JP2869215B2 - 光学活性な含フッ素化合物 - Google Patents

光学活性な含フッ素化合物

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JP2869215B2 JP16291991A JP16291991A JP2869215B2 JP 2869215 B2 JP2869215 B2 JP 2869215B2 JP 16291991 A JP16291991 A JP 16291991A JP 16291991 A JP16291991 A JP 16291991A JP 2869215 B2 JP2869215 B2 JP 2869215B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光学活性な含フッ素化
合物に関し、詳しくは、様々な化学薬品,工業薬品,強
誘電性液晶などの原料として有用な光学活性な含フッ素
化合物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、
液晶の利用が増大するとともに新しい構造を有する液晶
の開発が求められている。これまでに、本発明者らの研
究グループは、これら液晶として利用できる様々な光学
活性な含フッ素化合物を開発することに成功している
(特開昭64−83074号公報,特開平1−1631
43号公報,同1−233243号公報,同1−233
244号公報,同2−49743号公報,同2−167
252号公報,同2−232208号公報,同2−23
2209号公報等)。このような状況下で本発明者ら
は、さらに新たなタイプの液晶として有望なテトラヒド
ロフラン環を有する新規な光学活性化合物を開発するこ
とを目的として鋭意研究を重ねた。
【0003】
【課題を解決するための手段】その結果、テトラヒドロ
フラン環に隣接する不斉炭素原子上に、それ自体大きな
電子吸引性を有するフルオロアルキル基を有する新規化
合物が、上記目的に適うものであることを見出した。本
発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。す
なわち、本発明は、下記一般式(I)
【0004】
【化2】
【0005】〔式中、Rfは炭素数1又は2のフルオロ
アルキル基を示し、R1 及びR2 はそれぞれ独立に水
素,炭素数1〜15の直鎖若しくは分岐鎖アルキル基,
炭素数2〜15のアルケニル基又は炭素数7〜10のア
ラルキル基を示し、*は不斉炭素を示す。〕で表される
光学活性な含フッ素化合物を提供するものである。
【0006】一般式(I)において、上記のようにRf
は炭素数1又は2のフルオロアルキル基を示し、具体的
にはトリフルオロメチル基,ジフルオロメチル基,クロ
ロジフルオロメチル基,ペンタフルオロエチル基などで
あり、好ましくはトリフルオロメチル基である。
【0007】また、R1 及びR2 はそれぞれ独立に水素
原子,炭素数1〜15の直鎖若しくは分岐鎖アルキル
基,炭素数2〜15のアルケニル基又は炭素数7〜10
のアラルキル基を示す。ここで、炭素数1〜15の直鎖
若しくは分岐鎖アルキルとしては、例えばメチル基,エ
チル基,n−プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル
基,sec −ブチル基,tert−ブチル基,n−ペンチル
基,イソペンチル基,1−メチルブチル基,n−ヘキシ
ル基,n−ヘプチル基,1−メチルヘプチル基,n−オ
クチル基,1−エチルヘプチル基,1−メチルオクチル
基,n−ノニル基,1−エチルオクチル基,1−メチル
ノニル基,n−デシル基,n−ウンデシル基,n−ドデ
シル基,n−トリデシル基,n−テトラデシル基,n−
ペンタデシル基などが挙げられる。
【0008】また、炭素数2〜15のアルケニル基とし
ては、ビニル基,アリル基,1−プロペニル基,イソプ
ロペニル基,1−ブテニル基,2−ブテニル基,2−メ
チルアリル基,1−ペンテニル基,1−ヘキセニル基,
1−ヘプテニル基,1−オクテニル基,2−オクテニル
基,1−ノネニル基,2−ノネニル基,1−デセニル
基,2−デセニル基,1−ウンデセニル基,2−ウンデ
セニル基,1−ドデセニル基,2−ドデセニル基,1−
トリデセニル基,2−トリデセニル基,1−テトラデセ
ニル基,2−テトラデセニル基,1−ペンタデセニル
基,2−ペンタデセニル基などが挙げられる。さらに、
炭素数7〜10のアラルキル基としては、ベンジル基,
フェネチル基,フェニルプロピル基,フェニルブチル基
などが挙げられる。
【0009】本発明による一般式(I)の化合物は、様
々な方法で製造することができるが、例えば以下の工程
により製造することができる。例えば、(1)Rf=C
3 ,R2 =水素の場合: フランをシリル化して下記一般式(II)
【0010】
【化3】
【0011】〔式中、TMSはトリメチルシリル基を示
す。〕で表される化合物を得、この化合物をさらにトリ
フルオロアセチル化して下記一般式(III)
【0012】
【化4】
【0013】で表される化合物を得る。この反応はテト
ラヒドロフラン,ジエチルエーテル等の溶媒を用い、有
機リチウム化合物、例えばn−ブチルリチウムとトリメ
チルシリルクロリドを用いてシリル化した後、上記のブ
チルリチウムとトリフルオロ酢酸エチルを用いてトリフ
ルオロアセチル化することにより、−78℃〜0℃の温
度で行うことができる。 得られた一般式(III)の化合物を常法により還元して下
記一般式(IV)
【0014】
【化5】
【0015】で表される化合物を得る。この反応は還元
剤として例えば水素化ホウ素ナトリウム,水素化アルミ
ニウムリチウム,塩化第二錫等を用いて行うことができ
る。得られた一般式(IV) の化合物を酸クロリドと反応
させてアシル化する。ここでアシル化剤として用いる酸
クロリドは具体的には、塩化アセチル,塩化プロピオニ
ル,塩化イソブチロイル,塩化オクタノイル,塩化ベン
ゾイル等である。 得られた下記一般式(V)
【0016】
【化6】
【0017】〔式中、R’COはアシル基を示す。〕で
表される化合物を酵素を用いて不斉加水分解することに
より下記一般式(VI)
【0018】
【化7】
【0019】で表される光学活性なアルコール及び下記
一般式(VIa)
【0020】
【化8】
【0021】で表される光学活性なエステルを得る。こ
の反応に用いる酵素としては、いわゆる加水分解酵素で
あれば各種のものを用いることができ、例えばリパーゼ
PS,リパーゼMY,リパーゼOF,セルラーゼ等が挙
げられる。上記の一般式(VIa)で表されるエステルは、
化学的加水分解及び別の酵素による不斉加水分解によ
り、一般式(VI) で表されるアルコールと鏡像体の関係
にある光学活性アルコールに変換することができる。次
に、このようにして得られた一般式(VI) で表されるア
ルコールをシリル化して下記一般式(VII)
【0022】
【化9】
【0023】〔式中、TBDMSはt−ブチルジメチル
シリル基を示す。〕で表される化合物を得る。この反応
はシリル化剤としてt−ブチルジメチルシリルクロリド
を用いて行うことができる。 得られた一般式(VII)で表されるシリル誘導体を酸化し
て下記一般式(VIII)
【0024】
【化10】
【0025】で表される化合物を得る。この反応は、酸
化剤として、例えばモノパーオキシフタル酸マグネシウ
ム塩,過酸化水素を用いて酢酸,クロロホルム等の溶媒
中で行うことができる。また、この反応では、ジアステ
レオマー混合物を得るが、これらの化合物はシリカゲル
カラムクロマトグラフィーにより容易に分離することが
できる。 得られた一般式(VIII)で表される化合物をアルキル化
して下記一般式(IX)
【0026】
【化11】
【0027】で表される化合物を得る。この反応は、有
機銅試薬、例えばジ−n−ブチル銅リチウム等を用い、
−78℃で行うことができる。また、この反応では、ジ
アステレオマー混合物は得られず、アンチ型化合物のみ
が生成する。次に、得られた一般式(IX)で表される化
合物を還元して下記一般式(X)
【0028】
【化12】
【0029】で表される化合物を得る。この反応は、還
元剤として、例えば水素化ホウ素ナトリウムとトリフル
オロボラン・エチルエーテル錯体,水素化アルミニウム
リチウムとトリフルオロボラン・エチルエーテル錯体等
を用い、テトラヒドロフラン,ジエチレングリコールジ
メチルエーテル等の混合溶媒中で行うことができる。次
に、得られた一般式(X)で表される化合物の脱シリル
化を行えば、目的とする下記一般式(XI)
【0030】
【化13】
【0031】で表される化合物を得る。この脱シリル化
反応は、常法により行うことができ、テトラヒドロフラ
ン溶媒中、触媒としてテトラ−n−ブチルアンモニウム
フルオライドを用いて0℃で行うことができる。 (2)Rf=CF3 ,R1 =水素の場合: 上記の一般式(VIII) で表わされる化合物を常法により
水素添加して、下記一般式(XII)
【0032】
【化14】
【0033】で表される化合物を得る。水素添加は、溶
媒として例えばエタノール,メタノール,ヘキサン,酢
酸エチル,ベンゼン,トルエン等を用い、パラジウム・
チャーコールを触媒として用いて水素雰囲気下に行うこ
とができる。次に、得られた一般式(XII)で表される化
合物をアルキルハライド,アラルキルハライド又はアル
ケニルハライド等と反応させることにより下記一般式
(XIII)
【0034】
【化15】
【0035】で表される化合物を得る。この反応は、テ
トラヒドロフラン,エーテル等の溶媒中で、−78℃で
n−ブチルリチウムと有機塩基、例えばヘキサメチルジ
シラザン,ジイソプロピルアミンなどを用いて行うこと
ができる。 得られた一般式(XIII) で表される化合物を還元して下
記一般式(XIV)
【0036】
【化16】
【0037】で表される化合物を得る。この反応は、還
元剤として、例えば水素化ホウ素ナトリウムとトリフル
オロボラン・エチルエーテル錯体,水素化アルミニウム
リチウムとトリフルオロボラン・エチルエーテル錯体等
を用い、テトラヒドロフラン,ジエチレングリコール,
ジメチルエーテル等の混合溶媒中で行うことができる。
さらに、得られた一般式(XIV)で表される化合物の脱シ
リル化を行えば、目的とする下記一般式(XV)
【0038】
【化17】
【0039】で表される化合物を得ることができる。こ
の脱シリル化反応は、テトラヒドロフラン溶媒中、触媒
としてテトラ−n−ブチルアンモニウムフルオライドを
用いて0℃で行うことができる。 本発明の一般式(I)の化合物の代表的なものとして
は、例えば(2R,1’R)−テトラヒドロ−2−
(2’,2’,2’−トリフルオロ−1’−ヒドロキシ
エチル)フラン;(2S,3S,1’S)−テトラヒド
ロ−3−メチル−2−(2’,2’,2’−トリフルオ
ロ−1’−ヒドロキシエチル)フラン;(2R,3R,
1’R)−テトラヒドロ−3−ブチル−2−(2’,
2’,2’−トリフルオロ−1’−ヒドロキシエチル)
フラン;(2S,3S,1’R)−テトラヒドロ−3−
ブチル−2−(2’,2’,2’−トリフルオロ−1’
−ヒドロキシエチル)フラン;(2S,4S,1’R)
−テトラヒドロ−4−ベンジル−2−(2’,2’,
2’−トリフルオロ−1’−ヒドロキシエチル)フラ
ン;(2S,4S,1’R)−テトラヒドロ−4−プロ
ピル−2−(2’,2’,2’−トリフルオロ−1’−
ヒドロキシエチル)フラン;(2S,4S,1’R)−
テトラヒドロ−4−アリル−2−(2’,2’,2’−
トリフルオロ−1’−ヒドロキシエチル)フランなどが
挙げられる。
【0040】
【実施例】次に、実施例に基づいて本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではな
い。また、以下の各例において、本発明の一般式(I)
で表される光学活性な含フッ素化合物のR,S表示は、
下記の式
【0041】
【化18】
【0042】の位置番号に基づいて行った。
【0043】実施例1 (2S,3S,1’S)−テトラヒドロ−3−ブチル−
2−(2’,2’,2’−トリフルオロ−1’−ヒドロ
キシエチル)フランの合成
【0044】
【化19】
【0045】(a)窒素雰囲気下、フラン13.6g(2
00ミリモル)をテトラヒドロフラン150ミリリット
ルに加え、1.5モル/リットルのn−ブチルリチウムヘ
キサン溶液133ミリリットル(200ミリモル)を−
20℃で滴下し、1時間反応させた。次に、トリメチル
シリルクロリド21.7g(200ミリモル)を滴下し、
−20℃で1時間攪拌した。1.5モル/リットルのn−
ブチルリチウムヘキサン溶液133ミリリットル(20
0ミリモル)を加え、−20℃で1時間反応させた後、
−78℃でトリフルオロ酢酸エチル28.4g(200ミ
リモル)を滴下し、−78℃で1時間、室温でさらに1
時間反応させた。この反応溶液に3規定の塩酸を加えて
反応を停止させ、酢酸エチルで抽出した。次いで、飽和
炭酸水素ナトリウム溶液,飽和食塩水で順次洗浄し、無
水硫酸マグネシウムで乾燥した。酢酸エチルを減圧留去
し、フラン誘導体の粗生成物を得た。
【0046】(b)乾燥エタノール100ミリリットル
に水素化ホウ素ナトリウム2.3g(60ミリモル)を加
え、上記反応で得たフラン誘導体の粗生成物を0℃で3
0分かけて滴下した。室温で2時間反応させた後、エタ
ノールを減圧留去し、3規定の塩酸を加えて反応を停止
させ、酢酸エチルにより抽出した。次いで、飽和炭酸水
素ナトリウム,飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグ
ネシウムで乾燥した。酢酸エチルを減圧留去した後、減
圧蒸留を行い、アルコール化合物40.5g(170ミリ
モル)を得た。
【0047】(c)塩化メチレン200ミリリットルに
上記(b)の反応で得たアルコール化合物23.8g(1
00ミリモル)とピリジン8.9ミリリットル(110ミ
リモル)を加え、0℃で塩化アセチル8.6g(110ミ
リモル)を滴下し、室温で12時間反応させた。次い
で、3規定の塩酸を加えて反応を停止させ、塩化メチレ
ンで抽出した。その後、飽和炭酸水素ナトリウム溶液,
蒸留水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し
た。塩化メチレンを減圧留去した後、減圧蒸留を行い、
エステル化合物27.5g(98ミリモル)を得た。
【0048】(d)蒸留水1000ミリリットルに上記
反応により得られたエステル化合物28.0g(100ミ
リモル)を加えて、ミニジャーファーメンター中で40
℃で攪拌した。リパーゼPSを20g加え、20時間反
応させた。3規定の塩酸を加え、0℃に冷却して反応を
停止し、セライトによりろ過した。ろ液を酢酸エチルに
より抽出し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウ
ムで乾燥し、酢酸エチルを減圧留去した。次いで、シリ
カゲルカラムクロマトグラフィーにより分離精製して光
学活性アルコール化合物11.7g(49ミリモル)と光
学活性エステル化合物13.2g(47ミリモル)を得
た。なお、得られたアルコール化合物の光学純度は97.
5%e.e.であった。
【0049】(e)上記反応で得られた光学活性アルコ
ール化合物11.7g(49ミリモル)を塩化メチレン1
00ミリリットルに溶かし、イミダゾール4.0g(59
ミリモル)とt−ブチルジメチルシリルクロリド8.9g
(59ミリモル)を0℃で加えて15分攪拌し、室温で
16時間反応させた。蒸留水を加えて反応を停止させ、
塩化メチレンにより抽出した。次いで、蒸留水で洗浄
し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。塩化メチレンを
減圧留去した後、カラムクロマトグラフィーにより分離
精製してシリルエーテル化合物16.6g(47ミリモ
ル)を得た。
【0050】(f)窒素雰囲気下、酢酸120ミリリッ
トルに上記反応で得られたシリルエーテル化合物14.1
g(40ミリモル)及びモノパーオキシフタル酸マグネ
シウム23.2g(60ミリモル)を加え、80℃で12
時間反応させた。酢酸を減圧留去した後、飽和炭酸水素
ナトリウム溶液を加え、酢酸エチルにより抽出した。次
いで、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾
燥した。酢酸エチルを減圧留去した後、カラムクロマト
グラフィーにより分離精製し、(4S,1’S)ブテノ
リド化合物 4.7g(16ミリモル)及び(4R,1’
S)ブテノリド化合物 3.0g(10ミリモル)を得た。
なお、4.2g(12ミリモル)の原料も回収された。
【0051】(g)窒素雰囲気下、テトラヒドロフラン
10ミリリットルに塩化第一銅 1.0g(10ミリモル)
を加え、−78℃で1.6M n−ブチルリチウムヘキサ
ン溶液12.5ミリリットル(20ミリモル)をゆっくり
と滴下し、−78℃で30分,室温で5分,さらに−7
8℃で30分反応させた。トリフルオロボラン・エーテ
ル錯体 2.8g(20ミリモル)を加え、−78℃で30
分攪拌した。次に、上記反応により得られた(4S,
1’S)ブテノリド化合物1.5g(5ミリモル)のテト
ラヒドロフラン(2ミリリットル) 溶液を滴下し、−7
8℃で2時間反応させた。希アンモニア水を加えて反応
を停止し、酢酸エチルで抽出した。チオ硫酸ナトリウム
溶液,飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウム
で乾燥した。酢酸エチルを減圧留去し、シリカゲルカラ
ムクロマトグラフィーで分離精製することによりアルキ
ル化化合物1.5g(4.3ミリモル)を得た。
【0052】(h)窒素雰囲気下、テトラヒドロフラン
5ミリリットルとジエチレングリコールジメチルエーテ
ル5ミリリットルの混合溶媒に水素化ホウ素ナトリウム
0.11g(2.8ミリモル)を加え、0℃で攪拌し、トリ
フルオロボラン・ジエチルエーテル錯体5.3ミリリット
ル(42ミリモル)を加えた。次に上記反応で得られた
アルキル化化合物0.5g( 1.4ミリモル)のテトラヒド
ロフラン溶液(3ミリリットル)を滴下し、0℃で1時
間反応し、さらに1.5時間還流した。蒸留水を加えて反
応を停止し、エーテルで抽出した。飽和食塩水で洗浄
し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。エーテルを減圧
留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精
製することによりテトラヒドロフラン化合物0.42g(
1.2ミリモル)を得た。
【0053】(i)上記反応で得られたテトラヒドロフ
ラン化合物0.42g( 1.2ミリモル)をテトラヒドロフ
ラン3ミリリットルとメタノール2ミリリットルの混合
溶媒に加え、次にテトラ−n−ブチルアンモニウムフル
オライド0.31g( 1.2ミリモル)を加えて、0℃で3
0分,室温で4日間反応した。蒸留水を加えて反応を停
止し、エーテルで抽出した。次に、飽和食塩水で洗浄
し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。エーテルを減圧
留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精
製して目的とする(2S,3S,1’S)−テトラヒド
ロ−3−ブチル−2−(2’,2’,2’−トリフルオ
ロ−1’−ヒドロキシエチル)フラン0.25g(1.1ミ
リモル)を得た。
【0054】得られた化合物の物理的性質を以下に示
す。 分子式:C10173 2 1 H−NMR(プロトン核磁気共鳴法);δ(ppm) 0.90 (t,J=6.5Hz,3H) 1.22〜1.44(m,5H) 1.45〜1.77(m,2H) 2.03〜2.17(m,1H) 2.28〜2.43(m,1H) 2.81 (d,J=5.6Hz,1H) 3.74〜3.93(m,3H) 4.06 (ddq,J=4.7,5.6,7.5Hz ,1H)19 F−NMR(同位体フッ素による核磁気共鳴法,基準:CFCl3 );δ(p pm) −76.03 (d,J=7.4Hz) IR(赤外線吸収:cm-1) 3350,1470,1285,1120,1060 質量分析 m/e(M + +H) 計算値 227.1259 実測値 227.1270 〔α〕26 D =+31.9°(C(濃度)=1.08,溶媒:メタノール)
【0055】実施例2 (2R,3R,1’S)−テトラヒドロ−3−ブチル−
2−(2’,2’,2’−トリフルオロ−1’−ヒドロ
キシエチル)フランの合成
【0056】
【化20】
【0057】(a)実施例1(f)で得られた(4R,
1’S)ブテノリド化合物1.3g( 4.2ミリモル)を用
い、実施例1(g)と同様の操作を行い、アルキル化化
合物0.77g( 2.2ミリモル)を得た。
【0058】(b)上記反応で得られたアルキル化化合
物1.9g(5.3ミリモル)を用い、実施例1(h)と同
様の操作を行い、テトラヒドロフラン化合物1.3g(3.
9ミリモル)を得た。
【0059】(c)上記反応で得られたテトラヒドロフ
ラン化合物1.3g( 3.9ミリモル)を用い、実施例1
(i)と同様の操作を行い、目的とする(2R,3R,
1’S)−テトラヒドロ−3−ブチル−2−(2’,
2’,2’−トリフルオロ−1’−ヒドロキシエチル)
フラン0.87g( 3.8ミリモル)を得た。
【0060】得られた化合物の物理的性質を以下に示
す。 分子式:C10173 2 1 H−NMR;δ(ppm) 0.91 (t,J=6.5Hz,3H) 1.22〜1.73(m,7H) 2.07〜2.24(m,2H) 3.11 (d,J=10.3Hz,1H) 3.68〜3.72(m,1H) 3.77〜4.07(m,3H)19 F−NMR(基準:CFCl3 );δ(ppm) −78.40 (d,J=7.5Hz) IR(cm-1) 3450,1470,1280,1170,1130 質量分析 m/e(M + +H) 計算値 227.1259 実測値 227.1266 〔α〕D 26=−45.3°(C=1.06,メタノール)
【0061】
【発明の効果】本発明によれば、テトラヒドロフラン環
に隣接する不斉炭素原子上に、それ自体大きな電子吸引
性を持つフルオロアルキル基を有する新規化合物が得ら
れる。これらの化合物は、酵素阻害剤,生物活性物質,
抗癌剤及び強誘電性液晶等の原料として広範な利用が期
待される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹田 充範 茨城県鹿島郡神栖町東和田4番地 鹿島 石油株式会社鹿島製油所内 (56)参考文献 特開 平4−230677(JP,A) 特開 平4−288068(JP,A) Chemical Abstract s 115:207770 Chemical Abstract s 93:114214 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07D 307/12 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 〔式中、Rfは炭素数1又は2のフルオロアルキル基を
    示し、R1 及びR2 はそれぞれ独立に水素,炭素数1〜
    15の直鎖若しくは分岐鎖アルキル基,炭素数2〜15
    のアルケニル基又は炭素数7〜10のアラルキル基を示
    し、*は不斉炭素を示す。〕で表される光学活性な含フ
    ッ素化合物。
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