JP3531228B2 - 高Crフェライト系耐熱鋼 - Google Patents
高Crフェライト系耐熱鋼Info
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Description
鋼に関し、より詳しくは、ボイラ、原子力、化学工業な
どの広い産業分野で使用される高温耐熱耐圧部材、具体
的には、鋼管、圧力容器用鋼板、タービン用材料として
使用して好適な、高温クリープ強度と靭性に優れた高Cr
フェライト系耐熱鋼に関する。 【0002】 【従来の技術】ボイラ、原子力、化学工業用等の高温耐
熱耐圧部材に使用される耐熱鋼には、一般に、高温強
度、靭性、高温耐食性および耐酸化性等が要求される。 【0003】これらの用途には、従来、JIS-SUS321H 、
同SUS347H 鋼などのオーステナイト系ステンレス鋼、JI
S-STBA24(2・1/4Cr-1Mo 鋼)などの低合金鋼、さらには
JIS-STBA26(9Cr-1Mo 鋼)などの 9〜12Cr系の高Crフェ
ライト鋼が用いられてきた。 【0004】中でも、高Crフェライト鋼は、500 〜650
℃の温度域において、強度、耐食性の点で低合金鋼より
も優れており、また、オーステナイト系ステンレス鋼に
比べて安価であり、熱伝導度が高く、且つ熱膨張が小さ
いことから耐熱疲労特性やスケール剥離が起こりにく
く、さらに応力腐食割れを起こさないなどの利点がある
ため、多く使用されている。 【0005】近年、火力発電において熱効率をより一層
向上させるため、蒸気条件の高温高圧化が進められてお
り、超臨界圧条件から将来的には 650℃で 350気圧とい
うような超々臨界圧条件での操業が計画されている。こ
のような操業条件の推移に伴って、ボイラ用鋼管等に対
する要求性能もますます過酷化してきており、長時間ク
リープ強度、耐酸化性、特に耐水蒸気酸化性の観点か
ら、もはや既存の高Crフェライト鋼では十分に要求性能
を満足できない状況に至っている。 【0006】この要求に答えるには、オーステナイト系
ステンレス鋼を用いるのが適当であるが、高価で不経済
であるため、オーステナイト系ステンレス鋼に比べて安
価な高Crフェライト鋼においても、W を多く含有させた
新しい高Crフェライト鋼の適用が検討されつつある。 【0007】例えば、特開平3-097832号公報には、従来
よりも Wの含有量を高め、さらに高温耐酸化性を改善す
る観点からCuを含有させた高Cr耐熱鋼が、また、特開平
4-371551号公報および特開平4-371552号公報には、Mo/
W の適正化に加えて、Coと Bを複合添加することで高温
強度と靭性を高めた高Cr耐熱鋼が提案されている。しか
し、これらの鋼は、W を多量に含有しているので確かに
高温クリープ強度は向上するが、W はMo、Cr等と共にフ
ェライト生成元素であるため、多量添加によりδ−フェ
ライトが生成し、靭性が低下するのを避け得ないという
欠点がある。 【0008】この対策としては、マルテンサイト単相と
するのが最も効果的であり、このため、例えば、特開平
5-263196号公報等には、Cr量を低減することで、また、
特開平5-311342号公報、同5-311343号公報、同5-311344
号公報、同5-311345号公報、同5-311346号公報等には、
オーステナイト生成元素であるNi、Cu、Co等を多量添加
することで靭性改善を図った鋼が提案されている。 【0009】しかし、前者の特開平5-263196号公報に提
案された鋼は、Mo、Ni等が Cr2O3の安定なスケール構
造を破壊するため、耐水蒸気酸化性が劣り、また後者の
特開平5-311342号公報等に提案された鋼は、Ni、Cu等を
多量に含有するため、鋼の Ac1変態点および Ac3変態
点を低下させることから、焼きもどし軟化抵抗が小さく
なって、かえって長時間強度が低下する一方、これらの
元素の多量添加は、 Cr 2 O 3 を主体とする酸化物の構造
を変化させ、耐水蒸気酸化性も劣化するという欠点を有
している。 【0010】このように、高温高圧の超々臨界圧条件下
における高温長時間クリープ強度および靭性等のすべて
の特性を満足する高Crフェライト系耐熱鋼は今だに見あ
たらない。 【0011】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
の実状に鑑み、高温長時間クリープ強度と靭性に優れた
新規な高Crフェライト系耐熱鋼を提供することにある。 【0012】 【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、次の高
Crフェライト系耐熱鋼にある。 【0013】重量%で、C:0.02〜0.15%、Si:0.01〜1.0
%、Mn:0.05〜1.5%、Cr:8.0〜13.0%、W: 2.5〜4.0
%、V:0.10〜0.50%、Nb:0.01〜0.15%、Co:2.5〜8.0
%、sol-Al:0.001〜0.050 %、N: 0.020〜0.12%、Cu:
0.20〜0.85%、Ni:0.10〜 1.5%、Ta:0〜0.50%、Mo:0
〜1.00%、B:0〜0.030 %、Ca:0〜0.010 %、Mg:0〜0.0
10 %、Sc:0〜0.08%、Y:0 〜0.15%、La:0〜0.23%、C
e:0〜0.23%、Nd:0〜0.24%を含み、さらに、Ti:0.005
〜0.08%、Zr:0.005〜0.15%およびHf:0.005〜0.29%の
うちの1種または2種以上を含み、残部Feおよび不可避
的不純物からなり、不純物中の P、S がそれぞれ0.030
%以下、0.015 %以下であることを特徴とする、高温ク
リープ強度と靭性に優れた高Crフェライト系耐熱鋼。 【0014】上記の鋼にいおては、Sc、Y 、La、Ceおよ
びNd、Moおよび B、CaおよびMg、ならびにTaは、いずれ
も無添加でもよい。 【0015】Sc、Y 、La、CeおよびNdのうちの1種また
は2種以上を含有させる場合はいずれの元素も 0.001%
以上とすること、Moおよび Bの1種または2種を含有さ
せる場合のMoは0.01%以上、B は0.0005%以上とするこ
と、CaおよびMgの1種または2種を含有させる場合はい
ずれの元素も0.0005%以上とすること、Taを含有させる
場合は0.01%以上とすること、がそれぞれ望ましい。 【0016】本発明者らは、高Crフェライト系耐熱鋼の
高温長時間クリープ強度および靭性が、鋼の化学成分お
よびミクロ組織とどの様に対応しているのか詳細に検討
した結果、以下のような知見を得、本発明をなした。 【0017】本発明の技術的な新知見および本発明鋼の
設計は、次の〜の技術思想に基づく。 【0018】Co、Niに加えてCuを含有する高Crフェラ
イト系耐熱鋼の 600℃以上における10万時間までの長時
間側クリープ強度の向上は、Fe7W6 型[Cr、Moを含有す
る場合には、例えば、Fe55Cr22(Mo、W )23の組成にな
る]のμ相を主体とした金属間化合物の微細分散析出組
織とするのが最も効果的であること。 【0019】Co、Niを含有する高Crフェライト鋼にCu
を含有させていくと確かにδ−フェライトの析出が抑制
されるが、焼きもどしマルテンサイト組織の高温長時間
クリープ中での回復、軟化に対する抵抗性はむしろ低下
し、これが結果的に長時間側でのクリープ強度の急激な
低下を招くこと。また、Cuは長時間加熱中に粒界等に偏
析する傾向があり、これが高温脆化の一因となっている
こと。 【0020】Cuを含有する高Crフェライト系耐熱鋼の
マルテンサイト組織の回復、軟化を直接制御するのは容
易ではないが、従来の V( C、N )、NbN 、M23C6 等の
炭窒化物に加えて長時間加熱に対しても安定な微細析出
物を分散させることにより、マルテンサイト組織の回
復、軟化に伴うクリープ強度、靭性の低下を抑制するこ
とが可能であること。 【0021】上記の長時間加熱に対しても安定な微細
な析出物としては、Ti、ZrおよびHfの六方晶系遷移金属
の窒化物が有効であり、さらにTi、ZrおよびHfは長時間
加熱中における粒界へのCu偏析を抑制して高温脆化防止
が図れること。 【0022】 【作用】以下、本発明の各合金成分の限定理由について
説明する。 【0023】C :0.02〜0.15% C は、MC[炭窒化物 M( C、N )として形成される場合
もある。なお、M は合金元素を指し、以下同じ]、M
7C3、M23C6 型の炭化物を形成して、本発明鋼の性能に
大きく影響する元素である。本発明の高Crフェライト系
耐熱鋼は、通常、焼きならし(ノルマ)+焼きもどし
(テンパ)処理によって焼きもどしマルテンサイト組織
を得て使用されるが、その熱処理段階での炭化物の析出
状況により短時間のクリープ強度が決定され、さらに、
長時間使用加熱中には、VCや TaC等の微細な炭化物の析
出も進行し、長時間側のクリープ強度の向上に寄与する
ことになる。しかし、この析出強化の効果を得るために
は0.02%以上が必要であり、一方、0.15%を超えると使
用初期段階から炭化物の凝集粗大化を招き、逆に長時間
側のクリープ強度の低下を招くことから、C 含有量は0.
02〜0.15%とした。好ましくは、0.06〜0.12%である。 【0024】Si:0.01〜1.0% Siは、溶鋼の脱酸剤として、また高温における耐水蒸気
酸化性を向上させるのに有効な元素であるが、多量の添
加は靭性劣化を招くことから、これまで0.01〜1.0 %の
範囲で添加されてきた。よって、本発明においても、0.
01〜1.0 %とした。 【0025】Mn:0.05〜1.5 % Mnは、溶鋼の脱酸剤および脱硫剤として添加するが、高
応力での短時間クリープ強度を向上させるのに有効な元
素である。しかし、その効果を得るためには0.05%以上
が必要であり、一方、1.5 %を超えると靭性を劣化させ
ることから、Mn含有量は0.05〜1.5 %とした。好ましく
は、0.10〜1.0 %である。 【0026】Cr: 8.0〜13.0% Crは、炭化物を形成してクリープ強度を向上させるとと
もに、Cr主体の緻密な酸化皮膜を形成し、本発明鋼の高
温における耐食性や耐酸化性、特に耐水蒸気酸化性の維
持に大きく寄与する元素である。しかし、その効果を得
るためには 8.0%以上が必要であり、一方、13.0%を超
えるとδ−フェライトの生成を促進し、靭性劣化を招く
ことから、Cr含有量は 8.0〜13.0%とした。好ましく
は、9.0 〜12.0%である。 【0027】W : 2.5〜4.0 % W は、本発明鋼の主要な強化元素の一つで、高温使用中
にFe7W6 型のμ相を主体とする金属間化合物として粒内
に微細分散析出し、長時間クリープ強度の向上に寄与す
るとともに、Cr炭化物中にも一部固溶して炭化物の凝
集、粗大化を抑制し、強度の維持に寄与する元素であ
る。しかし、その効果を得るためには 2.5%以上が必要
であり、一方、4.0 %を超えるとδ−フェライトの生成
を促進し、靭性劣化を招くことから、W 含有量は 2.5〜
4.0 %とした。好ましくは、2.5 〜3.5 %である。 【0028】V :0.10〜0.50% V は、微細な炭窒化物を形成してクリープ強度の向上に
寄与する元素である。 【0029】しかし、その効果を得るためには0.10%以
上が必要であり、一方、0.50%を超えて添加してもその
効果は飽和することから、V 含有量は0.10〜0.50%とし
た。好ましくは、0.15〜0.35%である。 【0030】Nb:0.01〜0.15% Nbは、窒化物および炭窒化物を形成して、強度、靭性の
向上に寄与する元素である。しかし、その効果を得るた
めには0.01%以が上必要であり、一方、0.15%を超える
と粗大な窒化物を形成して、逆に靭性の低下を招くこと
から、Nb含有量は0.01〜0.15%とした。好ましくは、0.
04〜0.12%である。 【0031】Co: 2.5〜8.0 % Coは、本発明鋼においてFe7W6 型のμ相の析出を促進
し、クリープ強度向上に寄与するとともに、オーステナ
イト生成元素であってマルテンサイト組織の安定化にも
寄与する元素である。しかし、その効果を得るためには
2.5%以上が必要であり、一方、8.0 %を超えると鋼の
Ac1変態点の低下が著しくなり、逆に強度低下を招くこ
とから、Co含有量は 2.5〜8.0 %とした。好ましくは、
3.0 〜 6.0%である。 【0032】Ni:0.10〜1.50% Niは、オーステナイト生成元素としてCoと同様な作用を
有し、またマルテンサイト組織を強靭にして靭性の向上
に寄与する元素である。しかし、その効果を得るために
は0.10%以上が必要であり、一方、1.50%を超えると鋼
の Ac1変態点を著しく低下させ、強度低下を招くことか
ら、Ni含有量は0.10〜1.50%とした。好ましくは、0.20
〜0.50%である。 【0033】Cu:0.20〜0.85% Cuは、オーステナイト生成元素としてCo、Niと同様な効
果を有するとともに、高温における耐酸化性および石炭
灰等に対する耐食性を向上させるのに極めて有効な元素
である。しかし、その効果を得るためには0.20%以上が
必要であり、一方、0.85%を超えると熱間加工性の低下
や高温脆化を招くことから、Cu含有量は0.20〜0.85%と
した。好ましくは、0.30〜0.80%である。 【0034】sol-Al: 0.001〜0.050 % Alは、溶鋼の脱酸剤として添加する。しかし、その効果
を得るためにはsol-Al含有量で 0.001%以上が必要であ
り、一方、sol-Al含有量で 0.050%を超えるとクリープ
強度の低下を招くことから、sol-Al含有量は 0.001〜0.
050 %とした。 【0035】好ましくは、0.01〜0.03%である。 【0036】N :0.01〜0.12% N は、窒化物および炭窒化物を形成してクリープ強度、
靭性の向上に寄与する元素である。しかし、その効果を
得るためには0.01%以上が必要であり、一方、0.12%を
超えると窒化物の粗大化が進行し、逆に著しい靭性低下
を招くことから、N 含有量は0.01〜0.12%とした。好ま
しくは、0.04〜0.08%である。 【0037】Ti、Zr、Hf:それぞれ、 0.005〜0.08%、
0.005〜0.15%、 0.005〜0.29% Ti、Zr、Hfは、いずれも強力な窒化物生成元素であり、
微量の含有によって長時間加熱に対しても安定、微細な
窒化物を形成し、特にCu含有の本発明鋼の焼もどしマル
テンサイト組織の回復、軟化抵抗性を高めて高温長時間
側のクリープ強度を向上させるのに極めて重要な元素
で、Ti、ZrおよびHfのうちの1種または2種以上を選ん
で含有させるが、その効果を得るためにはいずれも 0.0
05%以上が必要である。しかし、Tiの場合は0.08%を、
Zrの場合は0.15%を、Hfの場合は0.29%を超えると粗大
な窒化物を形成し、靭性を急激に劣化させることから、
これらの元素を単独で添加する場合の含有量の上限は、
それぞれ、0.08%、0.15%、0.29%とした。 【0038】S 、P :上限は、それぞれ、 0.015%、
0.030% S および Pは、不可避不純物として鋼中に含有され、熱
間加工性、溶接部靭性等に悪影響を及ぼす元素であり、
熱間加工性、溶接部靭性等を確保する点からは極力低い
方が望ましいが、それぞれ 0.015%以下、0.030 %以下
であれば本発明鋼の性能に直接影響しないことから、そ
の上限は、それぞれ 0.015%以下、0.030 %以下とし
た。 【0039】本発明鋼では、上記成分に加えてさらに、
次のTaを含有させてもよい。 【0040】Ta:上限0.50% Taは、Nbと同様に、窒化物および炭窒化物を形成して、
強度、靭性を向上させる作用を有することから、この効
果を得たい場合には必要に応じて含有させることができ
る。その効果は、0.01%以上で得られるので、含有させ
る場合には0.01%以上とするのが望ましい。しかし、0.
50%を超えると粗大な窒化物を形成して逆に靭性の低下
を招くことから、上限は0.50%とした。 【0041】本発明鋼では、加えてさらに、次のMoまた
は/および Bを選んで含有させてもよい。 【0042】Mo、B :上限は、それぞれ、1.0 %、0.03
0 % Mo、 Bは、M23C6 型炭化物を微細分散析出させる効果の
ある元素であり、高温長時間側のクリープ強度を向上さ
せる作用を有することから、この効果を得たい場合に
は、必要に応じてMoまたは/および Bを含有させること
ができる。その効果は、Moについては0.01%以上で、 B
については0.0005%以上で得られるので、含有させる場
合には、Moは0.01%以上、B は0.0005%以上とするのが
望ましい。 【0043】しかし、Moについては1.0 %を、B につい
ては 0.030%を超えると、粗大な析出物を形成して靭性
を劣化させることから、Moの上限は1.0 %、B の上限は
0.030%とした。 【0044】本発明鋼では、加えてさらに、次のCaまた
は/およびMgを選んで含有させてもよい。 【0045】Ca、Mg:上限は、いずれも、0.010 % Ca、Mgは、鋼の熱間加工性を向上させる作用を有する元
素であり、熱間加工性の向上を目的とする場合に含有さ
せることができる。その効果は、いずれも含有量が0.00
05%以上で得られるので、Caまたは/およびMgを含有さ
せる場合は、いずれも0.0005%以上とするのが望まし
い。しかし、いずれもその含有量が 0.010%を超えると
介在物の粗大化を招き、逆に加工性、靭性を損なうた
め、その上限は、いずれも 0.010%とした。 【0046】本発明鋼では、加えてさらに、次のように
Sc、Y 、La、CeおよびNdのうちの1種または2種以上を
選んで含有させてもよい。 【0047】Sc、Y 、La、Ce、Nd:上限は、それぞれ、
0.08%、0.15%、0.23%、0.23%、0.24% Sc、Y 、La、Ce、Ndは、微量の含有によって窒化物とし
て微細分散析出し、長時間側のクリープ強度を向上させ
る作用を有することから、この効果を得たい場合には、
必要に応じてSc、Y 、La、CeおよびNdのうちうの1種ま
たは2種以上を選んで含有させることができる。その効
果は、いずれも含有量が 0.001%以上で得られるので、
含有させる場合は、いずれも 0.001%以上とするのが望
ましい。 【0048】しかし、Scの場合は0.08%超、Y の場合は
0.15%超、Laの場合は0.23%超、Ceの場合は0.23%超、
Ndの場合は0.24%超の多量添加では粗大析出物を形成し
て靭性の低下を招くので、その上限は、それぞれ、0.08
%、0.15%、0.23%、0.23%、0.24%とした。 【0049】 【実施例】表1および表2に示す化学組成を有する41種
の各鋼(No.1〜4 は従来鋼、No.5〜20は比較鋼、 No.21
〜41は本発明鋼)を50kg真空誘導溶解炉にて溶製して 1
44mmφインゴットをそれぞれ作製し、得られたインゴッ
トを熱間鍛造、熱間圧延して20mm厚さの板材とし、これ
らの板材から各種の試験片を採取した。 【0050】なお、表1中、No.1〜4 は従来の高Crフェ
ライト系耐熱鋼であり、No.1はJIS-STBA26、No.2は火ST
BA27(火力原子力技術協会規格)、No.3は ASTM-A213-T
91、No.4はDIN-X20CrMoWV121に規定の鋼である。 【0051】 【表1】 【0052】 【表2】【0053】各種試験に先立ち、No.1およびNo.2の鋼に
ついては、通常、これらの鋼に施される 950℃×1時間
→AC(空冷)の焼きならし処理の後、750 ℃×1時間→
ACの焼きもどし処理を行い、その他の鋼については1050
℃×1時間→ACの焼きならし処理後、780 ℃×1時間→
ACの焼きもどし処理を行って各種試験に供し、次に示す
条件の各方法でクリープ強度および靭性を調査した。 【0054】なお、各供試鋼の一部の試験片は、長時間
加熱脆化を評価するため、600 ℃×10000 時間の時効処
理を施した後にシャルピー衝撃試験に供した。 【0055】〔クリープ破断試験〕 試験温度: 650 ℃ 試験片: 6.0 mmφ×GL=30mm 負荷荷重: 100 MPa 試験項目: 破断時間(目標:1万時間以上) 〔シャルピー衝撃試験〕 試験温度: 0 ℃ 試験片: 10mm幅×10mm厚×55mm長−2 mmVノッチ 試験項目: 衝撃値(目標:vEo ≧50 J/cm2) 表3に、これらの試験結果を示した。 【0056】 【表3】 【0057】表3に示すように、No.1〜4 の従来鋼はい
ずれも 650℃、100 MPa のクリープ破断試験において、
破断時間が1000時間未満で 650℃以上での高温クリープ
特性が十分でない。 【0058】No.5〜20の比較例の鋼では、いずれも幾つ
かの成分が本発明の範囲外であるので、高温クリープ特
性が良好でないか、あるいは高温クリープ特性に優れて
いても、長時間加熱後の靭性が良好でなく、両者の特性
を同時に満足するものはない。 【0059】これに対し、 No.21〜41の本発明鋼は、こ
れらの特性を同時に全て満足しており、従来鋼では得ら
れない高温長時間クリープ特性に優れ、かつ靭性にも優
れた画期的な高Crフェライト系耐熱鋼が得られている。 【0060】 【発明の効果】本発明鋼は、ボイラ、原子力、化学工業
などの広い産業分野で使用される高温耐熱、耐圧部材、
例えば鋼管、圧力容器用鋼板、タービン用材料として使
用される長時間クリープ特性および靭性、特に長時間加
熱後の靭性に優れた高Crフェライト系耐熱鋼が得られ
る。したがって、本発明が斯界に与える利益は極めて大
きい。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】重量%で、C:0.02〜0.15%、Si:0.01〜1.0
%、Mn:0.05〜1.5%、Cr:8.0〜13.0%、W: 2.5〜4.0
%、V:0.10〜0.50%、Nb:0.01〜0.15%、Co:2.5〜8.0
%、sol-Al:0.001〜0.050 %、N: 0.020〜0.12%、Cu:
0.20〜0.85%、Ni:0.10〜 1.5%、Ta:0〜0.50%、Mo:0
〜1.00%、B:0〜0.030 %、Ca:0〜0.010 %、Mg:0〜0.0
10 %、Sc:0〜0.08%、Y:0 〜0.15%、La:0〜0.23%、C
e:0〜0.23%、Nd:0〜0.24%を含み、さらに、Ti:0.005
〜0.08%、Zr:0.005〜0.15%およびHf:0.005〜0.29%の
うちの1種または2種以上を含み、残部Feおよび不可避
的不純物からなり、不純物中の P、S がそれぞれ0.030
%以下、0.015 %以下であることを特徴とする、高温ク
リープ強度と靭性に優れた高Crフェライト系耐熱鋼。
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JP22463094A JP3531228B2 (ja) | 1994-09-20 | 1994-09-20 | 高Crフェライト系耐熱鋼 |
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