JP3309305B2 - 電子写真用感光体 - Google Patents

電子写真用感光体

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JP3309305B2 JP25010194A JP25010194A JP3309305B2 JP 3309305 B2 JP3309305 B2 JP 3309305B2 JP 25010194 A JP25010194 A JP 25010194A JP 25010194 A JP25010194 A JP 25010194A JP 3309305 B2 JP3309305 B2 JP 3309305B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、感光層上に硬質の表面
保護層を有してなる電子写真用感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来電子写真方式において使用される感
光体としては、導電性支持体上にセレンないしセレン合
金を主体とする光導電性材料層を設けたもの、酸化亜
鉛、硫化カドミウムなどの無機系光導電材料をバインダ
ー樹脂中に分散させたもの、ポリ−N−ビニルカルバゾ
ールとトリニトロフルオレノンの電荷移動錯体、あるい
はアゾ顔料などの有機光導電材料を用いたもの及び非晶
質シリコン系材料を用いたものなどが一般に知られてい
る。
【0003】ところで、一般に「電子写真方式」とは、
光導電性の感光体をまず暗所で、例えばコロナ放電によ
って帯電させ、次いで像露光し、露光部のみの電荷を選
択的に散逸せしめて静電潜像を得た後、この潜像部を染
料、顔料などの着色剤と高分子物質などの結合剤とから
構成される検電微粒子(トナー)で現像して可視像を形
成するようにした画像形成法の一つである。
【0004】このような電子写真法において、感光体に
要求される基本的な特性としては、(1)暗所で適当な
電位に帯電できること、(2)暗所において電荷の散逸
が少ないこと、(3)光照射によって速やかに電荷を散
逸できることなどが挙げられる。近年、電子写真複写機
の高速化、大型化が進むにつれて、感光体に対して上記
特性のほか、長期間の繰返し使用に際しても高画質を保
つことのできることが強く要求されるようになってい
る。
【0005】複写機の中で感光体の寿命を損ねている主
な原因としては、大きく分けて二つが考えられている。
一つは現像プロセス、クリーニングプロセス、コピー紙
などから受ける機械的なストレスによって引きおこされ
る摩耗やスクラッチによるもの、もう一つは帯電、転
写、分離過程などで受けるコロナ放電によって引き起こ
される化学的な損傷によるものである。
【0006】前者の感光体の摩耗を防ぐ方法として、感
光体表面に保護層を設ける技術が知られている。例え
ば、感光層の表面に有機フィルムを設ける方法(特公昭
38−015466号公報)、無機酸化物層を設ける方
法(特公昭43−014517号公報)、接着層を設け
た後絶縁層を積層する方法(特公昭43−027591
号公報)、あるいはプラズマCVD法、光CVD法など
によってa−Si層、a−Si:N:H層、a−Si:
O:H層などを積層する方法(特開昭57−17985
9号、特開昭59−058437号公報など)が開示さ
れている。
【0007】また、近年プラズマCVD法、光CVD
法、スパッタ法などの方法で得られる炭素または炭素を
主成分とする高硬度膜(a−C:H膜、無定形炭素膜、
非晶質炭素膜あるいはダイアモンド状炭素膜などと称さ
れている)の感光体保護層への応用が活発化している。
【0008】例えば、感光層の表面に無定形炭素または
硬質炭素からなる保護層を設けたもの(特開昭60−2
49155号公報)、最表面にダイアモンド状カーボン
保護層を設けたもの(特開昭61−255352号公
報)、感光層上に炭素を主成分とする高硬度絶縁層を形
成したもの(特開昭61−264355号公報)、ある
いは有機感光層上に窒素原子、酸素原子、ハロゲン原
子、アルカリ金属原子などの原子を少なくとも含むグロ
ー放電により生成された非晶質炭化水素からなる保護層
を設けたもの(特開昭63−220166〜9号公報)
などを挙げることができる。
【0009】これらの方法により表面硬度が非常に向上
した耐摩耗性に優れた感光体が得られるようになった。
しかし、炭素または炭素を主成分とする高硬度膜は短波
長〜可視域波長に光吸収能を有し、適用する感光層に用
いる電荷発生材料として長波長域に感度があるものに限
られてしまうという欠点を有していた。
【0010】そこで本発明者は、先に、炭素または炭素
を主成分とする保護層と同等の機械的耐久性を有し、可
視域波長においても良好な透過率を有し、適用する感光
体の制限の少ない改良された保護層としてSn、C、
O、Hから構成されるプラズマCVD薄膜保護膜層(特
開昭63−264766号公報)、及び揮発性の金属含
有化合物、あるいは揮発性の金属含有化合物と揮発性有
機化合物の混合ガスを原材料としてグロー放電分解法に
より堆積された膜からなる保護層(特開平2−5016
6号公報)を提案した。
【0011】これらの発明による保護層は光学的、機械
的特性に非常に優れたものであるが、その後のテストに
より長期間繰返し使用(10万枚以上)した場合、電子
写真プロセスにより受ける化学的ストレスなどにより保
護層表面抵抗が湿度に依存して低下し、いわゆる、画像
ボケ現象を発生してしまう問題があることが判明した。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これらの問
題点を解決するためになされたものであって、有機系感
光層上に2種の薄膜の保護膜層を積層し、保護層表面の
化学的耐久性を向上させ、長期間に安定した画像形成を
行なうことが可能な電子写真用感光体を提供することを
目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、導電性
支持体上に、少なくとも有機系感光層、第1表面保護
層、第2表面保護層を順次設けた積層構造を有する電子
写真用感光体において、第1表面保護層が少なくとも炭
素、金属元素、酸素、水素を含有する膜よりなり、第2
表面保護層が炭素を主成分とし、それ以外に水素、酸素
のみだを含有する膜よりなることを特徴とする電子写真
用感光体が提供される。
【0014】特に、本発明によれば、前記第1表面保護
層が、揮発性の金属含有化合物、あるいは揮発性の金属
含有化合物と揮発性有機化合物の混合ガスを原材料と
し、グロー放電分解法により堆積された膜からなるこ
と、また、前記第1表面保護層中に含有される金属元素
がスズであること、更にまた、前記第1表面保護層が少
なくとも炭素、スズ、酸素、水素を含有する膜よりな
り、その組成が下記の式(1)で表されるものであるこ
とをそれぞれ特徴とする前記電子写真用感光体が提供さ
れる。
【化1】 (Snxyz1-AA (1) (x,y,zはいずれも原子比で、x+y+z=1、 x=0.05〜0.7、y=0.05〜0.6、 z=0.05〜0.9、 0≦≦0.4 )
【0015】また、本発明によれば前記第1表面保護層
の膜厚が、5000Å〜5μmであること、更にまた、
前記第2表面保護層の膜厚が50Å〜6000Åである
ことをそれぞれ特徴とする前記電子写真用感光体が提供
される。
【0016】即ち、揮発性の金属含有化合物、あるいは
揮発性の金属含有化合物と揮発性有機化合物の混合ガス
を原材料とし、グロー放電分解法により堆積された膜か
らなる第1表面保護層上に、化学的耐久性に優れる炭素
を主成分としそれ以外に水素、酸素のみを含有する第2
表面保護層を設けることにより、電子写真プロセスから
受ける化学的ストレスによる第1表面保護層表面の変質
を、第2表面保護層を設けない場合と比較して、大幅に
低減できるものであるが、その詳細なメカニズムはまだ
明らかになっていない。
【0017】以下、図面に沿って本発明を説明する。図
1は本発明の電子写真用感光体の模式断面図であり、導
電性支持体1上に感光層2、第1表面保護層3、第2表
面保護層4を順次設けた構成のものである。図2(a)
〜(d)は、各々本発明の他の電子写真用感光体の構成
例を示すものであり、図2(a)は、感光層2が電荷発
生層(CGL)2aと電荷輸送層(CTL)2bより構
成される機能分離型のもの、図2(b)は導電性支持体
1上に下引層5を介して感光層2、第1表面保護層3、
第2表面保護層4を順次設けたものであり、図2(c)
は導電性支持体1上に下引層5を介して機能分離型の感
光層2a、2b及び第1表面保護層3、第2表面保護層
4を順次設けた構成のもの、図2(d)は、機能分離型
の感光層2の電荷発生層(CGL)、電荷輸送層(CT
L)の積層順序が逆になっているものをそれぞれ示した
ものである。
【0018】本発明の電子写真用感光体においては、導
電性支持体1上に感光層2と第1表面保護層3、第2表
面保護層4を少なくとも有していれば、上記のその他の
層及び感光層は任意に組み合わされていてもかまわな
い。
【0019】本発明において、電子写真用感光体に使用
される導電性支持体としては、導電体あるいは導電処理
をした絶縁体、例えばAl、Fe、Cu、Auなどの金
属あるいはそれらの合金の他、ポリエステル、ポリカー
ボネート、ポリイミド、ガラスなどの絶縁性基体上にA
l、Ag、Auなどの金属あるいはIn23、SnO2
などの導電材料の薄膜を形成したもの、導電性処理をし
た紙などが使用できる。導電性支持体の形状は特に制約
はなく板状、ドラム状あるいはベルト状のいずれのもの
も使用できる。
【0020】導電性支持体と感光層との間に必要に応じ
設けられる下引層は、感光特性の改善、接着性の向上な
どの目的で設けられ、その材料としてはSiO、Al2
3、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、
クロムカップリング剤などの無機材料や、ポリアミド樹
脂、アルコール可溶性ポリアミド樹脂、水溶性ポリビニ
ルブチラール、ポリビニルブチラール、PVAなどの接
着性のよいバインダー樹脂などが使用される。その他、
前記接着性のよいバインダー樹脂にZnO、TiO2
ZnSなどを分散したものも使用できる。下引層の形成
方法としては、無機材料単独の場合はスパッタリング、
蒸着などの方法が、また有機材料を用いた場合は通常の
塗布法が採用される。なお、下引層の厚さは5μm以下
が適当である。
【0021】この導電性支持体に、直接あるいは下引層
を介して設けられる有機系感光層の種類は、単層型、機
能分離型のいずれもが適用できる。これについて、以下
に簡単に説明する。単層型有機感光層の例としては、色
素増感された酸化亜鉛、酸化チタン、硫酸亜鉛などの導
電性粉体、無定形シリコン粉体、スクアリック塩顔料、
フタロシアニン顔料、アズレニウム塩顔料、アゾ顔料な
どを必要に応じてバインダー樹脂及び/または後述する
電子供与性化合物と共に塗布形成されたもの、またピリ
リウム系染料とビスフェノールA系のポリカーボネート
とから形成される共晶錯体に電子供与性化合物を添加し
た組成物を用いたものなどが挙げられる。バインダー樹
脂としては、後述する機能分離型感光体と同様のものを
使用することができる。この単層型感光体の厚さは5〜
30μmが適当である。
【0022】一方、機能分離型感光層の例としては、画
像露光により潜像電荷を発生分離させるための電荷発生
層(CGL)と、発生した電荷を輸送する電荷輸送層
(CTL)を積層したものが例示される。画像露光によ
り潜像電荷を発生分離させるための電荷発生層(CG
L)としては、結晶性セレン、セレン化ヒ素などの無機
光導電性粉体あるいは有機系染顔料をバインダー樹脂に
分散もしくは溶解させたものが用いられる。
【0023】電荷発生物質の有機系染顔料としては、例
えばシーアイピグメントブルー25(カラーインデック
スCI−21180)、シーアイピグメントレッド41
(CI−21200)、シーアイアシッドレッド52
(CI−45100)、シーアイベーシックレッド3
(CI−45210)、さらにポリフィリン骨格を有す
るフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクア
リック塩顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料(特
開昭53−95033号公報に記載)、スチリルスチル
ベン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−138229
号公報に記載)、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ
顔料(特開昭53−132547号公報に記載)、ジベ
ンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−2
1728号公報に記載)、オキサジアゾール骨格を有す
るアゾ顔料(特開昭54−12742号公報に記載)、
フルオレノン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−22
834号公報に記載)、ビススチルベン骨格を有するア
ゾ顔料(特開昭54−17733号公報に記載)、ジス
チリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭
54−2129号公報に記載)、ジスチリルカルバゾー
ル骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−17734号公
報に記載)、カルバゾール骨格を有するトリスアゾ顔料
(特開昭57−195767号、同57−195768
号公報に記載)など、さらにシーアイピグメントブルー
16(CI−74100)などのフタロシアニン系顔
料、シーアイバッドブラウン5(CI−73410)、
シーアイバッドダイ(CI−73030)などのインジ
ゴ系顔料、アルゴスカーレットB(バイオレット社
製)、インダンスレンスカーレットR(バイエル社製)
などのペリレン系顔料など使用することができる。これ
らの電荷発生物質は単独あるいは2種以上併用して用い
られる。
【0024】バインダー樹脂は、電荷発生物質100重
量部に対して、0〜100重量部用いるのが適当であ
り、好ましくは0〜60重量部である。これら有機染顔
料と併用されるバインダー樹脂としては、ポリアミド、
ポリウレタン、ポリエテル、エポキシ樹脂、ポリカーボ
ネート、ポリエーテルなど縮合系樹脂、並びにポリスチ
レン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ−
N−ビニルカルバゾール、ポリビニルブチラール、スチ
レン−ブタジェン共重合体、スチレン−アクリロニトリ
ル共重合体などの重合体及び共重合体などの接着性、絶
縁性樹脂が挙げられる。
【0025】電荷発生層は、電荷発生物質を必要ならば
バインダー樹脂とともにテトラヒドロフラン、シクロヘ
キサノン、ジオキサン、ジクロロエタンなどの溶媒を用
いてボールミル、アトライター、サンドミルなどにより
分散し、分散液を適当に希釈して塗布することにより形
成できる。塗布は浸漬塗工法やスプレーコート、ビード
コート法などを用いて行なうことができる。電荷発生層
の膜厚は0.01〜5μm程度が適当であり、好ましく
は0.1〜2μmである。
【0026】また本発明において、電荷発生物質として
結晶セレンまたはセレン化ヒ素合金などの粒子を用いる
場合には、電子供与性粘着剤及び/または電子供与性有
機化合物とが併用される。このような電子供与性物質と
しては、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体(例え
ばカルバゾール骨格に塩素、臭素などのハロゲン、メチ
ル基、アミノ基などの置換基を有するもの)、ポリビニ
ルピレン、オキサジアゾール、ピラゾリン、ヒドラゾ
ン、ジアリールメタン、α−フェニルスチルベン、トリ
フェニルアミン系化合物などの窒素含有化合物及びジア
リールメタン系化合物などがあるが、特にポリビニルカ
ルバゾール及びその誘導体が好ましい。またこれらの物
質は混合しても用いられるが、この場合にはポリビニル
カルバゾール及びその誘導体に他の電子供与性有機化合
物を添加しておくことが好ましい。この種の無機系電荷
発生物質の含有量は層全体の30〜90重量%が適当で
ある。また、無機系電荷発生物質を用いた場合の電荷発
生層の厚さは0.2〜5μm程度が適当である。
【0027】電荷輸送層(CTL)は帯電電荷を保持さ
せ、かつ、露光により電荷発生層で発生分離した電荷を
移動させて保持していた帯電電荷と結合させることを目
的とする層である。帯電電荷を保持させる目的達成のた
めに電気抵抗が高いことが要求され、また保持していた
帯電電荷で高い表面電位を得るためには、誘電率が小さ
くかつ電荷移動性がよいことが要求される。
【0028】これらの要件を満足させるための電荷輸送
層は、電荷輸送物質及び必要に応じて用いるバインダー
樹脂より構成される。即ち、以上の物質を適当な溶剤に
溶解ないし分散してこれを塗布乾燥することにより電荷
輸送層を形成することができる。
【0029】電荷輸送する物質には、正孔輸送物質と電
子輸送物質とがある。正孔輸送物質としては、ポリ−N
−ビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリ−γ−カル
バゾリルエチルグルタメート及びその誘導体、ピレン−
ホルムアルデヒド縮合物及びその誘導体、ポリビニルピ
レン、ポリビニルフェナントレン、オキサゾール誘導
体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ト
リフェニルアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノス
チリル)アントラセン、1,1−ビス−(4−ジベンジ
ルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、
スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェ
ニルスチルベン誘導体などの電子供与性物質が挙げられ
る。
【0030】電子輸送物質としては、例えばクロルアニ
ル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシア
ノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオ
レノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレ
ノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,
4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリ
ニトロ−4H−インデノ(1,2−b)チオフェノン−
4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェノ
ン−5,5−ジオキサイドなどの電子受容性物質が挙げ
られる。
【0031】これらの電荷輸送物質は、単独または2種
以上混合して用いられる。また必要に応じて用いられる
バインダー樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−ア
クリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジェン共重合
体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステ
ル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合
体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリレー
ト樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セル
ロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラ
ール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポ
リ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコー
ン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、
フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性樹脂ま
たは熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0032】溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオ
キサン、トルエン、モノクロルベンゼン、ジクロルエタ
ン、塩化メチレンなどが用いられる。電荷輸送層の厚さ
は5〜100μm程度が適当である。また電荷輸送層中
に可塑型やレベリング剤を添加してもよい。可塑剤とし
ては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなど
一般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのま
ま使用でき、その使用量はバインダー樹脂に対して0〜
30重量%程度が適当である。レベリング剤としては、
メチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオ
イルなどのシリコーンオイル類が使用され、その使用量
はバインダー樹脂に対して0〜1重量%程度が適当であ
る。
【0033】以上述べた電荷発生層(CGL)と電荷輸
送層(CTL)は、支持体上に支持体側からCGL、C
TLの順に積層しても、CTL、CGLの順に積層して
もかまわない。
【0034】感光層表面に積層する第1表面保護層は、
少なくとも炭素、金属元素、酸素、水素を含有する層よ
り構成されるものである。このような膜は、揮発性の金
属含有化合物、あるいは揮発性の金属含有化合物と揮発
性有機化合物の混合ガスを原材料としたグロー放電分解
法あるいはプラズマCVD法などにより形成され、特に
その製膜法は限定されるものではないが、グロー放電分
解法、あるいはプラズマCVD法を利用した製膜法によ
れば、第1表面保護層製膜の際に支持体を特に加熱する
必要がなく、約150℃以下の低温で被膜を形成できる
ため、耐熱性の低い有機系感光層上に保護層を形成する
際にも何ら支障がないというメリットがある。また、上
記の方法では気相製膜であるため、各構成元素を原子、
分子レベルの大きさで均一に導入することが可能であ
り、ピンホールが少なく、化学的、物理的な負荷に強い
膜が得られるという特徴がある。
【0035】第1表面保護層形成の際に使用する揮発性
金属化合物とは、常温で気体あるいは蒸気圧を有する液
体または固体状のもの、もしくは加熱することにより分
解することなく蒸気圧が取り出せる液体または固体状の
もので、具体的にはテトラメチルスズ〔(CH34
n〕、トリエチルインジウム〔(C253In〕、ト
リエチルアルミニウム〔(C253Al〕、テトラブ
トキシスズ〔Sn(t−OC494〕、テトラプロポ
キシチタン〔Ti(t−OC374〕などの金属アル
コキシ化合物、四塩化スズ(SnCl4)、四塩化チタ
ン(TiCl4)などの金属ハロゲン化物、フェロセン
〔(C552Fe〕、ニッケロセン〔(C552
e〕などのメタロセン化合物、タングステンヘキサカル
ボニル〔W(CO)6〕、鉄ペンタカルボニル〔Fe
(CO)5〕などの金属カルボニル化合物、銅アセチル
アセトナート〔Cu(C5722〕、ニッケルアセチ
ルアセトナート〔Ni(C5722〕、亜鉛アセチル
アセトナート〔Zn(C5722〕などの金属錯体化
合物などが挙げられる。なお常温または加熱により蒸気
圧を取り出せる金属含有化合物であれば全て利用するこ
とができ、上記の例示化合物に限定されるものではな
い。
【0036】第1表面保護層中の金属元素としては保護
層比抵抗の制御性、保護層分光透過率の点でSnが良好
な特性を有している。Snを第1表面保護層中の金属元
素として用いた場合、各元素の組成比が前記の式(1)
で示される範囲に入ることが電気特性、光学特性、機械
特性の総合特性の点から好ましい。これらの組成から外
れると電気特性、光学特性、機械特性のいずれかの特性
が電子写真用感光体の保護層として好ましくない範囲に
ずれてしまうようになる。
【0037】一方、第1表面保護層の炭素源としてある
いは製膜速度の向上、電気特性の制御を目的として揮発
性金属含有化合物と併用して用いる揮発性有機化合物と
してはメタン、エタン、エチレン、プロペン、アセチレ
ンなどの飽和あるいは不飽和炭化水素、ベンゼン、トル
エン、フェノールなどの芳香族炭化水素、アクリル酸、
メタクリル酸、メタクリル酸メチル、スチレン、アクリ
ロニトリルなどの有機化合物が挙げられるが、テトラメ
チルシラン、テトラメチルジシラザン、テトラメチルジ
シロキサンなどのケイ素含有有機化合物も用いることが
できる。
【0038】これも常温または加熱により蒸気圧が取出
せるものであれば、気体、液体、固体のいずれであって
もかまわず、前記の例示化合物に限定されるものではな
い。これらの原材料は揮発性金属含有化合物を単独で使
用するか、あるいはまた揮発性金属含有化合物と揮発性
有機化合物とを混合して使用する。さらに、揮発性金属
含有化合物、揮発性有機化合物は、それぞれ単独でも、
また複数の種類の化合物を混合して用いてもかまわな
い。また、これらの原材料を反応装置に導入するため
に、Ar、N2、H2、O2などのガスをキャリアガスと
して使用してもかまわない。
【0039】第1表面保護層の膜厚は5000Å〜5μ
mが好ましい。5000Åより膜厚が薄いと機械耐久性
が不十分であり、5μmより大きくなると光吸収が大き
くなったり、微小画像再現性が低下するなどの不具合が
生じる。
【0040】本発明の電子写真用感光体の第2表面保護
層は、前記第1表面保護層上に、該第1表面保護層の化
学的劣化抑制のために積層する、炭素を主成分とし、そ
れ以外に水素、酸素のみを含有する高硬度薄膜より構成
されるものである。
【0041】炭素を主成分とし、それ以外に水素と酸素
のみを含有する第2表面保護層とは、好ましくはSP3
軌道を有するダイアモンドと類似のC−C結合を有する
膜のことである。また、この膜中にはSP2軌道を有す
るグラフファイトと類似の構造を含んでいてもよく、結
晶構造は結晶質性でも非晶質性のものであってもかまわ
ない。
【0042】第2表面保護層の膜は、炭化水素ガス(メ
タン、エタン、エチレン、アセチレンなど)を主材料と
してH2、ArなどのキャリアガスやCO2などの添加物
ガスを伴なったプラズマCVD法、グロー放電分解法、
光CVD法などやグラファイトなどをターゲットとした
スパッタリングなどにより形成され、特にその製膜法は
限定されるものではないが、プラズマCVD法、あるい
はグロー放電分解法を利用した製膜法によれば、第1表
面保護層と同様、支持体を特に加熱する必要がなく、約
150℃以下の低温で被膜を形成できるため、耐熱性の
低い有機系感光層上に保護層を形成する際にも、何ら支
障がないというメリットがある。
【0043】この炭素を主成分とし、それ以外に水素と
酸素のみを含有する第2表面保護層の膜厚は製膜時間の
制御などにより調節できるが、50Å〜5000Åの範
囲が望ましい。50Å以下では第2表面保護層の化学的
劣化の抑制効果が発生せず、5000Å以上になるとこ
の第2表面保護層の可視域での光吸収が大きくなり、感
光体の光感度が低下するようになるからである。
【0044】第1表面保護層あるいは第2表面保護層を
前記原材料を用いて形成するのに好適なグロー放電分解
法は、例えば図3に示すような装置によって実施され
る。即ち、真空槽内部6にマンドレル回転モーター8に
より回転せしめられるマンドレル9に保持された有機導
電層を有する導電性支持体よりなり被処理体7を配置し
てある。被処理体7の内側には必要に応じてヒーター1
0を設けてもよい。また、被処理体7の回りにはグロー
放電を行なうための対向電極11を設けてある。図3に
おいては、対向電極11に高周波電源12が接続され、
被処理体7がアースされているが、これと逆であっても
かまわない。
【0045】13は真空槽排気用真空ポンプ、14は排
気及び圧力調整用排気弁、15は真空計である。16は
揮発性金属含有化合物、18は揮発性有機化合物をそれ
ぞれ収納した容器の一例で、必要であればいずれも恒温
槽17にて一定温度に保つことができる。20はキャリ
アガスボンベ群で、前述のキャリアガスを収納してお
り、必要に応じて真空槽内に導入する。なお、図3にお
いては高周波電力を印加することによりグロー放電を得
ているが、これに限らず直流や光その他の方法で励起さ
れるグロー放電を利用することもできる。
【0046】
【実施例】以下実施例及び比較例により本発明を更に詳
細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではな
い。
【0047】〔実施例1〕アルミニウム製シリンダー状
支持体(外径80mmФ、長さ340mm)に下記の下
引層形成液を乾燥後の膜厚が約2μmになるように浸漬
法で塗工し、下引層を形成した。 〔下引層形成液〕 アルキッド樹脂 3重量部 (ベッコゾール1307−60−EL; 大日本インキ化学社製) メラミン樹脂 2重量部 (スーパーベッカミンG−821−60; 大日本インキ化学社製) 酸化チタン 25重量部 (タイペークCR−EL;石原産業社製) メチルエチルケトン 15重量部 これらを3日間分散した後、メチルエチルケトン/i−
プロパノール(10/5重量部)で希釈し、さらに以下
の組成物を滴下希釈して下引層形成液を調製した。 ポリエチレングリコール 0.5重量部 (PEG600S;三洋化成社製) i−プロパノール 5重量部
【0048】この下引層上に、下記構造のビスアゾ顔料
を含む電荷発生層形成液を浸漬塗工し120℃で10分
間乾燥させ、膜厚約0.15μmの電荷発生層(CG
L)を形成した。 〔電荷発生層形成液〕 下記構造のビスアゾ顔料 1重量部
【化3】 メチルエチルケトン 9重量部 以上を60mmФガラスポットに入れ、さらに5mmФ
PSZボールを加えて、72時間ボールミリングした
後、シクロヘキサノン/メチルエチルケトン/ポリビニ
ルブチラール樹脂(40/10/0.1重量部)で希釈
して電荷発生層形成液を調製した。
【0049】ついで、このCGL上に下記組成の電荷輸
送層形成液を乾燥後の膜厚が約30μmになるように浸
漬塗工して電荷輸送層(CTL)を形成し、有機系感光
層を作製した。 〔電荷輸送層形成液〕
【化4】 ポリカーボネートZ(分子量4万;帝人化成社製) 10重量部 ジクロロメタン 85重量部 シリコーンオイル 0.002重量部 (KF−50;信越化学社製) 以上を混合溶解して電荷輸送層形成液を調製した。
【0050】このようにして作製した有機系感光層を図
3に示すようなグロー放電分解装置(プラズマCVD装
置)にセットし、第1及び第2表面保護層の製膜を行な
った。まず、少なくとも炭素、金属元素、酸素、水素を
含有する第1表面保護層の製膜条件は以下の通りで行な
った。 製膜前排気圧力 ;2×10-5以下 Ar流量 ;100sccm テトラメチルスズ流量 ;25sccm アクリル酸流量 ;75sccm 反応圧力 ;0.03torr 高周波電力出力 ;200W (13.56MHz) バイアス電圧 ;−5V 製膜時間の調節により第1表面保護層膜厚を2μmとし
た。この膜の組成分析をXPS法により行なった結果、
(Sn0.080.060.860.60.4であることが判明し
た。
【0051】第1表面保護層の製膜後、各ガスの導入と
高周波電力の印加を停止し、真空排気を行なった後、炭
素を主成分とし、それ以外に水素、酸素のみを含有する
第2表面保護層を以下の製膜条件にて行なった。 製膜前排気圧力 ;2×10-5以下 C24流量 ;200sccm 反応圧力 ;0.03torr 高周波電力出力 ;100W (13.56MHz) バイアス電圧 ;−200V この膜の組成分析をXPS法により行なった結果、膜が
炭素、酸素、水素から構成されていることが判明した。
製膜時間の調節により、第1表面保護層の膜厚を500
Åとした。以上のようにして、有機系感光層上に第1及
び第2表面保護層が積層された実施例1の電子写真用感
光体を作製した。
【0052】〔実施例2〕第2表面保護層膜厚を50Å
とした以外は実施例1と全く同様にして実施例2の電子
写真用感光体を作製した。
【0053】〔実施例3〕第2表面保護層膜厚を500
0Åとした以外は実施例1と全く同様にして実施例3の
電子写真用感光体を作製した。
【0054】〔実施例4〕第1表面保護層膜厚を500
0Åとした以外は実施例1と全く同様にして実施例4の
電子写真用感光体を作製した。
【0055】〔実施例5〕第1表面保護層膜厚を5μm
とした以外は実施例1と全く同様にして実施例5の電子
写真用感光体を作製した。
【0056】〔実施例6〕第1表面保護層の形成を以下
の製膜条件にて行なった以外は実施例1と全く同様にし
て実施例6の電子写真用感光体を作製した。 製膜前排気圧力 ;2×10-5以下 Ar流量 ;100sccm テトラメチルスズ流量 ;25sccm アクリル酸流量 ;75sccm 反応圧力 ;0.03torr 高周波電力出力 ;200W (13.56MHz) バイアス電圧 ;−10V 製膜時間の調節により第1表面保護層膜厚を2μmとし
た。この膜の組成分析をXPS法により行なった結果、
(Sn0.650.190.160.60.4であることが判明し
た。
【0057】〔実施例7〕第1表面保護層の形成を以下
の製膜条件で行なった以外は実施例1と全く同様にして
実施例7の電子写真用感光体を作製した。 製膜前排気圧力 ;2×10-5以下 Ar流量 ;100sccm テトラメチルスズ流量 ;75sccm アクリル酸流量 ;25sccm 反応圧力 ;0.03torr 高周波電力出力 ;200W (13.56MHz) バイアス電圧 ;−5V 製膜時間の調節により第2表面保護層膜厚を2μmとし
た。この膜の組成分析をXPS法により行なった結果、
(Sn0.600.200.200.60.4であることが判明し
た。
【0058】〔実施例8〕第1表面保護層の形成を以下
の製膜条件にて行なった以外は実施例1と全く同様にし
て実施例8の電子写真用感光体を作製した。 製膜前排気圧力 ;2×10-5以下 Ar流量 ;100sccm トリエチルインジウム流量 ;25sccm アクリル酸流量 ;75sccm 反応圧力 ;0.03torr 高周波電力出力 ;200W (13.56MHz) バイアス電圧 ;−5V 製膜時間の調節により第2表面保護層膜厚を2μmとし
た。この膜の組成分析をXPS法により行なった結果、
炭素、酸素、インジウム、水素より構成されていること
が判明した。
【0059】〔実施例9〕実施例1において第2表面保
護層膜厚を10Åとした以外は実施例1と全く同様にし
て実施例9の電子写真用感光体を作製した。
【0060】〔実施例10〕実施例1において第2表面
保護層膜厚を1μmとした以外は実施例1と全く同様に
して比較例4の電子写真用感光体を作製した。
【0061】〔実施例11〕実施例1において第1表面
保護層膜厚を1000Åとした以外は実施例1と全く同
様にして比較例5の電子写真用感光体を作製した。
【0062】〔実施例12〕実施例1において第1表面
保護層膜厚を10μmとした以外は実施例1と全く同様
にして比較例6の電子写真用感光体を作製した。
【0063】〔実施例13〕実施例1において第1表面
保護層の形成を以下の製膜条件で行なった以外は実施例
1と全く同様にして比較例7の電子写真用感光体を作製
した。 製膜前排気圧力 ;2×10-5以下 Ar流量 ;100sccm テトラメチルスズ流量 ;10sccm アクリル酸流量 ;90sccm 反応圧力 ;0.03torr 高周波電力出力 ;200W (13.56MHz) バイアス電圧 ;−5V 製膜時間の調節により第2表面保護層膜厚を2μmとし
た。この膜の組成分析をXPS法により行なった結果、
(Sn0.010.040.950.60.4であることが判明し
た。
【0064】〔実施例14〕実施例1において第1表面
保護層の形成を以下の製膜条件で行なった以外は実施例
1と全く同様にして比較例8の電子写真用感光体を作製
した。 製膜前排気圧力 ;2×10-5以下 Ar流量 ;100sccm テトラメチルスズ流量 ;25sccm アクリル酸流量 ;75sccm O2流量 ;100sccm 反応圧力 ;0.03torr 高周波電力出力 ;200W (13.56MHz) バイアス電圧 ;−5V 製膜時間の調節により第2表面保護層膜厚を2μmとし
た。この膜の組成分析をXPS法により行なった結果、
(Sn0.420.560.020.70.3であることが判明し
た。
【0065】〔実施例15〕実施例1において第1表面
保護層の形成を以下の製膜条件で行なった以外は実施例
1と全く同様にして実施例15の電子写真用感光体を作
製した。 製膜前排気圧力 ;2×10-5以下 Ar流量 ;100sccm 銅アセチルアセトナート流量 ;25sccm アクリル酸流量 ;75sccm O2流量 ;100sccm 反応圧力 ;0.03torr 高周波電力出力 ;200W (13.56MHz) バイアス電圧 ;−5V 製膜時間の調節により第1表面保護層膜厚を2μmとし
た。この膜の組成分析をXPS法により行なった結果、
炭素、酸素、銅、水素より構成されていることが判明し
た。
【0066】〔比較例1〕実施例1において、第1及び
第2表面保護層を設けなかった以外は実施例と同様にし
て、比較例1の電子写真感光体として作成した。
【0067】〔比較例2〕実施例1において第2表面保
護層膜厚を形成しない以外は実施例1と同様にして比較
例2の電子写真用感光体を作製した。
【0068】以上のようにして作製した実施例1〜1
5、比較例1〜2の電子写真用感光体の保護層及び感光
体特性を以下のようにして評価した。 〔保護層分光透過率〕スライドガラス板上に製膜した各
保護層サンプルを分光光度計にて測定した。 〔感光体静電特性〕シリンダータイプ感光体チェッカー
(リコー社製)を使用し、以下の特性値を測定した(必
要に応じて、初期と実機ランニングテスト後に測定し
た)。 R800 ;暗中800Vにおける抵抗値 E1/10 ;感光体表面電位が800Vから80Vまで
光減衰するのに要した露光量(光源はタングステンラン
プ白色光) V30 ;光減衰開始後30秒後の感光体表面残留電
【0069】〔実機ランニング特性〕市販の普透紙複写
機リコピーFT−3350(リコー社製)を使用して、
それぞれの感光体について初期及び50万枚ランニング
後の特性を評価した。 微細画像再現性;1mm当り何本の線が解像しているか
を測定 摩耗量 ;ランニング後の感光層膜厚減少量 キズ発生数 ;ランニング後の感光層表面に発生した
キズ本数
【0070】評価結果を表1及び表2に示す。
【表1】
【0071】
【表2】
【0072】表1及び表2より以下のことが明らかに判
る。本発明による実施例1〜8の電子写真用感光体は、 ・分光透過率が可視域〜長波長域で非常に高く初期感度
が良好である、 ・残留電位が小さく、微小画像再現性も良好である、 ・長期ランニングテストによっても摩耗が認められず、
キズの発生が少なく機械的耐久性に優れている、 ・長期ランニングテストによっても微小画像再現性の低
下が少ないなど、超高耐久性用の電子写真用感光体とし
て非常に優秀な特性を有していることが判る。 即ち、本発明の電子写真用感光体において、その保護層
の組成及び厚みが好ましい範囲の場合は初期電特性及び
長期耐久性に極めて優れている。
【0073】また、本発明の範囲内ではあるが、 ・第2表面保護層膜厚が薄過ぎる場合(実施例9)も比
較例2と同様に長期ランニング中の微小画像再現性の低
下が激しい、 ・第2表面保護層膜厚が厚過ぎる場合(実施例10)は
第2表面保護層による可視域での光吸収が大きくなり初
期感度が低くなる、 ・第1表面保護層膜厚が薄過ぎる(実施例11)と機械
的耐久性が低く、キズが発生が多くなる、 ・第1表面保護層膜厚が厚過ぎる(実施例12)と微小
画像再現性の点で不利になる、 ・少なくともSn、C、O、Hより構成される第1表面
保護層の組成が本発明で特定した範囲を外れると比抵抗
が大きくなり過ぎ、その結果残留電位大、感度低下が大
となったり(実施例13)、逆に比抵抗が小さく成り過
ぎその結果微小画像再現性が全く得られなくなったり
(実施例14)してしまう、 ・また第1表面保護層を構成する金属がSnである場合
(実施例1〜8)、Cuである場合(実施例15)に比
較し、感光体保護膜として光学的、電気的、機械的特性
に優れている。 即ち、本発明の好ましい範囲を外れた場合には光学的、
電気的、機械的特性の少なくともいずれかにおいて若干
低下する。
【0074】これに対して、 ・保護層の全くないもの(比較例1)は長期ランニング
による摩耗とキズの発生が非常に大きい、 ・第2表面保護層がないもの(比較例2)は長期ランニ
ングにより微小画像再現性の低下が激しいなど欠点を有
する。
【0075】
【発明の効果】以上のように、本発明の、導電性支持体
上に、少なくとも有機系感光層、第1表面層、第2表面
層を順次積層した構成を有する電子写真用感光体におい
て、第1表面保護層は少なくとも炭素、金属元素、酸
素、水素を含有する膜よりなり、第2表面保護層は炭素
を主成分とし、それ以外に水素と酸素のみを含有する膜
よりなる電子写真用感光体(この時、少なくとも第1表
面層はグロー放電分解法により成膜されることが望まし
い)は、光学的、電気的、機械的特性に優れた保護層を
有機系感光層に積層されその結果、非常に良好な耐久性
を有する電子写真用感光体となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真用感光体の構成の一例を示す
模式断面図である。
【図2】本発明の電子写真用感光体の構成の他の例を示
す模断面図である。
【図3】本発明の第1及び第2表面保護層を形成する際
に用いられるグロー放電分解法(プラズマCVD法)に
用いられる装置の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
1 導電性支持体 2 有機系感光層 2a 電荷発生層(CGL) 2b 電荷輸送層(CTL) 3 第1表面保護層 4 第2表面保護層 5 下引層 6 真空層 7 被処理体(有機系感光体) 8 マンドレル回転用モーター 9 マンドレル 10 ヒーター 11 対向電極 12 高周波電源 13 真空槽排気用真空ポンプ 14 排気及び圧力調整用排気弁 15 真空計 16 揮発性金属含有化合物収納容器 17 恒温槽 18 揮発性有機化合物収納容器 19 流量計 20 キャリアガスボンベ群
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−243068(JP,A) 特開 平2−6961(JP,A) 特開 昭63−264766(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 5/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体上に、少なくとも有機系感
    光層、第1表面保護層、第2表面保護層を順次設けた積
    層構造を有する電子写真用感光体において、第1表面保
    護層が少なくとも炭素、金属元素、酸素、水素を含有す
    る膜よりなり、第2表面保護層が炭素を主成分とし、そ
    れ以外に水素、酸素のみを含有する膜よりなることを特
    徴とする電子写真用感光体。
  2. 【請求項2】 前記第1表面保護層が、揮発性の金属含
    有化合物、あるいは揮発性の金属含有化合物と揮発性有
    機化合物の混合ガスを原材料とし、グロー放電分解法に
    より堆積させた膜よりなることを特徴とする請求項1に
    記載の電子写真用感光体。
  3. 【請求項3】 前記第1表面保護層中に含有される金属
    元素が、スズであることを特徴とする請求項1または2
    記載の電子写真用感光体。
  4. 【請求項4】 前記第1表面保護層が、少なくとも炭
    素、スズ、酸素、水素を含有する膜よりなり、その組成
    が下記の式(1)で表されるものであることを特徴とす
    る請求項3記載の電子写真用感光体。 【化1】 (Snxyz1-AA (1) (x,y,zはいずれも原子比で、x+y+z=1、 x=0.05〜0.7、y=0.05〜0.6、 z=0.05〜0.9、 0≦≦0.4 )
  5. 【請求項5】 前記第1表面保護層の膜厚が、5000
    Å〜5μmであることを特徴とする請求項1記載の電子
    写真用感光体。
  6. 【請求項6】 前記第2表面保護層の膜厚が、50Å〜
    6000Åであることを特徴とする請求項1記載の電子
    写真用感光体
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