JPH0582697U - インシュレータダッシュ取付用固定具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ダッシュパネルに対してインシュレータダッ
シュの取付作業性を向上させるとともに、特にダッシュ
アッパ部の位置ずれを防止することを目的とする。 【構成】 インシュレータダッシュ１０をダッシュパネ
ル２０の面上に固定するインシュレータダッシュ取付用
固定具３０として、一方端側にスタッドボルト２１に係
着するクリップ部３１を設けるとともに、他方端側に可
撓性バンド部３３を設定し、その中間に保形性を有する
く字状のコーナー押圧部３２を一体成形してなり、イン
シュレータダッシュ１０の位置ずれが生じやすいダッシ
ュアッパ部１０とダッシュロア部１０ｂとの境界部分を
コーナー押圧部３２により押圧固定するとともに、ダッ
シュアッパ部１０ａの上下方向に沿って可撓性バンド部
３３により押圧固定する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、車室内のダッシュパネルにインシュレータダッシュを取付ける際 に使用するインシュレータダッシュ取付用固定具に関する。

【０００２】

【従来の技術】

例えば、図４に示すように、エンジンルームＥと車室Ｒとを区画するダッシュ パネル１の車室側面上には、エンジンルームＥから車室Ｒ内への騒音の伝播を防 止するために、インシュレータダッシュ２が設置されている。

【０００３】 このインシュレータダッシュ２は、充填剤を混入した塩ビシート，ゴムシート 等の遮音材層３と、フェルト，ポリウレタンフォーム等の吸音材層４との２層構 造体のものが一般に知られている。

【０００４】 そして、上記吸音材層４によりエンジンルームＥからの騒音を吸音するととも に、ダッシュパネル１と遮音材層３との間の２重壁遮音効果により上記吸音効果 と併せて良好な防音特性を達成するように工夫されている。

【０００５】 このインシュレータダッシュ２をダッシュパネル１に取付けるには、図５に示 すように、ダッシュパネル１にスタッドボルト５が溶接等により固定されており 、インシュレータダッシュ２に設けられた取付孔６に挿通させて、スタッドボル ト５の先端からクリップ７を嵌着させることにより、インシュレータダッシュ２ をダッシュパネル１に対して取付固定するようにしている。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、従来のインシュレータダッシュ２の取付方法は、スタッドボル ト５に対してクリップ７を嵌着させるという構成であるため、例えば、図６に示 すように、ダッシュアッパパネル１ａとダッシュロアパネル１ｂとの境界部が深 い谷線状であるため、インシュレータダッシュ２の特に、ダッシュアッパ部２ａ の組付け作業が困難であるという欠点が指摘されている。

【０００７】 さらに、インシュレータダッシュ２のダッシュアッパ部２ａの自重による位置 ずれにより、ダッシュパネル１とインシュレータダッシュ２の貫通孔の位置が合 致しなくなり、パイプ類等の貫通部品の取付作業性に支障を来たすという問題点 も指摘されている。

【０００８】 また、インシュレータダッシュ２のダッシュアッパ部２ａの自重により、ダッ シュアッパパネル１ａとダッシュロアパネル１ｂとの境界部分に浮きが生じ、遮 音性能を低下させる原因となっている。

【０００９】 この考案は、このような事情に鑑みてなされたもので、本考案の目的とすると ころは、ダッシュパネルにインシュレータダッシュを取付ける際の取付作業性に 優れ、かつ貫通部品の取付作業性の向上ならびに遮音性能の改善に貢献するイン シュレータダッシュ取付用固定具を提供することにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案は、エンジンルームと車室とを区画するダ ッシュパネルに立設されるスタッドボルトをインシュレータダッシュの取付孔に 挿通させ、このスタッドボルトの先端に固定具を係合させることによりダッシュ パネルにインシュレータダッシュを固定するインシュレータダッシュ取付用固定 具において、前記固定具は、スタッドボルトの先端部に係着するクリップ部と、 ダッシュパネルのアッパ部とロア部の境界線に沿って、インシュレータダッシュ をダッシュパネルに密着押圧させるく字状のコーナー押圧部と、ダッシュパネル のアッパ部の面形状に沿ってインシュレータダッシュを押圧するとともに、ダッ シュパネルへの係合手段を備えた可撓性バンド部とを一体形成してなることを特 徴とする。

【００１１】

【作用】

以上の構成から明らかなように、本考案によるインシュレータダッシュ取付用 固定具は、ダッシュパネルにインシュレータダッシュを添着した後、スタッドボ ルトにクリップ部を係着するとともに、可撓性バンド部をダッシュパネルに係合 させることにより、簡単にインシュレータダッシュをダッシュパネルに取付ける ことができる。

【００１２】 さらに、浮きの生じやすいダッシュアッパ部とダッシュロア部との境界部分は 、く字状のコーナー押圧部によりインシュレータダッシュはダッシュパネル面に 密着するように固定されるとともに、ダッシュアッパパネル面上に密着するよう に可撓性バンド部により押圧されるため、インシュレータダッシュのダッシュア ッパ部は自重により落下することがない。

【００１３】

【実施例】

以下、本考案によるインシュレータダッシュ取付用固定具の実施例について、 添付図面を参照しながら詳細に説明する。

【００１４】 図１はダッシュパネル，インシュレータダッシュ，および取付用固定具をそれ ぞれ示す全体斜視図、図２は本考案によるインシュレータダッシュ取付用固定具 を使用してダッシュパネル面上にインシュレータダッシュを取付けた状態を示す 断面図、図３は本考案によるインシュレータダッシュ取付用固定具の変形例を示 す斜視図である。

【００１５】 図１において、本実施例に使用するインシュレータダッシュ１０は、塩ビシー ト，ゴムシート等比較的面密度の高い遮音材層１１と、フェルト，ポリウレタン フォーム等吸音機能をもつ吸音材層１２との積層構造体から構成されている。

【００１６】 一方、エンジンルームＥと車室Ｒとを区画するダッシュパネル２０には、適宜 位置にスタッドボルト２１がその先端が車室内側に向くように、溶接等により固 定されているとともに、インシュレータダッシュ１０の上端縁が相当する箇所に 沿って、係止ピン２２が同様に溶接等により固定されている。

【００１７】 なお、インシュレータダッシュ１０には、スタッドボルト２１および係止ピン ２２と対応する位置にそれぞれ取付孔１３，１４が開設されている。

【００１８】 次いで、このインシュレータダッシュ１０をダッシュパネル２０面に固定する インシュレータダッシュ取付用固定具３０の構成について説明する。

【００１９】 この固定具３０は、ポリプロピレン樹脂等の汎用樹脂の射出成形体からなり、 スタッドボルト２１に係着するクリップ部３１と、ダッシュアッパパネル２０ａ とダッシュロアパネル２０ｂとのコーナーラインに沿って、インシュレータダッ シュ１０をダッシュパネル２０面に密着状態で押圧するためのく字状のコーナー 押圧部３２と、垂れ下がりが生じやすいインシュレータダッシュ１０のダッシュ アッパ部１０ａをダッシュアッパパネル２０ａの面形状に沿って追従するように 押圧する可撓性バンド部３３とから構成されており、この可撓性バンド部３３に は係止ピン２２に係止する十字スリット状の係止孔３４が開設されている。

【００２０】 なお、コーナー押圧部３２は保形性を備えるように、長手方向両側に沿って補 強リブ３５が一体形成され、強固な剛性を得るように構成されているが、このリ ブ３５は中央部に沿って一条だけでも良い。

【００２１】 次いで、ダッシュパネル２０にインシュレータダッシュ１０を取付ける構造に ついて図２を基に説明すると、ダッシュパネル２０の面上にインシュレータダッ シュ１０を位置決めする。このとき、インシュレータダッシュ１０の取付孔１３ 内にスタッドボルト２１が挿通するとともに、他方の取付孔１４内に係止ピン２ ２が挿通するように位置決めする。

【００２２】 そして、固定具３０の一端に設けられたクリップ部３１をスタッドボルト２１ の先端に係着するとともに、保形性を有するコーナー押圧部３２をダッシュアッ パパネル２０ａとダッシュロアパネル２０ｂとの境界ラインに沿って、インシュ レータダッシュ１０をダッシュパネル２０面に密着するように押圧し、その後、 ダッシュアッパ部１０ａの上下方向に沿って可撓性バンド部３３により押圧して 、この可撓性バンド部３３の係止孔３４を係止ピン２２先端に係合固定すればよ い。

【００２３】 そして、このインシュレータダッシュ取付用固定具３０を４箇所ならびに５箇 所に設定すれば、複雑なダッシュパネル２０の面形状に沿って、インシュレータ ダッシュ１０を簡単かつ確実に取付けることができるとともに、インシュレータ ダッシュ１０の取付作業性が従来に比べ向上するという効果がある。

【００２４】 さらに、本考案に使用するインシュレータダッシュ取付用固定具３０のコーナ ー押圧部３２および可撓性バンド部３３により、位置ずれ変形しやすい箇所を矯 正することができるため、インシュレータダッシュ１０の位置ずれが確実に防止 できるため、パイプ類等の貫通部品の取付作業が非常にやりやすくなり、かつ、 ダッシュパネル２０とインシュレータダッシュ１０と貫通部品の正確な位置決め ができることから、音漏れが発生することがなく、浮き等も生じないため、ダッ シュパネル２０と遮音材層１１とのクリアランスを一定に保つことができ、初期 の遮音性能を長期にわたり維持することができるという効果がある。

【００２５】 次いで、図３は本考案の別実施例を示すもので、本実施例においては、可撓性 バンド部３３に形成される係止孔３４を複数箇所に設定することにより、仕様の 異なるインシュレータダッシュ１０に共用化できるようにしてあり、また、この 実施例のように、両側の補強リブ３５のほかに、幅方向に沿って複数の補強リブ ３６を設置すれば、さらにコーナー押圧部３２の保形性が優れ、インシュレータ ダッシュ１０の垂れ下がりをより確実に防止できる利点がある。

【００２６】

【考案の効果】 以上説明した通り、本考案によるインシュレータダッシュ取付用固定具は、以 下に記載する格別の効果を有する。

【００２７】 （１）ダッシュパネルにインシュレータダッシュを添装した後、固定具の一方端 に設けたクリップ部をスタッドボルトに係着した後、他方端に設けた可撓性バン ド部をダッシュパネルに係合固定するだけでインシュレータダッシュを簡単に取 付けることができ、インシュレータダッシュの取付作業性が著しく向上するとい う効果を有する。

【００２８】 （２）インシュレータダッシュの自重による位置ずれが生じやすい箇所を、イン シュレータ取付用固定具のコーナー押圧部および弾性バンド部によりダッシュパ ネル面にインシュレータダッシュを密着するように矯正固定するため、インシュ レータダッシュに位置ずれが生じることがなく、貫通部品等の組付け作業性が良 好なものになるという効果を有する。

【００２９】 （３）インシュレータダッシュに位置ずれが生じないため、隙間による音漏れ等 が発生することがなく、またダッシュパネルとインシュレータダッシュとの２重 壁遮音効果が良好に維持できるため、良好な防音特性が発揮できるという効果を 有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案によるインシュレータダッシュ取付用固
定具，ダッシュパネル，インシュレータダッシュをそれ
ぞれ示す全体斜視図。

【図２】本考案によるインシュレータダッシュ取付用固
定具を使用してインシュレータダッシュをダッシュパネ
ルに取付けた状態を示す断面図。

【図３】本考案によるインシュレータダッシュ取付用固
定具の別実施例を示す斜視図。

【図４】インシュレータダッシュの設定箇所を示す説明
図。

【図５】従来のインシュレータダッシュの取付構造を示
す断面図。

【図６】従来のインシュレータダッシュに於ける固定方
法の不具合を示す説明図。

【符号の説明】

１０ インシュレータダッシュ １０ａ ダッシュアッパ部 １０ｂ ダッシュロア部 １１ 遮音材層 １２ 吸音材層 １３，１４ 取付孔 ２０ ダッシュパネル ２０ａ ダッシュアッパパネル ２０ｂ ダッシュロアパネル ２１ スタッドボルト ２２ 係止ピン ３０ インシュレータダッシュ取付用固定具 ３１ クリップ部 ３２ コーナー押圧部 ３３ 可撓性バンド部 ３４ 係止孔 ３５，３６ 補強リブ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 エンジンルーム（Ｅ）と車室（Ｒ）とを
   区画するダッシュパネル（２０）に立設されるスタッド
   ボルト（２１）をインシュレータダッシュ（１０）の取
   付孔（１３）に挿通させ、このスタッドボルト（２１）
   の先端に固定具（３０）を係合させることによりダッシ
   ュパネル（２０）にインシュレータダッシュ（１０）を
   固定するインシュレータダッシュ取付用固定具におい
   て、 前記固定具（３０）は、スタッドボルト（２１）の先端
   部に係着するクリップ部（３１）と、ダッシュパネル
   （２０）のアッパ部（２０ａ）とロア部（２０ｂ）の境
   界線に沿って、インシュレータダッシュ（１０）をダッ
   シュパネル（２０）に密着押圧させるく字状のコーナー
   押圧部（３２）と、ダッシュパネル（２０）のアッパ部
   （２０ａ）の面形状に沿ってインシュレータダッシュ
   （１０）を押圧するとともに、ダッシュパネル（２０）
   への係合手段（３４）を備えた可撓性バンド部（３３）
   とを一体形成してなることを特徴とするインシュレータ
   ダッシュ取付用固定具。