JPH06329685A - 光学活性な1−トリメチルシリルオキシ−2,2,2−トリフルオロエチルアルキルケトンおよびその製造方法 - Google Patents

光学活性な1−トリメチルシリルオキシ−2,2,2−トリフルオロエチルアルキルケトンおよびその製造方法

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JPH06329685A
JPH06329685A JP5142717A JP14271793A JPH06329685A JP H06329685 A JPH06329685 A JP H06329685A JP 5142717 A JP5142717 A JP 5142717A JP 14271793 A JP14271793 A JP 14271793A JP H06329685 A JPH06329685 A JP H06329685A
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ketone
compound
optically active
trimethylsilyloxy
hydroxy
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Toshio Kubota
俊夫 久保田
Norihisa Iijima
典久 飯島
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Toagosei Co Ltd
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Toagosei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 反強誘電性液晶の中間原料あるいはビルディ
ングブロック剤等として有用な新規化合物およびその製
造方法を提供する。 【構成】 新規化合物である光学活性な1−トリメチル
シリルオキシ−2,2,2−トリフルオロエチルアルキ
ルケトンならびに、非プロトン性有機溶媒中で、塩基の
存在下に、光学活性な1−ヒドロキシ−2,2,2−ト
リフルオロエチルアルキルケトンと、トリメチルシリル
トリフルオロメタンスルホナートを反応させることによ
り、前記新規化合物を製造する方法。 【効果】 この新規化合物は、反強誘電性液晶の中間原
料あるいはビルディングブロック剤等として有用であ
り、効率的で高収率に製造し得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば電子デバイスの
素材である反強誘電性液晶の中間原料として、あるいは
医薬、農薬に用いられる化合物に種々の官能基を導入出
来るビルディングブロック剤等として有用である、新規
な含フッ素化合物とその製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ビルディングブロック剤として有用な含
フッ素カルボニル化合物として、1−アルコキシ−2,
2,2−トリフルオロエチルメチルケトンが知られてい
る。しかしながら、この化合物は揮発性が高いため取り
扱いづらい。そこで取り扱いが容易で、汎用性に富んだ
含フッ素カルボニル化合物が求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、反強誘
電性を有する液晶化合物の原料として期待され、またビ
ルディングブロック剤等として有用な新規な含フッ素カ
ルボニル化合物につき鋭意研究した結果、式(3)で示
される1−トリメチルシリルオキシ−2,2,2−トリ
フルオロエチルアルキルケトンを発明し、本出願人はこ
の化合物につき既に出願済である。
【0004】
【化3】
【0005】本発明者らは、上記式(3)で示される化
合物の光学活性体である本発明化合物を発明し、また該
化合物を効率的に、高収率で製造する方法を見出し、本
発明を完成した。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、新規化合物で
ある、式(1)で示される光学活性な1−トリメチルシ
リルオキシ−2,2,2−トリフルオロエチルアルキル
ケトン(以下、本発明化合物という)である。
【0007】
【化4】
【0008】また、本発明は、非プロトン性有機溶媒中
で、塩基存在下に、式(2)で示される光学活性な1−
ヒドロキシ−2,2,2−トリフルオロエチルアルキル
ケトンと、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホ
ナートを反応させることを特徴とする光学活性な1−ト
リメチルシリルオキシ−2,2,2−トリフルオロエチ
ルアルキルケトンの製造方法である。
【0009】
【化5】
【0010】〔本発明化合物〕本発明化合物は、上記式
(1)に示される通りであり、式中Rで示されるアルキ
ル基は、炭素数3〜10の直鎖状のアルキル基、すなわ
ちn−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n
−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−
ノニル基およびn−デシル基である。
【0011】上記化合物の中でも、製造の容易性から有
用である化合物は、Rが炭素数4〜8の直鎮状アルキル
基の化合物であり、具体的に示すと、光学活性な1−ト
リメチルシリルオキシ−2,2,2−トリフルオロエチ
ルブチルケトン、光学活性な1−トリメチルシリルオキ
シ−2,2,2−トリフルオロエチルペンチルケトン、
光学活性な1−トリメチルシリルオキシ−2,2,2−
トリフルオロエチルヘキシルケトン、光学活性な1−ト
リメチルシリルオキシ−2,2,2−トリフルオロエチ
ルヘプチルケトンおよび光学活性な1−トリメチルシリ
ルオキシ−2,2,2−トリフルオロエチルオクチルケ
トンである。
【0012】〔本発明化合物の製造方法〕以下、本発明
化合物の製造方法について述べる。本発明化合物の原料
化合物は、前述の式(2)で示される光学活性な1−ヒ
ドロキシ−2,2,2−トリフルオロエチルアルキルケ
トン(以下、原料化合物という)である。
【0013】〔原料化合物〕原料化合物は新規化合物で
あり、既に出願済である。
【0014】式(2)で示される原料化合物において、
式中Rで表わされるアルキル基は、式(1)におけるR
に対応し、好適な化合物の具体例としては、光学活性な
1−ヒドロキシ−2,2,2−トリフルオロエチルブチ
ルケトン、光学活性な1−ヒドロキシ−2,2,2−ト
リフルオロエチルペンチルケトン、光学活性な1−ヒド
ロキシ−2,2,2−トリフルオロエチルヘキシルケト
ン、光学活性な1−ヒドロキシ−2,2,2−トリフル
オロエチルヘプチルケトンおよび光学活性な1−ヒドロ
キシ−2,2,2−トリフルオロエチルオクチルケトン
が挙げられる。
【0015】〔原料化合物の製造方法〕原料化合物は、
その鏡像異性体混合物をまず製造し、次いで光学活性な
アミロースカルバメート系誘導体を有効成分とする分離
剤を用いて、液体クロマトグラフィーによって前記混合
物を光学分割することにより取得することが出来る。そ
の具体的な方法を以下に述べる。
【0016】(1)原料化合物の鏡像異性体混合物の製
造方法 上記で述べた原料化合物の鏡像異性体混合物は、式
(4)に示される新規化合物であり、既に出願済みであ
る。
【0017】
【化6】
【0018】式(4)で示される化合物の製造方法につ
いて具体的に説明すると、例えば2−ヒドロキシ−3,
3,3−トリフルオロプロピオニトリルと、式(5)で
示されるグリニャール試薬(以下、グリニャール試薬と
いう)を反応させ(第一段反応)、次いで該反応生成物
を鉱酸で加水分解する(第2段反応)。 RMgBr (5) (ただし、式中Rは炭素数3〜10の直鎖状アルキル基
であり、式(7)のRに対応する。)
【0019】第一段反応を具体的に説明すると、例え
ば、反応温度−5℃〜5℃にて、グリニャール試薬を溶
解したジエチルエーテル等のエーテル溶液に、2−ヒド
ロキシ−3,3,3−トリフルオロプロピオニトリルを
滴下し、滴下終了後、2時間程度攪拌して反応を充分完
結させ、付加生成物を生成させる。
【0020】上記反応における2−ヒドロキシ−3,
3,3−トリフルオロプロピオニトリルとグリニャール
試薬の供給割合は、2−ヒドロキシ−3,3,3−トリ
フルオロプロピオニトリル1モルに対して、グリニャー
ル試薬2〜3モルが好ましい。また2−ヒドロキシ−
3,3,3−トリフルオロプロピオニトリルの滴下は、
1モルを100分〜250分程度かけて行なうのが好ま
しい。
【0021】次に、第二段反応について説明すると、第
一段反応で得られた付加生成物を、塩酸等の鉱酸で加水
分解することにより、原料化合物を製造する。鉱酸は、
2−ヒドロキシ−3,3,3−トリフルオロプロピオニ
トリル1モルに対して、3〜4グラム当量が好ましく、
鉱酸の濃度は1〜5Nが好ましい。加水分解反応は、先
に得られた付加生成物を含有する反応液に、鉱酸の水溶
液を滴下して行っても、また鉱酸の水溶液に付加生成物
を含有する反応液を滴下して行ってもよい。
【0022】上記加水分解反応は出来るだけ穏やかな温
度で行うのが好ましく、常温が特に好適である。鉱酸の
滴下後、更に常温付近で20分〜60分程度攪拌放置す
ることにより反応を完結させる。次いでエーテル抽出等
の操作により、反応液から目的生成物を分離し、無水硫
酸マグネシウムを加えて、水分を除去した後、溶媒を減
圧で留去し、残ったシロップ状物質をカラムクロマトグ
ラフィー等により精製し、原料化合物の鏡像異性体混合
物である無色透明で液状の1−ヒドロキシ−2,2,2
−トリフルオロエチルアルキルケトンを取得することが
出来る。
【0023】(2)原料化合物の製造方法 原料化合物は、上記のようにして得られた原料化合物の
鏡像異性体混合物を、光学活性なアミロースカルバメー
ト系誘導体を有効成分とする分離剤(以下、光学活性な
アミロースカルバメート系分離剤という)を用い、液体
クロマトグラフィーによって光学分割することにより得
られる。
【0024】光学活性なアミロースカルバメート系誘導
体は、光学活性なアミロースの有する水酸基の水素原子
の一部または全てがカルバメート誘導体で置換されたも
のであり、特に全ての水酸基の水素原子がカルバメート
誘導体で置換されたものが好適である。
【0025】具体的なアミロースカルバメート系誘導体
としては、例えばアミロース・トリス((S)−1−フ
ェニルエチルカルバメート)あるいはアミロース・トリ
ス(3,5−ジメチルフェニルカルバメート)等が挙げ
られ、特にアミロース・トリス((S)−1−フェニル
エチルカルバメート)が好適である。
【0026】光学活性なアミロースカルバメート系分離
剤は、例えばシリカゲル等によりコーティングされて、
耐有機溶剤性および機械的磨耗性に優れた固定相となさ
れたものが好適である。
【0027】光学活性なアミロースカルバメート系分離
剤を用いて分割するための液体クロマトグラフィーとし
ては、高速液体クロマトグラフィー等が挙げられる。
【0028】溶離液としては、光学活性なアミロースカ
ルバメート系分離剤を溶解したり、またはこれと反応す
るものでなければ特に制約されるものではないが、溶離
液によって原料化合物である光学異性体の分離特性が変
化するので、各種の展開溶媒を適宜選択すればよい。好
ましい溶離液としてはn−ヘキサン/イソプロピルアル
コールの混合溶離液が挙げられ、その好ましい混合比
は、n−ヘキサン/イソプロピルアルコールの混合比が
99/1〜90/10(重量部)であり、特に好ましく
は97/3〜95/5(重量部)である。
【0029】溶離液の流速は1.0ml/minを超えないよ
うにするのが好ましく、特に0.3〜0.5ml/minが好
ましい。
【0030】また操作温度は常温、例えば25℃前後が
好ましい。
【0031】原料化合物の鏡像異性体混合物の供給量
は、4.6mmφ×250mmH の液体クロマトグラフィー
を用いた場合では、0.5mgを超えないようにするの
が好ましく、特に好ましくは0.2mgである。
【0032】溶離した光学異性体の検出は、波長254
nmの紫外検知器で確認する。これに基づいて分取された
(S)−体および(R)−体の各化合物の溶離液をそれ
ぞれ減圧濃縮し、原料化合物である(S)−1−ヒドロ
キシ−2,2,2−トリフルオロエチルアルキルケトン
および(R)−1−ヒドロキシ−2,2,2−トリフル
オロエチルアルキルケトンを取得する。
【0033】〔本発明化合物の製造方法〕本発明化合物
は、前述したとおり、上記した原料化合物を、非プロト
ン性有機溶剤中で、塩基存在下に、トリメチルシリルト
リフルオロメタンスルホナートと反応させることにより
得られる。
【0034】トリメチルシリルトリフルオロメタンスル
ホナートの反応系への供給割合は、原料化合物1モルに
対して1〜1.2モルが好ましい。1モル未満では目的
化合物の収率の低下を招き、1.2モルを超えると経済
的とはいえない。
【0035】塩基としては、第三アミン、例えば炭素数
1〜3のトリアルキルアミン、ピリジンあるいは水素化
ナトリウム等が挙げられ、反応の安定性の面から、第三
アミン、特にトリエチルアミンが最も好適である。
【0036】塩基の反応系への供給割合は、原料化合物
1モルに対して1〜1.2モルが好ましい。1モル未満
では反応速度が遅くなり、収率の低下をまねく恐れがあ
り、1.2モルを超えると後処理が問題となる場合があ
る。
【0037】非プロトン性有機溶媒は、使用する塩基に
より適宜選択すればよい。例えば塩基がトリエチルアミ
ンの場合は、塩化メチレン、ジエチルエーテル及びTH
F等が挙げられ、それらの中でも、水に対する溶解度が
小さく、かつ比重が大きく、副生塩の分離が容易である
という点から、塩化メチレンが特に好適であり、また、
塩基が水素化ナトリウムの場合は、ジエチルエーテル及
びTHFが好適である。
【0038】上記有機溶媒は、原料化合物1モルに対し
て1.8〜2.2リットルが好ましい。1.8リットル
未満では反応熱の上昇により収率が低下する恐れがあ
り、2.2リットルを超えると経済的に有利とはいえな
くなる。
【0039】上記反応を、塩基としてトリエチルアミン
を用いた場合を例にして示すと、式(6)の通りであ
る。
【0040】
【化7】
【0041】式(6)における反応は、反応系を均一に
する等の点から、原料化合物と塩基を加えた非プロトン
性有機溶媒に、トリメチルシリルトリフルオロメタンス
ルホナートを滴下して行うのが好ましい。
【0042】トリメチルシリルトリフルオロメタンスル
ホナートの反応系への供給速度は、トリメチルシリルト
リフルオロメタンスルホナート1モルを30分〜45分
程度かけて滴下するのが好ましい。供給をあまり短時間
で行うと反応温度が上昇し、収率の低下につながる恐れ
があり、あまり滴下速度が遅いと、工業的に有利とは言
えなくなる。
【0043】反応温度は−5〜5℃が好ましい。−5℃
未満では生成速度が遅くなり、反応時間がかかりすぎる
こととなり、5℃を超えると収率の低下を招く。
【0044】反応を充分完結させるために、トリメチル
シリルトリフルオロメタンスルホナートの供給終了後、
室温で5時間程度撹拌することが好ましい。5時間未満
では反応の完結がやや不十分であり、収率の低下を招く
恐れがあり、あまりに長い時間では経済的とはいえな
い。攪拌温度が室温より低いと、反応時間がかかりすぎ
ることになり、あまりに高い温度では経済的に有利とは
いえない。
【0045】反応終了後、例えば食塩水を加えて、目的
生成物を反応液から有機溶媒で抽出する。有機溶媒とし
て塩化メチレンを用いた場合を例にとると、塩化メチレ
ン1リットルに対して5〜15%食塩水80〜105ml
を加えて抽出するのがよい。食塩水の濃度があまりに低
いと分離効率が低下し、抽出回数を増さなければなら
ず、食塩水の濃度があまりに高すぎると食塩水が下に沈
ずみ、抽出しにくくなる。また、ジエチルエーテルを用
いた場合は、ジエチルエーテル1リットルに対して飽和
食塩水80〜105mlを加えて抽出すればよく、またT
HFを用いた場合は、反応液を一旦減圧濃縮し、得られ
た残査にジエチルエーテルと該溶媒1リットルに対して
飽和食塩水80〜105mlを加えて、ジエチルエーテル
で抽出すればよい。
【0046】抽出操作を数回行うことにより、副生塩を
水層に移行し、かくして得られた抽出液に無水硫酸マグ
ネシウムを加えて、水分を除去した後、濃縮し、減圧蒸
留することにより、無色透明な液状の目的生成物である
光学活性な1−トリメチルシリルオキシ−2,2,2−
トリフルオロエチルアルキルケトンを取得することが出
来る。
【0047】〔本発明化合物の同定〕上記のようにして
得られた無色透明な液状の目的化合物が、本発明化合物
であることの同定方法を以下に述べる。すなわち、前述
の式(3)で示され下記に詳述する本発明化合物の鏡像
異性体混合物(以下、標品という)と、上記目的化合物
のそれぞれを、光学異性体分離用カラムを有するガスク
ロマトグラフィーにかけることにより得たチャートを照
準することにより同定することが出来る。
【0048】〔標品:本発明化合物の鏡像異性体混合
物〕前述の式(3)において、式中Rで示されるアルキ
ル基は、炭素数3〜10の直鎖状のアルキル基、すなわ
ちn−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n
−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−
ノニル基およびn−デシル基である。
【0049】標品の中でも、製造の容易性から有用であ
る化合物は、Rが炭素数4〜8の直鎮状アルキル基の化
合物であり、具体的に示すと、1−トリメチルシリルオ
キシ−2,2,2−トリフルオロエチルブチルケトン、
1−トリメチルシリルオキシ−2,2,2−トリフルオ
ロエチルペンチルケトン、1−トリメチルシリルオキシ
−2,2,2−トリフルオロエチルヘキシルケトン、1
−トリメチルシリルオキシ−2,2,2−トリフルオロ
エチルヘプチルケトンおよび1−トリメチルシリルオキ
シ−2,2,2−トリフルオロエチルオクチルケトンで
ある。
【0050】〔標品の製造〕標品は、原料化合物の鏡像
異性体混合物である既述の式(4)で示される化合物を
出発原料として、本発明化合物と同様に、非プロトン性
有機溶剤中で、塩基存在下に、トリメチルシリルトリフ
ルオロメタンスルホナートと反応させることにより製造
することが出来、その好適な製造条件は、本発明におけ
る製造条件と同様である。
【0051】
【作用】本発明は、上記した如く、新規な光学活性なト
リメチルシリル基を有する含フッ素カルボニル化合物を
提供するものであり、光学活性な1−ヒドロキシ−2,
2,2−トリフルオロエチルアルキルケトンと、トリメ
チルシリルトリフルオロメタンスルホナートおよび塩基
により、効率的にトリメチルシリル基を導入した該新規
化合物を高収率に製造し得る。
【0052】
【実施例】以下、参考例、実施例および同定例に基づい
て本発明を具体的に説明する。
【0053】(参考例1) 〔原料化合物の鏡像異性体混合物:1−ヒドロキシ−
2,2,2−トリフルオロエチルヘキシルケトンの製
造〕還流冷却器、温度計、攪拌機、ロートを備えた四ツ
口丸底フラスコに、n−ヘキシルマグネシウム=ブロミ
ド39.7g(210ミリモル)のエーテル溶液84ml
を入れ、0℃に冷却した。この溶液を攪拌しながら、2
−ヒドロキシ−3,3,3−トリフルオロプロピオニト
リル12.5g(100ミリモル)を、滴下ロートから
20分間かけて滴下し、滴下完了後、更に2時間攪拌し
た。反応温度は0℃に保った。次いで、攪拌しながら室
温まで昇温し、3Nの塩酸125mlを室温で20分間か
けて滴下し、滴下完了後、10分間攪拌した。
【0054】得られた反応液をエーテル抽出し、抽出液
に無水硫酸マグネシュウムを加え、水分を除去し、ろ液
からエーテルを減圧留去して、残ったシロップ状物質を
シリカゲルカラムクロマトグラフィー(商品名:イナー
トシルPREP−ODS 分取、ガードカラム2点セッ
トNo.5020−35112 ジーエルサイエンス
(株)製:内径10mm×高さ250mm,充填剤:純
度99.9%の10μmシリカゲルにオクタデシル基を
化学結合したもの,溶離液:n−ヘキサン/イソプロピ
ルアルコール=90/10,流速2ml/min,試料
供給量1g,検出254nm)で精製し、無色透明な液
状の生成物19.1g(90ミリモル 収率90%)を
得た。
【0055】この生成物の核磁気共鳴スペクトル( 1
NMRスペクトルおよび19FNMRスペクトル)、赤外
線吸収スペクトル(IR吸収スペクトル)および質量ス
ペクトル(MSスぺクトル)を測定した結果は次の通り
であり、1−ヒドロキシ−2,2,2−トリフルオロエ
チルヘキシルケトンであることが確認された。また、 1
H核磁気共鳴スペクトル図および赤外線吸収吸収スペク
トル図を、それぞれ図1および図2に示す。1 HNMRスペクトル(CDCl3 ) :0.7 〜2.0ppm(11H,m) :2.5 〜2.95ppm( 2H,m) :3.7 〜4.75ppm( 1H,br)19 FNMRスペクトル( from ext. CF 3 COOH ) :-2.17 ppm ( q,J=6.8Hz) IR吸収スペクトル(neat) : 3,510cm-1(OH) : 1,730cm-1(CO) MSスペクトル : m/z 212(M+
【0056】(参考例2) 〔原料化合物:光学活性な1−ヒドロキシ−2,2,2
−トリフルオロエチルヘキシルケトンの製造〕参考例1
で得た1−ヒドロキシ−2,2,2−トリフルオロエチ
ルヘキシルケトンの鏡像異性体混合物を、下記条件で液
体クロマトグラフィーにより光学分割し、光学活性な1
−ヒドロキシ−2,2,2−トリフルオロエチルヘキシ
ルケトンすなわち、(S)−1−ヒドロキシ−2,2,
2−トリフルオロエチルヘキシルケトンおよび(R)−
1−ヒドロキシ−2,2,2−トリフルオロエチルヘキ
シルケトンを取得した。
【0057】<光学分割条件> ・光学異性体分離用カラム(商品名:アミロース系光学
異性体分離用HPLCカラム;ダイセル化学工業(株)
製) :分離剤…アミロース・トリス((S)−1−フェニル
エチルカルバメート)をシリカゲルでコーティングした
もの(商品名 CHIRALPAK AS) :サイズ4.6mmφ×250mmH ・溶離液 :n−ヘキサン/イソプロピルアルコール=
96/4重量% ・流速 :0.4ml/min ・カラム温度 :常温 ・検出 :紫外検出器で波長254nmの紫外吸収を用い
た。 ・試料 :0.1mg(濃度0.5mg/mlの溶液を20μl
使用)
【0058】なお、上記液体クロマトグラフィーによる
光学分割により得られた化合物が(S)−体および
(R)−体であることの確認を以下に述べる。
【0059】上記光学活性な液体クロマトグラフィーの
チャートは図3(紫外検出器)の通りであり、また図3
の解析結果より、第1ピークである第1フラクションお
よび第2ピークである第2フラクションの保持時間は以
下の通りであった。 保持時間:第1フラクション 10.69分 :第2フラクション 12.76分
【0060】次いで、第1フラクションおよび第2フラ
クションをそれぞれ分取し、各々比施光度〔α〕25 D
よび光学純度を求めたところ以下の通りであった。 比施光度: :第1フラクション〔α〕25 D :−9.50(C=3.
47,メタノール) :第2フラクション〔α〕25 D :+9.50(C=3.
47,メタノール) 光学純度:第1フラクション 99.5%ee :第2フラクション 99.5%ee
【0061】分取した第1フラクションおよび第2フラ
クションの、核磁気共鳴スペクトル( 1HNMRスペク
ルおよび19FNMRスペクトル)、赤外線吸収スペクト
ル(IR吸収スペクトル)および質量スペクトル〔MS
スペクトル〕の測定結果は、参考例1で得た1−ヒドロ
キシ−2,2,2−トリフルオロエチルヘキシルケトン
と同じであり、第1フラクションと第2フラクションは
互いに鏡像異性体であることが判明した。
【0062】また、後述する参考例3で得た(S)−1
−ヒドロキシ−2,2,2−トリフルオロエチルヘキシ
ルケトン(原料化合物の標品)と、本参考例2で得た第
1フラクションの保持時間が一致したこと、更に比施光
度の符号が一致したことにより、第1フラクションの不
斉中心が(S)−配置であることが判明し、第1フラク
ションは(S)−1−ヒドロキシ−2,2,2−トリフ
ルオロエチルヘキシルケトンであることが確認され、残
りの第2フラクションは必然的に(R)−1−ヒドロキ
シ−2,2,2−トリフルオロエチルヘキシルケトンで
あることが判明した。
【0063】(参考例3) 〔原料化合物の標品:(S)−1−ヒドロキシ−2,
2,2−トリフルオロエチルヘキシルケトンの製造)立
体配置既知の(S)−トリフルオロ乳酸(光学純度9
9.5%ee)〔日本化学会誌,1989(9)P15
76〜1586 久保田等著「含トリフルオロメチル化
合物構成試薬としてのα−アルコキシ−1,1,3,
3,3−ペンタフルオロプロペンの合成と反応」の文献
記載の方法により合成したもの〕をエタノール300ml
及び濃硫酸中で加熱還流し、得られた生成物をエーテル
で抽出し、エーテルを減圧留去し、残ったシロップ状物
質を減圧蒸留し、(S)−トリフルオロ乳酸エチルエス
テルを得た。
【0064】この生成物の沸点、核磁気共鳴スペクトル
1HNMRスペクルおよび19FNMRスペクトル)、
および赤外線吸収スペクトル(IR吸収スペクトル)お
よび質量スペクトル〔MSスペクトル〕で測定した結果
は次の通りであり、またこの化合物の不斉炭素の立体配
置は変化していない。 沸点 :58℃/28mmHg1 HNMRスペクトル( CCl4 ) :1.33ppm(t,J=7.0Hz,3H) :4.31ppm(q,J=7.0Hz,2H) :4.42ppm ( S,1H) :4.50ppm(q,J=7.0Hz,1H)19 FNMRスペクトル( from ext. CF 3 COOH ) :-2.50 ppm ( d,J=7.0Hz) IR吸収スペクトル(neat) : 3,480cm-1(OH) : 1,750cm-1(CO) MSスペクトル :m/Z 172(M + )
【0065】この(S)−トリフルオロ乳酸エチルエス
テルのエーテル溶液とn−ヘキシルマグネシウム=ブロ
ミドのエーテル溶液を反応させ、反応液をエーテルで抽
出し、エーテルを減圧留去し、残ったシロップ状物質を
シリカゲルカラムクロマトグラフフィーで精製し、生成
物を得た。
【0066】この生成物を核磁気共鳴スペクトル( 1
NMRスペクルおよび19FNMRスペクトル)、赤外線
吸収スペクトル(IR吸収スペクトル)および質量スペ
クトル〔MSスペクトル〕で測定した結果、参考例1で
得た1−ヒドロキシ−2,2,2−トリフルオロエチル
ヘキシルケトンの鏡像異性体混合物と同じであり、該生
成物は(S)−1−ヒドロキシ−2,2,2−トリフル
オロエチルヘキシルケトンであることが確認され、これ
を原料化合物の標品とした。
【0067】上記(S)−1−ヒドロキシ−2,2,2
−トリフルオロエチルヘキシルケトン(原料化合物の標
品)を参考例2と同様に光学活性な液体クロマトグラフ
ィーにかけた結果、そのチャートは図4(紫外検出器)
の通りであり、(S)−1−ヒドロキシ−2,2,2−
トリフルオロエチルヘキシルケトン(原料化合物の標
品)の保持時間は次の通りであった。 保持時間:10.69分
【0068】次いで、(S)−1−ヒドロキシ−2,
2,2−トリフルオロエチルヘキシルケトン(原料化合
物の標品)の比施光度〔α〕25 D および光学純度を求め
たところ以下の通りであった。 ・比施光度〔α〕25 D :−9.50 (C=3.47,
メタノール) ・光学純度:99.5%ee
【0069】(実施例1) 〔本発明化合物:(S)−1−トリメチルシリルオキシ
−2,2,2−トリフルオロエチルヘキシルケトンの製
造〕還流冷却器、温度計、攪拌機、ロートを備えた四つ
口丸底フラスコに、有機溶媒として塩化メチレン200
ml、参考例2と同様にして得た(S)−1−ヒドロキシ
−2,2,2−トリフルオロエチルヘキシルケトン21.
2g(100ミリモル)およびトリエチルアミン11.1
g(110ミリモル)を入れ、0℃に冷却した。この溶
液を撹拌しながら、トリメチルシリルトリフルオロメタ
ンスルホナート24.2g(110ミリモル)を滴下ロー
トから15分かけて滴下し、滴下完了後、撹拌しながら
室温まで昇温し、5時間撹拌し、反応を完結させた。得
られた反応液に10%食塩水20mlを加えて、目的生成
物を有機溶媒で抽出し、この抽出操作を3回繰り返し、
得られた下層の有機溶媒層に無水硫酸マグネシウムを加
え、水分を除去し、抽出液を濃縮し、減圧蒸留し、無色
透明な液状の生成物25.6g(90ミリモル、収率9
0%)を得た。
【0070】この生成物の核磁気共鳴スペクトル( 1
NMRスペクトルおよび19FNMRスペクトル)、赤外
線吸収スペクトル(1R吸収スペクトル)および質量ス
ペクトル(MSスペクトル)を測定した結果は次の通り
であり、1−トリメチルシリルオキシ−2,2,2−ト
リフルオロエチルヘキシルケトンであることが確認され
た。また、 1H核磁気共鳴スペクトル図および赤外線吸
収スペクトル図を、それぞれ図5および図6に示す。1 HNMRスペクトル(CDCl3 ) :0.07ppm(9H,s) :0.37〜1.83ppm(9H,m) :2.23〜2.77ppm(2H,m) :4.20ppm(1H,q,J=7.6Hz)19 FNMRスペクトル( from ext. CF 3 COOH ) :-2.83 ppm ( d,J=2.8Hz) IR吸収スペクトル(neat) : 2,980cm-1(CH) : 1,740cm-1(CO) MSスペクトル : m/z 284(M+
【0071】(実施例2) 〔本発明化合物:(R)−1−トリメチルシリルオキシ
−2,2,2−トリフルオロエチルヘキシルケトンの製
造〕(S)−1−ヒドロキシ−2,2,2−トリフルオ
ロエチルヘキシルケトンに代えて、参考例2と同様にし
て得た(R)−1−ヒドロキシ−2,2,2−トリフル
オロエチルヘキシルケトンを用いた以外は、実施例1と
同様にして無色透明な液状の生成物25.6g(90ミ
リモル、収率90%)を得た。
【0072】この生成物の核磁気共鳴スペクトル( 1
NMRスペクトルおよび19FNMRスペクトル)、赤外
線吸収スペクトル(1R吸収スペクトル)および質量ス
ペクトル(MSスペクトル)を測定した結果は次の通り
であり、実施例1で得た(S)−1−トリメチルシリル
オキシ−2,2,2−トリフルオロエチルヘキシルケト
ンと同一の結果であった。また 1H核磁気共鳴スペクト
ル図および赤外線吸収スペクトル図を、それぞれ図7お
よび図8に示す。1 HNMRスペクトル(CDCl3 ) :0.07ppm(9H,s) :0.37〜1.83ppm(9H,m) :2.23〜2.77ppm(2H,m) :4.20ppm(1H,q,J=7.6Hz)19 FNMRスペクトル( from ext. CF 3 COOH ) :-2.83 ppm ( d,J=2.8Hz) IR吸収スペクトル(neat) : 2,980cm-1(CH) : 1,740cm-1(CO) MSスペクトル : m/z 284(M+
【0073】以上、実施例1および実施例2の結果よ
り、実施例1および実施例2の各生成物は互いが1−ト
リメチルシリルオキシ−2,2,2−トリフルオロエチ
ルヘキシルケトンの鏡像異性体の関係にあることが確認
された。
【0074】(同定例) (1)〔標品:本発明化合物の鏡像異性体混合物:1−
トリメチルシリルオキシ−2,2,2−トリフルオロエ
チルヘキシルケトンの製造〕 還流冷却器、温度計、攪拌機、ロートを備えた四つ口丸
底フラスコに、有機溶媒として塩化メチレン200ml、
参考例1と同様にして得た1−ヒドロキシ−2,2,2
−トリフルオロエチルヘキシルケトン21.2g(100
ミリモル)およびトリエチルアミン11.1g(110ミ
リモル)を入れ、0℃に冷却した。この溶液を撹拌しな
がら、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホナー
ト24.2g(110ミリモル)を滴下ロートから15分
かけて滴下し、滴下完了後、撹拌しながら室温まで昇温
し、5時間撹拌し、反応を完結させた。得られた反応液
に10%食塩水20mlを加えて、目的生成物を有機溶媒
で抽出し、この抽出操作を3回繰り返し、得られた下層
の有機溶媒層に無水硫酸マグネシウムを加え、水分を除
去し、抽出液を濃縮し、減圧蒸留し、無色透明な液状の
生成物25.6g(90ミリモル、収率90%)を得
た。
【0075】この生成物の核磁気共鳴スペクトル( 1
NMRスペクトルおよび19FNMRスペクトル)、赤外
線吸収スペクトル(1R吸収スペクトル)および質量ス
ペクトル(MSスペクトル)を測定した結果は、実施例
1および実施例2で得た(S)−体または(R)−体の
1−トリメチルシリルオキシ−2,2,2−トリフルオ
ロエチルヘキシルケトンと同一であり、また下記(2)
の結果より、この生成物が本発明化合物の鏡像異性体混
合物すなわち1−トリメチルシリルヘキシルケトンであ
ることが確認された。
【0076】(2)〔光学異性体分離用カラムを有する
ガスクロマトグラフィーによる、標品からの光学活性体
の検出〕 (1)で得た1−トリメチルシリルオキシ−2,2,2
−トリフルオロエチルヘキシルケトン(標品)を次の条
件下で、光学異性体分離用カラム有するガスクロマトグ
ラフィーにかけた。 カラム:商品名シクロデックスβ236M(クロムパッ
ク社製) 内径0.25mmφ、長さ25m シリカキャピラリーカラム カラム温度:80℃×10分保持した後、昇温速度4℃
/minで、200℃まで昇温。 キャリヤーガス:ヘリウム :流速 ガス流量70ml/min、 スプリット比100/1 検出 :FID
【0077】そのガスクロマトグラフィーのチャートは
図9の通りであり、第1ピークと第2ピークがあり、そ
れぞれの保持時間と面積比は以下の通りであった。 第1ピーク :保持時間 18.69分 面積比 :
1 第2ピーク :保持時間 21.67分 面積比 :
【0078】(3)〔光学異性体分離用カラムを有する
ガスクロマトグラフィーによる、本発明化合物の検出〕 実施例1および実施例2で取得した各生成物を、(2)
と同様に光学異性体分離用カラム有するガスクロマトグ
ラフィーにかけた。それらのガスクロマトグラフィーの
チャートは図10および図11の通りであり、ピークは
各1個ずつであり、その保持時間は以下の通りであっ
た。 実施例1のピーク :保持時間 18.69分 実施例2のピーク :保持時間 21.69分
【0079】(4)〔本発明化合物の同定〕 実施例1および実施例2の結果より、実施例1(原料化
合物は(S)−体である)および実施例2(原料化合物
は(R)−体である)で得た各生成物は互いが1−トリ
メチルシリルオキシ−2,2,2−トリフルオロエチル
ヘキシルケトンの鏡像異性体の関係にあり、また実施例
1および実施例2で得た各生成物の光学異性体分離用カ
ラムを有するガスクロマトグラフィーの各チャート〔前
記同定例(3)〕より、実施例1の生成物のピークは1
つであり、また実施例2の生成物のピークも1つである
ことから、原料化合物をトリメチルシリル化しても不斉
中心は反転しないことが確認された。
【0080】このことは、以下により裏付けられた。す
なわち、同定例(1)で得た標品(1−トリメチルシリ
ルオキシ−2,2,2−トリフルオロエチルヘキシルケ
トンの鏡像異性体混合物)について行った、同定例
(2)における光学異性体分離用カラムを有するガスク
ロマトグラフィーのチャートと、実施例1および実施例
2で得た各生成物を対象する前記同定例(3)の光学異
性体分離用カラムを有するガスクロマトグラフィーの各
チャートとを照準すると、同定例(2)の第1ピークの
保持時間が実施例1のピークと一致し、同定例(2)の
第2ピークの保持時間が同定例(3)の実施例2のピー
クと一致したことより裏付けされた。
【0081】従って、(S)−体を原料化合物とした実
施例1の生成物は、(S)−1−トリメチルシリルオキ
シ−2,2,2−トリフルオロエチルヘキシルケトンで
あり、(R)−体を原料化合物とした実施例2の生成物
は、(R)−1−トリメチルシリルオキシ−2,2,2
−トリフルオロエチルヘキシルケトンであることが同定
された。
【0082】
【発明の効果】本発明は、例えば電子ディバイスの素材
である反強誘電性液晶等の中間原料として、あるいは医
薬、農薬に用いられる化合物に種々の官能基を導入出来
るビルディングブロック剤等として有用であり、取り扱
いが容易な新規の光学活性な1−トリメチルシリルオキ
シ−2,2,2−トリフルオロエチルアルキルケトンを
提供し、非プロトン性有機溶剤中で、塩基の存在下に、
光学活性な1−ヒドロキシ−2,2,2−トリフルオロ
エチルアルキルケトンをトリメチルシリルトリフルオロ
メタンスルホナートと反応させることにより、上記化合
物を効率的に高収率で製造することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例1で得た1−ヒドロキシ−2,2,2−
トリフルオロエチルヘキシルケトンの 1H核磁気共鳴ス
ペクトル図である。
【図2】参考例1で得た1−ヒドロキシ−2,2,2−
トリフルオロエチルヘキシルケトンの赤外線吸収スペク
トル図である。
【図3】参考例2で得た1−ヒドロキシ−2,2,2−
トリフルオロエチルヘキシルケトンの鏡像異性体混合物
の光学活性な液体クロマトグラフィーのチャートであ
る。
【図4】参考例3で得た(S)−1−ヒドロキシ−2,
2,2−トリフルオロエチルヘキシルケトンの光学活性
な液体クロマトグラフィーのチャートである。
【図5】実施例1で得た(S)−1−トリメチルシリル
オキシ−2,2,2−トリフルオロエチルヘキシルケト
ンの 1H核磁気共鳴スペクトル図である。
【図6】実施例1で得た(S)−1−トリメチルシリル
オキシ−2,2,2−トリフルオロエチルヘキシルケト
ンの赤外線吸収スペクトル図である。
【図7】実施例2で得た(R)−1−トリメチルシリル
オキシ−2,2,2−トリフルオロエチルヘキシルケト
ンの 1H核磁気共鳴スペクトル図である。
【図8】実施例2で得た(R)−1−トリメチルシリル
オキシ−2,2,2−トリフルオロエチルヘキシルケト
ンの赤外線吸収スペクトル図である。
【図9】同定例(2)で得た1−トリメチルシリルオキ
シ−2,2,2−トリフルオロエチルヘキシルケトンの
鏡像異性体混合物(標品)の光学異性体分離用カラムを
有するガスクロマトグラフィーのチャートである。
【図10】同定例(3)で得た(S)−1−トリメチル
シリルオキシ−2,2,2−トリフルオロエチルヘキシ
ルケトンの光学異性体分離用カラムを有するガスクロマ
トグラフィーのチャートである。
【図11】同定例(3)で得た(R)−1−トリメチル
シリルオキシ−2,2,2−トリフルオロエチルヘキシ
ルケトンの光学異性体分離用カラムを有するガスクロマ
トグラフィーのチャートである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(1)で示される光学活性な1−トリ
    メチルシリルオキシ−2,2,2−トリフルオロエチル
    アルキルケトン。 【化1】
  2. 【請求項2】 非プロトン性有機溶媒中で、塩基存在下
    に、式(2)で示される光学活性な1−ヒドロキシ−
    2,2,2−トリフルオロエチルアルキルケトンと、ト
    リメチルシリルトリフルオロメタンスルホナートを反応
    させることを特徴とする請求項1記載の光学活性な1−
    トリメチルシリルオキシ−2,2,2−トリフルオロエ
    チルアルキルケトンの製造方法。 【化2】
JP5142717A 1993-05-21 1993-05-21 光学活性な1−トリメチルシリルオキシ−2,2,2−トリフルオロエチルアルキルケトンおよびその製造方法 Pending JPH06329685A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011134705A (ja) * 2009-11-27 2011-07-07 Ube Industries Ltd 非水電解液、それを用いた電気化学素子、及びそれに用いられるトリアルキルシリルオキシ基含有化合物

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