JP3634874B2 - トリフルオロメチルアセチレン誘導体、その製造方法およびその中間体の製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、液晶、絶縁材料、静電現像トナー、絶縁油、導電体等の機能性材料や医農薬の中間原料として有用な、トリフルオロメチルアセチレン誘導体の製造方法および新規なトリフルオロメチルアセチレン誘導体に関するものである。
【0002】
さらに詳しくは、新規な製造方法により得られるリチウムトリフルオロメチルアセチリドを活性種とするトリフルオロメチルアセチレン誘導体の製造法および新規トリフルオロメチルアセチレン誘導体に関するものである。
【0003】
【従来の技術】
従来、トリフルオロメチルアセチレン誘導体を製造するには、トリフルオロメチルアセチレンを合成単離した後、銀、水銀、銅および亜鉛等の金属と反応せしめ金属トリフルオロメチルアセチリドを合成し、これを反応活性種として用いる方法が一般的であり、トリフルオロメチルアセチレンを合成するには、以下のような方法が知られている。
【0004】
(1)ヨウ化トリフルオロメチルをアセチレンに付加させた後、この付加体をアルカリ存在下で脱ヨウ化水素反応によりトリフルオロメチルアセチレンを収率60%で単離する方法(J.Chem.Soc.,588,(1951))。
【0005】
(2)1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを亜鉛と反応せしめた後、反応系に水を加えて、トリフルオロメチルアセチレンを収率75%で単離する方法(J.Org.Chem.,28,1139,(1963))。
【0006】
(3)1H−F−1−アルケンスルホナートを触媒量のテトラブチルアンモニウムフルオリドと反応させ、トリフルオロメチルアセチレンを反応系中で生成させる方法(Tetrahedron Letters,26No.1,79,(1985))。
【0007】
また、トリフルオロメチルアセチリドを活性種として用いる方法として、以下の方法が知られている。
【0008】
(4)2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペンとナトリウムアルコキシドを反応させ、ナトリウムトリフルオロメチルアセチリドを生成させ、このナトリウムトリフルオロメチルアセチリドを活性種として、ケトンと反応させる方法(第13回フッ素化学討論会予稿集,4D119,1988)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来方法には次に示すような問題点がある。
【0010】
従来方法(1)は、一度トリフルオロメチルアセチレンを単離しなければならないため、反応工程が多段階で複雑になる欠点がある。
【0011】
従来方法(2)は、亜鉛を1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンに対して20倍モルと大量に使用しなければならず、未反応の亜鉛および副生する塩化亜鉛の処理が困難である。
【0012】
従来方法(3)は、原料である1H−F−1−アルケンスルホナートを合成単離しなければならないため、合成工程が複雑である。
【0013】
従来方法(4)は、反応活性種であるナトリウムトリフルオロメチルアセチリドを合成できる方法であるが、目的物のトリフルオロメチルアセチレン誘導体の収率が46〜58%と低く、副反応(トリフルオロメチルアセチレン誘導体からさらに反応が進行して、1,3−ジオキソラン構造化合物を生成する)が起こりやすいなどの点で好ましくない。
【0014】
従って、本発明の目的は、温和でかつ簡単な工程でトリフルオロメチルアセチレン誘導体を製造する方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段および作用】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペンとリチウムジイソプロピルアミドを反応させることにより、反応活性種であるリチウムトリフルオロメチルアセチリドが容易に生成することを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0016】
すなわち、本発明は、2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペンとリチウムジイソプロピルアミドを反応させて得られる、化学式(1)
【0017】
【化16】
【0018】
で示されるリチウムトリフルオロメチルアセチリドと、下記一般式(2)、二酸化炭素または一般式(5)、
【0019】
【化17】
【0020】
(式中、R1はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アルケニルアリール基、Ar−R3−O−R4−またはR5R6R7Si−O−R8−を表し、R2は水素原子またはアルキル基を表す。なお、Ar−R3−O−R4−中のArはアリール基を、R3およびR4は同一または相異なるアルキレン基または置換アルキレン基を表し、R5R6R7Si−O−R8−中のR5、R6およびR7は、それぞれ同一または相異なるアルキル基を表し、R8はアルキレン基または置換アルキレン基を表す。)
で示されるカルボニル化合物、
【0021】
【化18】
【0022】
(式中、R9、R10およびR11は、それぞれ同一または相異なるアルキル基またはアリール基を表す。)で示されるケイ素化合物、
とを反応させて、それぞれ対応する下記一般式(3)
【0023】
【化19】
【0024】
(式中、R1およびR2は、前記定義に同じ)
で示されるトリフルオロメチルアセチレン誘導体、
化学式(4)
【0025】
【化20】
【0026】
で示される4,4,4−トリフルオロ−2−ブチン酸、または、
【0027】
【化21】
【0028】
(式中、R9、R10およびR11は、前記定義に同じ。)
で示されるトリフルオロメチルアセチレン誘導体を製造する方法、新規トリフルオロメチルアセチレン誘導体および2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペンとリチウムジイソプロピルアミドを反応させて、中間体のリチウムトリフルオロメチルアセチリドを製造する方法に関するものである。
【0029】
本発明は、第1段の反応として、2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペンとリチウムジイソプロピルアミドを反応させて、反応活性種であるリチウムトリフルオロメチルアセチリドを中間体として生成せしめることを、特徴とするものであり、2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペンとリチウムジイソプロピルアミドによる反応は、下記式で示すように、トリフルオロメチルアセチレンを経由して、リチウムトリフルオロメチルアセチリドが生成する。
【0030】
【化22】
【0031】
本発明方法の出発物質となる2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペンは、3,3,3−トリフルオロプロペンと臭素を反応させることにより、容易かつ定量的に得られる化合物である(J.Org.Chem.,33,280,(1967))。
【0032】
本発明方法の第1段の反応である2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペンとリチウムジイソプロピルアミドとの反応は、高い転化率を有しており、−30〜−90℃、好ましくはドライアイスアセトンによる冷却温度である−78℃前後の低温度で行う。反応温度が−30℃を超えるとリチウムトリフルオロメチルアセチリドの生成率が低下し、副反応生成物が多くなり、好ましくない。
【0033】
本発明における2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペンとリチウムジイソプロピルアミドとの反応は、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、N−メチルピロリドン、ヘキサメチルホスファミド等の極性溶媒、四塩化炭素、ヘキサン等の無極性溶媒、好ましくは、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等の溶媒中で行うのが好ましい。
【0034】
本発明における、2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペンとリチウムジイソプロピルアミドとの反応モル比は、理論的には1:2でよいが、過剰量のリチウムジイソプロピルアミドは2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペンの完全な転化を達成する効果があるため、リチウムジイソプロピルアミドを過剰に使用することが好ましい。過剰または未反応のリチウムジイソプロピルアミドの廃棄または回収処理の煩雑を考慮すると、リチウムジイソプロピルアミド/2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペンの反応モル比は、2以上、好ましくは2〜3の範囲である。
【0035】
本発明の第2段の反応である、前記化学式(1)のリチウムトリフルオロメチルアセチリドと、前記一般式(2)のカルボニル化合物、二酸化炭素または前記一般式(5)のケイ素化合物との反応は、前記第1段の反応で得られた化学式(1)のリチウムトリフルオロメチルアセチリドを単離生成することなく、第1段の反応液に前記一般式(2)のカルボニル化合物、または前記一般式(5)のケイ素化合物を滴下して行い、二酸化炭素を反応させる場合は、たとえばドライアイス等から発生する二酸化炭素ガスを導入して反応させればよい。
【0036】
本発明の第2段の反応温度は、第1段の反応と同様に、−30〜−90℃、好ましくはドライアイスアセトンによる冷却温度である−78℃前後の低温度で行う。反応温度が、−30℃を超えると、副反応生成物や分解反応生成物が増加して目的物の選択率が低下し、結果的に収率が低下するため好ましくない。このことは、反応温度が−30℃を超えるとリチウムトリフルオロメチルアセチリドの安定性が低下することに由来するものと考えられる。
【0037】
本発明における第1段の反応および第2段の反応の反応雰囲気は、リチウムトリフルオロメチルアセチリドが分解しない雰囲気であれば特に限定されないが、不活性ガス雰囲気中で行うことが好ましく、特に経済性および簡易化の面より窒素雰囲気で反応を行うのが好ましい。
【0038】
反応終了後、最終生成物であるトリフルオロメチルアセチレン誘導体は、例えば、酢酸エチル、ジエチルエーテルや塩化メチレンなどの有機溶媒を用いて抽出し、有機溶媒を水層が中性になるまで水洗した後、硫酸マグネシウムや硫酸ナトリウムで乾燥し抽出溶媒を減圧下で留去して目的物を得る公知の方法で単離し、必要に応じて展開溶媒に酢酸エチルとヘキサンの混合物を用いてシリカゲルカラムクロマトグラムにより単離したり、蒸留により精製すればよい。
【0039】
本発明の第2段の反応において、リチウムトリフルオロメチルアセチリドと反応させる化合物は、前記一般式(2)のカルボニル化合物、二酸化炭素または一般式(5)のケイ素化合物であるが、一般式(2)のカルボニル化合物および一般式(5)のケイ素化合物の具体例を、以下に例示する。
【0040】
まず、一般式(2)のカルボニル化合物の式中の、R1およびR2の具体的な例としては、以下のとおりである。
【0041】
・R1:
アルキル基:直鎖または分岐鎖の炭素数1〜10のアルキル基で、メチル基、エチル基、nまたはi−プロピル基、nまたはt−ブチル基、n−ペンチル基
シクロアルキル基:炭素数3〜10のシクロアルキル基で、たとえばシクロヘキシル基、
アリール基:炭素数6〜10のアリール基で、たとえばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基
アルキルアリール基:炭素数7〜10のアルキルアリール基で、たとえばベンジル基、β−フェネチル基、α−メチルベンジル基
アルケニルアリール基:炭素数8〜10のアルケニルアリール基で、たとえばスチリル基
Ar−R 3 −O−R 4 −:Arは炭素数6〜10のアリール基、R3およびR4は同一または相異なる炭素数1〜10のアルキレン基または置換アルキレン基で、たとえばベンジルオキシメチル基、ベンジルオキシエチル基、ベンジルオキシ(メチル)メチル基(Ph−CH2−O−CH(CH3)−)
R 5 R 6 R 7 Si−O−R 8 −:R5、R6およびR7は、同一または相異なる炭素数1〜10のアルキル基、R8は炭素数1〜10のアルキレン基または置換アルキレン基で、たとえば、t−Bu(Me)2Si−O−CH2−、t−Bu(Me)2Si−O−CH2CH2−、t−Bu(Me)2Si−O−(Ph)CH−
・R2:
水素原子:
アルキル基:炭素数1〜10のアルキル基で、たとえば、メチル基、エチル基。
【0042】
次いで、一般式(5)のケイ素化合物の式中の、R9、R10およびR11の具体例は、以下のとおりである。
【0043】
・R9、R10、R11:
アルキル基:それぞれ同一または相異なる炭素数1〜10アルキル基で、メチル基、エチル基、nまたはi−プロピル基、nまたはt−ブチル基
アリール基:炭素数6〜10のアリール基で、たとえばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基。
【0044】
前記一般式(2)のカルボニル化合物、二酸化炭素または一般式(5)のケイ素化合物と、リチウムトリフルオロメチルアセチリドとを反応させて得られる、トリフルオロメチルアセチレン誘導体は、一般式(3)、化学式(4)および一般式(6)で示される化合物であるが、表1にこれら一般式で表される化合物を具体的に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
以下実施例により、本発明をより詳細に説明する。
【0048】
【実施例】
実施例1
200mlの三ッ口フラスコに還流冷却器、滴下ロート、スターラーを取付け、乾燥したテトラヒドロフラン40mlとリチウムジイソプロピルアミド4.17g(44mmol)を入れ、窒素で置換した後、反応容器をドライアイスアセトンにて−78℃に冷却した。
【0049】
次に、2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペン3.5g(20mmol)と乾燥したテトラヒドロフラン20mlの混合溶液を滴下した。この反応溶液を−78℃に維持したまま10分間撹拌した後、ベンズアルデヒド2.5ml(24mmol)をゆっくり滴下し、1時間撹拌を継続し、リチウムトリフルオロメチルアセチリドを合成した。
【0050】
次に、このリチウムトリフルオロメチルアセチリドを含む反応混合物に、−78℃で1N塩酸水溶液100mlを滴下して反応を停止した後、酢酸エチル300mlで抽出を行った。有機層は、水層が中性になるまで水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。
【0051】
抽出物は、溶媒を減圧下注意深く留去した後、展開溶媒に酢酸エチルとヘキサン混合系(1:4)を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製を行い、さらに蒸留して下記化学式(19)のα−トリフルオロプロピニルベンジルアルコール(4,4,4−Trifluoro−1−phenyl−2−butyn−1−ol)を得た。収量は3.956g(19.77mmol)、収率99%、沸点は71〜72℃/2mmHgであった(文献値:J.Fluorine Chem.,62 No.1,39,(1993):96℃/9mmHg,収率83%)。
【0052】
【化23】
【0053】
以下に、各種スペクトルの分析結果を示す。測定は、それぞれ1H−NMRはVarian製Gemini−300(300MHz)、13C−NMRはVarian製VXR−500(500MHz)、19F−NMRは日立製R−1200F(56.451MHz)、IRはJASCO製A−102、質量スペクトルはJEOL JMX−AX505Hを用いて測定した。
【0054】
・1H−NMR:δ(CDCl3) ppm(TMS)
2.7〜3.2(1H,br,OH)
5.517(1H,q,J=2.77Hz,CH)
7.2〜7.5(5H,m,Ph)
・13C−NMR:δ(CDCl3) ppm(TMS)
63.937(q,J=1.43Hz)
73.447(q,J=42.98Hz)
86.448(q,J=6.41Hz)
124.142(q,J=257.35Hz)
126.709
129.091
129.344
137.870
・19F−NMR:δ(CDCl3) ppm(TFA)
27.84(d,J=2.77Hz)
・IR:(neat) cm−1
3350,2950,2925,2850,2250。
【0055】
実施例2〜15
実施例1と同じ反応装置を使用して、表2に示す条件で、リチウムジイソプロピルアミドと2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペンを反応せしめリチウムトリフルオロメチルアセチリドを反応系中で合成し、次いで表3の1から表3の14に示すカルボニル化合物を加えて反応させ、トリフルオロメチルアセチレン誘導体を合成した。反応生成物は、実施例1に準じて処理した後、単離精製した。反応生成物の収率および各種スペクトルの分析結果を表3の1から表3の14に示した。
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】
【0058】
【表5】
【0059】
【表6】
【0060】
【表7】
【0061】
【表8】
【0062】
【表9】
【0063】
【表10】
【0064】
【表11】
【0065】
【表12】
【0066】
【表13】
【0067】
【表14】
【0068】
【表15】
【0069】
【表16】
【0070】
【表17】
【0071】
実施例16
200mlの三ッ口フラスコに還流冷却器、滴下ロート、スターラーを取付け、乾燥したテトラヒドロフラン5mlとリチウムジイソプロピルアミド0.471g(4.4mmol)を入れ、窒素で置換した後、反応容器をドライアイスアセトンにて−78℃に冷却した。
【0072】
次に、2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペン0.35g(2mmol)と乾燥したテトラヒドロフラン1mlの混合溶液を滴下した。この反応溶液を−78℃に維持したまま10分間撹拌した後、フェニルジメチルクロロシラン2.5ml(2.4mmol)をゆっくり滴下し、1時間撹拌を継続した。
【0073】
次に、反応混合物に、−78℃で飽和塩化アンモニウム水溶液10mlを滴下して反応を停止した後、酢酸エチル30mlで抽出を行った。有機層は、水層が中性になるまで水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。
【0074】
抽出物は、溶媒を減圧下注意深く留去した後、19F−NMRで収率を求めたところ、求める化学式(20)のトリフルオロプロピニルフェニルジメチルシランが1.47mmol(収率74%)で生成していることが明らかとなった。
【0075】
【化24】
【0076】
さらに、この抽出物を蒸留して純粋なトリフルオロプロピニルフェニルジメチルシランを得た。このものの収量は、0.25g(1.1mmol、収率は55%、沸点は90℃/25mmHgであった。
【0077】
以下に、各種スペクトル分析の結果を示す。
【0078】
・1H−NMR:δ(CDCl3) ppm(TMS)
0.5〜0.6(6H,m,CH3)
7.3〜7.7(5H,m,Ph)
・13C−NMR:δ(CDCl3) ppm(TMS)
−1.9778
91.1534(q,J=50.84Hz)
92.3534(q,J=5.99Hz)
113.122(q,J=257.86Hz)
128.237
130.257
133.021
133.674
・19F−NMR:δ(CDCl3) ppm(TFA)
27.851(s)
・IR:(neat) cm−1
3075,3050,3025,2975,2200。
【0079】
実施例17
200mlの三ッ口フラスコに還流冷却器、滴下ロート、スターラーを取付け、乾燥したテトラヒドロフラン50mlとリチウムジイソプロピルアミド4.71g(44mmol)を入れ、窒素で置換した後、反応容器をドライアイスアセトンにて−78℃に冷却した。
【0080】
次に、2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペン3.5g(20mmol)と乾燥したテトラヒドロフラン10mlの混合溶液を滴下した。この反応溶液を−78℃に維持したまま10分間撹拌した後、10gのドライアイスから発生する二酸化炭素を塩化カルシウム乾燥剤を経由してゆっくりフィードし、1時間撹拌を継続した。
【0081】
次に、反応混合物に−78℃で3規定塩酸水溶液50mlを滴下した後、ジエチルエーテル300mlで抽出を行い、硫酸マグネシウムで乾燥した。
【0082】
抽出物は溶媒を減圧下注意深く留去し蒸留して下記化学式(4)の4,4,4−トリフルオロ−2−ブチン酸を得た。
【0083】
【化25】
【0084】
このものの収量は0.47g(3.4mmol)、収率17%(ただしテトラヒドロフランとの混合物)、沸点は110℃/35mmHgであった(文献値:J. Fluorine Chem.,62 No.1,39,1993:126℃/755mmHg,ただしジエチルエーテルとの混合物)。
【0085】
【発明の効果】
本発明は、以下のような優れた効果を有するものであり、本発明が有機フッ素化学工業に貢献するところ大である。
【0086】
(1)2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペンとリチウムジイソプロピルアミドとの反応により生成するリチウムトリフルオロメチルアセチリドは、反応性の高い中間体であり、各種の中間体として有用なトリフルオロメチルアセチレン誘導体を、温和な条件で効率よく製造することができる。
【0087】
(2)本発明方法における出発物質である2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペンは、工業的規模で製造される3,3,3−トリフルオロプロペンから容易かつ定量的に製造することができ、原料の入手が容易である。
【0088】
(3)中間体であるトリフルオロメチルアセチリドは、単離精製することなく、カルボニル化合物やケイ素化合物と反応できるため、反応工程が少なく、また反応操作も簡単である。
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- 2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペンとリチウムジイソプロピルアミドを反応させて得られる、化学式(1)
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