JP4561834B2 - 低合金鋼 - Google Patents

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Description

本発明は、高温クリープ特性および靱性に優れた低合金鋼に関する。本発明の低合金鋼は、主に発電用ボイラ、タービン、原子力発電設備、化学工業用装置などの高温で使用する設備や機器の耐熱構造部材として適している。
発電用ボイラ、タービン、原子力発電設備、化学工業用装置などは、高温、高圧下で長時間使用される。従って、これらの装置に使用される耐熱材料には、一般に高温における強度、耐食性、耐酸化性および常温での靱性等に優れていることが要求される。これらの用途には、従来、オーステナイト系ステンレス鋼(例えば、JISのSUS321H、SUS347Hの鋼)、低合金鋼(例えば、JISのSTBA24の鋼、即ち、2.25Cr−1Mo鋼)、さらには9〜12Cr系の高Crフェライト鋼(例えば、JISのSTBA26の鋼、即ち、9Cr−1Mo鋼、STBA28の鋼、即ち、改良9Cr−1Mo鋼)などが用いられてきた。
近年、火力発電プラントにおいては、地球温暖化防止のためにCO等の排出量を削減しようとしている。そのためには、熱効率の向上が必須であり、ボイラでは蒸気条件を高温高圧化(例えば、600℃を超える温度で300気圧)した新型プラントが建設されている。一方では、高度成長期に多数建設された既設プラントが順次計画寿命を迎え、新型プラントに更新するか、あるいは部分補修によって延命を図るかが、大きな社会問題になりつつある。これは、我が国のエネルギー政策にも関わる問題である。
一方、国内外からの規制緩和の要請を受けて、電力事業においても自由化が進み、電力関係以外の企業から当該分野への進出が可能になっている。その結果、価格競争が激しくなり、発電プラントでも従来以上に経済性が重視されるようになってきた。
上記のような背景の下に、発電プラントのコスト削減の一つの方法として、プラントで使用される耐熱構造部材をより高強度化して鋼材使用量を削減することが指向され、そのような要求に応えられる高強度材の開発が進められている。
500℃程度までの比較的低温域では、従来はJISのSTBA22の鋼(1Cr−0.5Mo鋼)、STBA23の鋼(1.25Cr−0.5Mo鋼)および前記のSTBA24の鋼(2.25Cr-1Mo鋼)などのCr−Mo系低合金鋼が広く使用されてきた。さらに高温強度を高めるためにMoの一部をWで置換した鋼も、例えば特許文献1に開示されている。また、Coを添加して焼入れ性を高めた鋼が特許文献2に開示されている。
上記のような新しい鋼においては、WやCoによって高温での軟化抵抗が改善され、特に500℃以上でのクリープ強度は、従来の汎用鋼に比べて飛躍的に向上している。しかし、高強度化したために、靱性の劣化および長時間クリープ延性(伸び、絞り)の低下が顕著になるという問題がある。
特許文献3および4には、靱性劣化を防ぎ、さらに耐再熱割れ性を向上させた鋼として、Cr−Mo鋼に極微量のTiを添加し、かつ窒素の含有量を極微量に抑えた鋼が開示されている。その鋼では、靱性は改善されるが、高いクリープ強度とクリープ延性の両立は達成されていない。さらに、溶接施工後のSR処理を繰り返す部位においては、再熱割れに加えて再熱軟化によりクリープ強度が著しく低下する場合がある。
特許文献5には、特定大きさの析出物の存在密度を規制したことを特徴とする低・中Cr系耐熱鋼が開示されている。この鋼は、クリープ強度の高いものであるが、必ずしも長時間クリープ延性や耐再熱軟化特性に配慮した成分設計がなされているわけではない。
また、特許文献6には、Cr含有量が0.40〜1.50%の低合金鋼が開示されている。しかし、その鋼はCr含有量が少なすぎるために、500℃を超える温度域では高温腐食に対する抵抗が必ずしも十分ではなく、使用温度が限られる。
特開平8−134584号公報 特開平9−268343号公報 特開平8−144010号公報 特開2001−234276号公報 特開2001−342549号公報 特開2004−107719号公報
本発明の目的は、発電プラント等で、従来500℃程度までの温度域において使用されていた耐熱構造部材用の低合金鋼を改良して、高温長時間クリープ延性および焼戻し軟化抵抗を大きく向上させ、550℃程度までの温度域でも使用できる鋼を提供することにある。
本発明者は、種々の耐熱用低合金鋼のクリープ変形特性、即ち、クリープ強度およびクリープ延性、ならびに再熱軟化特性について、材料の化学組成および金属組織(ミクロ組織)との関係を詳細に調べた。その結果、下記の新しい知見を得た。
(a) Cr−Mo鋼では、Moの一部をWで置換した場合、炭化物がより長時間安定になって、クリープ強度が高くなるが、靱性およびクリープ延性は逆に著しく低下する。なお、炭化物は、例えばMC、M、M23、MCの形である。MはFeとCrが主体でMoとW等が若干量固溶している。Cr量の増加とともにMCからM、M23、MCへと変化する。
(b) Cr−Mo鋼にCoを添加すると、Co量の増加とともに焼入れ性は飛躍的に向上するが、Coの多量添加もWと同様にクリープ脆化感受性を高める。
(c) 一方、Cr−Mo鋼にV、Nb等を添加すると、MC炭化物(MはV、Nbが主体で一部Moが固溶する)が微細に分散析出し、Mo単独添加の場合よりも顕著な析出強化作用が得られて高温クリープ強度が向上する。しかし、やはりクリープ脆化感受性が著しく増大する。
(d) Cr−Mo鋼へのBの添加は、焼入れ性を高めて強度、靱性の向上に有効である。このことは既知であるが、本発明者の調査により、過剰のBの添加によって靱性が著しく低下することが明らかになった。
(e) 本発明者のさらなる研究の結果、B、N、SおよびO(酸素)のそれぞれの含有量を適正化し、かつ後述の(1)式で表されるBSOの値を0.0001〜0.010とすることでクリープ延性と再熱軟化抵抗がともに飛躍的に向上することが判明した。また、例えばWやBの多量添加も可能になることも分かった。
本発明は、上記の知見を基礎としてなされたもので、下記の低合金鋼を要旨とする。
(1)質量%で、C:0.03〜0.10%、Si:0.30%以下、Mn:1.0%以下、Cr:1.5%を超えて2.5%まで、Mo:0.01〜1.0%、V:0.04〜0.30%、Nb:0.001〜0.10%、Ti:0.001〜0.020%、B:0.0001〜0.020%、Al:0.001〜0.01%、Nd:0.0001〜0.050%、残部がFeと不純物からなり、不純物の中のPは0.020%以下、Sは0.003%以下、Nは0.0050%未満、O(酸素)は0.0050%以下であり、かつ、下記の(1)式で表されるBSOの値が0.0001〜0.010であることを特徴とする低合金鋼。
BSO=B−(11/14)N−(11/32)S−(11/16)O ・・・・・(1)
ただし、(1)式の元素記号は各元素の含有量(質量%)である。
(2)Feの一部に代えて、2.0質量%以下のWをさらに含有する上記(1)の低合金鋼。
(3)Feの一部に代えて、それぞれ0.50質量%以下のCu、NiおよびCoのうちの1種以上をさらに含有する上記(1)または(2)の低合金鋼。
(4)Feの一部に代えて、0.005質量%以下のMg、0.005質量%以下のCa、0.02質量%以下のLa、0.02質量%以下のCe、0.05質量%以下のY、0.05質量%以下のSmおよび0.05質量%以下のPrのうちの1種以上をさらに含有する上記(1)から(3)までのいずれかの低合金鋼。
以下、本発明の低合金鋼の各成分の作用効果と含有量の限定理由を説明する。なお、以下の記載において成分含有量の「%」は「質量%」を意味する。
C:0.03〜0.10%
Cは、オーステナイト安定化元素であり、Cr−Mo鋼の基本母相組織であるベイナイト組織(下部ベイナイト組織)またはマルテンサイト組織を安定化させるとともに、種々の炭化物を形成して高強度化に寄与する。C含有量が0.03%未満では炭化物の析出が少なく、十分な強度が得られない。一方、C含有量が0.10%を超えると、鋼が著しく硬化して溶接性や加工性が低下してしまう。C含有量のより好ましい下限と上限は、それぞれ0.04%および0.08%である。
Si:0.30%以下
Siは、製鋼工程で脱酸剤として使用され、鋼中に不可避的に残留する。従来、Siは耐酸化性の確保に必要な成分として耐熱構造部材用の鋼には積極的に添加されていた。しかし、本発明者の研究によれば、不純物として含有されるSiが少なければ、クリープ脆化のみならず再熱脆化および再熱割れ感受性をも小さくする効果が得られることが判明した。Si含有量を0.30%以下に抑えるとその効果が顕著になる。また、Si含有量を0.30%以下に抑えても、Crで酸素を補えるので、耐酸化性への悪影響はない。以上の理由からSi含有量は0.30%以下とした。一層望ましいのは0.15%以下である。
Mn:1.0%以下
Mnは、Cと同じくオーステナイト安定化元素であり、ベイナイト組織の安定化に重要である。しかし、Mnの多量添加は、鋼のAc変態点を低下させ、また再熱脆化をもたらす。従って、Mn含有量は1.0%以下とした。0.30%以下とすればさらにクリープ延性が向上する。なお、Mn含有量の下限は、通常の不純物のレベルでよい。
Cr:1.5%を超えて2.5%まで
Crは、低炭素系ベイナイト母相組織の安定化に不可欠である。この効果を得るために、その含有量を1.5%を超える量とする。より好ましいCr含有量の下限は1.6%を超える量である。一方、Cr含有量が2.5%を超えると、M型やM23型の炭化物の析出が著しく増加してクリープ強度が低下する。
Mo:0.01〜1.0%
Moは、固溶強化元素であるとともにM C型、M型、M23型の炭化物の安定化に寄与し、さらにはMoCを形成するとともにMC型炭化物の安定化にも寄与し、クリープ強度を向上させる。これらの効果を得るため、Mo含有量は0.01%以上とする。しかし、過剰に添加するとベイナイトまたはマルテンサイトの母相が不安定になるので、その含有量の上限は1.0%とする。
V:0.04〜0.30%
Vは、後述のNbとともにMC型炭化物を形成してクリープ強度の向上に顕著に寄与するので、0.04%以上含有させる。しかし、過剰な添加は長時間クリープ延性を著しく低下させるため、V含有量の上限は0.30%とする。
Nb:0.001〜0.10%
Nbは、Vと同様に微細な炭化物を形成して高強度化に寄与する。この効果を得るためにその含有量は0.001%以上とする。一方、Nb含有量が0.10%を超えると過剰な炭窒化物によって靱性が損なわれる。より好ましいNb含有量の下限と上限は、それぞれ0.020%および0.060%である。
Ti:0.001〜0.020%
Tiは、微細な炭化物を形成して高強度化に寄与する。従って、0.001%以上を含有させる。特にクリープ延性の向上や再熱時の脆化および割れの抑制に効果があるので、0.010%以上を含有させるのが望ましい。しかし、過剰な添加は靱性に悪影響を及ぼすので、上限は0.020%とする。
B:0.0001〜0.020%
Bは、焼入れ性の向上に有効である。この効果は含有量を0.0001%以上とすることで奏される。一方、Bの多量添加は靱性に悪影響を及ぼすので、B含有量の上限は0.020%とするべきである。上限として望ましいのは0.015%、さらに望ましいのは0.012%である。なお、B含有量は、前述の(1)式で表されるBSOの値が0.0001〜0.010となるように定める必要がある。
Nd:0.0001〜0.050%
Ndは、長時間クリープ延性を向上させる元素である。この効果を得るためにはNd含有量を0.0001%以上とすることが必要である。しかし、過剰なNdは、靱性に好ましくない粗大な介在物を形成するので、Nd含有量の上限は0.050%とする。より望ましいNd含有量は0.010%を超えて0.050%までである。
Al:0.001〜0.01%
Alは、鋼の脱酸剤として重要な元素である。脱酸の効果を得るためにAl含有量を0.001%以上とする必要がある。一方、本発明が意図する強度と靱性の両立に対してはAlの含有量が0.01%を超えることは好ましくない。
本発明の低合金鋼の一つは、上記の各成分のほか、残部がFeと不純物からなる鋼である。ただし、不純物中のP、S、NおよびO(酸素)は、下記のように抑制する必要がある。
P:0.020%以下、S:0.003%以下、O:0.0050%以下
これらの元素は、鋼の靱性を劣化させる好ましくない不純物である。それぞれ上記の上限値以下とし、できるだけ少なくするのが望ましい。
N:0.0050%未満
Nは、固溶強化元素であるとともに炭窒化物を形成して高温強度に寄与する場合があるが、本発明では特にクリープ強度と靱性の両立、さらにクリープ延性の向上を図るために、その含有量を0.0050%未満に抑えることとした。さらに、前記の(1)式で表されるBSOの値が0.0001〜0.010となるように、N含有量も調整する必要がある。
BSO:0.0001〜0.010
BSOは、前記のとおり下記の(1)式で表される。その値を0.0001〜0.010とすることは、クリープ延性と再熱軟化抵抗の向上に必要である。
BSO=B−(11/14)N−(11/32)S−(11/16)O ・・・・・(1)
このBSOの技術的な意味は、本発明鋼を高温で使用する際の炭窒化物の粗大化防止や粒界脆化を抑制するのに有効なB量を確保するところにある。BSOの値が0.0001より小さいと、有効なB量が確保されず、一方、0.010より大きいと、靱性に有害な粗大介在物が形成される。従って、BSOの値は0.0001〜0.010とした。より好ましいBSOの下限は0.001である。
本発明の低合金鋼の他の一つは、前記の成分に加えて、さらにW、Cu、Ni、Co、Mg、Ca、La、Ce、Y、SmおよびPrの中から選んだ1種以上の成分を含有する鋼である。これらの成分の作用効果と、含有量の限定理由を以下に述べる。
W:2.0%以下
Wは、高温長時間クリープ強度をさらに向上させたいときに添加する。先に述べたように、従来、Wの多量添加は再熱脆化を招き割れ感受性を高めるとされていたが、BSO値を0.0001〜0.010の範囲とした鋼では、2.0%までのWを含有させても上記の弊害はなくなる。Wはまたクリープ延性の向上にも寄与する。これらの効果を確実にするには、0.20%以上の含有が望ましい。
Cu、Ni、Co:それぞれ0.50%以下
これらの元素は、いずれもオーステナイト安定化元素であり、ベイナイトまたはマルテンサイト組織の安定化に寄与する。この効果を確実にするにはそれぞれ0.01%以上の含有量が望ましい。しかし、それぞれ0.50%を超えると、鋼が高強度になりすぎて過度の軟化熱処理等が必要になる場合がある。従って、これらの成分を添加する場合、それぞれの含有量は0.50%までにとどめるべきである。
Mg、Ca:それぞれ0.005%以下、La、Ce:それぞれ0.02%以下、Y、Sm、Pr:それぞれ0.05%以下
これらの元素は、鋼の鋳造時の凝固割れを防止する効果を有するので、必要に応じて含有させる。いずれも上記の上限値を超えると、靱性に悪影響を及ぼす。なお、添加の効果を確実にするには、いずれも0.0001%以上の含有量とするのが望ましい。
本発明の鋼は、管や板等に加工した後、「焼ならし−焼戻し」の熱処理を施して使用される。この熱処理後の組織は焼戻しベイナイトまたは焼戻しマルテンサイトを主体とする組織である。
以下、実施例によって本発明の効果を具体的に説明する。
表1に示す化学組成の鋼を各々150kg、真空誘導溶解炉で溶解し、造塊し、次いで熱間鍛造によって厚さ25mm×幅100mmの板状の試験材にした。その後、焼ならし処理として、950℃で1時間保持した後に水冷し、焼戻し温度を720〜760℃の範囲で変化させて1時間加熱保持した後、空冷した。いずれの鋼も焼戻しベイナイト組織、または焼戻しマルテンサイト組織となった。
上記の熱処理後の試験材の一部については、さらに730℃で10時間再加熱して硬さの変化を調べ、再熱軟化抵抗を評価した。
得られた試験材から、直径6mm、GL30mmのクリープ破断試験片と、10mm×10mm×5mmの2Vノッチ付きシャルピー試験片を切り出した。クリープ破断試験は、温度550℃、負荷応力200MPaの条件で実施し、シャルピー衝撃試験は、−60℃〜60℃の温度範囲で実施した。これらの試験結果を表2に示す。
表2において、「靱性」の欄の◎はvTrsが−40℃より低温、○はvTrsが−40℃から−20℃までの範囲、△はvTrsが−20℃を超えて0℃までの範囲、×はvTrsが0℃よりも高温であることを示す。また、「耐再熱軟化抵抗」の欄では、上記の再加熱(730℃で10時間の加熱)で、○がビッカース硬さ(Hv)の低下が20%未満、×は20%以上であることを示す。
Figure 0004561834
Figure 0004561834
表2に示すとおり、No.1〜22の本発明鋼のクリープ破断時間は、すべて10,000時間を超え、従来鋼(No.51〜54)に勝っている。また、靱性においてもvTrsが−20℃以下と、きわめて良好である。
一方、No.30〜37の比較鋼は、本発明で定める組成範囲をはずれるか、または(1)式で表されるBSOの値が0.0001〜0.010の範囲外の鋼である。これらは、クリープ破断絞りと耐再熱軟化抵抗性が本発明鋼と比べて劣っており、さらに靱性もよくない。
本発明の鋼は、550℃程度までの高温域で使用され、長時間クリープ延性、再熱軟化抵抗性および靱性に優れた低合金鋼である。この鋼は、高温高圧運転を指向する発電プラント等の構造材料として有用である。

Claims (4)

  1. 質量%で、C:0.03〜0.10%、Si:0.30%以下、Mn:1.0%以下、Cr:1.5%を超えて2.5%まで、Mo:0.01〜1.0%、V:0.04〜0.30%、Nb:0.001〜0.10%、Ti:0.001〜0.020%、B:0.0001〜0.020%、Al:0.001〜0.01%、Nd:0.0001〜0.050%、残部がFeと不純物からなり、不純物の中のPは0.020%以下、Sは0.003%以下、Nは0.0050%未満、O(酸素)は0.0050%以下であり、かつ、下記の(1)式で表されるBSOの値が0.0001〜0.010であることを特徴とする低合金鋼。
    BSO=B−(11/14)N−(11/32)S−(11/16)O ・・・・・(1)
    ただし、(1)式の元素記号は各元素の含有量(質量%)である。
  2. Feの一部に代えて、2.0質量%以下のWをさらに含有する請求項1に記載の低合金鋼。
  3. Feの一部に代えて、それぞれ0.50質量%以下のCu、NiおよびCoのうちの1種以上をさらに含有する請求項1または請求項2に記載の低合金鋼。
  4. Feの一部に代えて、0.005質量%以下のMg、0.005質量%以下のCa、0.02質量%以下のLa、0.02質量%以下のCe、0.05質量%以下のY、0.05質量%以下のSmおよび0.05質量%以下のPrのうちの1種以上をさらに含有する請求項1から請求項3までのいずれかに記載の低合金鋼。
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