JPH0662872A - 光学活性アルコールの製造法 - Google Patents

光学活性アルコールの製造法

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JPH0662872A
JPH0662872A JP21616392A JP21616392A JPH0662872A JP H0662872 A JPH0662872 A JP H0662872A JP 21616392 A JP21616392 A JP 21616392A JP 21616392 A JP21616392 A JP 21616392A JP H0662872 A JPH0662872 A JP H0662872A
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alcohol
optically active
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ethoxy
trifluoro
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JP21616392A
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Hiroshi Mineda
浩 嶺田
Tomoyuki Yui
知之 油井
Maki Ito
真樹 伊藤
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 不斉炭素上にトリフルオロメチル基、炭素鎖
末端にアルコキシ基を有する光学活性アルコールを高い
光学純度で、且つ簡便に製造する方法。 【構成】 トリフルオロ酢酸と一般式Br(CH2m
n2n+1で表される臭素化物とのグリニャー反応によ
り一般式、CF3 CO(CH2mOCn2n+1で表され
るケトンを製造し、このケトンを還元してアルコールと
なし、このアルコールの水酸基をアセチル化した後リパ
ーゼにより不斉加水分解することにより一般式、CF3
C*H(OH)(CH2mOCn2n+1(式中、C*は
不斉炭素原子を示す。)で表される光学活性アルコール
を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は不斉炭素上にトリフルオ
ロメチル基、炭素鎖末端にアルコキシ基を有する光学活
性アルコールを高い光学純度で、かつ簡便に製造する方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光学活性物質は従来より医薬品、農薬の
分野に於いて使用されてきたが近年強誘電性液晶、有機
非線形材料などの機能性材料として注目を集めている。
例えば有機非線形材料の分野においては有機材料が二次
の非線形光学効果を生ずるためには分子内に不斉中心が
存在することが望ましい〔例えば、山口、中野、笛野、
化学、42(11)、757(1987)〕。また強誘
電性液晶の分野においては液晶が強誘電性を示すために
は液晶分子が光学活性体であることが不可欠である〔例
えば城野、福田、有機合成化学協会誌、47(6)、5
68(1989)〕。従来このような分野においては光
学活性源として、2−ブタノール、2−オクタノール、
2−メチル−1−ブタノール、アミノ酸誘導体などが用
いられてきた。しかしながらこの様な光学活性物質を使
用していたのでは、得られる液晶の特性は限定されたも
のであった。
【0003】最近強誘電性液晶の分野において、光学活
性源として不斉炭素上にフッ素置換した基を持つ CF3C*H(OH)CH2COOC25 、 CF3C*H(OH)(CH22OC25 、 CF3C*H(OH)(CH23OC25 、 CF3C*H(OH)(CH24OC25 、 CF3C*H(OH)C613、 CF3C*H(OH)C817、 C25C*H(OH)C817
【0004】等のアルコールを使用し強誘電性液晶を合
成する試みが盛んに行われている(例えば、特開昭64
−3154号、特開平1−316339号、特開平1−
316367号、特開平1−316372号、特開平2
−225434号、特開平2−229128号の各公
報)。これらのアルコールを用いて誘導された強誘電性
液晶はいずれも不斉炭素上に電気陰性度の大きいフッ素
原子が置換されているために大きい自発分極を与えかつ
比較的速い応答速度を与える。更に、
【0005】CF3C*H(OH)C613、 CF3C*H(OH)C817、 C25C*H(OH)C817
【0006】等を用いて誘導された液晶は反強誘電相を
有する液晶(以下反強誘電性液晶と称する)を与え易い
ことが認められており、このためにこれらは非常に特徴
あるアルコールとして注目を集めている。
【0007】反強誘電性液晶は近年見いだされたもので
あるが、〔(A.D.L.Chandani,E.Gorecka,Y.Ouchi,H.Tak
ezoe,A.Furukawa,Jpn.Appl.Phys.,28,L1265,(1989) 〕
従来の強誘電性液晶に比べ配向が容易である、配向の自
己修復能力がある、高いコントラスト比が実現できる、
明確な「しきい値電圧」を持つなど様々の有利な点を持
っているため大きな注目を集めている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】この様に不斉炭素上に
フッ素置換した液晶は非常に大きい有用性を与える。し
かしながら、 CF3C*H(OH)C613、 CF3C*H(OH)C817、 C25C*H(OH)C817
【0009】等を用いて誘導された反強誘電性液晶は応
答速度が十分でなく、反強誘電相を示す温度範囲が実用
温度範囲より高い、さらには「しきい値電圧」が高いた
めに液晶を駆動するための電圧が高いなどの欠点を有し
ている。従ってこの面から不斉炭素上にフッ素置換した
新しい光学活性アルコールの出現が望まれていた。その
ために我々は既に一般式、 CF3C*H(OH)(CH2mOCn2n+1 で表される光学活性アルコールとその製造法及びその利
用について提案しmが5以上の場合、反強誘電相が発現
し、しかも物性的に特徴ある液晶を与えることを認めて
いる(特願平2−297125号、特願平2−3224
62号など)。更にこのアルコールの光学純度を上げる
ことによって、このアルコールから誘導された液晶の
「しきい値電圧」は、低光学純度のアルコールから誘導
された液晶のそれに比べて大幅に小さいことを見いだし
た(特願平4−060280)。先に我々が提案した一
般式、 CF3C*H(OH)(CH2mOCn2n+1 で表される高い光学純度を有する光学活性アルコールの
合成法は次の通りである。
【0010】 パン酵母 CF3COCH2CO225 →→→→→→→→→→→→→→→ →→→→→→→→→→ CF3C*H(OH)CH2CO225
【0011】 DHP CF3C*H(OH)CH2CO225 →→→→→→→→→→ →→→→→→→→ CF3C*H(OTHP)CH2CO225
【0012】 LiAlH4 CF3C*H(OTHP)CH2CO225 →→→→→→→→→ →→→→→→→→→→ CF3C*H(OTHP)CH2CH2OH
【0013】 TsCl CF3C*H(OTHP)CH2CH2OH →→→→→→→→→→ →→→→→→ CF3C*H(OTHP)CH2CH2OTs <1>
【0014】 PBr3 n2n+1O(CH2m-2OH →→→→→→→→→→→→→→→ →→→→→→→→→→→ Cn2n+1O(CH2m-2Br
【0015】 Mg Cn2n+1O(CH2m-2Br →→→→→→→→→→→→→→→ →→→→→→→→→→→ Cn2n+1O(CH2m-2MgBr <2>
【0016】 CuI <1>+<2> →→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→ →→→→→ CF3C*H(OTHP)(CH2mOCn2n+1
【0017】 CF3C*H(OTHP)(CH2mOCn2n+1 →→→→→→ HCl →→→→→ CF3C*H(OH)(CH2mOCn2n+1
【0018】 CH3COCl CF3C*H(OH)(CH2mOCn2n+1 →→→→→→→→ →→→ CF3C*H(OCOCH3 )(CH2mOCn2n+1
【0019】 リパーゼ CF3C*H(OCOCH3 )(CH2mOCn2n+1 →→→→ →→ CF3C*H(OH)(CH2mOCn2n+1 + CF3C*H(OCOCH3 )(CH2mOCn2n+1
【0020】上記式でDHPはジヒドロピランを表し、
OTHPはジヒドロピランで保護された水酸基を示す。
又、OTHPのTHPはテトラヒドロピランを示す。ま
た、TsClはパラトルエンスルホニルクロライドを示
し、Tsはトシル残基を示す。我々が先に提案した上記
方法は、特に困難な工程もなく、比較的収率も高いこと
から高い光学純度を有する光学活性アルコールの製造方
法として大きな有用性を有する。しかしながら、この方
法はパン酵母による不斉還元と、リパーゼによる不斉加
水分解の2つの不斉反応を含む、原料であるトリフルオ
ロアセト酢酸エチルが高価である、工程数が多いなどの
点から工業的実施を考えたときより簡便な製造法の考案
が望まれる。また特開昭64−3154にはm≦3の本
発明と類似構造のアルコールの製造法が開示されてい
る。この方法に於いてはm=2の場合は、比較的簡単に
製造できるがm=3の場合は原料を手に入れるのが困難
であるという問題を有している。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明者らは トリフ
ルオロ酢酸と、 一般式、HO(CH2 mOCn2n+1、(式中mは
3〜8、nは1〜6の整数)で表されるアルコールから
得られた一般式、Br(CH2 mOCn2n+1で表され
る臭素化物、 とのグリニャー反応により、一般式、CF3CO
(CH2mOCn2n+1で表されるケトンを製造し、 ついでこのケトンを還元することにより、一般式、
CF3CH(OH)(CH2mOCn2n+1で表されるア
ルコールを製造し、 更にこのアルコールの水酸基をアセチル化した後、
リパーゼにより不斉加水分解することによって一般式、 CF3C*H(OH)(CH2mOCn2n+1 で表される光学活性アルコールを従来法に比べ大幅に工
程を短縮して、製造できることを見いだし本発明を完成
したものである。
【0022】本発明を反応式で示すと次の通りである。 (1)HO(CH2mOH+Na+Cn2n+1Br →→→→→→ →→→→→→→→→→→→→→ HO(CH2mOCn2n+1
【0023】 (2)HO(CH2mOCn2n+1+PBr3 →→→→→→→→→ →→→→→→→→ Br(CH2mOCn2n+1
【0024】 (3)Br(CH2mOCn2n+1+Mg →→→→→→→→→→ →→→→→→→ MgBr(CH2mOCn2n+1
【0025】 (4)MgBr(CH2mOCn2n+1+CF3COOH →→→ →→→→→→→ CF3CO(CH2mOCn2n+1
【0026】 LiAlH4 (5)CF3CO(CH2mOCn2n+1 →→→→→→→→→→ →→→→→→→ CF3CH(OH)(CH2mOCn2n+1
【0027】 (6)CF3CH(OH)(CH2mOCn2n+1+CH3COCl →→→→→ CF3CH(OCOCH3)(CH2mOCn2n+1
【0028】 リパーゼ (7)CF3C*H(OCOCH3)(CH2m OCn 2n+1→→ →→→ CF3C*H(OH)(CH2mOCn2n+1+ CF3C*H(OCOCH3)(CH2mOCn2n+1
【0029】上記反応式(1)は脂肪族ジオールの臭化
アルキルによるアルキル化であり、これは公知の方法
〔例えばLee Irvinら、JACS.,65、1
276(1943)〕によって容易に達成される。この
反応において用いられる金属ナトリウム、及び臭化アル
キルの量はジオールに対して1/2から1/3モルが適
当である。これらの量がジオールに対して1/2モル以
上になるとジエーテル体の生成量が多くなる。溶媒とし
ては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの比較的沸点
の高い芳香族炭化水素が適当であり、これら溶媒の沸点
下で反応は行われる。
【0030】上記反応式(2)は(1)で得られたアル
コールの臭素化であるが、これも三臭化燐を用いる公知
の方法(上記文献)によって容易に達成される。三臭化
燐はアルコールに対して1/2から1/3モル使用し、
室温付近で反応するのが好ましい。
【0031】上記反応式(3)はグリニヤー試薬の調製
であるが通常の手法により問題なく実施できる。
【0032】上記反応式(4)は(3)で調製したグリ
ニヤー試薬とトリフルオロ酢酸との反応であるが、公知
の方法〔例えば、K.N.Campbellら、JAC
S.,72,4380(1950)、K.T.Dish
artら、JACS.,78,2268(1956)、
CA,77,10986j〕を参考にして容易に実施で
きる。
【0033】上記反応式(5)はケトンの一般的な還元
法が適用でき容易に実施できる。上記反応式(6)はピ
リジンを触媒とする水酸基の塩化アセチルによるアセチ
ル化であり、公知の方法により容易に達成できる。
【0034】反応式(7)はアセテートのリパーゼによ
る不斉加水分解である。アセテートのリパーゼによる不
斉加水分解については、北爪らによって提案されてい
る。〔T.Kitazume et al.,J.Or
g.,52、3211(1987)、特開平2−282
340号〕。これによればリパーゼMYを用いることに
よって、CF3CH(OCOCH3)Cn2n+1で表され
るアセテートは燐酸緩衝液中で不斉加水分解される。し
かしながら、リパーゼMYの不斉認識能は被加水分解化
合物の化学構造に大きく依存し、北爪ら〔T.Kita
zume etal.,J.Org.,52、3211
(1987)〕の表1に示されているように化学構造に
よって得られた加水分解物の光学純度は55〜98ee
%と大きく異なっている。このことは、ある目的とする
化合物の不斉加水分解がうまくゆくかどうか予測するこ
とは困難であり、結局は目的とするアルコールが高い光
学純度で得られるかどうかは反応を行ってみなければ判
らないことを示している。
【0035】ところでラセミ体の不斉加水分解を考えた
時、達成できる最大の加水分解率は50%である。北爪
らはこの点に関して一方のエナンチオマーを高い光学純
度で得るためには、加水分解率を45%以下に押さえる
必要があるとしている。従って、できるだけ高い加水分
解率で、高い光学純度が達成できる様な条件を設定する
ことが必要になる。
【0036】本発明に於ける不斉加水分解は燐酸バッフ
ァー中(pH=7.3)で行い基質濃度としては、0.
1〜0.5モル/l、リパーゼ濃度としては2〜10
%、反応温度としては20〜50℃が適当な範囲であ
る。この様な条件下では、加水分解率を50%近くに設
定した時、目的とするアルコールの光学純度はほぼ10
0%であり、非常に好ましい結果が得られた。
【0037】
【本発明の効果】本発明は不斉炭素上にトリフルオロメ
チル基、炭素鎖末端にアルコキシ基を有する光学活性ア
ルコールを極めて高い光学純度で、簡便にかつ安価に製
造する方法に関するものであるが、このものは医薬品、
農薬、機能性材料などの合成中間体として有用なもので
ある。
【0038】
【実施例】次に実施例によって本発明を更に詳細に説明
するが本発明はこれに限定されるものでない。
【0039】実施例1 光学活性アルコール7−エトキシ−1,1,1−トリフ
ルオロ−2−ヘプタノールの製造〔一般式CF3CH
(OH)(CH2 mOCn2n+1においてm=5、n=
2の場合〕
【0040】(1)5−エトキシペンタノールの製造 1,5−ペンタンジオール156g(1.5モル)とキ
シレン50mlの混合物を120℃に加熱攪拌しながら
金属ナトリュウム11.5g(0.5モル)を少しづつ
加えた。ナトリウムが完全に反応した後、臭化エチル5
4.5g(0.5)モルを滴下した。滴下終了後更に1
時間120℃で攪拌した。反応混合物を放冷後、水50
0mlに注ぎエーテルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで
乾燥した。その後溶媒を留去したのち、真空蒸留により
沸点95℃(22Torr)から100℃(12Tor
r)の留分39.4gを得た。このものの5−エトキシ
ペンタノールとしての純度は83%であった(ガスクロ
マトグラフ分析による)。
【0041】(2)5−エトキシ−1−ブロモペンタン
の製造 5−エトキシペンタノール39.4g(.3モル)に室
温で三臭化燐32.2g(0.12モル)を滴下した。
反応混合物を氷水に注ぎジクロロメタンで抽出した。有
機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤、溶媒を
除き残さを減圧蒸留して沸点71.5〜77℃(9To
rr)の留分36.5gを得た。このものはガスクロマ
トグラフによる分析の結果、5−エトキシ−1−ブロモ
ペンタンとしての純度は85%であった。
【0042】(3)7−エトキシ−1、1、1−トリフ
ルオロ−2−ヘプタノール(ラセミ体)の製造 金属マグネシウム5g(0.21モル)にエーテル25
mlを加え、5−エトキシ−1−ブロモペンタン36.
5g(0.19モル)のエーテル(25ml)溶液を滴
下し、グリニャール試薬を調製した。これにエーテル7
5mlを加え、トリフルオロ酢酸7.2g(0.063
モル)のエーテル20ml溶液を滴下した後2時間還流
した。反応混合物を1規定塩酸300mlに注ぎ、エー
テルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗い、無水硫酸
ナトリウムで乾燥した。乾燥剤と溶媒を除いて得られた
粗生成物のエーテル溶液を水素化リチウムアルミニウム
2.5gのエーテル溶液に室温で滴下した。過剰の水素
化リチウムアルミニウムを水/テトラヒドロフラン=1
/1溶液で処理し、沈澱を吸引ろ過し、得られた溶液を
飽和食塩水で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾
燥剤と溶媒を除き、残さを減圧蒸留し、沸点71〜73
℃(2Torr)の留分9.7gを得た。ガスクロマト
グラフ分析による結果、このものは7−エトキシ−1、
1、1−トリフルオロ−2−ヘプタノール(ラセミ体)
の純度としては91%であった。
【0043】(4)2−アセトキシ−7−エトキシ−
1、1、1−トリフルオロヘプタンの製造 塩化アセチル2.4g(0.031モル)のトルエン溶
液に7−エトキシ−1、1、1−トリフルオロ−2−ヘ
プタノール4.7g(0.02モル)とピリジン4ml
を加えて室温で終夜攪拌した。反応混合物を飽和食塩水
に注ぎエーテルで抽出し、塩酸、水酸化ナトリウム水溶
液、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥
後、乾燥剤、溶媒を除き残さを減圧蒸留して沸点63〜
63.5℃(3Torr)の留分4.54g得た。この
ものはガスクロマトグラフ分析による結果、2−アセト
キシ−7−エトキシ−1、1、1−トリフルオロヘプタ
ンの純度としては99%であった。
【0044】(5)R−(+)−7−エトキシ−1、
1、1−トリフルオロ−2−ヘプタノールの製造 リパーゼMY(明糖産業製)4.5gを燐酸バッファー
60ml(pH7.3、1/15M KH2 PO4
4mlと1/15M Na2 HPO4 46mlを混合)
に懸濁させ、40〜41℃で15分間撹はんした。これ
に、2−アセトキシ−7−エトキシ−1、1、1−トリ
フルオロヘプタン4.54g(0.0177モル)を加
え、同じ温度で反応が停止するまで攪拌した。反応混合
物に1N塩酸100mlを加え、エーテルで抽出した。
エーテル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、エーテルを
留去して粗生成物を得た。ヘキサン/酢酸エチルを展開
溶媒とするシリカゲルを充填したカラムクロマトグラフ
ィーにより精製し、1.5gのR−(+)−7−エトキ
シ−1、1、1−トリフルオロ−2−ヘプタノール
(〔α〕D 27=+22.4°(C=1.53、CHCl
3 )、96.6%ee)と1.83gのS−(−)−2
−アセトキシ−7−エトキシ−1、1、1−トリフルオ
ロヘプタンを得た。
【0045】光学純度96.1%eeの4、4、4−ト
リフルオロ−3−ヒドロキシブタン酸エチル(森田化学
製)が市販されているが、この原料を用いて1、1、1
−トリフルオロ−7−エトキシ−2−ヘプタノールを製
造した場合の比旋光度は+22.3°である。この時の
光学純度は反応途中のラセミ化は考えられないので9
6.1%eeと考えられ、従って光学純度100%ee
の比旋光度は+23.2°となる。これより本実施例で
得られた1、1、1−トリフルオロ−7−エトキシ−2
−ヘプタノールの光学純度は96.6%eeとみなされ
る。
【0046】実施例2 光学活性アルコール6−エトキシ−1,1,1−トリフ
ルオロ−2−ヘキサノールの製造〔一般式CF3CH
(OH)(CH2mOCn2n+1においてm=4、n=
2の場合〕
【0047】(1)4−エトキシブタノールの製造 1,4−ブタンジオール170.7g(1.9モル)と
キシレン60mlの混合物を120℃に加熱攪拌しなが
ら金属ナトリウム14.5g(0.6モル)を少しづつ
加えた。ナトリウムが完全に反応した後、臭化エチル6
9.4g(0.64モル)を滴下した。滴下終了後更に
1時間120℃で攪拌した。反応混合物を放冷後、水5
00mlに注ぎエーテルで抽出し、無水硫酸ナトリウム
で乾燥した。その後溶媒を留去したのち、真空蒸留によ
り沸点86〜90℃(25Torr)から100℃(1
2Torr)の留分24.3gを得た。このものの4−
エトキシブタノールとしての純度は81%であった(ガ
スクロマトグラフ分析による)。
【0048】(2)4−エトキシ−1−ブロモブタンの
製造 4ーエトキシブタノール24.0g(0.2モル)に室
温で三臭化燐20.0g(0.074モル)を滴下し
た。60℃で1時間攪拌した。反応混合物を氷水に注ぎ
ジクロロメタンで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウ
ムで乾燥した。乾燥剤、溶媒を除き残さを減圧蒸留して
沸点78〜82℃(30Torr)の留分30.1gを
得た。このものはガスクロマトグラフによる分析の結
果、4−エトキシ−1−ブロモブタンとしての純度は8
8%であった。
【0049】(3)6−エトキシ−1、1、1−トリフ
ルオロ−2−ヘキサノール(ラセミ体)の製造 窒素気流中金属マグネシウム4.2g(0.17モル)
にテトラヒドロフラン40mlを加え、4−エトキシ−
1−ブロモブタン30.1g(0.17モル)のテトラ
ヒドロフラン(50ml)溶液を滴下し、グリニャール
試薬を調製した。トリフルオロ酢酸6.3g(0.05
6モル)のテトラヒドロフラン(13ml)溶液を滴下
した後、40℃で2時間攪拌した。反応混合物を1規定
塩酸300mlに注ぎ、エーテルで抽出した。有機層を
飽和食塩水で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾
燥剤と溶媒を除いて得られた粗生成物のエーテル溶液を
水素化リチウムアルミニウム2.3g(0.061モ
ル)のエーテル溶液にゆっくり還流させながら滴下し
た。過剰の水素化リチウムアルミニウムを水/テトラヒ
ドロフラン=1/1溶液で処理し、沈澱を吸引ろ過し、
得られた溶液を飽和食塩水で洗い、無水硫酸ナトリウム
で乾燥した。乾燥剤と溶媒を除き、残さを減圧蒸留し、
沸点68〜70℃(3Torr)の留分8.9gを得
た。ガスクロマトグラフ分析による結果、このものは6
−エトキシ−1、1、1−トリフルオロ−2−ヘキサノ
ール(ラセミ体)の純度としては96%であった。
【0050】(4)2−アセトキシ−6−エトキシ−
1、1、1−トリフルオロヘキサンの製造 塩化アセチル4.2g(0.053モル)のトルエン溶
液に6−エトキシ−1、1、1−トリフルオロ−2−ヘ
キサノール8.9g(0.044モル)とピリジン8m
lを加えて室温で終夜攪拌した。反応混合物を飽和食塩
水に注ぎエーテルで抽出し、塩酸、水酸化ナトリウム水
溶液、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾
燥後、乾燥剤、溶媒を除き残さを減圧蒸留して沸点54
〜55℃(3Torr)の留分9.26gを得た。この
ものはガスクロマトグラフ分析による結果、2−アセト
キシ−6−エトキシ−1、1、1−トリフルオロヘキサ
ンの純度としては97%であった。
【0051】(5)R−(+)−6−エトキシ−1、
1、1−トリフルオロ−2−ヘキサノールの製造 リパーゼMY(明糖産業製)8.2gを燐酸バッファー
120ml(pH7.3、1/15M KH2 PO4
14mlと1/15M Na2 HPO4 46mlを混
合)に懸濁させ、40〜41℃で15分間攪拌した。こ
れに、2−アセトキシ−5−エトキシ−1、1、1−ト
リフルオロヘキサン8.2g(0.034モル)を加
え、同じ温度で反応が停止するまで攪拌した。反応混合
物に1N塩酸120mlを加え、エーテルで抽出した。
エーテル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、エーテルを
留去して粗製物を得た。ヘキサン/酢酸エチルを展開溶
媒とするシリカゲルを充填したカラムクロマトグラフィ
ーにより精製し、2.9gのR−(+)−5−エトキシ
−1、1、1−トリフルオロ−2−ヘキサノール
(〔α〕D 27=+22.4°(C=1.00、CHCl
3 )と3.1gのS−(−)−2−アセトキシ−5−エ
トキシ−1、1、1−トリフルオロヘキサンを得た。尚
図1にR−(−)−5−エトキシ−1、1、1−トリフ
ルオロ−2−ヘキサノールのNMRスペクトルを示し
た。
【0052】(6)R−(+)−6−エトキシ−1、
1、1−トリフルオロ−2−ヘキサノールの光学純度の
決定 R−(+)−6−エトキシ−1、1、1−トリフルオロ
−2−ヘキサノールの光学純度は次のような方法によっ
て求めた。R−(+)−α−メトキシ−α−(トリフル
オロメチル)フェニル酢酸(R−MTPA)1g(0.
004モル)、塩化チオニル2ml,食塩20mgを約
30時間還流した。過剰の塩化チオニルを除去しMTP
Aの酸塩化物を得た。R−(+)−6−エトキシ−1、
1、1−トリフルオロ−2−ヘキサノール80.5mg
(0.004モル)のピリジン溶液(1.5ml)に、
4−ジメチルアミノピリジン98mg(0.0008モ
ル)と四塩化炭素1.5mlを加えた。これに上で得た
MTPAの酸塩化物を加え室温で24時間攪拌した。反
応終了後、水を加え、酢酸エチルで抽出し有機層を水、
飽和食塩水で洗浄し減圧下溶媒を除去しMTPAエステ
ルを得た。このもののジクロロメタン溶液をOV−1を
液相とするキャピラリーカラム(0.25mm×25
m)で分析したところ図2に示すようなクロマトグラム
が得られた。。これよりR−(+)−6−エトキシ−
1、1、1−トリフルオロ−2−ヘキサノールの光学純
度は98.9%eeであると推定された。
【0053】実施例3 光学活性アルコール6−プロピルオキシ−1,1,1−
トリフルオロ−2−ヘキサノールの製造〔一般式CF3
CH(OH)(CH2mOCn 2n+1においてm=4、
n=3の場合〕 実施例2における臭化エチルの代わりに臭化プロピルを
用いた以外は実施例2と全く同様にしR−(+)−6−
プロピルオキシ−1,1,1−トリフルオロ−2−ヘキ
サノールを製造した。このもののNMRスペクトルを図
3に示した。実施例2と同様にして光学純度を測定しと
ころ98%eeと推定された。なお〔α〕D 27=+2
0.0°(C=1.00、CHCl3 )であった。
【0054】参考例1 光学活性アルコール4−ヘプチルオキシ−1,1,1−
トリフルオロ−2−ブタノールの製造〔一般式CF3
H(OH)(CH2mOCn2n+1においてm=2、n
=7の場合〕 実施例2における1,4−ブタンジオールの代わりにエ
チレングリコール、臭化エチルの代わりに臭化ヘプチル
を使用した以外は、実施例2と全く同様にして操作し
た。しかしながらBr(CH2 2O(CH2 6CH3
に金属マグネシウムを反応させグリニヤー試薬を調製す
る段階で、グリニヤー試薬は安定に存在せずCH3(C
26O(CH24O(CH26CH3 等のジエーテル
体などが多くでき、目的を達成することができなかっ
た。
【0055】実施例4 光学活性アルコール8−プロピルオキシ−1、1、1−
トリフルオロ−2−オクタノールの製造〔一般式CF3
CH(OH)(CH2 mOCn2n+1においてm=6、
n=3の場合〕 実施例2に於ける1,4−ブタンジオールの代わりに
1,6−ヘキサンジオール、臭化エチルの代わりに臭化
プロピルを用いた以外は実施例2と同様にしてR−
(+)−8−プロピルオキシ−1、1、1−トリフルオ
ロ−2−オクタノールを製造した。このもののNMRス
ペクトルを図4に示した。また旋光度を測定したところ
〔α〕D 27=+19.2°(C=1.01,CHC
3 )であった。また実施例2と同様にして光学純度を
測定したところ、97.3%eeであった。
【0056】実施例5 光学活性アルコール9−エトキシ−1,1,1−トリフ
ルオロ−2−ノナノールの製造〔一般式CF3CH(O
H)(CH2 mOCn2n+1においてm=7、n=2の
場合〕 実施例2における1,4−ブタンジオールの代わりに
1,7−ヘプタンジオールを使用した以外は、実施例2
と全く同様にしてR−(+)−9−エトキシ−1,1,
1−トリフルオロ−2−ノナノールを製造した。このも
ののNMRスペクトルを図5に示した。またこのものの
旋光度は〔α〕D 27=+16.2°(C=1.2、CH
Cl3 )であった。また実施例2と同様にして光学純度
を求めたところ98%eeと推定された。
【0057】実施例6(液晶の合成) 実施例1で得られたアルコールを用いてそれぞれ次の化
1に示したA、B2種類の反強誘電性液晶を特願平2−
322462号及び特願平3−349097号に示した
方法により製造し、物性を測定した。又25℃における
応答速度、「しきい値電圧」は満足すべきものであった
(表1)。
【0058】
【化1】
【0059】(表 1) 液晶 A 液晶 B しきい値電圧 4 5 応答速度 12, 78 11, 29
【0060】上表に於いて「しきい値電圧」の単位はV
/μm、応答速度の単位はμ秒である。なお応答速度の
左側の値は反強誘電から強誘電、右側の値は強誘電から
反強誘電への速度を示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施例2で得られた光学活性アルコー
ル、6−エトキシ−1,1,1−トリフルオロ−2−ヘ
キサノールのNMRスペクトル図である。
【図2】図2は実施例2で得られた光学活性アルコー
ル、6−エトキシ−1,1,1−トリフルオロ−2−ヘ
キサノールのガスクロマトグラフ図である。
【図3】図3は実施例3で得られた光学活性アルコー
ル、6−プロピルオキシ−1,1,1−トリフルオロ−
2−ヘキサノールのNMRスペクトル図である。
【図4】図4は実施例4で得られた光学活性アルコー
ル、8−プロピルオキシ−1、1、1−トリフルオロ−
2−オクタノールのNMRスペクトル図である。
【図5】図5は実施例5で得られた光学活性アルコー
ル、9−エトキシ−1,1,1−トリフルオロ−2−ノ
ナノールのNMRスペクトル図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トリフルオロ酢酸と 一般式、HO(CH2 mOCn2n+1、(式中、m
    は3〜8、nは1〜6の整数)で表されるアルコールか
    ら得られた一般式、Br(CH2 mOCn2n+1で表さ
    れる臭素化物、 とのグリニャー反応により、一般式、CF3CO
    (CH2 mOCn2n+1で表されるケトンを製造し、 ついでこのケトンを還元することにより、一般式、
    CF3CH(OH)(CH2mOCn2n+1で表されるア
    ルコールを製造し、 更にこのアルコールの水酸基をアセチル化した後、
    リパーゼにより不斉加水分解することによって一般式、 CF3 C*H(OH)(CH2 mOCn2n+1、 (式中、C*は不斉炭素原子を示す。)で表される光学
    活性アルコールを製造する方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0780456A1 (en) 1995-12-18 1997-06-25 Mitsubishi Gas Chemical Company, Inc. Anti-ferroelectric liquid crystal compound and anti-ferroelectric liquid crystal composition
EP0849247A1 (en) * 1996-12-17 1998-06-24 Mitsubishi Gas Chemical Company, Inc. Optically active alcohol and process for the production thereof
EP0842915A3 (en) * 1996-11-15 1999-10-13 Mitsubishi Gas Chemical Company, Inc. Optically active alcohol and process for the production thereof

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