JPH063061B2 - タイルの支持体を有するプレキャストコンクリート板を利用した壁面 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［発明の目的］ 産業上の利用分野 本発明はプレキャストコンクリート板（以下ＰＣ板とい
う）を用いたカーテンウォール等の建築物の外表面を構
成する壁に関する。

従来の技術 建築物の外壁表面仕上げとしてタイル先付けＰＣ板が一
般に使用れているのは周知の通りである。周知のように
従来のタイル先付けＰＣ板の製造方法は水平または垂直
に配置されたベット型枠に、あらかじめタイルを配列さ
せ、その裏側からコンクリートを打ち込むものである。
従って、脱型と同時にタイル仕上げが施されたコンクリ
ート板が得られる。建築現場ではこの表面にタイルを有
するＰＣ板を建築物構造体に取り付けるだけでタイルに
よる表面仕上げの壁面とすることができる。この工法は
タイルの接着強度が優れ、熟練技能を必要とする建築現
場におけるタイル張り作業を要せず、かつ、現場工程の
合理化ならびに工期の短縮を図ることができる等の優れ
た点を有する。

なお、本明細書においてタイルとは通常の壁等の表面に
張る板状のレンガ、陶磁器等の粘土焼成品のみならず、
他の材質からなり同様に壁、床等の表面に張り付ける薄
板状のものすべてを意味する。

発明が解決しようとする問題点 上記のようにタイル先付けＰＣ板工法は優れた特徴を有
するが、反面、工場でコンクリート板の表面に強固にタ
イルを取り付けるものなので、脱型後タイルにひびが入
ったり、一部が欠けたりして破損したときに、その破損
したタイルを簡単に取り代えることができないという欠
点がある。脱型時、現場への搬送時、現場での作業中な
どに主辺部のタイルが破損することが比較的多い。破損
した１個のタイルのために全体のＰＣ板を破壊するのは
極めて不経済であるので、通常は建築物の目立たない壁
面にその破損したタイルを有するＰＣ板を使用すること
でしのいでいた。

本発明はこのような欠点を改善することを目的とするも
ので、建築現場でのタイル取り付けを可能とし、必要に
応じ個々のタイルを取り代えることもできるタイルを表
面に形成させた建築物の壁面を提供することを目的とす
るものである。

［発明の構成］ 問題点を解決するための手段 本発明は、タイルを係合固定する係合条を有する支持体
をＰＣ板に予め取り付けておき、建築物構造体に取り付
けられたそのＰＣ板にタイルを取り付けるようにしたこ
とを特徴とするものである。しかもそのタイルを係合条
に取り付ける際に隣接する上段のものとは位置をずらし
て縦目地がずれるようにしたものである。したがって端
部では隣接するＰＣ板にまたがってタイルが取り付けら
れる。

作用 本発明においては、タイルはＰＣ板に取り付けた支持体
の係合条に取り付け、モルタル等の接着剤を用いないの
で、万一タイルが破損したような場合には簡単にそのタ
イルを取り外し、新しいタイルを取り付けることができ
る。

実施例 第１図は本発明実施例の支持体２を有するＰＣ板を製造
する方法の製造途中の断面図で、形枠のベッド１に支持
体２を載せるための台部３を形成させておくとともに、
支持体２の間隔を保持させるためのスペーサー４を形成
させ、台部３の上及びスペーサー４、４間に支持体２を
配置した状態である。この状態でコンクリートを打ち込
み、コンクリートを養生させてから第２図に示すように
支持体２の表面にタイル５を取り付ける。前記台部３並
びにスペーサー４は専用の型の場合はベッドにあらかじ
め形成させておいても良いが、通常これらはゴム、木、
金属、プラスチック等で成形したものをベッドに並べて
設置する。

従って、通常の工程としては、まず、型枠を清浄し、そ
の表面に剥離剤を塗布し、型枠を組み立て、台部３並び
にスペーサー４を所定の間隔でベッド上に設置し、支持
体２を定着させ、鉄筋を配置し、コンクリートを打設
し、養生させてから脱型させる。

かくして得られた支持体２を表面に有すＰＣ板６に、第
２図に示すようにタイル５を取り付ける。第２図に示す
実施例の支持体２はアルムニウム合金の形材からなるも
ので、その断面形状は平板状の主体部１０の表面にやや
斜め下方に一旦突出し、その先端が斜め上方に折れ曲が
った第１係合条１１と、この第１係合条１１から下方に
離れた位置でやや斜め下方に立ち上がり、その先端を主
体部１０に平行にされた第２係合条１２と、主体部１０
の上下両端で主体部の裏面側にほぼ直角に折り曲げられ
た端部１３，１３と、主体部１０の裏面にほぼ直角に立
上り先端を傘のように開いて形成させたアンカー部１４
とからなる形状とされている。第１係合条１１と第２係
合条１２とでタイル５を保持し、第２係合条１２とその
下に取り付けられるタイル５の上端との間に金属板等で
弾性を有するように成形された外れ止め１５が挿入され
て、その弾性力によりタイル５が支持体２に固定され
る。本実施例においては第４図に示す金属帯の中央部を
円弧状にした外れ止め１５を使用している。従って、タ
イル５の断面形状は前記支持体２の第１係合条１１並び
に第２係合条１２に係合させることができる形状とさ
れ、かつ、上端に突出部１６を有し、下端に下段のタイ
ルの突出部１６を覆う垂下部１７を有する形状とされて
いる。また、第２係合条１２の先端に上記外れ止め１５
が外れるのを防止する突起１８を形成させておくことが
望ましい。

このタイル５を支持体２に取り付けるのは、支持体の第
１及び第２係合条１１，１２にタイルの裏面を上から当
てて下ろして係合させ、タイル４の突出部１６の先端と
その上段の第２係合条１２との間に外れ止め１５を挟み
込むだけで良い。

従って、熟練を要さないので誰でもが簡単に取り付ける
ことができる。また、外れ止め１５の弾性力に抗して、
各係合部での係合が外れる位置まで上に上げれば簡単に
外すこともできる。

上記のように本実施例ではあらかじめ表面に支持体２を
有するＰＣ板を製造し、タイルを後に支持体２に取り付
ける構成としているので、脱型時にタイルが破損するこ
とがなく、また、工場でタイルを取り付け、搬送時、現
場での作業中等にタイルが一部破損した場合にはそれを
取り外し、そこに他の新しいものを取り付けることがで
きる。また、施工現場で建築構造体に取り付けたＰＣ板
にタイルを取り付けることもできる。さらに、ＰＣ板の
中央部分にタイルを工場であらかじめ取り付けておき、
周辺部にのみ施工現場で取り付けるようにしても良い。
本実施例は支持体２として幅の狭い個々のものを使用す
る構成としたのでコンクリート打設時の漏れを防ぐため
スペーサー４を必要としたが、使用状態において上下に
隣接する支持体を上下端で一部オーバーラップするよう
に重ねてスペーサー４の使用を省略することができる。
その例を示したのが第３図の支持体２０である。

この支持体２０は同様に第１、第２係合条２１、２２を
有し、かつ、タイル５が支持体２０の表面から離れるよ
うにするため間隔維支持条２３を形成させている。その
ため第２係合条２２はその途中にタイル５の裏面を支え
るための載置部２４を形成させてある。またこの実施例
の支持体２０は１本のものに２列にタイルを並べるよう
に２組の第１、第２係合条並びに間隔維持条を形成させ
てあり、しかも支持体を隙間なく並べ、その一部をオー
バーラップさせるように下段の第２係合条２５をその載
置部２６と主体部２７との間に支持体の上端部２８を差
し込むことができるように空間を形成させたものとして
いる。なお、この空間にパッキン２９を介在させて上端
部２８を差し込むと、コンクリート打設時のコンクリー
トの漏れがなくなり、さらに建築物への設置後コンクリ
ート部への雨水がしみ込むこともなくなりより好まし
い。アンカー部３０を有するのは第１図のもの同様であ
る。

この実施例のＰＣ板の他の作用は第２図のものと格別の
相違はない。

第５図に示すものはさらに他の実施例である。この実施
例の支持体３１の係合条３２は図示のように上下共に単
に上下夫々の方向に斜めに立ち上がるように形成された
ものである一方、タイル３３の裏面にはこの上下の係合
条３２を差し込むことができる蟻溝３４を有する形状と
されている。支持体３１にタイル３３を係合させるには
タイルの蟻溝３４に支持体３２の係合条３２を端部から
差し込んでスライドさせれば良い。この実施例の場合も
上下の支持体３１の上下端部を一部オーバーラップさせ
ている。この実施例はタイル３３をあらかじめ支持体３
１に取り付けて、そのタイルを取り付けた支持体をベッ
ドに敷き並べてコンクリートを打つことができる。上記
のようにスライドさせることができるので破損したタイ
ルは水平方向にスライドさせて外し、新しいものに取り
換えることができる。

第６図は支持体４０を有するＰＣ板を建築物構造体に取
り付け、その係合条に施工現場でタイルを取り付けて構
成させた壁面の一例であり、図示のように上下のタイル
３５の取付位置をずらしタイルの縦目地が連続しないよ
うにして壁面全体を馬踏模様としたものである。図にお
いて点線で示したものは４枚のＰＣ板の隅の部分であ
る。ＰＣ板は建築物構造体に各ＰＣ板の支持体が水平に
直線上に並ぶように取付けられるもので、図示のように
馬踏模様にタイルを取り付ければ、第７図、第８図に示
すように一部のタイルはＰＣ板３６、３６同士の目地部
３７、３８を跨ぐように取り付けられる。このＰＣ板同
士の目地部３７、３８にはパッキン３９を詰めることが
望ましい。

［発明の効果］ 上記のように、本発明はＰＣ板に予めタイルを取り付け
るための支持体を取り付けてあり、建築構造体に取り付
けたそのＰＣ板にタイルを取り付け固定する構造である
ので、万一タイルが破損したような場合、タイルの支持
体への係合を外せば簡単に取り替えることができ、破損
したままで使用するというようなことを一切なくすこと
ができる。従って、建築物の外観を見苦しいものとしな
くてもよく、全面に渡って破損のないタイルによる壁面
とすることができる。

また本発明壁面はタイルをずらして取り付けてあるの
で、ＰＣ板を用いた壁面においてタイルを現場張り工法
のように馬踏模様とされている。従来のタイル先付けＰ
Ｃ板の場合、タイルをずらして取り付けるには周辺のタ
イルをＰＣ板から一部突出させなければならなかったた
め、型枠の設置が困難であり、かつ無理して型枠をこし
らえて製造してもその周辺から突出した部分がすぐ破損
するので、馬踏模様とすることは実質上できなかった。
すなわち従来のタイル先付けＰＣ板を使用した場合、縦
目地が直線上に連なった壁面しか作ることができなかっ
た。

さらに本発明壁面はタイルがコンクリートと接触しない
ので、エフロレッセンスの生じる可能性が少なく、壁面
を綺麗に保つことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明製造方法の一実施例の製造途中の断面
図、第２図は本発明一実施例ＰＣ板の断面図、第３図は
他の実施例のＰＣ板の断面図、第４図は外れ止めの正面
図、第５図はさらに他の実施例のＰＣ板の断面図、第６
図は一実施例の壁面の正面図、第７図はその横断面図、
第８図は第６図の縦断面図。 １：ベッド、２：支持体、３：台部、４：スペーサー、
５：タイル、６：ＰＣ板、１０：主体部、１１：第１係
合条、１２：第２係合条、２０：支持体。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大久保 善弘 東京都港区三田３丁目13番12号 日本軽金 属株式会社内 (56)参考文献 実開 昭60−188708（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】タイルを係合固定する係合条を有する支持
   体を表面に形成させたプレキャストコンクリート板を建
   築構造体に取り付け、そのプレキャストコンクリート板
   の表面の係合条にタイルを、隣接する上段のものとその
   取付位置をずらしてタイルの縦目地が上下に連続せず
   に、かつ端部のものは隣接するプレキャストコンクリー
   ト板に渡して取り付けたことを特徴とする壁面。