JPH063029B2 - 杭基礎構造物の耐震補強工法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は地下室や基礎根入部を持たないか、基礎の根入
れが浅い構造物の杭基礎の耐震補強工法に係るものであ
る。

（従来の技術） 従来この種の構造物は第３図及び第４図に示すように、
支持地盤(a)に到達するように地盤(b)に貫入された杭
(c)上に構築されている。

（発明が解決しようとする問題点） この場合、地震水平外力Ｆを杭(c)及び構造物(A)の底面
摩擦のみで負担しなくてはならず、杭の破壊を生起した
場合、従来は新規に杭を構築して補強していた。

また杭(c)が地震水平外力Ｆに耐えるためには、杭の水
平耐力、杭本数、杭断面、杭周辺の地盤改良等、種々の
耐震要素を確保しなければならず、経済的に問題があっ
た。

（問題点を解決するための手段） 本発明はこのような問題点を解決するために提案された
ものであって、地下室や基礎根入部がないか、または基
礎根入部の浅い杭基礎によって支持された構造物の外周
地盤内に下端が支持地盤まで到達しない連続地中壁を構
築したのち、同地中壁と前記構造物の基礎梁とをスラブ
及び／または繋ぎ梁で連結し、地震時に杭に加わる水平
力を前記連続地中壁に分担せしめることを特徴とする杭
基礎構造物の耐震補強工法に係るものである。

（作用） 本発明に係る耐震補強工法においては、地下室や基礎根
入部がないか、または基礎根入部の浅い、杭基礎によっ
て支持された構造物の外周地盤内に下端が支持地盤まで
到達しない連続地中壁を構築し、連続地中壁に水平支持
力のみを負担させ、内部の杭に加わる水平力を低減さ
せ、しかるのち、同連続地中壁と前記構造物の基礎梁と
をスラブまたは繋ぎ梁、若しくはスラブと繋ぎ梁とによ
って連結するようにしたので、地震時に前記杭に加わる
水平外力が、前記スラブ及び／または繋ぎ梁を介して前
記連続地中壁に分担される。

（発明の効果） このように本発明によれば地震時に加わる水平外力の大
部分が構造物外周地盤内に構築された地中連続壁に分担
されることとなり、従って杭は殆んど鉛直支持力のみを
負担するだけでよく、杭体及び杭頭の破壊が防止され
る。

また本方法によれば構造物周囲に連続地中壁を設けて、
同地中壁を構造物の基礎梁と連結するだけで既存の杭基
礎構造物の補強が行なわれるので、構造物の外回りの杭
のみならず、構造物内側の杭も補強しなければならない
従来の既存構造物の杭基礎の補強方法に比して施工が容
易である。

（実施例） 以下本発明を図示の実施例について説明する。

第１図及び第２図に示す実施例において(1)は支持地盤
(2)に到達するまで地盤(3)内に貫入された杭で、同杭
(1)上に地下室や基礎根入部がないか、基礎根入部の浅
い構造物(A)が構築されている。

而して前記構造物(A)の外周地盤内に連続地中壁(4)を構
築し、同連続地中壁(4)と構造物(A)の基礎梁とをスラブ
(5)及び／または繋ぎ梁(6)で連結する。

なお状況に応じて前記スラブ(5)及び繋ぎ梁(6)の一方を
省略することができる。

図示の実施例は前記したように構成されているので、地
震時に構造物(A)に加わる地震水平外力Ｆは前記スラブ
(5)及び繋ぎ梁(6)を介して連続地中壁(4)に伝達され
る。

このように前記実施例によれば、地震力の大部分が連続
地中壁(4)によって負担されるので、杭(1)は殆んど鉛直
支持力のみを負担するだけでよく、杭の破壊が防止され
る。

なお、表層が軟弱地盤の場合は、前記連続地中壁(4)の
施工と併行して表層地盤を改良すると、耐震効果が得ら
れる。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は夫々本発明に係る杭基礎構造物の耐
震補強工法の一実施例の実施状況を示す縦断面図並に平
面図、第３図及び第４図は夫々従来の工法の実施状況を
示す縦断面図並に平面図である。 (A)…構造物、(1)…杭、(4)…連続地中壁、 (5)…スラブ、(6)…繋ぎ梁

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】地下室や基礎根入部がないか、または基礎
   根入部の浅い杭基礎によって支持された構造物の外周地
   盤内に下端が支持地盤まで到達しない連続地中壁を構築
   したのち、同地中壁と前記構造物の基礎梁とをスラブ及
   び／または繋ぎ梁で連結し、地震時に杭に加わる水平力
   を前記連続地中壁に分担せしめることを特徴とする杭基
   礎構造物の耐震補強工法。