JP3531228B2 - 高Crフェライト系耐熱鋼 - Google Patents

高Crフェライト系耐熱鋼

Info

Publication number
JP3531228B2
JP3531228B2 JP22463094A JP22463094A JP3531228B2 JP 3531228 B2 JP3531228 B2 JP 3531228B2 JP 22463094 A JP22463094 A JP 22463094A JP 22463094 A JP22463094 A JP 22463094A JP 3531228 B2 JP3531228 B2 JP 3531228B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel
toughness
temperature
effect
creep strength
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP22463094A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0885850A (ja
Inventor
正晃 五十嵐
潤之 仙波
佳織 宮田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Industries Ltd filed Critical Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority to JP22463094A priority Critical patent/JP3531228B2/ja
Publication of JPH0885850A publication Critical patent/JPH0885850A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3531228B2 publication Critical patent/JP3531228B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Heat Treatment Of Steel (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、高Crフェライト系耐熱
鋼に関し、より詳しくは、ボイラ、原子力、化学工業な
どの広い産業分野で使用される高温耐熱耐圧部材、具体
的には、鋼管、圧力容器用鋼板、タービン用材料として
使用して好適な、高温クリープ強度と靭性に優れた高Cr
フェライト系耐熱鋼に関する。 【0002】 【従来の技術】ボイラ、原子力、化学工業用等の高温耐
熱耐圧部材に使用される耐熱鋼には、一般に、高温強
度、靭性、高温耐食性および耐酸化性等が要求される。 【0003】これらの用途には、従来、JIS-SUS321H 、
同SUS347H 鋼などのオーステナイト系ステンレス鋼、JI
S-STBA24(2・1/4Cr-1Mo 鋼)などの低合金鋼、さらには
JIS-STBA26(9Cr-1Mo 鋼)などの 9〜12Cr系の高Crフェ
ライト鋼が用いられてきた。 【0004】中でも、高Crフェライト鋼は、500 〜650
℃の温度域において、強度、耐食性の点で低合金鋼より
も優れており、また、オーステナイト系ステンレス鋼に
比べて安価であり、熱伝導度が高く、且つ熱膨張が小さ
いことから耐熱疲労特性やスケール剥離が起こりにく
く、さらに応力腐食割れを起こさないなどの利点がある
ため、多く使用されている。 【0005】近年、火力発電において熱効率をより一層
向上させるため、蒸気条件の高温高圧化が進められてお
り、超臨界圧条件から将来的には 650℃で 350気圧とい
うような超々臨界圧条件での操業が計画されている。こ
のような操業条件の推移に伴って、ボイラ用鋼管等に対
する要求性能もますます過酷化してきており、長時間ク
リープ強度、耐酸化性、特に耐水蒸気酸化性の観点か
ら、もはや既存の高Crフェライト鋼では十分に要求性能
を満足できない状況に至っている。 【0006】この要求に答えるには、オーステナイト系
ステンレス鋼を用いるのが適当であるが、高価で不経済
であるため、オーステナイト系ステンレス鋼に比べて安
価な高Crフェライト鋼においても、W を多く含有させた
新しい高Crフェライト鋼の適用が検討されつつある。 【0007】例えば、特開平3-097832号公報には、従来
よりも Wの含有量を高め、さらに高温耐酸化性を改善す
る観点からCuを含有させた高Cr耐熱鋼が、また、特開平
4-371551号公報および特開平4-371552号公報には、Mo/
W の適正化に加えて、Coと Bを複合添加することで高温
強度と靭性を高めた高Cr耐熱鋼が提案されている。しか
し、これらの鋼は、W を多量に含有しているので確かに
高温クリープ強度は向上するが、W はMo、Cr等と共にフ
ェライト生成元素であるため、多量添加によりδ−フェ
ライトが生成し、靭性が低下するのを避け得ないという
欠点がある。 【0008】この対策としては、マルテンサイト単相と
するのが最も効果的であり、このため、例えば、特開平
5-263196号公報等には、Cr量を低減することで、また、
特開平5-311342号公報、同5-311343号公報、同5-311344
号公報、同5-311345号公報、同5-311346号公報等には、
オーステナイト生成元素であるNi、Cu、Co等を多量添加
することで靭性改善を図った鋼が提案されている。 【0009】しかし、前者の特開平5-263196号公報に提
案された鋼は、Mo、Ni等が CrOの安定なスケール構
造を破壊するため、耐水蒸気酸化性が劣り、また後者の
特開平5-311342号公報等に提案された鋼は、Ni、Cu等を
多量に含有するため、鋼の Ac変態点および Ac変態
点を低下させることから、焼きもどし軟化抵抗が小さく
なって、かえって長時間強度が低下する一方、これらの
元素の多量添加は、 Cr O を主体とする酸化物の構造
を変化させ、耐水蒸気酸化性も劣化するという欠点を有
している。 【0010】このように、高温高圧の超々臨界圧条件下
における高温長時間クリープ強度および靭性等のすべて
の特性を満足する高Crフェライト系耐熱鋼は今だに見あ
たらない。 【0011】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
の実状に鑑み、高温長時間クリープ強度と靭性に優れた
新規な高Crフェライト系耐熱鋼を提供することにある。 【0012】 【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、次の高
Crフェライト系耐熱鋼にある。 【0013】重量%で、C:0.02〜0.15%、Si:0.01〜1.0
%、Mn:0.05〜1.5%、Cr:8.0〜13.0%、W: 2.5〜4.0
%、V:0.10〜0.50%、Nb:0.01〜0.15%、Co:2.5〜8.0
%、sol-Al:0.001〜0.050 %、N: 0.020〜0.12%、Cu:
0.20〜0.85%、Ni:0.10〜 1.5%、Ta:0〜0.50%、Mo:0
〜1.00%、B:0〜0.030 %、Ca:0〜0.010 %、Mg:0〜0.0
10 %、Sc:0〜0.08%、Y:0 〜0.15%、La:0〜0.23%、C
e:0〜0.23%、Nd:0〜0.24%を含み、さらに、Ti:0.005
〜0.08%、Zr:0.005〜0.15%およびHf:0.005〜0.29%の
うちの1種または2種以上を含み、残部Feおよび不可避
的不純物からなり、不純物中の P、S がそれぞれ0.030
%以下、0.015 %以下であることを特徴とする、高温ク
リープ強度と靭性に優れた高Crフェライト系耐熱鋼。 【0014】上記の鋼にいおては、Sc、Y 、La、Ceおよ
びNd、Moおよび B、CaおよびMg、ならびにTaは、いずれ
も無添加でもよい。 【0015】Sc、Y 、La、CeおよびNdのうちの1種また
は2種以上を含有させる場合はいずれの元素も 0.001%
以上とすること、Moおよび Bの1種または2種を含有さ
せる場合のMoは0.01%以上、B は0.0005%以上とするこ
と、CaおよびMgの1種または2種を含有させる場合はい
ずれの元素も0.0005%以上とすること、Taを含有させる
場合は0.01%以上とすること、がそれぞれ望ましい。 【0016】本発明者らは、高Crフェライト系耐熱鋼の
高温長時間クリープ強度および靭性が、鋼の化学成分お
よびミクロ組織とどの様に対応しているのか詳細に検討
した結果、以下のような知見を得、本発明をなした。 【0017】本発明の技術的な新知見および本発明鋼の
設計は、次の〜の技術思想に基づく。 【0018】Co、Niに加えてCuを含有する高Crフェラ
イト系耐熱鋼の 600℃以上における10万時間までの長時
間側クリープ強度の向上は、Fe7W6 型[Cr、Moを含有す
る場合には、例えば、Fe55Cr22(Mo、W )23の組成にな
る]のμ相を主体とした金属間化合物の微細分散析出組
織とするのが最も効果的であること。 【0019】Co、Niを含有する高Crフェライト鋼にCu
を含有させていくと確かにδ−フェライトの析出が抑制
されるが、焼きもどしマルテンサイト組織の高温長時間
クリープ中での回復、軟化に対する抵抗性はむしろ低下
し、これが結果的に長時間側でのクリープ強度の急激な
低下を招くこと。また、Cuは長時間加熱中に粒界等に偏
析する傾向があり、これが高温脆化の一因となっている
こと。 【0020】Cuを含有する高Crフェライト系耐熱鋼の
マルテンサイト組織の回復、軟化を直接制御するのは容
易ではないが、従来の V( C、N )、NbN 、M23C6 等の
炭窒化物に加えて長時間加熱に対しても安定な微細析出
物を分散させることにより、マルテンサイト組織の回
復、軟化に伴うクリープ強度、靭性の低下を抑制するこ
とが可能であること。 【0021】上記の長時間加熱に対しても安定な微細
な析出物としては、Ti、ZrおよびHfの六方晶系遷移金属
の窒化物が有効であり、さらにTi、ZrおよびHfは長時間
加熱中における粒界へのCu偏析を抑制して高温脆化防止
が図れること。 【0022】 【作用】以下、本発明の各合金成分の限定理由について
説明する。 【0023】C :0.02〜0.15% C は、MC[炭窒化物 M( C、N )として形成される場合
もある。なお、M は合金元素を指し、以下同じ]、M
7C3、M23C6 型の炭化物を形成して、本発明鋼の性能に
大きく影響する元素である。本発明の高Crフェライト系
耐熱鋼は、通常、焼きならし(ノルマ)+焼きもどし
(テンパ)処理によって焼きもどしマルテンサイト組織
を得て使用されるが、その熱処理段階での炭化物の析出
状況により短時間のクリープ強度が決定され、さらに、
長時間使用加熱中には、VCや TaC等の微細な炭化物の析
出も進行し、長時間側のクリープ強度の向上に寄与する
ことになる。しかし、この析出強化の効果を得るために
は0.02%以上が必要であり、一方、0.15%を超えると使
用初期段階から炭化物の凝集粗大化を招き、逆に長時間
側のクリープ強度の低下を招くことから、C 含有量は0.
02〜0.15%とした。好ましくは、0.06〜0.12%である。 【0024】Si:0.01〜1.0% Siは、溶鋼の脱酸剤として、また高温における耐水蒸気
酸化性を向上させるのに有効な元素であるが、多量の添
加は靭性劣化を招くことから、これまで0.01〜1.0 %の
範囲で添加されてきた。よって、本発明においても、0.
01〜1.0 %とした。 【0025】Mn:0.05〜1.5 % Mnは、溶鋼の脱酸剤および脱硫剤として添加するが、高
応力での短時間クリープ強度を向上させるのに有効な元
素である。しかし、その効果を得るためには0.05%以上
が必要であり、一方、1.5 %を超えると靭性を劣化させ
ることから、Mn含有量は0.05〜1.5 %とした。好ましく
は、0.10〜1.0 %である。 【0026】Cr: 8.0〜13.0% Crは、炭化物を形成してクリープ強度を向上させるとと
もに、Cr主体の緻密な酸化皮膜を形成し、本発明鋼の高
温における耐食性や耐酸化性、特に耐水蒸気酸化性の維
持に大きく寄与する元素である。しかし、その効果を得
るためには 8.0%以上が必要であり、一方、13.0%を超
えるとδ−フェライトの生成を促進し、靭性劣化を招く
ことから、Cr含有量は 8.0〜13.0%とした。好ましく
は、9.0 〜12.0%である。 【0027】W : 2.5〜4.0 % W は、本発明鋼の主要な強化元素の一つで、高温使用中
にFe7W6 型のμ相を主体とする金属間化合物として粒内
に微細分散析出し、長時間クリープ強度の向上に寄与す
るとともに、Cr炭化物中にも一部固溶して炭化物の凝
集、粗大化を抑制し、強度の維持に寄与する元素であ
る。しかし、その効果を得るためには 2.5%以上が必要
であり、一方、4.0 %を超えるとδ−フェライトの生成
を促進し、靭性劣化を招くことから、W 含有量は 2.5〜
4.0 %とした。好ましくは、2.5 〜3.5 %である。 【0028】V :0.10〜0.50% V は、微細な炭窒化物を形成してクリープ強度の向上に
寄与する元素である。 【0029】しかし、その効果を得るためには0.10%以
上が必要であり、一方、0.50%を超えて添加してもその
効果は飽和することから、V 含有量は0.10〜0.50%とし
た。好ましくは、0.15〜0.35%である。 【0030】Nb:0.01〜0.15% Nbは、窒化物および炭窒化物を形成して、強度、靭性の
向上に寄与する元素である。しかし、その効果を得るた
めには0.01%以が上必要であり、一方、0.15%を超える
と粗大な窒化物を形成して、逆に靭性の低下を招くこと
から、Nb含有量は0.01〜0.15%とした。好ましくは、0.
04〜0.12%である。 【0031】Co: 2.5〜8.0 % Coは、本発明鋼においてFe7W6 型のμ相の析出を促進
し、クリープ強度向上に寄与するとともに、オーステナ
イト生成元素であってマルテンサイト組織の安定化にも
寄与する元素である。しかし、その効果を得るためには
2.5%以上が必要であり、一方、8.0 %を超えると鋼の
Ac1変態点の低下が著しくなり、逆に強度低下を招くこ
とから、Co含有量は 2.5〜8.0 %とした。好ましくは、
3.0 〜 6.0%である。 【0032】Ni:0.10〜1.50% Niは、オーステナイト生成元素としてCoと同様な作用を
有し、またマルテンサイト組織を強靭にして靭性の向上
に寄与する元素である。しかし、その効果を得るために
は0.10%以上が必要であり、一方、1.50%を超えると鋼
の Ac1変態点を著しく低下させ、強度低下を招くことか
ら、Ni含有量は0.10〜1.50%とした。好ましくは、0.20
〜0.50%である。 【0033】Cu:0.20〜0.85% Cuは、オーステナイト生成元素としてCo、Niと同様な効
果を有するとともに、高温における耐酸化性および石炭
灰等に対する耐食性を向上させるのに極めて有効な元素
である。しかし、その効果を得るためには0.20%以上が
必要であり、一方、0.85%を超えると熱間加工性の低下
や高温脆化を招くことから、Cu含有量は0.20〜0.85%と
した。好ましくは、0.30〜0.80%である。 【0034】sol-Al: 0.001〜0.050 % Alは、溶鋼の脱酸剤として添加する。しかし、その効果
を得るためにはsol-Al含有量で 0.001%以上が必要であ
り、一方、sol-Al含有量で 0.050%を超えるとクリープ
強度の低下を招くことから、sol-Al含有量は 0.001〜0.
050 %とした。 【0035】好ましくは、0.01〜0.03%である。 【0036】N :0.01〜0.12% N は、窒化物および炭窒化物を形成してクリープ強度、
靭性の向上に寄与する元素である。しかし、その効果を
得るためには0.01%以上が必要であり、一方、0.12%を
超えると窒化物の粗大化が進行し、逆に著しい靭性低下
を招くことから、N 含有量は0.01〜0.12%とした。好ま
しくは、0.04〜0.08%である。 【0037】Ti、Zr、Hf:それぞれ、 0.005〜0.08%、
0.005〜0.15%、 0.005〜0.29% Ti、Zr、Hfは、いずれも強力な窒化物生成元素であり、
微量の含有によって長時間加熱に対しても安定、微細な
窒化物を形成し、特にCu含有の本発明鋼の焼もどしマル
テンサイト組織の回復、軟化抵抗性を高めて高温長時間
側のクリープ強度を向上させるのに極めて重要な元素
で、Ti、ZrおよびHfのうちの1種または2種以上を選ん
で含有させるが、その効果を得るためにはいずれも 0.0
05%以上が必要である。しかし、Tiの場合は0.08%を、
Zrの場合は0.15%を、Hfの場合は0.29%を超えると粗大
な窒化物を形成し、靭性を急激に劣化させることから、
これらの元素を単独で添加する場合の含有量の上限は、
それぞれ、0.08%、0.15%、0.29%とした。 【0038】S 、P :上限は、それぞれ、 0.015%、
0.030% S および Pは、不可避不純物として鋼中に含有され、熱
間加工性、溶接部靭性等に悪影響を及ぼす元素であり、
熱間加工性、溶接部靭性等を確保する点からは極力低い
方が望ましいが、それぞれ 0.015%以下、0.030 %以下
であれば本発明鋼の性能に直接影響しないことから、そ
の上限は、それぞれ 0.015%以下、0.030 %以下とし
た。 【0039】本発明鋼では、上記成分に加えてさらに、
次のTaを含有させてもよい。 【0040】Ta:上限0.50% Taは、Nbと同様に、窒化物および炭窒化物を形成して、
強度、靭性を向上させる作用を有することから、この効
果を得たい場合には必要に応じて含有させることができ
る。その効果は、0.01%以上で得られるので、含有させ
る場合には0.01%以上とするのが望ましい。しかし、0.
50%を超えると粗大な窒化物を形成して逆に靭性の低下
を招くことから、上限は0.50%とした。 【0041】本発明鋼では、加えてさらに、次のMoまた
は/および Bを選んで含有させてもよい。 【0042】Mo、B :上限は、それぞれ、1.0 %、0.03
0 % Mo、 Bは、M23C6 型炭化物を微細分散析出させる効果の
ある元素であり、高温長時間側のクリープ強度を向上さ
せる作用を有することから、この効果を得たい場合に
は、必要に応じてMoまたは/および Bを含有させること
ができる。その効果は、Moについては0.01%以上で、 B
については0.0005%以上で得られるので、含有させる場
合には、Moは0.01%以上、B は0.0005%以上とするのが
望ましい。 【0043】しかし、Moについては1.0 %を、B につい
ては 0.030%を超えると、粗大な析出物を形成して靭性
を劣化させることから、Moの上限は1.0 %、B の上限は
0.030%とした。 【0044】本発明鋼では、加えてさらに、次のCaまた
は/およびMgを選んで含有させてもよい。 【0045】Ca、Mg:上限は、いずれも、0.010 % Ca、Mgは、鋼の熱間加工性を向上させる作用を有する元
素であり、熱間加工性の向上を目的とする場合に含有さ
せることができる。その効果は、いずれも含有量が0.00
05%以上で得られるので、Caまたは/およびMgを含有さ
せる場合は、いずれも0.0005%以上とするのが望まし
い。しかし、いずれもその含有量が 0.010%を超えると
介在物の粗大化を招き、逆に加工性、靭性を損なうた
め、その上限は、いずれも 0.010%とした。 【0046】本発明鋼では、加えてさらに、次のように
Sc、Y 、La、CeおよびNdのうちの1種または2種以上を
選んで含有させてもよい。 【0047】Sc、Y 、La、Ce、Nd:上限は、それぞれ、
0.08%、0.15%、0.23%、0.23%、0.24% Sc、Y 、La、Ce、Ndは、微量の含有によって窒化物とし
て微細分散析出し、長時間側のクリープ強度を向上させ
る作用を有することから、この効果を得たい場合には、
必要に応じてSc、Y 、La、CeおよびNdのうちうの1種ま
たは2種以上を選んで含有させることができる。その効
果は、いずれも含有量が 0.001%以上で得られるので、
含有させる場合は、いずれも 0.001%以上とするのが望
ましい。 【0048】しかし、Scの場合は0.08%超、Y の場合は
0.15%超、Laの場合は0.23%超、Ceの場合は0.23%超、
Ndの場合は0.24%超の多量添加では粗大析出物を形成し
て靭性の低下を招くので、その上限は、それぞれ、0.08
%、0.15%、0.23%、0.23%、0.24%とした。 【0049】 【実施例】表1および表2に示す化学組成を有する41種
の各鋼(No.1〜4 は従来鋼、No.5〜20は比較鋼、 No.21
〜41は本発明鋼)を50kg真空誘導溶解炉にて溶製して 1
44mmφインゴットをそれぞれ作製し、得られたインゴッ
トを熱間鍛造、熱間圧延して20mm厚さの板材とし、これ
らの板材から各種の試験片を採取した。 【0050】なお、表1中、No.1〜4 は従来の高Crフェ
ライト系耐熱鋼であり、No.1はJIS-STBA26、No.2は火ST
BA27(火力原子力技術協会規格)、No.3は ASTM-A213-T
91、No.4はDIN-X20CrMoWV121に規定の鋼である。 【0051】 【表1】 【0052】 【表2】【0053】各種試験に先立ち、No.1およびNo.2の鋼に
ついては、通常、これらの鋼に施される 950℃×1時間
→AC(空冷)の焼きならし処理の後、750 ℃×1時間→
ACの焼きもどし処理を行い、その他の鋼については1050
℃×1時間→ACの焼きならし処理後、780 ℃×1時間→
ACの焼きもどし処理を行って各種試験に供し、次に示す
条件の各方法でクリープ強度および靭性を調査した。 【0054】なお、各供試鋼の一部の試験片は、長時間
加熱脆化を評価するため、600 ℃×10000 時間の時効処
理を施した後にシャルピー衝撃試験に供した。 【0055】〔クリープ破断試験〕 試験温度: 650 ℃ 試験片: 6.0 mmφ×GL=30mm 負荷荷重: 100 MPa 試験項目: 破断時間(目標:1万時間以上) 〔シャルピー衝撃試験〕 試験温度: 0 ℃ 試験片: 10mm幅×10mm厚×55mm長−2 mmVノッチ 試験項目: 衝撃値(目標:vEo ≧50 J/cm2) 表3に、これらの試験結果を示した。 【0056】 【表3】 【0057】表3に示すように、No.1〜4 の従来鋼はい
ずれも 650℃、100 MPa のクリープ破断試験において、
破断時間が1000時間未満で 650℃以上での高温クリープ
特性が十分でない。 【0058】No.5〜20の比較例の鋼では、いずれも幾つ
かの成分が本発明の範囲外であるので、高温クリープ特
性が良好でないか、あるいは高温クリープ特性に優れて
いても、長時間加熱後の靭性が良好でなく、両者の特性
を同時に満足するものはない。 【0059】これに対し、 No.21〜41の本発明鋼は、こ
れらの特性を同時に全て満足しており、従来鋼では得ら
れない高温長時間クリープ特性に優れ、かつ靭性にも優
れた画期的な高Crフェライト系耐熱鋼が得られている。 【0060】 【発明の効果】本発明鋼は、ボイラ、原子力、化学工業
などの広い産業分野で使用される高温耐熱、耐圧部材、
例えば鋼管、圧力容器用鋼板、タービン用材料として使
用される長時間クリープ特性および靭性、特に長時間加
熱後の靭性に優れた高Crフェライト系耐熱鋼が得られ
る。したがって、本発明が斯界に与える利益は極めて大
きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−97832(JP,A) 特開 平5−311345(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 302 C22C 38/52 C22C 38/54

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】重量%で、C:0.02〜0.15%、Si:0.01〜1.0
    %、Mn:0.05〜1.5%、Cr:8.0〜13.0%、W: 2.5〜4.0
    %、V:0.10〜0.50%、Nb:0.01〜0.15%、Co:2.5〜8.0
    %、sol-Al:0.001〜0.050 %、N: 0.020〜0.12%、Cu:
    0.20〜0.85%、Ni:0.10〜 1.5%、Ta:0〜0.50%、Mo:0
    〜1.00%、B:0〜0.030 %、Ca:0〜0.010 %、Mg:0〜0.0
    10 %、Sc:0〜0.08%、Y:0 〜0.15%、La:0〜0.23%、C
    e:0〜0.23%、Nd:0〜0.24%を含み、さらに、Ti:0.005
    〜0.08%、Zr:0.005〜0.15%およびHf:0.005〜0.29%の
    うちの1種または2種以上を含み、残部Feおよび不可避
    的不純物からなり、不純物中の P、S がそれぞれ0.030
    %以下、0.015 %以下であることを特徴とする、高温ク
    リープ強度と靭性に優れた高Crフェライト系耐熱鋼。
JP22463094A 1994-09-20 1994-09-20 高Crフェライト系耐熱鋼 Expired - Fee Related JP3531228B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22463094A JP3531228B2 (ja) 1994-09-20 1994-09-20 高Crフェライト系耐熱鋼

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22463094A JP3531228B2 (ja) 1994-09-20 1994-09-20 高Crフェライト系耐熱鋼

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0885850A JPH0885850A (ja) 1996-04-02
JP3531228B2 true JP3531228B2 (ja) 2004-05-24

Family

ID=16816728

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP22463094A Expired - Fee Related JP3531228B2 (ja) 1994-09-20 1994-09-20 高Crフェライト系耐熱鋼

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3531228B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3245097B2 (ja) * 1997-01-08 2002-01-07 三菱重工業株式会社 高温用蒸気タービンロータ材
JPH1136038A (ja) * 1997-07-16 1999-02-09 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 耐熱鋳鋼
JP3982069B2 (ja) * 1998-07-08 2007-09-26 住友金属工業株式会社 高Crフェライト系耐熱鋼
JP2002146484A (ja) * 2000-11-10 2002-05-22 Sanyo Special Steel Co Ltd 高強度フェライト系耐熱鋼
WO2016136839A1 (ja) * 2015-02-27 2016-09-01 国立大学法人九州大学 フェライト系耐熱鋼及びその製造方法
RU2653384C1 (ru) * 2017-10-04 2018-05-08 Юлия Алексеевна Щепочкина Штамповая сталь
CN117305726A (zh) * 2023-08-21 2023-12-29 北京首钢吉泰安新材料有限公司 一种耐热腐蚀钢合金及其制备方法与应用

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0885850A (ja) 1996-04-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4561834B2 (ja) 低合金鋼
JP3480061B2 (ja) 高Crフェライト系耐熱鋼
JPH0621323B2 (ja) 耐食、耐酸化性に優れた高強度高クロム鋼
JP2004323937A (ja) オーステナイト系ステンレス鋼
US5415706A (en) Heat- and creep-resistant steel having a martensitic microstructure produced by a heat-treatment process
JP4816642B2 (ja) 低合金鋼
EP3269831A1 (en) High chromium martensitic heat-resistant steel with combined high creep rupture strength and oxidation resistance
JP3982069B2 (ja) 高Crフェライト系耐熱鋼
JP4614547B2 (ja) 高温クリープ破断強度及び延性に優れたマルテンサイト系耐熱合金とその製造方法
JPH062927B2 (ja) 耐食、耐酸化性に優れた高強度低合金鋼
JP2808048B2 (ja) 高強度フェライト系耐熱鋼
EP0525331A1 (en) Heat resisting, ferritic steel with high chromium content and having improved resistance to embrittlement by intergranular precipitation of copper
JP2631250B2 (ja) ボイラ用鋼管用高強度フェライト系耐熱鋼
JP3508667B2 (ja) 高温強度に優れた高Crフェライト系耐熱鋼およびその製造方法
KR20200003246A (ko) 오스테나이트계 합금
JP2002235154A (ja) 高Crフェライト系耐熱鋼材
JP3531228B2 (ja) 高Crフェライト系耐熱鋼
JP3848463B2 (ja) 溶接性に優れた高強度オーステナイト系耐熱鋼およびその製造方法
JP2689198B2 (ja) クリープ強度に優れたマルテンサイト系耐熱鋼
JP3418884B2 (ja) 高Crフェライト系耐熱鋼
JP3196587B2 (ja) 高Crフェライト系耐熱鋼
JP3301284B2 (ja) 高Crフェライト系耐熱鋼
JP3367216B2 (ja) 高Crフェライト系耐熱鋼
JP2002241903A (ja) 高Crフェライト系耐熱鋼材
JPS6013056A (ja) マルテンサイト系耐熱鋼

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040210

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040223

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080312

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090312

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100312

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100312

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110312

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120312

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130312

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130312

Year of fee payment: 9

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130312

Year of fee payment: 9

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140312

Year of fee payment: 10

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees