JPH05314821A - 無機絶縁被覆導体 - Google Patents

無機絶縁被覆導体

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JPH05314821A
JPH05314821A JP4114753A JP11475392A JPH05314821A JP H05314821 A JPH05314821 A JP H05314821A JP 4114753 A JP4114753 A JP 4114753A JP 11475392 A JP11475392 A JP 11475392A JP H05314821 A JPH05314821 A JP H05314821A
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JP
Japan
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insulating
conductor
metal oxide
layer
coated conductor
Prior art date
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Withdrawn
Application number
JP4114753A
Other languages
English (en)
Inventor
Koichi Yamada
浩一 山田
Kazuo Sawada
和夫 澤田
Shinji Inasawa
信二 稲澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Publication date
Application filed by Sumitomo Electric Industries Ltd filed Critical Sumitomo Electric Industries Ltd
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Publication of JPH05314821A publication Critical patent/JPH05314821A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高温度の環境下において高い絶縁性を有し、
可撓性に優れ、かつガス吸着源を備えていない無機絶縁
被覆導体を提供する。 【構成】 アルミニウムからなる導体1と、導体1の外
表面に形成されたアルミニウムまたはアルミニウム合金
の酸化被膜2と、酸化被膜2上に形成された絶縁性酸化
物層3と、絶縁性酸化物層3の上に形成された、ポリシ
ラザンの加熱分解により形成される絶縁層4とを備える
無機絶縁被覆導体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、無機絶縁被覆導体に
関し、特に、高温度や高真空の環境下、放射線環境下、
または腐食性環境下で使用可能な配線用電線や巻線用電
線等に用いることのできる無機絶縁被覆導体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、機器内配線や巻線等の用途に用い
られてきた絶縁電線は、主として、有機材料で被覆した
ものであり、特に耐熱性が要求される用途には、フッ素
樹脂やポリイミド等で絶縁被覆した電線が使用されてい
る。しかしながら、このように耐熱性が考慮された電線
でさえも、その使用限界はたかだか300℃程度であ
る。したがって、この温度を超えてこのような電線を使
用し続けると、被覆材料が熱分解して絶縁破壊を生じる
ことがあった。
【0003】このため、無機材料で絶縁被覆した電線、
たとえば、アルミニウム線を陽極酸化処理したアルマイ
ト電線や真空蒸着法等により導体にセラミックスコーテ
ィングした電線、等が検討されている。
【0004】この他、半導体製造装置や高エネルギー実
験、プラズマ実験等を行なう高真空装置では、有機材料
から発生される分解ガスを嫌うため、セラミックス碍子
に銅線を通しただけのものや、銅線にガラステープを巻
いたものが使用されている。
【0005】また、放射線の存在する環境下や、酸また
はアルカリ等の腐食性環境下では、ステンレス鋼等の耐
熱合金パイプの中に、導体を絶縁性金属酸化物粒子で絶
縁しながら通したMIケーブル(Mineral In
sulated Cable)が使用されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような無機材料で絶縁被覆された電線には、各々、種
々の問題があった。
【0007】たとえば、アルマイト電線では、高い絶縁
破壊電圧を得るためには陽極酸化処理を厚く行なわなけ
ればならないが、このように厚く陽極酸化処理をしたも
のは、可撓性がなく曲げるとクラックを発生して絶縁破
壊を起こしてしまう。逆に、可撓性を高めるために薄く
陽極酸化処理したものでは、十分な絶縁破壊電圧を得る
ことができない。
【0008】また、真空蒸着法等により導体にセラミッ
クスコーティングした電線では、コーティング被膜の付
着力が小さいため、曲げることができない。
【0009】また、セラミックス碍子に通したり、ガラ
ステープを巻いた電線では、その加工を手作業に頼らな
ければならないといった煩わしさがある。
【0010】また、MIケーブルは、一般に線径が大き
いため、コンパクト性および可撓性にも劣っている。
【0011】また、特に高真空中では、絶縁被覆として
有機材料を使用した場合、熱分解によるガス放出が問題
となることは前述したとおりであるが、他方、絶縁被覆
が多孔質であったり非常に粗い面を有するものである場
合には、ガスの吸着が問題となる。
【0012】それゆえに、この発明の目的は、上述した
ような従来の問題を解決し得る無機絶縁被覆導体を提供
することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】この発明に従って、アル
ミニウムまたはアルミニウム合金を少なくとも外表面に
有する導体と、導体の外表面に形成されたアルミニウム
またはアルミニウム合金の酸化被膜と、酸化被膜上に形
成された絶縁性金属酸化物層と、絶縁性金属酸化物層の
上に形成された、ポリシラザンの加熱分解により得られ
る絶縁層とを備える無機絶縁被覆導体が提供される。
【0014】この発明に従う導体は、AlまたはAl合
金からなる導体の他に、芯部をたとえば銅として、その
外表面にAlまたはAl合金を設けた複合導体を含む。
【0015】アルミニウムまたはアルミニウム合金の酸
化被膜を形成するための方法としては、たとえば陽極酸
化処理等があり、陽極酸化処理は、たとえば、硫酸浴、
リン酸浴、クロム酸浴およびシュウ酸浴等の中で行なう
ことができる。陽極酸化処理は、形成される酸化被膜の
膜厚制御のため、電界電流を一定に制御(定電流運転)
して行なうのが好ましい。
【0016】一方、高い絶縁破壊電圧を得るため、たと
えば、大電流処理および/または長時間処理を行なっ
て、酸化被膜の膜厚を厚くすると、可撓性が損なわれて
しまう。そこで、形成すべき酸化被膜の膜厚を導体直径
のたとえば5%以下といった大きさにし、絶縁破壊電圧
をある程度犠牲にしながら可撓性を持たせることが優先
される。これによって低下した絶縁性は、その外方に設
けられる絶縁性金属酸化物層および最外層の絶縁層によ
り補われる。
【0017】この発明に従う絶縁性金属酸化物層は、ゾ
ルゲル法に従い、たとえば、絶縁酸化被膜上に金属酸化
物の前駆体を含む溶液を付着させ、続いて加熱処理する
ことによって形成することができる。金属酸化物の前駆
体を含む溶液は、金属酸化物に対応する金属アルコキシ
ドもしくは金属カルボン酸エステルを触媒および溶媒と
共に含む溶液について、加水分解反応および縮合反応を
起こさせることにより得られる。
【0018】この発明におけるポリシラザンは、シラザ
ンをたとえば加熱処理により重合させて得ることができ
る。ポリシラザンの熱分解により窒化硅素系、酸化珪素
系または酸窒化珪素系のセラミックスが形成される。
【0019】
【作用】この発明の無機絶縁被覆導体では、アルミニウ
ムまたはアルミニウム合金の酸化被膜、絶縁性金属酸化
物層およびポリシラザンの熱分解により得られる絶縁層
が協同して導体に絶縁性および耐放射線性等を付与す
る。特に、金属酸化物層およびポリシラザンの熱分解に
より得られる絶縁層は協同して高温下における絶縁性を
保障する。
【0020】この発明において、導体の周囲に酸化被膜
を形成すると、被膜に多数の孔を有するポーラス層がで
きてしまう。しかしながら、ゾルゲル法に従って金属酸
化物の前駆体溶液を被膜上に塗布することにより溶液が
上記ポーラス層に浸透し、加熱処理等によってこの孔は
金属酸化物で塞がれる。この孔を残したままにすると、
種々のガスが孔によって吸着されやすくなるため、高真
空中での使用が困難となる。
【0021】また、金属酸化物でこの孔を埋め、空隙を
残さずに絶縁層を形成することで、その外方にさらに設
けられる絶縁層のため、平滑な表面を提供することがで
きる。絶縁層は、平滑な金属酸化物層に密着できるた
め、厚く形成することができる。
【0022】もし、金属酸化物層を介さずに絶縁酸化被
膜上にポリシラザンの熱分解による絶縁層を直接設けよ
うとすれば、ポリシラザンはポーラス層に浸透しにくい
ため、空隙を残したまま絶縁層が形成されてしまう。こ
のような場合、絶縁層は薄くなり、無機絶縁被覆導体の
絶縁破壊電圧は空隙のために低下してしまう。
【0023】一方、有機金属ポリマの中でもポリシラザ
ンのセラミックス転化率は大きく、また、ポリシラザン
の加熱分解により形成される絶縁体(主として窒化硅素
系セラミックス)は、可撓性に優れ、かつ厚い層にする
ことができる。このため、導体の可撓性を保持しなが
ら、この絶縁層を厚く設けて、耐熱性および絶縁性を向
上させることができる。
【0024】一方、ゾルゲル法により導体の周囲に金属
酸化物層のみを形成した場合でも、良好な耐熱性、耐放
射線性および可撓性を有し、ガスを放出しない絶縁被覆
導体が得られる。しかし、このような絶縁被覆導体は、
大きな径での曲げに対しては十分対応できるが、より小
さな径への曲げに対しては金属酸化物層にクラックが生
じ、絶縁性が保障されなくなる。また、金属酸化物層だ
けでは層を厚くすることが困難なため、絶縁破壊電圧を
より高くすることは容易でない。
【0025】これに対し、この発明に従う無機絶縁被覆
導体では、上述したように可撓性に優れ、厚く形成でき
る絶縁層を金属酸化物層上に設けることにより、小さな
径への曲げに対しても絶縁層で絶縁性を保障し、しかも
厚い層によって絶縁破壊電圧をより向上させることがで
きる。
【0026】加えて、ポリシラザンの熱分解による絶縁
層は平滑な表面を有するため、ガスの吸着源を減少させ
ることができる。したがって、この発明に従う絶縁被覆
導体は高真空機器で使用しても、良好な真空度を維持す
ることができる。
【0027】
【実施例】
(a)陽極酸化による絶縁酸化被膜の形成 線径0.5mmを有するJISによる1070アルミニ
ウム線を準備し、トリクレンを用いて脱脂した。次に、
45℃に保った38%リン酸水溶液中において、電界電
流15A/dm2 で2分間電界処理を行なった。このよ
うに処理された線の表面には、厚さ12μmの絶縁酸化
被膜が形成されていた。
【0028】(b)絶縁性金属酸化物層の形成 トリブトキシアルミニウムを5モル%、トリエタノール
アミンを10モル%、水を5モル%、およびイソプロピ
ルアルコールを80モル%含む混合溶液を、50℃にお
いて1時間反応させてセラミックス前駆体溶液を得た。
【0029】次に、(a)で得られた線材の絶縁酸化被
膜上に上記セラミックス前駆体溶液を塗布し、500℃
で100分間熱処理するという工程を5回繰返した。こ
の工程によって、約3μmの厚みを有するセラミックス
層が酸化被膜上に形成された。
【0030】(c)絶縁性窒化物層の形成 ジクロロシラン15mlとトリエチルアミン40mlを
オートクレーブ中300℃で5時間加熱し、ポリシラザ
ンを調製した。得られたポリシラザンをテトラヒドロフ
ラン100mlで希釈し、コーティング溶液とした。
【0031】上記(b)によって得られた線材を、上記
コーティング溶液中に浸漬した。このようにしてコーテ
ィング溶液を外表面に塗布した線材を、窒素雰囲気下、
温度700℃で10分間加熱した。コーティング溶液の
浸漬および加熱の工程を10回繰返してセラミックス層
の上に厚さ約7μmの窒化物層を形成させた。
【0032】以上のようにして得られた無機絶縁被覆導
体の断面を図1に示す。図1を参照して、アルミニウム
線1の外表面上には絶縁酸化被膜2が形成されている。
絶縁酸化被膜2上には絶縁性セラミックス層3が形成さ
れる。絶縁性セラミックス層3上には、絶縁性窒化物層
4が形成される。
【0033】また、(a)工程終了時、(b)工程終了
時、および(c)工程終了時にそれぞれ得られた線材の
絶縁破壊電圧、可撓性およびガス放出性について試験を
行なった。その結果を表1に示す。なお、表1において
可撓性については、巻き加工を施した際の絶縁性が破壊
される径が示されている。
【0034】
【表1】
【0035】表1に示されるように、(a)、(b)お
よび(c)のすべての工程を経ることによって、初めて
可撓性に優れ、かつより高い絶縁破壊電圧を有する絶縁
被覆導体が得られることがわかる。
【0036】なお、図1に示す絶縁被覆導体の他に、た
とえば図2に示すように、芯部にCu材20aを有し、
その外周にAl材20bが設けられた複合導体21を用
いて、その外方に絶縁酸化被膜22、絶縁性金属酸化物
層23および絶縁性窒化物層24が形成された絶縁被覆
導体をこの発明に従って提供することもできる。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、絶縁被覆は無機材料のみで構成されているので、耐
熱性に優れ、したがって高温下でも熱分解することがな
く、絶縁特性の劣化もない。また、絶縁破壊電圧が大き
く、可撓性にも優れている。さらに、表面が平滑である
ので、ガスの放出や吸着の問題も生じない。したがっ
て、この発明に従う絶縁被覆導体は、高真空機器や高温
使用機器などにおいて用いられる配線用電線や巻線用電
線等に有効に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に従う絶縁被覆導体の1つの具体例を
示す断面図である。
【図2】この発明に従う絶縁被覆導体のもう1つの具体
例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 アルミニウム線 2、22 絶縁酸化被膜 3 絶縁性セラミックス層 4、24 絶縁性窒化物層 21 複合導体 23 絶縁性金属酸化物層

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウムまたはアルミニウム合金を
    少なくとも外表面に有する導体と、 前記導体の外表面に形成されたアルミニウムまたはアル
    ミニウム合金の酸化被膜と、 前記酸化被膜上に形成された絶縁性金属酸化物層と、 前記絶縁性金属酸化物層上に形成された、ポリシラザン
    の加熱分解により得られる絶縁層とを備える、無機絶縁
    被覆導体。
JP4114753A 1992-05-07 1992-05-07 無機絶縁被覆導体 Withdrawn JPH05314821A (ja)

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JP4114753A JPH05314821A (ja) 1992-05-07 1992-05-07 無機絶縁被覆導体

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009518836A (ja) * 2005-12-08 2009-05-07 シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト 電気巻線
CN111883289A (zh) * 2020-06-29 2020-11-03 华为技术有限公司 绝缘导线及其制造方法、线圈或绕组
WO2022104356A1 (en) * 2020-11-11 2022-05-19 Baker Hughes Oilfield Operations Llc Advanced insulation and jacketing for downhole power and motor lead cables

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Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 19990803