JP3418883B2 - 4−イソプロピルシクロヘキサン酸エステル類の製法及び新規中間体 - Google Patents

4−イソプロピルシクロヘキサン酸エステル類の製法及び新規中間体

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JP3418883B2 JP14582194A JP14582194A JP3418883B2 JP 3418883 B2 JP3418883 B2 JP 3418883B2 JP 14582194 A JP14582194 A JP 14582194A JP 14582194 A JP14582194 A JP 14582194A JP 3418883 B2 JP3418883 B2 JP 3418883B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、従来から香料分野で利
用され、また医薬、農薬、液晶等の合成中間体として有
用な下記式(1)
【0002】
【化8】
【0003】[式中、RはC1〜C3のアルキル基を示
す]で表される4−イソプロピルシクロヘキサン酸エス
テル類の新規製法に関する。また本発明は、前記式
(1)化合物を製造するのに有用な新規中間体である下
記式(4)
【0004】
【化9】
【0005】[式中、2個のRは同一又は相異なり、そ
れぞれC1〜C3のアルキル基を示す]で表される2−ア
ルコキシ−4−イソプロピル安息香酸エステル類、並び
に下記式(3)
【0006】
【化10】
【0007】[式中、Rは上記定義のとおりである]で
表される2−アルコキシ−4−イソプロピルシクロヘキ
サン酸エステル類及び下記式(2)
【0008】
【化11】
【0009】[式中、Rは上記定義のとおりである]で
表される4−イソプロピルシクロヘキセン酸エステル
類、すなわち下記式(A)
【0010】
【化12】
【0011】[式中、RはC1〜C3のアルキル基を示
し、R2は水素原子又はC1〜C3のアルコキシ基(−O
R基)を示し、点線は無結合又は単結合を示す。ここ
で、点線が無結合の場合、R2は−OR基を示し、点線
が単結合の場合、R2は水素原子を示す]で表される4
−イソプロピルシクロヘキサン酸エステル誘導体に関す
る。
【0012】
【従来の技術】4−アルキル置換シクロヘキサンカルボ
ン酸類がスィーティ様、オイル様、ウッディー様、スパ
イシー様の香気を有し、タバコ用香料として有用である
ことは知られている(特開昭59−130162号公報
参照)。また、該カルボン酸類がステロイド製剤に代わ
る抗アレルギー剤として有用であることも開示されてい
る(特開昭56−68612号公報参照)。更に、該カ
ルボン酸類が血糖値降下剤として有用なD−フェニルア
ラニン誘導体の出発原料として利用しうることも知られ
ている(特公平4−15221号公報参照)。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】従来、4−アルキルシ
クロヘキサンカルボン酸の低級アルキルエステル類を合
成する方法としては、一般的には、対応する4−アルキ
ルシクロヘキサンカルボン酸と対応する低級アルコール
類とを常法に従ってエステル化反応させるか、又は該カ
ルボン酸類のアルカリ金属塩とハロゲン化アルキルとの
脱塩反応によってエステルを形成せしめる方法等が採用
されている。
【0014】しかしながら、上記のごとき従来提案の方
法においては、エステル製造に使用される4−アルキル
置換シクロヘキサンカルボン酸類の合成法自体に解決し
なければならない課題がある。例えば、対応する4−ア
ルキル安息香酸をアルカリ性条件下に水素添加する方法
が開示されているが[Proc.K.Ned.Akad.Westensch.ser.
B.62(3)147(1959);特開昭56−68612号公報参
照]、この方法によれば高温、高圧で且つ長時間反応を
行う必要があるという問題がある。
【0015】また、例えばクミン酸の水素添加による製
法(特公平4−15221号公報参照)によれば、水素
添加反応の際に、クミン酸の結晶を溶解する溶媒(酢
酸)が必要であり、更に、反応終了後には溶媒(酢酸)
を除去しなければならない。上記公報によれば、酢酸は
蒸発乾固することによって除去されているが、この方法
は実験室的には可能であっても工業的な製法とは言いが
たい。
【0016】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
上述の課題を解決しうる4−アルキル置換シクロヘキサ
ンカルボン酸類の工業的に有利な新規製造法を確立する
ため鋭意研究を行ってきた。その結果、今回、出発原料
として後記式(5)で表される4−イソプロピルサリチ
ル酸類を選ぶことにより、高収率、高純度に且つ安価に
本発明の前記式(1)の化合物を製造できることが見い
出された。
【0017】かくして、本発明によれば、前記式(1)
の化合物は、下記式(5)
【0018】
【化13】
【0019】[R1は前記定義のとおりである]で表さ
れる4−イソプロピルサリチル酸類を有機溶媒中でジC
1〜C3アルキル硫酸又はハロゲン化C1〜C3アルキルと
反応させて前記式(4)の2−アルコキシ−4−イソプ
ロピル安息香酸エステル類を生成せしめる工程[以下、
第1工程という]、該式(4)の化合物を有機溶媒中で
接触水素還元し前記式(3)の2−アルコキシ−4−イ
ソプロピルシクロヘキサン酸エステル類を生成せしめる
工程[以下、第2工程という]、該式(3)の化合物を
塩基と接触させて前記式(2)の4−イソプロピルシク
ロヘキセン酸エステル類を生成せしめる工程[以下、第
3工程という]、該式(2)の化合物を有機溶媒中で接
触水素還元することにより本発明の前記式(1)の4−
イソプロピルシクロヘキサン酸エステル類を生成せしめ
る工程[以下、第4工程という]により容易に合成する
ことができる。前記式(4)、式(3)及び式(2)の
化合物は従来の文献に未載の新規化合物であり、それ自
体調合香料素材として、また医薬、農薬、液晶等の合成
中間体として有用である。従って、本発明の目的は、式
(1)化合物の新規な製法の提供並びに従来の文献に未
載の前記式(4)、式(3)および式(2)の化合物を
提供することである。
【0020】本発明の式(1)化合物の合成法を反応工
程図で示すと以下のとおりである。
【0021】
【化14】
【0022】[Xはハロゲン原子を示し、R及びR1
前記定義のとおりである] 上記反応式に従って、式(5)の化合物から式(1)の
化合物を合成する方法について工程別に詳細に説明す
る。
【0023】出発原料である式(5)の化合物は公知で
あり、市場において入手することができ、また従来提案
の方法でも容易に製造することができる。例えば、式
(5)の化合物においてR1が水素原子である4−イソ
プロピルサリチル酸は、市場で安価に入手できる3−イ
ソプロピルフェノールをナトリウム塩にした後、炭酸ガ
スと反応させるコルベ−シュミット(Kolbe−Sc
hmidt)反応により容易に合成することができる
(亀谷哲治著「有機薬品製造化学(中)」参照)。ま
た、R1が低級アルキル基である4−イソプロピルサリ
チル酸エステルは、酸の存在下に対応する低級アルコー
ル(ROH)とエステル化反応を行うことにより、容易
に合成することができる。
【0024】式(5)の化合物から式(4)の化合物の
合成(第1工程) 上記反応式において、式(4)の化合物の合成は、式
(5)の化合物を有機溶媒中でジアルキル硫酸又はハロ
ゲン化アルキルと反応させることにより容易に行うこと
ができる。
【0025】この反応の反応温度および反応時間は特別
に制約されることはなく、例えば、ジアルキル硫酸を用
いる場合は約−20℃〜約60℃程度の範囲内の温度で
約0.5時間〜約24時間程度の条件を採用することが
でき、また、ハロゲン化アルキルを使用する場合には、
約−20℃〜約60℃程度、より好ましくは約10℃〜
約30℃程度の範囲内の温度で約0.5時間〜約24時
間程度の条件を採用することができる。反応に用いるジ
アルキル硫酸及びハロゲン化アルキル中のアルキル基と
しては、例えばメチル、エチル、イソプロピル、プロピ
ルなどのC1〜C3のアルキル基を挙げることができ、ま
たハロゲン原子としては塩素、臭素、ヨウ素などを例示
することができる。しかして、ジアルキル硫酸の具体例
としては、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、ジイソプロピ
ル硫酸、ジプロピル硫酸が挙げられ、またハロゲン化ア
ルキルの具体例としては、上記したアルキルの塩素化
物、臭素化物、ヨウ素化物などを挙げることができる。
これらの化合物の使用量は、式(5)の化合物1モルに
対して、通常約1モル〜約3モルの範囲内を例示するこ
とができる。
【0026】また、有機溶媒としては、例えば、N,N
−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、メチル
アルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコー
ル、プロピルアルコール、トルエンなどを挙げることが
でき、これらの有機溶媒の使用量は、例えば、式(5)
の化合物1重量部に対して約1〜約100重量部の範囲
内で十分である。反応終了後、通常の分離、精製手段、
例えば蒸留、洗浄、抽出、乾燥、カラムクロマトグラフ
ィーなどの処理を適宜に採用して、好収率、好純度で式
(4)の2−アルコキシ−4−イソプロピル安息香酸エ
ステル類を得ることができる。上記反応において、R1
が水素原子である式(5)の化合物を出発原料として用
いる場合には、2位の水酸基が、アルキルエーテル化さ
れるのみならず、1位のカルボキシル基もアルキルエス
テル化される。
【0027】上述のようにして得られる式(4)の化合
物は、それ自体調合香料素材として利用できるほか、医
薬、農薬、液晶等の合成中間体としても有用である。式
(4)の化合物の好ましい化合物と該化合物の沸点を下
記表−1に示す。
【0028】 表−1 化合物名 沸点(℃/mmHg) 収率(%) 2-メトキシ-4-イソフ゜ロヒ゜ル安息香酸メチル 125〜132/3 79 2-メトキシ-4-イソフ゜ロヒ゜ル安息香酸エチル 133〜135/3 89 2-メトキシ-4-イソフ゜ロヒ゜ル安息香酸イソフ゜ロヒ゜ル 136〜138/3 88 2-メトキシ-4-イソフ゜ロヒ゜ル安息香酸フ゜ロヒ゜ル 137〜139/3 89 2-エトキシ-4-イソフ゜ロヒ゜ル安息香酸メチル 130〜134/3 90 2-エトキシ-4-イソフ゜ロヒ゜ル安息香酸エチル 138〜141/3 78 2-エトキシ-4-イソフ゜ロヒ゜ル安息香酸イソフ゜ロヒ゜ル 125〜127/1.5 83 2-エトキシ-4-イソフ゜ロヒ゜ル安息香酸フ゜ロヒ゜ル 126〜129/1.5 82 2-イソフ゜ロホ゜キシ-4-イソフ゜ロヒ゜ル安息香酸メチル 132〜135/3 88 2-イソフ゜ロホ゜キシ-4-イソフ゜ロヒ゜ル安息香酸エチル 136〜140/3 85 2-イソフ゜ロホ゜キシ-4-イソフ゜ロヒ゜ル安息香酸イソフ゜ロヒ゜ル 120〜125/1 75 2-イソフ゜ロホ゜キシ-4-イソフ゜ロヒ゜ル安息香酸フ゜ロヒ゜ル 123〜126/1 78 2-フ゜ロホ゜キシ-4-イソフ゜ロヒ゜ル安息香酸メチル 132〜137/3 83 2-フ゜ロホ゜キシ-4-イソフ゜ロヒ゜ル安息香酸エチル 117〜120/1 88 2-フ゜ロホ゜キシ-4-イソフ゜ロヒ゜ル安息香酸イソフ゜ロヒ゜ル 120〜123/1 77 2-フ゜ロホ゜キシ-4-イソフ゜ロヒ゜ル安息香酸フ゜ロヒ゜ル 125〜130/1 82式(4)の化合物から式(3)の化合物の合成(第2工
程) 上記反応式において、式(3)の化合物の合成は、式
(4)の化合物を有機溶媒中で還元触媒の存在下に接触
水素還元することにより容易に行うことができる。
【0029】この反応は、通常オートクレーブなどの加
圧装置内に、式(4)の化合物、還元触媒および有機溶
媒を仕込み、水素ガスを導入して行うことができる。反
応は通常用いられている接触還元の反応条件下で行うこ
とができ、例えば、オートクレーブに式(4)の化合物
とパラジウム−カーボン(Pd−C)、ラネー−ニッケ
ル(Raney−Ni)、ロジウム−カーボン(Rh−
C)などの還元触媒および有機溶媒を加えて、反応温度
約0〜約200℃及び水素圧約1〜約100Kg/cm
2において0.5〜24時間程度の反応時間で行うこと
ができる。還元触媒の使用量は、式(4)の化合物に対
して、例えば約0.01重量%〜約10重量%の範囲内
とすることができ、また有機溶媒としては、例えば、ヘ
キサン、シクロヘキサン、トルエン、メチルアルコー
ル、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、プロ
ピルアルコール等を用いることができ、その使用量は、
例えば、式(4)の化合物1重量部に対して約1〜約1
00重量部の範囲内で十分である。反応終了後、通常の
分離、精製手段、例えば蒸留、洗浄、抽出、乾燥、カラ
ムクロマトグラフィーなどの処理を適宜に採用して、好
収率、好純度で式(3)の2−アルコキシ−4−イソプ
ロピルシクロヘキサン酸エステル類を得ることができ
る。
【0030】このようにして得られる式(3)の化合物
は、それ自体調合香料素材として利用できるほか、医
薬、農薬、液晶等の合成中間体としても有用である。式
(3)の化合物の好ましい具体例と該化合物の沸点を下
記表−2に示す。
【0031】 表−2 化合物名 沸点(℃/mmHg) 収率(%) 2-メトキシ-4-イソフ゜ロヒ゜ルシクロヘキサン酸メチル 100〜102/3 95 2-メトキシ-4-イソフ゜ロヒ゜ルシクロヘキサン酸エチル 105〜107/3 93 2-メトキシ-4-イソフ゜ロヒ゜ルシクロヘキサン酸イソフ゜ロヒ゜ル 107〜109/3 92 2-メトキシ-4-イソフ゜ロヒ゜ルシクロヘキサン酸フ゜ロヒ゜ル 108〜110/3 93 2-エトキシ-4-イソフ゜ロヒ゜ルシクロヘキサン酸メチル 104〜106/3 94 2-エトキシ-4-イソフ゜ロヒ゜ルシクロヘキサン酸エチル 110〜112/3 90 2-エトキシ-4-イソフ゜ロヒ゜ルシクロヘキサン酸イソフ゜ロヒ゜ル 101〜103/1.5 93 2-エトキシ-4-イソフ゜ロヒ゜ルシクロヘキサン酸フ゜ロヒ゜ル 103〜105/1.5 95 2-イソフ゜ロホ゜キシ-4-イソフ゜ロヒ゜ルシクロヘキサン酸メチル 110〜113/3 96 2-イソフ゜ロホ゜キシ-4-イソフ゜ロヒ゜ルシクロヘキサン酸エチル 116〜117/3 92 2-イソフ゜ロホ゜キシ-4-イソフ゜ロヒ゜ルシクロヘキサン酸イソフ゜ロヒ゜ル109〜112/1 90 2-イソフ゜ロホ゜キシ-4-イソフ゜ロヒ゜ルシクロヘキサン酸フ゜ロヒ゜ル 111〜115/1 92 2-フ゜ロホ゜キシ-4-イソフ゜ロヒ゜ルシクロヘキサン酸メチル 118〜120/3 96 2-フ゜ロホ゜キシ-4-イソフ゜ロヒ゜ルシクロヘキサン酸エチル 100〜105/1 95 2-フ゜ロホ゜キシ-4-イソフ゜ロヒ゜ルシクロヘキサン酸イソフ゜ロヒ゜ル 110〜112/1 91 2-フ゜ロホ゜キシ-4-イソフ゜ロヒ゜ルシクロヘキサン酸フ゜ロヒ゜ル 113〜115/1 90式(3)の化合物から式(2)の化合物の合成(第3工
程)。
【0032】本発明によれば、式(2)の化合物は、式
(3)の化合物を塩基と接触させて、脱アルコール化反
応させることにより容易に製造するができる。
【0033】脱アルコール化反応は、式(3)の化合物
と塩基を接触させることにより生成するアルコールを系
外に除去することにより行うことができ、反応温度およ
び反応時間としては、例えば、約−10℃〜約180℃
の範囲内の温度及び0.5時間〜10時間程度の時間を
採用することができる。また、塩基の種類としては、例
えば、t−ブトキシカリウム、ナトリウムメトキシド、
ナトリウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド
等を挙げることができ、その使用量は、式(3)の化合
物に対して、例えば約0.01重量%〜約10重量%の
範囲内を例示することができる。反応終了後、通常の分
離、精製手段、例えば蒸留、洗浄、抽出、乾燥、カラム
クロマトグラフィーなどの処理を適宜に採用して、好収
率、好純度で式(2)の4−イソプロピルシクロヘキセ
ン酸エステル類を得ることができる。
【0034】上述のようにして得られる式(2)の化合
物は、それ自体調合香料素材として利用できるほか、医
薬、農薬、液晶等の合成中間体としても有用である。式
(2)の化合物の好ましい具体例と該化合物の沸点を下
記表−3に示す。
【0035】 表−3 化合物名 沸点(℃/mmHg) 収率(%) 4-イソフ゜ロヒ゜ル-1-シクロヘキセン酸メチル 98〜101/3 72 4-イソフ゜ロヒ゜ル-1-シクロヘキセン酸エチル 105〜106/3 86 4-イソフ゜ロヒ゜ル-1-シクロヘキセン酸イソフ゜ロヒ゜ル 115〜116/3 77 4-イソフ゜ロヒ゜ル-1-シクロヘキセン酸フ゜ロヒ゜ル 117〜119/3 80式(2)の化合物から式(1)の化合物の合成(第1工
程) 上記反応式において、式(1)の化合物は、式(2)の
化合物を有機溶媒中で還元触媒の存在下に接触水素還元
することにより容易に合成することができる。この反応
は、通常、オートクレーブなどの加圧装置内に、式
(2)の化合物、還元触媒および有機溶媒を仕込み、水
素ガスを導入して行うことができる。反応は、通常用い
られる接触還元の反応条件を用いて行うことができ、例
えば、オートクレーブに式(2)の化合物とパラジウム
−カーボン(Pd−C)、ラネー−ニッケル(Rane
y−Ni)、ロジウム−カーボン(Rh−C)などの還
元触媒および有機溶媒を加えて、反応温度約10〜約2
00℃及び水素圧約0.5〜約100Kg/cm2にお
いて約0.5〜約24時間の反応時間で行うことができ
る。還元触媒の使用量は、式(2)の化合物に対して、
例えば約0.01重量%〜約10重量%の範囲内とする
ことができる。また、有機溶媒としては、例えば、ヘキ
サン、シクロヘキサン、トルエン、メチルアルコール、
エチルアルコール、イソプロピルアルコール、プロピル
アルコールなどを挙げることができ、これらの有機溶媒
の使用量は、例えば式(2)の化合物1重量部に対して
約1〜約100重量部の範囲内で十分である。反応終了
後、通常の分離、精製手段、例えば蒸留、洗浄、抽出、
乾燥、カラムクロマトグラフィーなどの処理を適宜採用
して、好収率、好純度で式(1)の4−イソプロピルシ
クロヘキサン酸エステル類を得ることができる。
【0036】このようにして得られる式(1)の化合物
は、それ自体調合香料素材として利用できるほか、医
薬、農薬、液晶等の合成中間体としても有用であり、そ
の具体例としては、4−イソプロピルシクロヘキサン酸
メチル、4−イソプロピルシクロヘキサン酸エチル、4
−イソプロピルシクロヘキサン酸イソプロピル、4−イ
ソプロピルシクロヘキサン酸プロピルを挙げることがで
きる。
【0037】以下、実施例により本発明の態様を更に具
体的に説明する。
【0038】
【実施例】
実施例1:2−メトキシ−4−イソプロピル安息香酸メ
チル[式(4)の化合物]の合成 1000mlの四つ口フラスコに、トルエン500m
l、水200g、93%苛性ソーダ43g(1.0モ
ル)を加える。続いて撹拌下に、4−イソプロピルサリ
チル酸72g(0.4モル)を加える。デーン−スター
ク(Dean−Stark)トラップを取り付け加熱還
流下、水を系外に除く。終了後冷却し、N,N−ジメチ
ルホルムアミド(DMF)100gを加える。水浴で冷
却しながら、この中にジメチル硫酸126gを40分
間、40〜50℃で滴下する。滴下終了後、さらに1時
間加熱還流し反応させる。反応終了後、反応液を食塩水
で2回洗浄、トルエンを回収して粗製物93gを得た。
この粗製物を減圧蒸留することにより、純粋な2−メト
キシ−4−イソプロピル安息香酸メチル65.6gを得
た。
【0039】沸点:125℃〜132℃/3mmHg 収率:78.8% 実施例2:2−エトキシ−4−イソプロピル安息香酸エ
チル[式(4)の化合物]の合成 4−イソプロピルサリチル酸エチル20.8g(0.1
モル)とジエチル硫酸30.8g(0.2モル)および
エタノール200gを500mlの四つ口フラスコに仕
込む。続いて撹拌下に10%苛性カリ−エタノール溶液
56gを滴下反応する。反応終了後エタノールを減圧下
に回収し、残液を食塩水で洗浄して粗製油を得る。粗製
油は減圧蒸留することにより、純粋な2−エトキシ−4
−イソプロピル安息香酸エチル18.4gを得た。
【0040】沸点:138℃〜141℃/3mmHg 収率:78% ジエチル硫酸の代わりにイソプロピルブロミド24gを
用い、同様の反応操作を行うことにより、2−イソプロ
ポキシ−4−イソプロピル安息香酸エチルを収率85%
で得ることができた。
【0041】実施例3:2−アルコキシ−4−イソプロ
ピル安息香酸エステル[式(4)の化合物]の合成 実施例1及び実施例2の合成方法に準じて各種の式
(4)の化合物を合成した。それら化合物の沸点及び収
率は前記表−1に記載した通りである。
【0042】実施例4:2−メトキシ−4−イソプロピ
ルシクロヘキサン酸メチル[式(3)の化合物]の合成 300mlのオートクレーブに2−メトキシ−4−イソ
プロピル安息香酸メチル53g(0.25モル)、パラ
ジウムーカーボン(Pd−C)2.6g(5重量%)、
n−ヘキサンを全容が100mlになるように仕込む。
水素圧20〜50Kg/cm2、反応温度150℃で水
素添加反応を行い、水素の吸収が止まった時点を反応の
終了とする(反応水素吸収量133Kg/cm2、理論
水素吸収量133Kg/cm2)。反応終了後、触媒を
濾過分離し、濾液から溶媒のヘキサンをエバポレーター
で除去して得た粗製物を減圧蒸留することにより、純粋
な2−メトキシ−4−イソプロピルシクロヘキサン酸メ
チル51.8gを得た。
【0043】沸点:100℃〜102℃/3mmHg 収率:95.0% 実施例5:2−アルコキシ−4−イソプロピルシクロヘ
キサン酸アルキル[式(3)の化合物]の合成 実施例4の合成方法に準じて各種の式(3)の化合物を
合成した。それら化合物の沸点及び収率は前記表−2に
記載した通りである。
【0044】実施例6:4−イソプロピルシクロヘキセ
ン酸メチル[式(2)の化合物]の合成 フラスコに2−メトキシ−4−イソプロピルシクロヘキ
サン酸メチル30g(0.14モル)、t−ブトキシカ
リウム1.5g(5重量%)を仕込む。減圧下(20〜
40mmHg)、80〜100℃で反応させ、生成する
メタノールを系外に除きながら0.5時間加熱反応させ
る。ガスクロで未反応の原料化合物ピークの消失を確認
し、反応を終了する。反応液を冷却した後、トルエンを
加え、希塩酸水洗浄、食塩水洗浄、重曹水洗浄し、トル
エンを回収して粗製物を得た。この粗製物を減圧蒸留す
ることにより、純粋な4−イソプロピルシクロヘキセン
酸メチル18.4gを得た。
【0045】沸点:98℃〜101℃/3mmHg 収率:72.2% 実施例7:4−イソプロピルシクロヘキセン酸アルキル
[式(2)の化合物]の合成 実施例6の合成方法に準じて各種の式(2)の化合物を
合成した。それら化合物の沸点及び収率は前記表−3に
記載した通りである。
【0046】実施例8:4−イソプロピルシクロヘキサ
ン酸メチル[式(1)の化合物]の合成 100mlのオートクレーブに4−イソプロピルシクロ
ヘキセン酸メチル12g(0.066モル)、5%パラ
ジウムーカーボン(Pd−C)0.6g(5重量%)、
n−ヘキサン30mlを仕込む。オートクレーブ内を窒
素置換した後、初期水素圧20Kg/cm2、室温で2
時間水素添加反応を行った。ガスクロで原料の消失を確
認して反応を終了した。反応終了後、触媒を濾過分離
し、濾液から溶媒のヘキサンをエバポレーターで除去し
て得た粗製物を減圧蒸留することにより、純粋な4−イ
ソプロピルシクロヘキサン酸メチル11.8gを得た。
【0047】沸点:90℃〜95℃/6mmHg 収率:97.3% 実施例9:4−イソプロピルシクロヘキサン酸アルキル
[式(1)の化合物]の合成 実施例8の合成方法に準じて、式(1)の化合物に包含
される4−イソプロピルシクロヘキサン酸エチル、4−
イソプロピルシクロヘキサン酸イソプロピル及び4−イ
ソプロピルシクロヘキサン酸プロピルを合成した。
【0048】
【発明の効果】本発明は、従来から香料分野で利用さ
れ、また医薬、農薬、液晶等の合成中間体として有用な
4−イソプロピルシクロヘキサン酸エステル類の新規な
製法および該化合物の合成に有用な新規中間体を提供す
るものである。本発明の製法によれば、4−イソプロピ
ルサリチル酸を出発原料に選び、エステル・エーテル化
反応、接触還元反応、脱アルコール反応後、更に接触還
元反応することにより、目的とする化合物を容易に製造
することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩本 実 神奈川県川崎市中原区苅宿335 長谷川 香料株式会社技術研究所内 (56)参考文献 特開 昭55−136225(JP,A) 特開 昭52−72826(JP,A) 特開 昭59−130162(JP,A) 特表 平7−509256(JP,A) 米国特許3516960(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 69/00 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(5) 【化1】 [式中、R1は水素原子又はC1〜C3のアルキル基を示
    す]で表される4−イソプロピルサリチル酸類を有機溶
    媒中でジC1〜C3アルキル硫酸又はハロゲン化C1〜C3
    アルキルと反応させて下記式(4) 【化2】 [式中、2個のRは同一又は相異なり、それぞれC1
    3のアルキル基を示す]で表される2−アルコキシ−
    4−イソプロピル安息香酸エステル類を生成せしめ、該
    式(4)の化合物を有機溶媒中で接触水素還元して下記
    式(3) 【化3】 [式中、Rは上記定義のとおりである]で表される2−
    アルコキシ−4−イソプロピルシクロヘキサン酸エステ
    ル類を生成せしめ、該式(3)の化合物を塩基の存在下
    に脱アルコール反応させて下記式(2) 【化4】 [式中、Rは上記定義のとおりである]で表される4−
    イソプロピルシクロヘキセン酸エステル類を生成せし
    め、該式(2)の化合物を有機溶媒中で接触水素還元す
    ることを特徴とする下記式(1) 【化5】 [式中、Rは上記定義のとおりである]で表される4−
    イソプロピルシクロヘキサン酸エステル類の製法。
  2. 【請求項2】 下記式(4) 【化6】 [式中、2個のRは同一又は相異なり、それぞれC1
    3のアルキル基を示す]で表される2−アルコキシ−
    4−イソプロピル安息香酸エステル類。
  3. 【請求項3】 下記式() 【化7】 [式中、2個のRは同一又は相異なり、それぞれ1
    3のアルキル基を ]で表される2−アルコキシ−
    4−イソプロピルシクロヘキサン酸エステル
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