JPH0625710Y2 - ジョイント用ブーツ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ この考案はジョイント用ブーツに関し、より詳しくは、
二輪を屈曲可能に連結する自在継手を覆い、水の浸入
や、ごみ、埃、泥等の付着から自在継手を保護するジョ
イント用ブーツに関する。

＜従来の技術と考案が解決しようとする課題＞ 従来より、上記ジョイント用ブーツとして、例えば、自
動車のドライブシャフト、センターシャフトおよびステ
アリング用の自在継手を密封状に囲繞するものが知られ
ている。この自在継手を保護するブーツの一つとして、
屈曲自在な一対の蛇腹部の間に、自在継手との干渉（接
触）を回避する円筒部が形成されたゴム製のものが提供
されている。このブーツは、二軸の交差角度に対応して
容易に屈曲でき、しかも自在継手と車ボディーとの極め
て狭い隙間にも組み付けできるように全体が薄肉状に形
成されている。

ところで、上記自在継手部は、排気管等の放射熱により
高温となる。このため、従来のような密封構造のブーツ
では、内圧の上昇により、ブーツの端部のヨークに対す
る取付部から空気が洩れる場合があり、この場合、運転
休止時にブーツ内の空気が冷却してブーツ内に負圧が生
じ、ブーツが収縮して自在継手に接触する。したがっ
て、この状態での運転が繰り返し行われると、ブーツが
破損したり、自在継手の円滑な作動を妨げたりするとい
う問題がある。また、上記ブーツの収縮に伴って、ブー
ツと車ボデーとの間にできる大きな隙間に小石等を噛み
込んで、これによりブーツが破損するという問題もあ
る。

そこで、このような負圧によるブーツの変形を防止する
ために、ブーツ全体を厚肉化することも考えられるが、
スペース的な制約を受けると共に、蛇腹の屈曲性（可撓
性）に支障をきたすことから困難である。また、ブーツ
に通気孔を形成して負圧そのものを生じさせないように
することも考えられるが、通気孔を通じて水やゴミも浸
入してくるので好ましくない。

また、ヨークに固定される両側面部の強度が不充分なブ
ーツにおいては、第５図に示すように、ヨーク３ａ′，
３ｂ′が揺動する際に上記両側面部６１ａ′，６１ｂ′
がヨーク３ａ′，３ｂ′によって屈曲変形され易く、当
該両側面部６１ａ′，６１ｂ′が屈曲変形した場合に
は、蛇腹部６ａ′，６ｂ′が湾曲されず、ヨーク３
ａ′，３ｂ′の揺動に追従して蛇腹部６ａ′，６ｂ′及
び円筒部５′が直線状に変位して、ブーツＡ′の外周面
が車ボディーＣ′に干渉する虞があった。

この考案は上記課題に鑑みてなされたものであり、負圧
による変形を防止して、耐久性を高めることができると
ともに、泥水や雨水等の浸入を防ぐことができ、さらに
は蛇腹部の湾曲を促進して、車ボディーとの接触を防止
することができるジョイント用ブーツを提供することを
目的とする。

＜課題を解決するための手段＞ 上記目的を達成するための本考案のジョイント用ブーツ
は、自在継手のヨークとの接触を回避する円筒部の両側
端に蛇腹部が設けられており、円筒部と蛇腹部との連結
部に、負圧による円筒部の変形を防止する補強部が設け
られているとともに、ヨークに固定されるブーツ両側面
部の全体又は一部が、ヨークの揺動時における当該両側
面部の屈曲変形を防止するべく蛇腹部よりも厚肉に形成
されているものである。

＜作用＞ 本考案のジョイント用ブーツによれば、円筒部と蛇腹部
との連結部に設けられた補強部により、負圧による円筒
部の変形を防止することができる。

また、ヨークに固定されるブーツ両側面部に全体又は一
部が、蛇腹部よりも厚肉に形成されているので、ヨーク
が揺動する際に、上記両側面部が、屈曲変形するのを防
止することができる。このため、蛇腹部をヨークの揺動
に追従して湾曲させることができる。

＜実施例＞ 以下実施例を示す添付図面によって詳細に説明する。第
１図は、この考案に係るジョイント用ブーツＡの一部欠
截正面図であり、第２図は自在継手Ｂに取り付けた状態
を示す断面図である。

第２図に示すように、ブーツＡは、例えば、ドライブシ
ャフトの自在継手Ｂを密封可能に覆うものであり、ゴム
等に代表されるエラストラマー製の材料からなる。自在
継手Ｂは、一対のヨーク３ａ，３ｂを備えており、一対
のヨーク３ａ，３ｂは十字状のピン４を介して連結され
ている。

第１図において、上記自在継手Ｂを覆うブーツＡは、両
端に、上記ヨーク３ａ，３ｂに固定される一対の側面部
６１ａ，６１ｂが設けられているとともに、中間部に
は、平坦な周面を有する円筒部５が設けられている。ま
た、上記側面部６１ａ，６１ｂと円筒部５との間には、
ブーツ軸線と平行に延びる互いに対称な蛇腹部６ａ，６
ｂが配設されている。

上記円筒部５の両側端である蛇腹部６ａ，６ｂとの連結
部には、負圧による円筒部の変形を防止するための、円
筒部５の中央付近に比べて内周面側に厚肉形成された補
強５ａ，５ｂが設けられている。また、この補強部５
ａ，５ｂには、縮径部１１を介して蛇腹部６ａ，６ｂが
連続させてある。そして、円筒部５と蛇腹部６ａ，６ｂ
とは、作業中のヨーク３ａ，３ｂの先端部３１ａ，３１
ｂに干渉することのない大きさに形成されており、特
に、ヨーク３ａ，３ｂの先端部３１ａ，３１ｂが接近す
る円筒部５は、これら先端部３１ａ，３１ｂとの接触を
防止するために、蛇腹部６ａ，６ｂの山部７の外径と同
じ外径に設定されている。

上記蛇腹部６ａ，６ｂは、ヨーク３ａ，３ｂの揺動に追
従して蛇腹部６ａ，６ｂが湾曲変形し易いように、その
山部７が略Ｖ形状に形成されているとともに、山部７の
高さが、作動中のヨーク３ａ，３ｂの先端部３１ａ，３
１ｂに干渉しない範囲で山部７の肉厚の複数倍程度に設
定されている。しかも、蛇腹部６ａ，６ｂは、円筒部５
や側面部６１ａ，６１ｂに比べて薄肉に形成されてい
る。

上記側面部６１ａ，６１ｂは、ヨーク３ａ，３ｂに揺動
時における屈曲変形を防止するべく全体が蛇腹部６ａ，
６ｂよりも厚肉に形成されており、当該側面部６１ａ，
６１ｂの剛性は、蛇腹部６ａ，６ｂよりも高くなってい
る。また、側面部６１ａ，６１ｂには、自在継手Ｂの一
次側に二次側としての上記ヨーク３ａ，３ｂに係着され
る取付部８が連結されている。この取付部８は、ブーツ
軸線と同軸の筒状に形成されており、取付部８の外周面
には、周方向に沿って嵌合溝８０が形成されている。こ
の嵌合溝８０には、取付部８を上記ヨーク３ａ，３ｂに
密着するための締付バンド８１が嵌め込まれている。さ
らに、取付部８の内周面には、ヨーク３ａ，３ｂとの密
着性を高めるための、内方に突出した突出部８２が周方
向に亘って形成されている。

上記構成のブーツＡによれば、円筒部５の両側端に形成
された補強部５ａ，５ｂにより、円筒部５の半径方向の
剛性を増大することができるので、負圧に対向して円筒
部５並びに蛇腹部６ａ，６ｂの変形を防止することがで
きる。

また、両側面部６１ａ，６１ｂの全体が蛇腹部６ａ，６
ｂよりも厚肉に形成されているので、ヨーク３ａ，３ｂ
が揺動する際に、当該両側面部６１ａ，６１ｂが、第５
図に示すように屈曲変形するのを防止することができ
る。即ち、第２図に示すように、蛇腹部６ａ，６ｂを、
ヨーク３ａ，３ｂの揺動に追従して効果的に湾曲させる
ことができる。

さらに、上記蛇腹部６ａ，６ｂは、その山部７が、略Ｖ
形状に形成されているとともに、山部７の高さが、当該
山部７の肉厚の複数倍程度に設定されているので、蛇腹
部６ａ，６ｂを、上記ヨーク３ａ，３ｂの揺動に追従し
て一層確実に湾曲変形させることができる。

第３図は、他の実施例としてのブーツＡを示す要部拡大
断面図である。同図において、前記実施例と主に相違す
る点は、蛇腹部６ａ，６ｂの山部７を略Ｕ形状に形成し
ている点、及び蛇腹部６ａ，６ｂの外径寸法を円筒部５
と略同一に保持した状態で、山部７の高さを、縮径部１
１側から両側面部６１ａ，６１ｂへ向けて段階的に高く
なるように形成している点である。

この実施例においても、前記実施例同様に、円筒部５の
両端部に、補強部５ａ，５ｂを設けているとともに、両
側面部６１ａ，６１ｂの全体を蛇腹部６ａ，６ｂよりも
厚肉に形成しているので、負圧に対抗して円筒部５並び
に蛇腹部６ａ，６ｂの変形を防止することができるとと
もに、ヨーク３ａ，３ｂが揺動する際に、側面部６１
ａ，６１ｂが、屈曲変形するのを防止することができ、
ひいては蛇腹部６ａ，６ｂを、ヨーク３ａ，３ｂの揺動
に追従して湾曲させることができる。

第４図は、取付部８の変更例を示す要部拡大断面図であ
る。同図において、取付部８の突出部８２の中央位置に
は、周方向に沿って薄肉に形成された切欠溝８２ａが設
けられている。この場合には、成形時において、ブーツ
Ａから成形用の中型を引き抜く際の、突出部８２と中型
との接触面積を小さくすることができ、型抜きを容易に
行なえるとともに、ブーツＡの軽量化を達成することが
できる。なお、切欠溝８２ａの両端に残存する突出部８
２によって、取付部８とヨーク３ａ，３ｂとの密着性は
確保されている。

なお、上記実施例では、両側面部６１ａ，６１ｂの全体
を蛇腹部６ａ，６ｂよりも厚肉に形成することにより、
ヨーク３ａ，３ｂの揺動時における当該両側面部６１
ａ，６１ｂの屈曲変形を防止するようにしたものについ
て示したが、この考案は、これに限定されるものではな
く、例えば、両側面部６１ａ，６１ｂの軸心側から外周
側にかけて放射状に隆起した補強リブを設けて、両側面
部６１ａ，６１ｂの一部のみを厚肉にしたものでも良
い。

また、この考案に係るブーツＡについては、上記実施例
の他、球関節を持つ玉継手、或いは等速ボールジョイン
ト等の他の自在継手にも好適に装着される。

＜考案の効果＞ 以上のように、本考案に係るブーツにおいては、円筒部
と蛇腹部との連結部に設けた補強部により、円筒部、さ
らには蛇腹部の半径方向の剛性を増大することができる
ので、負圧による円筒部及び蛇腹部の変形を防止でき、
自在継手への干渉をなくすことができる。このため、自
在継手との接触による破損等をなくすことができ、ブー
ツの耐久性を高めることができる。したがって、ブーツ
内に泥水や雨水等が浸入するのを防止することができ
る。

また、ヨークに固定されるブーツ両側面部の全体又は一
部を蛇腹部よりも厚肉にして補強しているので、ヨーク
の揺動時における両側面部の屈曲変形を防止することが
でき、蛇腹部が、ヨークの揺動に追従して効果的に湾曲
され、車ボディーへブーツが接触するのを回避すること
ができるという特有の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案にかかるジョイント用ブーツの一部欠
截正面図、 第２図は自在継手に取り付けた状態を示す断面図、 第３図は他の実施例を示す要部拡大断面図、 第４図は取付部付近の変更例を示す要部断面図、 第５図は従来のブーツの使用状態を示す断面図である。 Ａ……ブーツ、Ｂ……自在継手、 ３ａ，３ｂ……ヨーク、５……円筒部、 ５ａ，５ｂ……補強部、６ａ，６ｂ……蛇腹部、 ６１ａ，６１ｂ……ブーツ側面部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】自在継手のヨークとの接触を回避する円筒
   部の両側端に蛇腹部が設けられており、円筒部と蛇腹部
   との連結部に、負圧による円筒部の変形を防止する補強
   部が設けられているとともに、ヨークに固定されるブー
   ツ両側面部の全体又は一部が、ヨークの揺動時における
   当該両側面部の屈曲変形を防止するべく蛇腹部よりも厚
   肉に形成されていることを特徴とするジョイント用ブー
   ツ。