JP3523651B2 - 電子写真用感光体 - Google Patents

電子写真用感光体

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JP3523651B2
JP3523651B2 JP31922391A JP31922391A JP3523651B2 JP 3523651 B2 JP3523651 B2 JP 3523651B2 JP 31922391 A JP31922391 A JP 31922391A JP 31922391 A JP31922391 A JP 31922391A JP 3523651 B2 JP3523651 B2 JP 3523651B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は感光層上に表面保護層を
有して成る電子写真用感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子写真方式において使用される
感光体としては、導電性支持体上にセレンまたはセレン
合金を主体とする光導電層を設けたもの、酸化亜鉛、硫
化カドミウムなどの無機系光導電材料をバインダー中に
分散させたもの、ポリ−N−ビニルカルバゾールとトリ
ニトロフルオレノンあるいはアゾ顔料などの有機光導電
材料を用いたもの、及び非晶質シリコン系材料を用いた
もの等が一般に知られている。
【0003】ところで、一般に「電子写真方式」とは、
光導電性の感光体をまず暗所で例えばコロナ放電によっ
て帯電させ、次いで像露光し、露光部のみの電荷を選択
的に散逸せしめて静電潜像を得、この潜像部を染料、顔
料などの着色剤と高分子物質などの結合剤とから構成さ
れる検電微粒子(トナー)で現像し可視化して画像を形
成するようにした画像形成法の一つである。
【0004】このような電子写真法において感光体に要
求される基本的な特性としては、 (1)暗所で適当な電位に帯電できること。
【0005】(2)暗所において電荷の散逸が少ないこ
と。
【0006】(3)光照射によって速やかに電荷を散逸
できること。
【0007】などが挙げられる。
【0008】近年、電子写真複写機の高速化、大型化が
進むなか、感光体に対して上記特性以外に長期繰返し使
用に際しても高画質を保つことのできる信頼性が強く要
求されるようになっている。
【0009】複写機の中で感光体の寿命を損なっている
主な原因としては、大きく分けて2つ考えられており、
ひとつは現像プロセス、クリーニングプロセス、コピー
紙などから受ける機械的なストレスによってひきおこさ
れる摩耗やスクラッチによるもの、もうひとつは帯電、
転写、分離過程等で受けるコロナ放電によって引き起こ
される化学的な損傷によるものである。
【0010】前者の感光体の摩耗を防ぐ方法として、感
光体表面に保護層を設ける技術が知られている。
【0011】たとえば、感光体の表面の有機フィルムを
設ける方法(特公昭38−15466)、無機酸化物を
設ける方法(特公昭43−14517)、接着層を設け
た後絶縁層を積層する方法(特公昭43−2759
1)、あるいはプラズマCVD法、光CVD法等によっ
てa−Si層、a−Si:N:H層、a−Si:O:H
層等を積層する方法(特開昭57−179859、特開
昭59−58437)等が開示されている。
【0012】また、近年プラズマCVD法、光CVD
法、スパッタ法等の方法で得られる、炭素又は炭素を主
成分とする高硬度膜(a−C:H膜、無定形炭素膜、非
晶質炭素膜、ダイヤモンド状炭素膜等と称されている)
の感光体保護層への応用が活発化している。
【0013】たとえば、感光層の表面に無定形炭素又は
硬質炭素からなる保護層を設けたもの(特開昭60−2
49155)、最表面にダイヤモンド状カーボン保護層
を設けたもの(特開昭61−255352)、感光層上
に炭素を主成分とする高硬度絶縁層を形成したもの(特
開昭61−264355)あるいは有機感光層上に窒素
原子、酸素原子、ハロゲン原子、アルカリ金属原子等の
原子を少なくとも含むグロー放電により生成された非晶
質炭化水素膜からなる保護層を設けたもの(特開昭63
−220166〜9)などを挙げることができる。
【0014】これらの方法により表面硬度が非常に向上
した耐摩耗性に優れた感光体が得られるようになった。
【0015】しかし、電子写真複写プロセスにより受け
る局部的な機械的ストレスにより発生するスクラッチに
対しては充分な抵抗力を有しておらず、スクラッチによ
りスジ状の異常画像を発生するなど、実使用上の耐久性
がそれほど向上していないことがその後の研究により明
らかとなった。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、まさにこれ
らの問題点を解決するためになされたものであって、そ
の目的は感光層上に炭素又は炭素を主成分とする保護層
を有する感光体の耐スクラッチ性を向上させて、長期に
わたり優れた耐久性を示す電子写真用感光体を提供する
ことにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者らは感光層上に
炭素又は炭素を主成分とする保護層を有する感光体の電
子写真複写プロセス内でのスクラッチ発生メカニズムを
解析した結果、スクラッチ発生に関して感光層の硬度と
炭素又は炭素を主成分とする保護層の膜厚との間に一定
のしきい値が存在することを発見し、本発明を完成する
に至った。
【0018】すなわち、本発明の構成は明細書の特許請
求の範囲に記載のとおりの電子写真用感光体である。
【0019】スクラッチ発生メカニズムは本来、感光層
と炭素又は炭素を主成分とする保護層との接着性、感光
層硬度、炭素又は炭素を主成分とする保護層の硬度及び
膜厚、炭素又は炭素を主成分とする保護層の引っ張り強
度又は剪断強度、更に感光体に対する機械的負荷のかか
りかた等が関わり、簡単なものではないが、感光層上に
炭素又は炭素を主成分とする保護層を有する感光体を電
子写真複写プロセス内で用いるという限られた条件下に
おいては、スクラッチの発生は感光層の硬度と炭素又は
炭素を主成分とする保護層の膜厚という比較的簡単な特
性により支配的に決定されることが判った。
【0020】すなわち、同じ感光層上に膜厚の異なる炭
素又は炭素を主成分とする保護層を積層した場合には保
護層膜厚が大きい方がスクラッチが発生しにくく、硬度
の異なる感光層上に同条件の炭素又は炭素を主成分とす
る保護層を積層した場合には感光層の硬度が大きい方が
クラッチが発生しにくいということである。
【0021】この関係を定量化するために種々の感光体
硬度及び保護層膜厚のサンプルを作製して、実際の電子
写真複写プロセスで長期間試験を行ない、スジ状の異常
画像を発生するようなスクラッチがどういう組合せで発
生するかを調べた結果、感光層の硬度と保護層膜厚が、
感光層にヴィッカース硬度測定用ダイヤモンド圧子(対
面角136°、対稜角148°7’のピラミッド型形状
を有する)を10gの圧力で押しつけたときに形成され
る窪みの深さがその上に積層されている炭素又は炭素を
主成分とする保護層の膜厚の大きくとも5倍以下の値に
なる組合せになっている場合にはスクラッチノイズが発
生しないことが判明した。
【0022】この関係の詳細なメカニズムは明確にはな
っていないが、感光体表面より受ける機械的ストレスに
より保護層の下の感光体が変形をし、その結果炭素又は
炭素を主成分とする保護層自身も変形を受け、その変形
による応力が保護層の総合的な強度を上回ったときにス
クラッチが発生するものと考えられる。
【0023】この関係を整理して見ると以下のようにな
る。
【0024】ヴィッカース硬度Hv(kg/mm2)は
(1)式で与えられる。
【0025】 Hv=1854.4*P/d2 … (1) ここでPは圧子荷重(g)、dは圧子により形成される
正方形状の圧痕の対角線の長さ(μm)である。
【0026】圧子の先端形状より圧痕の窪み深さh(μ
m)は h=d/7.00 … (2) 前述の実験結果より、スクラッチノイズを発生させない
ためには h≦5D …(3) *Dは保護層膜厚(μm)である 以上と圧子荷重10gとより、膜厚Dの炭素又は炭素を
主成分とする保護層にスクラッチノイズを発生させない
ために必要な感光層のヴィッカース硬度Hvとして、 Hv≧15.14/D2 … (4) という式が導きだされる。そして、表1において、ポリ
アミド樹脂を含有する中間層を設けた実験例1〜8につ
いてみると、Hv≧37.5/D の場合にはスクラッ
チノイズが0本である(Hv×D を計算すると、実験
例2では、150[kg/mm 2 ]×(0.5[μ
m]) =37.5)。従って、Hv≧37.5/D 2
という関係がある場合においても良好な効果が得られて
いることがわかる。
【0027】以下、図面に沿って本発明を説明する。
【0028】図1は本発明の電子写真用感光体の模式断
面図であり、導電性支持体1上に感光層2炭素又は炭素
を主成分とする保護層3を順次設けた構成のものであ
る。
【0029】図2〜図5は各々本発明の他の電子写真用
感光体の構成例を示すものであり、図2は導電性支持体
1上に下引層4を介して感光層2、炭素又は炭素を主成
分とする保護層3を順次設けたものであり、図3は感光
層2と炭素又は炭素を主成分とする保護層3との間に中
間層5を設けたものであり、図4は感光層2が電荷発生
層(CGL)2aと電荷輸送層(CTL)2bより構成
される機能分離型タイプのもの、図5は機能分離型タイ
プの感光層2のCGL、CTLの積層順序が逆になって
いるものをそれぞれ示したものである。
【0030】また、導電性支持体1上に感光層2と炭素
又は炭素を主成分とする保護層3を少なくとも有してい
れば、上記のその他の層、及び感光層のタイプは任意に
組み合わされていても構わない。
【0031】本発明に使用される導電性支持体として
は、導電体あるいは導電処理をした絶縁体、例えばA
l、Ni、Fe、Cu、Auなどの金属あるいはそれら
の合金の他、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイ
ミド、ガラス等の絶縁性基体上にAl、Ag、Au等の
金属あるいはIn23、SnO2等の導電材料の薄膜を
形成したもの、導電処理をした紙等が使用できる。
【0032】導電性支持体の形状は特に制約はなく板
状、ドラム状あるいはベルト状のいずれのものも使用で
きる。
【0033】導電性支持体と感光層との間に必要に応じ
設けられる下引層は感光特性の改善、接着性の向上等の
目的で設けられ、その材料としてはSiO、Al23
シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロム
カップリング材等の無機材料やポリアミド樹脂、アルコ
ール可溶性ポリアミド樹脂、水溶性ポリビニルブチラー
ル、ポリビニルブチラール、PVA等の接着性の良いバ
インダー樹脂などが使用される。その他、前記接着性の
良い樹脂にZnO、TiO2、ZnS等を分散したもの
も使用できる。下引層の形成法としては無機材料単独の
場合はスパッタリング、蒸着等の方法が、また有機材料
を用いた場合は通常の塗布法が採用される。なお下引層
の厚さは5μm以下が適当である。
【0034】この導電性支持体上に直接あるいは下引き
層を介して設けられる感光層としては、有機系、無機系
いずれもが適用できる。
【0035】無機系感光層の例としては、SeおよびS
e−Te、Se−As、Se−Te−As等の合金材料
を真空蒸着などの方法で支持体上に10〜100μmの
膜厚で形成したものや、SiH4ガス等の材料からプラ
ズマCVD法等により得られる非晶質シリコン系感光層
などを挙げることができる。
【0036】なお、これらの無機系感光層において、単
層型のもの、あるいはCGL、CTL等に機能分離され
た積層型のもののいずれも適用することができる。
【0037】有機系感光層に関しても単層型あるいは機
能分離型のいずれもが適用できる。有機系感光層はコス
トが安い、環境汚染が少ない、比較的自由な感光体設計
ができる等の長所を有しているが、構成材料が有機材料
であるがゆえに表面硬度が低く、電子写真複写プロセス
内での摩耗が激しいという致命的な欠点をも有している
ため、多くの長所を生かし、かつ、高信頼性を得るため
には、本発明の様な保護層の積層による機械的耐久性の
向上が必要不可欠の命題となっている。さて、単層型有
機感光層の例としては、色素増感された酸化亜鉛、酸化
チタン、硫酸亜鉛等の光導電性粉体、無定形シリコン粉
体、スクアリック塩顔料、フタロシアニン顔料、アズレ
ニウム塩顔料、アゾ顔料等を必要に応じて結着剤樹脂及
び/又は後述する電子供与性化合物と共に塗布形成され
たもの、またピリリウム系染料とビスフェノールA系の
ポリカーボネートとから形成される共晶錯体に電子供与
性化合物を添加した組成物を用いたもの等が挙げられ
る。結着樹脂としては後述する機能分離型感光層と同様
のものを使用することができる。この単層型感光層の厚
さは5〜30μmが適当である。
【0038】一方、機能分離型感光層の例としては電荷
発生層(CGL)と電荷輸送層(CTL)を積層したも
のが例示される。
【0039】画像露光により潜像電荷を発生分離させる
ための電荷発生層(CGL)としては、結晶セレン、セ
レン化ヒ素等の無機光導電性粉体あるいは有機系染顔料
を結着剤樹脂に分散もしくは溶解させたものが用いられ
る。
【0040】電荷発生物質としての有機系染顔料として
は、例えば、シーアイピグメントブルー25{カラーイ
ンデックス(CI)21180}、シーアイピグメント
レッド41(CI21200)、シーアイアシッドレッ
ド52(CI45100)、シーアイベーシックレッド
3(CI45210)、さらにポリフィリン骨格を有す
るフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクア
リック塩顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料(特
開昭53−95033号公報に記載)スチリルスチルベ
ン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−138229号
公報に記載)、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔
料(特開昭53−132547号公報に記載)、ジベン
ゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−21
728号公報に記載)、オキサジアゾール骨格を有する
アゾ顔料(特開昭54−12742号公報に記載)、フ
ルオレノン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−228
34号公報に記載)ビススチルベン骨格を有するアゾ顔
料(特開昭54−17733号公報に記載)、ジスチリ
ルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54
−2129号公報に記載)、ジスチリルカルバゾール骨
格を有するアゾ顔料(特開昭54−17734号公報に
記載)、カルバゾール骨格を有するトリアゾ顔料(特開
昭57−195767号公報、同57−195768号
公報に記載)等、さらにシーアイピグメントブルー16
(CI74100)等のフタロシアニン系顔料、シーア
イバッドブラウン5(CI73410)、シーアイバッ
ドダイ(CI73030)等のインジゴ系顔料、アルゴ
スカーレットB(バイオレット社製)、インダンスレン
スカーレットR(バイエル社製)等のペリレン系顔料等
を使用することができる。
【0041】これらの電荷発生物質は単独であるいは2
種以上併用して用いられる。
【0042】結着剤樹脂は、電荷発生物質100重量部
に対して0〜100重量部用いるのが適当であり、好ま
しくは0〜50重量部である。
【0043】これら有機染顔料と併用される結着剤樹脂
としてはポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、エ
ポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリエーテルなどの縮
合系樹脂並びにポリスチレン、ポリアクリレート、ポリ
メタクリレート、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ
ビニルブチラール、スチレン−ブタジエン共重合体、ス
チレン−アクリロニトリル共重合体等の重合体および共
重合体等の接着性、絶縁性樹脂が挙げられる。
【0044】電荷発生層は、電荷発生物質を必要ならば
バインダー樹脂とともに、テトラヒドロフラン、シクロ
ヘキサノン、ジオキサン、ジクロルエタン等の溶媒を用
いてボールミル、アトライター、サンドミルなどにより
分散し、分散液を過度に希釈して塗布することにより形
成できる。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビー
ドコート法などを用いて行なうことができる。
【0045】電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm程
度が適当であり、好ましくは0.1〜2μmである。
【0046】また、本発明において、電荷発生物質とし
て結晶セレン又はセレン化ヒ素合金等の粒子を用いる場
合には、電子供与性粘着剤及び/又は電子供与性有機化
合物とが併用される。このような電子供与性物質として
はポリビニルカルバゾールおよびその誘導体(例えばカ
ルバゾール骨格に塩素、臭素などのハロゲン、メチル
基、アミノ基などの置換基を有するもの)、ポリビニル
ピレン、オキサジアゾール、ピラゾリン、ヒドラゾン、
ジアリールメタン、α−フェニルスチルベン、トリフェ
ニルアミン系化合物などの窒素含有化合物およびジアリ
ールメタン系化合物等があるが、特にポリビニルカルバ
ゾールおよびその誘導体が好ましい。またこれらの物質
は混合しても用いられるが、この場合にはポリビニルカ
ルバゾールおよびその誘導体に他の電子供与性有機化合
物を添加しておくことが好ましい。この種の無機系電荷
発生物質の含有量は層全体の30〜90重量%が適当で
ある。また無機系電荷発生物質を用いた場合の電荷発生
層の厚さは0.2〜5μmが適当である。
【0047】電荷輸送層(CTL)は帯電電荷を保持さ
せ、かつ露光により電荷発生層で発生分離した電荷を移
動させて保持していた帯電電荷と結合させることを目的
とする層である。帯電電荷を保持させる目的達成のため
に電気抵抗が高いことが要求され、また保持した帯電電
荷で高い表面電位を得る目的を達成するためには、誘電
率が小さくかつ電荷移動性が良いことが要求される。
【0048】これらの要件を満足させるための電荷輸送
層は、電荷輸送物質および必要に応じて用いられるバイ
ンダー樹脂より構成される。すなわち、以上の物質を適
当な溶剤に溶解ないし分散してこれを塗布乾燥すること
により電荷輸送層を形成することができる。
【0049】電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸
送物質とがある。
【0050】正孔輸送物質としては、ポリ−N−ビニル
カルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリ
ルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホル
ムアルデヒド縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレ
ン、ポリビニルフェナントレン、オキサゾール誘導体、
オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフ
ェニルアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリ
ル)アントラセン、1,1−ビス−(4−ジベンジルア
ミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチ
リルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニル
スチルベン誘導体等の電子供与性物質が挙げられる。
【0051】電子輸送物質としては、例えば、クロルア
ニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシ
アノキノンジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フ
ルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フル
オレン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、
2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−
トリニトロ−4H−インデノ(1,2−b)チオフェノ
ン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフ
ェノン−5,5−ジオキサイドなどの電子受容物質が挙
げられる。
【0052】これらの電荷輸送物質は、単独又は2種以
上混合して用いられる。
【0053】また、必要に応じて用いられるバインダー
樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニト
リル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレ
ン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化
ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビ
ニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリレート樹脂、フ
ェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹
脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポ
リビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−
ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、
エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノー
ル樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性樹脂又は熱硬化性
樹脂が挙げられる。
【0054】溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオ
キサン、トルエン、モノクロルベンゼン、ジクロルエタ
ン、塩化メチレンなどが用いられる。
【0055】電荷輸送層の厚さは5〜100μm程度が
適当である。また電荷輸送層中に可塑剤やレベリング剤
を添加してもよい。可塑剤としては、ジブチルフタレー
ト、ジオクチルフタレートなど一般の樹脂の可塑剤とし
て使用されているものがそのまま使用でき、その使用量
は、バインダー樹脂に対して0〜30重量%程度が適当
である。レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオ
イル、メチルフェニルシリコーンオイルなどのシリコー
ンオイル類が使用され、その使用量はバインダー樹脂に
対して、0〜1重量%程度が適当である。
【0056】これらのCGLとCTLは支持体上に支持
体側からCGL、CTLの順に積層しても、CTL、C
GLの順に積層してもかまわない。
【0057】これら無機系、有機系の感光層のヴィッカ
ース硬度の値は、Se系で30〜200(kg/m
2)、非晶質シリコン系で100〜1500(kg/
mm2)、有機系で5〜50(kg/mm2)程度とほぼ
材料系により決定されてしまうが、合金の組成比、材料
ガスの選択や製膜条件、使用するバインダーの種類やC
GM、CTLとの配合比等によりある範囲内であれば変
化させることができる。
【0058】また、本発明において、必要に応じ感光層
と表面保護層との間に設けられる中間層には、SiO、
Al23等の無機材料を蒸着、スパッタリング、陽極酸
化などの方法で設けたものや、ポリアミド樹脂(特開昭
58−30757号公報、特開昭58−98739号公
報)、アルコール可溶性ナイロン樹脂(特開昭60−1
96766号公報)、水溶性ポリビニルブチラルール樹
脂(特開昭60−232553号公報)、ポリビニルブ
チラール樹脂(特開昭58−106549号公報)、ポ
リビニルアルコールなどの樹脂層を用いることができ
る。
【0059】また、上記樹脂中間層にZnO、Ti
2、ZnS等の顔料粒子を分散したものも、中間層と
して用いることができる。
【0060】更に、本発明の中間層として、シランカッ
プリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリン
グ剤等を使用することもできる。中間層の膜厚は0〜5
μmが適当である。
【0061】本発明において、最表面に設けられる保護
層は、炭素または炭素を主成分としたもので、好ましく
はSP3軌道を有するダイヤモンドと類似のC−C結合
を有しており、ビッカース硬度100〜3000kg/
cm2、比抵抗(固有抵抗)1×107〜1×1013Ω・
cmの値を有し、光学的エネルギーバンド巾(Egとい
う)が1.0eV以上である、赤外または可視領域で透
光性を有する薄膜で形成される。
【0062】この様な膜は、炭化水素ガス(メタン、エ
タン、エチレン、アセチレン等)を主材料として、
2、Ar等のキャリアガスやNH3、PH3、NF3、B
26、CO2等の添加物ガスを伴ったプラズマCVD
法、グロー放電分解法、光CVD法などやグラファイト
等をターゲットとしたスパッタリング法等により形成さ
れ、特にその製膜法は限定されるものではないが、保護
層として良好な特性を有する炭素または炭素を主成分と
する膜を形成する方法として、プラズマCVD法であり
ながら、スパッタ効果を伴わせつつ成膜させる方法(特
開昭58−49609)等が知られている。
【0063】プラズマCVD法を利用した炭素又は炭素
を主成分とする保護層の製膜法では支持体を特に加熱す
る必要がなく、約150℃以下の低温で被膜を形成でき
るため、耐熱性の低い有機系感光層等上に保護層を形成
する際にも、何ら支障がないというメリットがある。
【0064】この炭素又は炭素を主成分とした保護層の
膜厚は製膜時間の制御等により調節できるが、一般的に
100Å〜10μmであり、好ましくは1000Å〜5
μmである。
【0065】炭素又は炭素を主成分とした保護層にはフ
ッ素のごときハロゲン元素や水素、窒素、酸素、あるい
はリン、ホウ素などの添加物を機械的、電気的、光学的
等の特性改善のため、必要に応じて添加することもでき
る。その濃度は膜の深さ方向に対し均一であっても勾配
を設けてもかまわない。
【0066】更にこの保護層は単層である必要はなく、
添加物の有無、種類等を制御した多層構造からなってい
てもかまわない。
【0067】
【実施例】以下実験例として本発明の実施例の結果と比
較例の結果を更に詳細に説明する。まず、表面保護層の
ない感光体の実験例を比較例として示し、その上に表面
保護層を設けた実験例を実施例あるいは比較例として示
す。なお、各例に示す各成分の量(部)は重量部であ
る。
【0068】(Se−As系無機感光層の作製)実験例9 アルミニウム製シリンダー状支持体22(外径80m
m、長さ340mm)を図6に示す様な真空蒸着装置の
マンドレル21にセットし、真空槽19内を10-5To
rr以下に真空排気し、支持体を210℃に加熱し、A
2Se3合金を膜厚が60μmになる様に蒸着し、冷却
後試料を取り出して、実験例9のSe−As系無機感光
層を作製した。この感光体のヴィッカース硬度は150
kg/mm2であった。
【0069】(Se−As無機感光層+炭素又は炭素を
主成分とする保護層の作製)実験 例1〜8 支持体形状、蒸着方法とも比較例1と全く同様にして作
製したSe−As系無機感光層上に下記処方の中間層塗
工液をスプレー塗工法により塗布した後110℃で10
分間乾燥させ、膜厚1000Åの中間層を作製した。
【0070】 ○ 中間層塗工液処方 ポリアミド樹脂 東レ製CM−8000 2部 メタノール 70部 n−ブタノール 30部 中間層を作製したSe−As系感光層を図7〜図9に示
す様なプラズマCVD装置にセットし、炭素又は炭素を
主成分とする保護層を形成する。ここで図7中107は
プラズマCVD装置の真空槽であり、ゲート弁109に
よりロード/アンロード用予備室117と仕切られてい
る。真空槽107内は排気系120{圧力調整バルブ1
21、ターボ分子ポンプ122、ロータリーポンプ12
3より成る}により真空排気され、また一定圧力に保た
れる様になっている。真空槽107内には反応槽150
が設けられている。反応槽は図8、図9に示す様な枠構
造体102(電極側より見て四角または六角形状を有し
ている)と、この両端の開口部を覆う様にしたフード1
08、118、さらにこのフード108、118に配設
された一対の同一形状を有する第一及び第二の電極10
3、113(アルミニウム等の金属メッシュを用いてい
る)より構成されている.130は反応槽150内へ導
入するガスラインを示しており、各種材料ガス容器が接
続されており、それぞれ流量計129を経てノズル12
5より反応槽150の中へ導入される。
【0071】枠構造体(2)中には、感光層を形成した
支持体101{101−1、101−2…101−n}
が図8、図9の様に配置される。なおこのそれぞれの支
持体は、後述するように第三の電極として配置される。
【0072】電極103、113にはそれぞれ第一の交
番電圧を印加するための一対の電源115{115−
1、115−2}が用意されている。第一の交番電圧の
周波数は1〜100MHzである。
【0073】これらの電源はそれぞれマッチングトラン
ス116−1、116−2とつながる。このマッチング
トランスでの位相は位相調整器126により調整し、互
いに180゜または0゜ずれて供給できる。すなわち対
称型又は同相型の出力を有している。
【0074】マッチングトランスの一端104及び他端
114はそれぞれ第一及び第二の電極103、113に
連結されている。またトランスの出力側中点105は接
地レベルに保持されている。更にこの中点105と第三
の電極すなわち支持体101{101−1、101−2
…101−n}またはそれらに電気的に連結するホルダ
102の間に第二の交番電圧を印加するための電源11
7が配設されている。この第二の交番電圧の周波数は1
〜500KHzである。
【0075】この第一、第二の電極に印加する第一の交
番電圧の出力は13.56MHzの周波数の場合0.1
〜1KWであり、第三の電極すなわち支持体に印加する
第二の交番電圧の出力は150KHzの周波数の場合約
100Wである。
【0076】保護層製膜条件として実験例1〜4までは
以下の通りでおこなった。
【0077】 C24流量 :150SCCM 反応圧力 :0.01Torr 第1の交番電圧出力:200W 13.56MHz バイアス電圧(直流分):−100V 保護層製膜時間の調整により、膜厚0.1μm(実験例
)、0.5μm(実験例2)、1μm(実験例3)、
1.5μm(実験例4)の4種類の試料を作製した。
【0078】本条件にて製膜した炭素又は炭素を主成分
とした保護層のヴィッカース硬度は約1000kg/m
2であり、組成は炭素と水素により構成されていた。
【0079】更に実験例5〜8までは以下の保護層製膜
条件にて作製した。
【0080】 C24流量 :60SCCM H2 :140SCCM NF3流量 :30SCCM 反応圧力 :0.03Torr 第1の交番電圧出力:200W 13.56MHz バイアス電圧(直流分):−10V 保護層製膜時間の調整により、膜厚0.1μm(実験
5)、0.5μm(実験例6)、1μm(実験例7)、
1.5μm(実験例8)の4種類の試料を作製した。
【0081】本条件にて製膜した炭素又は炭素を主成分
とした保護層のヴィッカース硬度は約700kg/mm
2であり、組成は炭素と水素以外に、フッ素、窒素の存
在が確認された。
【0082】(機能分離型有機系感光層の作製)実験例 20、31、42、53 アルミニウム製シリンダー状支持体(外径80mm、長
さ340mm)に下記組成比の混合物をボールミルで1
2時間分散し、調製した下引層形成液を乾燥後の膜厚が
約2μmになる様に浸漬法で塗工し、下引層を形成し
た。
【0083】 {下引層形成液} TiO2(石原産業社製タイペーク) 1部 ポリアミド樹脂(東レ社製CM−8000) 1部 メタノール 25部 この下引層上に下記処方の電荷発生層塗工液を浸漬塗工
し、120℃で10分間乾燥させ、膜厚約0.15μm
の電荷発生層を形成した。
【0084】 {電荷発生層塗工液} 下記構造のトリスアゾ顔料 30部
【0085】
【化1】
【0086】 ポリエステル樹脂(東洋紡社製バイロン200) 12部 シクロヘキサノン 360部 上記混合物をボールミルで72時間分散した後、さらに
シロクヘキサノン:メチルエチルケトン=1:1(重量
比)の混合溶媒500部で希釈調製する。
【0087】ついでこの電荷発生層上に下記電荷輸送層
塗工液(1)を乾燥後の膜厚が約30μmになる様に浸
漬塗工して実験例20の有機系感光層を作製した。
【0088】この実験例20の感光層のヴィッカース硬
度は18.0kg/mmであった。
【0089】{電荷輸送層塗工液(1)}
【0090】
【化2】
【0091】 ポリカーボネート{商品名パンライトC1400:帝人化成(株)} 10部 シリコン油{商品名KF50:信越シリコーン(株)} 0.0002部 テトラヒドロフラン 80部 また、前記電荷発生層上に下記電荷輸送層塗工液(2)
を乾燥後の膜厚が約30μmになる様に浸漬塗工して、
実験例31の有機系感光層を作製した。
【0092】実験例31の感光層のヴィッカース硬度は
12.5kg/mm2であった。
【0093】{電荷輸送層塗工液(2)}
【0094】
【化3】
【0095】 ポリカーボネート{商品名パンライトC1400:帝人化成(株)} 10部 シリコン油{商品名KF50:信越シリコーン(株)} 0.0002部 テトラヒドロフラン 80部 更に、前記電荷発生層上に下記電荷輸送層塗工液(3)
を乾燥後の膜厚が約30μmになる様に浸漬塗工して、
実験例42の有機系感光層を作製した。
【0096】この実験例42の感光層のヴィッカース硬
度は26.0kg/mm2であった。
【0097】{電荷輸送層塗工液(3)}
【0098】
【化4】
【0099】 ポリカーボネート{商品名ユーピロンZ300:三菱ガス化学(株)} 10部 シリコン油{商品名KF50:信越シリコーン(株)} 0.0002部 テトラヒドロフラン 80部実験 例20、31、42と同様の電荷発生層上に下記電
荷輸送層塗工液(4)を乾燥後の膜厚が約30μmにな
る様に浸漬塗工して、実験例53の有機系感光層を作製
した。
【0100】実験例53の感光層のヴィッカース硬度は
16.8kg/mm2であった。
【0101】{電荷輸送層塗工液(4)}
【0102】
【化5】
【0103】 ポリカーボネート{商品名ユーピロンZ300:三菱ガス化学(株)} 10部 シリコン油{商品名KF50:信越シリコーン(株)} 0.0002部 テトラヒドロフラン 80部 (有機系感光層+炭素又は炭素を主成分とする保護層の
作製)実験例10〜14 実験例20 と全く同様にして作製した有機系感光層上に
実験例1〜4と全く同様にして、膜厚0.1μm(実験
例10)、0.5μm(実験例11)、1μm(実験例
12)、1.5μm(実験例13)、2.0μm(実験
例14)の5種類の膜厚の炭素又は炭素を主成分とする
保護層を作製した。
【0104】実験例15〜19 実験例20 と全く同様にして作製した有機系感光層上に
実験例5〜8と全く同様にして、膜厚0.1μm(実験
例15)、0.5μm(実験例16)、1μm(実験例
17)、1.5μm(実験例18)、2.0μm(実験
例19)の5種類の膜厚の炭素又は炭素を主成分とする
保護層を作製した。
【0105】実験例21〜25 実験例31 と全く同様にして作製した有機系感光層上に
実験例1〜4と全く同様にして、膜厚0.1μm(実験
例21)、0.5μm(実験例22)、1μm(実験例
23)、1.5μm(実験例24)、2.0μm(実験
例25)の5種類の膜厚の炭素又は炭素を主成分とする
保護層を作製した。
【0106】実験例26〜30 実験例31 と全く同様にして作製した有機系感光層上に
実験例5〜8と全く同様にして、膜厚0.1μm(実験
例26)、0.5μm(実験例27)、1μm(実験例
28)、1.5μm(実験例29)、2.0μm(実験
例30)の5種類の膜厚の炭素又は炭素を主成分とする
保護層を作製した。
【0107】実験例32〜36 実験例42 と全く同様にして作製した有機系感光層上に
実験例1〜4と全く同様にして、膜厚0.1μm(実験
例32)、0.5μm(実験例33)、1μm(実験例
34)、1.5μm(実験例35)、2.0μm(実験
例36)の5種類の膜厚の炭素又は炭素を主成分とする
保護層を作製した。
【0108】実験例37〜41 実験例42 と全く同様にして作製した有機系感光層上に
実験例5〜8と全く同様にして、膜厚0.1μm(実験
例37)、0.5μm(実験例38)、1μm(実験例
39)、1.5μm(実験例40)、2.0μm(実験
例41)の5種類の膜厚の炭素又は炭素を主成分とする
保護層を作製した。
【0109】実験例43〜47 実験例53 と全く同様にして作製した有機系感光層上に
実験例1〜4と全く同様にして、膜厚0.1μm(実験
例43)、0.5μm(実験例44)、1μm(実験例
45)、1.5μm(実験例46)、2.0μm(実験
例47)の5種類の膜厚の炭素又は炭素を主成分とする
保護層を作製した。
【0110】実験例48〜52 実験例53 と全く同様にして作製した有機系感光層上に
実験例5〜8と全く同様にして、膜厚0.1μm(実験
例48)、0.5μm(実験例49)、1μm(実験例
50)、1.5μm(実験例51)、2.0μm(実験
例52)の5種類の膜厚の炭素又は炭素を主成分とする
保護層を作製した。
【0111】この様にして作製した試料のうち、実験例
1〜8及び実験例9の感光体については普通紙複写機F
T6960{(株)リコー製}を用いて試験をし、実験
例10〜52の感光体についてはデジタル複写機イマジ
オ420{(株)リコー製}をそれぞれ用いて10万枚
の通紙試験をおこない、スクラッチノイズの発生状況、
感光層の摩耗量、露光部電位の変化量等の評価をおこな
った。
【0112】その結果を表1に示す。
【0113】
【表1】
【0114】
【表2】
【0115】
【表3】 備考 上記実験例1、5、9、10、11、15、16、2
0、21、22、23、26、27、28、31、3
2、33、37、38、42、43、44、48、4
9、53は比較例であり、実験例12、13、14、1
7〜19、24、25、29、30、34〜36、39
〜41、45〜47、50〜52は参考例である。
【0116】ここでスクラッチノイズは10万枚ラン後
のハーフトーン画像に感光体上のスクラッチが原因で発
生するスジ状異常画像の本数、露光部電位の変化量△V
Lは10万枚時点とスタート時点での地肌部電位の差を
意味している。
【0117】表1より以下のことが明らかである。
【0118】スクラッチノイズの発生状況を保護層膜
厚と感光層硬度で整理してみると、図10に示した様に
V≧14.84/D2の式より上側にある組合せではス
クラッチノイズの発生が皆無であり、耐スクラッチ性に
すぐれた良好な感光体となっていることがわかる。
【0119】炭素又は炭素を主成分とする保護層を積
層することにより感光体の耐摩耗性が飛躍的に向上す
る。特に感光層が有機系感光層の場合には、その効果が
特に顕著であり、更に本発明の保護層膜厚と感光層硬度
の関係を満たす範囲では耐スクラッチ性にも優れ、有機
系感光層の高信頼化、長寿命化に対し、本発明が非常に
有効であることがわかる。
【0120】炭素又は炭素を主成分とする保護層に対
し、窒素、フッ素を添加することにより、機械的な耐久
性は大きな影響を受けないが、電気的な特性(△VL
に関しては、良好な効果が認められた。
【0121】本発明の保護層膜厚と感光層硬度の関係を
同時に満たす組合せでは、機械的かつ電気的な耐久性に
優れた超高耐久感光体を得ることができる。
【0122】
【発明の効果】本発明の電子写真感光体は感光層硬度と
炭素又は炭素を主成分とする保護層膜厚を一定のしきい
値以上の組合せとすることで、耐摩耗性に加えて耐スク
ラッチ性も大巾に向上し、電気的耐久性に関しても非常
に良好なものである。無機感光体のみならず、有機系感
光体の高耐久化に対し非常に有効な手段といえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真用感光体の断面の模式図、
【図2】本発明の電子写真用感光体の断面の模式図、
【図3】本発明の電子写真用感光体の断面の模式図、
【図4】本発明の電子写真用感光体の断面の模式図、
【図5】本発明の電子写真用感光体の断面の模式図、
【図6】Se系感光層形成の際に用いる真空蒸着装置の
一例の説明図、
【図7】表面保護層の形成の際に用いるプラズマCVD
装置の具体例の説明図、
【図8】上記プラズマCVD装置の枠構造体102の平
面図、
【図9】上記プラズマCVD装置の枠構造体102の平
面図、
【図10】感光層の硬度と保護層の膜厚及びスクラッチ
ノイズ発生の有無の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 導電性支持体 2 感光層 2a 電荷発生層(CGL) 2b 電荷輸送層(CTL) 3 保護層 4 下引層 5 中間層 11 排気ポンプ 13 真空計 19 真空槽 20 マンドレル回転用モーター 21マンドレル 22 シリンダー状支持体 23 支持体加熱用ヒーター 24 蒸発源 25 蒸発源加熱用電源 101 101−n 支持体 102 枠構造体 103、113 電極 104、114 マッチングトランスの端部 105 トランス出力側中点 107 真空槽 108、118 フード 109 ゲート弁 115 115−n 電源 116−1、116−2 マッチングトランス 117 電源 120 排気系統 121 調整バルブ 122 ターボ分子ポンプ 123 ロータリーポンプ 125 ガス導入ノズル 126 位相調整器 129 流量計 130、131、132、133、134 ガスライン 140 交番電源系 150 反応槽
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 永目 宏 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (72)発明者 山崎 舜平 神奈川県厚木市長谷398番地 (72)発明者 林 茂則 神奈川県厚木市長谷398番地 (56)参考文献 特開 平2−210458(JP,A) 特開 平2−210456(JP,A) 特開 平3−31856(JP,A) 特開 昭63−15257(JP,A) 特開 昭62−189475(JP,A) 特開 昭64−84258(JP,A) 特開 平3−196151(JP,A) 特開 平1−133063(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 5/00 - 5/16

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体上に感光層、ポリアミド樹
    脂を含有する中間層及び炭素又は炭素を主成分とする表
    面保護層を順次積層した電子写真感光体において、表面
    保護層の膜厚D(μm)と圧子荷重10gで測定した感
    光層のヴィッカース硬度Hv(kg/mm2)とが次の
    関係式Hv≧37.5/D 2 を満たしており、かつ前記表面保護層のヴィッカース硬
    度Hvが700〜1000kg/mm 2 であることを特
    徴とする電子写真用感光体。
  2. 【請求項2】 感光層が有機光導電材料より構成される
    ことを特徴とする請求項1記載の電子写真用感光体。
  3. 【請求項3】 炭素又は炭素を主成分とする表面保護層
    が炭素以外に水素、窒素、酸素、ハロゲン元素のうち少
    なくとも一つ含有することを特徴とする請求項1記載の
    電子写真用感光体。
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