JPH06220308A - 熱安定性に優れた帯電防止性ポリエステル系樹脂組成物及び該ポリエステル系樹脂組成物用の帯電防止剤 - Google Patents

熱安定性に優れた帯電防止性ポリエステル系樹脂組成物及び該ポリエステル系樹脂組成物用の帯電防止剤

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JPH06220308A
JPH06220308A JP1176093A JP1176093A JPH06220308A JP H06220308 A JPH06220308 A JP H06220308A JP 1176093 A JP1176093 A JP 1176093A JP 1176093 A JP1176093 A JP 1176093A JP H06220308 A JPH06220308 A JP H06220308A
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Japan
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polyester resin
resin composition
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antistatic
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JP1176093A
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Makoto Nakano
誠 中野
Yukio Inoue
幸夫 井上
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Eneos Corp
Original Assignee
Japan Energy Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 成形加工時に受ける熱履歴に対して安定であ
り、又成形加工性もよく、かつ帯電防止及び酸化防止能
を長期間保持するポリエステル系樹脂組成物及びポリエ
ステル系樹脂組成物用の帯電防止剤を提供する。 【構成】 ポリエステル系樹脂100重量部に対し、 a.アルカンスルホン酸アルカリ金属塩及び/又はアル
カンスルホン酸アルカリ土類金属塩0.1〜5重量部、 b.ヒンダードフェノール系酸化防止剤0.005〜5
重量部、 c.合成ゼオライト、合成ハイドロタルサイト、及び周
期律表第I族、第II族、希土類の塩基性金属酸化物又は
水酸化物からなる群から選択された1種又は2種以上
0.01〜2重量部 を添加してなる熱安定性に優れた帯電防止性ポリエステ
ル系樹脂組成物、及び上記添加剤からなる帯電防止剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱安定性に優れた帯電
防止性ポリエステル系樹脂組成物及び該樹脂組成物用の
帯電防止剤に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレ−ト及びポリブ
チレンテレフタレ−トに代表される熱可塑性ポリエステ
ル系樹脂は、機械的特性、耐熱性、耐薬品性に優れてい
るため、電気・電子部品、自動車部品などの用途に適
し、広く用いられている。
【0003】しかしながら、ポリエステル系樹脂は静電
的に帯電し易いため、加工工程及び使用中の成形品表面
にほこり等が付着し、美しい外観を損ね易い欠点を有し
ている。
【0004】従来、このような静電気障害を除く方法と
してポリエステル系樹脂に帯電防止剤を練り込む方法が
提案されている。例えば、ポリエチレンテレフタレ−ト
樹脂にアルカンスルホン酸塩又はアルキルベンゼンスル
ホン酸塩とポリエチレングリコ−ルを併用する方法(特
開昭61−246246、特開昭62−161823、
特公昭63−3895、特公昭64−2621、特開平
2−232257、特開平2−240143)、アルカ
ンスルホン酸塩とステアリン酸カリウムを併用する方法
(特公平2−29692)、あるいはアルカンスルホン
酸塩又はアルキルベンゼンスルホン酸塩とパラフィンワ
ックス、オレフィンワックス又はポリオレフィンワック
スを併用する方法(特開昭62−275152、特開昭
64−54068)等が挙げられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの方法
は、いずれも射出成形、押出しシート成形等の成形加工
時に受ける熱履歴によって、添加した帯電防止剤の1部
が熱分解を起し、あるいはポリエステル系樹脂の分解を
誘発し、金型を腐食させたり、強い臭気を発生したり、
また、成形加工後の樹脂の熱劣化、帯電防止能の低下の
問題を有しているため、実用上十分満足できるものでは
ない。
【0006】すなわち、ポリエステル系樹脂のようなガ
ラス転移温度が比較的高い樹脂に、帯電防止剤を練り込
んで帯電防止能を付与しようとすると、溶融して成形す
る温度も230〜290℃程度まで高くする必要がある
ため耐熱温度が高い帯電防止剤を使用しなければならな
い。さらに、ガラス転移温度が高いと一般に帯電防止剤
のポリマー中での拡散速度が低下するため十分な帯電防
止効果が発現されないことが多い。その点、アルカンス
ルホン酸金属塩は、耐熱性が高く、かつ十分な帯電防止
能を付与するため、ポリエステル系樹脂用の帯電防止剤
として比較的適しているものの、いまだ十分ではない。
すなわち、アルカンスルホン酸金属塩の極く一部でも熱
分解を起こすと、それに伴い発生する酸が樹脂自身の分
解を促進し、金型を腐食したり、臭気を発生したりし、
樹脂の加工安定性を損ない、また長期安定性を著しく低
下させ、期待される長期間に亘って優れた帯電防止効果
を保持できない等の問題を引き起すからである。
【0007】そこで、本発明の目的は、成形加工時に受
ける熱履歴に対して安定であり、また成形加工性が良
く、かつ安定した帯電防止及び酸化防止能を長期間保持
するポリエステル系樹脂組成物を提供することにあり、
また、本発明のもう一つの目的は、前記の優れた機能を
有するポリエステル系樹脂組成物を製造する際に用いら
れ、前記の優れた機能を付与するポリエステル系樹脂組
成物用の熱安定化・帯電防止剤を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、熱安定性
に優れ、長期にわたり優れた帯電防止効果を有するポリ
エステル系樹脂を得るために鋭意研究を重ねた結果、ポ
リエステル系樹脂に対し、アルカンスルホン酸金属塩と
共に特定の酸化防止剤と特定の酸中和剤を添加すること
が非常に有効であることを見出し、本発明を完成するに
至った。すなわち本発明は、 (1)ポリエステル系樹脂100重量部に対し、 a.アルカンスルホン酸アルカリ金属塩及び/又はアル
カンスルホン酸アルカリ土類金属塩0.1〜5重量部、 b.ヒンダードフェノール系酸化防止剤0.005〜5
重量部、 c.合成ゼオライト、合成ハイドロタルサイト、及び周
期律表第I族、第II族、希土類の塩基性金属酸化物又は
水酸化物からなる群から選択された1種又は2種以上
0.01〜2重量部 を添加してなる熱安定性に優れた帯電防止性ポリエステ
ル系樹脂組成物であり、 (2)a.アルカンスルホン酸アルカリ金属塩及び/又
はアルカンスルホン酸アルカリ土類金属塩100重量
部、 b.ヒンダードフェノール系酸化防止剤0.1〜100
重量部、 c.合成ゼオライト、合成ハイドロタルサイト、及び周
期律表第I族、第II族、希土類の塩基性金属酸化物又は
金属水酸化物からなる群から選択された1種又は2種以
上1〜100重量部 からなるポリエステル系樹脂組成物用帯電防止剤であ
る。
【0009】本発明に使用するポリエステル系樹脂とし
ては、特に制限されるものではないが、例えば、ジカル
ボン酸又はそのエステル誘導体とグリコ−ルとの重縮合
反応によって得られるポリエチレンテレフタレ−ト系樹
脂、及びジカルボン酸又はそのエステル誘導体と1,4
−ブチレングリコ−ルとの重縮合反応によって得られる
ポリブタジエンテレフタレ−ト系樹脂を好ましいものと
して挙げることができる。又、ホモポリエステルでもま
たコポリエステルでも使用でき、繊維、フィルム、シ−
トおよびその他の成形品に成形しうるものであれば特に
限定されない。これらのポリエステル系樹脂は、通常の
方法で製造できる。例えば、ポリエチレンテレフタレ−
ト樹脂の場合は、テレフタル酸ジメチルをエチレングリ
コ−ルとエステル交換してビス(β−ヒドロキシエチ
ル)テレフタレ−トを作り、次いで縮重合する方法(エ
ステル交換法)及びテレフタル酸とエチレングリコ−ル
からビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレ−トを直
接得、このポリマ−を必要に応じて固相重合する方法
(直接エステル化法)等の公知の方法で製造すればよ
い。また、ポリブチレンテレフタレ−ト樹脂の場合も、
テレフタル酸ジメチルを1,4−ブチレングリコ−ルと
エステル交換するエステル交換法及びテレフタル酸と
1,4−ブチレングリコ−ルを直接エステル化する直接
エステル化法等の公知の方法で製造すればよい。
【0010】本発明で使用するアルカンスルホン酸アル
カリ金属塩及び/又はアルカンスルホン酸アルカリ土類
金属塩は、帯電防止剤としての役割を担うものであり、
一般式RSO3Mで表され、式中、Rはアルキル基、M
はアルカリ金属又はアルカリ土類金属を示す。
【0011】Mは、アルカリ金属としては、リチウム、
ナトリウム、カリウム等が挙げられ、また、アルカリ土
類金属としては、カルシウム、バリウム、マグネシウム
等が挙げられ、中でも特にリチウム、ナトリウムが帯電
防止性に優れるので好ましい。
【0012】Rは、アルキル基であり、炭素数10〜1
8の直鎖飽和アルキル基で−SO3Mが2級炭素に結合
したものが、好ましく使用できる。特に炭素数10〜1
2の直鎖飽和アルキル基の2級アルカンスルホン酸金属
塩が、優れた帯電防止効果を有するのでより好ましい。
【0013】このようなアルカンスルホン酸金属塩は、
例えば、炭素数11の直鎖飽和炭化水素を亜硫酸ガス及
び酸素の存在下に紫外線を照射してアルカンスルホン酸
を製造した後、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水
酸化物と中和させ、精製して得ることができる。また、
塩素化パラフィンを硫酸化して製造する方法もあるが、
残存する塩化物が加熱時に塩化水素を発生するため、酸
中和剤の添加量を増さなくてはならなくなるので、この
方法はあまり好ましくない。
【0014】また、前記のアルカンスルホン酸金属塩
は、ポリエステル系樹脂100重量部に対して0.1〜
5重量部配合する。0.1重量部未満では帯電防止効果
が得られず、また5重量部を超えても添加量の増量に見
合うほどの帯電防止効果が得られない。より好ましくは
1〜5重量部である。
【0015】本発明で酸化防止剤として用いられるヒン
ダードフェノール系酸化防止剤は、例えば、ブチル化ヒ
ドロキシトルエン、n−オクタデシル−β−(4’−ヒ
ドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロ
ピオネート、トリエチレングリコールビス−3−(3−
t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プ
ロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−
トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベン
ジル)ベンゼン、テトラキス[メチレン−3−(3’,
5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プ
ロピオネート]メタン等が挙げられる。中でも特に、ブ
チル化ヒドロキシトルエン、トリエチレングリコ−ルビ
ス−3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチ
ルフェニル)プロピオネ−ト、テトラキス{メチレン−
3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシ
フェニル)プロピオネート}メタンが好ましく使用され
る。
【0016】また、上記ヒンダードフェノールとともに
他の公知の酸化防止剤を併用することもできる。ジラウ
リルチオジプロピオネート、ジミリステル−3,3’−
チオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネ
ートのようなチオエーテル系酸化防止剤をヒンダードフ
ェノール系酸化防止剤と組み合せて使用でき、0.01
〜0.1重量部の添加で、耐熱性、耐候性を含めた長期
安定性が向上する。
【0017】さらに、トリス(モノ及びジノニルフェニ
ル)フォスファイト、ジステアリルペンタエリスリトー
ルジフォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチル
フェニル)フォスファイト、4,4’−ブチリデン−ビ
ス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデ
シル)フォスファイトのようなリン系酸化防止剤もヒン
ダードフェノール系酸化防止剤と組み合せて使用するこ
とができ、樹脂100重量部に対して0.05〜0.5
重量部の添加で、加工安定性が向上する。
【0018】ヒンダードフェノール系酸化防止剤はポリ
エステル系樹脂100重量部に対して、0.005〜5
重量部添加する。0.005重量部未満では酸化防止効
果が得られず、また5重量部を超えても添加量の増量に
見合うほどの酸化防止効果が得られない。より好ましく
は0.01〜2重量部である。
【0019】また、本発明では、酸中和剤として合成ゼ
オライト、合成ハイドロタルサイト及び周期律表第I
族、第II族、希土類の塩基性金属酸化物又は水酸化物か
らなる群から選択された1種又は2種以上を、ポリエス
テル系樹脂100重量部に対して、0.01〜2重量
部、好ましくは0.1〜2重量部配合する0.01重量
部未満では酸中和効果が得られず、また2重量部を超え
ても添加量の増量に見合うほどの酸中和効果が得られな
い。これらの中で、特に合成ゼオライト、合成ハイドロ
タルサイトが好ましい。またこれらの酸中和物は、単独
で使用しても、適宜の割合で混合して使用してもよい。
【0020】前記の合成ゼオライトは、次の各一般式で
表される化合物である。
【0021】
【数1】
【0022】前記の合成ハイドロタルサイトは、次の一
般式で表わされるハイドロタルサイト
【0023】
【数2】
【0024】カチオン性成分とアニオン性成分の溶液を
共沈殿等により反応させて合成できる。これらの中では
Mg/Al系の塩基性炭酸塩が好ましく、医薬用の制酸
剤、樹脂用安定剤等として商品名DHT−4A(Mg
4.5Al2(OH)13CO3・3.5H2O)で市販されて
おり入手も容易である。
【0025】さらに、前記の周期律表第I族、第II族、
希土類の塩基性金属酸化物としてはリチウム、ナトリウ
ム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、
亜鉛、ランタン、セリウムなどイオン電場強度の強い金
属の水酸化物、酸化物が挙げられる。
【0026】また、本発明のポリエステル系樹脂組成物
は、前記特定した添加剤が一つ欠けても、後述の実施例
で示すように期待する効果は得られない。つまり本発明
は、前記の3種の添加剤が過不足なく配合されて使用さ
れることによって、ポリエステル系樹脂組成物として、
あるいはその製造において、熱安定性及び成形加工性が
良く、かつ安定した帯電防止及び酸化防止能を長期間維
持する等の総合的、実用的に優れた効果を発揮するもの
である。
【0027】また、本願第2の発明は、ポリエステル系
樹脂に添加して、前述の優れたポリエステル系樹脂組成
物を得ることのできる添加剤であり、 a.アルカンスルホン酸アルカリ金属塩及び/又はアル
カンスルホン酸アルカリ土類金属塩100重量部、 b.ヒンダードフェノール系酸化防止剤0.1〜100
重量部、 c.合成ゼオライト、合成ハイドロタルサイト、及び周
期律表第I族、第II族、希土類の塩基性金属酸化物又は
水酸化物からなる群から選択された1種又は2種以上1
〜100重量部 からなるポリエステル系樹脂組成物用熱安定化・帯電防
止剤である。
【0028】すなわち、(a):(b):(c)=0.
1〜5:0.005〜5:0.01〜2(重量部)の割
合で混合した添加剤組成物であり、ポリエステル系樹脂
ポリマーの成形時に添加、混練して前述の優れた性能を
有するポリエステル系樹脂組成物を容易に製造すること
ができる。なお、ポリエステル系樹脂ポリマーはその製
造、出荷段階で既に酸化防止剤が配合されて流通されて
いる場合があるが、このような場合には、(b)の酸化
防止剤をその分だけ減じて添加剤組成物を調製すればよ
い。
【0029】本発明の組成物の製造にあたっては、ポリ
エステル系樹脂(ポリマー)、アルカンスルホン酸アル
カリ金属又はアルカリ土類金属塩、ヒンダードフェノー
ル系酸化防止剤及び酸中和剤を所定量、ヘンシェルミキ
サー、タンブラーなどを用いて室温〜100℃で1分な
いし1時間混合し、引続きバンバリーミキサー、ロー
ル、ニーダー、あるいは単軸又は二軸の押出機などを用
い230〜290℃で、10秒〜5分混練し、押出し
て、ペレット状のポリエステル系樹脂組成物を製造す
る。このようにして得られたペレット状のポリエステル
系樹脂組成物を目的に応じ、射出成形、押出成形などの
成形法により、ポリエステル系樹脂組成物の成形品を製
造する。なお、添加剤は、ペレット成形後に添加するこ
ともできるが、高熱に曝される前に添加する方が好まし
い。また、混練機能を十分に備えた成形機を用いた場合
には、ペレットを成形することなく、直接成形品の製造
を行うこともできる。
【0030】このようにして製造された本発明のポリエ
ステル系樹脂組成物においては、それに含まれる特定中
和剤と特定の酸化防止剤との相乗効果により、樹脂と帯
電防止剤であるアルカンスルホン酸金属塩の酸化劣化が
効果的に抑制され、たとえその高温での成形時におい
て、それらが熱分解を受けて酸性物質を発生しても、こ
れは組成物中の特定の中和剤により中和されるので、前
記酸性物質による前記アルカンスルホン酸金属塩の分解
が抑制され、帯電防止効果及び酸化防止効果は長期間保
持されるものである。又成形時酸性物質が発生しても直
ちに中和されるので、金型腐食も防止することができ
る。
【0031】本発明の組成物には必要に応じて、通常ポ
リエステル系樹脂に添加される各種の添加物、例えば酸
化防止剤、光安定剤、滑剤、顔料等を本発明の効果を阻
害しない範囲内で適宜併用することができる。
【0032】ポリエステル系樹脂を用いて成形材料を製
造する場合、従来から公知の無機充填材を使用すること
ができる。この充填材としては、ガラス繊維、溶融シリ
カ、結晶シリカ、アルミナ、ジルコニア、ケイ酸カルシ
ウム、タルク、ガラスビーズ、ガラス粉、亜鉛華、炭酸
カルシウム、粘土及び表面が絶縁膜で覆われた金属粉な
どがある。
【0033】本発明の樹脂組成物においても上記無機充
填材を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもか
まわない。無機充填材は、シラン系、チタネート系等の
表面処理剤により処理しておくことが好ましい。
【0034】本発明のポリエステル系樹脂組成物は上記
特定三成分の添加により、成形加工時と成形品使用時に
わたり、耐熱性が改良され、二次成形加工も含めて様々
な成形工程において、変色、臭気発生、成形機の腐食な
どの不具合がなく、成形プロセス、成形条件上の制約が
減るため経済性を高めることができる。
【0035】さらに成形品は優れた帯電防止能を有する
ので、静電気による塵埃の吸着がなく、また、帯電防止
剤を加えたことによる寿命低下も抑制されるため、自動
車、精密機器、電子、電機製品の部品として極めて好適
である。
【0036】
【実施例】次に本発明の実施例について説明するが、本
発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0037】以下に示すように試験片を作製し、その物
性、帯電圧半減期、表面抵抗率、腐食性、臭気、加圧安
定性、熱老化性の試験を行い評価した。なお、試験片の
作製方法及び評価試験の方法は下記の通りである。
【0038】1)試料の調製と試験片の作製 (1)ポリエチレンテレフタレ−ト(PET)樹脂の調
製 酢酸カルシウム0.1重量部、三酸化アンチモン0.0
3重量部の存在下、フタル酸ジメチル100重量部とエ
チレングリコ−ル70重量部をエステル交換反応させ、
次いで280℃、減圧下で重縮合反応させて、PET−
Aを得た。
【0039】(2)ポリブチレンテレフタレ−ト(PB
T)樹脂の調製 フタル酸ジメチルと1,4−ブチレングリコ−ルをエス
テル交換反応させ、次いで高温減圧下で重縮合反応させ
てPBT−Aを得た。
【0040】試験片の作製は上記PET−AまたはPB
T−Aを用いて下記の方法で行った。
【0041】PET−A又はPBT−A100重量部に
炭素数11の2級アルカンスルホン酸ナトリウム(日鉱
石油化学製、SAS195)、及びその他の添加剤を表
1又は表2に示す割合で混合し、この混合物を熱風循環
乾燥機で150℃、4時間乾燥後、40mmφ(L/D
=32)単軸押出機(田辺プラスチック機社製、VS4
0−32)を用い、250℃でペレット化した。このペ
レットを150℃で4時間乾燥し、100t射出成形機
(東芝機械社製、IS−100FIV)によって、PET
−Aの場合はシリンダ温度250〜270℃、金型温度
130℃で、また、PBT−Aの場合はシリンダ温度2
30〜250℃、金型温度60℃で射出成形して、実施
例及び比較例の試験片として、50mmφ×3mmの平
板を得た。
【0042】2)帯電圧半減期 上記の平板を23℃、50%RHで1週間状態調節し、
スタティックオネストメーター(シシド静電気製)を用
いて帯電圧半減期を測定した。印可電圧は−10KVで
ある。
【0043】3)表面抵抗率 上記平板を23℃、50%RHで1週間状態調節し、高
抵抗抵抗計ハイレスタIP(三菱油化製)を用いて表面
抵抗率を測定した。印可電圧は500V,10secで
ある。
【0044】4)腐食性(鋼板腐食試験) 試験管に入れたペレットを250℃で加熱溶融し、次い
で、軟鋼製の試験片を18℃に冷却しながら溶融したポ
リエステル系樹脂組成物直上に90分間曝し、揮発凝縮
した物質による腐食状態を顕微鏡で観察し、腐食の有無
(不良/良)を判定した。
【0045】5)臭気 ペレット成形時の臭気発生状況をポリエステル系樹脂単
独で行ったブランクの場合と比較して、次の基準で評価
した。
【0046】(1)弱:ブランクと同等ないし極くわず
かに臭気が感じられる。
【0047】(2)やや強:臭気が感じられる (3)強:強く臭気が感じられる 6)加工安定性 押出機で3回繰返し押出し成形を行い、外観形状の変
化、色相の安定性を評価した。
【0048】7)熱老化性 ギヤーオーブン(東洋精機製作所製)を用い、長期安定
性の指標としての熱老化性を、試験温度はPET−A、
PBT−Aともに150℃にて、外観上、老化が認めら
れるまでの時間を測定し、評価した。
【0049】実施例1〜5及び比較例1〜9 PET−A樹脂100重量部に各成分を種々の割合で配
合したものの結果を表1に示す。実施例1〜5におい
て、良好な帯電防止能及び耐腐食性、臭気発生防止の効
果が認められる。各成分の配合が不適当で、また配合量
が低い、比較例1〜9では帯電防止能及び耐腐食性等に
欠点を有する。
【0050】実施例6〜10及び比較例10〜18 PBT−A樹脂100重量部に各成分を種々の割合で配
合したものの結果を表2に示す。実施例6〜10におい
て、良好な帯電防止能及び耐腐食性、臭気発生防止の効
果が認められる。各成分の配合が不適当で、また配合量
が低い、比較例10〜18では帯電防止能及び耐腐食性
等に劣っている。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】
【0055】
【発明の効果】本発明は、ポリエステル系樹脂にアルカ
ンスルホン酸アルカリ金属及びアルカリ土類金属塩、特
定の酸化防止剤及び酸中和剤を配合したものであり、優
れた帯電防止及び酸化防止効果が長期間に亘って保持さ
れ、さらに、臭気、金型腐食などの問題もなくなるの
で、自動車、電子、電機製品の部品の成形用として極め
て好適に使用されるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08K 5/42

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステル系樹脂100重量部に対
    し、 a.アルカンスルホン酸アルカリ金属塩及び/又はアル
    カンスルホン酸アルカリ土類金属塩0.1〜5重量部、 b.ヒンダードフェノール系酸化防止剤0.005〜5
    重量部、 c.合成ゼオライト、合成ハイドロタルサイト、及び周
    期律表第I族、第II族、希土類の塩基性金属酸化物又は
    水酸化物からなる群から選択された1種又は2種以上
    0.01〜2重量部 を添加してなる熱安定性に優れた帯電防止性ポリエステ
    ル系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 a.アルカンスルホン酸アルカリ金属塩
    及び/又はアルカンスルホン酸アルカリ土類金属塩10
    0重量部、 b.ヒンダードフェノール系酸化防止剤0.1〜100
    重量部、 c.合成ゼオライト、合成ハイドロタルサイト、及び周
    期律表第I族、第II族、希土類の塩基性金属酸化物又は
    水酸化物からなる群から選択された1種又は2種以上1
    〜100重量部 からなるポリエステル系樹脂組成物用帯電防止剤。
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