JPH0622096Y2 - エンジンのオイルパンバツフルプレ−ト構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案はエンジンのオイルパンバッフルプレート構造
の改良に関する。

（従来技術） 従来、シリンダブロックのスカート部の開閉による振動
及びオイルパン内のオイル波立ちを抑制して車内騒音の
低減を図るために、シリンダブロックの下端に板状剛体
のオイルパンバッフルプレートを設けることは知られて
おり、該プレートの取付けに際してシリンダブロックと
オイルパンとの間にそのフランジ部を挾持して１つの締
結部材により前記３者を効率良く取付けることは公知で
ある。

ところで、上記オイルパンバッフルプレートは、クラン
ク軸の下方位置に設けられるため、該クランク軸のカウ
ンタウェイト部の回転軌跡を避けるべく皿状に形成され
るとともに、フランジ部と連続する側面の部分が上記回
転軌跡より離れているため、リターンオイルが溜まり易
く、かつ溜まったオイルがクランク軸のカウンタウェイ
ト部によりかき上げられてしまうため、オイルパン内へ
のリターンオイルの回収が効率良く行なえないととも
に、エンジンの動力損出が生じるという問題があった。

そこで、実開昭５９−１５９７１４号公報等で開示され
ているように、オイルパンバッフルプレートでエンジン
の幅方向両側に対応する位置にエンジンの長手方向に延
びる長穴を設けるとともに、該長穴の外縁にクランク軸
のカウンタウェイト部の回転に対応して突出するリブを
設け、クランク軸のカウンタウェイト部によりかき上げ
られるオイルをすみやかにリブにより受け止めると同時
に長穴からオイルパン内へ回収するものが提案されてい
る。

しかしながら上記従来技術では、リブ形成時にオイルパ
ンバッフルプレートを切り起こす作業が必要であり、長
穴及びリブの形成が簡単でない。さらに、リブによるオ
イルの受け止めを確実に行なうためにリブをクランク軸
のカウンタウェイト部の回転軌跡に近づけようとした場
合、長穴が大きくなりオイルパンバッフルプレート自体
の剛性の確保ができなくなるという問題がある。

（考案の目的） この考案は上記従来の問題を解決するためになされたも
ので、オイルパンバッフルプレートの構造の簡略化及び
クランク軸のカウンタウェイト部によりオイルがかき上
げらえるのを抑制してリターンオイルの回収効率を向上
させるとともに、エンジンの動力損出を防止することを
目的とするものである。

（考案の構成） このためこの考案は、シリンダブロックの下端とオイル
パンとの間に挾持されるフランジ部と、該フランジ部と
連続し、かつ、断面が略皿形状をした皿状部とで構成さ
れたオイルパンバッフルプレートでクランク軸の回転方
向の進み側に位置するフランジ部が、クランク軸の回転
方向の遅れ側に位置するフランジ部よりカウンタウェイ
ト部の回転軌跡に近接すべくクランク室内方へ延設さ
れ、該延設されたクランク軸の回転方向の進み側に位置
するフランジ部と連続する上記皿状部の側面に該皿状部
内のオイルパン内へオイルを落とすオイル落し孔が設け
られていることを特徴とするものである。

（考案の効果） この考案によれば、オイルパンバッフルプレートでクラ
ンク軸の回転方向の進み側に位置するフランジ部をクラ
ンク室内方へ延設するだけの簡単な構成で、別途オイル
受け用のリブを設けることなく、皿状部内からクランク
室内へのオイルのかき上げを抑制し、さらに、上記延設
されたフランジ部側と連続する上記皿状部の側部にオイ
ル落し孔が設けられているため、リターンオイルを効率
良く回収でき、エンジンの動力損失を防止するとができ
る。

さらに、上記回転方向の進み側に位置するフランジ部の
延設に何ら関係なくオイル落し穴の設定が可能であるの
で、すなわち、オイル落し孔の大きさを大きくすること
なく皿状部内からクランク室内へのオイルのかき上げを
防止できるので、オイルパンバッフルプレート自体の剛
性を確保できる。

（実施例） 以下、本考案の実施例を添付図面について詳細に説明す
る。

エンジン１のシリンダブロック２の下部には、外方へ広
がったスカート部３が設けられ、該スカート部３内の軸
受部（不図示）には、クランクシャフト４が回転自在に
嵌合されるとともに、該クランクシャフト４には、シリ
ンダブロック２の上部のシリンダボア５のピストン（不
図示）に連結されるコネクテイングロッド（不図示）が
嵌合されている。

上記シリンダブロック２の下端にはフランジ部２ａが設
けられている。

一方、シリンダブロック２の下方にはオイルパン６が配
置され、該オイルパン６には、シリンダブロック２のフ
ランジ部２ａに対向するフランジ部６ａが設けられてい
る。

上記シリンダブロック２とオイルパン６との間には図示
形状をした板状剛体のオイルパンバッフルプレート７が
配置されている。該オイルパンバッフルプレート７は、
シリンダブロック２のフランジ部２ａとオイルパン６の
フランジ部６ａとに対向するフランジ部７ａと、該フラ
ンジ部７ａと連続して形成され、かつ、断面が略皿形状
をした皿状部７ｅとで構成されている。該皿状部７ｅ
は、フランジ部７ａと連続して形成された傾斜面の側面
部７ｂと、該側面部７ｂと連続して形成された水平面の
底面７ｃとで構成されている。

上記バッフルプレートは、上記シリンダブロック２のフ
ランジ部２ａとオイルパン６のフランジ部６ａの間にオ
イルパンバッフルプレート７のフランジ部７ａが挾持さ
れ、締結部材８により取付けられている。

上記オイルパンバッフルプレート７のフランジ部７ａ
で、クランク軸４の回転方向ｃの遅れ側に位置するフラ
ンジ部７ａ_１よりも上記Ｃの進み側に位置するフランジ
部７ａ_２がクランク軸４のカウンタウェイト回転軌跡９
に近接するようにクランク室１０内方へ延設されてい
る。すなわち、回転軌跡９とフランジ部７ａ_１との距離
をＬ、回転軌跡９とフランジ部７ａ_２との距離をｌとす
るとＬ＞ｌとなるように構成されている。

該延設されたフランジ部７ａ_２と連続するオイルパンバ
ッフルプレート７の側面７ｂから底面７ｃにかけてオイ
ル落し孔７ｄが設けられている。

上記のとおり構成により、リターンオイルがオイルパン
バッフルプレート７上に溜まって、クランク軸４のカウ
ンタウェイトによりかき上げられようとしても、そのか
き上げ始めの時点において、該時点近傍に形成されたオ
イル落し孔７ｄからオイルがオイルパン６内に落ちるの
で、リターンオイルを効率良く回収できる。また、フラ
ンジ部７ａ_２の方がフランジ部７ａ_１より回転軌跡９に
近設して配置されているため、皿状部７ｅ内のオイルが
クランク室１０内へ連通する通路が、より狭く形成され
ていることとなり、皿状部７ｅ内のオイルがクランク室
１０内へ移動する際の抵抗となって、皿状部７ｅ内のオ
イルがクランク室１０内へかき上げられるのを低減で
き、クランク軸４の回転時の抵抗が減少し、エンジンの
動力損出を抑制できる。

さらに、フランジ部７ａ_２の寸法設定がオイル落し孔７
ｄに関係なく行なえるので、すなわち、オイル落し孔７
ｄをより大きく形成するとなく、回転軌跡９により近設
するようにフランジ部７ａ_２の寸法を設定できるため、
オイルパンバッフルプレート７の剛性の確保が可能であ
る。

【図面の簡単な説明】

図はこの考案に係るオイルパンバッフルプレートを装備
したエンジンの側面断面図である。 ２…シリンダブロック、４…クランク軸、６…オイルパ
ン、７…オイルパンバッフルプレート、７ａ…フランジ
部、７ａ_１…クランク軸の回転方向の遅れ側に位置する
フランジ部、７ａ_２…クランク軸の回転方向の進み側に
位置するフランジ部、７ｂ…側面、７ｄ…オイル落し
孔、７ｅ…皿状部、９…カウンタウェイト部の回転軌
跡、１０…クランク室、ｃ…クランク軸の回転方向。Ｌ
…クランク軸の回転方向の遅れ側に位置するフランジ部
７ａ_１とカウンタウェイト部の回転軌跡９との距離、ｌ
…クランク軸の回転方向の進み側に位置するフランジ部
７ａ_２とカウンタウェイト部の回転軌跡９との距離。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】シリンダブロックの下端とオイルパンとの
   間ににフランジ部が挾持されて取り付けられたオイルパ
   ンバッフルプレートにおいて、該バッフルプレートは上
   記フランジ部と、該フランジ部と連続し、かつ、断面が
   略皿形状をした皿状部とから成り、前記バッフルプレー
   トはクランク軸のカウンタウェイト部の回転軌跡に近づ
   けて設けられ、前記バッフルプレートはクランク軸の回
   転方向の進み側に位置するフランジ部が、クランク軸の
   回転方向の遅れ側に位置するフランジ部よりカウンタウ
   ェイト部の回転軌跡に近づくべくクランク室内方へ延設
   され、該延設されたクランク軸の回転方向の進み側に位
   置するフランジ部と連続する上記皿状部の側面に、該皿
   状部内からオイルパン内へオイルを落とすオイル落し孔
   が設けられていることを特徴とするエンジンのオイルパ
   ンバッフルプレート構造。