JPH06236058A - 導電性基体、光導電体及び電子写真方法 - Google Patents

導電性基体、光導電体及び電子写真方法

Info

Publication number
JPH06236058A
JPH06236058A JP4577793A JP4577793A JPH06236058A JP H06236058 A JPH06236058 A JP H06236058A JP 4577793 A JP4577793 A JP 4577793A JP 4577793 A JP4577793 A JP 4577793A JP H06236058 A JPH06236058 A JP H06236058A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
metal
photoconductor
oxide
transparent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP4577793A
Other languages
English (en)
Inventor
Minoru Umeda
実 梅田
Tatsuya Niimi
達也 新美
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP4577793A priority Critical patent/JPH06236058A/ja
Publication of JPH06236058A publication Critical patent/JPH06236058A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【構成】 透明支持体上に、金属酸化物からなる透明導
電層、及び仕事関数が4.3eV以下の金属からなる金
属層を順次積層してなる導電性基体、更に該導電性基体
上に光導電層を積層してなる光導電体、並びに該光導電
体を用い、且つ該光導電体に透明支持体側より光照射す
る電子写真方法。 【効果】 本発明の導電性基体は、透明導電層により、
酸化等の劣化が発生せず、且つ光透過性に優れたものと
なり、しかも前記金属層により、光導電体に良好な帯電
性を付与できるものとなる。また、本発明の光導電体
は、繰り返し使用しても透明導電層の劣化に基づく感度
低下が発生せず、且つ帯電性に優れたものとなる。な
お、本発明の電子写真方法によると、非常に効果的な裏
面露光を行なうことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光透過性を有する導電性
基体の改良及び該導電性基体を有する光導電体の改良に
関し、更に本発明は光導電体の裏面露光を含む電子写真
方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】一般にゼログラフィと呼ばれる電子写真
法では、金属からなる、あるいはガラス、プラスチッ
ク、紙等の支持体表面に金属皮膜か導電塗料で導電層を
設けた導電性基体上に、光導電性絶縁層(以下感光層と
記す)を設置した感光体が用いられる。
【0003】上記の導電性基体の材料と形態は、感光材
料の特性や製造方法により適宜選ばれる。即ち、Se系
又はSi系材料を感光層とする場合には、AlかAl合
金自身のドラム状部材が用いられることが多い。一方、
感光層が塗布時に溶液若しくは分散液の形をとる場合に
は、支持体はプラスチックフィルム上に金属層を蒸着や
スパッタによって被覆したものが多く用いられる。とり
わけAlをメタライジング(金属被覆)したポリエチレ
ンテレフタレートフィルムは、有機感光体(以下OPC
という)の支持基体として広く用いられている。
【0004】Alが電極の導電性材料として広く用いら
れている理由は、比較的容易にフィルム上に皮膜形成で
きること、及びAlが感光層との界面に一定の整流性を
作り易く、電気特性を損なわずに高い受容電位を得やす
いこと、更に金属材料として比較的安価であることによ
る。OPCの代表的な形態として、電極側に電荷発生
層、その上に電荷輸送層を積層したいわゆる機能分離型
のものが挙げられる。即ち、ポリエチレンテレフタレー
トフィルム、Al層、電荷発生層、電荷輸送層の順に積
層してなる構成は、電子写真用のOPCとして、現在最
も広く採用されている形態である。
【0005】しかしながら、導電性基体に用いられる金
属材料は、一部の貴金属を除いて空気中での酸化劣化が
避けられず、従って、その上に光導電層を設けてなる光
導電体も、繰り返し使用による導電層の劣化に基づく感
度低下が不可避であった。なお、酸化を生じない貴金属
を用いた導電性基体も提案されてはいるが、一般にA
u、Pt、Pd、Rh、Ru、Irをはじめとする貴金
属は高価であるばかりでなく、それらの上に光導電層を
設けた光導電体は帯電性が著しく劣る。これは、該貴金
属から光導電層への電荷注入が暗時に生じているためと
考えられる。
【0006】一方、光導電体を基体方向から露光する電
子写真方法は、近年の電子写真装置の小型化指向と相ま
って用いられるだけではなく、例えばトナーを介さずに
除電露光ができるといった利点を有している。この方法
において用いられる透明導電性基体には、透明プラスチ
ックフィルム上にAlあるいはNiからなる半透明金属
層を設けてなるものが公知であるが、上述した金属の酸
化に基づく劣化が避けられない。導電層に酸化スズ、酸
化スズを添加した酸化インジウム(ITO)を用いた光
導電体も公知である(特開昭59−162554号公
報)が、帯電性において満足できるものではない。特開
昭62−127746号公報には、基体上に非Al金属
とAl金属を積層してなる電極が開示されているが、金
属を積層しているため、光透過性が優れておらず、改良
が望まれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の第一
の目的は、酸化等の劣化を生じない導電性基体を提供す
ることにあり、第二の目的は、光透過性に優れた導電性
基体を提供することにあり、更に第三の目的は、帯電性
に優れた光導電体用導電性基体を提供することにある。
また、本発明の第四の目的は、繰り返し使用によっても
感度低下を生じない光導電体を提供することにあり、更
に本発明の第五の目的は、光導電体に非常に効果的な裏
面露光が行なえる電子写真方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、透明支
持体上に、金属酸化物からなる透明導電層、及び仕事関
数が4.3eV以下の金属からなる金属層を順次積層し
てなることを特徴とする導電性基体が提供され、また透
明支持体上に、金属酸化物からなる透明導電層、仕事関
数が4.3eV以下の金属からなる金属層及び光導電層
を順次積層してなることを特徴とする光導電体が提供さ
れる。
【0009】更に、本発明によれば、光導電体に帯電、
露光、現像、転写、クリーニング、除電を繰り返し行な
う電子写真方法において、前記本発明の光導電体を用
い、しかも該光導電体に透明支持体側より光照射するこ
とを特徴とする電子写真方法が提供される。
【0010】本発明の導電性基体は、透明支持体上に金
属酸化物からなる透明導電層を設け、更にその上に仕事
関数が4.3eV以下の金属からなる金属層を積層した
ものであるが、該基体上に光導電層を積層して光導電体
としたときに、前記透明導電層の設置だけでは、帯電安
定化が計りづらいが、前記金属層の積層により、光導電
層へのキャリア注入が発生しにくくなり、安定な帯電性
が得られるものとなる。特に、前記金属層の厚みが10
0Å以下であると、導電性基体の光透過性も従来では見
られなかった程度にまで向上する。
【0011】前記構成の導電性基体上に光導電層を設け
てなる本発明の光導電体は、帯電性が優れているだけで
なく、基体側からの裏面露光に対しても十分に光減衰を
生ずるため、裏面露光プロセスを有する電子写真方法に
有用である。即ち、本発明の前記光導電体を用い、しか
も該光導電体に透明支持体側より光照射する本発明の電
子写真方法によれば、十分満足のゆく画像が得られ、電
子写真装置の小型化も達成できる。
【0012】次に、図面にそって、本発明を詳しく説明
する。図1は、本発明の導電性基体の構成例を示す模式
断面図であり、透明支持体11上に、金属酸化物からな
る透明導電層12、仕事関数4.3eV以下の金属から
なる金属層13が、順次積層されている。
【0013】透明支持体11には、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリエステル等の高分子材料やガラスなどが
用いられる。また、その形状は、フレキシブルシート、
板、エンドレスベルト、円筒管のいずれであってもよ
い。
【0014】金属酸化物からなる透明導電層12は、酸
化チタン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化
ジルコニウム、酸化タングステンなど、及びこれらの混
合物からなる薄膜であり、とりわけ、アンチモン等をド
ープした酸化スズや酸化スズを添加した酸化インジウム
が良好に用いられる。この透明導電層12は、体積抵抗
が1010Ω・cm以下であることが望ましい。また、そ
の膜厚は100〜5000Åが好ましく、特に好ましく
は、200〜3000Åである。これより薄いと所望の
導電性が得られ難く、またこれより厚いと成膜性に問題
を生じるだけではなく、光透過性も低下を来たしてしま
う。
【0015】金属酸化物からなる透明導電層12を形成
するには、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーテ
ィング、化学蒸着などによって行なうことができる。中
でも、金属材料をターゲットとして用い、10-5から1
-2トールの範囲の酸素分圧下で行なう反応性スパッタ
リングが、金属酸化物薄層の均一化の点で最も適してい
る。反応性スパッタリング法としては、直流スパッタリ
ング、高周波スパッタリングのいずれもが使用でき、ま
た三極スパッタ、四極スパッタ、マグネトロンスパッ
タ、イオンビームスパッタなどの方法も全て使用するこ
とができる。真空蒸着やイオンプレーティングによる場
合は、加熱方法として、抵抗加熱、誘導加熱、電子ビー
ム加熱、レーザービーム加熱などが使用でき、中でも電
子ビーム加熱が付着速度を大きくできるため好ましい。
【0016】更に、透明導電層12の形成は、塗工によ
って行なうこともできる。例えば、有機溶剤可溶性金属
化合物や水可溶性金属化合物を薄膜塗工して加熱するこ
とにより、金属酸化物薄層を得ることができる。かかる
有機溶剤可溶性金属化合物としては、該金属のアルコキ
シド、アシレート、キレートなどの単独又は混合物の中
から適宜選択して使用される。水可溶性金属化合物とし
ては、該金属のハロゲン化物、硝酸塩、炭酸塩などの単
独又は混合物の中から適宜選択して使用される。以上の
ようにしてなる透明導電層12は、金属酸化物より構成
されるため、酸化作用に対してもこれ以上変質すること
なく、導電性は安定である。
【0017】仕事関数が4.3eV以下の金属からなる
金属層13には、Mg、Al、V、Mn、Ga、Nb、
Ag、Cd、In、Ta、Biなどの金属及びそれらの
合金が用いられるが、とりわけAl、In及びAl、I
nを主成分とした合金を用いた場合、光導電体に良好な
帯電能を付与できる。かかる金属層13は、真空蒸着、
スパッタリング、イオンプレーティングなどの真空薄膜
作製法により設けてもよいし、メッキあるいは無電解メ
ッキ法により設けることもできる。金属層13の厚さ
は、10〜500Åが好ましく、これより薄いと上記の
機能が発現せず、またこれより厚いと光透過性が著しく
劣ることになる。特に、金属層13の厚さが100Å以
下になると、導電性基体の光透過性が非常に優れるた
め、好適に使用される。
【0018】なお、金属の仕事関数の測定方法として
は、一般的な方法として既知の仕事関数を有する材料に
対して接触電位差を測定する方法や、大気雰囲気型紫外
線光電子分析装置(理研計器製AC−1)を用いて測定
する方法などが挙げられる。
【0019】図2は、本発明の光導電体の構成例を示す
模式断面図であり、透明支持体11上に、金属酸化物か
らなる透明導電層12、仕事関数が4.3eV以下の金
属からなる金属層13及び光導電層15が、順次積層さ
れている。また、図3(a)、(b)は、本発明の光導
電体の別の構成例を示す模式断面図であり、光導電層1
5が、電荷発生層17と電荷輸送層19とで構成されて
いる。
【0020】本発明における光導電層は、単層型でも積
層型でもよいが、ここでは説明の都合上、先ず積層型に
ついて述べる。電荷発生層17は、電荷発生物質を主成
分とする層で、必要に応じてバインダー樹脂を用いるこ
ともある。
【0021】電荷発生物質としては、無機系材料と有機
系材料を用いることができる。無機系材料には結晶セレ
ン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−
テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物や、アモルファ
ス・シリコン等が挙げられる。アモルファス・シリコン
においては、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン
原子でターミネートしたものや、ホウ素原子、リン原子
等をドープしたものが良好に用いられる。一方、有機系
材料には、フタロシアニン系顔料、ナフタロシアニン系
顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、キナクリドン
系顔料、キノン系縮合多環化合物、スクアリック酸系染
料、アズレニウム塩系染料、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔
料、トリスアゾ顔料等が挙げられる。これら電荷発生物
質の中でも、とりわけジスアゾ又はトリスアゾ顔料が、
好ましく用いられる。
【0022】必要に応じて用いられるバインダー樹脂と
しては、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、エ
ポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコー
ン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビ
ニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポ
リ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミドなど
が挙げられる。
【0023】電荷発生層17を形成する方法には、大別
して真空薄膜作成法と溶液分散系からのキャスティング
法とが挙げられる。前者の方法には、真空蒸着法、グロ
ー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリン
グ法、反応性スパッタリング法、CVD法等が用いら
れ、電荷発生層17として、上述した無機系材料、有機
系材料層が良好に形成できる。また、後者のキャスティ
ング法によって電荷発生層を設けるには、上述した無機
系若しくは有機系電荷発生物質を、必要ならばバインダ
ー樹脂とともにテトラヒドロフラン、シクロヘキサノ
ン、ジオキサン、ジクロルエタン、ブタノン等の溶媒を
用いて、ボールミル、アトライター、サンドミルなどに
より分散し、分散液を適度に希釈して塗布することによ
り形成できる。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、
ビードコート法などを用いて行なうことができる。以上
のようにして設けられる電荷発生層の薄膜は、0.01
〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.05〜2μ
mである。
【0024】電荷輸送層19は、電荷輸送物質及びバイ
ンダー樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電
荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成できる。ま
た、必要により可塑剤やレベリング剤等を添加すること
もできる。
【0025】電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸
送物質とがある。電子輸送物質としては、例えば、クロ
ルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テト
ラシアノキノンジメタン、2,4,7−トリニトロ−9
−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−
フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサント
ン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,
8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフ
ェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオ
フェノン−5,5−ジオキサイドなどの電子受容性物質
が挙げられる。
【0026】正孔輸送物質としては、ポリ−N−ビニル
カルバゾール及びその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリル
エチルグルタメート及びその誘導体、ピレン−ホルムア
ルデヒド縮合物及びその誘導体、ポリビニルピレン、ポ
リビニルフェナントレン、オキサゾール誘導体、オキサ
ジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリール
アミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリール
アミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチル
ベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導
体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラ
セン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導
体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジエン誘
導体など、その他公知の材料が挙げられる。これら電荷
輸送物質は、単独で又は2種以上混合して用いられる。
【0027】バインダー樹脂としては、ポリスチレン、
スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタ
ジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、
ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニ
ル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポ
リアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネー
ト、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリ
ビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニル
トルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹
脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウ
レタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可
塑性又は熱硬化性樹脂が挙げられる。溶剤としては、テ
トラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、モノクロル
ベンゼン、ジクロルエタン、塩化メチレンなどが用いら
れる。
【0028】電荷輸送層19の厚さは5〜100μm程
度が適当である。また、本発明において、電荷輸送層1
9中に可塑剤やレベリング剤を添加してもよい。可塑剤
としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート
など一般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそ
のまま使用でき、その使用量は、バインダー樹脂に対し
て0〜30重量%程度が適当である。レベリング剤とし
ては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリ
コーンオイルなどのシリコーンオイル類や、側鎖にパー
フルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマ
ーが使用され、その使用量はバインダー樹脂に対して、
0〜1重量%が適当である。
【0029】次に、光導電層15が単層構成の場合につ
いて述べる。無機光導電層は、上述したアモルファス・
セレン、セレン合金、アモルファス・シリコン感光層等
を、これも上述した真空蒸着法、グロー放電分解法、イ
オンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパ
ッタリング法、CVD法等の真空薄膜形成法で設けるこ
とができる。また、これらの無機物質層を二層以上積層
した光導電層も、本発明の範疇に属するものである。キ
ャスティング法で、単層光導電層を設ける場合、多くは
電荷発生物質と電荷輸送物質よりなる機能分離型のもの
が挙げられる。即ち、電荷発生物質並びに電荷輸送物質
には前出の材料を用いることができる。
【0030】単層光導電層は、電荷発生物質、電荷輸送
物質及びバインダー樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散
し、これを塗布、乾燥することによって形成できる。ま
た、必要により、可塑剤やレベリング剤等を添加するこ
ともできる。バインダー樹脂としては、先に電荷輸送層
19で挙げたバインダー樹脂をそのまま用いるほかに、
電荷発生層17で挙げたバインダー樹脂を混合して用い
てもよい。
【0031】単層光導電層は、電荷発生物質、電荷輸送
物質及びバインダー樹脂をテトラヒドロフラン、ジオキ
サン、ジクロルエタン、シクロヘキサノン等の溶媒を用
いて、分散機等で分散した塗工液を、浸漬塗工法やスプ
レーコート、ビードコートなどで塗工して形成できる。
ピリリウム系染料、ビスフェノールA系ポリカーボネー
トから形成される共晶錯体に電荷輸送物質を添加した光
導電層も、適当な塗工液から同様な塗工法で形成でき
る。単層光導電層の膜厚は5〜100μm程度が適当で
ある。
【0032】なお、本発明において光導電層の上に更に
保護層を設けることも可能である。また、光導電層と導
電性基体との間に中間層を設けることも可能である。
【0033】また、本発明においては、透光性の導電層
を有する光導電体に対して、透明支持体側より光照射す
る電子写真方法が提供される。電子写真プロセスにおい
ては、画像露光による静電潜像の形成、現像、転写、ク
リーニングの各工程が繰り返し適用されるが、この間
に、イレーズ露光や、光照射を併用した転写工程、除電
工程、クリーニング工程、あるいは前露光などにおい
て、感光体に光が照射される。本発明においては、これ
らの光照射工程のうち、少なくとも1つ以上の光照射を
光導電体の透明支持体側より行なうものである。
【0034】光照射工程に用いられる光源としては、蛍
光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、
ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レー
ザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)など
の発光物全般を用いることができる。そして、所望の波
長域の光のみを照射するために、シャープカットフィル
ター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルタ
ー、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温
度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることも
できる。
【0035】図4に、本発明の電子写真プロセスの一例
を示す。導電層が透光性を有してなる光導電体21は、
駆動ローラ22a、22bにより駆動され、帯電器23
による帯電、光源24による像露光、現像(図示せ
ず)、帯電器25を用いる転写、光源26によるクリー
ニング前露光、ブラシ27によるクリーニング、光源2
8による除電が繰り返し行なわれる。図4においては、
光導電体21に透明支持体側よりクリーニング前露光の
光照射が行なわれる。
【0036】図5に、本発明の電子写真プロセスの別の
例を示す。導電層が透光性を有してなる光導電体21
は、光源24による像露光、光源28による除電も透明
支持体側より光照射が行なわれる。
【0037】以上の図示した電子写真プロセスは、本発
明における実施態様を例示するものであって、もちろん
他の実施形態も可能である。例えば、導電層が透光性を
有してなる光導電体は、図4及び5にエンドレスベルト
の形状が示されているが、円筒状であってもよいし、ま
たシート状でも板状でもよい。一方、光照射工程は、像
露光、クリーニング前露光、除電露光が図示されている
が、他に転写前露光、像露光のプレ露光、及びその他公
知の光照射工程においても、光導電体に透明支持体側よ
り光照射を行なうこともできる。
【0038】
【実施例】次に、本発明を実施例により説明するが、こ
れにより本発明の態様が限定されるものではない。部は
いずれも重量基準である。
【0039】実施例1〜4及び比較例1〜3 厚さ75μmのポリエチレンテレフタレート(PET)
フィルム上にアンチモンをドープした酸化スズをスパッ
タリングにより膜厚600Åに製膜した。このものの表
面抵抗は、400Ω/cm2であった。この上にAl、
In、Mn、Ta、Fe、Auを各々、真空蒸着法ある
いはスパッタリングにより100Åの金属層を設けた。
【0040】次に、上記6種の金属層上、及び金属層を
設けない上記酸化スズ上に、下記組成の電荷発生層塗工
液及び電荷輸送層塗工液を、順次塗布乾燥し、厚さ0.
2μmの電荷発生層及び厚さ25μmの電荷輸送層を形
成した。
【0041】 電荷発生層塗工液 下記構造の電荷発生物質 5部
【化1】 ポリビニルブチラール樹脂 0.5部 〔電気化学工業(株):デンカブチラール#4000〕 シクロヘキサノン 250部 2−ブタノン 90部
【0042】 電荷輸送層塗工液 下記構造の電荷輸送物質 9部
【化2】 ポリカーボネート 10部 〔帝人化成(株):パンライトK−1300〕 塩化メチレン 250部
【0043】比較例4 厚さ75μmのPETフィルム上に、Alを300Åの
厚さに真空蒸着法により設けた。この上に、実施例1と
同じ電荷発生層と電荷輸送層を設けた。
【0044】次に、実施例1〜4及び比較例1〜4の各
感光体を、静電複写試験装置(川口電気製作所:SP−
428型)を用いて、次のように評価した。
【0045】まず、−5.2KVの放電々圧にてコロナ
帯電を20秒間行ない、次いで10秒間暗減衰させ、そ
の後5luxのタングステン光を照射した。この時の帯
電開始20秒後の表面電位V20(V)及び暗減衰10秒
後の表面電位V30(V)を測定し、またV30を1/5の
電位に光減衰させるのに必要な露光量E1/5(lux
・sec)を測定した。なお、暗減衰率(D.D)は、
次式で定義される。 D.D=V30/V20 また、露光20秒後の表面電位VR(V)を残留電位と
定義する。更に、上記条件の帯電と露光を同時に5時間
行なって疲労させた後、再び前記と同様の測定を行なっ
た。試験結果を表1に示すが、試験はすべて常温常湿下
で行なった。
【0046】
【表1】
【0047】実施例5〜10 厚さ1mmのガラス板上に、スパッタリングにより50
0ÅのITO層を設けた。更に、この上に30Å、70
Å、100Å、150Å、200Å、270ÅのAl層
を設けた。このようにして得られた導電性基体の光透過
率を測定した。その結果を表2に示す。
【0048】
【表2】
【0049】比較例5 厚さ1mmのガラス板上に、スパッタリングにより25
0Åのニクロム層を設けた。更に、この上に100Åの
Al層を設けた。このようにして得られた導電性基体の
平均光透過率を測定したところ、0.5%であった。
【0050】実施例11 実施例1に示したものと同じ光導電体を、ベルト接合、
接地層処理し、実装用の光導電体とした。この光導電体
を、図4に示される電子写真プロセスに搭載し、繰り返
し画像出しを行なったところ、鮮明な画像が得られた。
【0051】比較例6 実施例1に用いたものと同じPETフィルム上に、実施
例1と同じ光導電層を設けた。この光導電層を、実施例
11と同様に、ベルト接合、接地層処理し、実装用の光
導電体とした後、実施例11と同様な電子写真プロセス
により画像出しを行なったところ、画像上にカブリを生
じた。
【0052】
【発明の効果】請求項1の導電性基体は、透明支持体上
に、金属酸化物からなる透明導電層及び仕事関数が4.
3eV以下の金属からなる金属層をその順に積層してな
るものとしたことから、前記透明導電層により、酸化等
の劣化が発生せず、且つ光透過性に優れたものとなり、
しかも前記金属層により、光導電体に良好な帯電性を付
与できるものとなる。
【0053】請求項2の導電性基体は、前記の仕事関数
が4.3eV以下の金属が、アルミニウム及び/又はイ
ンジウムを主成分とするものであるとしたことから、光
導電体により良好な帯電性を付与できるという効果が加
わる。
【0054】請求項3の導電性基体は、前記金属層の厚
さを100Å以下としたことから、光透過性が更に向上
するという効果が加わる。
【0055】請求項4の光導電体は、透明支持体上に、
金属酸化物からなる透明導電層、仕事関数が4.3eV
以下の金属からなる金属層及び光導電層を順次積層して
なるものとしたことから、繰り返し使用しても透明導電
層の劣化に基づく感度低下が発生せず、且つ帯電性に優
れたものとなる。
【0056】請求項5の電子写真方法は、光導電体に帯
電、露光、現像、転写、クリーニング、除電を繰り返し
行なう電子写真方法において、前記請求項4の光導電体
を用い、且つ該光導電体に透明支持体側より光照射する
という構成にしたことから、該光導電体が帯電性に優れ
ているだけではなく、前記支持体側からの裏面露光に対
しても十分光減衰を生じるため、本方法によると、非常
に効果的に裏面露光を行なうことができる。従って、本
方法によれば、電子写真プロセスの光導電体周辺の設計
の自由度が増し、また電子写真装置の小型化に貢献する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の導電性基体の構成例を示す模式断面図
である。
【図2】本発明の光導電体の構成例を示す模式断面図で
ある。
【図3】(a)は本発明の光導電体の別の構成例を示す
模式断面図であり、(b)は本発明の光導電体の更に別
の構成例を示す模式断面図である。
【図4】本発明の電子写真プロセスの一例を示す説明図
である。
【図5】本発明の電子写真プロセスの別の例を示す説明
図である。
【符号の説明】
11…透明支持体 12…透明導電層 13…金属層 15…光導電層 17…電荷発生層 19…電荷輸送層 21…光導電体 22a,22b…駆動ローラ 23…帯電器 24…光源(像露光用) 25…帯電器 26…光源(クリーニング前露光用) 27…ブラシ 28…光源(除電用)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明支持体上に、金属酸化物からなる透
    明導電層、及び仕事関数が4.3eV以下の金属からな
    る金属層を順次積層してなることを特徴とする導電性基
    体。
  2. 【請求項2】 前記仕事関数が4.3eV以下の金属
    が、アルミニウム及び/又はインジウムを主成分とする
    ものである請求項1に記載の導電性基体。
  3. 【請求項3】 前記金属層の厚さが100Å以下である
    請求項1又は2に記載の導電性基体。
  4. 【請求項4】 透明支持体上に、金属酸化物からなる透
    明導電層、仕事関数が4.3eV以下の金属からなる金
    属層及び光導電層を順次積層してなることを特徴とする
    光導電体。
  5. 【請求項5】 光導電体に帯電、露光、現像、転写、ク
    リーニング、除電を繰り返し行なう電子写真方法におい
    て、請求項4に記載の光導電体を用い、しかも該光導電
    体に透明支持体側より光照射することを特徴とする電子
    写真方法。
JP4577793A 1993-02-10 1993-02-10 導電性基体、光導電体及び電子写真方法 Pending JPH06236058A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4577793A JPH06236058A (ja) 1993-02-10 1993-02-10 導電性基体、光導電体及び電子写真方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4577793A JPH06236058A (ja) 1993-02-10 1993-02-10 導電性基体、光導電体及び電子写真方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06236058A true JPH06236058A (ja) 1994-08-23

Family

ID=12728729

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4577793A Pending JPH06236058A (ja) 1993-02-10 1993-02-10 導電性基体、光導電体及び電子写真方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06236058A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0772090A1 (en) * 1995-11-02 1997-05-07 Konica Corporation Electrophotographic photoreceptor and electrophotographic image forming method

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0772090A1 (en) * 1995-11-02 1997-05-07 Konica Corporation Electrophotographic photoreceptor and electrophotographic image forming method

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3350833B2 (ja) 電子写真用感光体
US5656406A (en) Electrophotographic photoconductor with amorphous carbon overlayer
JPH06175471A (ja) 画像形成装置
JPH0547822B2 (ja)
JP3949365B2 (ja) 電子写真感光体及びそれを用いた電子写真装置
JPH09101625A (ja) 電子写真用感光体
JPH06236058A (ja) 導電性基体、光導電体及び電子写真方法
JP3743161B2 (ja) 電子写真感光体及びその製造方法
JP3266387B2 (ja) 電子写真用感光体
JP3309305B2 (ja) 電子写真用感光体
JP3266380B2 (ja) 電子写真用感光体
JPH0566577A (ja) 電子写真感光体
JPH07181703A (ja) 電子写真感光体及び電子写真方法
JP2805050B2 (ja) 電子写真用感光体
JP3883320B2 (ja) 光導電体、有機顔料分散液およびそれを用いた光導電体の製造方法、電子写真方法、および電子写真装置
JP3885985B2 (ja) 電子写真感光体
JPH0588593A (ja) 電子写真方法
JP2897135B2 (ja) 電子写真用感光体
JP2006138932A (ja) 電子写真感光体、これを用いた画像形成方法、画像形成装置、及び画像形成用プロセスカートリッジ
JP3119860B2 (ja) 電子写真用感光体の作製方法
JPH0695400A (ja) 電子写真感光体
JPH0675395A (ja) 電子写真感光体
JP3978941B2 (ja) 電子写真感光体
JP3745531B2 (ja) 電子写真感光体、電子写真方法、電子写真装置および電子写真装置用プロセスカートリッジ
JPH05265232A (ja) 電子写真感光体