JP3367216B2 - 高Crフェライト系耐熱鋼 - Google Patents

高Crフェライト系耐熱鋼

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JP3367216B2
JP3367216B2 JP22434894A JP22434894A JP3367216B2 JP 3367216 B2 JP3367216 B2 JP 3367216B2 JP 22434894 A JP22434894 A JP 22434894A JP 22434894 A JP22434894 A JP 22434894A JP 3367216 B2 JP3367216 B2 JP 3367216B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、高Crフェライト系耐熱
鋼に関し、より詳しくは、ボイラ、原子力、化学工業な
どの広い産業分野で使用される高温耐熱耐圧部材、具体
的には、鋼管、圧力容器用鋼板、タービン用材料として
使用して好適な、耐水蒸気酸化性と長時間クリープ強度
に優れた高Crフェライト系耐熱鋼に関する。 【0002】 【従来の技術】ボイラ、原子力、化学工業用等の高温耐
熱耐圧部材に使用される耐熱鋼には、一般に、高温強
度、靭性、高温耐食性および耐酸化性等が要求される。 【0003】これらの用途には、従来、JIS-SUS321H 、
同SUS347H 鋼などのオーステナイト系ステンレス鋼、JI
S-STBA24(2・1/4Cr-1Mo 鋼)などの低合金鋼、さらには
JIS-STBA26(9Cr-1Mo 鋼)などの 9〜12Cr系の高Crフェ
ライト鋼が用いられてきた。 【0004】中でも、高Crフェライト鋼は、500 〜650
℃の温度域において、強度、耐食性の点で低合金鋼より
も優れており、また、オーステナイト系ステンレス鋼に
比べて安価であり、熱伝導度が高く、且つ熱膨張が小さ
いことから耐熱疲労特性やスケール剥離が起こりにく
く、さらに応力腐食割れを起こさないなどの利点がある
ため、多く使用されている。 【0005】近年、火力発電において熱効率をより一層
向上させるため、蒸気条件の高温高圧化が進められてお
り、超臨界圧条件から将来的には 650℃で 350気圧とい
うような超々臨界圧条件での操業が計画されている。こ
のような操業条件の推移に伴って、ボイラ用鋼管等に対
する要求性能もますます過酷化してきており、長時間ク
リープ強度、耐酸化性、特に耐水蒸気酸化性の観点か
ら、もはや既存の高Crフェライト鋼では十分に要求性能
を満足できない状況に至っている。 【0006】この要求に答えるには、オーステナイト系
ステンレス鋼を用いるのが適当であるが、高価で不経済
であるため、オーステナイト系ステンレス鋼に比べて安
価な高Crフェライト鋼においても、W を多く含有させた
新しい高Crフェライト鋼の適用が検討されつつある。 【0007】例えば、特開平3-097832号公報には、従来
よりも Wの含有量を高め、さらに高温耐酸化性を改善す
る観点からCuを含有させた高Cr耐熱鋼が、また、特開平
4-371551号公報および特開平4-371552号公報には、Mo/
W の適正化に加えて、Coと Bを複合添加することで高温
強度と靭性を高めた高Cr耐熱鋼が提案されている。しか
し、これらの鋼は、W を多量に含有しているので確かに
高温クリープ強度は向上するが、W はMo、Cr等と共にフ
ェライト生成元素であるため、多量添加によりδ−フェ
ライトが生成し、靭性が低下するのを避け得ないという
欠点がある。 【0008】この対策としては、マルテンサイト単相と
するのが最も効果的であり、このため、例えば、特開平
5-263196号公報等には、Cr量を低減することで、また、
特開平5-311342号公報、同5-311343号公報、同5-311344
号公報、同5-311345号公報、同5-311346号公報等には、
オーステナイト生成元素であるNi、Cu、Co等を多量添加
することで靭性改善を図った鋼が提案されている。 【0009】しかし、前者の特開平5-263196号公報に提
案された鋼は、Cr主体のスケール中にMoが混入して緻密
なスケール構造を維持できないため、耐水蒸気酸化性が
劣り、また、後者の特開平5-311342号公報等に提案され
た鋼は、Ni、Cuを多量に含有するため、鋼の Ac1変態点
および Ac3変態点を低下させることから、焼きもどし軟
化抵抗が小さくなって、かえって長時間強度が低下する
一方、これらの元素の多量添加は、Cr2O3 を主体とする
酸化物の構造を変化させ、耐水蒸気酸化性も劣化すると
いう欠点を有している。 【0010】このように、高温高圧の超々臨界圧条件下
における高温長時間クリープ強度、靭性、耐食性および
耐水蒸気酸化性のすべての特性を満足する高Crフェライ
ト系耐熱鋼は今だに見あたらない。 【0011】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
の実状に鑑み、高温長時間クリープ強度、靭性、高温耐
食性および耐水蒸気酸化性、中でも特に、耐水蒸気酸化
性と高温長時間クリープ強度に優れた新規な高Crフェラ
イト系耐熱鋼を提供することにある。 【0012】 【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、次の高
Crフェライト系耐熱鋼にある。 【0013】重量%で、C:0.02〜0.15%、Si:0.01〜1.0
%、Mn:0.05〜1.5%、Cr:8.0〜13.0%、W: 2.5〜4.0
%、V:0.10〜0.50%、Ta:0.01〜0.50%、Co:2.5〜8.0
%、sol-Al:0.001〜0.050 %、N: 0.010〜0.12%、B: 0
〜0.030 %、Ni:0〜1.5 %、Ti:0〜0.15%、Zr:0〜0.30
、Hf:0〜0.60%、Ca:0〜0.010 %、Mg:0〜0.010 %を
含み、残部Feおよび不可避的不純物からなり、不純物中
のMo、P 、S がそれぞれ0.20%以下、0.030 %以下、0.
015 %以下であることを特徴とする耐水蒸気酸化性と長
時間クリープ強度に優れた高Crフェライト系耐熱鋼。 【0014】上記の鋼においては、Ti、ZrおよびHf、Ca
およびMg、ならびに BおよびNiは、いずれも無添加でも
よい。 【0015】Ti、ZrおよびHfのうちの1種または2種以
上を含有させる場合はいずれの元素も 0.005%以上とす
ること、CaおよびMgの1種または2種を含有させる場合
はいずれの元素も0.0005%以上とすること、B を含有さ
せる場合は0.0005%以上とすること、Niを含有させる場
合は0.10%以上とすること、がそれぞれ望ましい。 【0016】本発明者らは、高Crフェライト系耐熱鋼の
高温長時間クリープ強度、靭性および耐水蒸気酸化性
が、鋼の化学成分およびミクロ組織とどの様に対応して
いるのか詳細に検討した結果、以下のような知見を得、
本発明をなした。 【0017】本発明の技術的な新知見および本発明鋼の
設計は、次の〜の技術思想に基づく。 【0018】高Crフェライト系耐熱鋼の 600℃以上に
おける10万時間までの長時間側クリープ強度の向上は、
Fe7W6 型(Cr、Moを含有する場合には、例えば、Fe55Cr
22(Mo、W )23の組成になる)のμ相を主体とする金属
間化合物が粒内に微細分散析出した組織とすることによ
り確保できる。 【0019】上記μ相が粒内に微細分散析出した組織
は、W の単独添加での強化、もしくはMoとの複合添加の
場合でも従来よりもMoを低減して主としてW で強化する
ことで達成できる。すなわち、Moの場合には、旧オース
テナイト粒界やマルテンサイトラス界面に局所的なμ相
の析出が生じるため、長時間加熱で凝集粗大化し易く、
靭性が低下するのに対し、W の場合には、Moに比べて拡
散速度が遅く、μ相析出が旧オーステナイト粒界やマル
テンサイトラス界面にはほとんど生じないため、凝集粗
大化も抑制され、μ相起因の靭性劣化が生じない。 【0020】Taは、Nbと同様に、それ自身炭窒化物を
形成し、高応力での短時間クリープ強度の向上に寄与す
る。また、Nbはそれ自身μ相に固溶してμ相析出を促進
するとともに、Moの場合と同様に拡散速度が速いためμ
相の析出遅延効果がないのに対し、Taは拡散速度が遅
く、μ相の析出を遅延させて長時間クリープ強度をも向
上させることから、これを必須成分として含有させる。 【0021】水蒸気酸化の抑制は、Cr酸化物主体のス
ケール構造である場合が基本とされるが、特に、Moがス
ケール中に混入すると、コランダム型の緻密な Cr2O3
体のスケールからスピネル型の脆いスケールへと変化
し、耐水蒸気酸化特性が著しく劣化するので、Moは無添
加、もしくは含有する場合にあってはその含有量を極力
少なくする必要があるのに対し、W はCr、Fe等との複合
酸化物を形成しても水蒸気酸化特性を劣化させることが
ないから、W の単独添加の方が耐水蒸気酸化性を向上さ
せることができる。 【0022】 【作用】以下、本発明の各合金成分の限定理由について
説明する。 【0023】C :0.02〜0.15% C は、MC[炭窒化物 M(C 、N )として形成される場合
もある。なお、M は合金元素を指し、以下同じ]、M
7C3、M23C6 型の炭化物を形成して、本発明鋼の性能に
大きく影響する元素である。本発明の高Crフェライト系
耐熱鋼は、通常、焼きならし(ノルマ)+焼きもどし
(テンパ)処理によって焼きもどしマルテンサイト組織
を得て使用されるが、その熱処理段階での炭化物の析出
状況により短時間のクリープ強度が決定され、さらに、
長時間使用加熱中には、VCや TaC等の微細な炭化物の析
出も進行し、長時間側のクリープ強度の向上に寄与する
ことになる。しかし、この析出強化の効果を得るために
は0.02%以上が必要であり、一方、0.15%を超えると使
用初期段階から炭化物の凝集粗大化を招き、逆に長時間
側のクリープ強度の低下を招くことから、C 含有量は0.
02〜0.15%とした。好ましくは、0.06〜0.12%である。 【0024】Si:0.01〜1.0% Siは、溶鋼の脱酸剤として、また高温における耐水蒸気
酸化性を向上させるのに有効な元素であるが、多量の添
加は靭性劣化を招くことから、これまで0.01〜1.0 %の
範囲で添加されてきた。よって、本発明においても、0.
01〜1.0 %とした。 【0025】Mn:0.05〜1.5 % Mnは、溶鋼の脱酸剤および脱硫剤として添加するが、高
応力での短時間クリープ強度を向上させるのに有効な元
素である。しかし、その効果を得るためには0.05%以上
が必要であり、一方、1.5 %を超えると靭性を劣化させ
ることから、Mn含有量は0.05〜1.5 %とした。好ましく
は、0.10〜1.0 %である。 【0026】Cr:8.0 〜13.0% Crは、炭化物を形成してクリープ強度を向上させるとと
もに、Cr主体の緻密な酸化皮膜を形成し、本発明鋼の高
温における耐食性や耐酸化性、特に耐水蒸気酸化性の維
持に大きく寄与する元素である。しかし、その効果を得
るためには 8.0%以上が必要であり、一方、13.0%を超
えるとδ−フェライトの生成を促進し、靭性劣化を招く
ことから、Cr含有量は 8.0〜13.0%とした。好ましく
は、9.0 〜12.0%である。 【0027】W : 2.5〜4.0 % W は、本発明鋼の主要な強化元素の一つで、高温使用中
にFe7W6 型のμ相を主体とする金属間化合物として粒内
に微細分散析出し、長時間クリープ強度の向上に寄与す
るとともに、Cr炭化物中にも一部固溶して炭化物の凝
集、粗大化を抑制し、強度の維持に寄与する元素であ
る。しかし、その効果を得るためには 2.5%以上が必要
であり、一方、4.0 %を超えるとδ−フェライトの生成
を促進し、靭性劣化を招くことから、W 含有量は 2.5〜
4.0 %とした。好ましくは、2.5 〜3.5 %である。 【0028】Mo:上限0.20% Moは、従来鋼では主たる強化元素として添加されてお
り、W との複合添加で固溶強化および析出強化に寄与す
るとされてきた。しかし、本発明者らの詳細な実験研究
の結果、不純物量であっても、その含有量が0.20%を超
えると、耐水蒸気酸化性を著しく劣化させることから、
その上限を0.20%以下とした 【0029】V :0.10〜0.50% V は、微細な炭窒化物を形成してクリープ強度の向上に
寄与する元素である。 【0030】しかし、その効果を得るためには0.10%以
上が必要であり、一方、0.50%を超えて添加してもその
効果は飽和することから、V 含有量は0.10〜0.50%とし
た。好ましくは、0.15〜0.35%である。 【0031】Ta:0.01〜0.50% Taは、窒化物および炭窒化物を形成して、強度、靭性の
向上に寄与するとともに、Fe7W6 型のμ相の析出を遅延
させて高温長時間側のクリープ強度を向上させる元素で
ある。しかし、その効果を得るためには0.01%以上が必
要であり、一方、0.50%を超えると粗大な窒化物を形成
して、逆に靭性の低下を招くことから、Ta含有量は0.01
〜0.50%とした。好ましくは、0.10〜0.40%である。 【0032】Co: 2.5〜8.0 % Coは、本発明鋼においてFe7W6 型のμ相の析出を促進
し、クリープ強度向上に寄与するとともに、オーステナ
イト生成元素であってマルテンサイト組織の安定化にも
寄与する元素である。しかし、その効果を得るためには
2.5%以上が必要であり、一方、8.0 %を超えると鋼の
Ac1変態点の低下が著しくなり、逆に強度低下を招くこ
とから、Co含有量は 2.5〜8.0 %とした。好ましくは、
3.0 〜 6.0%である。 【0033】sol-Al: 0.001〜0.050 % Alは、溶鋼の脱酸剤として添加する。しかし、その効果
を得るためにはsol-Al含有量で 0.001%以上が必要であ
り、一方、sol-Al含有量で 0.050%を超えるとクリープ
強度の低下を招くことから、sol-Al含有量は 0.001〜0.
050 %とした。 【0034】好ましくは、0.01〜0.03%である。 【0035】N :0.01〜0.12% N は、窒化物および炭窒化物を形成してクリープ強度、
靭性の向上に寄与する元素である。しかし、その効果を
得るためには0.01%以上が必要であり、一方、0.12%を
超えると窒化物の粗大化が進行し、逆に著しい靭性低下
を招くので、 N含有量は0.01〜0.12%とした。好ましく
は、0.04〜0.08%である。 【0036】S 、P :上限は、それぞれ、0.015 %、0.
030 % S およびP は、不可避不純物として鋼中に含有され、熱
間加工性、溶接部靭性等に悪影響を及ぼす元素であり、
熱間加工性、溶接部靭性等を確保する点からは極力低い
方が望ましいが、それぞれ 0.015%以下、0.030 %以下
であれば本発明鋼の性能に直接影響しないことから、そ
の上限は、それぞれ 0.015%以下、0.030 %以下とし
た。 【0037】本発明鋼では、上記成分に加えてさらに、
次の B、Niを選んで含有させてもよい。 【0038】B :上限 0.030% B は、微量を含有させると、M23C6 型炭化物を微細分散
析出させ、高温長時間側のクリープ強度向上に寄与する
とともに、厚肉材などで熱処理後の冷却が遅い場合に焼
きいれ性を高めて鋼の高温強度を確保する作用を有する
ことから、高温強度を高める目的で含有させることがで
きる。その効果は、含有量が0.0005%以上で顕著となる
ので、含有させる場合は、0.0005%以上とするのが望ま
しい。しかし、0.030 %を超えると粗大な析出物を形成
して靭性を劣化させることから、上限は0.030 %とし
た。 【0039】Ni:上限1.50% Niは、オーステナイト生成元素としてCoと同様な作用を
有し、またマルテンサイト組織を強靭にして靭性を向上
させる作用を有することから、クリープ強度と靭性の向
上および組織のより一層の安定化を図るために添加でき
る。その効果は、含有量が0.10%以上で得られるので、
含有させる場合は0.10%以上とするのが望ましい。しか
し、1.50%を超えると鋼の Ac1変態点を著しく低下さ
せ、強度低下を招くことから、上限は1.50%とした。 【0040】本発明鋼では、加えてさらに、次のように
Ti、ZrおよびHfのうちの1種または2種以上を選んで含
有させてもよい。 【0041】Ti、Zr、Hf:上限は、それぞれ、0.15%、
0.30%、0.60% Ti、Zr、Hfは、いずれも強力な炭窒化物生成元素であ
り、微量添加によって特に組織の微細化を通して強度、
靭性を向上させる作用を有することから、これらの効果
を特に得たい場合には、必要に応じてTi、ZrおよびHfの
うちの1種または2種以上を選んで含有させることがで
きる。その効果は、いずれも含有量が0.005 %以上で得
られるので、含有させる場合は、いずれも 0.005%以上
とするのが望ましい。しかし、Tiの場合は0.15%超、Zr
の場合は0.30%超、Hfの場合は0.60%超の多量添加では
粗大な窒化物を形成し、逆に靭性を急激に劣化するた
め、その上限は、それぞれ0.15%、0.30%、0.60%とし
た。 【0042】本発明鋼では、加えてさらに、次のCaまた
は/およびMgを選んで含有させてもよい。 【0043】Ca、Mg:上限は、いずれも、0.010 % Ca、Mgは、鋼の熱間加工性を向上させる作用を有する元
素であり、熱間加工性の向上を目的とする場合に含有さ
せることができる。その効果は、いずれも含有量が0.00
05%以上で得られるので、Caまたは/およびMgを含有さ
せる場合は、いずれも0.0005%以上とするのが望まし
い。しかし、いずれもその含有量が 0.010%を超えると
介在物の粗大化を招き、逆に加工性、靭性を損なうた
め、その上限は、いずれも 0.010%とした。 【0044】 【実施例】表1および表2に示す化学組成を有する41種
の各鋼(No.1〜4 は従来鋼、No.5〜20は比較鋼、 No.21
〜41は本発明鋼)を50kg真空誘導溶解炉にて溶製して 1
44mmφインゴットをそれぞれ作製し、得られたインゴッ
トを熱間鍛造、熱間圧延して20mm厚さの板材とし、これ
らの板材から各種の試験片を採取した。 【0045】なお、表1中、No.1〜4 は従来の高Crフェ
ライト系耐熱鋼であり、No.1はJIS-STBA26、No.2は火ST
BA27(火力原子力技術協会規格)、No.3はASTM-A213-T9
1 、No.4はDIN-X20CrMoWV121に規定の鋼である。 【0046】 【表1】【0047】 【表2】 【0048】各種試験に先立ち、No.1およびNo.2の鋼に
ついては、通常、これらの鋼に施される 950℃×1時間
→AC(空冷)の焼きならし処理の後、750 ℃×1時間→
ACの焼きもどし処理を行い、その他の鋼については1050
℃×1時間→ACの焼きならし処理後、780 ℃×1時間→
ACの焼きもどし処理を行って各種試験に供し、次に示す
条件の各方法で高温強度、クリープ強度、靭性および耐
水蒸気酸化性を調査した。 【0049】〔高温引張試験〕 試験温度: 650 ℃ 試験片: 6.0 mmφ×GL=30mm 歪速度: 1.0x10-3 s-1 試験項目: 引張強さ、0.2%耐力、伸び 〔クリープ破断試験〕 試験温度: 650 ℃ 試験片: 6.0 mmφ×GL=30mm 負荷荷重: 100 MPa 試験項目: 破断時間(目標:1万時間以上) 〔シャルピー衝撃試験〕 試験温度: 0 ℃ 試験片: 10mm幅×10mm厚×55mm長−2 mmVノッチ 試験項目: 衝撃値(目標:vEo ≧50 J/cm2) 〔水蒸気酸化試験〕 試験環境: 水蒸気雰囲気 試験温度: 700 ℃ 試験時間: 1000時間 試験項目: スケール厚さ(目標:100 μm 以下) 表3および表4に、これらの試験結果を示した。 【0050】 【表3】 【0051】 【表4】【0052】表3および表4に示すように、No.1〜4 の
従来鋼はいずれも 650℃、100 MPaのクリープ破断試験
において、破断時間が1000時間未満で 650℃以上での高
温クリープ特性が十分でない。 【0053】No.5〜20の比較例鋼ではいずれも幾つかの
成分が本発明の範囲外であるので、中には高温クリープ
特性に優れるものもあるが、靭性あるいは耐水蒸気酸化
性が本発明の目標値に達せず、全ての特性を満足するも
のはない。 【0054】No. 21〜41の本発明鋼はこれらの特性を同
時に全て満足しており、従来鋼では得られない高温長時
間クリープ特性に優れ、かつ靭性、耐水蒸気酸化性にも
優れた画期的な高Crフェライト系耐熱鋼が得られてい
る。 【0055】 【発明の効果】本発明鋼は、ボイラ、原子力、化学工業
などの広い産業分野で使用される高温耐熱、耐圧部材、
例えば鋼管、圧力容器用鋼板、タービン用材料として使
用される耐水蒸気酸化性並びに長時間クリープ特性の優
れた高Crフェライト系耐熱鋼が得られる。したがって、
本発明が斯界に与える利益は極めて大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−216513(JP,A) 特開 平7−34202(JP,A) 特開 平6−65690(JP,A) 特開 平5−311346(JP,A) 特開 平5−311344(JP,A) 特開 平5−311343(JP,A) 特開 平4−147948(JP,A) 特開 平2−290950(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/60

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】重量%で、C:0.02〜0.15%、Si:0.01〜1.0
    %、Mn:0.05〜1.5%、Cr:8.0〜13.0%、W: 2.5〜4.0
    %、V:0.10〜0.50%、Ta:0.01〜0.50%、Co:2.5〜8.0
    %、sol-Al:0.001〜0.050 %、N: 0.010〜0.12%、B: 0
    〜0.030 %、Ni:0〜1.5 %、Ti:0〜0.15%、Zr:0〜0.30
    、Hf:0〜0.60%、Ca:0〜0.010 %、Mg:0〜0.010 %を
    含み、残部Feおよび不可避的不純物からなり、不純物中
    のMo、P 、S がそれぞれ0.20%以下、0.030 %以下、0.
    015 %以下であることを特徴とする耐水蒸気酸化性と長
    時間クリープ強度に優れた高Crフェライト系耐熱鋼。
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