JPH06229837A - 被覆熱電対の製造方法および被覆熱電対用線材の製造方法 - Google Patents

被覆熱電対の製造方法および被覆熱電対用線材の製造方法

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JPH06229837A
JPH06229837A JP5020126A JP2012693A JPH06229837A JP H06229837 A JPH06229837 A JP H06229837A JP 5020126 A JP5020126 A JP 5020126A JP 2012693 A JP2012693 A JP 2012693A JP H06229837 A JPH06229837 A JP H06229837A
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thermocouple
metal oxide
coated
wire
oxide film
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Application number
JP5020126A
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English (en)
Inventor
Shinji Inasawa
信二 稲澤
Hajime Shiraishi
肇 白石
Masanobu Nishio
▲将▼伸 西尾
Takeshi Miyazaki
健史 宮崎
Koichi Yamada
浩一 山田
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 接続部を含めて接続された第1および第2の
熱電対素線の表面上に、被覆用の金属酸化膜を有する、
耐用寿命の長い、コンパクトで、可撓性に優れた被覆熱
電対の製造方法を提供する。 【構成】 第1の熱電対素線7と第2の熱電対素線8を
接続し、次に、接続部6を含めて接続された第1および
第2の熱電対素線7、8の表面上に被覆用の金属酸化膜
9を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、異なる組成の合金線を
接続することによって得られるゼーベック効果を利用す
る温度計測素子等として用いられる被覆熱電対の製造方
法および被覆熱電対用線材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】異なる組成の合金線を接続することによ
って得られるゼーベック効果を利用する温度計測素子と
しては、熱電対が知られている。熱電対としては、セラ
ミックス性の碍子管に導体が通された形式のものや、酸
化マグネシウムなどの金属酸化物微粒子が詰められた、
ステンレス合金等からなる耐熱合金性の管に熱電対素線
が通された形式のシース熱電対などが、従来より知られ
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の熱電対は、熱電
対素線となる異なる組成を持つプラス脚とマイナス脚と
を溶接し、温度差により発生するゼーベック効果による
電力を測定することにより温度計測を行なうものであ
る。従来の熱電対では、温度測定点となる対部分(溶接
部)は露出しており、高温での使用や、長期の使用によ
り、この対部分が酸化したり劣化したりする。このた
め、従来の熱電対は、使用温度や時間等に制限されると
いう問題があった。係る問題を解決するために、従来の
セラミックス系の碍子管を用いて絶縁を行なっていた熱
電対では、対部分を溶接により形成した後、セメント質
の材料で対部分を被覆することが試みられている。しか
しながら、溶接により形成された対部分は凹凸が激しい
ため、対部分にセメント質の材料を均一に被覆するのが
困難であるという問題があった。また、対部分には、セ
メント質の材料を比較的厚く形成する必要があった。こ
のため、従来のこの種の熱電対では、温度測定点である
対部分が、セメント質の材料で厚く被覆されるため、熱
電対の温度測定の応答速度が遅くなるという問題があっ
た。また、従来のこの種の熱電対は、対部分を1つずつ
被覆加工する必要があったため、作業効率が悪く、量産
性に欠け、工業性が低く、また、高コストになるという
問題があった。また、この種の熱電対は、セラミックス
製の碍子等を用いているため、碍子等の可撓性が乏し
く、嵩張る等の欠点を有していた。また、高真空中で使
用する場合は、碍子が本来多孔質であることや、表面積
が多いことから、多量のガスを吸着するという問題があ
った。
【0004】一方、シース熱電対は、耐熱性の金属外皮
と熱電対素線とによって構成されているため、外径が大
きくなることや、製造コストが高くなる等の問題があっ
た。また、従来のシース熱電対の中には、熱電対の対部
分および熱電対素線全体を保護するため、熱電対全体を
ステンレスなどの金属パイプ内に挿入し、さらに、絶縁
材料として、酸化マグネシウム等の粉末を金属パイプに
充填しているものがある。しかしながら、従来のこの種
のシース熱電対は、温度測定点である対部分と、温度測
定部との間に酸化マグネシウム等の粉末が充填されてな
る絶縁性充填物と、金属パイプ等の金属外皮が存在する
ため、温度測定の応答速度が悪くなるという問題があっ
た。
【0005】本発明は、上述した問題を解決するために
なされたものであって、接続された第1の組成からなな
る第1の熱電対素線および第1の組成と異なる第2の組
成からなる第2の熱電対素線の表面上に、接続部(対部
分)を含めて、第1および第2の熱電対素線の表面上
に、被覆用の金属酸化膜が均一に形成され、可撓性に優
れ、かつ製造原価の低減が図れる、被覆熱電対の製造方
法および被覆熱電対用線材の製造方法を提供することを
目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】第1の発明に従う被覆熱
電対の製造方法は、第1の組成からなる第1の熱電対素
線と、第1の組成と異なる第2の組成からなる第2の熱
電対素線とを接続する工程と、接続部を含めて接続され
た第1および第2の熱電対素線の表面上に、被覆用の金
属酸化膜を形成する工程とを備える。
【0007】金属酸化膜を形成する工程は、好ましく
は、金属酸化物の前駆体微粒子が分散され、ゾルゲル法
に用いることができるように調整されたゾル液を用い
て、金属酸化膜を形成する工程を含む。
【0008】ゾル液を用いて金属酸化膜を形成する工程
は、好ましくは、ゾル液中に接続された第1および第2
の熱電対素線を浸漬する工程と、接続された第1および
第2の熱電対素線を陰極として通電することにより、金
属酸化物の前駆体微粒子を接続部を含めて第1および第
2の熱電対素線の表面上に付着させる工程とを備える。
【0009】第2の発明に従う被覆熱電対用線材の製造
方法は、第1の組成からなる複数の第1の熱電対素線
と、第1の組成と異なる第2の組成からなる複数の第2
の熱電対素線とを交互に接続する工程と、接続部を含め
て交互に接続された第1および第2の熱電対素線の表面
上に、被覆用の金属酸化膜を形成する工程とを備える。
【0010】金属酸化膜を形成する工程は、好ましく
は、金属酸化物の前駆体微粒子が分散され、ゾルゲル法
に用いることができるように調製されたゾル液を用いて
金属酸化膜を形成する工程を含む。
【0011】また、ゾル液を用いて金属酸化膜を形成す
る工程は、ゾル液中に、交互に接続された第1および第
2の熱電対素線を浸漬する工程と、交互に接続された第
1および第2の熱電対素線を陰極として通電することに
より、金属酸化物の前駆体微粒子を接続部を含めて交互
に接続された第1および第2の熱電対素線の表面上に付
着させる工程とを備える。
【0012】第1および第2の発明に用いるゾル液は、
金属酸化物に対応する金属アルコキシドもしくは金属カ
ルボン酸エステルの加水分解反応および縮合反応により
調製されたものであることが好ましい。
【0013】第1または第2の発明に用いるゾル液は、
ゾルの分散倍の誘電率を高めるために有機化合物塩およ
び/または金属の無機塩を添加することができる。
【0014】また、第1または第2の発明に用いるゾル
液は、セラミックス微粉末を含有させることができる。
このようなセラミックス微粉末としては、マイカ粉末、
酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化アルミニウ
ム、窒化ホウ素および窒化アルミニウムからなる群から
選択される化合物の少なくとも1種であることが好まし
い。よって、ゾル液中に、セラミックス微粉末を含有さ
せるのは、熱電対として、使用する条件に応じて、熱電
対の被覆膜を比較的膜厚に形成する場合に好ましい。
【0015】また、第1または第2の発明において形成
される金属酸化膜の材料としては、酸化ケイ素、酸化ア
ルミニウム、酸化ジルコニウム、および酸化マグネシウ
ムからなる群から選択された金属酸化物の少なくとも1
種を含むことが好ましい。これらの金属酸化物を含む金
属酸化膜は、高温でも安定であり、熱電対素線を高温で
も効率的に保護するばかりでなく、対部分を測定部から
電気的に絶縁する機能も有する。
【0016】また、第1または第2の発明に用いる第1
の熱電対素線および/または第2の熱電対素線は、加熱
によって表面に酸化処理が施されていてもよい。日本工
業規格でいうK型熱電対やN型熱電対では、金属酸化物
絶縁膜の熱電対素線に対する密着性を高めるために、熱
電対素線を加熱によって表面に酸化処理することが好ま
しいとされる。
【0017】第1の発明では、好ましくは、金属酸化膜
は、接続された第1および第2の熱電対素線をゾル液中
に浸漬し、接続された第1および第2の熱電対素線を陰
極として通電し、金属酸化物の前駆体微粒子を接続部を
含めて接続された第1および第2の熱電対素線の表面上
に付着させ、これを加熱することによって形成される。
このため、接続された第1の熱電対素線と第2の熱電対
素線との接続部に多少の凹凸が存在しても、接続部を含
めて接続された第1および第2の熱電対素線の表面上に
均一に金属酸化膜を形成することができる。
【0018】また、同様に、第2の発明では、好ましく
は、金属酸化膜は、交互に接続された第1および第2の
熱電対素線をゾル液中に浸漬し、交互に接続された第1
および第2の熱電対素線を陰極として通電し、金属酸化
物の前駆体微粒子を、接続部を含めて交互に接続された
第1および第2の熱電対素線の表面上に付着させ、これ
を加熱することにより形成される。このため、交互に接
続された第1の熱電対素線と第1の熱電対素線との接続
部のそれぞれに多少の凹凸が存在しても、接続部を含め
て交互に接続された第1および第2の熱電対素線の表面
上に均一に金属酸化膜を形成することができる。
【0019】第3の発明に従う被覆熱電対の製造方法
は、第1の組成からなる複数の第1の熱電対素線と、第
1の組成と異なる第2の組成からなる複数の第2の熱電
対素線とを交互に接続する工程と、接続部を含めて交互
に接続された第1および第2の基礎の表面上に、被覆用
の金属酸化膜を形成する被覆熱電対用線材を形成する工
程と、被覆熱電対用線材の第1の熱電対素線と、接続部
を介在して隣接する第2の熱電対素線とを対にして切断
する工程とを備える。
【0020】第4の発明に従う被覆熱電対の製造方法
は、第1の組成からなる複数の第1の熱電対素線と、第
1の組成と異なる第2の組成からなる複数の第2の熱電
対素線とを交互に接続する工程と、金属酸化物の前駆体
微粒子が分散され、ゾルゲル法に用いることができるよ
うに調製されたゾル液中に、交互に接続された第1およ
び第2の熱電対素線を浸漬する工程と、交互に接続され
た第1および第2の熱電対素線を陰極として通電するこ
とにより、接続部を含めて交互に接続された第1および
第2の熱電対素線の表面上に、金属酸化物の前駆体微粒
子を含むゲル膜被覆を形成する工程と、ゲル膜被覆の熱
電対用線材の第1の熱電対素線と、接続部を介在して隣
接する第2の熱電対素線とを対にして切断して、ゲル膜
被覆の熱電対材を形成する工程と、前記熱電対材の表面
上に形成された前記ゲル膜を熱処理することにより、接
続部を含めて第1および第2の熱電対素線の表面上に、
被覆用の金属酸化膜を形成する工程とを含む。
【0021】第3発明に従って製造された被覆熱電対用
線材は、熱電対としての使用時に、交互に接続された第
1の熱電対素線の一端部と他端部との間、および、第1
の熱電対素線に接続部を介在して隣接する第2の熱電対
素線の一端部と他端部との間をそれぞれ、たとえば、ほ
ぼ中央部で切断するだけで、接続部を含めて接続された
第1および第2の熱電対素線の表面上に、被覆用の金属
酸化膜を有する被覆熱電対を容易に作製できる。
【0022】
【発明の作用効果】第1の発明に従って製造された被覆
熱電対は、接続部を含めて接続された第1および第2の
熱電対素線の表面上に、予め被覆用の金属酸化膜を有し
ている。本発明に従って製造される被覆熱電対は、対部
分を含めて接地された第1および第2の熱電対素線の表
面上が金属酸化膜で被覆されているため、高温での使用
や長時間の使用によっても、第1の熱電対素線、第2の
熱電対素線および対部分の酸化を抑制することが可能と
なる。したがって、第1の発明に従って製造された被覆
熱電対は、従来の熱電対に比べ、対部分の酸化による劣
化が著しく低減される結果、熱電対としての高い耐用寿
命を有する。
【0023】また、接続部を含めて接続された第1およ
び第2の熱電対素線とは、予め金属酸化膜で被覆されて
いるため、従来の第1および第2の熱電対素線を溶接等
により接続した後、溶接部(対部分)を1つずつセメン
ト質の材料等で被覆する必要がないため、製造工程が容
易であり、量産性および工業性に優れ、かつ被覆熱電対
の製造コストの低減が図れる。
【0024】第2の発明に従って製造された被覆熱電対
用線材は、接続部を含めて交互に接続され第1および第
2の熱電対素線の表面上に、予め被覆用の金属酸化膜を
有している。したがって、第2の発明に従って製造され
た被覆熱電対用線材は、被覆熱電対用線材の第1の熱電
対素線と、接続部を介在して隣接する第2の熱電対素線
とを対にして切断することにより、接続部を含めて接続
された第1および第2の熱電対素線の表面上に予め金属
酸化膜を有している熱電対を、必要に応じ、容易に製造
することができる。
【0025】また、接続された第1および第2の熱電対
素線の対部分(接続部)を覆う金属酸化膜の膜厚は、熱
電対の温度測定の際の応答速度に大きな影響を与える因
子である。熱電対の温度測定の際の応答速度を速くする
ためには、対部分を覆う金属酸化膜を膜薄に形成する必
要がある。第1の発明では、この金属酸化膜の形成工程
において、好ましくは、接続された第1および第2の熱
電対素線を、金属酸化物の前駆体微粒子が分散され、ゾ
ルゲル法に用いることができるように調整されたゾル液
中に浸漬し、接続された第1および第2の熱電対素線を
陰極として通電することにより、金属酸化物の前駆体微
粒子を電気泳動させて、接続部を含めて接続された第1
および第2の熱電対素線を表面上に強制的に付着させる
ことができる。また、第1の発明では、ゾル液の電気泳
動効率を増加させるために、有機化合物、および/また
は無機塩を添加することができる。これにより電気泳動
効率が上昇し、より低い印加電圧および/またはより短
い通電時間で、金属酸化物の前駆体微粒子を熱電対素線
の表面入力付着させることができる。
【0026】このような分散媒の誘電率を高める有機化
合物塩としては、相間移動触媒に用いられるような有機
アンモニウム塩などがある。また金属の無機塩として
は、アルミニウム、マグネシウム、カリウム、およびジ
ルコニウムの硝酸塩、硫酸塩、塩化物、ならびに水酸化
物からなる群より選択される化合物の少なくとも1種を
用いることができる。
【0027】また、熱電対として使用する条件に応じ
て、接続部を含めて接続された第1および第2の熱電対
素線の表面上に、被覆用の金属酸化膜を比較的厚い膜厚
で形成する必要がある場合は、ゾル液にセラミックス微
粉末を含有させることができる。セラミックス微粉末と
しては、マイカ粉末、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化ケ
イ素、酸化ケイ素および窒化アルミニウムからなる群か
ら選択される化合物の少なくとも1種を用いることがで
きる。
【0028】上述したように第1の発明では、ゾル液の
組成、成分、また、接続された第1および第2の熱電対
素線を陰極として通電する際の印加電圧(電流密度)ま
たは通電時間等を調製または調節することにより、接続
部を含めて接続された第1および第2の熱電対素線の表
面上に、金属酸化物の前駆体微粒子を膜薄ないし膜厚に
形成することができる。その結果、接続部を含めて接続
された第1および第2の熱電対素線の表面上に付着され
た金属酸化物の前駆体を熱処理することにより、接続部
を含めて接続された第1および第2の熱電対素線の表面
上に、所望の膜厚の金属酸化膜を形成することができ
る。
【0029】なお、第1および第2の発明に従う金属酸
化膜は、プラズマ溶射法、スパッタ、またはCVD等の
堆積膜によっても形成することができる。しかしなが
ら、上記した堆積膜は、一般的に靭性に乏しく、過酷な
曲げ加工の際に曲げ破壊を起こしやすい。他方、第1の
発明では、好ましくは、ゾルゲル法を用いて金属酸化膜
を形成している。第1の発明に従う金属酸化膜をゾルゲ
ル法を用いて形成した場合は、金属酸化膜は、物理的結
合等のほか、金属酸化物の前駆体微粒子が加水分解およ
び/または縮合反応により形成された網目状の化学結合
を有している結果、上述の堆積膜に比べ可撓性に優れる
という効果もある。
【0030】また、第1の発明により製造された被覆熱
電対は、セラミックス製の碍子管に導体が通された形式
のものや、ステンレス合金等からなる耐熱合金製の管の
中に、酸化マグネシウムなどの金属酸化物微粒子と熱電
対線が通された形式のシース熱電対に比べコンパクトで
ある。
【0031】また、接続部を含めて接続された第1およ
び第2の熱電対素線の表面上に形成された、被覆用の金
属酸化膜をゾルゲル法を用いて形成した場合は、金属酸
化膜中に含まれる気孔を低減することができ、また、金
属酸化膜の表面も滑らかに形成される。したがって、第
1の発明に従う金属酸化膜をゾルゲル法を用いて形成し
た場合、接続部を含めて接続された第1および第2の熱
電対素線の表面上の被覆用の金属酸化膜が多量のガスを
吸着することがないので、特に超真空中での用途などに
も適したものとなる。
【0032】なお、第2の発明に従う被覆熱電対用線材
の金属酸化膜を形成する工程を、金属酸化物の前駆体微
粒子が分散され、ゾルゲル法に用いることができるよう
に調製されたゾル液を用いて金属酸化膜を形成した場合
は第1の発明に従う効果と同様であるので、その説明を
省略する。
【0033】また、第4の発明に従って、被覆熱電対を
製造してもよい。
【0034】
【実施例】以下に、実施例を示すが、以下の実施例は、
単に本発明を説明するためにのみ用いるものであって、
本発明は、以下の実施例によっては何ら限定されること
はない。
【0035】実施例1 直径0.65mmのK熱電対のプラス脚(ニッケルおよ
びクロムを主とした合金)10mとマイナス脚(ニッケ
ルを主とした合金)10mとを交互に溶接した接続線を
作製し、まず大気中800℃で15分間加熱処理を行な
った。
【0036】図1は、この接続線を概略的に示す模式図
である。図1を参照して、この接続線1は、プラス脚2
とマイナス脚3とが溶接部4を介在して交互に接続され
てなる。
【0037】次にテトラブトキシジルコニウム5モル
%、水8モル%、氷酢酸10モル%、およびブチルアル
コール87モル%の混合溶液を作製し、さらに室温で2
時間攪拌し、ゾル液を調製した。このゾル液の溶液10
0mlに対し硝酸イットリウム6水和物を2g室温で添
加した。
【0038】以上のようにして調製したゾル液中に上述
の接続線1を浸漬し、200Vの直流電圧を30秒間印
加した。接続線1をゾル液から取出したところ、接続線
1の表面にはゲルとして20μm程度の白色の膜が生成
していた。
【0039】次に、ゲル膜が表面にコーティングされた
接続線をプラス脚2とマイナス脚3のそれぞれの脚の丁
度中央部で切断しゲル膜被覆の熱電対材を作製した。次
に、このゲル膜被覆の熱電対材を900℃で10分間加
熱した後、急冷した。図2は、このようにして製造され
た被覆熱電対を模式的に示す断面図である。図2を参照
して、この被覆熱電対5は、接続部6を介在して接続さ
れたプラス脚7とマイナス脚8と、接続部6を含めて接
続されたプラス脚7とマイナス脚8の表面上に、厚さ約
2μmのイットリア部分安定化ジルコニア膜9が形成さ
れてなる。この被覆熱電対5を用いて、900℃の恒温
槽中で10時間温度測定を行なった。
【0040】比較例1 実施例1に示す被覆熱電対5と同じ線径、長さのマイナ
ス脚とプラス脚を碍子管に通し、溶接することにより熱
電対を作製した。この熱電対の対部分を被覆することな
く、この熱電対を用いて、900℃の恒温槽中で10時
間温度測定を行なった。
【0041】10時間後、比較例1は、白金製標準熱電
対より+10℃程度の温度差を示したが、実施例1は白
金製標準熱電対と有意な差を示さなかった。なお、実施
例1に従う被覆熱電対、比較例1の熱電対は、測定開始
時には、標準熱電対の指示温度の±1.5℃範囲で熱起
電力を発生していた。
【0042】被覆熱電対6から、長さ30cmのサンプ
ルを採取した。このサンプルの約50mmの間隔を隔て
た4か所のそれぞれ約10mmの長さの部分に、厚さ
0.02mmの白金箔を密接に巻き付けた。導体−金属
箔間に60Hzの交流電圧を印加したところ、500V
で絶縁破壊した。絶縁電線を曲加工したところ、直径5
0mmの径に曲加工しても絶縁性は維持された。
【0043】実施例2 直径0.32mmのK熱電対のプラス脚(ニッケルおよ
びクロムを主とした合金)10mとマイナス脚(ニッケ
ルを主とした合金)10mとを交互に溶接した接続線を
作製し、まず大気中800℃で15分間加熱処理を行な
った。
【0044】次に、テトラエチルオルトシリケイト8モ
ル%、水32モル%、硝酸1モル%、およびブチルアル
コール59モル%の混合溶液を作製し、さらに室温で2
時間攪拌し、ゾル液を調製した。
【0045】以上のように調製したゾル液中に上述の接
続線を浸漬し、200Vの直流電圧を30秒間印加し
た。その結果、接続線の表面には、ゲルとして3μm程
度の白色の膜が生成していた。
【0046】このようにしてゲル膜が表面上にコーティ
ングされた接続線をプラス脚、マイナス脚のそれぞれの
脚の丁度中央部で切断し、ゲル膜被覆の熱電対材を作製
した。次に、このゲル膜被覆の熱電対材を900℃で1
0分間加熱した後、急冷した。冷却後、接続部を含めて
接続されたプラス脚およびマイナス脚の表面上には、厚
さ約1μmのシリカ膜が形成されていた。実施例2で作
製した被覆熱電対を用いて、900℃の高温層中で10
時間温度測定を行なった。
【0047】比較例2 実施例1に示す被覆熱電対と同じ線径、長さのマイナス
脚とプラス脚を碍子管に通し、溶接することにより熱電
対を作製した。この熱電対の対部分を被覆することな
く、この熱電対を用いて、900℃の高温層中で10時
間温度測定を行なった。
【0048】10時間後、比較例2は白金製標準熱電対
より+10℃程度の温度差を示し、実施例2に従う被覆
熱電対は白金性標準熱電対と有意な差を示さなかった。
なお、実施例2に従う被覆熱電対、比較例2の熱電対
は、測定開始時には、標準熱電対の指示温度の±1.5
℃範囲で熱起電力を発生していた。
【0049】実施例2に示す被覆熱電対から、長さ30
cmのサンプルを採取した。このサンプルの約50mm
の間隔を隔てた4か所のそれぞれ約10mmの長さの部
分に、厚さ0.02mmの白金箔を密接に巻き付た。導
体−金属箔間に60Hzの交流電圧を印加したところ3
00Vで絶縁破壊した。絶縁電線を曲加工したところ、
直径10mmの径に曲加工しても絶縁性は維持された。
【0050】なお、実施例1および実施例2では、ゲル
膜被覆の熱電対材を作製した後、ゲル膜被覆の熱電対材
を加熱することにより、本発明に従う被覆熱電対を製造
した例を示したが、本発明に従う被覆熱電対は、本発明
に従う被覆熱電対用線材をまず製造し、その後、必要に
応じて、本発明に従う被覆熱電対用線材の第1の熱電対
素線と、接続部を介在して隣接する第2の熱電対素線と
を対にして切断することによっても製造することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う被覆熱電対用線材の交互に接続さ
れた第1および第2の熱電対素線からなる接続線を概略
的に示す模式図である。
【図2】本発明に従って製造された一実施例としての被
覆熱電対を概略的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 接続線 2、7 プラス脚 3、8 マイナス脚 4,6 溶接部 5 被覆熱電対 9 金属酸化膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮崎 健史 大阪市此花区島屋一丁目1番3号 住友電 気工業株式会社大阪製作所内 (72)発明者 山田 浩一 大阪市此花区島屋一丁目1番3号 住友電 気工業株式会社大阪製作所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の組成からなる第1の熱電対素線
    と、前記第1の組成と異なる第2の組成からなる第2の
    熱電対素線とを接続する工程と、 接続部を含めて接続された前記第1および第2の熱電対
    素線の表面上に、被覆用の金属酸化膜を形成する工程と
    を備える、被覆熱電対の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記金属酸化膜を形成する工程は、金属
    酸化物の前駆体微粒子が分散され、ゾルゲル法に用いる
    ことができるように調製されたゾル液を用いて、金属酸
    化膜を形成する工程を含む、請求項1に記載の被覆熱電
    対の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記ゾル液を用いて金属酸化膜を形成す
    る工程は、前記ゾル液中に前記接続された第1および第
    2の熱電対素線を浸漬する工程と、 前記接続された第1および第2の熱電対素線を陰極とし
    て通電することにより、金属酸化物の前駆体微粒子を接
    続部を含めて前記第1および第2の熱電対素線の表面上
    に付着させる工程とを備える、請求項2に記載の被覆熱
    電対の製造方法。
  4. 【請求項4】 第1の組成からなる複数の第1の熱電対
    素線と、前記第1の組成と異なる第2の組成からなる複
    数の第2の熱電対素線とを交互に接続する工程と、 接続部を含めて前記交互に接続された第1および第2の
    熱電対素線の表面上に、被覆用の金属酸化膜を形成する
    工程とを備える、被覆熱電対用線材の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記金属酸化膜を形成する工程は、金属
    酸化物の前駆体微粒子が分散され、ゾルゲル法に用いる
    ことができるように調製されたゾル液を用いて金属酸化
    膜を形成する工程を含む、請求項4に記載の被覆熱電対
    用線材の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記ゾル液を用いて金属酸化膜を形成す
    る工程は、前記ゾル液中に、前記交互に接続された第1
    および第2の熱電対素線を浸漬する工程と、 前記交互に接続された第1および第2の熱電対素線を陰
    極として通電することにより、金属酸化物の前駆体微粒
    子を接続部を含めて前記交互に接続された第1および第
    2の熱電対素線の表面上に付着させる工程とを備える、
    請求項5に記載の被覆熱電対用線材の製造方法。
  7. 【請求項7】 第1の組成からなる複数の第1の熱電対
    素線と、前記第1の組成と異なる第2の組成からなる複
    数の第2の熱電対素線とを交互に接続する工程と、 接続部を含めて前記交互に接続された第1および第2の
    熱電対素線の表面上に、被覆用の金属酸化膜を形成する
    被覆熱電対用線材を形成する工程と、 前記被覆熱電対用線材の第1の熱電対素線と、接続部を
    介在して隣接する第2の熱電対素線とを対にして切断す
    る工程とを備える、被覆熱電対の製造方法。
  8. 【請求項8】 第1の組成からなる複数の第1の熱電対
    素線と、前記第1の組成と異なる第2の組成からなる複
    数の第2の熱電対素線とを交互に接続する工程と、 金属酸化物の前駆体微粒子が分散され、ゾルゲル法に用
    いることができるように調製されたゾル液中に、前記交
    互に接続された第1および第2の熱電対素線を浸漬する
    工程と、 前記交互に接続された第1および第2の熱電対素線を陰
    極として通電することにより、接続部を含めて前記交互
    に接続された第1および第2の熱電対素線の表面上に、
    前記金属酸化物の前駆体微粒子を含むゲル膜被覆を形成
    する工程と、 前記ゲル膜被覆の熱電対用線材の第1の熱電対素線と、
    接続部を介在して隣接する第2の熱電対素線とを対にし
    て切断して、ゲル膜被覆の熱電対材を形成する工程と、 前記熱電対材の表面上に形成された前記ゲル膜を熱処理
    することにより、前記接続部を含めて前記第1および第
    2の熱電対素線の表面上に、被覆用の金属酸化膜を形成
    する工程とを含む、被覆熱電対の製造方法。
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