JP3266380B2 - 電子写真用感光体 - Google Patents

電子写真用感光体

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JP3266380B2
JP3266380B2 JP23321093A JP23321093A JP3266380B2 JP 3266380 B2 JP3266380 B2 JP 3266380B2 JP 23321093 A JP23321093 A JP 23321093A JP 23321093 A JP23321093 A JP 23321093A JP 3266380 B2 JP3266380 B2 JP 3266380B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は感光層上に表面保護層を
有してなる電子写真用感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子写真方式において使用される
感光体としては、導電性支持体上にセレンないしセレン
合金を主体とする光導電性を設けたもの、酸化亜鉛、硫
化カドミウムなどの無機系光導電材料をバインダー中に
分散させたもの、ポリ−N−ビニルカルバゾールとトリ
ニトロフルオレノンあるいはアゾ顔料などの有機光導電
材料を用いたもの、及び非晶質シリコン系材料を用いた
もの等が一般に知られている。ところで、一般に「電子
写真方式」とは、光導電性の感光体をまず暗所で例えば
コロナ放電によって帯電させ、次いで像露光し、露光部
のみの電荷を選択的に散逸せしめて静電潜像を得、この
潜像部を染料、顔料などの着色剤と高分子物質などの結
合剤とから構成される検電微粒子(トナー)で現像し可
視化して画像を形成するようにした画像形成法の一つで
ある。
【0003】このような電子写真法において感光体に要
求される基本的な特性としては (1)暗所で適当な電位に帯電できること。 (2)暗所において電荷の散逸が少ないこと。 (3)光照射によって速やかに電荷を散逸できること。
などが挙げられる。
【0004】近年、電子写真複写機の高速化、大型化が
進むなか、感光体に対して上記特性以外に長期繰返し使
用に際しても高画質を保つことのできる信頼性が強く要
求されるように成っている。複写機の中で感光体の寿命
を損なっている主な原因としては、大きく分けて2つ考
えられており、ひとつは現像プロセス、クリーニングプ
ロセス、コピー紙などから受ける機械的なストレスによ
ってひきおこされる摩耗やスクラッチによるもの、もう
ひとつは帯電、転写、分離過程等で受けるコロナ放電に
よって引き起こされる化学的な損傷によるものである。
前者の感光体の摩耗を防ぐ方法として、感光体表面に保
護層を設ける技術が知られている。
【0005】例えば感光層の表面に有機フィルムを設け
る方法(特公昭38−15466)、無機酸化物を設け
る方法(特公昭43−14517)、接着層を設けた
後、絶縁層を積層する方法(特公昭43−2759
1)、あるいはプラズマCVD法、光CVD法等によっ
てa−Si層、a−Si:N:H層、a−Si:O:H
層等を積層する方法(特開昭57−179859、特開
昭59−58437)等が開示されている。また、近年
プラズマCVD法、光CVD法、スパッタ法等の方法で
得られる、炭素又は炭素を主成分とする高硬度膜(a−
C:H膜、無定形炭素膜、非晶質炭素膜、ダイアモンド
状炭素膜等と称されている)の感光体保護層への応用が
活発化している。
【0006】例えば感光層の表面に無定形炭素又は硬質
炭素からなる保護層を設けたもの(特開昭60−249
155)、最表面にダイヤモンド状カーボン保護層を設
けたもの(特開昭61−255352)、感光層上に炭
素を主成分とする高硬度絶縁層を形成したもの(特開昭
61−264355)あるいは有機感光層上に窒素原
子、酸素原子、ハロゲン原子、アルカリ金属原子等の原
子を少なくとも含むグロー放電により生成された非晶質
炭化水素膜からなる保護層を設けたもの(特開昭63−
220166〜9)などを挙げることができる。これら
の方法により表面硬度が非常に向上した耐摩耗性に優れ
た感光体が得られるようになった。しかし、炭素又は炭
素を主成分とする高硬度膜は短波長〜可視域波長に光吸
収を有し、応用する感光体が長波長用の物に限られてし
まうという欠点を有していた。
【0007】そこで本発明者は炭素又は炭素を主成分と
する保護層と同等の機械的耐久性を有し、可視域波長に
おいても良好な透過率を有する応用する感光体の制限の
少ない改良された保護層としてSn,C,O,Hから構
成されるプラズマCVD薄膜保護層(特開昭63−26
4766)、および揮発性の金属含有化合物、あるいは
揮発性の金属含有化合物と揮発性有機化合物の混合ガス
を出発材料としてグロー放電分解法により堆積された膜
からなる保護層(特開平2−50166)を出願した。
本発明の保護層は、光学的、機械的特性に非常に優れた
ものであるが、その後のテストにより、長期間(10万
枚以上)使用された場合、電子写真プロセスにより受け
る局部的でかつ長期的な機械的ストレスにより保護層が
感光層より剥離してしまうという問題があることが判明
した。また、同時に長期間の使用により、感光体の帯電
性が低下して、正常な画像を得ることができなくなると
いう問題も判明した。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこれらの問題
点を解決するためになされたものであって、その目的は
有機系感光層上に製膜した揮発性の金属含有化合物、あ
るいは揮発性の金属含有化合物と揮発性有機化合物の混
合ガスを出発材料としてグロー放電分解法により堆積さ
れた膜からなる保護層および少なくともSn,C,O,
Hから構成されるプラズマCVD薄膜保護層を積層した
構成の電子写真用感光体において、保護層の耐剥離性を
向上させ、かつ長期的に安定した画像形成を行うことが
可能な電子写真用感光体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に鋭意検討した結果、導電性支持体上に少なくとも有機
系感光層、第1表面保護層、第2表面保護層を順次積層
した構成として、第1表面保護層を炭素を主成分とし、
それ以外に水素、酸素だけを含有する膜とし、第2表面
保護層を揮発性の金属含有化合物、あるいは揮発性の金
属含有化合物と揮発性有機化合物の混合ガスを出発材料
としてグロー放電分解法により堆積された膜からなる保
護層または少なくともSn,C,O,Hから構成される
プラズマCVD薄膜保護層とすることにより上記目的を
達成できることが明らかになった。これは有機系感光層
上に、炭素を主成分とし、それ以外に水素、酸素だけを
含有する第1表面保護層が存在すると第2表面保護層を
製膜するときの雰囲気(プラズマ状態)から有機系感光
層が受ける化学的、物理的損傷を第1表面保護層が存在
しない場合と比較して大幅に低減できるためと考えられ
るが、その詳細な機構はまだ明らかになっていない。以
下、図面に沿って本発明を説明する。
【0010】図1は本発明の電子写真用感光体の模式断
面図であり、導電性支持体1上に感光層2、第1表面保
護層3、第2表面保護層4を順次設けた構成のものであ
る。図2(a)〜(d)は各々本発明の他の電子写真用
感光体の構成例を示すものであり、図2(a)は感光層
2が電荷発生層(CGL)2aと電荷輸送層(CTL)
2bより構成される機能分離型タイプのもの、図2
(b)は導電性支持体1上に下引層5を介して感光層
2、第1表面保護層3、第2表面保護層4を順次設けた
ものであり、図2(c)は導電性支持体1上に下引層5
を介して機能分離型タイプの感光層2a,2b及び第1
表面保護層3、第2表面保護層4を順次設けた構成のも
の、図2(d)は機能分離型タイプの感光層2のCG
L、CTLの積層順序が逆になっているものをそれぞれ
示したものである。又、導電性支持体1上に感光層2と
第1表面保護層3、第2表面保護層4を少なくとも有し
ていれば、上記のその他の層、及び感光層のタイプは任
意に組み合わされていても構わない。
【0011】本発明において電子写真用感光体に使用さ
れる導電性支持体としては、導電体あるいは導電処理を
した絶縁体、例えばAl,Fe,Cu,Auなどの金属
あるいはそれらの合金の他、ポリエステル、ポリカーボ
ネート、ポリイミド、ガラス等の絶縁性基体上にAl,
Ag,Au等の金属あるいはIn23,SnO2等の導
電材料の薄膜を形成したもの、導電処理をした紙等が使
用できる。導電性支持体の形状は特に制約はなく板状、
ドラム状あるいはベルト状のいずれのものも使用でき
る。
【0012】導電性支持体と感光層との間に必要に応じ
設けられる下引層は感光特性の改善、接着性の向上等の
目的で設けられ、その材料としてはSiO,Al23
シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロム
カップリング剤等の無機材料やポリアミド樹脂、アルコ
ール可溶性ポリアミド樹脂、水溶性ポリビニルブチラー
ル、ポリビニルブチラール、PVA等の接着性のよいバ
インダー樹脂等が使用される。その他、前記接着性のよ
い樹脂にZnO,TiO2,ZnS等を分散したものも
使用できる。下引層の形成方法としては無機材料単独の
場合はスパッタリング、蒸着等の方法が、また有機材料
を用いた場合は通常の塗布法が採用される。なお、下引
層の厚さは5μm以下が適当である。この導電性支持体
に直接あるいは下引層を介して設けられる有機系感光層
の種類は、単層型、機能分離型のいずれもが適用でき
る。これらについて以下に簡単に説明する。
【0013】単層型有機感光層の例としては、色素増感
された酸化亜鉛、酸化チタン、硫酸亜鉛等の光導電性粉
体、無定形シリコン粉体、スクアリック塩顔料、フタロ
シアニン顔料、アズレニウム塩顔料、アゾ顔料等を必要
に応じて結着剤樹脂及び/又は後述する電子供給性化合
物と共に塗布形成されたもの、またビリリウム系染料と
ビスフェノールA系のポリカーボネートとから形成され
る共晶錯体に電子供与性化合物を添加した組成物を用い
たもの等が挙げられる。結着樹脂としては後述する機能
分離型感光体と同様のものを使用することができる。こ
の単層型感光体の厚さは5〜30μmが適当である。一
方、機能分離型感光層の例としては電荷発生層(CG
L)と電荷輸送層(CTL)を積層したものが例示され
る。画像露光により潜像電荷を発生分離させるための電
荷発生層を積層したものが例示される。画像露光により
潜像電荷を発生分離させるための電荷発生層(CGL)
としては、結晶セレン、セレン化ヒ素等の無機光導電性
粉体あるいは有機系染顔料を結着剤樹脂に分散もしくは
溶解させたものが用いられる。
【0014】電荷発生物質としての有機系染顔料として
は、例えばシーアイピグメントブルー25〔カラーイン
デックス(CI)21180〕、シーアイピグメントレ
ッド41(CI21200)、シーアイアシッドレッド
52(CI45100)、シーアイベーシックレッド3
(CI45210)、さらにポリフィリン骨格を有する
フタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクアリ
ック塩顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料(特開
昭53−95033号公報に記載)、スチリルスチルベ
ン骨格を有するアゾ顔料(53−138229号公報に
記載)、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料(特
開昭53−132547号公報に記載)、ジベンゾチオ
フェン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−21728
号公報に記載)、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔
料(特開昭54−12742号公報に記載)、フルオレ
ノン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−22834号
公報に記載)、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料
(特開昭54−17733号公報に記載)、ジスチリル
オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−
2129号公報に記載)、ジスチリルカルバゾール骨格
を有するアゾ顔料(特開昭54−17734号公報に記
載)、カルバゾール骨格を有するトリアゾ顔料(特開昭
57−195767号公報、同57−195768号公
報に記載)等、さらにシーアイピグメントブルー16
(CI74100)等のフタロシアニン系顔料、シーア
イバッドブラウン5(CI73410)、シーアイバッ
ドダイ(CI73030)等のインジゴ系顔料、アルゴ
スカーレットB(バイオレット社製)、インダンスレン
スカーレットR(バイエル社製)等のペリレン系顔料等
を使用することができる。
【0015】これらの電荷発生物質は単独であるいは2
種以上併用して用いられる。結着剤樹脂は、電荷発生物
質100重量部に対して0〜100重量部用いるのが適
当であり、好ましくは0〜50重量部である。これら有
機染顔料と併用される結着剤樹脂としてはポリアミド、
ポリウレタン、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリカー
ボネート、ポリエーテルなど縮合系樹脂並びにポリスチ
レン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ−
N−ビニルカルバゾール、ポリビニルブチラール、スチ
レン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリ
ル共重合体等の重合体および共重合体等の接着性、絶縁
性樹脂が挙げられる。
【0016】電荷発生層は電荷発生物質を必要ならばバ
インダー樹脂とともに、テトラヒドロフラン、シクロヘ
キサノン、ジオキサン、ジクロルエタン等の溶媒を用い
てボールミル、アトライター、サンドミルなどにより分
散し、分散液を適当に希釈して塗布することにより形成
できる。塗布は浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコ
ート法などを用いて行うことができる。電荷発生層の膜
厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは
0.1〜2μmである。
【0017】また、本発明において、電荷発生物質とし
て結晶セレン又はセレン化ヒ素合金等の粒子を用いる場
合には、電子供与性粘着剤及び/又は電子供与性有機化
合物とが併用される。このような電子供与性物質として
はポリビニルカルバゾールおよびその誘導体(例えばカ
ルバゾール骨格に塩素、臭素などのハロゲン、メチル
基、アミノ基などの置換基を有するもの)、ポリビニル
ピレン、オキサジアゾール、ピラゾリン、ヒドラゾン、
ジアリールメタン、α−フェニルスチルベン、トリフェ
ニルアミン系化合物などの窒素含有化合物及びジアリー
ルメタン系化合物等があるが、特にポリビニルカルバゾ
ールおよびその誘導体が好ましい。またこれらの物質は
混合しても用いられるが、この場合にはポリビニルカル
バゾールおよびその誘導体に他の電子供与性有機化合物
を添加しておくことが好ましい。この種の無機系電荷発
生物質の含有量は層全体の30〜90重量%が適当であ
る。また無機系電荷発生物質を用いた場合の電荷発生層
の厚さは0.2〜5μm程度が適当である。
【0018】電荷輸送層(CTL)は帯電電荷を保持さ
せ、かつ露光により電荷発生層で発生分離した電荷を移
動させて保持していた帯電電荷と結合させることを目的
とする層である。帯電電荷を保持させる目的達成のため
に電気抵抗が高いことが要求され、また保持していた帯
電電荷で高い表面電位を得る目的を達成するためには、
誘電率が小さくかつ電荷移動性がよいことが要求され
る。これらの要件を満足させるための電荷輸送層は、電
荷輸送物質及び必要に応じて用いられるバインダー樹脂
より構成される。すなわち、以上の物質を適当な溶剤に
溶解ないし分散してこれを塗布乾燥することにより電荷
輸送層を形成することができる。電荷輸送層には、正孔
輸送物質と電子輸送物質とがある。
【0019】正孔輸送物質としては、ポリ−N−ビニル
カルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリ
ルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホル
ムアルデヒド縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレ
ン、ポリビニルフェナントレン、オキサゾール誘導体、
オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフ
ェニルアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリ
ル)アントラセン、1,1−ビス−(4−ジベンジルア
ミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチ
リルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニル
スチルベン誘導体等の電子供与性物質が挙げられる。
【0020】電子輸送物質としては、例えばクロルアニ
ル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシア
ノキノンジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フル
オレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオ
レン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,
4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリ
ニトロ−4H−インデノ(1,2−b)チオフェノン−
4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェノ
ン−5,5−ジオキサイドなどの電子受容物質が挙げら
れる。これらの電荷輸送物質は、単独又は2種以上混合
して用いられる。
【0021】また、必要に応じて用いられるバインダー
樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニト
リル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレ
ン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化
ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビ
ニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリレート樹脂、フ
ェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹
脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポ
リビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−
ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、
エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノー
ル樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性樹脂又は熱硬化性
樹脂が挙げられる。溶剤としては、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサン、トルエン、モノクロルベンゼン、ジク
ロルエタン、塩化メチレンなどが用いられる。
【0022】電荷輸送層の厚さは5〜100μm程度が
適当である。また電荷輸送層中に可塑剤やレベリング剤
を添加してもよい。可塑剤としては、ジブチルフタレー
ト、ジオクチルフタレートなど一般の樹脂の可塑剤とし
て使用されているものがそのまま使用でき、その使用量
は、バインダー樹脂に対して0〜30重量%程度が適当
である。レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオ
イル、メチルフェニルシリコーンオイルなどのシリコー
ンオイル類が使用され、その使用量はバインダー樹脂に
対して0〜1重量%程度が適当である。これらのCGL
とCTLは支持体上に支持体側からCGL、CTLの順
に積層しても、CTL、CGLの順に積層しても構わな
い。
【0023】感光層表面に耐剥離性の向上、帯電性の低
下の抑制のために積層する第1表面保護層は、炭素を主
成分とし、それ以外に水素、酸素だけを主成分とする高
硬度薄膜より構成されるものである。炭素を主成分と
し、それ以外に水素、酸素だけを含有する第1表面保護
層とは、好ましくはSP3軌道を有するダイヤモンドと
類似のC−C結合を有した膜のことである。またこの膜
中には、SP2軌道を有するグラファイトと類似の構造
を含んでいても構わないし、結晶構造は結晶質でも非晶
質性のものであっても構わない。
【0024】このような膜は、炭化水素ガス(メタン、
エタン、エチレン、アセチレン等)を主材料として、H
2,Ar等のキャリアガスやCO2等の添加物ガスを伴っ
たプラズマCVD法、グロー放電分解法、光CVD法な
どやグラファイト等をターゲットとしたスパッタリング
法等により形成され、特にその製膜法は限定されるもの
ではないが、プラズマCVD法、あるいはグロー放電分
解法を利用した製膜法によれば支持体を特に加熱する必
要がなく、約150℃以下の低温で被膜を形成できるた
め、耐熱性の低い有機系感光層上に保護層を形成する際
にも、何ら支障がないというメリットがある。この炭素
を主成分とし、それ以外に水素、酸素だけを含有する第
1表面保護層の膜厚は製膜時間の制御等により調節でき
るが、50Å〜5000Åの範囲が望ましい。50Å以
下では耐剥離性の向上、帯電性の低下の抑制効果が発生
せず、5000Å以上になると、この第1表面保護層の
可視域での光吸収が大きくなり、感光体光感度の低下が
発生するようになるからである。上記の第1表面保護層
上に積層する第2表面保護層は少なくとも炭素、金属元
素、酸素、水素を含有する膜より構成されるものであ
る。
【0025】このような膜は、揮発性の金属含有化合
物、あるいは揮発性の金属含有化合物と揮発性有機化合
物の混合ガスを出発材料としたプラズマCVD法あるい
はグロー放電分解法等により形成され、特にその製膜法
は限定されるものではないが、プラズマCVD法、ある
いはグロー放電分解法を利用した製膜法によれば第1表
面保護層同様に支持体を特に加熱する必要がなく、約1
50℃以下の低温で被膜を形成できるため、耐熱性の低
い有機系感光層上に保護層を形成する際にも、何ら支障
がないというメリットがある。また、上記の方法では、
気相製膜であるため、各構成元素を原子、分子レベルの
大きさで均一に導入することが可能であり、ピンホール
が少なく、化学的、物理的な負荷に強い膜を得られると
いう特徴がある。
【0026】第2表面保護層形成の際に使用する揮発性
金属含有化合物とは常温で気体あるいは蒸気圧を有する
液体又は固体もしくは加熱することにより分解すること
なく蒸気圧が取り出せる液体又は固体状のもので具体的
にはテトラメチルスズ〔(CH 3 ) 4 Sn〕等の金属アル
キル化合物、テトラブトキシスズ〔Sn(t−OC 4 9 )
4 〕等の金属アルコキシド化合物、四塩化スズ(SnC
4 )等の金属ハロゲン化物、金属錯体化合物などが挙
げられる。なお常温または加熱により蒸気圧を取り出せ
る金属含有化合物であればすべて利用することができ、
これらの例示化合物に限定されるものではない。
【0027】一方、第2表面保護層の炭素源としてある
いは製膜速度の向上、電気特性の制御を目的として揮発
性金属含有化合物と併用して用いる揮発性有機化合物と
しては、メタン(CH4)、エタン(C26)、エチレ
ン(C24)、プロペン(C36)、アセチレン(C2
2)等の飽和あるいは不飽和炭化水素、ベンゼン、ト
ルエン、フェノール等の芳香族炭化水素、アクリル酸
(CH2=CH−COOH)、メタクリル酸〔CH2=C
(CH3)−COOH〕、メタクリル酸メチル〔CH2
C(CH3)−COOCH3〕、スチレン
【0028】
【化1】
【0029】アクリロニトリル(CH2=CH−CN)
等の有機化合物が挙げられるが、テトラメチルシラン、
テトラメチルジシラザン、テトラメチルジシロキサン等
のケイ素含有有機化合物も用いることができる。これも
常温または加熱により蒸気圧が取り出せるものであれ
ば、気体、液体、固体のいずれであっても構わず、上記
例示化合物に限定されるものではない。これらの出発物
質は揮発性金属含有化合物を単独で使用するか、あるい
はまた揮発性金属含有化合物、揮発性有機化合物とを混
合して使用する。さらに、揮発性金属含有化合物、揮発
性有機化合物それぞれ複数の種類の化合物を混合して用
いても構わない。
【0030】加えてこれらの出発物質を反応装置に導入
するためにAr,N2,H2,O2等のガスをキャリアガ
スとして使用しても構わない。少なくとも炭素、金属元
素、酸素、水素を含有する第2表面保護層中の金属元素
としては保護層比抵抗の制御性、保護層分光透過率の点
でSnが良好な特性を有している。Snを第2表面保護
層中の金属元素として用いた場合、各元素の組成比が以
下の範囲にあることが電気特性、光学特性、機械特性の
総合特性の点から好ましい。
【0031】(SnxOyCz)l-mHm (x,y,zはいずれも原子比で、x+y+z=1、x
=0.05〜0.7、y=0.05〜0.6、z=0.
05〜0.9、0≦m≦0.4) これらの組成からはずれると、電気特性、光学特性、機
械特性のいずれかの特性が電子写真用感光体の保護層と
して好ましくない範囲に外れてしまう様になる。第2表
面保護層の膜厚は5000Å〜5μmが好ましい。50
00Åより膜厚が小さいと機械的耐久性が不十分であ
り、5μmより大きくなると、光吸収が大きくなった
り、微小画像再現性が低下する等の不具合が生じる。
【0032】第1表面保護層あるいは第2表面保護層を
前述の出発材料を用いて形成するのに好適なグロー放電
分解法は例えば図3に示すような装置によって実施され
る。図中21は真空槽で内部にモーター7により回転せ
しめられるマンドレル8に保持された有機光導電層を有
する導電性支持体よりなる被処理体6を配置してある。
被処理体6の内側には必要に応じてヒーター9を設けて
もよい。また、被処理体6の回りにはグロー放電を行う
ための対向電極10を設けてある。図3においては対向
電極10に高周波電源11が接続され、被処理体6がア
ースされているが、これと逆であっても構わない。更に
被処理体6に高周波電源11とは別のバイアス印加用電
源が接続されていても構わない。
【0033】12は真空槽排気用真空ポンプ、13は排
気及び圧力調整用排気弁、14は真空計である。15は
揮発性金属含有化合物、17は揮発性有機化合物をそれ
ぞれ収納した容器の一例で、必要であればいずれも恒温
槽16,18にて一定温度に保つことができる。20は
キャリアガスボンベ群で前述のキャリアガスを収納して
おり必要に応じて真空槽内に導入する。なお、図3にお
いては高周波電力を印加することによりグロー放電を得
ているが、これに限らず直流や光その他の方法で励起さ
れるグロー放電を使用することもできる。以下、実施例
及び比較例により本発明の詳細を示す。なお、実施例に
記載の各成分の量(部)は重量部である。
【0034】
【実施例】
実施例1 アルミニウム製シリンダー状支持体(外径80mmφ、
長さ340mm)に下記の下引層形成液を乾燥後の膜厚
が約2μmになるように浸漬法で塗布し、下引層を形成
した。 〔下引層形成液〕 アルキッド樹脂(ベッコゾール1307−60−EL 大日本イ ンキ化学工業) 3部 メラミン樹脂(スーパーベッカミンG−821−60 大日本イ ンキ化学工業) 2部 酸化チタン(タイペークCR−EL 石原産業社) 25部 メチルエチルケトン 15部 これらを3日間分散した後、メチルエチルケトン/i−
プロピルアルコール(10/5部)で希釈し、更に以下
の組成物を滴下希釈して下引層形成液を調製した。
【0035】 ポリエチレングリコール(PEG6000S 三洋化成) 0.5部 i−プロピルアルコール 5部 この下引層上に下記構造のビスアゾ顔料を含む電荷発生
層形成液を浸漬塗工し、120℃で10分間乾燥させ、
膜厚約0.15μmの電荷発生層(CGL)を形成し
た。
【0036】 〔電荷発生層形成液〕 下記構造のビスアゾ顔料 1部
【0037】
【化2】
【0038】 メチルエチルケトン 9部 以上を60mmφガラスポットを入れ、更に5mmφP
SZボールを加えて、72時間ボールミリングした後、
シクロヘキサノン/メチルエチルケトン/ポリビニルブ
チラール樹脂(40/10/0.1部)で希釈して電荷
発生層形成液を調製した。次いで、このCGL上に下記
組成の電荷輸送層形成液を乾燥後の膜厚が約30μmに
なるように浸漬塗工して電荷輸送層(CTL)を形成
し、有機系感光層を作製した。
【0039】〔電荷輸送層形成液〕
【0040】
【化3】
【0041】 9部 ポリカーボネートZ(分子量4万 帝人化成) 10部 ジクロロメタン 85部 シリコンオイル(信越化学工業KF−50) 0.002部 以上を混合溶解して電荷輸送層形成液を調製した。この
様にして作製した有機系感光層を図3に示すようなプラ
ズマCVD装置にセットし、第1及び第2表面保護層の
製膜を行った。まず、第1表面保護層として炭素を主成
分とし、それ以外に水素、酸素だけを含有する膜の成膜
条件は以下のとおりで行った。
【0042】 製膜前排気圧力 :2×10-5以下 C24流量 :200sccm 反応圧力 :0.03Tor
r 高周波電力出力(13.56MHz):100W バイアス電圧 :−200V この膜の組成分析をXPS法により行った結果、膜が炭
素、酸素、水素より構成されていることが判明した。製
膜時間の調節により第1表面保護層膜厚を500Åとし
た。第1表面保護層の製膜後、C24の導入と高周波電
力の印加を停止し、真空排気を行った後、第2表面保護
層を以下の製膜条件にて行った。
【0043】 製膜前排気圧力 :2×10-5以下 Ar流量 :100sccm テトラメチルスズ流量: :25sccm アクリル酸流量: :75sccm 反応圧力 :0.03Tor
r 高周波電力出力(13.56MHz):200W バイアス電圧 :−5V 製膜時間の調節により第2表面保護層膜厚を2μmとし
た。この膜の組成分析をXPS法により行った結果、
(Sn0.080.060.860.60.4であることが判明し
た。以上のようにして有機系感光層上に第1及び第2表
面保護層が積層された実施例1の電子写真用感光体を作
製した。
【0044】実施例2 第1表面保護層膜厚を50Åとした以外は実施例1と同
様にして実施例2の電子写真用感光体を作製した。 実施例3 第1表面保護層膜厚を5000Åとした以外は実施例1
と全く同様にして実施例2の電子写真用感光体を作製し
た。 実施例4 第2表面保護層膜厚を5000Åとした以外は実施例1
と全く同様にして実施例4の電子写真用感光体を作製し
た。 実施例5 第2表面保護層膜厚を5μmとした以外は実施例1と全
く同様にして実施例5の電子写真用感光体を作製した。
【0045】実施例6 有機系感光層及び第1表面保護層の形成を実施例1と全
く同様にして行った後、C24の導入と高周波電力の印
加を停止し、真空排気を行った後、第2表面保護層を以
下の製膜条件にて行った。 製膜前排気圧力 :2×10-5以下 Ar流量 :100sccm テトラメチルスズ流量 :25sccm メタクリル酸メチル流量 :75sccm 反応圧力 :0.03Tor
r 高周波電力出力(13.56MHz):200W バイアス電圧 :−10V 製膜時間の調節により第2表面保護層膜厚を2μmとし
た。この膜の組成分析をXPS法により行った結果、
(Sn0.650.190.160.60.4であることが判明し
た。以上のようにして有機系感光層上に第1及び第2表
面保護層が積層された実施例6の電子写真用感光体を作
製した。
【0046】実施例7 有機系感光層及び第1表面保護層の形成を実施例1と全
く同様にして行った後、C24の導入と高周波電力の印
加を停止し、真空排気を行った後、第2表面保護層を以
下の製膜条件にて行った。 製膜前排気圧力 :2×10-5以下 Ar流量 :100sccm テトラメチルスズ流量 :75sccm メタクリル酸メチル流量 :25sccm 反応圧力 :0.03Tor
r 高周波電力出力(13.56MHz):200W バイアス電圧 :−5V 製膜時間の調節により第2表面保護層膜厚を2μmとし
た。この膜の組成分析をXPS法により行った結果、
(Sn0.600.200.200.60.4であることが判明し
た。以上のようにして有機系感光層上に第1及び第2表
面保護層が積層された実施例7の電子写真用感光体を作
製した。
【0047】
【0048】比較例1 実施例1の有機系感光層のみを全く同様にして形成した
ものを、比較例1の電子写真用感光体として作製した。 比較例2 有機系感光層及び第1表面保護層の形成を実施例1と全
く同様にして行った後、C24の導入と高周波電力の印
加を停止し、真空排気を行った後、第2表面保護層とし
て炭素を主成分とし酸素、水素、窒素を含有する膜の形
成を以下の製膜条件にて行った。
【0049】製膜前排気圧力 :2
×10-5以下 C24流量 :90sccm H2流量 :210sccm NF3流量 :45sccm 反応圧力 :0.03Tor
r 高周波電力出力(13.56MHz):100W バイアス電圧 :−10V 製膜時間の調節により第2表面保護層膜厚を2μmとし
た。以上のようにして有機系感光層上に炭素を主成分と
し、それ以外に水素、酸素だけを含有する第1表面保護
層及び炭素を主成分とし酸素、水素、窒素を含有する第
2表面保護層が積層された比較例2の電子写真用感光体
を作製した。
【0050】比較例3 実施例1において第1表面保護層を形成しない以外は全
く同様にして比較例3の電子写真用感光体として作製し
た。 比較例4 実施例1において第1表面保護層の膜厚を10Åとした
以外は全く同様にして比較例4の電子写真用感光体を作
製した。 比較例5 実施例1において第1表面保護層の膜厚を1μmとした
以外は全く同様にして比較例5の電子写真用感光体を作
製した。 比較例6 実施例1において第2表面保護層の膜厚を1000Åと
した以外は全く同様にして比較例6の電子写真用感光体
を作製した。 比較例7 実施例1において第2表面保護層の膜厚を10μmとし
た以外は全く同様にして比較例7の電子写真用感光体を
作製した。
【0051】比較例8 有機系感光層及び第1表面保護層の形成を実施例1と全
く同様にして行った後、C24の導入と高周波電力の印
加を停止し、真空排気を行った後、第2表面保護層を以
下の製膜条件にて行った。 製膜前排気圧力 :2×10-5以下 Ar流量 :100sccm テトラメチルスズ流量 :10sccm アクリル酸流量 :90sccm 反応圧力 :0.03Tor
r 高周波電力出力(13.56MHz):200W バイアス電圧 :−5V 製膜時間の調節により第2表面保護層膜厚を2μmとし
た。この膜の組成分析をXPS法により行った結果、
(Sn0.010.040.950.60.4であることが判明し
た。以上のようにして有機系感光層上に第1及び第2表
面保護層が積層された比較例8の電子写真用感光体を作
製した。
【0052】比較例9 有機系感光層及び第1表面保護層の形成を実施例1と全
く同様にして行った後、C24の導入と高周波電力の印
加を停止し、真空排気を行った後、第2表面保護層を以
下の製膜条件にて行った。 製膜前排気圧力 :2×10-5以下 Ar流量 :100sccm テトラメチルスズ流量 :25sccm アクリル酸流量 :75sccm O2流量 :100sccm 反応圧力 :0.03Tor
r 高周波電力出力(13.56MHz):200W バイアス電圧 :−5V 製膜時間の調節により第2表面保護層膜厚を2μmとし
た。この膜の組成分析をXPS法により行った結果、
(Sn0.420.560.020.70.3であることが判明し
た。以上のようにして有機系感光層上に第1及び第2表
面保護層が積層された比較例9の電子写真用感光体を作
製した。
【0053】比較例10 有機系感光層及び第1表面保護層の形成を実施例1と全
く同様にして行った後、C24の導入と高周波電力の印
加を停止し、真空排気を行った後、第2表面保護層を以
下の製膜条件にて行った。 製膜前排気圧力 :2×10-5以下 Ar流量 :100sccm 銅アセチルアセトナート流量 :25sccm アクリル酸流量 :75sccm 反応圧力 :0.03Tor
r 高周波電力出力(13.56MHz):200W バイアス電圧 :−5V 製膜時間の調節により第2表面保護層膜厚を2μmとし
た。この膜の組成分析をXPS法により行った結果、炭
素、酸素、銅、水素より構成されていることが判明し
た。以上のようにして有機系感光層上に第1及び第2表
面保護層が積層された比較例10の電子写真用感光体を
作製した。以上のようにして作製した実施例1〜8、比
較例1〜10の電子写真用感光体の保護層および感光体
特性を以下のようにして評価した。
【0054】〔保護層分光透過率〕スライドガラス板上
に製膜した各保護層サンプルを分光光度計にて測定し
た。 〔感光体静電特性〕シリンダータイプ感光体チェッカー
〔(株)リコー製〕を使用して、以下の特性値を測定し
た(必要に応じて初期と実機ランニングテスト後に測定
した)。 R800:暗中800Vにおける抵抗値 E1/10:感光体表面電位が800Vから80Vまで光減
衰するのに要した光量(光源はタングステンランプ白色
光) V30:光減衰開始30秒後の感光体表面残留電位 〔実機ランニング特性〕市販の普通紙複写機リコピーF
T−3350〔(株)リコー製〕を使用してそれぞれの
感光体について初期及び50万枚ランニング後の特性を
評価した。 微細画像再現性:1mm当り何本の線が解像しているか
を測定 摩耗量:ランニング後の感光層膜厚減少量 キズ発生数:ランニング後の感光層表面に発生したキズ
本数 剥離特性:ランニング後の表面保護層の剥離状況 評価結果を表1及び表2に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】表1、表2より以下のことが明らかに判
る。本発明の特許請求の範囲を満たす実施例1〜8の電
子写真用感光体は、 ・分光透過率が可視域〜長波長域で非常に良好で、初期
感度が良好である。 ・残留電位が小さく、微小画像再現性も良好である。 ・長期ランニングテストによっても、摩耗が認められ
ず、キズの発生が少なく、保護層剥離も認められず機械
的耐久性に優れている。 ・長期ランニングテストによっても、帯電特性の低下が
少ない。等、超高耐久電子写真用感光体として非常に優
秀な特性を有していることが判る。
【0058】これに対して、比較例の評価結果より、 ・保護層の全くないもの(比較例1)は長期ランニング
による摩耗とキズ発生が非常に大きい。 ・第2表面保護層が炭素又は炭素を主成分とする膜より
構成されるもの(比較例2)は可視域での透過率が低
く、初期感度が低い。 ・第1表面保護層がないもの(比較例3)は長期ランニ
ングにより剥離が発生し、帯電性の低下も激しい。 ・第1表面保護層膜厚が薄過ぎる場合(比較例4)も比
較例3と同様に長期ランニングにより剥離が発生し、帯
電性も低下してしまう。 ・第1表面保護層膜厚が厚過ぎる場合(比較例5)は第
1表面保護層による可視域での光吸収が大きくなり初期
感度が低くなる。 ・第2表面保護層膜厚が薄過ぎる(比較例6)と機械的
耐久性が低く、キズが多数発生してしまう。 ・第2表面保護層膜厚が厚過ぎる(比較例7)と微小画
像再現性の点で不利になる。
【0059】・少なくともSn,C,O,Hより構成さ
れる第2表面保護層の組成が本発明の特許請求の範囲を
外れると、比抵抗が大きくなりすぎ、その結果、残留電
位大、感度低下大となったり(比較例8)、逆に比抵抗
が小さくなり過ぎ、その結果微小画像再現性が全く得ら
れなくなったり(比較例9)してしまう。 ・また第2表面保護層が少なくとも金属、C,O,Hよ
り構成されていても、感光体保護層として要求される光
学的、電気的、機械的特性を同時に満足させることが容
易ではない場合(比較例10)もある。等が判り、本発
明の特許請求の範囲を外れた場合には光学的、電気的、
機械的特性を同時に満足する保護層が得られないことが
明らかである。
【0060】
【発明の効果】以上説明したように、光学的、電気的、
機械的特性に優れた本発明の保護層を有機系感光層に積
層することにより、非常に良好な耐久性を有する電子写
真用感光体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真用感光体の構成の一例を示す
模式断面図、
【図2】本発明の電子写真用感光体の他の具体例の構成
を示す模式断面図、
【図3】本発明の第1及び第2表面保護層を形成する際
に用いられるグロー放電分解法、あるいはプラズマCV
D法に用いられる装置の一例を示す模式図。
【符号の説明】 1 導電性支持体 2 有機系感光層 2a 電荷発生層(CGL) 2b 電荷輸送層(CTL) 3 第1表面保護層 4 第2表面保護層 5 下引層 6 被処理体(有機系感光体) 7 マンドレル回転用モーター 8 マンドレル 9 ヒーター 10 対向電極 11 高周波電源 12 真空層排気用真空ポンプ 13 排気及び圧力調整用排気弁 14 真空計 15 揮発性有機金属化合物収納容器 16 恒温槽 17 揮発性有機化合物収納容器 18 恒温槽 19 流量計 20 キャリアガスボンベ群 21 真空槽
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−243068(JP,A) 特開 平1−227161(JP,A) 特開 平4−330456(JP,A) 特開 昭63−97962(JP,A) 特開 平2−6961(JP,A) 特開 昭63−264766(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 5/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体上に少なくとも有機系感光
    層、第1表面保護層、第2表面保護層を順次積層した構
    成を有する電子写真用感光体において、該第1表面保護
    層が炭素を主成分とし、それ以外に水素、酸素だけを含
    有する、膜厚50Å〜5000Åの膜よりなり、該第2
    表面保護層が下記一般式(1)で表される組成を有す
    る、膜厚5000Å〜5μmの膜よりなることを特徴と
    する電子写真用感光体。 (SnxOyCz)l-mHm (1) (x,y,zはいずれも原子比で、x+y+z=1、x
    =0.05〜0.7、y=0.05〜0.6、z=0.
    05〜0.9、0≦m≦0.4)
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