JPS5919774Y2 - 自動車用エンジンのオイルパン - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、自動車用エンジンのオイルパンに関するも
のである。

従来におけるこの種のオイルパンは、単に底壁の一部に
オイル溜りを設け、あるいは、必要に応じてオイルパン
の底壁下面に放熱フィンを設けるのみであったので、オ
イルパンからの放熱効率が悪く、かつ、前記オイル溜り
にはシリンダブロックの内壁面あるいはクランクシャフ
トのジャーナル部等からオイルが直接に滴下するので、
オイルポンプには高温のエンジンオイルが吸い込まれる
。

従って、殊に、大型エンジン等のように、ピストンの裏
面をエンジンオイルで冷却しているエンジンでは、高速
走行時及び登板時等にはエンジンオイルの温度が許容値
を超えてオイルの劣化が激しくなるので、オイルの循環
径路中にオイルクーラーを設け、エンジンの冷却水とエ
ンジンオイルとを熱交換させているのが現状である。

ところが、このようにオイルクーラーを設けた場合は、
オイルの循環径路が複雑になると共に、径路抵抗が増加
するのでオイルポンプの消費動力が増加する欠点がある
。

この考案は、このような欠点を解消するためになされた
ものであって、オイルパンの放熱機能を高め、少くとも
高温のオイルがオイル溜りに直接流下して直ちにオイル
ポンプにて吸い上げられることを防止することにより、
必ずしもオイルクーラーを使用することなくエンジンオ
イルの温度が許容値以上に上昇するのを防止すると共に
、オイルパンを透過して周囲に伝播しようとする騒音及
びオイルパン自身の振動による騒音をも低減させようと
するものである。

以下、添付図面に示された一実施例に基づいてこの考案
を詳細に説明する。

図において、１はクランクケース２の下部に図示しない
ボルトで締付固定されたオイルパン本体であって、その
底壁３の一部を他の部分より下方に凹入させてオイル溜
り４を形成すると共に、このオイル溜り４に向って傾斜
する他の底壁部分における傾斜方向と直交する方向の断
面形状を第２図及び第３図に示すように波形状に形成す
ることにより、オイルパン本体１の底壁３の剛性と表面
積とを増加させ、更に、波形状に形成された部分の底壁
下面に放熱フィン５を形成することにより、オイルパン
本体１の放熱容量をより増加させている。

６は前記オイルパン本体１内に固定された仕切板であっ
て、その上下部分、即ち、クランク室７と、図示しない
オイルポンプの吸込口に接続されたサクションフィルタ
ー８の取付スペースとをエンジンの前後端部のみにて連
通させることにより、シリンダブロック、ピストンある
いはクランクシャフトのジャーナル部から仕切板６上に
滴下排出されたエンジンオイルをその前後端部のみから
オイルパン本体１の底壁３上に流下させるようにしであ
る。

又、前記オイルパン本体１の下部には整流板９を取り付
けることにより、オイル溜り４の下面と整流板９との間
に前後方向に沿うエアダクト１０を形威しているが、こ
のエアダクト１０の前端の開口１１は後端の開口１２よ
り下方に位置し、しかも、前端の開口面積を後端の開口
面積より大きくすることにより、自動車の走行時にはエ
アダクト１０内をより多量の空気が通流するように構成
すると共に、停車時においても空気の比重差でエアダク
ト１０内を空気が通流するようにしている。

斯る構成のオイルパンにおいて、エンジンの運転中は、
シリンダブロックの内壁面、ピストンあるいはクランク
シャフトのジャーナル部等から高温のエンジンオイルが
滴下するが、オイル溜り４の上方には仕切板６が設けら
れているので、前記の如く滴下したエンジンオイルは仕
切板６とオイルパン本体１との隙間、即ち、前後端部か
らオイルパン本体１の底壁上に流下される。

このようにして底壁上に流下したエンジンオイルは、こ
の底壁３を介して空気と熱交換して冷却されつつオイル
溜り４に流入する。

このとき、オイル溜り４に向って傾斜する底壁部を実施
例のように波形断面とし、かつ、その下面に放熱フィン
５を取り付けた場合は、前記のようにしてオイル溜り４
に流入する過程でエンジンオイルが充分に冷却される。

又、オイル溜り４に流入したエンジンオイルは、その下
面に形成されたエアダクト１０を通流する空気との間に
ても熱交換して冷却されるので、サクションフィルター
８には充分に冷却されよオイルが吸い込まれる。

従って、各潤滑部等に供給されるエンジンオイルの温度
を充分に低くできるため、オイルの温度が許容温度以上
に達することはない。

このようなエンジンオイルの冷却に際して、エアダクト
１０を前後方向に沿わせ、がっ、前端の開口面積を後端
の開口面積より大きくしているため、自動車の走行速度
が増加（エンジンオイルの温度が上昇）するにともなっ
てエアダクト１０を通流する空気量が増加してオイル溜
り４内のオイルに対する冷却能力を増大させることがで
きるので、高速走行時にもエンジンオイルの温度が許容
値以上に上昇することはない。

他方、エンジン）１０の両端の開口１１．１２間には高
低差が与えられているので、エアダクト１０内の空気が
停滞しがちな停車中においても、温度上昇された空気が
高い方の開口１２から流出し、低い方の開口１１からは
低温の空気が流入するので、停車中においてもオイル溜
り４内のエンジンオイルが充分に冷却される。

尚、停車中にあっては、エアダクト１０内の空気の温度
上昇率が高いほど、即ち、オイル溜り４内のエンジンオ
イルの温度が高いほどエアダクト１０内における比重差
による空気の流動が大きくなって新気の流入量が増加す
るので、例えば、高速度走行及び登板直後に停車又はエ
ンジンを停止しようともエンジンオイルの温度が許容値
以上に上昇するおそれはない。

更に、オイルパンを透過しようとする騒音は、仕切板６
による減衰作用を受け、かつ、オイルパンを透過した騒
音は整流板９による減衰を受けるので、従来のものに対
比してオイルパンからの透過音が低減されると共に、オ
イルパンが仕切板６及び整流板９にて補強されるのでそ
の振動音をも低減できる。

殊に、実施例のように、仕切板６でオイルパン本体の底
壁３のほとんどを覆い、かつ、底壁を波形断面にした場
合は、仕切板６の遮音性を高くできると共に、底壁３の
剛性及び遮音性を高めることができるので、オイルパン
の透過音及びオイルパン自身の振動音をより低減できる
。

以上説明したように、この考案は、オイルパン本体の底
壁の一部にオイル溜りを設け、少くともオイル溜りの上
方を仕切板で覆うと共に、自動車の前後方向に沿うエア
ダクトを少くともオイル溜りの下面に沿って形威し、該
ダクトの前後端にそれぞれ開口を設けると共に、開口面
積を大きくした前端の開口を開口面積が小さい後端の開
口より下方に位置させているので、クランク室からオイ
ル溜りに流下しようとする高温のエンジンオイルを仕切
板で迂回させてその迂回中に冷却させることができると
共に、エアダクト内を通流する空気によってオイルパン
内のエンジンオイルを最終的に冷却させ得るので、自動
車の走行中はもとより、停車中においてもエンジンオイ
ルを効率よく冷却できるため、必ずしもオイルクーラー
を装着する必要がない。

又、前記仕切板及びエアダクトを形成する整流板がオイ
ルパンの剛性と遮音性とを高めるので、オイルパンを透
過する騒音及びオイルパンの振動音をも低減できるので
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例を示す要部の断面図、第２
図は第１図の■■−ＩＩ断面図、第３図は第１図のＩＩ
Ｉ−ＩＩＩ断面図である。 １・・・・・・オイルパン本体、３・・・・・・底壁、
４・・・・・・オイル溜り、６・・・・・・仕切板、９
・・・・・・整流板、１０・・・・・・エアダクト、１
１． １２・・・・・・開口。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 底壁の一部にオイル溜りを形成したオイルパン本体と、
   前記オイル溜りの上方を覆う仕切板と、前記オイル溜り
   の下面に沿うエアダクトを形成する整流板とを備えてな
   り、前記エアダクトを自動車の前後方向に沿って形成し
   てその前後端にそれぞれ開口を形成し、前端の開口面積
   を後端の開口面積より大きくすると共に、前端の開口を
   後端の開口より下方に位置させたことを特徴とする自動
   車用エンジンのオイルパン。