JPH0627368U - インシュレータダッシュの取付構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ツーピース体からなるクリップを介してイン
シュレータダッシュをダッシュパネルに取付けるインシ
ュレータダッシュの取付構造において、クリップをイン
シュレータダッシュの取付孔に簡単かつ迅速に取付ける
ことができ、しかもクリップのスタッドボルトに対する
取付作業も簡単に行なえるようにする。 【構成】 一方側のクリップ４０として、円筒部４１の
一端に基盤フランジ４２を設けるとともに、他端に押え
片４３を形成し、他方側のクリップ５０の円筒部５１の
端部に拡開片５２を形成し、双方のクリップ４０，５０
を一体化した後、インシュレータダッシュ１０の表面側
から取付孔１３内に挿入し、基盤フランジ４２を引張り
操作あるいは回転操作させることにより、押え片４３に
より拡開片５２を水平方向となるように拡開させて、イ
ンシュレータダッシュ１０の表面側に基盤フランジ４２
を位置させ、裏面側に拡開片５２を当接させることによ
り、簡単な操作でクリップ４０，５０をインシュレータ
ダッシュ１０の取付孔１３内に取付固定する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、車室内のダッシュパネル面に取付けられるインシュレータダッシ ュの取付構造の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】

周知のように、車室内の静粛性を高めるために、自動車室内には各種インシュ レータが設定されている。

【０００３】 例えば、図８に示すように、エンジンルームＥと車室Ｒとを区画するダッシュ パネル１の車室内側には、エンジンルームＥから車室Ｒ内への騒音の伝播を防止 するために、インシュレータダッシュ２が設置されている。

【０００４】 このインシュレータダッシュ２は、充填剤を混入した塩ビシート，ゴムシート 等比較的高密度の遮音材層３と、フェルト，ポリウレタンフォーム等の多孔質基 材からなる吸音材層４との積層構造体が一般に使用されている。

【０００５】 そして、上記吸音材層４によりエンジンルームＥからの騒音を吸音するととも に、ダッシュパネル１と遮音材層３との間の２重壁遮音効果により、上記吸音効 果と併せて良好な防音特性を発揮するようにしている。

【０００６】 ところで、上記インシュレータダッシュ２をダッシュパネル１の室内側に取付 けるには、図９に示すように、ダッシュパネル１の適宜箇所に溶接固定され、車 室内側にその先端が突出するスタッドボルト５に対して、インシュレータダッシ ュ２の取付孔６内に予め装着したクリップ７をスタッドボルト５の先端側から係 着することにより、ダッシュパネル１に対して、インシュレータダッシュ２を添 設した際、インシュレータダッシュ２の固定ができるようになっている。

【０００７】 上記クリップ７は、２分割体からなる雄クリップ７ａと雌クリップ７ｂとから なり、雄クリップ７ａを遮音材層３側から取付孔６内に挿入する一方、雌クリッ プ７ｂを吸音材層４側から取付孔６内に挿入して、取付孔６内で両者を接合固定 することにより、インシュレータダッシュ２に前もって装着されている。

【０００８】

【考案が解決しようとする課題】

このように、従来のクリップ７では、インシュレータダッシュ２の表面側およ び裏面側からそれぞれ雄クリップ７ａ，雌クリップ７ｂを挿入する作業となり、 特に、雌クリップ７ｂの挿入作業は盲作業となり、極めて作業能率の悪いものと なっている。

【０００９】 さらに、雌クリップ７ｂのフランジ７ｃはフラット面であるため、スタッドボ ルト５をクリップ７に係着する際、ガイド性が悪く、このことも作業性を低下さ せる要因となっている。

【００１０】 この考案は、このような事情に鑑みてなされたもので、本考案の目的とすると ころは、インシュレータダッシュの取付孔に予めツーピース体からなるクリップ を装着しておき、インシュレータダッシュの添設と同時にダッシュパネルへの取 付を完了できるインシュレータダッシュの取付構造において、クリップの取付孔 への取付を簡単かつ容易に行なえ、しかもクリップのスタッドボルトへの係着作 業も簡単に行なえるインシュレータダッシュの取付構造を提供することにある。

【００１１】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案は、エンジンルームと車室とを区画するダ ッシュパネルの室内側に立設されるスタッドボルトに対して、インシュレータダ ッシュの取付孔に装着されたツーピース体からなるクリップを係着させることに より、インシュレータダッシュをダッシュパネルに取付けるインシュレータダッ シュの取付構造において、前記クリップは、中空状の円筒部の一端に取付孔より 大径の基盤フランジが形成されているとともに、他端には押え片が形成された一 方側のクリップと、中空状の円筒部の先端に一対の拡開片を形成するとともに、 円筒部内部にスタッドボルトと係止する係止爪が形成された他方側のクリップと から構成され、一方側のクリップの円筒部内周面に他方側のクリップの円筒部を 嵌め入れ、一方側のクリップの切欠きを通して、他方側のクリップの拡開片を押 え片の下方に位置させ、双方のクリップを組付けた後、インシュレータダッシュ の取付孔内に拡開片側を挿入して、一方側のクリップの基盤フランジを室内側に 向け引き込み操作することにより、クリップを係着するとともに、押え片により 拡開片を径方向に拡開させ、一方側のクリップの基盤フランジと、他方側のクリ ップの拡開片とにより、インシュレータダッシュの表裏面側を挟持固定したこと を特徴とする。

【００１２】 更に、一方側のクリップの他端に設けられる押え片は、その先端側が斜め上方 に拡開していることを特徴とする。

【００１３】

【作用】

以上の構成から明らかなように、ツーピース体からなるクリップを予め一体化 した後、インシュレータダッシュの取付孔内に装着し、一方側のクリップの基盤 フランジを手前側に引き寄せれば、押え片により他方側のクリップの拡開片がイ ンシュレータダッシュの裏面側に当接することになり、基盤フランジと拡開片と によりインシュレータダッシュの表裏面側を挟持できる。

【００１４】 したがって、インシュレータダッシュの表面側からのクリップの取付作業だけ で済む。

【００１５】 さらに、一方側のクリップに設けた押え片の先端側が斜め上方に拡開している ため、クリップをスタッドボルトに係着する際、この押え片がガイドとして作用 して、スタッドボルトに対するクリップの取付作業が円滑に進む。

【００１６】

【実施例】 以下、本考案によるインシュレータダッシュの取付構造の実施例について、添 付図面を参照しながら詳細に説明する。

【００１７】 図１ないし図４は本考案の一実施例を示すもので、図１はインシュレータダッ シュをダッシュパネルに取付ける前の状態を説明する断面図、図２はツーピース 体のクリップを示す斜視図、図３，図４はインシュレータダッシュにクリップを 装着する状態を示す各断面図、図５ないし図７は本考案の第２実施例を示すもの で、図５はツーピース体からなるクリップを示す各斜視図、図６ないし図７はク リップをインシュレータダッシュに取付ける状態を示す各断面図である。

【００１８】 まず、本考案の第１実施例について説明すると、図１において、インシュレー タダッシュ１０は、高比重の充填剤を混入した塩ビシート，ゴムシート等比較的 面密度の大きな遮音材層１１と、この遮音材層１１の裏面側に貼着されるフェル ト，ポリウレタンフォーム等の吸音材層１２とから大略構成されている。

【００１９】 そして、ダッシュパネル２０の室内面形状に合致するように、上記遮音材層１ １ならびに吸音材層１２は予め所要形状に成形されており、このインシュレータ ダッシュ１０をダッシュパネル２０の室内側に取付けるために、ダッシュパネル ２０の適宜箇所にスタッドボルト２１が溶接固定されており、このスタッドボル ト２１と対応する箇所には、インシュレータダッシュ１０に取付孔１３が開設さ れている。

【００２０】 さらに、インシュレータダッシュ１０の取付孔１３内には、ツーピース体から なるクリップ３０が前もって装着されており、ダッシュパネル２０の室内面側に インシュレータダッシュ１０を添設すれば、スタッドボルト２１に対してクリッ プ３０が係着することにより、インシュレータダッシュ１０の添設作業と同時に インシュレータダッシュ１０の固定が行なわれ、優れた取付作業性が期待できる 。

【００２１】 ところで、本考案の特徴は、このツーピース体からなるクリップ３０の構成に ある。

【００２２】 すなわち、クリップ３０は図２に示すツーピース体から構成されている。

【００２３】 図２において、一方側のクリップ４０は、中空状の円筒部４１の一端に取付孔 １３よりも大径の基盤フランジ４２が形成されているとともに、他端には斜め上 方に延びる押え片４３が形成されており、円筒部４１の側壁には押え片４３の下 方に切欠き４４が設けられており、かつ他方側のクリップ５０と係止する係止爪 ４５が形成されている。

【００２４】 一方、他方側のクリップ５０は、一方側のクリップ４０の円筒部４１よりも小 径に設定された中空状の円筒部５１を備えるとともに、その端部に拡開片５２が 設けられており、一方側のクリップ４０と係止する係止部５３が円筒部５１の端 面に設けられ、かつ円筒部５１の内面にはスタッドボルト２１と係着する係止爪 ５４が形成されている。

【００２５】 次いで、ツーピース体からなるこれらクリップ４０，５０をインシュレータダ ッシュ１０に取付ける作業について説明する。

【００２６】 まず、図３に示すように、一方側のクリップ４０に対して他方側のクリップ５ ０を一体化する。その際、一方側のクリップ４０の切欠き４４を通じて他方側の クリップ５０の拡開片５２を挿通させて、押え羽根４３の下方に拡開片５２が位 置するように、一方側のクリップ４０の円筒部４１内周面に、他方側のクリップ ５０の円筒部５１が位置するように両者を一体化する。

【００２７】 そして、この状態では、インシュレータダッシュ１０の取付孔１３の径ｄに対 して基盤フランジ４２の径ｄ ₁，拡開片５２の先端間の距離ｄ ₂の関係は、 ｄ ₁＞ｄ＞ｄ ₂ である。

【００２８】 したがって、図３に示すように、クリップ４０，５０を一体化した状態でイン シュレータダッシュ１０の取付孔１３内に表面側から簡単に挿入できる。

【００２９】 その後、図４に示すように、基盤フランジ４２を室内側に引き寄せれば、押え 片４３が他方側のクリップ５０の拡開片５２を押圧し、拡開片５２が拡開して、 図示するように、インシュレータダッシュ１０の裏面に当接することになり、イ ンシュレータダッシュ１０の表面側に一方側のクリップ４０の基盤フランジ４２ が位置し、インシュレータダッシュ１０の裏面側に他方側のクリップ５０の拡開 片５２が位置することになり、基盤フランジ４２と拡開片５２とによりインシュ レータダッシュ１０を表裏面側から強固に挟持することになり、この状態でイン シュレータダッシュ１０をダッシュパネル２０に適切位置に添着すれば、スタッ ドボルト２１にクリップ５０の係止爪５４が係着して、インシュレータダッシュ １０はダッシュパネル２０の所定箇所に簡単に固定されることになる。

【００３０】 その際、スタッドボルト２１はテーパー状の押え片４３の内面に当接すること になり、この押え片４３のガイド作用により、クリップ４０，５０がスタッドボ ルト２１に円滑に係着できる。

【００３１】 このように、本考案によれば、ツーピース体からなるクリップ４０，５０をイ ンシュレータダッシュ１０の一方側（表面側）からの挿入でインシュレータダッ シュ１０の取付孔１３に簡単に取付けることができ、クリップ４０，５０の取付 作業性が向上するとともに、ガイド機能が付与されているため、クリップ４０， ５０のスタッドボルト２１に対する取付も簡単に行なえ、インシュレータダッシ ュ１０の取付作業性を著しく向上させることができる。

【００３２】 次いで、図５ないし図７は本考案の第２実施例を示すものであり、この実施例 では図５に示すツーピース体からなるクリップが使用されている。

【００３３】 図５に示すように、一方側のクリップ４０は、中空状の円筒部４１の一端に基 盤フランジ４２が形成され、かつ他端に押え片４３が形成されているのは上述実 施例と同一であるが、この実施例では円筒部４１の外周面にねじ溝４６が形成さ れ、さらにスタッドボルト２１に対する係止爪４７が円筒部４１の内周に設けら れている。

【００３４】 さらに、他方側のクリップ５０は、円筒部５１の内周が一方側のクリップ４０ の円筒部４１の外周に螺着するように構成されており、この円筒部５１の他端に 拡開片５２が形成されているのは上述実施例と同様である。

【００３５】 そして、図６に示すように、双方のクリップ４０，５０を螺着一体化した後、 インシュレータダッシュ１０の取付孔１３内に挿入し、その後、一方側のクリッ プ４０の基盤フランジ４２を回転操作させることにより、押え片４３が拡開片５ ２を押圧して、拡開片５２を開かせ、インシュレータダッシュ１０の裏面側にこ の拡開片５２が当接して、図７に示すように、インシュレータダッシュ１０の表 裏面を基盤フランジ４２と拡開片５２とにより挟持できるという構成である。

【００３６】 したがって、この実施例においても、ツーピース体からなるクリップ４０，５ ０はインシュレータダッシュ１０の表面側からのみ取付孔１３内に挿入して取付 けることができ、取付作業性が向上するとともに、押え片４３のガイド作用によ りスタッドボルト２１に対するクリップ４０，５０の係着が円滑に行なえるとい う第１実施例と同様の効果を有する。

【００３７】

【考案の効果】

以上説明した通り、本考案によるインシュレータダッシュの取付構造によれば 、以下に記載する格別の作用効果を有する。

【００３８】 （１）ツーピース体からなるクリップを組付けたのち、インシュレータダッシュ の表面側から取付孔内に装着し、基盤フランジを引張り操作あるいは回転操作さ せることにより拡開片を開かせて、ツーピース体からなるクリップをインシュレ ータダッシュの取付孔の表裏面側から挟持固定するというものであるから、従来 、個々のクリップをインシュレータダッシュの表面側および裏面側からそれぞれ 挿入して、取付孔内で接合固定するという面倒な作業が省け、クリップの取付作 業性を著しく向上させることができるという効果を有する。

【００３９】 （２）一方側のクリップに設けた押え片の先端側が斜め上方に開いているため、 クリップをスタッドボルトに係着する際、スタッドボルトの先端が押え片によっ てガイドされ、スタッドボルトに対するクリップの係着を円滑に進めることがで き、インシュレータダッシュの取付作業性を向上させることができるという効果 を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案によるインシュレータダッシュの取付構
造を示す断面図。

【図２】図１に使用するクリップを示す斜視図。

【図３】図１に使用するクリップをインシュレータダッ
シュに取付ける状態を示す断面図。

【図４】図１に示すクリップをインシュレータダッシュ
に固定する状態を示す断面図。

【図５】本考案によるインシュレータダッシュの取付構
造の第２実施例に使用するクリップの斜視図。

【図６】図５に示すクリップを組付けた状態を示す断面
図。

【図７】図５に示すクリップをインシュレータダッシュ
に取付けた状態を示す断面図。

【図８】インシュレータダッシュの設定箇所を示す断面
図。

【図９】従来のインシュレータダッシュの取付構造を示
す断面図。

【符号の説明】

１０ インシュレータダッシュ １１ 遮音材層 １２ 吸音材層 １３ 取付孔 ２０ ダッシュパネル ２１ スタッドボルト ３０，４０，５０ クリップ ４１，５１ 円筒部 ４２ 基盤フランジ ４３ 押え片 ４４ 切欠き ４５ 係止爪 ４６ ねじ溝 ５２ 拡開片 ５３ 係止部 ５４ 係止爪

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 エンジンルーム（Ｅ）と車室（Ｒ）とを
   区画するダッシュパネル（２０）の室内側に立設される
   スタッドボルト（２１）に対して、インシュレータダッ
   シュ（１０）の取付孔（１３）に装着されたツーピース
   体からなるクリップ（３０）を係着させることにより、
   インシュレータダッシュ（１０）をダッシュパネル（２
   ０）に取付けるインシュレータダッシュの取付構造にお
   いて、 前記クリップ（３０）は、中空状の円筒部（４１）の一
   端に取付孔（１３）より大径の基盤フランジ（４２）が
   形成されているとともに、他端には押え片（４３）が形
   成された一方側のクリップ（４０）と、中空状の円筒部
   （５１）の先端に一対の拡開片（５２）を形成するとと
   もに、円筒部（５１）内部にスタッドボルト（２１）と
   係止する係止爪（５４）が形成された他方側のクリップ
   （５０）とから構成され、一方側のクリップ（４０）の
   円筒部（４１）内周面に他方側のクリップ（５０）の円
   筒部（５１）を嵌め入れ、一方側のクリップ（４０）の
   切欠き（４４）を通して、他方側のクリップ（５０）の
   拡開片（５２）を押え片（４３）の下方に位置させ、双
   方のクリップ（４０，５０）を組付けた後、インシュレ
   ータダッシュ（１０）の取付孔（１３）内に拡開片（５
   ２）側を挿入して、一方側のクリップ（４０）の基盤フ
   ランジ（４２）を室内側に向け引き込み操作することに
   より、クリップ（４０，５０）を係着するとともに、押
   え片（４３）により拡開片（５２）を径方向に拡開さ
   せ、一方側のクリップ（４０）の基盤フランジ（４２）
   と、他方側のクリップ（５０）の拡開片（５２）とによ
   り、インシュレータダッシュ（１０）の表裏面側を挟持
   固定したことを特徴とするインシュレータダッシュの取
   付構造。
2. 【請求項２】 一方側のクリップ（４０）の他端に設け
   られる押え片（４３）は、その先端側が斜め上方に拡開
   していることを特徴とする請求項１記載のインシュレー
   タダッシュの取付構造。