JPH06322489A - 耐水蒸気酸化性に優れたボイラ用鋼管 - Google Patents

耐水蒸気酸化性に優れたボイラ用鋼管

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JPH06322489A
JPH06322489A JP11295293A JP11295293A JPH06322489A JP H06322489 A JPH06322489 A JP H06322489A JP 11295293 A JP11295293 A JP 11295293A JP 11295293 A JP11295293 A JP 11295293A JP H06322489 A JPH06322489 A JP H06322489A
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steel
boiler
steam oxidation
pipe
tube
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Nobuo Otsuka
伸夫 大塚
Shigeru Tokura
茂 戸倉
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】ボイラの過熱器管または再熱器管として用いら
れる耐水蒸気酸化性に優れたボイラ用鋼管の提供。 【構成】重量%で、C:0.05〜0.15%、Si:1.5 %以
下、Mn:2%以下、Cr:15〜23%、Ni:8〜30%および
希土類元素の1種以上:0.01〜 0.1%を含有し、残部が
鉄および不可避不純物であるオーステナイトステンレス
鋼からなる溶体化処理された鋼管であつて、その管内表
面に粒子吹き付けピーニング加工層を有することを特徴
とする耐水蒸気酸化性に優れたボイラ用鋼管。更に、上
記に加えてTi:4×C%〜0.60%、Nb(もしくはNb+T
a):8×C%〜1.2 %、Mo:2〜3%およびCu:2〜
6%の1種以上を含有するボイラ用鋼管。 【効果】高効率を追求する事業用、産業用ボイラの過熱
器管および再熱器管の水蒸気酸化対策がボイラ用鋼管要
求される諸性能やコストを犠牲にすることなく、安価か
つ容易に提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ボイラの過熱器管ま
たは再熱器管として用いられる耐水蒸気酸化性に優れた
オーステナイトステンレス鋼からなるボイラ用鋼管に関
する。
【0002】
【従来の技術】地球環境問題の高まりに対応して火力発
電プラントにおいて、炭酸ガスの総排出量を抑制するこ
とが急務となっている。このため、新規プラントでは高
効率ボイラが強く要求されるようになり、この要求を満
たすため蒸気温度および蒸気圧力を高める、いわゆる高
温高圧化が有効な対策として採用されている。この蒸気
条件の高温高圧化は、ボイラの過熱器管および再熱器管
の管壁温度の上昇をきたすことになり、使用されるボイ
ラ用鋼管は高温強度とともに、過熱水蒸気による高温酸
化に対する防止策をとる必要が生じてきた。
【0003】ボイラ用鋼管の水蒸気酸化防止法について
はこれまで種々の提案がなされている。例えば、次の先
行技術が上げられる。
【0004】 オーステナイトステンレス鋼を溶体化
処理したのち、ショット加工、グラインダー加工および
研磨加工等の冷間加工を管表面に加え、ついで所定の再
溶体化処理を施すことを特徴とする表面細粒ステンレス
鋼管の製造法 (特開昭53−114722号公報参照) 。
【0005】 オーステナイトステンレス鋼管に加工
率20%以上の冷間加工を行い、ついで 2.9℃/sec以下の
昇温速度で固溶化熱処理を行うことを特徴とする加工熱
処理法 (特開昭54−138814号公報参照) 。
【0006】 管内面に結晶粒度No.7より細粒で、厚
さ30μm以上の細粒層を形成したものに対し20%以上の
冷間加工を施し、かつ再結晶化処理をすることを特徴と
するオーステナイト系鉄合金管の製造方法 (特開昭55−
58329 号公報参照) 、または内表面から20μmの位置に
おける硬度が Hv320以上になるように冷間加工するとと
もに化学的影響を受けた表面を除去した状態で溶体化処
理を行うことを特徴とするオーステナイトステンレス鋼
管の耐水蒸気酸化性を向上させる方法 (特開昭58−3973
3 号公報参照) 。
【0007】 鋼管内表面側に結晶粒度番号がNo.7以
上の細粒組織を有し、その細粒層部のC+Nが0.15%以
上であることを特徴とするオーステナイトステンレス鋼
管 (特開昭58−133352号公報参照) 。
【0008】 最終熱処理後、内表面に粒子吹き付け
によるピーニング加工を施すことを特徴とするオーステ
ナイトステンレス鋼管の高温水蒸気酸化の防止方法 (特
公昭53−41617 号公報参照) およびピーニング加工の粒
子吹き付け条件の選択により、加工層深さを10μm以上
とすることを特徴とするオーステナイトステンレス鋼管
の高温水蒸気酸化の防止方法 (特開昭55−44134 号公報
参照) 。
【0009】しかし、これらの先行技術を高効率ボイラ
の過熱器管または再熱器管の水蒸気酸化防止策として適
用しようとすると、それぞれ以下に述べる欠点があっ
た。
【0010】に示された技術では、高温強度を満足す
るため高温度で溶体化処理を施す必要があるが、溶体化
処理のとき結晶粒の成長を生じ、鋼表面の細粒層を安定
して維持するのが材料によっては難しくなる場合があ
る。また、の技術では、固溶化熱処理に低速の昇温速
度を用いるため、溶体化熱処理に時間がかかり過ぎ実用
的でない。の技術は、冷間加工後の再結晶化処理また
は溶体化処理によって発生する予備酸化処理被膜の保護
性に期待する技術であるから、処理チャンスによるバラ
ツキが大きく、製品性能の安定性という点で問題があ
り、長時間使用時の信頼性に乏しい。
【0011】次に、に示された技術では、管の水蒸気
酸化に対する抵抗性は若干改善されるものの、ボイラ使
用中に管内表面層が極度に鋭敏化されるため、停缶時に
応力腐食割れが発生する危険性を内在する。従って、こ
れら〜の先行技術は実機への適用にあたって多くの
問題点を有していた。
【0012】一方、に示されたショットピーニングに
よる冷間加工技術は、現用の事業用ボイラの水蒸気酸化
防止策として有効であり、現状の蒸気温度が 566℃(10
50°F)のボイラにおいて、オーステナイトステンレス鋼
製ボイラ用鋼管に一部適用され、優れた耐水蒸気酸化性
を付与する技術の一つとして位置付けられている。しか
し、新規プラントに採用される高効率ボイラの蒸気条
件、例えば、 621℃ (1150°F)では過熱器管および再熱
器管の管壁温度が現用ボイラよりも50〜100 ℃も高くな
る。管内表面にショットピーニング等により冷間加工を
施すだけの従来技術では、冷間加工による水蒸気酸化抑
制効果が長時間持続する温度域が限られており、後記す
るように水蒸気酸化温度が 600℃を超える高温域では効
果が失われ、鋼管表面は異常酸化を起こすため、もはや
管の耐水蒸気酸化性は長時間持続しえなくなっている。
従って、新規の高効率ボイラに使用されるオーステナイ
トステンレス鋼管には、ボイラ用鋼管としての高温強度
等の諸性能を満足させつつ、水蒸気酸化に対する新たな
対策が必要である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、新規プラン
トに採用される高効率型ボイラの蒸気条件の高温高圧化
にともなう、前記の過熱器管および再熱器管に使用され
るオーステナイトステンレス鋼管の水蒸気酸化防止策の
欠点に鑑み、高温強度の性能を満足し、耐水蒸気酸化性
に優れるボイラ用鋼管を安価かつ容易に提供することを
目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記(1)お
よび(2)の耐水蒸気酸化性に優れたボイラ用鋼管を要
旨とする。
【0015】(1) 重量%で、C:0.05〜0.15%、S
i:1.5 %以下、Mn:2%以下、Cr:15〜23%、Ni:8
〜30%および希土類元素の1種以上:0.01〜 0.1%を含
有し、残部が鉄および不可避不純物であるオーステナイ
トステンレス鋼からなる溶体化処理された鋼管であつ
て、その管内表面に粒子吹き付けピーニング加工層を有
することを特徴とする耐水蒸気酸化性に優れたボイラ用
鋼管。
【0016】(2) 上記(1)に記載の合金成分に加
えて更に、下記の〜の元素群から選んだ1種以上の
成分を含有するオーステナイトステンレス鋼からなる溶
体化処理された鋼管であつて、その管内表面に粒子吹き
付けピーニング加工層を有することを特徴とする耐水蒸
気酸化性に優れたボイラ用鋼管。
【0017】 Ti:4×C%〜0.60%または/および
Nb(もしくはNb+Ta):8×C%〜1.2 % Mo:2〜3%または/およびCu:2〜6% Ti:4×C%〜0.60%または/およびNb(もしくは
Nb+Ta):8×C%〜1.2 %ならびにMo:2〜3%また
は/およびCu:2〜6%
【0018】
【作用】本発明者はオーステナイトステンレス鋼の耐水
蒸気酸化性に及ぼす、鋼表面の冷間加工の影響について
詳細に検討した結果、次の知見を得ることができた。 (a) ショットピーニングを施さない溶体化処理のま
まの材料表面を、高温の過熱水蒸気と接触させると、表
面に分厚いいわゆる二層スケールが生じる。これに対
し、溶体化処理後ショットピーニング加工を施した材料
を高温の過熱水蒸気と接触させると、極めて薄く成長速
度の遅い Cr2O3スケールが鋼表面に均一に生成する。
【0019】(b) このような Cr2O3スケールは材料
温度が 600℃以下では長時間にわたって安定に存在しえ
る。そのため、ショットピーニングが施された材料表面
には分厚い二層スケールからなる水蒸気酸化スケールの
生成はほとんど認められない。しかし、材料温度が 600
℃を超えるようになると、この保護性に富む Cr2O3スケ
ールは長期にわたって過熱水蒸気中で安定には存在しえ
なくなり、酸化初期に均一生成していても、長時間使用
時に部分的に弱い箇所から異常酸化を起こし、最終的に
は分厚いスケールが材料表面全体を覆うようになる。
【0020】(c) ショットピーニング等による冷間
加工層を有するオーステナイトステンレス鋼表面に 600
℃を超える高温域でも保護性に富む Cr2O3スケールを長
時間安定して存在させるためには、あらかじめ鋼中に所
定量の希土類元素(Y、La、Ce、ミッシュメタル等)を
添加することが有効である。
【0021】即ち、溶製時に所定量の希土類元素を溶解
原料に添加するだけで、溶体化処理したのち、ショット
ピーニング等による冷間加工を施したオーステナイトス
テンレス鋼管の表面には、 600℃を超える高温域でも極
めて薄く保護性に富む Cr2O3スケールを長時間安定して
存在させる事ができ、従来技術では得られない良好な耐
水蒸気酸化特性を確保することができる。
【0022】本発明はこのような知見に基づくものであ
る。まず、本発明のボイラ用鋼管の素材鋼(以下「本発
明鋼」という)の合金組成を、前記のように限定した理
由を以下に説明する。
【0023】C:耐熱鋼として必要な引張強さおよびク
リープ破断強度を確保するのに有効な成分で、ボイラ用
としては0.05%以上必要であるが、0.15%を超えると溶
体化熱処理を行っても未固溶の炭化物が残存し、時効後
の靱性に悪影響が現れるので0.05〜0.15%とした。
【0024】Si:Siは脱酸のために必要な元素である
が、過剰に添加すると溶接性を悪化させるとともに、時
効後の靱性を低下させることから、上限を 1.5%以下と
した。
【0025】Mn:Mnも脱酸のために添加が必要な合金元
素であるが、熱間加工性の劣化を防止するため、上限を
2%とした。
【0026】Ni:安定なオーステナイト組織を得るため
に必須の元素であり、その含有量はCr量との関係で決め
られる。本発明では以下に述べるCr量の範囲を考慮し、
下限を8%とした。また上限は経済性の点から30%とし
た。
【0027】Cr:現用のボイラ用オーステナイトステン
レス鋼のCrの下限が概ね15%であり、これにあわせて下
限を15%とした。Crを23%を超えて含有するオーステナ
イトステンレス鋼は、ショットピーニング等の冷間加工
を施さなくても優れた耐水蒸気酸化性を示すことから、
Crの上限を23%とした。
【0028】Ti、Nb(もしくはNb+Ta):これらの元素は
Cと結合し、炭化物の微細分散析出による高温強度の改
善に寄与することから、必要に応じて添加してもよい。
JIS規格でもSUS 321HTBではTi、SUS 347HTBではNbが
添加されているのは同様の理由による。Tiの場合には4
×C%以上、Nb(もしくはNb+Ta)の場合には8×C%以
上で効果が認められる。これらの元素は過剰に添加する
と金属間化合物を析出し、靱性低下をきたすことから上
限をTiで 0.6%、Nbで 1.2%とした。
【0029】Mo、Cu:これらの元素は固溶強化により高
温強度およびクリープ破断性質の向上に寄与する元素
で、その効果はいずれも2%で顕著となるが、Moについ
ては3%を超えると M6C型塊状炭化物の析出により靱性
が低下し、Cuについては6%を超えると延性が低下する
とともに、加工性も劣化するので、その上限をMoについ
ては3%、Cuについては6%とした。
【0030】上記のTi、Nb(もしくはNb+Ta)、Moおよび
Cuは1種または2種以上を選択して含有させることがで
きる。
【0031】希土類元素:本発明鋼を最も特徴づける合
金元素であり、0.01%以上含有させることにより、耐水
蒸気酸化性の向上に優れた効果を発揮する。即ち、希土
類元素の0.01%以上の含有と溶体化処理後のショットピ
ーニング等による管表面の冷間加工との組み合わせの作
用で、酸化性の大きい過熱水蒸気に曝された管表面に極
めて保護性に富む Cr2O3型酸化スケールを生成する。こ
のスケールは、600 ℃を超える高温域でも長時間安定に
維持される。しかし、希土類元素の含有量が 0.1%を超
えると熱間加工性が低下するため上限を 0.1%とした。
【0032】なお、本発明鋼は 0.3%以下のNまたは/
および 0.5%以下のAlを不純物として含有してもよく、
オーステナイト相形成元素であるNを多量に含有する場
合には高価なNiの添加量を減少できてコスト低減を図る
ことができ、また、Alを多量に含有する場合には脱酸が
十分に実施されるので鋼の清浄性を高めることができ
る。これらの含有があっても、前記の良好な耐水蒸気酸
化性能は何等問題なく維持される。
【0033】前記の合金組成を有する本発明鋼を、例え
ば、熱間押出し製管法によって素管となし、この素管に
軟化熱処理を施して冷間抽伸加工によって管とした後、
溶体化処理し、その後、粒子吹き付けピーニング加工
(ショットピーニング加工)により管の内表面に均一な
加工層を形成させる。即ち、本発明で目的とする高温環
境下で、ボイラ用鋼管に良好な耐水蒸気酸化性を発揮さ
せるには、素材鋼の選択と溶体化処理後のショットピー
ニング加工の複合的な作用が必須である。ここで溶体化
処理を必要とするのは高温における十分なクリープ破断
特性を確保するためである。溶体化処理後に施されるシ
ョットピーニング加工は、先行技術に開示されている
ようにボイラ用鋼管に耐水蒸気酸化性を付与するが、従
来の効果は現用の事業用ボイラ(蒸気温度 566℃) の使
用温度域に限定されていた。これに対して、前記のよう
に素材鋼として特殊な組成のものを用いる本発明の鋼管
は高効率ボイラ( 蒸気温度 600℃以上) に対応した高温
域での耐水蒸気酸化性にも優れている。
【0034】
【実施例】表1に示した10種の本発明鋼(A〜J鋼)を
真空誘導加熱炉で10kg溶解し、鍛造後冷間圧延を経たの
ち、1100〜1200℃で溶体化処理を実施した。ベースとな
る基本鋼は、JIS規格に規定する鋼種で、A鋼はSUS
304HTB、B鋼はSUS 347HTB、C鋼はSUS 321HTBおよびD
鋼はSUS 316HTBにそれぞれ相当する。
【0035】希土類元素は溶解時に、Y、CeおよびL
aを単独で溶解原料に添加することにより成分を調整し
たが、E鋼は希土類元素としてミッシュメタルを溶解原
料に添加した。
【0036】溶体化処理後の板材中央部から腐食試験片
として、幅10mm×長さ25mm×肉厚2mmの試験片を切り出
し、表面全面にショットピーニングを施した。ショット
ピーニング条件は、ショットとして2mmφの鋼球を使用
し、吹き付け圧は10kg/cm2とした。このショットピーニ
ングにより鋼種によって若干異なるが、約0.1 〜 0.2mm
の冷間加工層が鋼表面に生成した。
【0037】比較鋼として6種のボイラ用鋼(K〜P
鋼)を供試し、鋼材の肉厚中央部から同一寸法の腐食試
験片を採取し、前記と同様の条件でショットピーニング
を施した。比較鋼中K鋼はJIS規格に規定するSUS 30
4HTBであり、L鋼はSUS 347HTB、M鋼はSUS 321HTBおよ
びN鋼はSUS 316HTBである。一方、O鋼およびP鋼はJ
IS規格に規定されていないが、いわゆる17−14CuMo鋼
および 800合金に相当する。
【0038】ショットピーニング加工の効果を確認する
ため、本発明鋼および比較鋼ともショットピーニングに
よる冷間加工を施さない試験片も供試した。この場合
は、70℃の5%HF−10%NHO3混酸に試験片を約10分浸漬
し、切削加工により生じた鋼表面のごく薄い冷間加工層
を除去したのち試験に供した。
【0039】
【表1】
【0040】所定の条件で処理された腐食試験片を水蒸
気酸化試験に供した。水蒸気酸化試験は試験温度を 60
0、 650および 700℃の三条件とし、常圧の加熱水蒸気
中で、10000時間加熱する方法で行った。また、耐食性
の評価は、試験後の腐食試験片の表面に生成した最大水
蒸気酸化スケール厚を、試験片の断面を光学顕微鏡で測
定することにより行った。
【0041】試験結果を表2にまとめた。
【0042】本発明例、即ち、表1に示す本発明鋼であ
つて、溶体化処理後にショットピーニングを施した試験
片(供試番号1〜10)は、水蒸気酸化温度 600℃、 650
℃および 700℃において表面に生成したスケール厚は極
めて薄く、全て2.5 μm 以下(光学顕微鏡では観察され
ないレベル)であった。即ち、本発明例では 700℃まで
の酸化温度域で実質上水蒸気酸化スケールの生成はほと
んど認められず、蒸気条件を高温高圧化した高効率ボイ
ラで用いられる過熱器管および再熱器管の水蒸気酸化対
策として、本発明のボイラ用鋼管は極めて有効である。
スケール分析によると、この極めて薄い酸化スケールは
Crの濃化した Cr2O3であった。
【0043】一方、比較例中ショットピーニング加工を
施した試験片(供試番号11〜16)は、 600℃までの水蒸
気酸化温度で生成したスケール厚は極めて薄く、先行技
術に開示されているように水蒸気酸化に対する優れた
特性を示すことがわかる。しかし、水蒸気酸化温度が 6
50℃になると鋼種によって、耐食的な Cr2O3酸化被膜が
安定に成長しえず、異常酸化を起こす結果、厚いスケー
ルが生成した。更に、水蒸気酸化温度が 700℃になると
全ての鋼種で、表面に厚いスケールが生成した。
【0044】前記のように本発明の鋼管ではショットピ
ーニング等による鋼表面の冷間加工が必須であり、これ
を欠くと満足した耐食性能は得られない。このことは本
発明鋼のうち、溶体化処理ままでショットピーニング加
工を施さずに水蒸気酸化試験に供した試験片( 供試番号
23、24) は、水蒸気酸化温度が 600℃において既に厚い
酸化スケールが生成することでわかる。
【0045】本発明鋼の希土類元素の含有量は0.01〜
0.1%と少ない。そのため、耐食性以外にボイラ用鋼管
として要求される諸性能、例えば高温強度、クリープ破
断特性、長時間の加熱脆化特性および組織安定性等の諸
性質はベースとなる基本鋼、例えばJIS規格のSUS 32
1HTB、SUS 347HTB等と比べても差異はなく、同じ性質を
有することを確認している。またボイラ用鋼管の施工
性、例えば溶接性、曲げ加工性等も基本鋼とまったく同
じであり、希土類元素の添加による性能の低下は認めら
れず、従来のオーステナイトステンレス鋼管と同じ条件
でパネル等に施工可能である。また熱間加工性、冷間加
工性についても希土類元素の添加による劣化はまったく
認められない。
【0046】
【表2】
【0047】
【発明の効果】本発明により、高効率を追求する事業
用、産業用ボイラの過熱器管および再熱器管の水蒸気酸
化対策がボイラ用鋼管として要求される諸性能やコスト
を何一つ犠牲にすることなく達成できる。
【0048】本発明により耐水蒸気酸化性に優れるボイ
ラ用鋼管を安価かつ容易に提供でき、水蒸気酸化スケー
ルによる事故を実質上なくすことが可能となることか
ら、定期検査期間の短縮やプラントの稼働率の向上が容
易に達成できる。
【0049】

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、C:0.05〜0.15%、Si:1.5 %
    以下、Mn:2%以下、Cr:15〜23%、Ni:8〜30%およ
    び希土類元素の1種以上:0.01〜 0.1%を含有し、残部
    が鉄および不可避不純物であるオーステナイトステンレ
    ス鋼からなる溶体化処理された鋼管であつて、その管内
    表面に粒子吹き付けピーニング加工層を有することを特
    徴とする耐水蒸気酸化性に優れたボイラ用鋼管。
  2. 【請求項2】重量%で、請求項1に記載の成分に加えて
    更に、Ti:4×C%〜0.60%または/およびNb(もしく
    はNb+Ta):8×C%〜1.2 %を含有し、残部が鉄およ
    び不可避不純物であるオーステナイトステンレス鋼から
    なる溶体化処理された鋼管であつて、その管内表面に粒
    子吹き付けピーニング加工層を有することを特徴とする
    耐水蒸気酸化性に優れたボイラ用鋼管。
  3. 【請求項3】重量%で、請求項1に記載の成分に加えて
    更に、Mo:2〜3%または/およびCu:2〜6%を含有
    し、残部が鉄および不可避不純物であるオーステナイト
    ステンレス鋼からなる溶体化処理された鋼管であつて、
    その管内表面に粒子吹き付けピーニング加工層を有する
    ことを特徴とする耐水蒸気酸化性に優れたボイラ用鋼
    管。
  4. 【請求項4】重量%で、請求項1に記載の成分に加えて
    更に、Ti:4×C%〜0.60%または/およびNb(もしく
    はNb+Ta):8×C%〜1.2 %ならびにMo:2〜3%ま
    たは/およびCu:2〜6%を含有し、残部が鉄および不
    可避不純物であるオーステナイトステンレス鋼からなる
    溶体化処理された鋼管であつて、その管内表面に粒子吹
    き付けピーニング加工層を有することを特徴とする耐水
    蒸気酸化性に優れたボイラ用鋼管。
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