JP3336735B2 - 絶縁電線 - Google Patents

絶縁電線

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JP3336735B2
JP3336735B2 JP08973594A JP8973594A JP3336735B2 JP 3336735 B2 JP3336735 B2 JP 3336735B2 JP 08973594 A JP08973594 A JP 08973594A JP 8973594 A JP8973594 A JP 8973594A JP 3336735 B2 JP3336735 B2 JP 3336735B2
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信二 稲澤
浩一 山田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、絶縁電線に関するも
のであり、特に、高真空機器や高温使用機器などにおい
て、配線用電線や巻線用電線等に用いられる絶縁電線に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】絶縁電線は、加熱設備や火災報知器など
の高温下における安全性が要求される設備に使用される
ことがある。また、絶縁電線は、自動車内の高温度に加
熱される環境下においても用いられる。
【0003】このような絶縁電線としては、従来から、
導体にポリイミドやフッ素樹脂等の耐熱性有機樹脂が被
覆された絶縁電線が使用されている。
【0004】また、高い耐熱性が要求される用途や、高
い真空度が要求される環境下で使用される場合には、有
機物被覆だけでは、耐熱性やガス放出性等の点で不十分
である。そこで、セラミックス製の碍子管に導体が通さ
れた形式の絶縁電線や、酸化マグネシウムなどの金属酸
化物微粒子が詰められたステンレス合金等からなる耐熱
合金製の管に導体が通された形式の、いわゆるMIケー
ブル(MineralInsulated Cabl
e)などが、そのような用途に使用されてきた。
【0005】また、耐熱性とともに可撓性が要求される
絶縁電線としては、ガラス繊維が紡織されたものを絶縁
部材として使用する、ガラス編組絶縁電線などが挙げら
れる。
【0006】一方、従来から、耐熱性、絶縁性および熱
放散性の良好な絶縁電線として、アルミニウムあるいは
アルミニウム合金の線材に陽極酸化処理を施した、いわ
ゆるアルマイト電線が存在する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
絶縁電線はすべて、以下のような問題点を有していた。
【0008】すなわち、たとえば、耐熱性を有する有機
樹脂が被覆された絶縁電線においては、絶縁性が保たれ
得る最高の温度は、200℃程度までである。そのた
め、200℃以上の高い温度下において絶縁性の保証が
要求される用途には、このような有機物絶縁被覆電線を
使用することはできなかった。
【0009】また、セラミックス製の碍子管を用いて耐
熱性が高められた絶縁電線は、可撓性に乏しい等の欠点
を有していた。
【0010】これに対して、MIケーブルの外層は耐熱
性合金管によって構成されるため、良好な可撓性を有す
る。しかしながら、ボビン等にコイル状に巻かれる巻線
用電線として用いるためには、耐熱合金製の管を所定の
曲率で曲げる必要がある。このとき、耐熱合金製の管に
曲げ加工を施すのは困難であった。
【0011】また、MIケーブルは耐熱性の合金管と導
体とによって構成されるため、ケーブルの外径が大きく
なる。そのため、MIケーブルは、耐熱性の合金管内に
通される導体が許容する電力量に対して、相対的に大き
な断面積を有するケーブルとなってしまうという問題点
があった。さらに、MIケーブルをコイル状に巻く場
合、導体に比べてその外層の管が太いので、巻線密度を
向上させることが困難であるという問題もあった。
【0012】また、可撓性とともに耐熱性が備えられた
ガラス編組絶縁電線を用いる場合には、用途に応じて所
定の形状に配置するとき、ガラス繊維からガラスの粉塵
が発生するという問題があった。このガラス粉塵は、ガ
スの吸着源となり得る。そのため、高い真空度が要求さ
れる環境下でガラス編組絶縁電線を用いると、ガラス粉
塵によって提供されるガス吸着源のために、高い真空度
を保つことが不可能であるという問題があった。
【0013】一方、従来のアルマイト電線においては、
その基材がアルミニウム1種に限定される。また、その
基材上に形成される無機絶縁層も、酸化アルミニウムに
限定される。そのため、種々の用途に適した基材と無機
絶縁層との組合せを選定することができないという問題
点があった。
【0014】この発明の目的は、上述の問題点を解決
し、高温度の環境下においても高い絶縁性を有し、か
つ、可撓性に優れ、種々の用途に適した基材と無機絶縁
層との組合せを選ぶことができるとともに、ガス吸着源
を備えず高真空中においても使用可能な絶縁電線を提供
することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明による絶
縁電線は、電気導体を含む芯材と、芯材の外表面上に形
成された、クロム、酸素およびバナジウムからなり、か
つ酸化クロムを必須成分として含む複合材料からなる密
着層と、密着層上に形成された、ケイ素、アルミニウ
ム、チタン、ジルコニウムおよびマグネシウムの酸化
物、窒化物ならびに炭化物からなる群から選ばれる少な
くとも1つの化合物からなる絶縁層とを備えている。
【0016】なお、密着層を構成する複合材料として
は、酸化クロム、金属クロム、酸化バナジウムおよび金
属バナジウムを含む場合、酸化クロム、金属クロムおよ
び酸化バナジウムを含む場合、酸化クロム、酸化バナジ
ウムおよび金属バナジウムを含む場合、酸化クロムおよ
び酸化バナジウムを含む場合ならびに酸化クロムおよび
金属バナジウムを含む場合が挙げられる。
【0017】また、複合材料には、クロム、酸素および
バナジウムの他に、不可避的な不純物も含有される。こ
の不可避的な不純物としては、たとえば、めっきを使用
した際に残存する硫酸根や水和物、また、クロム酸化物
を得るためにコバルトを含むめっき浴を用いた場合に残
存するコバルトもしくはコバルト化合物等が挙げられ
る。
【0018】請求項2の発明による絶縁電線は、請求項
1の発明において、密着層は、電気めっき法によって形
成される。
【0019】請求項3の発明による絶縁電線は、請求項
1または請求項2の発明において、芯材は、銅または銅
合金からなる電気導体と、電気導体の外表面上にめっき
または嵌合法によって形成された、ニッケル、クロムお
よびステンレスからなる群から選ばれる少なくとも1つ
の金属からなる被覆層とを含んでいる。
【0020】請求項4の発明による絶縁電線は、請求項
1〜請求項3の発明において、絶縁層中にセラミックス
からなる微粒子が分散されている。
【0021】
【作用】銅または銅合金等の導体の上には、クロムめっ
き層が良好な密着層として形成されることが知られてい
る。しかしながら、金属酸化物の前駆体溶液の加熱処理
による酸化ケイ素等の絶縁性セラミックスは、クロムめ
っき層に対して、ほとんど付着性を示さない。これは、
本願発明者等の知見に基づくものである。また、銅から
なる導体の表面上にセラミックスの薄膜を直接形成した
絶縁電線においては、絶縁層として機能するセラミック
ス薄膜の基材に対する付着力が不十分である。
【0022】そこで、請求項1の発明によれば、基材の
外表面上に酸化クロムを含有する密着層が形成される。
そのため、この密着層の上には、酸化物セラミックスか
らなる絶縁層が、良好な密着性を有する層として付着す
ることができる。
【0023】また、この発明によれば、密着層には酸化
クロムの他にバナジウムが含有される。酸化クロムにバ
ナジウムを添加する目的は、元来酸化クロムはセラミッ
クスとの密着性に優れるが、非常に硬く電線として曲げ
た場合割れることが多い。そこで、バナジウムを、たと
えばクロム元素に対し10分の1添加することにより複
合酸化物を形成し、非常に柔軟な複合層となるからであ
る。
【0024】請求項2の発明によれば、複合材料からな
る密着層は、電気化学的手法により形成される。
【0025】一般的に、クロムめっきを行なう際に使用
する電解浴としては、クロム酸、硫酸を主体とするサー
ジェント浴が知られているが、この発明に使用する電解
浴は、従来の浴とは以下の点で異なる。
【0026】すなわち、従来の電解浴中に混合する鉱酸
は、電気めっきの際にめっき表面上に生成する酸化クロ
ムを溶解する働きがある。このため、従来は光沢状の金
属クロム層がめっきされる。しかしながら、本発明で
は、めっき浴にバナジウム化合物を添加し、硫酸の代わ
りに有機酸が主として用いられ、この酸化クロムを優先
的にめっき析出させる。
【0027】また、複合材料からなる密着層の外表面上
に絶縁性セラミックスの薄膜からなる絶縁層を形成する
が、このとき、薄膜の付着性をより大きくするために、
酸化クロムを主体とする密着層の表面は粗面であること
が好ましい。このため、一般に行なわれる光沢めっきと
は、処理電流密度等が以下のように異なる。
【0028】すなわち、光沢めっきでは、処理温度にも
よるが、通常10〜60A/dm2の電流密度が使用さ
れる。しかしながら、本発明では、100〜200A/
dm 2 の電流密度を使用し、粗面を得る。
【0029】一方、絶縁性セラミックス被膜からなる絶
縁層は、溶液法である有機酸塩熱分解法によって形成さ
れる。なお、この明細書において、「有機酸塩熱分解
法」とは、金属の有機酸塩などの金属有機化合物を適当
な有機溶媒に溶解した溶液を加熱分解してセラミックス
を生成する方法をいう。このタイプの前駆体溶液を用い
る方法では、塗布後に種々の雰囲気下で加熱して熱分解
することにより、セラミックスを生成させる。このた
め、用いる金属有機化合物の分解温度は、その沸点や昇
華点よりも低いことが必要である。
【0030】また、この明細書において、「金属有機化
合物」とは、たとえば、Journal of Mat
erials Science 12(1977)12
03〜1208頁に記載された“metal−orga
nic compounds”と同様の概念であり、金
属原子に酸素を介して炭化水素が結合したものをいう。
【0031】このような金属酸化物の前駆体溶液の加熱
処理により、ほとんどすべての種類の金属酸化物系セラ
ミックス被覆を形成できるが、例を挙げれば、Si
2 、Al2 3 、ZrO4 、TiO2 、MgO等があ
る。
【0032】また、金属有機化合物のうち、有機酸塩と
しては、ナフテン酸、カプリル酸、ステアリン酸、オク
チル酸との金属塩が好ましい。
【0033】さらに、金属アルコキシドとしては、エト
キシド、プロポキシド、ブトキシド等が用いられる。ま
た、大気圧下で沸点を持つ金属アルコキシドを使用する
場合は、ゾルゲル法により加水分解ならびに重縮合反応
を行なっておく必要がある。この処理により、金属アル
コキシドは金属酸化物前駆体と呼ばれる高分子に変化
し、塗布焼成することにより、絶縁性セラミックス膜を
得る。
【0034】また、窒化アルミ被膜を得る場合には、ア
ルキルアミノアルミニウムを有機溶媒に溶解した溶液を
加熱分解することにより、絶縁性窒化アルミニウム層が
形成される。この窒化アルミニウム層は、アルキルアミ
ノアルミニウムを、アルゴンや窒素気流中の不活性雰囲
気下で加熱処理することによって形成することが好まし
い。
【0035】窒化珪素被膜を得るためには、有機金属ポ
リマとして、シリコンジイミド、シラザン、もしくはカ
ルボシランの重合体を使用する。この重合体の加熱処理
により得られる絶縁層は、セラミックス化された窒化物
である。この窒化物は、有機金属ポリマをアンモニアや
窒素気流中の雰囲気下で加熱処理することによって形成
されてもよい。基材上に塗布された溶液中に含まれる化
合物の温度は、700℃程度の温度で完全に終了する。
しかしながら、それ以上の温度で加熱処理された場合、
酸化クロムおよび酸化バナジウム層と、塗布された溶液
中に含まれる金属または半金属との反応が促進されるこ
とによって、付着力が向上する。
【0036】請求項3の発明によれば、芯材は、銅また
は銅合金からなる電気導体と、電気導体の外表面上にめ
っきまたは嵌合法によって形成された、ニッケル、クロ
ムおよびステンレスからなる群から選ばれる少なくとも
1つの金属からなる被覆層とを含んでいる。このよう
に、芯材は、電気良導体であることから、銅および銅合
金を使用することが好ましい。さらに、高温での使用
時、銅の酸化を防止する目的で、表面上にニッケル、ク
ロム、ステンレスをめっきもしくは嵌合法で施すことが
好ましい。
【0037】請求項4の発明による絶縁電線は、絶縁層
中にセラミックスからなる微粒子が分散されている。こ
のセラミックスからなる微粒子は、曲げ応力を吸収する
ように作用する。そのため、被膜の亀裂防止および比較
的厚い膜厚が必要な場合に効果的である。
【0038】
【実施例】
(密着層の形成)基材として、線径φ1.8mmでニッ
ケルめっき厚さが10μmのニッケルめっき銅線、線径
φ0.5mmで導線の外表面上に嵌合法でSUS316
を嵌合したステンレスクラッド(ステンレスと銅の断面
積比が1:1)、線径φ0.5mmで銅線の外表面上に
クロムめっきを2μm施した線材を使用した。
【0039】これらの3種の芯材に、以下のようにして
密着層を形成した。まず、電解液としては、無性クロム
酸200g/l、メタバナジン酸アンモニウム20g/
l、酢酸6.5g/lのものが用いられた。めっき条件
は、基材を陰極として用い、浴温が50℃、電流密度が
150A/dm2 、処理時間が2分間で処理を行なっ
た。このようにして、それぞれの基材上に黒色のビロー
ド状の処理層が約1μm形成された。この表面状態は、
ISO468−1982のSurface Rough
nessによる、中心線平均粗さRaは0.15μm、
Ryは0.87μmであった。なお、測定は、米国Sl
oan社製表面形状測定器DEKTAK3030を用
い、触針径0.5μm、針圧10mg、基準長さ50μ
m、カットオフフィルタは使用せずに測定を行なった。
【0040】このようにして密着層が形成された基材を
用いて、以下の実施例1〜5に示す絶縁電線を作製し
た。
【0041】(実施例1)2−エチル−ヘキサノイック
シリケート20gをジブチルエーテル100mlに溶
解し塗布液とした。上記の処理を行なったニッケルめっ
き銅線をこの塗布液に浸漬し、引き上げた後、温度50
0℃で10分間加熱する工程を10回施した。
【0042】図1は、このようにして得られた絶縁電線
の構成を示す横断面図である。図1を参照して、この絶
縁電線は、銅線1の外表面上に被覆層2を有し、この被
覆層2の外表面上に、酸化クロムと酸化バナジウムより
なる密着層3が形成されている。この実施例1において
は、被覆層はニッケルめっき層である。さらに、この密
着層3上には、絶縁被覆として、絶縁層4が形成されて
いる。この実施例1においては、絶縁層4は酸化ケイ素
であり、その膜厚は5μm程度であった。
【0043】得られた絶縁電線の絶縁性を評価するため
に、絶縁破壊電圧を測定した。室温下においては、その
絶縁破壊電圧は500Vであり、800℃の温度下にお
いては300Vであった。また、直径20cmの円筒の
外周面上にこの絶縁電線を巻き付けても、絶縁層に亀裂
は発生しなかった。
【0044】(実施例2)アルミニウム テトラ−i−
ブトキシド25gをジエチレングリコールモノメチルエ
ーテル100mlに溶解し、その後、150℃で1時間
加熱攪拌した。室温まで放冷した後に、公称粒径0.0
3μmのアルミナ粒子を3g混合し、コーティング液と
した。これに、上記の処理を行ない密着層を形成したニ
ッケルめっき銅線を浸漬し、引き上げた後、温度500
℃で10分間加熱する工程を10回施した。
【0045】以上のようにして得られた絶縁電線は、図
1に示す実施例1の絶縁電線と同様の構造を有してい
た。すなわち、銅線1の外表面上に被覆層2を有し、こ
の被覆層2の外表面上に密着層3が形成されている。こ
の実施例2においては、被覆層2はニッケルめっき層で
ある。さらに、最表層として、金属酸化物の前駆体溶液
の加熱処理によって、絶縁層4が形成されている。この
実施例2においては、絶縁層4は、有機酸塩熱分解法に
より形成された酸化アルミニウムとアルミナ微粒子との
混合層であり、その膜厚は12μm程度であった。
【0046】得られた絶縁電線の絶縁性を評価するため
に、絶縁破壊電圧を測定した。室温下においては、その
絶縁破壊電圧は900Vであり、800℃の温度下にお
いては700Vであった。また、直径14cmの円筒の
外周面上にこの絶縁電線を巻き付けても、絶縁層に亀裂
は発生しなかった。
【0047】(実施例3)アルゴン気流下でジブチルエ
ーテル中、トリエチルアルミニウムに対し3倍モルの乾
燥アンモニアガスを吹き込む。真空ストリッピングを5
mmHg、60℃の条件で行ない、揮発成分を除去す
る。その後、アルゴン雰囲気下で80℃、5時間熟成す
ることにより、アルキルアミノアルミニウム[(C2
5 )AlNH 2 X を生成する。これを、乾燥アセトニ
トリルで5倍に希釈し塗布液とした。上述の処理を行な
い密着層を形成したステンレスクラッド線を、コーティ
ング溶液に浸漬した。このようにしてコーティング溶液
が外表面に塗布された線材に、アルゴン中、温度700
℃で10分間加熱する工程を20回施した。
【0048】以上のようにして得られた絶縁電線は、図
1に示す実施例1の絶縁電線と同様の構造を有してい
た。すなわち、銅線1の外表面上に被覆層2を有し、こ
の被覆層2の外表面上に密着層3が形成されている。こ
の実施例3によれば、被覆層2はステンレス層である。
密着層3の上には、アルキルアミノアルミニウムの加熱
処理によって窒化アルミニウム層4が形成されている。
また、この実施例3によれば、窒化アルミニウム層4の
膜厚は10μm程度であった。
【0049】得られた絶縁電線の絶縁性を評価するため
に、絶縁破壊電圧を測定した。室温下においては、その
絶縁破壊電圧は600Vであり、800℃の温度下にお
いては500Vであった。また、直径3cmの円筒に巻
き付けても、表面に亀裂は発生しなかった。
【0050】(実施例4)Polyborodiphe
nylsiloxane;ポリボロジフェニルシロキサ
ン、−(SiPh2 −O−BO2 )−n をトルエンに溶
解し40重量%溶液とする。さらに、シリコンカーバイ
ドファイバ(繊維長10μm)を3g混合し、コーティ
ング液とした。上述の処理を行ない密着層を形成したニ
ッケルめっき銅線を、コーティング溶液に浸漬した。こ
のようにして、コーティング溶液が外表面に塗布された
線材に、温度500℃で10分間加熱する工程を1回施
した。
【0051】このようにして得られた絶縁電線は、図1
に示す実施例1の絶縁電線と同様の構造を有していた。
すなわち、銅線1の外表面上に被覆層2を有する。この
実施例4においては、被覆層2はニッケルめっき層であ
る。この被覆層2の外表面上には密着層3が形成されて
いる。さらに、この密着層3の上には、加熱処理によっ
て炭化物絶縁層4が形成されている。この実施例4にお
いては、この炭化物絶縁層4は、シリコンカーバイドフ
ァイバと炭化物絶縁層の混合層である。また、この実施
例によれば、炭化物絶縁層4の膜厚は10μm程度であ
った。
【0052】得られた絶縁電線の絶縁性を評価するため
に、絶縁破壊電圧を測定した。室温下においては、その
絶縁破壊電圧は900Vであり、800℃の温度下にお
いては700Vであった。また、直径3cmの円筒の外
周面上にこの絶縁電線を巻き付けても、絶縁層に亀裂は
発生しなかった。
【0053】(実施例5)トリス(N−メチルアミノ)
メチルシランをオートクレーブ中500℃で3時間加熱
したものを、10gトリテトラヒドロフラン100ml
で希釈した。室温まで放冷した後に、公称粒径1.5μ
mのアルミニウムナイトライド粒子を3g混合し、コー
ティング液とした。上述の処理を行なったクロムめっき
線にコーティング溶液を塗布し、温度500℃で10分
間加熱する工程を10回施した。
【0054】以上のようにして得られた絶縁電線は、図
1に示す実施例1の絶縁電線と同様の構造を有してい
た。すなわち、銅線1の外表面上に被覆層2を有する。
この実施例5においては、被覆層2はクロムめっき層で
ある。この被覆層2の外表面上には密着層3が形成され
ている。さらに、この密着層3の上には、加熱処理によ
って窒化物絶縁層4が形成されている。この実施例5に
おいては、この窒化物絶縁層4は、アルミニウムナイト
ライドとシリコンナイトライド/カーバイドの混合層で
ある。また、この窒化物絶縁層4の膜厚は12μm程度
であった。
【0055】得られた絶縁電線の絶縁性を評価するため
に、絶縁破壊電圧を測定した。室温下においては、その
絶縁破壊電圧は900Vであり、800℃の温度下にお
いては700Vであった。また、直径2cmの円筒の外
周面上にこの絶縁電線を巻き付けても、絶縁層に亀裂は
発生しなかった。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、高温度の環境下においても高い絶縁性を有し、かつ
可撓性に優れ、種々の用途に適した基材と無機絶縁層と
の組合せを選ぶことができるとともに、ガス吸着源を備
えず高真空中においても使用可能な絶縁電線が得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による絶縁電線の一例を示す横断面図
である。
【符号の説明】
1 銅線 2 被覆層 3 密着層 4 絶縁層
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−15113(JP,A) 特開 平4−104405(JP,A) 特開 平4−286807(JP,A) 特開 平4−301317(JP,A) 特開 平5−266743(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01B 7/02 H01B 7/29

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気導体を含む芯材と、 前記芯材の外表面上に形成された、クロム、酸素および
    バナジウムからなり、かつ酸化クロムを必須成分として
    含む複合材料からなる密着層と、 前記密着層上に形成された、ケイ素、アルミニウム、チ
    タン、ジルコニウムおよびマグネシウムの酸化物、窒化
    物ならびに炭化物からなる群から選ばれる少なくとも1
    つの化合物からなる絶縁層とを備えた、絶縁電線。
  2. 【請求項2】 前記密着層は、電気めっき法によって形
    成される、請求項1記載の絶縁電線。
  3. 【請求項3】 前記芯材は、 銅または銅合金からなる電気導体と、 前記電気導体の外表面上にめっきまたは嵌合法によって
    形成された、ニッケル、クロムおよびステンレスからな
    る群から選ばれる少なくとも1つの金属からなる被覆層
    とを含む、請求項1または請求項2記載の絶縁電線。
  4. 【請求項4】 前記絶縁層中にセラミックスからなる微
    粒子が分散された、請求項1〜請求項3記載の絶縁電
    線。
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KR20030008890A (ko) * 2001-07-20 2003-01-29 최용운 전자파 차단 전선

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