JP2595574B2 - 感光体 - Google Patents

感光体

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JP2595574B2
JP2595574B2 JP62281788A JP28178887A JP2595574B2 JP 2595574 B2 JP2595574 B2 JP 2595574B2 JP 62281788 A JP62281788 A JP 62281788A JP 28178887 A JP28178887 A JP 28178887A JP 2595574 B2 JP2595574 B2 JP 2595574B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、導電性基体上に形成された光導電層の上
に透光性樹脂保護層を積層してなる感光体に関するもの
である。
[従来技術とその問題点] 従来より電子写真装置等に使用する感光体としては、
導電性基体上に作像表面層として光導電層を形成したも
のが一般に使用されている。
そして、このような感光体は長期に渡って反復使用さ
れるのであるが、この場合、特に光導電層の表面が様々
な影響を受け、その特性が次第に劣化するという問題が
あった。
例えば、感光体を帯電させるために、光導電層の表面
においてコロナチャージャ等による放電を長期に渡って
繰り返して行った場合、光導電層の表面がオゾンにより
次第に酸化されて画質低下を生じるという問題があっ
た。
また、転写後においては、光導電層表面と摺擦するフ
ァーブラシやブレードクリーナーによって光導電層の表
面に付着している残留トナーを除去するのであるが、こ
れを繰り返して行った結果、光導電層表面が損傷した
り、光導電層が次第に削り取られて薄くなる等の問題が
あった。特に、光導電層表面を圧接するブレードクリー
ナーを用いたときには、トナーが光導電層面に埋め込ま
れるという所謂フィルミング現象が生じ、感光体の寿命
を一層低下させるという問題があった。
さらに、このような光導電層が湿度変化の影響を受
け、その特性が著しく低下するという問題もあった。
そこで、このような光導電層を保護するため、光導電
層上に透光性保護層を形成することが従来より行われて
いる。この場合、この透光性保護層も上記のクリーニン
グによって次第に削り取られるし、また光導電層が上述
した他の悪影響を出来るだけ受けないようにするために
は、透光性保護層の膜厚を厚くすることが好ましい。
しかし、このような透光性保護層は、通常それ自体樹
脂で形成され、その固有体積抵抗率が高いため、その膜
厚を厚くすればする程、感光体における残留電位が上昇
し、画像にかぶりを生じる等の問題があった。
そこで、残留電位を上昇させることなく保護層の膜厚
を厚くさせるため、従来においても、保護層の固有体積
抵抗率を低下させるようにしたものが種々考えられた。
例えば、特開昭55−157748号公報には、保護層を形成
する樹脂中に、芳香族アミン化合物と有機プロトン酸を
分散させるようにしたものが示されている。しかし、こ
こで樹脂中に分散させるこれらの物質は、湿度の影響を
受け易いばかりではなく、オゾンに対して劣化し易く、
また樹脂中に多く含有させることができないという欠点
があった。
また、特開昭57−30847号公報においては、保護層を
形成する樹脂中に酸化亜鉛、酸化チタン等の金属酸化物
を添加するようにしたものが示されているが、この場合
も、上記の場合と同様に、湿度、オゾン等の影響を受け
易いという欠点があった。
さらに、特開昭58−59454号公報においては、ZrO2,Mg
F2,Si3N4等からなる保護層を、光導電層上にスパッタリ
ング法や真空蒸着法等によって形成するようにしたもの
が示されている。しかし、このものにおいては、保護層
が光導電層に沿った状態で形成され、光導電層の表面に
凹凸があると、その保護層も凹凸を持つようになり、感
光体の表面性が悪く、クリーニングによってトナーを充
分に除去できず、また筋状の画像ノイズが発生するとい
う問題があった。
[発明の目的] この発明は、上記のような事情に鑑みなされたもの
で、その目的とするところは、光導電層上に形成する保
護層の体積抵抗率を広範囲に渡って設定することが可能
で、残留電位を上昇させることなく保護層の膜厚を厚く
することができ、また機械的強度に優れかつ光学的特性
を損なうことのない保護層を持つ感光体を提供すること
にある。
[問題点を解決するための手段及び作用] この発明に係る感光体においては、導電性基体上に形
成された光導電層の表面に、フッ化マグネシウムを含有
する透光性樹脂保護層を形成するようにしたのである。
このように、透光性樹脂保護層にフッ化マグネシウム
を含有させると、フッ化マグネシウムが導電性を持つた
め、これによって保護層の固有体積抵抗率が低くなり、
残留電位を上昇させることなく、保護層の膜厚を厚くさ
せることができる。
また、このフッ化マグネシウムは、コロナ帯電時に発
生するオゾンによって劣化したり、温度や湿度等の影響
によって変化したりすることがないため、長期にわたっ
て安定でかつ感光体の光学的特性を損なうことのない保
護層が得られる。
さらに、フッ化マグネシウムを含有させることによっ
て保護層が適度な潤滑性を持つようになり、クリーニン
グ特性や耐摩耗性が向上し、耐久性が極めて高い保護層
が得られるようになる。
加えて、レーザー光のような可干渉光を用いる電子写
真装置において、このような保護層が形成された感光体
を用いた場合、感光体内に入射されるレーザー光がこの
保護層内においてある程度拡散され、導電性基体からの
反射光と干渉を起こし、画像に干渉縞状のムラが生じる
ということもない。
ここで、フッ化マグネシウムを透光性樹脂保護層に含
有させるにあたっては、フッ化マグネシウムを微粒化
し、好ましくはその最大粒径が1μm以下で平均粒径が
0.1μm以下、より好ましくは平均粒径が0.05μm以下
になるようにする。
また、フッ化マグネシウムを透光性樹脂保護層に含有
させる量については、フッ化マグネシウムの量が保護層
を形成する樹脂に対して5重量%以下では、保護層の固
有体積抵抗率をあまり低くすることができず、一方60重
量%以上では、保護層の透光性及び硬度の点で問題が生
じるため、フッ化マグネシウムを保護層を形成する樹脂
に対して5〜60重量%の範囲で含有させるようにするこ
とが好ましい。
そして、このようなフッ化マグネシウムを含有する透
光性樹脂保護層を光導電層上に形成する場合には、上記
のようにフッ化マグネシウムを微粒子化し、これを上記
のような割合で樹脂中に分散させ、この分散液を溶剤で
希釈したものを光導電層上に、スプレー法、ディップ法
等の一般的な塗布方法により塗布し、これを乾燥させて
形成する。なお、フッ化マグネシウムを含有させる量に
ついては、残留電位が上昇しないようにするため、保護
層の固有体積抵抗率が108〜1013Ω・cmの範囲になるよ
うに含有させることが好ましい。
また、この保護層の膜厚は、これが0.5μmより薄い
場合には、保護層としての役割を充分に果たすことがで
きず、一方15μm以上の場合には、残留電位が上昇した
り、透過率が低下し感度が悪くなる等の問題が生じるた
め、0.5〜15μm程度にすることが望ましい。
さらに、この保護層に、それ自体公知の他の低抵抗物
質や分散剤や可塑剤等の添加剤を添加してもよい。
また、保護層の形成に使用する樹脂については、特に
制限はないが、例えば、アクリル,アミノ,エポキシ,
シリコン,フッ素,ポリエステル,ビニル,ウレタン,
メラミン,ポリスチレン,ポリアミド,ポリビニルフチ
ラール,ニトロセルロース,酢酸セルロース樹脂,アル
キッド,アクリル−メラミン樹脂,硬化性ゴム等の熱可
塑性樹脂や熱硬化型樹脂等の1または2種以上のものを
用いることができる。なお、これらの樹脂は熱硬化型に
限らず紫外線、X線硬化型等のものであってもよい。
また、この発明の感光体における光導電層には、一般
に用いられている任意の材料を使用することができ、例
えば、Se,Se−As,Se−Te等の無機光導電性材料を真空蒸
着により形成したもの、ZnO,CdS,CdS・nCdCO3(0≦n
<4),CdSSe・nCdCO3(0≦n<4),フタロシアニン
等の光導電性粉末を結着樹脂中に分散させて塗布したバ
インダタイプのもの、さらに光導電層の機能を分離させ
て電荷発生層と電荷輸送層とを積層させた機能分離型の
ものを使用することができる。
なお、上記の機能分離型のものにおいて電荷発生層を
形成するにあたっては、電荷発生材料として、後えば、
ビスアゾ系顔料,トリアリールメタン系染料,チアジン
系染料,オキサジン系染料,キサンテン系染料,シアニ
ン系色素,スチリル系色素,ピリリウム系染料,アゾ系
顔料,キナクリドン系顔料,インジゴ系顔料,ペリレン
系顔料,多環キノン系顔料,ビスベンズイミダゾール系
顔料,インダスロン系顔料,スクアリリウム系顔料,フ
タロシアニン系顔料等の有機系顔料及び染料や、セレ
ン,セレン−ヒ素,セレン−テルル,硫化カドミウム,
酸化亜鉛,酸化チタン,アモルファスシリコン等の無機
材料を使用することができる。そして、このような電荷
発生材料を、例えば、飽和ポリエステル樹脂,ポリアミ
ド樹脂,アクリル樹脂,エチレン−酢酸ビニル共重合
体,イオン架橋オレフィン共重合体(アイオノマー),
スチレン−ブタジエンブロック共重合体,ポリアリレー
ト,ポリカーボネート,塩化ビニル−酢酸ビニル共重合
体,セルロースエステル,ポリイミド,スチロール樹脂
等の熱可塑性結着剤、エポキシ樹脂,ウレタン樹脂,シ
リコーン樹脂,フェノール樹脂,メラミン樹脂,キシレ
ン樹脂,アルキッド樹脂,熱硬化性アクリル樹脂等の熱
硬化結着剤、光硬化性樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾ
ール,ポリビニルピレン,ポリビニルアントラセン等の
光導電性樹脂と共に溶剤に分散させ、これを塗布し、乾
燥させて形成する。
また、電荷輸送層を形成するにあたっては、電荷輸送
材料として、ヒドラゾン化合物、ピラゾリン化合物、ス
チリル化合物、トリフェニルメタン化合物、オキサジア
ゾール化合物、カルバゾール化合物、スチルベン化合
物、エナミン化合物、オキサゾール化合物、トリフェニ
ルアミン化合物、テトラフェニルベンジジン化合物、ア
ジン化合物等色々なものを使用することができる。具体
的には、例えばカルバゾール、N−エチルカルバゾー
ル、N−ビニルカルバゾール、N−フェニルカルバゾー
ル、テトラセン、クリセン、ピレン、ペリレン、2−フ
ェニルナフタレン、アザピレン、2,3−ベンゾクリセ
ン、3,4−ベンゾピレン、フルオレン、1,2−ベンゾフル
オレン、4−(2−フルオレニルアゾ)レゾルシノー
ル、2−p−アニソールアミノフルオレン、p−ジエチ
ルアミノアゾベンゼン、カジオン、N,N−ジメチル−p
−フェニルアゾアニリン、p−(ジメチルアミノ)スチ
ルベン、1,4−ビス(2−メチルスチリル)ベンゼン、
9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン、2,
5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,5−オキ
サジアゾール、1−フェニル−3−(p−ジエチルアミ
ノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノフェニル)ピ
ラゾリン、1−フェニル−3−フェニル−5−ピラゾロ
ン、2−(m−ナフチル)−3−フェニルオキサゾー
ル、2−(p−ジエチルアミノスチリル)−6−ジエチ
ルアミノベンズオキサゾール、2−(p−ジエチルアミ
ノスチリル)−6−ジエチルアミノベンジチアゾール、
ビス(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)フェ
ニルメタン、1,1−ビス(4−N,N−ジエチルアミノ−2
−エチルフェニル)ヘプタン、N,N−ジフェニルヒドラ
ジノ−3−メチリデン−10−エチルフェノキサジン、N,
N−ジフェニルヒドラジノ−3−メチリデン−10−エチ
ルフェノチアジン、1,1,2,2−テトラキス−(4−N,N−
ジエチルアミノ−2−エチルフェニル)エタン、p−ジ
エチルアミノベンズアルデヒド−N,N−ジフェニルヒド
ラゾン、p−ジフェニルアミノベンズアルデヒド−N,N
−ジフェニルヒドラゾン、N−エチルカルバゾール−N
−メチル−N−フェニルヒドラゾン、p−ジエチルアミ
ノベンズアルデヒド−N−α−ナフチル−N−フェニル
ヒドラゾン、p−ジエチルアミノベンズアルデヒド−3
−メチルベンズチアゾリノン−2−ヒドラゾン、2−メ
チル−4−N,N−ジフェニルアミノ−β−フェニルスチ
ルベン、α−フェニル−4−N,N−ジフェニルアミノス
チルベン等の電荷輸送物質を、単独または2種以上混合
して使用する。
そして、このような電荷輸送物質を前述の樹脂ととも
に溶剤に溶解し、これを前記電荷発生層上に塗布し、乾
燥させて電荷輸送層を形成し、電荷発生層上に電荷輸送
層が積層された機能分離型の光導電層を形成する。な
お、この膜厚は、一般に10〜60μm程度である。
また、以上のようにして得られる各感光体において、
導電性基板と光導電層との間に中間層を設けてもよい。
この中間層としては、ポリイミド、ポリアミド、ニト
ロセルロース、ポリビニルブチラール、ポリビニルアル
コール等のポリマーをそのまま、または酸化スズや酸化
インジュウム等の低抵抗化合物を分散させたものを材料
として用いたものや、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸
化ケイ素等の蒸着膜等が適当である。
なお、この中間層の膜厚は、1μm以下が望ましい。
また、この発明の感光体において使用する導電性基板
としては、一般に使用されているものを用いることがで
き、例えば、銅、アルミニウム、銀、鉄、ニッケル等の
箔ないしは板をシート状又はドラム状にしたものや、こ
れらの金属をプラスチックフィルム等に真空蒸着、無電
解メッキによって付着させたもの、あるいは導電性ポリ
マー、酸化インジュウム、酸化錫等の導電性化合物の層
を同じく紙あるいはプラスチックフィルム等の支持体上
に塗布もしくは蒸着によって形成したもの等を使用す
る。
[実施例] 次に、この発明の具体的な実施例について説明すると
共に、比較例を挙げてこの発明の実施例のものが優れて
いることを明らかにする。
実施例1〜4 これらの実施例においては、導電性基板としてアルミ
ニウム基体を使用した。
そして、このアルミニウム基体上に光導電層を形成す
るにあたっては、先ず、銅フタロシアニン50重量部とテ
トラニトロ銅フタロシアニン0.2重量部とを、98%濃硫
酸500重量部に充分撹拌しながら溶解させ、これを5000
重量部の水に加えて、銅フタロシアニンとテトラニトロ
銅フタロシアニンの光導電性材料組性物を析出させた
後、これを濾過、水洗し、減圧下120℃で乾燥させた。
次に、このようして得られた光導電性組成物10重量部
と、熱硬化性アクリル樹脂(アクリディックA405:大日
本インキ(株)製)22.5重量部と、メラミン樹脂(スー
パーベッカミンJ820:大日本インキ(株)製)7.5重量部
と、下記化学式Iのスチリル誘導体15重量部とを、メチ
ルエチルケトン−キシレン(1:1)の混合溶剤100重量部
とともにボールミルポットに入れ、これを48時間分散さ
せて感光性塗液を調製した。
そして、この感光性塗液を上記アルミニウム基体上に
塗布し、これを乾燥させて厚さ15μmの光導電層を形成
した。
次に、このように形成された光導電層上に、フッ化マ
グネシウムを含有する透光性樹脂保護層を形成するにあ
たっては、保護層を形成する樹脂として、熱硬化性アク
リル樹脂(アクリディックA405:大日本インキ(株)
製)とメラミン樹脂(スーパーベッカミンJ820:大日本
インキ(株)製)とを用い、またフッ化マグネシウムと
しては、その最大粒径が1μm以下で、平均粒径が0.05
μm以下になるように微粒子化させたものを使用するよ
うにした。
そして、上記熱硬化性アクリル樹脂を22.5重量部、メ
ラミン樹脂を7.5重量部加えたものに対し、上記の微粒
子化されたフッ化マグネシウムを、実施例1では1.5重
量部、実施例2では3重量部、実施例3では6重量部、
実施例4では9重量部加え、これらをキシレン溶剤に分
散させて保護層用の塗布液をそれぞれ調整した。
次いで、これらの塗布液を上記の光導電層上にスプレ
ーコートして熱硬化させ、それぞれについて、膜厚が約
2μmになったフッ化マグネシウムを含有する透光性樹
脂保護層を形成し、実施例1〜4の感光体を作製した。
すなわち、フッ化マグネシウムが保護層を形成するア
クリル−メラミン樹脂に対して、実施例1のものでは5
重量%、実施例2のものでは10重量%、実施例3のもの
では20重量%、実施例4のものでは30重量%含有された
透光性樹脂保護層を形成するようにした。
比較例1,2 上記実施例1〜4のものと比較するため、比較例1で
は保護層を設けずにおき、また比較例2ではフッ化マグ
ネシウムを添加させずにアクリル−メラミン樹脂だけの
保護層を設けるようにし、その他は実施例1〜4のもの
と同様にして比較例1,2の感光体を作製した。
次に、上記のようにして作製された実施例1〜4及び
比較例1,2の6種類の感光体をそれぞれ、ミノルタカメ
ラ(株)製の複写機EP−350Zに使用し、各感光体を+6K
Vのコロナ放電によって帯電させ、各感光体における初
期帯電電位VO(v)、初期帯電電位VOを1/2にするのに
要した半減露光量E1/2(1x・sec)、1秒間暗所に放置
した場合における初期帯電電位VOの暗減衰率DDR1(%)
及び残留電位VR(v)を、それぞれについて測定した。
この測定結果を、下記の第1表に示した。
第1表に示すように、この発明の実施例に係る各感光
体は、光導電層上に保護層を形成したにも拘らず、アク
リル−メラミン樹脂だけの保護層を設けた比較例2のも
のに比べ、半減露光量E1/2や残留電位が著しく低くなっ
ており、これらについては保護層を設けていない比較例
1のものとほぼ同様になっている。
すなわち、この発明の実施例に係る各感光体は、保護
層にフッ化マグネシウムを添加させたため、保護層を形
成したにも拘らず、半減露光量や残留電位が低く保た
れ、保護層によって感度が低下したり、画像にかぶりを
生じたりするということがない。
次に、これらの各感光体を、温度30℃,湿度85%の条
件下に5日間放置した後、上記の場合と同様にして、各
感光体について初期帯電電位VO(v)、半減露光量E1/2
(1x・sec)、暗減衰率DDR1(%)及び残留電位V
R(v)を測定した。
この測定結果を、下記の第2表に示した。
この結果から明らかなように、この発明の各実施例に
係る感光体は、高湿度下で放置した場合においても、保
護層を設けていない比較例1の感光体のように、初期帯
電電位VOが低下したり、暗減衰率DDR1が上昇したりする
ことがなく、耐湿性に優れたものとなっている。
実施例5 この実施例においても、導電性基板としてアルミニウ
ム基体を使用した。
そして、この実施例では、まずこのアルミニウム基体
上に電荷発生層を形成するようにした。
ここでは、電荷発生材料としてτ型無金属フタロシア
ニンを用い、このτ型無金属フタロシアニン1重量部
と、ポリビニルブチラール樹脂(アセチル化度3モル%
以下、ブチル化度68モル%、重合度1500)1重量部と、
シクロヘキサノン100重量部とを、ボールミルポットに
入れて24時間分散させ、この分散液を上記アルミニウム
基体上に塗布し、乾燥させて膜厚0.3μmの電荷発生層
を形成した。
次に、この電荷発生層上に電荷輸送層を形成するにあ
たっては、電荷輸送材料として、下記の化学式IIに示す
ようなヒドラゾン化合物を用いた。
そして、上記ヒドラゾン化合物10重量部と、ポリカー
ボネート樹脂(パンライトK−1300:帝人化成(株)
製)10重量部とを、テトラヒドロフラン180重量部から
なる溶媒に溶解させ、この溶液を上記電荷発生層上に塗
布し、乾燥させて膜厚が15μmの電荷輸送層を形成し
た。
次に、この電荷輸送層上にフッ化マグネシウムを含有
する透光性樹脂保護層を形成するにあたっては、保護層
を形成する樹脂にポリカーボネートを使用し、フッ化マ
グネシウムとしては、その最大粒径が1μm以下で、平
均粒径が0.03μm以下になるように微粒子化させたもの
を使用するようにした。
そして、このように微粒子化されたフッ化マグネシウ
ムを、ポリカーボネート10重量部に対して2重量部、す
なわち、フッ化マグネシウムが樹脂に対して20重量%と
なるように加え、これらをテトラヒドロフラン100重量
部に分散させ、この分散液を上記電荷輸送層上に塗布し
て膜厚約3μmの透光性樹脂保護層を形成した。
このように、実施例5においては、アルミニウム基体
上に電荷発生層と電荷輸送層とを積層させた機能分離型
の積層感光体において、その表面にフッ化マグネシウム
を含有する透光性樹脂保護層を形成するようにした。
比較例3,4 上記実施例5のものと比較するため、比較例3では保
護層を形成せずに、また比較例4では13.56MHzの高周波
スパッタリング装置によって約0.2μmフッ化マグネシ
ウムからなる保護層を形成するようにし、その他は上記
実施例5のものと同様にして、機能分離型の積層感光体
を作製した。
次に、上記のようにして作製された実施例5及び比較
例3,4の各感光体をそれぞれ、ミノルタカメラ(株)製
の複写機EP−470Zに使用し、各感光体を−6KVのコロナ
放電によって帯電させ、前記の場合と同様に、各感光体
における初期帯電電位VO(v)、半減露光量E1/2(1x・
sec)、暗減衰率DDR1(%)及び残留電位VR(v)を、
それぞれについて測定した。
この測定結果を、下記の第3表に示した。
第3表に示すように、実施例5の感光体においては、
樹脂を含む保護層を形成したにも拘らず、保護層が設け
られていない比較例3の感光体や、保護層がフッ化マグ
ネシウムだけで形成された比較例4の感光体と同様に、
半減露光量や残留電位が低く保たれ、保護層によって感
度が低下したり、画像にかぶりを生じたりするというこ
とがなく、また暗減衰率は比較例3,4の感光体より低く
なっており、高い電荷保持能を持つようになった。
次に、実施例5及び比較例3,4の各感光体について、
連続1万枚のコピーテストを行い、各感光体の画像特性
を調べた。
この結果、実施例5の感光体においては、1万枚のコ
ピー後も画像に何ら変化がなく、画像特性は良好であっ
た。
これに対し、保護層が設けられていない比較例1の感
光体においては、光電層の削れによる濃度むらが生じ
た。また、保護層がフッ化マグネシウムだけで形成され
た比較例4の感光体においては、クリーニング不良のた
め、100枚で黒すじが発生した。
このように、実施例5の感光体においては、その表面
がフッ化マグネシウムを含有する透光性樹脂保護層によ
って充分に保護され、耐摩耗性等の機械的強度に優れる
と共に、そのクリーニング特性も良好なものとなってい
る。
[発明の効果] 以上詳述したように、この発明に係る感光体において
は、光導電層の表面に形成する透光性樹脂保護層にフッ
化マグネシウムを含有させ、保護層の固有体積抵抗率を
低くするようにしたため、保護層の膜厚を厚くしても残
留電位が上昇して画像にかぶりが生じることがなく、光
導電層の表面を充分に保護することができるようになっ
た。
また、このようにフッ化マグネシウムが含有された透
光性樹脂保護層は、コロナ帯電時に発生するオゾンによ
って劣化したり、温度や湿度等の影響によって変化した
りすることがなく、さらにそのクリーニング特性も向上
され、感光体を長期にわたって安定に、かつその光学的
特性を損なうことなく使用することができるようになっ
た。
加えて、この発明に係る感光体を、レーザー光のよう
な可干渉光を用いる電子写真装置に使用した場合には、
感光体内に入射されるレーザー光が上記保護層において
若干散乱し、導電性基体からの反射光との干渉が抑制さ
れるようになり、画像に干渉による縞状のムラが生じた
りすることがなく、高品質な画像得られるようになっ
た。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導電性基体上に形成された光導電層の表面
    に、フッ化マグネシウムを含有する透光性樹脂保護層が
    形成されてなることを特徴とする感光体。
  2. 【請求項2】前記フッ化マグネシウムが樹脂に対して5
    〜60重量%含有されていることを特徴とする特許請求の
    範囲第1項記載の感光体。
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