020】積層型インダクタ1は、磁性体層2と、導
電体層3とが交互に積層一体化されて構成されるチップ
体10を有する。
【0021】そして、導電体層3はパターン状に形成さ
れるとともに、隣接する導電体層3は、第2図に示され
るように、互いに導通しており、これによりコイルが形
成されている。
【0022】さらに、このチップ体10の表面には、導
電体層3と導通する外部電極5が設けられている。
【0023】チップ体10の外形や寸法には特に制限が
なく、用途等に応じて適宜選択すればよいが、通常、外
形はほぼ直方体状の形状とし、寸法は(1.0〜5.
6)mm×(0.5〜5.0)×(0.6〜1.9)mm程
度とすればよい。
【0024】積層型インダクタ1の磁性体層2の材質と
しては、上記のようなNi−Cu−Zn系磁性フェライ
トを使用する。Ni−Cu−Zn系磁性フェライトは、
低温焼成材料であり、このような磁性層を用いたとき、
本発明の積層型インダクタは焼成時液相の生成が無く、
しかも電気抵抗の点で、より優れたものとなる。
【0025】このような、フェライト系の磁性体層2
は、後記の導電体層用ペーストと800〜950℃、特
に850〜900℃の焼成温度にて同時焼成して形成で
きる。
【0026】磁性体層2の焼成後の厚さには特に制限は
ないが、通常ベース厚は、250〜500μm 程度、導
電体層3、3間の磁性体層厚は、10〜100μm 程度
とする。
【0027】導電体層3の材質としては、従来公知の導
電体層材質は何れも使用できる。
【0028】例えば、Ag、Cu、Pdやこれらの合金
等を用いればよいが、このうち、AgまたはAg合金、
特にAgが好適である。
【0029】Ag合金としては、Agを95重量%以上
含むAg−Pd合金等が好適である。
【0030】このような導電体層3は、後述するように
導電体層用ペーストを塗布した後、焼成して形成される
ものである。
【0031】この際、通常は、脱バインダ等によって導
電体層3内部に、空孔が形成されることが多い。
【0032】導電体層3は、第2図に示されるように、
磁性体層2内にて、通常スパイラル状に配置され、その
両端部は一対の各外部電極5、5に接続されている。
【0033】このような場合、導電体層3の巻線パター
ン、すなわち閉磁路形状は種々のパターンとすることが
でき、また、その巻数、厚さ、ピッチ等も用途に応じ適
宜選択すればよい。
【0034】なお、導電体層3の厚さは、通常5〜30
μm 程度、巻線ピッチは、通常40〜100μm 程度、
巻数は、通常1.5〜50.5ターン程度とすればよ
い。
【0035】また、外部電極5、5の材質については、
特に制限がなく、各種導電体材料、例えばAg、Ni、
Cu等あるいはAg−Pd等のこれらの合金などの印刷
膜、メッキ膜、蒸着膜、イオンプレーティング膜、スパ
ッタ膜あるいはこれらの積層膜などいずれも使用可能で
ある。
【0036】外部電極5、5の厚さは任意であり、目的
や用途に応じ適宜決定すればよいが、通常5〜30μm
程度である。
【0037】<積層型インダクタの製造方法>次に、本
発明の積層型インダクタの製造方法について説明する。
【0038】まず、磁性体層用ペースト、導電体層用ペ
ーストおよび外部電極用ペーストをそれぞれ製造する。
【0039】<磁性体層用ペースト>磁性体層用ペース
トは、次のようにして製造される。
【0040】例えば、フェライトペーストを製造するに
は、所定量のNiO、ZnO、CuO、Fe23 等の
フェライト原料粉末をボールミル等により湿式混合す
る。用いる各原料粉末の平均粒径は通常0.1〜10μ
m 程度とする。
【0041】こうして湿式混合したものを、通常スプレ
ードライヤー等により乾燥させ、その後仮焼し、仮焼体
を形成する。この仮焼体を、平均粒径が0.01〜0.
1μm 程度になるまでボールミルにて湿式粉砕し、スプ
レードライヤー等により乾燥する。
【0042】ここで、仮焼体のボールミルによる湿式粉
砕の条件は例えば次の通りである。
【0043】 ポット :ステンレスボールミルポット 粉砕媒体 :スチールボール 粉砕時の分散媒:パーフルオロ不活性液体 ポット内雰囲気:一般に空気 粉砕時間 :40〜70時間
【0044】なお、上記パーフルオロ不活性液体として
は、パーフルオロアルカン、パーフルオロ環状エーテ
ル、およびパーフルオロ3級アミンのうち一種以上を用
いることが望ましい。上記パーフルオロアルカンとして
は、直鎖をもつものでも、分鎖をもつものでもいずれで
あってもよいが、直鎖をもつものが望ましく、またその
炭素数は4〜10程度のものが用いられる。上記パーフ
ルオロ環状エーテルとしては、5または6員の環状飽和
モノエーテルを用いることが望ましい。また、上記パー
フルオロ3級アミンとしては炭素数1〜5程度のパーフ
ルオロアルキル基を有するパーフルオロ3級アミンを用
いることが望ましい。以上のパーフルオロ不活性液体の
一部として、住友3M社の商標名「フロリナート」が知
られている。
【0045】得られた混合フェライト粉末と、エチルセ
ルロース、アクリル樹脂等のバインダーと、テルピネオ
ール、ブチルカルビトール等の溶媒とを混合し、例えば
3本ロール等で混練してペーストとする。
【0046】この場合、ペースト中には各種ガラスや酸
化物を含有させることができる。
【0047】なお、フェライト粉末のほか、各種磁性粒
子を用いることも可能である。
【0048】<導電体層用ペースト>導電体層用ペース
トは、通常、導電性粒子と、バインダーと、溶剤とを含
有する。
【0049】導電性粒子の材質は、従来導電体層用ペー
ストに用いられるものであれば特に制限がなく、金属や
金属酸化物等の焼成後に金属になるものを用いればよ
い。
【0050】この場合、金属成分としては、Ag、C
u、Pd等の1種以上を含む金属単体、あるいはこれら
の合金が好ましい。
【0051】そして、特にAg、Ag合金、これらの酸
化物が好適である。
【0052】また、導電性粒子の形状には特に制限がな
いが、ほぼ球状の形状が好ましい。また、導電性粒子の
平均粒径Dは、0.1〜1μm 、特に0.1〜0.4μ
m であることが好ましい。
【0053】前記範囲未満ではペースト化が困難であ
り、また、印刷に適切でない。
【0054】前記範囲をこえると高密度の導電体層を形
成できない。
【0055】この場合、本発明では導電性粒子の粒径分
布がシャープなものを用いることが好ましい。
【0056】具体的には、導電性粒子の平均粒径をDと
するとき、D/2〜2Dの粒径の粒子が、全体の30重
量%以上、特に40重量%以上存在することが好まし
い。
【0057】ただし、あまり大きくするのは困難である
ため、30〜60重量%、特に40〜60重量%とする
ことが好ましい。
【0058】前記範囲未満では高密度の導電体層を形成
できない。
【0059】なお、導電性粒子の粒径は、SEMにて観
察し、粒子の投影面積から円換算して算出すればよい。
【0060】<バインダー>バインダーとしては、例え
ばエチルセルロース、アクリル樹脂、ブチラール樹脂等
公知のものはいずれも使用可能である。
【0061】また、バインダー含有量は、通常1〜5重
量%程度とする。
【0062】溶剤としては、例えばテルピネオール、ブ
チルカルビトール、ケロシン等公知のものはいずれも使
用可能である。
【0063】溶剤含有量は、通常10〜50重量%程度
とする。この他、総計10重量%程度以下の範囲で、必
要に応じ、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪
酸エステル等の分散剤や、ジオクチルフタレート、ジブ
チルフタレート、ブチルフタリルグリコール酸ブチル等
の可塑剤や、デラミ防止、焼結抑制等の目的で、誘電
体、磁性体、絶縁体等の各種セラミック粉体等を添加す
ることもできる。
【0064】このような各組成物を混合し、例えば3本
ロール等で混練してペーストとする。
【0065】この場合、本発明の製造方法では、導電性
粒子が過不足なくペースト内に分散されるように混練す
る。
【0066】具体的には、ポリエチレンテレフタレート
等の基材上に、混練後の導電体層用ペーストを塗布し、
塗膜の最上面を2000〜10000倍のSEM像に
て、観察したとき、塗膜の最外面に導電性粒子が存在し
ない領域の面積比が20〜60%、好ましくは30〜5
0%、特に好ましくは35〜45%となるまで混練す
る。
【0067】この場合、塗膜最外面とは、導電性粒子の
平均粒径Dの1〜5倍程度の領域である。
【0068】前記範囲未満あるいは前記範囲をこえる
と、間隙6内にて、導電体層3が占める断面面積比が8
5%をこえ、また、磁性体層2と、導電体層3との接触
率が50%をこえ、また、導電体層3の空孔率が50%
をこえる。
【0069】このような所望の分散性を有する導電体層
用ペーストを得るには、例えば3本ロールのロール間
隙、粘度、混練時間等を適宜調整すればよい。
【0070】外部電極用ペーストは、前記の導電体材料
粉末を含有する通常のペーストを用いればよい。
【0071】このような磁性体層用ペーストと導電体層
用ペーストは、印刷法、転写法、グリーンシート法等に
より、積層される。
【0072】そして、所定の積層体寸法に切断した後、
焼成を行なう。
【0073】焼成条件や焼成雰囲気は、材質等に応じて
適宜決定すればよいが、通常下記のとおりである。
【0074】焼成温度:850〜950℃程度 焼成時間:0.5〜5時間程度
【0075】また、導電体層にCu、Ni等を用いる場
合は、非酸化性雰囲気とし、このほか、Ag、Pd等を
用いる場合は大気中でよい。
【0076】<複合積層部品>本発明の好適実施例であ
る積層セラミックLC複合部品を図3に示す。
【0077】図3に示されるLC複合部品20は、セラ
ミック誘電体層21と内部電極層25とを積層して構成
されるコンデンサチップ体CTと、セラミック磁性層31
と内部導体35とを積層して構成されるインダクタチッ
プ体ITを一体化したものであり、表面に外部電極51を
有する。なお、インダクタチップ体IT自体は、上記積層
インダクタ1のチップ体10と同じであってよいので、
ここではその説明を省略する。
【0078】<コンデンサチップ体>コンデンサチップ
体CTのセラミック誘電体層21には特に制限がなく種々
の誘電体材料を用いてよいが、焼成温度が低いことか
ら、酸化チタン系誘電体を用いることが好ましい。ま
た、その他、チタン酸系複合酸化物、ジルコン酸系複合
酸化物、あるいはこれらの混合物を用いることもでき
る。また、焼成温度を低下させるために、ホウケイ酸ガ
ラス等のガラスを含有させてもよい。
【0079】具体的には、酸化チタン系としては、必要
に応じNiO、CuO、Mn34、Al23 、Mg
O、SiO2 等、特にCuOを含むTiO2 等が、チタ
ン酸系複合酸化物としては、BaTiO3 、SrTiO
3、 CaTiO3 、MgTiO3 やこれらの混合物等
が、ジルコン酸系複合酸化物としては、BaZrO3
SrZrO3 、CaZrO3 、MgZrO3 やこれらの
混合物等が挙げられる。
【0080】<内部電極層>本発明において、内部電極
層25を構成する導電材に特に制限はなく、Ag、P
t、Pd、Au、Cu、Niや、例えばAg−Pd合金
など、これらを1種以上含有する合金等から選択すれば
よいが、特にAg、Ag−Pd合金などのAg合金等が
好適である。
【0081】<構造>LC複合部品1のコンデンサチッ
プ体CTは、従来公知の構造とすればよく、外形は通常ほ
ぼ直方体状の形状とする。そして図1に示されるよう
に、内部電極層25の一端は外部電極51に接続されて
いる。
【0082】コンデンサチップ体CTの各部寸法等には特
に制限はなく、用途等に応じ適宜選択すればよい。
【0083】なお、誘電体層21の積層数は目的に応じ
て定めればよいが、通常1〜100程度である。また、
誘電体層21の一層あたりの厚さは、通常20〜150
μm程度であり、内部電極層25の一層あたりの厚さ
は、通常5〜30μm 程度である。
【0084】<外部電極の導電材>本発明のLC複合部
品1の外部電極51を構成する導電材に特に制限はな
く、例えば、Ag、Pt、Pd、Au、Cu、NiやA
g−Pd合金などのこれらを1種以上含有する合金等か
ら選択すればよいが、特にAg、Ag−Pd合金などの
Ag合金等が好適である。また、外部電極51の形状や
寸法等には特に制限がなく、目的や用途等に応じて適宜
決定すればよいが、厚さは、通常100〜2500μm
程度である。
【0085】<LC複合部品の構造>本発明のLC複合
部品1の寸法には特に制限がなく、目的や用途等に応じ
て適宜選択すればよいが、通常(2.0〜10.0mm)
×(1.2〜15.0mm)×(1.2〜5.0mm)程度
である。
【0086】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明
をさらに詳細に説明する。
【0087】なお、本明細書においては、チップインダ
クタで効果を特定できるので、複合積層部品についての
実施例は省略する。
【0088】下記の各ペーストを調製した。
【0089】(磁性体層用ペースト)最終組成でFe2
3 :49モル%、NiO:8モル%、CuO: 13
モル%およびZnO:30モル%となるように出発原料
を混合した。これらを、ボールミルを用いて16時間湿
式混合し、ついで、この湿式混合物をスプレードライヤ
ーにより乾燥し、700℃にて仮焼して仮焼体を形成
し、この仮焼体をボールミルにより次の条件で湿式粉砕
した。
【0090】ポット :4インチ、ステンレスボ
ールミルポット 粉砕媒体 :1/2インチスチールボール 200
g 1/8インチスチールボール 600g 粉砕時の分散媒:フロリナート 400g ポット内雰囲気:空気 仮焼体 :200g 粉砕時間 :60時間
【0091】このように粉砕した仮焼体をスプレードラ
イヤーで乾燥し、最終平均粒径0.1〜0.3μm のN
i−Cu−Znフェライト原料粉末とした。以上によ
り、本発明の実施例1によるNi−Cu−Znフェライ
ト原料粉末を得た。
【0092】一方、粉砕溶媒を水のままとしたこと以外
は上記実施例1と同様にして仮焼体を湿式粉砕し、これ
により比較例のNi−Cu−Znフェライト原料粉を得
た。
【0093】また、実施例1において出発原料のCuO
の代わりに水酸化銅Cu(OH)2を用い、配合混合時
間を16時間から5時間に短縮した以外は実施例1と同
様にしてNi−Cu−Znフェライト原料粉を得た。こ
れを実施例2とした。
【0094】更に、ボールミルのポット内の雰囲気であ
る空気をO2 ガスで置換し、ポット内を酸素分圧の高い
系としたこと以外は、実施例1と同様にして仮焼体を湿
式粉砕し、これにより実施例3のNi−Cu−Znフェ
ライト原料粉を得た。
【0095】次いで、これらの原料粉末100重量部に
対し、エチルセルロース3.84重量部およびテルピネ
オール78重量部を加え、三本ロールにて混練し、ペー
ストとした。
【0096】(内部導体用ペースト)平均粒径0.8μ
m のAg100重量部に対し、エチルセルロース2.5
重量部およびテルピネオール40重量部を加え、三本ロ
ールにて混練し、ペーストとした。
【0097】このようにして作製された磁性層用ペース
トと内部導体用ペーストとを印刷積層し、積層積層型チ
ップインダクタを製造した。
【0098】この場合、焼成温度は890℃、焼成時間
は2時間とし、焼成雰囲気は大気中とした。
【0099】得られた積層型チップインダクタの寸法
は、4.5mm×3.2mm×1.1mm、巻数9.5ターン
とした。
【0100】上記積層型チップインダクタのうち、実施
例1の磁性フェライトと比較例の磁性フェライトを用い
たものについて、それぞれのフェライト磁性層断面を透
過型電子顕微鏡で撮影した。それぞれの写真を図4およ
び図5として示した。図4の写真から分かるように、実
施例1のフェライト磁性層においては、フェライト結晶
粒界にストレス縞(干渉縞)が見当たらないが、図5の
写真から分かるように、比較例のフェライト磁性層にお
いては、フェライト結晶粒界にストレス縞(干渉縞)が
観察される。
【0101】更に、上記積層型チップインダクタについ
て、測定周波数400kHzの条件にてのL(インダク
タンス)およびQを求めた。得られた結果を表1に示
す。
【0102】
【表1】
【0103】表1に示す結果から分かるように、粉砕時
の分散媒としてフロリナートを用いることにより、比較
例に比べて、電磁気特性、特にインダクタンスLが極め
て向上した。
【0104】また、表1から分かるように、実施例3の
ように、出発原料のCu成分として酸化銅の代わりに水
酸化銅を用いることで、短時間(5時間)の配合混合時
間でも各原料粉末が均一に分散され、磁気劣化の原因で
あったCuOの偏析がなくなり、均一なフェライト組織
が得られ、他の実施例と同様の電磁気特性が得られた。
【0105】
【発明の効果】以上から明瞭なように、本発明によれ
ば、電磁気特性を持つ磁性フェライトを得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層型インダクタの一例を示す断面図
である。
【図2】上記積層型インダクタの一部破さい平面図であ
る。
【図3】本発明の複合LC積層部品の一部を切り欠いて
示した斜視図である。
【図4】結晶構造を示す図面代用写真であって、本発明
の製造方法により製造されたインダクタチップ体のフェ
ライト磁性層断面の透過電子顕微鏡写真である。
【図5】結晶構造を示す図面代用写真であって、比較例
の製造方法により製造されたインダクタチップ体のフェ
ライト磁性層断面の透過電子顕微鏡写真である。
【符号の説明】
1 積層型インダクタ 2 磁性体層 3 導電体層 5 外部電極 10 チップ体 20 複合LC積層部品 CT コンデンサチップ体 IT インダクタチップ体 21 セラミック誘電体層 25 内部電極 31 セラミックス磁性層 35 内部導体 51 外部電極
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年7月2日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正内容】
【図4】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5
【補正方法】変更
【補正内容】
【図5】
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01F 17/00 D 7319−5E

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 仮焼体を湿式粉砕して、フェライト原料
    を製造する磁性フェライトの製造方法において、粉砕時
    の分散媒としてパーフルオロ不活性液体を用いたことを
    特徴とする磁性フェライトの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記パーフルオロ不活性液体が、パーフ
    ルオロアルカン、パーフルオロ環状エーテルおよびパー
    フルオロ3級アミンのうち一種以上である請求項1の磁
    性フェライトの製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2のいずれかの方法によ
    り製造された磁性フェライト。
  4. 【請求項4】 Ni−Cu−Zn系磁性フェライトであ
    る請求項3の磁性フェライト。
  5. 【請求項5】 Cu成分の出発原料として水酸化銅を用
    いる請求項4の磁性フェライト。
  6. 【請求項6】 フェライトの組成がFe23 :45〜
    50mol%、NiO:4〜50mol%、CuO:3
    〜30mol%およびZnO:0.5〜35mol%で
    ある請求項4または5の磁性フェライト。
  7. 【請求項7】 フェライト磁性層と内部導体層とを積層
    して構成されるインダクタ部を有するインダクタ部品で
    あって、 前記フェライト磁性層が請求項3ないし6のいずれかの
    磁性フェライトで構成されていることを特徴とする積層
    型インダクタ部品。
  8. 【請求項8】 フェライト磁性層と内部導体層とを積層
    して構成されるインダクタ部を少なくとも有する複合積
    層部品であって、 前記フェライト磁性層が請求項3ないし6のいずれかの
    磁性フェライトで構成されていることを特徴とする複合
    積層部品。
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