JPH11240869A - ラクタムカルボン酸誘導体およびその製法、ならびにそれを用いたピペリジン誘導体の製法 - Google Patents

ラクタムカルボン酸誘導体およびその製法、ならびにそれを用いたピペリジン誘導体の製法

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JPH11240869A
JPH11240869A JP34204598A JP34204598A JPH11240869A JP H11240869 A JPH11240869 A JP H11240869A JP 34204598 A JP34204598 A JP 34204598A JP 34204598 A JP34204598 A JP 34204598A JP H11240869 A JPH11240869 A JP H11240869A
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fluorophenyl
carboxylic acid
compound
trans
cyano
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JP34204598A
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English (en)
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Hideto Miyamoto
宮本  秀人
Kiyoshi Sugi
潔 杉
Nobushige Itaya
信重 板谷
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Sumika Fine Chemicals Co Ltd
Original Assignee
Sumika Fine Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】抗うつ剤として有用なパロキセチン等の医薬に
有用な中間体であるピペリジン誘導体を効率よく製造す
る方法、並びに該ピペリジン誘導体の製造中間体として
有用なラクタムカルボン酸誘導体を効率よく製造する方
法を提供すること。 【解決手段】式(I): 【化1】 (R1 は炭素数1〜5のアルキル基を示す)で表される
ラクタムカルボン酸誘導体及びその製造法、並びにラク
タムカルボン酸誘導体を還元することを特徴とする式
(III): 【化2】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ラクタムカルボン
酸誘導体およびその製法、ならびにそれを用いたピペリ
ジン誘導体の製法に関する。さらに詳しくは、抗うつ剤
として有用なパロキセチンなどの医薬に有用な中間体で
あるピペリジン誘導体の製法、該ピペリジン誘導体の製
造中間体として有用なラクタムカルボン酸誘導体および
その製法に関する。
【0002】
【従来の技術】パロキセチンは、抗うつ剤として有用な
化合物であり、従来、例えば特開平7−138228号
公報および特公昭59−46216号公報に記載の製法
によって製造されている。
【0003】しかしながら、これらの製法では、出発物
質としてアミドマロン酸エステル誘導体が用いられてい
るが、該アミドマロン酸エステル誘導体は市販されてい
ないため、その入手が困難であり、しかもその保護基で
あるN−メチル基を脱保護するに際して、一旦、N−メ
チル基をカーバメート基とした後に加水分解しなければ
ならないという煩雑な操作を必要とするため、生産性に
劣るという欠点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術に鑑みてなされたものであり、抗うつ剤として有用な
パロキセチンなどの医薬に有用な中間体であるピペリジ
ン誘導体を効率よく製造しうる方法、ならびに該ピペリ
ジン誘導体の製造中間体として有用なラクタムカルボン
酸誘導体を効率よく製造しうる方法を提供することを目
的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明の要旨は、
〔1〕 一般式(I):
【0006】
【化6】
【0007】(式中、R1 は炭素数1〜5のアルキル基
を示す)で表わされるラクタムカルボン酸誘導体、
〔2〕 (±)−トランス−4−(4−フルオロフェニ
ル)−2−オキソ−3−ピペリジンカルボン酸メチルお
よび(±)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)
−2−オキソ−3−ピペリジンカルボン酸エチルからな
る群より選ばれた少なくとも1種である前記〔1〕記載
のラクタムカルボン酸誘導体、〔3〕 一般式(II):
【0008】
【化7】
【0009】(式中、R2 は炭素数1〜5のアルキル基
を示す)で表わされる4−シアノ−3−(4−フルオロ
フェニル)−2−アルコキシカルボニル酪酸エステルを
還元することを特徴とする一般式(I):
【0010】
【化8】
【0011】(式中、R1 は炭素数1〜5のアルキル基
を示す)で表わされるラクタムカルボン酸誘導体の製
法、ならびに〔4〕 一般式(I):
【0012】
【化9】
【0013】(式中、R1 は炭素数1〜5のアルキル基
を示す)で表わされるラクタムカルボン酸誘導体を還元
することを特徴とする式(III):
【0014】
【化10】
【0015】で表わされるピペリジン誘導体の製法に関
する。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明のラクタムカルボン酸誘導
体は、前記したように、一般式(I):
【0017】
【化11】
【0018】(式中、R1 は炭素数1〜5のアルキル基
を示す)で表わされる。
【0019】一般式(I)において、R1 は炭素数1〜
5のアルキル基である。かかるアルキル基の具体例とし
ては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、
イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec
−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基などの炭
素数1〜5の直鎖状または分枝鎖状のアルキル基があげ
られる。これらのアルキル基の中では、メチル基および
エチル基は、本発明において好ましい基である。
【0020】一般式(I)で表わされるラクタムカルボ
ン酸誘導体の具体例としては、例えば、(±)−トラン
ス−4−(4−フルオロフェニル)−2−オキソ−3−
ピペリジンカルボン酸メチル、(±)−トランス−4−
(4−フルオロフェニル)−2−オキソ−3−ピペリジ
ンカルボン酸エチル、(±)−トランス−4−(4−フ
ルオロフェニル)−2−オキソ−3−ピペリジンカルボ
ン酸プロピル、(±)−トランス−4−(4−フルオロ
フェニル)−2−オキソ−3−ピペリジンカルボン酸イ
ソプロピル、(±)−トランス−4−(4−フルオロフ
ェニル)−2−オキソ−3−ピペリジンカルボン酸ブチ
ルなどのトランス体があげられる。
【0021】前記ラクタムカルボン酸誘導体の中では、
(±)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−2
−オキソ−3−ピペリジンカルボン酸メチルおよび
(±)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−2
−オキソ−3−ピペリジンカルボン酸エチルからなる群
から選ばれた少なくとも1種は、本発明において特に好
ましいものである。
【0022】一般式(I)で表わされるラクタムカルボ
ン酸誘導体は、一般式(II):
【0023】
【化12】
【0024】(式中、R2 は炭素数1〜5のアルキル基
を示す)で表わされる4−シアノ−3−(4−フルオロ
フェニル)−2−アルコキシカルボニル酪酸エステルを
還元することによって製造することができる。
【0025】一般式(II)で表わされる4−シアノ−3−
(4−フルオロフェニル)−2−アルコキシカルボニル
酪酸エステルは、塩基の存在下で、4−フルオロ桂皮ニ
トリルにマロン酸ジエステルを付加することによって容
易に得ることができる。また、前記4−フルオロ桂皮ニ
トリルは、塩基の存在下で、4−フルオロベンズアルデ
ヒドとシアノ酢酸またはアセトニトリルとを反応させる
ことによって容易に得ることができる。
【0026】一般式(II)において、R2 は炭素数1〜5
のアルキル基である。かかるアルキル基の具体例として
は、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イ
ソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−
ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基などの炭素
数1〜5の直鎖状または分枝鎖状のアルキル基があげら
れる。
【0027】一般式(II)で表わされる4−シアノ−3−
(4−フルオロフェニル)−2−アルコキシカルボニル
酪酸エステルの具体例としては、例えば、4−シアノ−
3−(4−フルオロフェニル)−2−メトキシカルボニ
ル酪酸メチル、4−シアノ−3−(4−フルオロフェニ
ル)−2−エトキシカルボニル酪酸エチル、4−シアノ
−3−(4−フルオロフェニル)−2−プロポキシカル
ボニル酪酸プロピル、4−シアノ−3−(4−フルオロ
フェニル)−2−イソプロポキシカルボニル酪酸イソプ
ロピル、4−シアノ−3−(4−フルオロフェニル)−
2−ブトキシカルボニル酪酸ブチルなどがあげられる。
【0028】一般式(II)で表わされる4−シアノ−3−
(4−フルオロフェニル)−2−アルコキシカルボニル
酪酸エステルの還元の際の条件には、特に限定がない
が、本発明においては、前記還元を接触還元によって行
なうことが好ましい。
【0029】4−シアノ−3−(4−フルオロフェニ
ル)−2−アルコキシカルボニル酪酸エステルを接触還
元する場合、例えば、シアノ基を接触還元してアミノメ
チル基とする通常の接触還元条件を採用することができ
る。
【0030】すなわち、触媒として、例えば、ラネーコ
バルト、ラネーニッケル、パラジウム炭素、白金炭素な
どに代表される還元触媒を用いることができる。かかる
触媒の量は、特に限定がないが、通常、4−シアノ−3
−(4−フルオロフェニル)−2−アルコキシカルボニ
ル酪酸エステル1重量部に対して0.01〜0.3容量
部、好ましくは0.05〜0.1容量部程度であること
が望ましい。
【0031】また、溶媒として、通常用いられている溶
媒、例えば、トルエンなどの炭化水素系溶媒、酢酸エチ
ルなどのエステル系溶媒、メタノールなどのアルコール
系溶媒、それらの混合溶媒などを用いることができる。
かかる溶媒の量は、特に限定がないが、通常、反応収率
および経済性の観点から、4−シアノ−3−(4−フル
オロフェニル)−2−アルコキシカルボニル酪酸エステ
ルの5〜20重量倍程度であることが好ましい。
【0032】接触還元させる際の温度は、通常、常温か
ら150℃の範囲であればよい。また、接触還元させる
際の水素ガス圧は、例えば、0.5〜150kgf/c
2の範囲であればよい。
【0033】4−シアノ−3−(4−フルオロフェニ
ル)−2−アルコキシカルボニル酪酸エステルの接触還
元は、溶媒中に該4−シアノ−3−(4−フルオロフェ
ニル)−2−アルコキシカルボニル酪酸エステルを一括
で仕込んで行なってもよく、また溶媒中に該4−シアノ
−3−(4−フルオロフェニル)−2−アルコキシカル
ボニル酪酸エステルを圧入しながら行なってもよい。な
お、還元の終了は、例えば、水素ガスの吸収の終了を確
認することによって行なうことができる。また、還元に
要する時間は、反応温度などによって異なるので一概に
は決定することができないが、通常、0.5〜10時間
程度である。
【0034】かくして得られる一般式(I)で表わされ
るラクタムカルボン酸誘導体は、前記したように、抗う
つ剤として有用なパロキセチンなどの医薬に有用な中間
体であるピペリジン誘導体の製造中間体として好適に使
用しうるものである。
【0035】次に、一般式(I)で表わされるラクタム
カルボン酸誘導体を還元することにより、式(III) :
【0036】
【化13】
【0037】で表わされるピペリジン誘導体が得られ
る。
【0038】一般式(I)で表わされるラクタムカルボ
ン酸誘導体を還元する際の条件には、特に限定がない
が、本発明においては、例えば、前記還元を水素化金属
化合物を用いて行なうことができる。かかる水素化金属
化合物としては、例えば、水素化アルミニウムリチウ
ム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化アルミニ
ウムなどがあげられる。かかる水素化金属化合物の量
は、通常、前記ラクタムカルボン酸誘導体1モルに対し
て、2〜6モル程度、好ましくは3〜4モル程度である
ことが望ましい。
【0039】ラクタムカルボン酸誘導体を還元する際の
還元条件には、特に限定がない。本発明においては、例
えば、一般に、エステルを還元して1級アルコールを製
造する際の通常の還元条件を採用することができる。
【0040】すなわち、還元を行なう際に使用しうる溶
媒として、例えば、テトラヒドロフランなどのエーテル
系溶媒、該エーテル系溶媒とトルエンなどの炭化水素系
溶媒との混合溶媒などがあげられる。かかる溶媒の量
は、特に限定がないが、通常、反応収率および経済性の
観点から、ラクタムカルボン酸誘導体の5〜10重量倍
程度であることが好ましい。
【0041】還元させる際の温度は、通常、常温から1
00℃の範囲であればよい。
【0042】ラクタムカルボン酸誘導体の還元は、前記
溶媒中に、水素化金属化合物を添加したのち、かかる溶
媒中にラクタムカルボン酸誘導体を滴下しながら行なう
ことができる。
【0043】ラクタムカルボン酸誘導体を還元させる際
の雰囲気は、通常、例えば、窒素ガス、アルゴンガスな
どの不活性ガス雰囲気で行なうことが好ましい。
【0044】また、還元に要する時間は、反応温度など
によって異なるので一概には決定することができない
が、通常、0.5〜10時間程度である。
【0045】かくして、ラクタムカルボン酸誘導体を還
元することにより、式(III) で表わされるピペリジン誘
導体が得られる。
【0046】式(III) で表わされるピペリジン誘導体
〔4−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチ
ルピペリジン〕は、前記したように、例えば、抗うつ剤
として有用なパロキセチンなどの医薬に有用な中間体と
して好適に使用しうるものである。
【0047】
【実施例】次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細
に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定される
ものではない。
【0048】実施例1 温度計および留出管を取り付けた500mlの四つ口フ
ラスコに、トルエン100ml、4−フルオロベンズア
ルデヒド68.3g(0.55モル)、シアノ酢酸5
0.1g(0.58モル)、ピリジン55mlおよび酢
酸アンモニウム1.5gを仕込み、混合した。
【0049】次に、得られた混合物を加熱したところ、
加熱温度が100℃付近から共沸により水がトルエンと
ともに留出し始めた。理論量の水が留出し終わるまでさ
らに加熱し、110〜120℃で6時間攪拌を続けた。
【0050】得られた反応液を室温まで冷却した後、1
0%塩酸水280ml中に注ぎ、分液の後、水層を除去
した。トルエン層は、5%重層水100mlで2回洗浄
し、次いで水100mlおよび飽和食塩水100mlで
それぞれ洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ロ
ータリーエバポレーターで減圧下でトルエンを留去して
トルエン溶液を濃縮した。
【0051】濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラ
フィーにより精製すると、微黄白色結晶として4−フル
オロ桂皮ニトリル65.9gが得られた。収率は4−フ
ルオロベンズアルデヒドに対して81.4%であった。
【0052】なお、得られた化合物が4−フルオロ桂皮
ニトリルであることは、以下の物性を有することから確
認された。
【0053】融点:61.6〜62.7℃ IR(KBr)ν(cm-1):3068、2213、1
625、1604、1511、1243、1164、9
71、807
【0054】実施例2 温度計および還流器を取り付けた500mlの四つ口フ
ラスコに、窒素ガス雰囲気下でトルエン150ml、ア
セトニトリル123.2g(3.0モル)、粉末ナトリ
ウムメチラート17.8g(0.33モル)および4−
フルオロベンズアルデヒド37.2g(0.30モル)
を仕込み、10〜20℃で24時間攪拌した。反応マス
を10%塩酸水425g中に注ぎ、これにトルエン10
0mlを加えて十分に攪拌させた後、静置分液した。上
層のトルエン層をとり、これを2%重層水100g、次
いで飽和食塩水50gでそれぞれ洗浄した後、無水硫酸
ナトリウムで乾燥後、ロータリーエバポレーターで減圧
下に溶媒を除去してトルエン層を濃縮した。
【0055】次に、得られた濃縮残渣をシリカゲルカラ
ムクロマトグラフィーにより精製したところ、白色結晶
として4−フルオロ桂皮ニトリル15.7gが得られ
た。収率は4−フルオロベンズアルデヒドに対して4
2.7%であった。
【0056】なお、得られた化合物が4−フルオロ桂皮
ニトリルであることは、以下の物性を有することから確
認された。
【0057】融点:61.6〜62.7℃ IR(KBr)ν(cm-1):3068、2213、1
625、1604、1511、1243、1164、9
71、807
【0058】実施例3 温度計、還流器および滴下ロートを取り付けた100m
lの四つ口フラスコに、トルエン24ml、メタノール
12ml、実施例1で得られた4−フルオロ桂皮ニトリ
ル4.7g(31.9ミリモル)、ナトリウムメチラー
ト1.9g(35.2ミリモル)およびマロン酸ジメチ
ル5.5g(41.7ミリモル)を仕込み、混合した。
【0059】次に、得られた混合物を加熱し、64〜6
7℃で5時間攪拌し、高速液体クロマトグラフィーで原
料の消失を確認することにより、反応の終了を確認し
た。
【0060】次に、反応終了液をトルエン24mlと5
%塩酸水35mlとの混合液中に注ぎ、攪拌した後、静
置し、分液し、水層を除去した。有機層は、飽和重層水
30mlで2回洗浄し、次いで水30mlで洗浄した
後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ロータリーエバポレ
ーターで減圧下で溶媒を除去して有機層を濃縮した。
【0061】次に、得られた濃縮残渣をシリカゲルカラ
ムクロマトグラフィーにより精製すると、4−シアノ−
3−(4−フルオロフェニル)−2−メトキシカルボニ
ル酪酸メチル4.7gが油状物として得られた。4−シ
アノ−3−(4−フルオロフェニル)−2−メトキシカ
ルボニル酪酸メチルの収率は、4−フルオロ桂皮ニトリ
ルに対して52%であった。
【0062】なお、得られた化合物が4−シアノ−3−
(4−フルオロフェニル)−2−メトキシカルボニル酪
酸メチルであることは、以下の物性を有することから確
認された。
【0063】IR(KBr)ν(cm-1):2957、
2249、1737、1512、1436、1228、
1163、838
【0064】実施例4 500ml容のオートクレーブに、トルエン60ml、
メタノール15mlおよびラネーコバルト0.5mlを
仕込み、圧力15〜17kgf/cm2 、反応温度90
〜100℃で密閉した。これに水素ガスを添加しなが
ら、実施例3で得られた4−シアノ−3−(4−フルオ
ロフェニル)−2−メトキシカルボニル酪酸メチル4.
7g(16.8ミリモル)のトルエン60ml/メタノ
ール15ml混合溶液を3時間かけて圧入した。同圧力
および同温度で2時間攪拌した後、30〜40℃まで冷
却した。
【0065】次に、圧力を常圧まで戻し、反応液を濾過
して触媒を除去し、濾液をロータリーエバポレーターで
減圧下でトルエンおよびメタノールを留去して反応液を
濃縮すると、(±)−トランス−4−(4−フルオロフ
ェニル)−2−オキソ−3−ピペリジンカルボン酸メチ
ルの結晶2.8gが得られた。収率は、4−シアノ−3
−(4−フルオロフェニル)−2−メトキシカルボニル
酪酸メチルに対して65.4%であった。
【0066】なお、得られた化合物が(±)−トランス
−4−(4−フルオロフェニル)−2−オキソ−3−ピ
ペリジンカルボン酸メチルであることは、以下の物性を
有することから確認された。
【0067】融点:161.1〜161.8℃ IR(KBr)ν(cm-1):3198、3078、1
745、1670、1512、1344、1227、1
161、835
【0068】実施例5 温度計および還流器を取り付けた200mlの四つ口フ
ラスコに、窒素ガス雰囲気下で乾燥テトラヒドロフラン
80mlおよび水素化アルミニウムリチウム0.91g
(24ミリモル)を仕込み、スラリー液とした。これ
に、実施例4で得られた(±)−トランス−4−(4−
フルオロフェニル)−2−オキソ−3−ピペリジンカル
ボン酸メチル2.0g(8ミリモル)をテトラヒドロフ
ラン20mlに懸濁した液を20〜30℃で滴下した。
滴下終了後、30〜40℃で1時間攪拌した後、0〜1
0℃まで冷却し、これに28%苛性ソーダ水20mlを
滴下し、粘性の高い下層と上層の有機層をデカントで分
離した。さらに下層にテトラヒドロフラン40mlを加
えて有機物を抽出し、これを前記有機層と合わせ、ロー
タリーエバポレーターで溶媒を濃縮し、(±)−トラン
ス−4−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメ
チルピペリジン1.27gを得た。このものは結晶化し
た。
【0069】なお、得られた化合物が(±)−トランス
−4−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチ
ルピペリジンであることは、以下の物性を有することか
ら確認された。
【0070】融点:122.7〜123.3℃ IR(KBr)ν(cm-1):3277、1509、1
436、1285、1223、1025、833
【0071】実施例6 温度計および還流器を取り付けた1リットル容の四つ口
フラスコに、p−フルオロベンズアルデヒド105.4
g(0.85モル)、シアノ酢酸75.71g(0.8
9モル)、ピリジン96ml、酢酸アンモニウム3.0
gおよびキシレン180mlを仕込み、混合した。
【0072】次に、得られた混合物を130〜132℃
の温度で、生成した水を共沸により除去しながら8時間
還流させた。該混合物を20〜30℃に冷却した後、該
混合物を10%塩酸水中に注ぎ、有機層と水層とに分液
した後、水層を除去した。有機層を水100mlおよび
飽和食塩水100mlでそれぞれ洗浄した後、無水硫酸
ナトリウムで乾燥し、ロータリーエバポレーターで溶媒
を留去し、4−フルオロ桂皮ニトリルのシス体とトラン
ス体の混合物92.6gを得た。この化合物は、5mm
Hgの減圧下で98〜100℃の沸点を有していた。
【0073】なお、得られた化合物が4−フルオロ桂皮
ニトリルであることは、以下の物性を有することから確
認された。
【0074】(トランス体) 融点:69.5〜70.6℃ IR(KBr)ν(cm-1):2213、1626、1
605、1511、1416、1306、1243、1
165、972、936、862、845、8071 H−NMR(CDCl3 )δ(ppm):5.81
(d,1H,J=16.5Hz)、7.11(t,2
H,J=8.6Hz)、7.37(d,1H,J=1
6.5Hz)、7.46(m,2H) (シス体)1 H−NMR(CDCl3 )δ(ppm)
〔シス体およびトランス体の混合物中、シス/トランス
=1/2〕:5.44(d,1H,J=12.2H
z)、7.11(t,2H,J=8.6Hz)、7.4
6(d,1H,J=12.2Hz)、7.82(m,2
H)
【0075】実施例7 温度計および還流器を取り付けた1リットル容の四つ口
フラスコに、実施例6で得られた4−フルオロ桂皮ニト
リルのシス体とトランス体の混合物20.0g(0.1
36モル)をジメチルホルムアミド200mlに溶解さ
せて得られた混合溶液を仕込んだ。得られた混合物に、
tert−ブトキシカリウム23.0g(0.205モ
ル)およびマロン酸ジメチル35.9g(0.272モ
ル)を10〜20℃で添加した。得られた混合物を同温
度で24時間保ち、次いで50〜60℃に加熱した。得
られた反応混合物を2%塩酸水400mlに注ぎ、有機
層と水層とに分離した。有機層を取り出し、水で洗浄
し、次いで飽和食塩水で洗浄した。洗浄した有機層を無
水硫酸ナトリウムで乾燥し、ロータリーエバポレーター
で減圧下で溶媒を留去した。得られた残渣に、メタノー
ルと水の混合物〔メタノール/水(重量比)=2/1〕
200mlを添加し、4−シアノ−3−(4−フルオロ
フェニル)−2−メトキシカルボニル酪酸メチル30.
44gを得た。4−フルオロ桂皮ニトリルのシス体とト
ランス体の混合物に対する収率は、80.2%であっ
た。
【0076】なお、得られた化合物が4−シアノ−3−
(4−フルオロフェニル)−2−メトキシカルボニル酪
酸メチルであることは、以下の物性を有することから確
認された。
【0077】融点:66〜68℃ IR(KBr)ν(cm-1):2249、1737、1
606、1513、1436、1228、1164、1
105、1042、1015、8391 H−NMR(CDCl3 )δ(ppm)2.85
(m,2H)、3.53(s,3H)、3.66−3.
90(m,2H)、3.79(s,3H)、2.97
(m,1H)、3.41(dt,1H,J=5.9H
z,10.2Hz)、3.47−3.66(m,2
H)、3.50(s,3H)、7.05(t,2H,J
=8.6Hz)、7.30−7.25(m,2H)
【0078】実施例8 500ml容のオートクレーブ内を水素ガス置換した
後、該オートクレーブ内に、メタノール150mlおよ
びラネーコバルト4mlを仕込み、圧力15〜18at
mで密閉した。その後、オートクレーブ内に、メタノー
ル50mlに実施例7で得られた4−シアノ−3−(4
−フルオロフェニル)−2−メトキシカルボニル酪酸メ
チルを溶解させて得られた混合溶液を90〜100℃で
5時間かけて供給した。該反応混合物をさらに2時間、
前記した水素添加条件下に保った。該反応混合物を触媒
を濾過により除去し、溶媒を一部留去した。その残渣を
徐々に冷却し、次いで濾過し、(±)−トランス−4−
(4−フルオロフェニル)−3−メトキシカルボニルピ
ペリジン−2−オンの結晶15.12gを得た。(±)
−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−メト
キシカルボニルピペリジン−2−オンの収率は、4−シ
アノ−3−(4−フルオロフェニル)−2−メトキシカ
ルボニル酪酸メチルに対して84%であった。
【0079】なお、得られた化合物が(±)−トランス
−4−(4−フルオロフェニル)−3−メトキシカルボ
ニルピペリジン−2−オンであることは、以下の物性を
有することから確認された。
【0080】融点:157.0〜158.7℃ IR(KBr)ν(cm-1):1746、1670、1
605、1512、1493、1344、1308、1
227、1211、1161、1123、1027、8
341 H−NMR(CDCl3 )δ(ppm):1.56−
1.86(m,3H)、2.36−2.71(m,5
H)、3.07−3.19(m,2H)、3.32−
3.39(m,2H)、6.94−7.00(m,2
H)、7.12−7.1(m,2H)1 H−NMR(CDCl3 )δ(ppm)1.90−
2.10(m,2H)、3.35−3.58(m,4
H)、3.62(s,3H)、7.01(t,2H,J
=8.6Hz)、7.10−7.20(m,2H)
【0081】実施例9 温度計および還流器を取り付けた1000mlの四つ口
フラスコに、実施例8で得られた(±)−トランス−4
−(4−フルオロフェニル)−3−メトキシカルボニル
ピペリジン−2−オンの結晶10g(0.04モル)
を、水素化アルミニウムリチウム6.04g(0.16
モル)を添加したテトラヒドロフラン200ml中に仕
込んだ。該混合物を64〜66℃の温度で1時間加熱し
て還流し、その後、0℃に冷却した。得られた反応混合
物に、25〜35℃の温度で10%水酸化ナトリウム水
溶液140mlを添加し、有機層と水層とに分離した。
上層の有機層を分離し、下層をテトラヒドロフラン50
mlで抽出した。該有機層とテトラヒドロフラン抽出物
とを合わせ、得られた混合物を濾過し、不溶分を除去し
た。溶媒を一部留去し、残渣を徐々に冷却し、(±)−
トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロ
キシメチルピペリジンの結晶7.2gを得た。得られた
(±)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3
−ヒドロキシメチルピペリジンの結晶の収率は、(±)
−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−メト
キシカルボニルピペリジン−2−オンに対して86%で
あった。
【0082】なお、得られた化合物が(±)−トランス
−4−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチ
ルピペリジンであることは、以下の物性を有することか
ら確認された。
【0083】融点:122.7〜123.3℃ IR(KBr)ν(cm-1):3277、1509、1
436、1285、1223、1025、8331 H−NMR(CDCl3 )δ(ppm):7.15
(dd,2H)、6.97(dd,2H)、3.35
(dd,2H)、3.15(dd,2H)、2.36−
2.71(m,6H)、1.55−1.86(m,2
H)
【0084】以上の結果から、本発明のラクタムカルボ
ン酸誘導体は、4−シアノ−3−(4−フルオロフェニ
ル)−2−アルコキシカルボニル酪酸エステルから、容
易に製造することができることがわかる。
【0085】また、前記ラクタムカルボン酸誘導体を還
元することにより、一般式(III) で表わされるピペリジ
ン誘導体を容易に製造することができることがわかる。
【0086】
【発明の効果】本発明により、抗うつ剤として有用なパ
ロキセチンなどの医薬の有用な中間体であるピペリジン
誘導体の簡便かつ工業的に有利に製造することができる
という、効果が奏される。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I): 【化1】 (式中、R1 は炭素数1〜5のアルキル基を示す)で表
    わされるラクタムカルボン酸誘導体。
  2. 【請求項2】 (±)−トランス−4−(4−フルオロ
    フェニル)−2−オキソ−3−ピペリジンカルボン酸メ
    チルおよび(±)−トランス−4−(4−フルオロフェ
    ニル)−2−オキソ−3−ピペリジンカルボン酸エチル
    からなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項1
    記載のラクタムカルボン酸誘導体。
  3. 【請求項3】 一般式(II): 【化2】 (式中、R2 は炭素数1〜5のアルキル基を示す)で表
    わされる4−シアノ−3−(4−フルオロフェニル)−
    2−アルコキシカルボニル酪酸エステルを還元すること
    を特徴とする一般式(I): 【化3】 (式中、R1 は炭素数1〜5のアルキル基を示す)で表
    わされるラクタムカルボン酸誘導体の製法。
  4. 【請求項4】 一般式(I): 【化4】 (式中、R1 は炭素数1〜5のアルキル基を示す)で表
    わされるラクタムカルボン酸誘導体を還元することを特
    徴とする式(III): 【化5】 で表わされるピペリジン誘導体の製法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002076940A3 (en) * 2001-03-22 2003-05-22 Pentech Pharmaceuticals Inc Process for preparing arylpiperidine carbinol intermediates and derivatives
EP1140832A4 (en) * 1998-12-22 2004-11-03 Pentech Pharmaceuticals Inc PROCESS FOR THE PREPARATION OF INTERMEDIATES AND DERIVATIVES OF ARYLPIPERIDINE CARBINOL

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1140832A4 (en) * 1998-12-22 2004-11-03 Pentech Pharmaceuticals Inc PROCESS FOR THE PREPARATION OF INTERMEDIATES AND DERIVATIVES OF ARYLPIPERIDINE CARBINOL
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