JPH07228552A - 光学活性な2−ヒドロキシアルキルベンゾアート誘導体のジアステレオマー混合物およびその製造方法 - Google Patents

光学活性な2−ヒドロキシアルキルベンゾアート誘導体のジアステレオマー混合物およびその製造方法

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JPH07228552A
JPH07228552A JP4204594A JP4204594A JPH07228552A JP H07228552 A JPH07228552 A JP H07228552A JP 4204594 A JP4204594 A JP 4204594A JP 4204594 A JP4204594 A JP 4204594A JP H07228552 A JPH07228552 A JP H07228552A
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benzyloxybenzoate
syn
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JP4204594A
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Toshio Kubota
俊夫 久保田
Norihisa Iijima
典久 飯島
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Toagosei Co Ltd
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Toagosei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 反強誘電性液晶化合物の中間原料として有
用な新規の含フッ素化合物およびその製造方法を提供す
る。 【構成】 新規化合物であるsyn−(1S,2R)−
2−ヒドロキシ−1−トリフルオロメチルアルキル=4
−ベンジルオキシベンゾアートおよびanti−(1
S,2S)−2−ヒドロキシ−1−トリフルオロメチル
アルキル=4−ベンジルオキシベンゾアートからなるジ
アステレオマー混合物、並びに有機溶媒中で、(S)−
1−ヒドロキシ−2,2,2−トリフルオロアルキルケ
トンを原料とし、アルカリ金属水素化物、4−ベンジル
オキシベンゾイルクロリドおよび金属水素化物を用いて
前記新規化合物を製造する方法。 【効果】 この新規化合物は、反強誘電性液晶化合物の
中間原料等として有用であり、簡単な操作で、効率的
に、かつ高収率で製造出来る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば大画面液晶ディ
スプレイおよび電子デバイス等の素材である反強誘電性
液晶化合物の中間原料として有用である新規の光学活性
な含フッ素化合物からなるジアステレオマー混合物およ
びその製造方法である。
【0002】
【従来の技術】大画面液晶ディスプレイ等の素材である
反強誘電性液晶化合物の中間原料として有用である
(R)−1−トリフルオロメチルアルキル=4−ベンジ
ルオキシベンゾアートは知られている。しかしながら、
この化合物から誘導される反強誘電性液晶化合物は強誘
電性液晶相がかなり高温側に存在するため、室温作動性
に劣り、かつ応答速度も遅く、大画面液晶ディスプレイ
材料として実用化されるに至っておらず、室温でのスイ
ッチング操作が容易な材料が強く求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者ら
は、室温で作動し、かつ高速応答性であり、スイッチン
グ操作の容易な反強誘電性液晶化合物の中間原料として
有用な新規の光学活性なジアステレオマー混合物につき
鋭意研究した結果、本発明の化合物を発明し、また該化
合物を効率的に、高収率で製造する方法を見出し、本発
明を完成した。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は新規化合物であ
る式(1)で示されるsyn−(1S,2R)−2−ヒ
ドロキシ−1−トリフルオロメチルアルキル=4−ベン
ジルオキシベンゾアート〔以下、syn体(1S,2
R)型2−ヒドロキシ=ベンジルオキシベンゾアートと
いう〕およびanti−(1S,2S)−2−ヒドロキ
シ−1−トリフルオロメチルアルキル=4−ベンジルオ
キシベンゾアート〔以下、anti体(1S,2S)型
2−ヒドロキシ=ベンジルオキシベンゾアートという〕
からなるジアステレオマー混合物(以下、本発明化合物
という)である。
【0005】
【化3】
【0006】また、本発明は、有機溶媒中で、式(2)
で示される(S)−1−ヒドロキシ−2,2,2−トリ
フルオロエチルアルキルケトン(以下、原料化合物とい
う)とアルカリ金属水素化物を反応させ、次いで反応生
成物と4−ベンジルオキシベンゾイルクロリドを反応さ
せた後、精製分離した生成物を、有機溶媒中で、金属水
素化物を用いて還元することにより、本発明化合物を製
造する方法に関するものである。
【0007】
【化4】
【0008】〔本発明化合物:syn体(1S,2R)
型2−ヒドロキシ=ベンジルオキシベンゾアートおよび
anti体(1S,2S)型2−ヒドロキシ=ベンジル
オキシベンゾアートからなるジアステレオマー混合物〕
本発明化合物は、前述の式(1)で示されるジアステレ
オマー混合物であり、式中、Rで表わされるアルキル基
は、炭素数3〜10の直鎖状アルキル基、すなわち、n
−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘ
キシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニ
ル基およびn−デシル基であり、それらの中でも製造の
容易性から有用であるアルキル基は炭素数4〜8の直鎖
状アルキル基である。
【0009】本発明化合物の特に好ましい具体例を示す
と、syn−(1S,2R)−2−ヒドロキシ−1−ト
リフルオロメチルヘキシル=4−ベンジルオキシベンゾ
アートおよびanti−(1S,2S)−2−ヒドロキ
シ−1−トリフルオロヘキシル=4−ベンジルオキシベ
ンゾアートからなるジアステレオマー混合物、syn−
(1S,2R)−2−ヒドロキシ−1−トリフルオロメ
チルオクチル=4−ベンジルオキシベンゾアートおよび
anti−(1S,2S)−2−ヒドロキシ−1−トリ
フルオロメチルオクチル=4−ベンジルオキシベンゾア
ートからなるジアステレオマー混合物、およびsyn−
(1S,2R)−2−ヒドロキシ−1−トリフルオロメ
チルデシル=4−ベンジルオキシベンゾアートおよびa
nti−(1S,2S)−2−ヒドロキシ−1−トリフ
ルオロメチルデシル=4−ベンジルオキシベンゾアート
からなるジアステレオマー混合物等が挙げられる。
【0010】〔原料化合物:(S)−1−ヒドロキシ−
2,2,2−トリフルオロエチルアルキルケトン〕原料
化合物である、前述の式(2)で示される(S)−1−
ヒドロキシ−2,2,2−トリフルオロエチルアルキル
ケトンは新規化合物であり、既に出願済である(特願平
5−77645)。
【0011】上記化合物を具体的に説明すると、式中、
Rで表わされる直鎖状アルキル基は式(1)のRに対応
し、好適な化合物の具体例としては、(S)−1−ヒド
ロキシ−2,2,2−トリフルオロエチル n−ブチル
ケトン、(S)−1−ヒドロキシ−2,2,2−トリフ
ルオロエチル n−ヘキシルケトンおよび(S)−1−
ヒドロキシ−2,2,2−トリフルオロエチル n−オ
クチルケトン等が挙げられる。
【0012】〔原料化合物の製造方法〕原料化合物の製
造方法について具体的に説明すると、(S)−トリフル
オロ乳酸エチルエステルと、式(3)で示されるグリニ
ヤール試薬を反応させ(原第一段反応)、次いで反応生
成物を鉱酸で加水分解する(原第二段反応)ことにより
得ることが出来る。
【0013】 RMgBr (3) (式中、Rは式(1)に対応する)
【0014】(原第一段反応)原第一段反応は、(S)
−トリフルオロ乳酸エチルエステルをエーテル溶媒に溶
解した溶液に、グリニャール試薬をエーテル溶媒に溶解
した溶液を滴下して行うのが好ましい。
【0015】エーテル溶媒としてはジエチルエーテル、
ジグリム、およびTHF等が挙げられる。(S)−トリ
フルオロ乳酸エチルエステルとエーテル溶媒との配合割
合は(S)−トリフルオロ乳酸エチルエステル1モルに
対して、エーテル3〜7リットルが好ましい。グリニヤ
ール試薬とエーテル溶媒との配合割合はグリニヤール試
薬1モルに対して1〜4リットルが好ましい。
【0016】(S)−トリフルオロ乳酸エチルエステル
とグリニヤール試薬の供給割合は、(S)−トリフルオ
ロ乳酸エチルエステル1モルに対して、グリニヤール試
薬は、1.9〜2.1モルが好ましい。また、(S)−
トリフルオロ乳酸エチルエステルへのグリニヤール試薬
の供給速度はグリニヤール試薬1モルを300〜500
分程度かけて滴下するのが好ましい。
【0017】反応温度は−100℃〜−40℃が好まし
く、例えばドライアイスアセトン浴を使用して−78℃
に保持して行なえばよい。グリニヤール試薬の反応系へ
の供給完了後、例えば2時間程度撹拌保持して、未反応
(S)−トリフルオロ乳酸エチルエステルを充分反応さ
せ、付加生成物を生成させ、次いで攪拌しながら1時間
程度かけて25℃まで昇温するとよい。
【0018】(原第二段反応)原第二段反応は、原第一
段反応で生成した付加生成物を鉱酸で加水分解し、原料
化合物を製造する。
【0019】鉱酸としては、塩酸、硫酸、硝酸等が挙げ
られ、特に好ましい鉱酸は塩酸である。鉱酸は原料とし
て使用した(S)−トリフルオロ乳酸エチルエステル1
モルに対して、2〜3グラム当量が好ましい。鉱酸の濃
度は1〜5Nが好ましい。
【0020】加水分解反応は、原第一段反応で得られた
反応液に鉱酸の水溶液を滴下して行うのが一般的である
が、鉱酸の水溶液に原第一段反応で得られた反応液を滴
下して行う方法を用いても差し支えない。鉱酸水溶液の
滴下時間は(S)−トリフルオロ乳酸エチルエステル1
モルに対して60〜120分間が好ましい。
【0021】加水分解反応は出来るだけ穏やかな温度で
行うことが好ましく、常温が特に好適である。鉱酸の滴
下後、更に常温付近で30分以上攪拌保持することによ
り、反応を完結させることが好ましい。
【0022】加水分解反応終了後、エーテル抽出等の操
作によって反応液から生成物を分離し、抽出液に無水硫
酸マグネシウムを加えて水分を除去した後、溶媒を減圧
で留去し、残ったシロップ状物質をシリカゲルカラムク
ロマトグラフィー等により精製し、無色透明な液状の生
成物である原料化合物を取得することができる。
【0023】〔本発明化合物:syn体(1S,2R)
型2−ヒドロキシ=ベンジルオキシベンゾアートおよび
anti体(1S,2S)型2−ヒドロキシ=ベンジル
オキシベンゾアートからなるジアステレオマー混合物の
製造方法〕本発明化合物は前述した通りであり、式
(4)で示されるように、まず、有機溶媒中で、上述し
た原料化合物とアルカリ金属水素化物を反応させ、反応
生成物を生成させる。
【0024】次いで、該反応生成物と4−ベンジルオキ
シベンゾイルクロリドを反応させた後、中間生成物であ
る(S)−1−(4−ベンジルオキシベンゾイルオキ
シ)−2,2,2−トリフルオロエチルアルキルケトン
〔以下、(S)−(ベンゾイルオキシ)アルキルケトン
という〕を精製分離する(第一段反応)。
【0025】
【化5】
【0026】次いで、式(5)で示されるように、該
(S)−(ベンゾイルオキシ)アルキルケトンを、有機
溶媒中で、金属水素化物を用いて還元することにより本
発明化合物を製造することが出来る(第二段反応)。
【0027】
【化6】
【0028】以下、本発明化合物の製造方法について更
に詳細に説明する。
【0029】(第一段反応)第一段反応は、前述の式
(4)に示したように、まず、有機溶媒中で、原料化合
物とアルカリ金属水素化物を反応させ、反応生成物を生
成する。
【0030】有機溶媒としては特に限定されるものでは
なく、例えばジエチルエーテル、n−ヘキサン、トルエ
ンおよびTHF等が挙げられ、特に好ましくはジエチル
エーテルである。
【0031】上記有機溶媒は、原料化合物1モルを基準
として、1〜5リットルが好ましく、特に好ましくは2
〜4リットルである。1リットル未満では反応熱の上昇
により水素の発生速度が増大して危険となる場合があ
り、5リットルを超えると経済的とはいえなくなる。
【0032】アルカリ金属水素化物としては水素化リチ
ウム、水素化ナトリウムおよび水素化カリウム等が挙げ
られ、経済的に安価である等の点から、水素化ナトリウ
ムが特に好ましい。市販のアルカリ金属水素化物は通
常、油性であるので、n−ヘキサン等で洗浄精製乾燥し
た後、有機溶媒に懸濁したものを用いるのがよい。
【0033】アルカリ金属水素化物は、原料化合物1モ
ルを基準として1.0〜1.2モルが好ましい。1.0
モル未満では反応生成物の収率低下を招き、1.2モル
を超えると経済的とはいえない。
【0034】この反応は、水素の異常発生を避け、反応
生成物を高収率で得るために、アルカリ金属水素化物の
有機溶媒懸濁液中に、原料化合物の有機溶媒溶液を滴下
することが好ましい。有機溶媒の使用比率はアルカリ金
属水素化物/原料化合物=1/9程度の容量比に按分す
ることが好ましい。
【0035】原料化合物の反応系への供給速度は、原料
化合物1モルを30〜90分程度かけて滴下するのが好
ましい。滴下をあまり短時間で行うと、反応熱によって
反応温度が上昇し、水素の発生速度が増大して危険を伴
う恐れがあり、滴下速度が遅いと経済的とはいえない。
【0036】上記の反応は−10℃〜10℃が好まし
く、特に好ましくは0℃付近である。−10℃未満では
経済的とはいえず、10℃を超えると反応熱によって反
応温度が上昇し、水素の発生速度が増大し、危険を伴う
恐れがある。
【0037】原料化合物の滴下完了後、撹拌しながら、
室温迄昇温し、引きつづき60分間程度撹拌保持して、
反応を完結させ、反応生成物を得る。
【0038】次いで、該反応生成物と、4−ベンジルオ
キシベンゾイルクロリドを有機溶媒中で反応させること
により、(S)−(ベンゾイルオキシ)アルキルケトン
を生成させる。
【0039】有機溶媒は前述の反応で用いた有機溶媒が
使用できる。従って前述の反応により得られた反応生成
物溶液に、4−ベンジルオキシベンゾイルクロリドの有
機溶媒溶液を直接加えることにより、反応を行うことが
出来る。
【0040】4−ベンジルオキシベンゾイルクロリドの
反応系への供給割合は、原料化合物1モルを基準とし
て、1.1〜1.3モルが好ましい。1.1モル未満で
は本発明化合物の収率の低下を招く恐れがあり、1.3
モルを超えると後述の精製操作が煩雑になるとともに、
経済的とはいえない。
【0041】4−ベンジルオキシベンゾイルクロリドは
有機溶媒に溶解して反応系へ供給するのが好ましい。有
機溶媒の好適な混合割合は4−ベンジルオキシベンゾイ
ルクロリド1モルに対して0.5〜2リットルが好まし
く、特に好ましくは0.9〜1.5リットルである。
0.5リットル未満では反応温度の制御が困難となる場
合があり、2リットルを超えると経済的とはいえない。
【0042】4−ベンジルオキシベンゾイルクロリドの
反応系への供給速度は、原料化合物1モルを基準として
1〜3時間が好ましい。あまり短時間ではゲル化する危
険があるとともに、反応温度の制御が困難となる場合が
あり、滴下速度があまり遅くては経済的とはいえない。
【0043】この反応温度は−10℃〜10℃が好まし
く、特に好ましくは0℃付近である。−10℃以下では
経済的とはいえず、10℃を超えると反応温度の制御が
困難となる恐れがある。
【0044】4−ベンジルオキシベンゾイルクロリド溶
液の滴下完了後、攪拌しながら室温まで昇温し、室温で
150分間程度撹拌保持することにより、反応を完結さ
せるとよい。
【0045】反応終了後、例えば室温で、1規定塩酸を
用いて、過剰のアルカリ金属水素化物あるいは4−ベン
ジルオキシベンゾイルクロリドを、それぞれ塩化アルカ
リあるいは4−ベンジルオキシベンゾアートとし、次い
で5%炭酸水素ナトリウム溶液等によってpH8程度に
調整することにより、4−ベンジルオキシベンゾアート
を水に可溶なソーダ塩とした後、エーテルを加えて生成
物を抽出し、続いて抽出液を水で洗浄し、無水硫酸マグ
ネシウムを加えて水分を除去した後、溶媒を減圧除去す
ることにより、残った淡黄色のシロップ状物質を得る。
次いで、この物質をシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ー等により精製し、活性炭等で脱色し、無色透明な液状
の中間生成物である(S)−(ベンゾイルオキシ)アル
キルケトンを得る。
【0046】なお、原料化合物である(S)−1−ヒド
ロキシ−2,2,2−トリフルオロエチルアルキルケト
ンの1位の不斉炭素原子に結合した水酸基を、4−ベン
ジルオキシベンゾイルオキシ基に置換しても、1位の不
斉炭素原子の不斉中心は反転を起こさず、(S)−(ベ
ンゾイルオキシ)アルキルケトンとなることは確認済み
である。
【0047】(第二段反応)次に、式(5)における反
応を説明すると、上記のようにして得られた(S)−
(ベンゾイルオキシ)アルキルケトンを、有機溶媒中
で、金属水素化物を用いて還元することにより、(S)
−(ベンゾイルオキシ)アルキルケトンのカルボニル炭
素へのヒドリドのジアステレオ面区別した攻撃を経由し
て付加生成物が生成し、これを酸処理することにより本
発明化合物が製造される。
【0048】好適な金属水素化物としては水素化ジイソ
ブチルアルミニウム、水素化アルミニウムリチウムおよ
び水素化ホウ素ナトリウム等が挙げられる。水素化アル
ミニウムリチウムを用いる場合は水素化アルミニウムリ
チウムの有機溶媒溶液が用いられ、例えば市販の水素化
アルミニウムリチウムの有機溶媒溶液としては1モル/
リットルのTHF溶液が挙げられる。
【0049】これらの金属水素化物は、(S)−(ベン
ゾイルオキシ)アルキルケトンのカルボニル基をジアス
テレオ面区別還元して、syn体(1S,2S)型とa
nti体(1S,2R)型との生成比率に最も大きな影
響を及ぼすと考えられる。従って目的に応じて、金属水
素化物を適宜選択すればよい。すなわち特定の金属水素
化物を用いることにより、syn体(1S,2S)型あ
るいはanti体(1S,2R)型を選択的に生成させ
ることができる。
【0050】例えば、syn体(1S,2R)型2−ヒ
ドロキシ=ベンジルオキシベンゾアートに富んだ本発明
化合物を得るのに好適な金属水素化物として、水素化ジ
イソブチルアルミニウムが挙げられ、他方、anti体
(1S,2S)型2−ヒドロキシ=ベンジルオキシベン
ゾアートに富んだ本発明化合物を得るのに好適な金属水
素化物として水素化アルミニウムリチウムの有機溶媒溶
液が挙げられる。
【0051】(S)−(ベンゾイルオキシ)アルキルケ
トンと金属水素化物の反応系への供給割合は、金属水素
化物の種類によって異なるが、例えば金属水素化物とし
て水素化ジイソブチルアルミニウムあるいは水素化ホウ
素ナトリウムを用いる場合は、(S)−(ベンゾイルオ
キシ)アルキルケトン1モルに対して1.0〜1.2グ
ラム当量(水素原子換算、以下同じ)が好ましい。1.
0グラム当量未満では本発明化合物の収率低下を招く恐
れがあり、1.2グラム当量を超えると経済的とはいえ
ない。
【0052】一方、金属水素化物として水素化アルミニ
ウムリチウムを用いる場合は、(S)−(ベンゾイルオ
キシ)アルキルケトン1モルに対して1.0〜1.1グ
ラム当量が好ましい。1.0グラム当量未満では本発明
化合物の収率低下を招く恐れがあり、1.1グラム当量
を超えると、(S)−(ベンゾイルオキシ)アルキルケ
トンにおけるエステル部分も還元されて副生物が増大
し、収率の低下を招く恐れがある。
【0053】有機溶媒としては、THF、ジエチルエー
テル、n−ヘキサン、トルエンおよびメタノール等が挙
げられる。
【0054】有機溶媒の使用割合は(S)−(ベンゾイ
ルオキシ)アルキルケトン1モルを基準として、1.6
〜4リットルが好ましい。1.6リットル未満では
(S)−(ベンゾイルオキシ)アルキルケトンにおける
エステル部分も還元され、副生成物が増大する可能性が
あり、4リットルを超えると経済的とはいえない。
【0055】(S)−(ベンゾイルオキシ)アルキルケ
トンと金属水素化物の好適な混合方法は、例えば、
(S)−(ベンゾイルオキシ)アルキルケトンの有機溶
媒溶液に、金属水素化物の有機溶媒溶液を滴下するのが
好適である。逆の供給方法を行うと、(S)−(ベンゾ
イルオキシ)アルキルケトンにおけるエステル部分も還
元されて、副生成物が増大し、収率の低下を招く恐れが
ある。
【0056】例えば、(S)−(ベンゾイルオキシ)ア
ルキルケトン1モルと、金属水素化物として水素化ジイ
ソブチルアルミニウムを前述した好適な量である1.0
〜1.2グラム当量用いた場合、上記した有機溶媒の好
適な量のうちの1リットル程度を水素化ジイソブチルア
ルミニウムに対して用い、残りの量を(S)−(ベンゾ
イルオキシ)アルキルケトンに対して用いるのが好適で
ある。
【0057】また、金属水素化物として水素化アルミニ
ウムリチウムの有機溶媒溶液を用いた場合、上記した有
機溶媒の好適な量のうち、(S)−(ベンゾイルオキ
シ)アルキルケトン1モルに対して有機溶媒1.5リッ
トル程度を用い、残りの有機溶媒は水素化アルミニウム
リチウムの有機溶媒を利用するのが好適である。
【0058】(S)−(ベンゾイルオキシ)アルキルケ
トン溶液中への金属水素化物溶液の滴下時間は、(S)
−(ベンゾイルオキシ)アルキルケトン1モルに対して
40〜90分が好ましい。40分未満では反応熱の除去
が困難であるとともに、(S)−(ベンゾイルオキシ)
アルキルケトンにおけるエステル部分も還元されて、副
生物が増大する恐れがある。90分間を超えると経済的
とはいえない。
【0059】(S)−(ベンゾイルオキシ)アルキルケ
トンと金属水素化物との反応温度は−10℃〜10℃が
好ましい。−10℃未満では経済的といえず、10℃を
超えると反応温度の制御が困難になるとともに(S)−
(ベンゾイルオキシ)アルキルケトンにおけるエステル
部分も還元され、副生物が増大する恐れがある。滴下完
了後、室温に昇温して、90分程度攪拌保持して、反応
を完結させる。
【0060】次いで得られた付加生成物を、常法に従い
酸処理することにより、ジアステレオマー混合物である
本発明化合物を生成させる。
【0061】酸としては鉱酸が適しており、具体的には
塩酸、硫酸、硝酸等があげられるが、それらの中でも塩
酸が最適である。塩酸を例にとると、その使用量は
(S)−(ベンゾイルオキシ)アルキルケトン1モルに
対して1〜2モルが好ましい。1モル未満では付加生成
物の分解が不十分となり、収率の低下を招く恐れがあ
り、2モルを超えると経済的とはいえない。またその濃
度は0.5〜2規定が好ましく、特に好ましくは0.8
〜1.2規定である。0.5規定未満では加水分解反応
時間が長くかかり、経済的とはいえない。2規定を超え
ると反応熱の制御が困難となり、収率の低下を招く。
【0062】付加生成物溶液中への酸の滴下時間は、
(S)−(ベンゾイルオキシ)アルキルケトン1モルに
対して、20〜40分間である。20分間未満では反応
熱の制御が困難となり収率の低下を招く恐れがあり、4
0分間を超えると経済的とはいえない。
【0063】酸処理温度は−10℃〜10℃が好まし
く、特に好ましくは0℃である。−10℃未満では経済
的とはいえず、10℃を超えると反応熱の制御が困難と
なり、収率の低下を招く。滴下終了後、0℃で30分間
程度攪拌保持して、反応を完結させる。
【0064】酸処理完了後、室温まで昇温して、エーテ
ルを加えて目的生成物を抽出し、次いで抽出液を水で洗
浄し、無水硫酸マグネシウムを加えて水分を除去した
後、溶媒を減圧濃縮することにより無色透明な液状の目
的生成物を製造することが出来る。
【0065】〔本発明化合物がsyn体およびanti
体のジアステレオマー混合物であることの確認〕上記目
的生成物である本発明化合物は、前述の式(5)中に示
した通り、syn体(1S,2R)型2−ヒドロキシ=
ベンジルオキシベンゾアートおよびanti体(1S,
2S)型2−ヒドロキシ=ベンジルオキシベンゾアート
からなるジアステレオマー混合物である。なお、本発明
化合物がsyn体(1S,2R)型およびanti体
(1S,2S)型のジステレオマー混合物であること
は、以下により確認済みである。
【0066】後記同定例2より明らかなごとく、まず、
別途、(S)−1−ヒドロキシ−2,2,2−トリフル
オロエチルアルキルケトンを金属水素化物を用いて有機
溶媒中で還元することにより得られ、各種スペクトル分
析の結果より確認された1,1,1−トリフルオロアル
カン−2,3−ジオールを、光学異性体分離用カラムを
有するガスクロマトグラフィーで分析することにより、
2本の光学異性体ピークが得られ、第1ピークとしてs
yn−(2S,3R)−1,1,1−トリフルオロアル
カン−2,3−ジオールが検出され、第2ピークとして
anti−(2S,3S)−1,1,1−トリフルオロ
アルカン−2,3−ジオールが検出される〔なお、これ
らの化合物は新規化合物であり、既に出願済みである
(特願平5−132453)〕。
【0067】また、前述の反応で得られた目的生成物で
ある本発明化合物を、酸により加水分解することにより
誘導され、各種スペクトル分析の結果より確認された
1,1,1−トリフルオロアルカン−2,3−ジオール
を、上記と同様に光学異性体分離用カラムを有するガス
クロマトグラフィーで分析すると、2本の光学異性体ピ
ークが得られ、第1ピークの保持時間は、上記で得たs
yn−(2S,3R)−1,1,1−トリフルオロアル
カン−2,3−ジオールの保持時間と一致し、第2ピー
クの保持時間は、上記で得たanti−(2S,3S)
−1,1,1−トリフルオロアルカン−2,3−ジオー
ルの保持時間と一致することより、本発明化合物を酸に
より加水分解して得たジオール誘導体は、syn−(2
S,3R)−1,1,1−トリフルオロアルカン−2,
3−ジオールおよびanti−(2S,3S)−1,
1,1−トリフルオロアルカン−2,3−ジオールのジ
アステレオマー混合物であることが確認される。
【0068】従って、本発明化合物がsyn体(1S,
2R)型2−ヒドロキシ=ベンジルオキシベンゾアート
およびanti体(1S,2S)型2−ヒドロキシ=ベ
ンジルオキシベンゾアートからなるジアステレオマー混
合物であることが確認される。
【0069】〔本発明化合物におけるsyn体(1S,
2R)型/anti体(1S,2S)型の生成比率〕後
記同定例2より明らかなごとく、目的生成物より誘導さ
れた前記ジオール誘導体を光学異性体分離用カラムを用
するガスクロマトグラフィーにより分析することにより
得られる第1ピーク〔syn体(2S,3R)型〕、お
よび第2ピーク〔anti体(2S,3S)型〕の各面
積比から、目的生成物のsyn体(1S,2R)型およ
びanti体(1S,2S)型の生成比率を確認するこ
とが出来る。
【0070】また、同じく後記同定例2より明らかなご
とく、目的生成物を19FNMRスペクトルで分析するこ
とにより得られる2本のピークのうち、−1.33pp
mのピークはsyn体(1S,2R)型2−ヒドロキシ
=ベンジルオキシベンゾアートであり、−3.50pp
mのピークはanti体(1S,2S)型2−ヒドロキ
シ=ベンジルオキシベンゾアートであることより、これ
らのピークの面積比から、目的生成物のsyn体(1
S,2R)型およびanti体(1S,2S)型の生成
比率を確認することが出来る。
【0071】本発明の製造方法によれば、金属水素化物
の種類にもよるが、syn体(1S,2R)型2−ヒド
ロキシ=ベンジルオキシベンゾアート/anti体(1
S,2S)型2−ヒドロキシ=ベンジルオキシベンゾア
ート=70〜25/30〜75(面積比)からなるジア
ステレオマー混合物である本発明化合物が得られる。
【0072】
【実施例】以下、参考例および実施例に基づいて本発明
を具体的に説明する。 (参考例1)〔原料化合物:(S)−1−ヒドロキシ−
2,2,2−トリフルオロエチル n−ヘキシルケトン
の製造〕 (原第一段反応)還流冷却器、温度計、撹拌機、ロート
を備えた四ツ口丸底フラスコに、立体配置既知の(S)
−トリフルオロ乳酸(光学純度99.5%e.e)〔日
本化学会誌、1989(9)P1576〜1586、久
保田等著「含トリフルオロメチル化合物構成試薬として
のα−アルコキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオ
ロプロペンの合成と反応」の文献記載の方法により合成
したもの〕より誘導された(S)−トリフルオロ乳酸エ
チルエステル51.6g(300ミリモル)とエーテル
1500mlを入れ、ドライアイスアセトンバス中に浸
漬し、撹拌しながら−78℃に冷却した。
【0073】この溶液を撹拌しながら、n−ヘキシルマ
グネシウム=ブロミド113.4g(600ミリモル)
のエーテル溶液1,500mlを滴下ロートから、反応
温度−50℃以下で180分間かけて滴下した。滴下完
了後、−78℃で2時間撹拌放置した後、ドライアイス
アセトンバスを取り去り、撹拌しながら60分間かけ
て、室温まで昇温した。
【0074】(原第二段反応)次いで、上述で得られた
反応液に2規定塩酸水溶液600mlを室温で50分間
かけて滴下し、滴下完了後30分間撹拌した。得られた
反応液をエーテルで抽出し、抽出液に無水硫酸マグネシ
ウムを加えて水分を除去した後、エーテルを減圧留去
し、シロップ状の粗生成物をシリカゲルカラムクロマト
グラフィー〔溶離液n−ヘキサン/イソプロパノール=
90/10(容量比)〕で精製し、無色透明な液状の生
成物〔収量38.2g(180ミリモル)収率60%〕
を得た。
【0075】この生成物の 1HNMRスペクトル、19
NMRスペクトル、IR吸収スペクトルおよびMSスペ
クトルを測定した結果は次の通りであり、1−ヒドロキ
シ−2,2,2−トリフルオロエチル n−ヘキシルケ
トンであることが確認された
【0076】1HNMRスペクトル(CDCl3 ) :0.5〜2.05ppm (11H,m) :2.20〜2.95ppm (2H,m) :3.45ppm (1H,m) :3.72〜4.50ppm (1H,b)19 FNMRスペクトル(from ext.CF3 CO
OH) :−2.17ppm IR吸収スペクトル(neat) :1,730cm-1 (CO) :3,510cm-1 (OH) MSスペクトル :m/z 212 (M+
【0077】また、 1HNMRスペクトル図およびIR
吸収スペクトル図を、それぞれ図1および図2に示す。
【0078】また、この生成物を次の条件下で、光学活
性な液体クロマトグラフィーにかけた。 ・光学異性体分離カラム〔商品名:アミロース系光学異
性体分離用HPLCカラム;ダイセル化学工業(株)
製〕 :分離剤…アミロース・トリス〔(S)−1−フェニル
エチルカルバメートをシリカゲルでコーティングしたも
の(商品名 CHIRALPAK AS)〕 :サイズ4.6mmφ×250mmH ・溶離液 :n−ヘキサン/イソプロピルアルコール=
96/4(容量比) ・流速 :0.5ml/min ・カラム温度 :常温 ・検出 :紫外検出器で波長254nmの紫外吸収を用い
た。 ・試料 :0.1mg
【0079】上記光学活性な液体クロマトグラフィーの
チャートは図3の通りであり、1本の光学活性なピーク
が得られ、その保持時間は以下の通りであった。 保持時間:10.69分
【0080】次いで上記生成物の比施光度〔α〕25 D
よび光学純度を求めたところ以下の通りであった。 比施光度〔α〕25 D :−9.50(c=3.47、メタ
ノール) 光学純度:99.5%ee
【0081】以上の結果より、生成物は(S)−1−ヒ
ドロキシ−2,2,2−トリフルオロエチル n−ヘキ
シルケトンであることが確認された。
【0082】(実施例1)〔本発明化合物:syn−
(1S,2R)−2−ヒドロキシ−1−トリフルオロメ
チルオクチル=4−ベンジルオキシベンゾアートおよび
anti−(1S,2S)−2−ヒドロキシ−1−トリ
フルオロメチルオクチル=4−ベンジルオキシベンゾア
ートからなるジアステレオマー混合物の製造〕 (金属水素化物:水素化ジイソブチルアルミニウム) (第一段反応)〔(S)−1−(4−ベンジルオキシベ
ンゾイルオキシ)−2,2,2−トリフルオロエチル
n−ヘキシルケトンの製造〕 温度計、攪拌機、還流冷却器および滴下ロートを備えた
四つ口丸底フラスコにn−ヘキサンで洗浄精製乾燥した
水素化ナトリウム4.9g(204ミリモル)とジエチ
ルエーテル50mlを入れ、該フラスコを氷水バス中に
挿入し、攪拌しながら、0℃の懸濁液を調合した。
【0083】次いで滴下ロートに参考例1で得た(S)
−1−ヒドロキシ−2,2,2−トリフルオロエチル
n−ヘキシルケトン36.0g(170ミリモル)とジ
エチルエーテル450mlを入れ、均一な溶液とし、攪
拌しながら、28分間かけて滴下した。滴下完了後、氷
水バスを取り去り、攪拌しながら25℃迄昇温し、引き
つづき25℃で60分間攪拌保持し、反応を完結させ
た。
【0084】次いで上述のフラスコを、再度、氷水バス
中に挿入し、0℃に保持した。別途、滴下ロートに4−
ベンジルオキシベンゾイルクロリド50.3g(204
ミリモル)とジエチルエーテル200mlを入れ、攪拌
しながら、55分間かけて滴下した。滴下完了後、氷水
バスを取り去り、攪拌しながら、25℃迄昇温させ、引
きつづき25℃で150分間攪拌保持して、反応を完結
させた。
【0085】反応終了後、25℃で1規定塩酸170m
lを入れ、60分間攪拌保持した後、5%炭酸水素ナト
リウム溶液でpH8に調整した。次いでエーテルで抽出
し、抽出液を水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを
加えて水分を除去した後、減圧濃縮により溶媒を留去
し、残った淡黄色のシロップ状物質をシリカゲルカラム
クロマトグラフィー〔溶離液n−ヘキサン/イソプロピ
ルアルコール=96/4(容量比)〕にて精製した溶液
に、粒状活性炭3gを加えて30分間攪拌した後、粒状
活性炭をろ別し、溶離液を減圧濃縮し、無色透明な液状
の生成物〔収量61g(145ミリモル)、収率85
%〕を得た。
【0086】この生成物の 1HNMRスペクトル、19
NMRスペクトル、IR吸収スペクトルおよびMSスペ
クトルを測定した結果は次の通りであり、1−(4−ベ
ンジルオキシベンゾイルオキシ)−2,2,2−トリフ
ルオロエチル n−ヘキシルケトンであることが確認さ
れた。
【0087】1HNMRスペクトル(CDCl3 ) :0.40〜1.75ppm (11H,m) :2.20〜2.72ppm (2H,m) :3.90〜4.55ppm (3H,m) :6.65〜7.71ppm (9H,m)19 FNMRスペクトル(from ext.CF3 CO
OH) :−5.50ppm IR吸収スペクトル(neat) :1,740cm-1 (CO) :1,770cm-1 (COO) MSスペクトル :m/Z 422 (M+
【0088】また 1HNMRスペクトル図、IR吸収ス
ペクトル図をそれぞれ図4および図5に示す。
【0089】この生成物は後述の同定例1より、(S)
−1−(4−ベンジルオキシベンゾイルオキシ)−2,
2,2−トリフルオロエチル n−ヘキシルケトンであ
ることが確認された。
【0090】(第二段反応)〔金属水素化物として水素
化ジイソブチルアルミニウムを用いたsyn−(1S,
2R)−2−ヒドロキシ−1−トリフルオロメチルオク
チル=4−ベンジルオキシベンゾアートおよびanti
−(1S,2S)−2−ヒドロキシ−1−トリフルオロ
メチルオクチル=4−ベンジルオキシベンゾアートから
なるジアステレオマー混合物の製造〕 温度計、攪拌機、還流冷却器および滴下ロートを備えた
四つ口丸底フラスコに、第一段反応で得た(S)−1−
(4−ベンジルオキシベンゾイルオキシ)−2,2,2
−トリフルオロエチル n−ヘキシルケトン54.9g
(130ミリモル)とTHF130mlを入れ、攪拌し
ながら均一な溶液とし、氷水バス中に挿入し、0℃に調
整した。
【0091】また、水素化ジイソブチルアルミニウム2
0.3g(143ミリモル)とTHF130mlを滴下
ロートに入れ、上記溶液を攪拌しながら、0℃で25分
間かけて滴下した。
【0092】滴下完了後、氷水バスを取り去り、攪拌し
ながら25℃迄昇温し、引きつづき、25℃で90分間
攪拌保持して、反応を完結させた。
【0093】次いで、上記で得られた反応液を再度、氷
水バスで0℃に冷却し、滴下ロートに1規定塩酸200
mlを入れ、6分間かけて滴下し、滴下完了後、0℃で
30分間攪拌保持して反応を完結させた。得られた反応
液をエーテルで抽出し、抽出液に無水硫酸マグネシウム
を加えて水分を除去した後、エーテルを減圧留去し、無
色透明な液状の目的生成物〔収量48.3g(114ミ
リモル)収率87.3%〕を得た。
【0094】この目的生成物の 1HNMRスペクトル、
IR吸収スペクトルおよびMSスペクトルを測定した結
果は次の通りであり、2−ヒドロキシ−1−トリフルオ
ロメチルオクチル=4−ベンジルオキシベンゾアートで
あることが確認された。
【0095】1HNMRスペクトル(CDCl3 ) :0.45〜1.92ppm (13H、m) :2.83〜3.20ppm (1H、m) :3.84〜4.21ppm (1H、m) :4.21〜4.64ppm (OH、b) :4.76〜4.93ppm (2H、m) :6.64〜7.83ppm (10H、m) IR吸収スペクトル(neat) :1,110cm-1(COC) :1,760cm-1(CO) :3,450cm-1(OH) MSスペクトル m/Z 424(M+
【0096】1HNMRスペクトル図およびIR吸収ス
ペクトル図を、それぞれ図6および図7に示す。
【0097】また、この生成物の19FNMRスペクトル
を測定した結果は次の通りであり、その結果および後記
同定例2より、実施例1の第二段反応で得た目的生成物
がsyn−(1S,2R)−2−ヒドロキシ−1−トリ
フルオロメチルオクチル=4−ベンジルオキシベンゾア
ート/anti−(1S,2S)−2−ヒドロキシ−1
−トリフルオロメチルオクチル=4−ベンジルオキシベ
ンゾアート=70/30(面積比)からなるジアステレ
オマー混合物であることが判明した。
【0098】19FNMRスペクトル(from ex
t.CF3 COOH) :−1.33ppm 面積比 70%〔syn体(1
S,2R)型*1〕 :−3.50ppm 面積比 30%〔anti体(1
S,2S)型*1〕 (*1 後記同定例2により確認)
【0099】(同定例1)〔実施例1の第一段反応で得
られた中間生成物が、(S)−1−(4−ベンジルオキ
シベンゾイルオキシ)−2,2,2−トリフルオロエチ
ル n−ヘキシルケトンであることの同定〕 実施例1の第一段反応で得られた中間生成物である
(S)−1−(4−ベンジルオキシベンゾイルオキシ)
−2,2,2−トリフルオロエチル n−ヘキシルケト
ン4.22g(10ミリモル)と、3規定塩酸50ml
とメタノール200mlを、還流冷却器、温度計、撹拌
機、ロートを備えた四ツ口丸底フラスコを入れ、撹拌し
ながら、80℃まで昇温し、6時間還流して、加水分解
反応を行った。反応終了後、室温まで冷却した後、エー
テル抽出し、得られた抽出液を20%炭酸水素ナトリウ
ム水溶液20mlで洗浄し、次いで水200mlで洗浄
したのち、無水硫酸マグネシウムを加えて、水分を除去
した後、エーテルを減圧留去し、無色透明な液状の生成
物〔収量1.70g(8ミリモル)収率80%〕を得
た。
【0100】この生成物の 1HNMRスペクトル、19
NMRスペクトル、1R吸収スペクトルおよびMSスペ
クトルを測定した結果、参考例1と同一であり、1−ヒ
ドロキシ−2,2,2−トリフルオロエチル n−ヘキ
シルケトンであることが確認された。
【0101】また上記生成物を参考例1と同様な条件で
光学活性な液体クロマトグラフィーで分析したところ、
保持時間が参考例1と一致する1本の光学活性ピークが
得られ、またこの生成物の比旋光度および光学純度を測
定したところ、参考例1と一致したことより、この生成
物が(S)−1−ヒドロキシ−2,2,2−トリフルオ
ロエチル n−ヘキシルケトンであることが確認され
た。
【0102】以上のことより、(S)−1−ヒドロキシ
−2,2,2−トリフルオロエチルn−ヘキシルケトン
の1位の不斉炭素原子に結合した水酸基を、4−ベンジ
ルオキシベンゾイルオキシ基に置換しても1位の不斉炭
素原子の不斉中心は反転を起さず、(S)−1−(4−
ベンジルオキシベンゾイルオキシ)−2,2.2−トリ
フルオロエチル n−ヘキシルケトンが得られることが
判明した。
【0103】(同定例2)〔実施例1の第二段反応で得
られた目的生成物が、syn−(1S,2R)−2−ヒ
ドロキシ−1−トリフルオロメチルオクチル=4−ベン
ジルオキシベンゾアートおよびanti−(1S,2
S)−2−ヒドロキシ−1−トリフルオロメチルオクチ
ル=4−ベンジルオキシベンゾアートからなるジアステ
レオマー混合物であることの同定〕 実施例1の第二段反応で得られた目的生成物を用いて以
下の同定を行った。まず、該目的生成物を酸で加水分解
することによりジオール誘導体を生成した。次いでこの
ジオール誘導体を光学異性体分離用カラムを有するガス
クロマトグラフィーにかけた結果、2本の光学活性なピ
ークが検出され、第1ピークおよび第2ピークの保持時
間に間隔があること、また第1ピーク/第2ピーク=7
0/30(面積比)であることを確認した。
【0104】次いで、前記ジオール誘導体をシリカゲル
カラムクロマトグラフィーにかけ、第1フラクションお
よび第2フラクションを分取した。各フラクションをパ
ラトルエンスルホン酸を用いてアセタール交換反応を行
い、1,3−ジオキソラン誘導体とし、270MHzの
1HNMRスペクトルを求めることにより、第1フラク
ションから誘導された1,3−ジオキソラン誘導体がt
rans体であり、第2フラクションから誘導された
1,3−ジオキソラン誘導体がcis体であることを確
認し、これより、ジオール誘導体の第1フラクションが
syn体(1S,2R)型であり、第2フラクションが
anti体(1S,2S)型であることが確認された。
【0105】上記の結果より、実施例1の第二段反応で
得られた目的生成物がsyn−(1S,2R)−2−ヒ
ドロキシ−1−トリフルオロメチルオクチル=4−ベン
ジルオキシベンゾアート/anti−(1S,2S)−
2−ヒドロキシ−1−トリフルオロメチルオクチル=4
−ベンジルオキシベンゾアート=70/30(面積比)
からなるジアステレオマー混合物であることを確認し
た。
【0106】上記同定例を更に具体的に説明する。還流
冷却器、温度計、攪拌機および滴下ロートを備えた四つ
口丸底フラスコに実施例1の第二段反応で得た目的生成
物12.72g(30ミリモル)、3規定塩酸150m
lおよびメタノール600mlを加えて、攪拌しなが
ら、80℃まで昇温し、6時間還流して加水分解反応を
行った。
【0107】反応終了後、室温まで冷却した後、エーテ
ル抽出し、得られた抽出液を20%炭酸水素ナトリウム
水溶液60mlで洗浄し、次いで水600mlで洗浄し
た後、無水硫酸マグネシウムを加えて、水分を除去した
後、エーテルを減圧留去し、無色透明な液状の生成物
〔収量5.14g(24ミリモル)収率80%〕を得
た。
【0108】得られた生成物の 1HNMRスペクトル、
19FNMRスペクトル、IR吸収スペクトルおよびMS
スペクトルを測定した結果は次の通りであり、1,1,
1−トリフルオロノナン−2,3−ジオールであること
が確認された。1 HNMRスペクトル(CDCl3 ) :0.65〜2.16ppm (13H,m) :2.90〜3.60ppm (2H,m) :3.60〜4.24ppm (2H,m)19 FNMRスペクトル(from ext.CF3 CO
OH) :−0.40ppm 面積比 70%〔syn体(1
S,2R)型*2〕 :−1.85ppm 面積比 30%〔anti体(1
S,2S)型*2〕 ( *2 本同定例により確認) IR吸収スペクトル(neat) :3,400cm-1(OH) MSスペクトル :m/Z 214(M+
【0109】また 1HNMRスペクトル図、およびIR
吸収スペクトル図をそれぞれ図8および図9に示す。
【0110】上記で得た生成物を下記条件で光学異性体
分離用カラムを有するガスクロマトグラフィーにかけ
た。 カラム :商品名シクロデックスβ236M(クロム
パック社製) 内径0.25mmφ,長さ25m シリカキャピラリーカラム カラム温度:80℃×10分保持した後、昇温速度4℃
/minで、200℃まで昇温 キャリアーガス:ヘリウム :流速 ガス流量70ml/min :スプリット比100/1 検出 :FID
【0111】上記ガスクロマトグラフィーのチャートは
図10の通りであり、図10の解析結果は次の通りであ
り、光学活性な2本のピークが検出され、第1ピークお
よび第2ピークの保持時間に間隔があること、また第1
ピーク/第2ピーク=70/30(面積比)であること
を確認した。
【0112】第1ピーク 〔syn−(2S,3R)−1,1,1−トリフルオロ
ノナン−2,3−ジオール*3〕 ・保持時間:37.0分 ・面積比 :70% 第2ピーク 〔anti−(2S,3S)−1,1,1−トリフルオ
ロノナン−2,3−ジオール*3〕 ・保持時間:38.5分 ・面積比 :30% (*3 本同定例により確認)
【0113】また、上記生成物〔4.28g(20ミリ
モル)〕をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離
液n−ヘキサン)にかけ、第1フラクションと第2フラ
クションを分取し、溶媒を留去して次の通り第1フラク
ションと第2フラクションを得た。
【0114】第1フラクション 〔syn−(2S,3R)−1,1,1−トリフルオロ
ノナン−2,3−ジオール*3〕 ・収得量 :2.70g(12.6ミリモル) ・収得率 :63% 第2フラクション 〔anti−(2S,3S)−1,1,1−トリフルオ
ロノナン−2,3−ジオール*3〕 ・収得量 :1.16g(5.4ミリモル) ・収得率 :27% (*3 本同定例により確認)
【0115】還流冷却器、温度計、攪拌機および滴下ロ
ートを備えた四つ口丸底フラスコに、上記各フラクショ
ンを各4ミリモルと、2,2−ジメトキシプロパン4m
gおよびパラトルエンスルホン酸0.1gを加えて、9
0℃で5時間還流し、アセタール交換反応を行い、反応
終了後、各反応生成物をシリカゲルカラムクロマトグラ
フィー(溶離液n−ヘキサン)を用いて分取し、82℃
で蒸留し、留分を濃縮して、いずれも無色透明な液状の
各生成物を得た。
【0116】これらの各生成物の60MHzの 1HNM
Rスペクトル、IR吸収スペクトルおよびMSスペクト
ルを測定した結果は次の通りであり、各々2,2−ジメ
チル−4−n−ヘキシル−5−トリフルオロメチル−
1,3−ジオキソラン(以下、1,3−ジオキソラン誘
導体という)であることが確認された。
【0117】1HNMRスペクトル(CDCl3 ) :0.80〜2.00ppm (13H,m) :2.80〜4.30ppm (2H,m) IR吸収スペクトル(neat) :1,090cm-1 (COC) :2,940cm-1 (CH) MSスペクトル :m/Z 254 (M+
【0118】また 1HNMRスペクトル図、IR吸収ス
ペクトル図をそれぞれ図11および図12に示す。
【0119】更に、上記各1,3−ジオキソラン誘導体
19FNMRスペクトルで測定した結果は、次の通りで
あった。19 FNMRスペクトル(from ext.CF3 CO
OH) 第1フラクションから誘導された1,3−ジオキソラン
誘導体 :−0.27ppm 第2フラクションから誘導された1,3−ジオキソラン
誘導体 :−3.50ppm
【0120】また、上記各1,3−ジオキソラン誘導体
の270MHzの 1HNMRスペクトルを求めた結果は
表1の通りであり、メチル基とメチンプロトンの位置か
ら、第1フラクションから誘導された1,3−ジオキソ
ラン誘導体は、trans−2,2−ジメチル−4−n
−ヘキシル−5−トリフルオロメチル−1,3−ジオキ
ソランであり、第2フラクションから誘導された1,3
−ジオキソラン誘導体は、cis−2,2−ジメチル−
4−n−ヘキシル−5−トリフルオロメチル−1,3−
ジオキソランであることが確認された。
【0121】
【表1】
【0122】上記の結果より、前述のジオール誘導体の
第1フラクションはsyn−(2S,3R)−1,1,
1−トリフルオロノナン−2,3−ジオールであり、第
2フラクションはanti−(2S,3S)−1,1,
1−トリフルオロノナン−2,3−ジオールであること
が確認され、かつそれらのフラクションの収得比率は第
1フラクション/第2フラクション=63/23(%)
〔70/30(収得比)〕であり、これが光学異性体分
離用カラムを有するガスクロマトグラフフィーで検出さ
れた第1ピークおよび第2ピークの面積比と一致したこ
とから、該ジオール誘導体はsyn−(2S,3R)−
1,1,1−トリフルオロノナン−2,3−ジオールお
よびanti−(2S,3S)−1,1,1−トリフル
オロノナン−2,3−ジオールからなるジアステレオマ
ー混合物であり、その生成比率はsyn体(2S,3
R)型/anti体(2S,3S)型=70/30(面
積比)であることが判明した。
【0123】従って、実施例1の第二段反応で得られた
目的生成物はsyn−(1S,2R)−2−ヒドロキシ
−1−トリフルオロメチルオクチル=4−ベンジルオキ
シベンゾアートおよびanti−(1S,2S)−2−
ヒドロキシ−1−トリフルオロメチルオクチル=4−ベ
ンジルオキシベンゾアートからなるジアステレオマー混
合物であリ、その生成比率はsyn体(1S,2R)型
/anti体(1S,2S)型=70/30(面積比)
であることが確認された。
【0124】また、実施例1の第二段反応で得られた目
的生成物の19FNMRスペクトルの第1ピーク(−1.
33ppm)と第2ピーク(−3.50ppm)の面積
比は70/30であり、この比が、上記で明らかとなっ
た実施例1の第二段反応で得られた目的生成物のsyn
体(2S,3R)型/anti体(2S,3S)型の面
積比と一致したことより、目的生成物の19FNMRスペ
クトルの第1ピーク(−1.33ppm)はsyn体
(2S,3R)型であり、また第2ピーク(−3.50
ppm)はanti体(2S,3S)型であることが判
明した。
【0125】従って、目的生成物を19FNMRスペクト
ルで分析することにより得られる2つのピークのうち、
−1.33ppmのピークはsyn−(1S,2R)−
2−ヒドロキシ−1−トリフルオロメチルオクチル=4
−ベンジルオキシベンゾアートを示し、−3.50pp
mのピークはanti体−(1S,2S)−2−ヒドロ
キシ−1−トリフルオロメチルオクチル=4−ベンジル
オキシベンゾアートを示すこと、またこれらのピークの
面積比から、目的生成物のsyn体(2S,3R)型お
よびanti体(2S,3S)型の生成比率を確認出来
ることが明確となった。
【0126】(実施例2)〔本発明化合物:syn−
(1S,2R)−2−ヒドロキシ−1−トリフルオロメ
チルオクチル=4−ベンジルオキシベンゾアートおよび
anti−(1S,2S)−2−ヒドロキシ−1−トリ
フルオロメチルオクチル=4−ベンジルオキシベンゾア
ートからなるジアステレオマー混合物の製造〕 (金属水素化物:水素化アルミニウムリチウム有機溶媒
溶液) (第一段反応)〔(S)−1−(4−ベンジルオキシベ
ンゾイルオキシ)−2,2,2−トリフルオロエチル
n−ヘキシルケトンの製造〕実施例1の第一段反応と同
様にして、(S)−1−(4−ベンジルオキシベンゾイ
ルオキシ)−2,2,2−トリフルオロエチル n−ヘ
キシルケトン〔収量61g(145ミリモル)、収率8
5%〕を得た。
【0127】(第二段反応)〔金属水素化物として水素
化アルミニウムリチウム有機溶媒溶液を用いたsyn−
(1S,2R)−2−ヒドロキシ−1−トリフルオロメ
チルオクチル=4−ベンジルオキシベンゾアートおよび
anti−(1S,2S)−2−ヒドロキシ−1−トリ
フルオロメチルオクチル=4−ベンジルオキシベンゾア
ートからなるジアステレオマー混合物の製造〕 温度計、攪拌機、還流冷却器、および滴下ロートを備え
た四つ口丸底フラスコに、上記第一段反応で得た(S)
−1−(4−ベンジルオキシベンゾイルオキシ)−2,
2,2−トリフルオロエチル−n−ヘキシルケトン5
4.9g(130ミリモル)とTHF195mlを入
れ、他方、滴下ロートに水素化アルミニウムリチウム溶
液34ml〔水素化アルミニウムリチウム1.29g
(34ミリモル)をTHF溶媒で溶解した水素化アルミ
ニウムリチウム溶液〔濃度1モル/リットル(アルドリ
ッチ社製)〕を入れた以外は実施例1の第二段反応と同
様に反応を行い、無色透明な液状の目的生成物〔収量4
8.5g(115ミリモル)収率88.2%〕を得た。
なお、第一段反応の原料化合物である(S)−1−ヒド
ロキシ−2,2,2−トリフルオロエチル n−ヘキシ
ルケトンを基準とした目的生成物の収率は77%であっ
た。
【0128】上記目的生成物の 1HNMRスペクトル、
IR吸収スペクトルおよびMSスペクトルを測定した結
果は実施例1と同様であり、2−ヒドロキシ−1−トリ
フルオロメチルオクチル=4−ベンジルオキシベンゾア
ートであることが確認された。
【0129】また、実施例2で得た目的生成物を19FN
MRスペクトルを測定した結果、次の通りであった。19 FNMRスペクトル(from ext.CF3 CO
OH) −1.33ppm 面積比 25%〔syn体(1S,
2R)型*4〕 −3.50ppm 面積比 75%〔anti体(1
S,2S)型*4〕 ( *4 後記同定例3により確認)
【0130】上記の結果と、後記同定例3より、実施例
2で得た目的生成物がsyn−(1S,2R)−2−ヒ
ドロキシ−1−トリフルオロメチルアルキル=4−ベン
ジルオキシベンゾアート/anti−(1S,2S)−
2−ヒドロキシ−1−トリフルオロメチルアルキル=4
−ベンジルオキシベンゾアート=25/75(面積比)
からなるジアステレオマー混合物であることが判明し
た。
【0131】(同定例3)〔実施例2の第二段反応で得
られた目的生成物が、syn−(1S,2R)−2−ヒ
ドロキシ−1−トリフルオロメチルオクチル=4−ベン
ジルオキシベンゾアートおよびanti−(1S,2
S)−2−ヒドロキシ−1−トリフルオロメチルオクチ
ル=4−ベンジルオキシベンゾアートからなるジアステ
レオマー混合物であることの同定〕 実施例1の第二段反応で得られた目的生成物に代えて、
実施例2の第二段反応で得られた目的生成物を用いた以
外は、同定例1と同様にして同定を行なった結果、該生
成物を酸で加水分解することにより生成した1,1,1
−トリフルオロノナン−2,3−ジオールを光学異性体
分離用カラムを有するガスクロマトグラフィーで分析し
たチャートは図13の通りであり、図13の解析結果は
次の通りであった。
【0132】第1ピーク 〔syn−(2S,3R)−1,1,1−トリフルオロ
ノナン−2,3−ジオール*5〕 ・保持時間:37.0分 ・面積比 :25% 第2ピーク 〔anti−(2S,3S)−1,1,1−トリフルオ
ロノナン−2,3−ジオール*5〕 ・保持時間:38.5分 ・面積比 :75% (*5 本同定例により確認)
【0133】また、上記生成物〔4.71g(22ミリ
モル)〕をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離
液n−ヘキサン)にかけ、第1フラクションと第2フラ
クションを分取し、溶媒を留去して次の通り第1フラク
ションと第2フラクションを得た。
【0134】第1フラクション 〔syn−1,1,1−トリフルオロノナン−2,3−
ジオール*5〕 ・収得量 :1.06g(5.0ミリモル) ・収得率 :22.5% 第2フラクション 〔anti−1,1,1−トリフルオロノナン−2,3
−ジオール*5〕 ・収得量 :3.18g(14.9ミリモル) ・収得率 :67.5% (*5 本同定例により確認)
【0135】また、上記各フラクションを60MHzの
1HNMRスペクトル、IR吸収スペクトルおよびMS
スペクトルにかけ確認された、各2,2−ジメチル−4
−n−ヘキシル−5−トリフルオロノナン−1,3−ジ
オキソランの270MHzの1HNMRスペクトルを求
めた結果は、同定例1と同じであった。
【0136】以上の結果より、同定例2と同様の理由
で、実施例2の第二段反応で得た目的生成物がsyn−
(1S,2R)−2−ヒドロキシ−1−トリフルオロメ
チルアルキル=4−ベンジルオキシベンゾアート/an
ti−(1S,2S)−2−ヒドロキシ−1−トリフル
オロメチルアルキル=4−ベンジルオキシベンゾアート
=25/75(面積比)からなるジアステレオマー混合
物であることが裏付けられた。
【0137】
【発明の効果】本発明は、大画面液晶ディスプレイ等の
素材である反強誘電性液晶化合物の中間原料として有用
である新規の光学活性な2−ヒドロキシ−1−トリフル
オロメチルアルキル=4−ベンジルオキシベンゾアート
のジアステレオマー混合物の提供であり、また該混合物
を高収率に製造することが出来る製法を提供するもので
あり、更に本発明の製法ではsyn体(1S,2R)型
/anti体(1S,2S)型の生成比率が異なる光学
活性なジアステレオマー混合物を製造することが出来
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例1で得た1−ヒドロキシ−2,2,2−
トリフルオロエチル n−ヘキシルケトンの 1HNMR
スペクトル図である。
【図2】参考例1で得た1−ヒドロキシ−2,2,2−
トリフルオロエチル n−ヘキシルケトンのIR吸収ス
ペクトル図である。
【図3】参考例1で得た(S)−1−ヒドロキシ−2,
2,2−トリフルオロエチルn−ヘキシルケトンの光学
活性な液体クロマトグラフィーのチャートである。
【図4】実施例1の第一段反応で得た1−(4−ベンジ
ルオキシベンゾイルオキシ)−2,2,2−トリフルオ
ロエチル n−ヘキシルケトンの 1HNMRスペクトル
図である。
【図5】実施例1の第一段反応で得た1−(4−ベンジ
ルオキシベンゾイルオキシ)−2,2,2−トリフルオ
ロエチル n−ヘキシルケトンのIR吸収スペクトル図
である。
【図6】実施例1の第二段反応で得た2−ヒドロキシ−
1−トリフルオロメチルオクチル=4−ベンジルオキシ
ベンゾアートの 1HNMRスペクトル図である。
【図7】実施例1の第二段反応で得た2−ヒドロキシ−
1−トリフルオロメチルオクチル=4−ベンジルオキシ
ベンゾアートのIR吸収スペクトル図である。
【図8】同定例2で得た1,1,1−トリフルオロノナ
ン−2,3−ジオールの 1HNMRスペクトル図であ
る。
【図9】同定例2で得た1,1,1−トリフルオロノナ
ン−2,3−ジオールのIR吸収スペクトル図である。
【図10】同定例2で得たsyn−(2S,3R)−
1,1,1−トリフルオロノナン−2,3−ジオールお
よびanti−(2S,3S)−1,1,1−トリフル
オロノナン−2,3−ジオールの光学異性体分離用カラ
ムを有するガスクロマトグラフィーのチャートである。
【図11】同定例2で得た2,2−ジメチル−4−n−
ヘキシル−5−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソ
ランの 1HNMRスペクトル図である。
【図12】同定例2で得た2,2−ジメチル−4−n−
ヘキシル−5−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソ
ランのIR吸収スペクトル図である。
【図13】同定例3で得たsyn−(2S,3R)−
1,1,1−トリフルオロノナン−2,3−ジオールお
よびanti−(2S,3R)−1,1,1−トリフル
オロノナン−2,3−ジオールの光学異性体分離用カラ
ムを有するガスクロマトグラフィーのチャートである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(1)で示されるsyn−(1S,2
    R)−2−ヒドロキシ−1−トリフルオロメチルアルキ
    ル=4−ベンジルオキシベンゾアートおよびanti−
    (1S,2S)−2−ヒドロキシ−1−トリフルオロメ
    チルアルキル=4−ベンジルオキシベンゾアートからな
    るジアステレオマー混合物。 【化1】
  2. 【請求項2】 有機溶媒中で、式(2)で示される
    (S)−1−ヒドロキシ−2,2,2−トリフルオロエ
    チルアルキルケトンとアルカリ金属水素化物を反応さ
    せ、次いで該反応生成物と4−ベンジルオキシベンゾイ
    ルクロリドを反応させた後、精製分離した生成物を、有
    機溶媒中で、金属水素化物を用いて還元することを特徴
    とする請求項1記載のsyn−(1S,2R)−2−ヒ
    ドロキシ−1−トリフルオロメチルアルキル=4−ベン
    ジルオキシベンゾアートおよびanti−(1S,2
    S)−2−ヒドロキシ−1−トリフルオロメチルアルキ
    ル=4−ベンジルオキシベンゾアートからなるジアステ
    レオマー混合物の製造方法。 【化2】
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