JPH06234042A - 中子の組付方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 組合せ中子の全長寸法精度を向上できる中子
の組付方法の提供。 【構成】 一体構造の治具１の、それぞれの中子の正規
組付位置に対応させて形成した基準座２に、正規寸法よ
り若干小さく形成した中子ａ、ｂ、ｃ、ｄ、ｅを当接さ
せて位置決めし、ついで中子間に郭定したスペースに充
填物を挿入して中子間位置関係を固定する。これによっ
て、組合せ中子としたときに、各中子の寸法誤差が累積
されない。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、中子を組付けて組合せ
中子とする中子の組付方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】シリンダブロックの鋳造等、複数の中子
を組合せて使用する場合の中子組付け方法として、一体
造型法と、単体中子組合せ法とがある。単体中子組合せ
法では、たとえば特開昭６１−２４５９４４号公報に開
示されているように、一般的に基準となる位置１ヶ所を
決め、他の中子はこれに押しつけまたは嵌め合せて位置
出しし、組合せ中子としている。その際、組付ベースと
なる治具を用いてこれに中子を順次セットし、その後中
子スライド等により基準中子に押しつけまたは嵌め合せ
る方法をとることが多い。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の中子組
合せ法では、個々の中子の寸法誤差が累積されて、組合
せ中子としての寸法精度が低下する。たとえば、６ヶの
中子を直列に配置しこれを組合せると組合せ中子の全長
ばらつきは個々の中子のばらつきの６倍となる。

【０００４】本発明の目的は、組合せ中子を構成する各
中子の寸法ばらつきが累積されない、したがって組合せ
中子の全長寸法精度を向上できる中子の組付方法を提供
することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明に係る中子の組付方法は次の方法からなる。す
なわち、治具の、それぞれの中子の正規組付位置に対応
させて形成した基準座に、正規寸法より若干小さく形成
した中子をそれぞれ当接させて、中子間に微小隙間をも
たせて中子をそれぞれの正規位置に位置決めするととも
に、中子間に充填物挿入用のスペースを郭定し、つい
で、前記スペースに充填物を挿入して中子間位置関係を
固定する、中子の組付方法。

【０００６】

【作用】本発明方法では、治具にそれぞれの中子の基準
座を設け、中子をそれぞれの基準座に当接して位置決め
するようにしたので、組合せ中子としたときに各々の中
子の寸法誤差が累積することはない。したがって、組合
せ中子の全長寸法精度が向上する。

【０００７】

【実施例】以下に、本発明の望ましい実施例に係る中子
の組付方法を図１を参照して説明する。中子の組付に先
立ち、治具１を用意する。治具１は、一体構造で、組合
せ中子を構成する個々の中子ａ、ｂ、ｃ、ｄ、ｅの正規
組付位置にそれぞれの中子の位置決め用の基準座２を有
する。１つの基準座が１つの中子に対応していてもよい
し、１つの基準座が２ヶ以上の中子に対応していてもよ
い。図示例では、５ヶの中子ａ、ｂ、ｃ、ｄ、ｅに対し
４ヶの基準座２を単一の治具１に形成し、中子ａは右方
向に、中子ｂ〜ｅは左方向に押して基準座２に密着さ
せ、それぞれの中子を位置決めするようになっている。

【０００８】各中子ａ〜ｅは、中子の直列組合せ方向
に、中子同志が干渉し合わないように、それぞれの正規
の中子寸法より若干小さく（短かく）形成されている。

【０００９】つぎに、治具１の各中子ａ〜ｅの組付位置
に設けられた基準座２に、正規寸法より若干小さく形成
された各中子ａ〜ｅを当接させる。図示例では、中子ａ
は右方向に、中子ｂ〜ｅは左方向に押して基準座２に密
着させる。具体的には、中子ｂ、ｃ、ｄの押しつけは、
シリンダ１１で最外部中子ｅのクランプ板１０を押し、
クランプ板１０で中子並び方向に延びる連結シャフト９
を押し、さらに連結シャフト９でばね６、７、８を介し
て押付板３、４、５を押すことによって行う。また、最
外部中子ｅとａは、治具１の両端部に取付けられたシリ
ンダ１１、１０による直接押付けとなる。中子ｂ、ｃ、
ｄはばね６、７、８を介しての押しつけのため、中子
ｂ、ｃ、ｄの微小寸法ばらつきは吸収され、かつ押しつ
け力は一様となる。

【００１０】上記の中子ａ〜ｅの基準座２への押しつけ
によって、各中子ａ〜ｅは正規の組付位置に位置決めさ
れる。この状態では、各中子ａ〜ｅが若干小さ目に作ら
れているので、中子間に微小な隙間１３、１４、１５、
１６が存在する。この隙間があるために、中子ａ〜ｅの
寸法ばらつきが吸収され、中子ａ〜ｅが互いに干渉する
ことなく、正規の位置に位置決めできる。中子間隙間１
３、１４、１５、１６のサイズは、中子寸法ばらつきに
よって決めるが、０〜０．５ｍｍ程度である。

【００１１】また、中子ａ〜ｅが基準座２に密着されて
位置決めされた状態において、中子間に、上記隙間１３
〜１６とは別の充填物挿入用のスペース１７、１８、１
９、２０が郭定される。このスペース１７、１８、１
９、２０は、たとえば隣接する中子の一方に凹部を、他
方に前記凹部に突入する凸部を設け、凹部の底と凸部の
先端との間に形成するようにすればよい。

【００１２】ついで、上記スペース１７、１８、１９、
２０に充填物を挿入して中子間の位置関係を固定する。
充填物はたとえば接着剤からなり、スペース１７〜２０
に注入し、硬化させる。充填物は、挿入後に硬くなった
状態にあればよく、接着剤以外に、たとえばロウ、ワッ
クス等でもよく、さらに挿入前から硬いもの、たとえば
生砂、乾燥状態の鋳物砂をブローイング挿入あるいは振
動挿入したものであってもよい。接着剤以外の充填物の
場合、中子間隙間が拡がらないように注意しなければな
らない。これは、一時的にせよ隙間が拡大すると元に戻
らないおそれがあるからである。接着剤以外の充填物の
場合、中子一括取出し時の押え力で中子間隙間が拡がる
のを抑えることは容易であるから、充填物には接着機能
は必ずしも必要とされない。

【００１３】かくして組付けられた組合せ中子は、一括
して治具１からとり出され、外鋳型（図示略）内に納め
られ、注湯される。組合せ中子の各中子間の微小隙間１
３、１４、１５、１６は、充填物挿入による中子間位置
関係の固定により保たれたままであり、したがって、注
湯中も組合せ中子は正規寸法を保っている。中子間隙間
１３、１４、１５、１６は微小なため、溶湯が隙間１
３、１４、１５、１６に侵入して鋳ばりを形成すること
はない。

【００１４】つぎに、作用を説明する。本中子組付方法
では、一体構造の治具にそれぞれの中子の基準座を形成
し、それにそれぞれ対応する中子を当接させて中子を位
置決めするようにしたので、中子を正規位置に位置決め
でき、組合せ中子の全長に各中子の寸法誤差が累積する
ようなことはない。

【００１５】したがって、本中子組付方法により組付け
られた組合せ中子を外鋳型内に納め、中子と外鋳型との
間に溶湯を注湯し、固化してできた鋳物は、当然に寸法
精度が向上しており、従来の寸法ばらつきのために鋳物
粗材につけていた大きな余分の肉厚は低減でき、薄肉、
軽量化ができて車両の燃費の向上に大きく貢献できると
ともに、アルミシリンダブロック等では材料節約、コス
トダウンにも寄与できる。

【００１６】また、累積された大きな隙間が無いことか
ら、隙間、たとえば中子間隙間は小であり、一般に、
０．２〜０．３ｍｍ程度以下の隙間の場合は鋳ばりは発
生しないから、本発明方法の中子を用いて鋳造された鋳
物はほとんど鋳ばり無し鋳物となる。したがって、鋳造
後のばり取り工程が大巾に低減できる。

【００１７】さらに、本発明の中子組付方法は、単体中
子組合せ法であって、従来の一体造型法に分類されるも
のでないから、一体造型法に付随する問題、たとえば、
型の複雑化、一部中子ののり付け等の作業を伴なわない
という利点もある。

【００１８】

【発明の効果】本発明によれば、治具に基準座を設けて
中子を基準座に当接させて位置決めするようにしたの
で、組合せ中子としたときに各中子の寸法誤差が累積す
ることがなく、組合せ中子の全長寸法精度を向上でき
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係る中子の組付け方法を示
す治具および中子の側面図である。

【符号の説明】

１ 治具 ２ 基準座 ３ 押付板 ６ ばね ９ 連結シャフト １１ シリンダ １２ シリンダ １３ 中子間隙間 １７ 充填物充填用スペース

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 治具の、それぞれの中子の正規組付位置
   に対応させて形成した基準座に、正規寸法より若干小さ
   く形成した中子をそれぞれ当接させて、中子間に微小隙
   間をもたせて中子をそれぞれの正規位置に位置決めする
   とともに、中子間に充填物挿入用のスペースを郭定し、 ついで、前記スペースに充填物を挿入して中子間位置関
   係を固定する、ことを特徴とする中子の組付方法。