JP3695550B2 - 杭支持される高層建物の構築方法 - Google Patents
杭支持される高層建物の構築方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高層建物の構築方法に係り、特に、杭で荷重を負担して高層建物の低層部と地下部は逆打ち工法で、高層部は順打ち工法で構築できる杭支持される高層建物の構築方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の高層建物の構築方法としては、例えば特公平7−88699号公報に開示されたものがある。このものは、構真柱を使用する逆打ち工法ではなく直接基礎形式により構築するもので、基礎を打設し地下鉄骨の組み立て後に、地下躯体の外郭となる外周部柱・梁・壁及び地上1階の床・梁を先行施工し、次いでその地上1階の床を作業床に利用して地下階の躯体工事と地上階の鉄骨組み立て及び躯体工事とを並行させる躯体構築法である。
【0003】
地下躯体の外郭を先行施工することにより、地上階と地下階との複層並行工事を可能にし、また、施工中の地上階に加わる風,地震等の水平力を前記地下躯体の外郭から山止め壁を通じて地盤へと伝達して、複層並行工事であっても安定かつ安全な状態を確保するとされる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の躯体構築方法にあっては、とくに重量の大きい高層部の鉛直荷重が基礎に不均一に加わり、少なからぬ基礎の不同沈下を生じるという未解決の課題がある。
【0005】
そこで本発明は、このような従来の技術の未解決の課題に着目してなされたものであり、上階の建物重量による鉛直荷重を基礎スラブ・中点杭を介して地盤に均等に分散せしめることにより基礎の不同沈下を抑制し、ひいては基礎工事のコストダウンをも可能とする杭支持される高層建物の構築方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成する本発明は、高層建物の低層部と地下部とを逆打ち工法で構築し高層部は順打ち工法で構築する構築方法であって、予め柱直下の構真杭と柱直下以外の中点杭とを設けておき、逆打ち工程では鉛直荷重を構真杭で負担する。次で、その構真杭とは縁切りして基礎スラブを構築することにより当該基礎スラブ重量を前記中点杭のみで負担し、その後の順打ち工程では前記基礎スラブと構真杭と中点杭とを一体化させることにより鉛直荷重を構真杭及び中点杭の両者により負担することを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、逆打ち工程に次いで基礎スラブコンクリートを打設する際に、その基礎スラブと構真杭との間を隙間を介して縁切りして基礎スラブ重量を中点杭のみで支持させる。これにより、基礎スラブコンクリートに十分な強度が得られる以前に大きな鉛直荷重が構真杭を介して基礎スラブに負荷されて基礎の不同沈下が発生する現象を防止する。基礎スラブコンクリートが硬化して十分な強度が得られた後に、構真杭と基礎スラブとの間の前記隙間をコンクリートで充填して基礎スラブ・構真杭・中点杭を一体化させる。したがって、その後の順打ちによる高層部の施工では、躯体重量(仮設重量を含む)を構真杭・中点杭の両者で支持することとなり、躯体重量による地盤の弾性沈下量,基礎の不同沈下量等が減少する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1〜図5は、本発明の高層建物の構築工程の一実施形態例を示したもので、図1は杭の施工と構真柱建て込み工程、図2は地下躯体と低層部躯体との逆打ち工程、図3は基礎スラブコンクリート打設工程、図4は基礎スラブと杭の一体化工程、図5は高層部躯体の順打ち工程をそれぞれ模式的に表す断面図である。
【0009】
本実施形態例の高層建物の骨組形式は、例えば地上階の低層部L及び高層部Hが鉄骨造ラーメン構造を有し、地下階は鉄骨鉄筋コンクリート造,耐震壁+ラーメン構造を有する。
【0010】
以下、図示の工程順に説明する。
▲1▼杭の施工と構真柱建て込み工程(図1):
地中、所定の深さに構真杭1と中点杭2とを構築する。構真杭1は柱3の直下位置に、また中点杭は柱3の直下位置以外の位置に、それぞれ場所打ちされる。図示の場合、構真杭1と中点杭2は先端部分の杭径を拡大した拡底杭とされており、これにより支持力を増大せしめているが、必ずしも拡底杭に限られるものではない。
【0011】
更に、各構真杭1には、地表面GLに及ぶ構真柱1Aがそれぞれ建て込みされる。これらの構真杭1,構真柱1A,中点杭2等の構築は常法通りでよい。
▲2▼逆打ち工程(図2):
いわゆる逆打ち工法で、地下躯体4と地上階の低層部Lとを構築する。すなわち、地下の根切り工事と同時に地下1階から本設地下躯体4を構築しつつこれを山留め壁6の支保工として下階へ向かって順次に根切りと躯体の構築を繰り返す。地下の掘削は、床付面7に達して終了する。一方、この地下躯体4の構築と並行して、地上躯体のうち地上階の低層部Lの本設躯体を地上1階から順に上階へ向かって構築していく。
【0012】
本発明にあっては、この逆打ち工程において地下躯体4と地上階の低層部Lとの構築が完了するまでの間、地下,地上の本設躯体の重量及び仮設体の重量による鉛直荷重を、構真柱1Aを介して構真杭1により負担する。すなわち、構真杭1のみによる鉛直荷重(軸力)負担は高層建物の全層の構築に及ぶものではない。
【0013】
▲3▼基礎スラブコンクリート打設工程(図3):
地下掘削が完了し、逆打ち工程が終了したら、床付面7の上に基礎スラブ8を構築する。これは、床付面7に基礎スラブコンクリートを所定の厚さに打設することにより施工されるが、その打設の際に構真杭1の回りに隙間9を残し、コンクリートが構真杭1まで回りこまないように構真杭1と基礎スラブ8とを縁切りする。これにより、基礎スラブ8の重量を、打設当初においては中点杭2のみで負担させるものである。その理由は、次の通りである。
【0014】
即ちコンクリートを打設した当初は基礎スラブ8は十分の強度を有しておらず、硬化後に初めて所定の強度を発現するものであるが、構真杭1と縁切りせずに基礎スラブ8を打設すると、コンクリート硬化完了以前に構築物による大きな荷重負荷が構真杭1を介して基礎スラブ8に伝達されることとなる。その結果、構真杭1に接続する部分の基礎スラブ8に強度不足の状態で大きな鉛直荷重が作用して沈下する。一方、中点杭2へ作用する荷重は基礎スラブ8自体の重量のみでさほど大きくない。従って構真杭1の近傍の基礎スラブ8の沈下量が大きくなって基礎スラブ8の不同沈下を招く。構真杭1と基礎スラブ8との前記縁切りは、硬化する以前の基礎スラブ重量を前記中点杭のみで負担して基礎スラブ8の不同沈下を防止する。
【0015】
▲4▼基礎スラブと杭との一体化工程(図4):
基礎スラブ8のコンクリートが硬化した後、基礎スラブ8と構真杭1とを縁切りしている隙間9にコンクリートを充填して、基礎スラブ8,構真杭1.中点杭2を一体化する。コンクリートが硬化した基礎スラブ8は十分の強度を発現し耐圧マットとして機能する。かくして、構真杭1に作用する鉛直荷重すなわち柱軸力は、一体化された基礎スラブ8を通じて中点杭2にも伝達され、その結果、構真杭1と中点杭2からなる基礎に作用する鉛直荷重である軸力が均等になり、不同沈下は大幅に減少する。
【0016】
▲5▼順打ち工程(図5):
基礎スラブ8と構真杭1,中点杭2とを一体化した後、地上階の高層部Hを順打ち工法で最上階へ向かって順次構築していく。
【0017】
この順打ち工程においては、仮設重量を含む躯体重量(鉛直荷重)は、基礎スラブ8を介して一体化された構真杭1及び中点杭2の両者で支持する。すなわち、既に十分な剛性と強度を備えた耐圧マットとしての基礎スラブ8を通じて、大きな鉛直荷重は基礎の構真杭1,中点杭2に円滑に伝達されて地盤に分散されるため、過大な不同沈下の発生が防止される。
【0018】
また、施工中に地上階に(特に高層部の施工中)加わる風や地震等の水平力は、地下躯体4及び基礎スラブ8から山留め壁6を介して地盤へと伝達されて分散される。
【0019】
なお、上記実施形態例の説明では、構真杭1と中点杭2とを使用する場合について説明したが、それらと連壁杭とを併用した場合にも適用できる。
【0020】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明の高層建物の構築方法によれば、予め構真杭と中点杭とを設けて地上階の低層部と地下躯体とを逆打ち工法で並行して施工するから、工期を短縮できるという効果を奏する。
【0021】
且つまた、その後、構真杭と縁切りして中点杭のみで支持しつつ基礎スラブを構築し、当該基礎スラブが硬化し十分強度を発現してから構真杭と基礎スラブとを一体化させることにより鉛直荷重を構真杭及び中点杭の両者により負担しつつ地上階の高層部を順打ち工法で施工するから、建物重量による地盤の弾性沈下量及び基礎の不同沈下量が減少できるという効果を奏する。
【0022】
また、地盤の弾性沈下量,基礎の不同沈下量が減少する結果、基礎長さの短縮,基礎スラブ厚さの縮小などが可能になり、基礎工事をコストダウンできるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基礎の杭施工と構真柱建て込み工程を表す断面図である。
【図2】本発明の地下躯体と低層部躯体との逆打ち工程を表す断面図である。
【図3】本発明の基礎スラブコンクリート打設工程を表す断面図である。
【図4】本発明の基礎スラブと杭の一体化工程を表す断面図である。
【図5】本発明の高層部躯体の順打ち工程を表す断面図である。
【符号の説明】
1 構真杭
1A 構真柱
2 中点杭
3 柱(建物の)
4 地下躯体
8 基礎スラブ
9 隙間(縁切り用の)
L 低層部
H 高層部
Claims (1)
- 高層建物の低層部と地下部を逆打ち工法で、高層部を順打ち工法で構築するにあたり、柱直下の構真杭と柱直下以外の中点杭とを予め設けて、逆打ち工程では鉛直荷重を構真杭で負担し、次で該構真杭と縁切りして基礎スラブを構築することにより当該基礎スラブ重量を前記中点杭のみで負担し、その後の順打ち工程では前記基礎スラブと構真杭と中点杭とを一体化させることにより鉛直荷重を構真杭及び中点杭の両者により負担することを特徴とする杭支持される高層建物の構築方法。
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