JPH06264961A - 車両懸架リーフスプリング用ダイナミックダンパ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】上下方向のオーバハングが小さく，しかも防振
効果が大きい車両懸架リーフスプリング用ダイナミック
ダンパ装置を提供することを目的としている。 【構成】リーフスプリング１の横ずれを防ぐためのクリ
ップ２に、ダイナミックダンパ装置３が設けられてい
る。クリップ２は、上下に対向する一対の平板部２ａ，
２ｂをもった縦断面コ字形状の部材からなり、下側の水
平部２ｂ上面に、座金８を介してリーフスプリング１が
当接されリベット６により該リーフスプリング１を固定
している。そのクリップ２外周を囲うように、縦断面コ
字形状の質量体４が配置されている。クリップ２と質量
体４における、上下に対向する面間に弾性体５が介装さ
れている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、車両懸架リーフスプリ
ングに取り付けられて、リーフスプリングにおける水平
方向の振動を低減する車両懸架リーフスプリング用ダイ
ナミックダンパ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】車両懸架リーフスプリングは、メインリ
ーフの両端に形成されたスプリングアイを介して車体に
取り付けられ、そのメインリーフの下側に数枚の補助リ
ーフスプリングが積層状に配置されて、その長手方向中
央部が、センタボルトによって固定されると共にＵボル
トを介して車軸を固定する。

【０００３】また、リーフスプリングの両端部側には、
それぞれ横ずれを防ぐためのクリップが取り付けられて
いる。そして、リーフスプリングにおける水平方向の振
動を低減するためのダイナミックダンパ装置が、上記ク
リップに設けられている。その従来のダイナミックダン
パ装置としては、例えば実開昭６１−１９２９０５号公
報などに開示されているようなものが知られている。

【０００４】これは、図９に示すように、断面Ｕ字形状
のクリップ本体２１ａとそのクリップ本体２１ａの両端
部間に横架されるボルト２１ｂとからなるボルト形クリ
ップ２１が、リーフスプリング１を挟み込むように取り
付けられると共に、そのクリップ２１の下方位置に板塊
状の質量体４を配置し、その質量体４の側面を、上記ク
リップ２１に固定された断面Ｕ字形状の支持ブラケット
２０内に弾性体５を介して支持せしめてダイナミックダ
ンパ装置が構成され、もってリーフスプリング１の水平
振動に対して、上記弾性体５が共振して防振している。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来の車両懸架リーフスプリング用ダイナミック
ダンパ装置にあっては、クリップ２１，即ちリーフスプ
リング１の下方位置に質量体４が配置された構造である
ために、上記リーフスプリング１から下方に向かってダ
ンパ装置が大きく張出した状態となり、質量体４を支持
している支持ブラケット２０が路面と接触しないような
地上高に、リーフスプリング１を設置する必要がある。

【０００６】また、リーフスプリング１の重心位置とダ
イナミックダンパ装置の重心位置が、上下方向に大きく
オフセットしているので、クリップ２１の揺れを誘発
し、リーフスプリングの動きがダイレクトに質量体に伝
達されず、共振域が小さく防振効果が小さい。そして、
所定の防振効果を挙げるためには、上記質量体４の重量
を重くせざるを得ず、これによって、さらにダンパ装置
が大型化して下方へのオーバハングが大きくなると共
に、該質量体４を支持する支持ブラケット２０等にも所
定以上の強度が要求される。

【０００７】本発明は、上記のような問題点に着目して
なされたもので、上下方向のオーバハングが小さく，し
かも防振効果が大きい車両懸架リーフスプリング用ダイ
ナミックダンパ装置を提供することを目的としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の車両懸架リーフスプリング用ダイナミック
ダンパ装置は、リーフスプリングを挟んで上下に対向す
る一対の板部材を備えて該リーフスプリングに取り付け
られるクリップと、少なくとも上記一対の板部材とそれ
ぞれ上下で対向するように、上記クリップの外周に所定
間隔をあけて配置される質量体と、上記クリップと質量
体との間に介装される弾性体とを備えたことを特徴とし
ている。

【０００９】

【作用】質量体が、クリップ，即ちリーフスプリングを
囲うように、該リーフスプンリグの上側と下側とに配置
されることで、上下方向における、ダイナミックダンパ
装置の重心位置とリーフスプリングの重心位置がほぼ一
致する。これによって、質量体の振動方向とリーフスプ
リングの振動方向がほぼ一致して共振域が広がり、防振
効果が向上する。

【００１０】これによって、従来よりも質量体の質量を
小さくすることが可能となると共に、該質量体がリーフ
スプリングの上下に分散されて配置され、さらに、従来
のような支持ブラケットが不要となる。よって、装置自
体が小型化すると共に、該リーフスプリングからの上方
及び下方へのオーバハングが小さくなって、リーフスプ
リングの地上高を従来よりも低く設定することが可能と
なる。

【００１１】また、オーバハング量を小さくする目的で
クリップを上下から挟む質量体部分をそれぞれ平板状に
すると、上記クリップの板部材と対向する面積が増え
て、弾性体の固着する面積が増大し、急激な衝撃に対す
る弾性体の取付け強度が従来よりも強くなる。

【００１２】

【実施例】本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
まず、車両懸架リーフスプリング１を説明すると、図３
及び図４に示すように、メインリーフ１ａの両端に形成
されたスプリングアイ１ｃを介して車体に取り付けら
れ、そのメインリーフ１ａの下側に数枚の補助リーフス
プリング１ｂが積層状に配置されて、その長手方向中央
部が、センタボルト１ｄによって固定されると共に図示
しないＵボルトを介して車軸が固定されるようになって
いる。

【００１３】そのリーフスプリング１の両端部側には、
それぞれ横ずれを防ぐためのクリップ２が取り付けられ
ている。そして、一方のクリップ２に対して、図１及び
図２に示すように、水平方向の振動を低減するためのダ
イナミックダンパ装置３が設けられている。上記クリッ
プ２は、上下に対向する一対の平板部２ａ，２ｂをもっ
た縦断面コ字形状の部材からなり、下側の水平部２ｂ上
面に、座金８を介してリーフスプリング１が当接され２
個のリベット６によりワッシャ８と共に該リーフスプリ
ング１を固定している。

【００１４】また、そのクリップ２外周を囲うように、
該クリップ２の外周に縦断面コ字形状の質量体４が配置
されている。そして、クリップ２と質量体４における、
上下に対向する面間に弾性体５が介装されて、該質量体
４がクリップ２，即ちリーフスプリング１に対して水平
方向に揺動可能となってダンパ装置３を構成している。

【００１５】なお、上記断面コ字形状の質量体４におけ
る両端部は、軸を上下に向けたボルト７によって連結さ
れていて、上記弾性体５が破断しても該質量体４がリー
フスプリング１から脱落しないようにしている。上記の
ような、ダイナミックダンパ装置３では、リーフスプリ
ング１を上下から挟み込むように質量体４が配置されて
いるので、該ダイナミックダンパ装置３の重心位置とリ
ーフスプリング１の重心位置が上下方向においてほぼ一
致して、該リーフスプリング１の水平振動方向と質量体
４の振動方向がほぼ同一となるので、従来よりも共振域
が広くなって防振効果が向上する。

【００１６】これを確認するために、２レンジ急加速走
行時における機関回転速度と音圧レベルとの関係を、従
来のダイナミックダンパ装置３を取り付けた場合と、上
記実施例のダイナミックダンパ装置３を取り付けた場合
で調べてみた。まず、従来のダイナミックダンパ装置を
取り付けたリーフスプリングと、該ダンパ装置を取り付
けないリーフスプリングとで実際に上記関係を測定して
みると、図５に示すような結果となった。なお、図５
中，実線は、ダンパ装置装置を取付けない場合であり、
破線は、ダンパ装置を取付けた場合を示し、斜線部分が
防振効果があった領域を示している。

【００１７】次に、本実施例のダイナミックダンパ装置
３を取り付けたリーフスプリングと、該ダンパ装置３を
取り付けないリーフスプリングとで実際に上記関係を測
定してみると、図６に示すような結果となった。なお、
図６中，実線は、ダンパ装置装置３を取付けない場合で
あり、破線は、ダンパ装置を取付けた場合を示し、斜線
部分が防振効果があった領域を示している。

【００１８】これから分かるように、本願発明に基づく
実施例のダイナミックダンパ装置３を取り付けると、車
両で常用される３０００〜４０００rpm のほぼ全域で６
〜７ｄＢの防振効果を得ているが、従来のダイナミック
ダンパ装置３にあっては、上記実施例よりも防振効果を
発揮する領域が狭く、しかも４０００rpm 付近では逆に
悪化するような現象も見られる。

【００１９】また、ダイナミックダンパ装置３とリーフ
スプリング１の上下方向の重心位置がほぼ一致している
と共に、質量のクリップ２への取り付け面も広いので、
干渉等によって大きな衝撃が入力されても、質量とクリ
ップ２を連結する弾性体５が破断する恐れは、従来より
も低くなる。また、質量体４が、リーフスプリング１の
上下両側に分散して配置された構造であるために、下方
及び上方へのオーバハング量が従来よりも小さくなっ
て、該ダンパ装置３を取り付けてもリーフスプリング１
の地上高がさほど高くなることはない。

【００２０】なお、上記実施例においては、質量体４が
断面コ字形状になっているが、該質量体４に対して、ク
リップ２における一対の板部材２ａ，２ｂとそれぞれ上
下で対向する部分があればよいから、質量体４は、図７
に示すようなクリップ２を挟んで上下に対向する一対の
板状の質量体本体とそれらを連結するボルト等から構成
してもよい。

【００２１】また、該質量体４を、図８に示すように、
縦断面環状に成形して上記ボルト７を省略してもよい。

【００２２】

【発明の効果】以上説明してきたように、本発明の車両
懸架リーフスプリング用ダイナミックダンパ装置では、
上下方向の重心位置がリーフスプリングにおける上下方
向の重心位置とほぼ一致するので、従来よりも防振効果
が向上すると共に、ダンパ装置自体が小型化する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る実施例のリーフスプリング用ダイ
ナミックダンパ装置３を示す側面図である。

【図２】本発明に係る実施例のリーフスプリング用ダイ
ナミックダンパ装置を示す図１のＡ矢視図である。

【図３】本発明に係る実施例のリーフスプリングを示す
側面図である。

【図４】本発明に係る実施例のリーフスプリングを示す
平面図である。

【図５】従来のダイナミックダンパ装置による防振状態
を示す図である。

【図６】本発明に係る実施例のダイナミックダンパ装置
による防振状態を示す図である。

【図７】本発明に係る第２実施例のリーフスプリングを
示す側面図である。

【図８】本発明に係る第３実施例のリーフスプリングを
示す側面図である。

【図９】従来のリーフスプリングを示す側面図である。

【符号の説明】

１ リーフスプリング ２ クリップ ２ａ，２ｂ 一対の板状部材 ３ ダイナミックダンパ装置 ４ 質量体 ５ 弾性体

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 リーフスプリングを挟んで上下に対向す
   る一対の板部材を備えて該リーフスプリングに取り付け
   られるクリップと、少なくとも上記一対の板部材とそれ
   ぞれ上下で対向するように、上記クリップの外周に所定
   間隔をあけて配置される質量体と、上記クリップと質量
   体との間に介装される弾性体とを備えたことを特徴とす
   る車両懸架リーフスプリング用ダイナミックダンパ装
   置。