JP2572192B2 - 熱安定性に優れた帯電防止性ポリカ−ボネ−ト系樹脂組成物及び該ポリカ−ボネ−ト系樹脂組成物用の帯電防止剤 - Google Patents

熱安定性に優れた帯電防止性ポリカ−ボネ−ト系樹脂組成物及び該ポリカ−ボネ−ト系樹脂組成物用の帯電防止剤

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱安定性に優れた帯電
防止性ポリカ−ボネ−ト系樹脂組成物及び該樹脂組成物
用の帯電防止剤に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリカ−ボネ−ト系樹脂は、耐熱性、耐
衝撃性に優れており、エンジニアリングプラスチックの
中でもバランスのとれた樹脂で、電気部品、機械・精密
機械部品、自動車部品、医用部品、光学部品等に広く用
いられている。
【0003】しかしながら、ポリカ−ボネ−ト系樹脂は
静電的に帯電し易いため、加工工程及び使用中の成形品
表面にほこり等が付着し、美しい外観を損ね易い欠点を
有している。
【0004】従来、このような静電気障害を除く方法と
してポリカ−ボネ−ト系樹脂に帯電防止剤を練り込む方
法が提案されている。例えば、ポリカ−ボネ−ト系樹脂
にN−アルキル−フタルイミド系等と芳香族スルホン酸
塩を併用する方法(特開昭56−122858)、リン
酸エステル化合物を添加する方法(特開昭62−207
358)、多価アルコ−ルの脂肪酸エステルと脂肪族ス
ルホン酸塩を併用する方法(特開昭62−27325
0)、芳香族スルホン酸、芳香族ホスホン酸又は芳香族
部分的リン酸エステルのアルカリ金属塩又はアルカリ土
類金属塩を添加する方法(特公昭62−45900)、
スルホン酸アルカリ金属塩とグリセリン脂肪酸エステル
を併用する方法(特開昭63−230764)、亜リン
酸エステルとスルホン酸ホスホニウム塩を併用する方法
(特開昭64−14267)、酸性基を有するポリエチ
レンワックスとアルカンスルホン酸塩を併用する方法
(特開平1−266159)、酸性基を有するポリエチ
レンワックス、アルカンスルホン酸塩にβ−(ラウリル
チオ)プロピオン酸4モルとペンタエリスリト−ル1モ
ルとのエステル等を併用する方法(特開平2−3844
9)などが挙げられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの方法
は、いずれも射出成形、押出しシート成形等の成形加工
時に受ける熱履歴によって、添加した帯電防止剤の1部
が熱分解を起し、あるいはポリカ−ボネ−ト系樹脂の分
解を誘発し、金型を腐食させたり、強い臭気を発生した
り、また、成形加工後の樹脂の熱劣化、帯電防止能の低
下の問題を有しているため、実用上十分満足できるもの
ではない。
【0006】すなわち、樹脂の中でもガラス転移温度が
高いポリカ−ボネ−ト系樹脂の場合、帯電防止剤を練り
込んで帯電防止能を付与しようとすると、溶融して成形
する温度も260〜350℃程度まで高くする必要があ
るため耐熱温度が高い帯電防止剤を使用しなければなら
ない。さらに、ガラス転移温度が高いと一般に帯電防止
剤のポリマー中での拡散速度が低下するため十分な帯電
防止効果が発現されないことが多い。その点、アルカン
スルホン酸金属塩は、耐熱性が高く、かつ十分な帯電防
止能を付与するため、ポリカ−ボネ−ト系樹脂用の帯電
防止剤として比較的適しているものの、いまだ十分では
ない。すなわち、アルカンスルホン酸金属塩の極く一部
でも熱分解を起こすと、それに伴い発生する酸が樹脂自
身の分解を促進し、金型を腐食したり、臭気を発生した
りし、樹脂の加工安定性を損ない、また長期安定性を著
しく低下させ、期待される長期間に亘って優れた帯電防
止効果を保持できない等の問題を引き起すからである。
【0007】そこで、本発明の目的は、成形加工時に受
ける熱履歴に対して安定であり、また成形加工性が良
く、かつ安定した帯電防止及び酸化防止能を長期間保存
するポリカ−ボネ−ト系樹脂組成物を提供することにあ
り、また、本発明のもう一つの目的は、前記の優れた機
能を有するポリカ−ボネ−ト系樹脂組成物を製造する際
に用いられ、前記の優れた機能を付与するポリカ−ボネ
−ト系樹脂組成物用の熱安定化・帯電防止剤を提供する
ことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、熱安定性
に優れ、長期にわたり優れた帯電防止効果を有するポリ
カ−ボネ−ト系樹脂を得るために鋭意研究を重ねた結
果、ポリカ−ボネ−ト系樹脂に対し、アルカンスルホン
酸金属塩と共に特定の酸化防止剤と特定の酸中和剤を添
加することが非常に有効であることを見出し、本発明を
完成するに至った。すなわち本発明は、 (1)ポリカ−ボネ−ト系樹脂100重量部に対し、 a.アルカンスルホン酸アルカリ金属塩及び/又はアル
カンスルホン酸アルカリ土類金属塩0.1〜5重量部、 b.ヒンダードフェノール系酸化防止剤0.005〜5
重量部、 c.合成ゼオライト、及び周期律表第I族、第II族、希
土類の塩基性金属酸化物からなる群から選択された1種
又は2種以上0.01〜2重量部を添加してなる熱安定
性に優れた帯電防止性ポリカ−ボネ−ト系樹脂組成物で
あり、 (2)a.アルカンスルホン酸アルカリ金属塩及び/又
はアルカンスルホン酸アルカリ土類金属塩100重量
部、 b.ヒンダードフェノール系酸化防止剤0.1〜100
重量部、 c.合成ゼオライト、及び周期律表第I族、第II族、希
土類の塩基性金属酸化物からなる群から選択された1種
又は2種以上1〜100重量部からなるポリカ−ボネ−
ト系樹脂組成物用帯電防止剤である。
【0009】本発明に使用するポリカ−ボネ−ト系樹脂
は、特に制限されるものではなく、一般のポリカ−ボネ
−トが使用できる。すなわち、ビスフェノ−ルと、ビス
アルキルカ−ボネ−ト、ビスアリ−ルカ−ボネ−ト、ホ
スゲン等の炭酸エステルとの反応により製造されるもの
である。
【0010】上記ビスフェノ−ルとしては、例えば、2
−2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−
2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン等に代表されるビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)アルカン系−ジヒドロキシ化合物が好ましく用い
られる。また、2種以上のビスフェノ−ルを混合して得
られるポリカ−ボネ−ト共重合体、及び3価のフェノ−
ル系化合物を混合して得られる分枝化したポリカ−ボネ
−ト樹脂を用いることもできる。この他、ピペラジン、
ハイドロキノン、レゾルシン等を変性成分として使用し
たものであってもよい。また、上記ポリカ−ボネ−ト樹
脂にゴム含有熱可塑性樹脂、例えば、スチレン−ゴム質
重合体−アクリロニトリル共重合体(ABS樹脂)等を
配合したものを使用してもよい。
【0011】本発明で使用するアルカンスルホン酸アル
カリ金属塩及び/又はアルカンスルホン酸アルカリ土類
金属塩は、帯電防止剤としての役割を担うものであり、
一般式RSO3Mで表され、式中、Rはアルキル基、M
はアルカリ金属又はアルカリ土類金属を示す。
【0012】Mは、アルカリ金属としては、リチウム、
ナトリウム、カリウム等が挙げられ、また、アルカリ土
類金属としては、カルシウム、バリウム、マグネシウム
等が挙げられ、中でも特にリチウム、ナトリウムが帯電
防止性に優れるので好ましい。
【0013】Rは、アルキル基であり、炭素数10〜1
8の直鎖飽和アルキル基で−SO3Mが2級炭素に結合
したものが、好ましく使用できる。特に炭素数10〜1
2の直鎖飽和アルキル基の2級アルカンスルホン酸金属
塩が、優れた帯電防止効果を有するのでより好ましい。
【0014】このようなアルカンスルホン酸金属塩は、
例えば、炭素数11の直鎖飽和炭化水素を亜硫酸ガス及
び酸素の存在下に紫外線を照射してアルカンスルホン酸
を製造した後、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水
酸化物と中和させ、精製して得ることができる。また、
塩素化パラフィンを硫酸化して製造する方法もあるが、
残存する塩化物が加熱時に塩化水素を発生するため、酸
中和剤の添加量を増さなくてはならなくなるので、この
方法で製造されたアルカンスルホン酸の金属塩はあまり
好ましくない。
【0015】また、前記のアルカンスルホン酸金属塩
は、ポリカ−ボネ−ト系樹脂100重量部に対して0.
1〜5重量部配合する。0.1重量部未満では帯電防止
効果が得られず、また5重量部を超えても添加量の増量
に見合うほどの帯電防止効果が得られない。より好まし
くは0.5〜3重量部である。
【0016】本発明で酸化防止剤として用いられるヒン
ダードフェノール系酸化防止剤は、例えば、ブチル化ヒ
ドロキシトルエン、n−オクタデシル−β−(4’−ヒ
ドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロ
ピオネート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6
−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−
メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブ
タン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)
ベンゼン、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−
ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネ−ト]メタン等が挙げられる。中でも特に、テトラキ
ス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−
4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、
1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン
が好ましく使用される。
【0017】また、上記ヒンダードフェノールとともに
他の公知の酸化防止剤を併用することもできる。ジラウ
リルチオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−
チオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネ
ートのようなチオエーテル系酸化防止剤をヒンダードフ
ェノール系酸化防止剤と組み合せて使用でき、特に、
0.01〜0.5重量部程度の添加で耐熱性、耐候性を
含めた長期安定性が向上する。
【0018】さらに、トリス(モノ及びジノニルフェニ
ル)フォスファイト、ジステアリルペンタエリスリトー
ルジフォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチル
フェニル)フォスファイト、4,4’−ブチリデン−ビ
ス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデ
シル)フォスファイトのようなリン系酸化防止剤もヒン
ダードフェノール系酸化防止剤と組み合せて使用するこ
とができ、樹脂100重量部に対して0.05〜0.5
重量部程度の添加で、加工安定性が向上する。ヒンダー
ドフェノール系酸化防止剤はポリカ−ボネ−ト系樹脂1
00重量部に対して、0.005〜5重量部添加する。
0.005重量部未満では酸化防止効果が得られず、ま
た5重量部を超えても添加量の増量に見合うほどの酸化
防止効果が得られない。より好ましくは0.01〜2重
量部である。
【0019】また、本発明では、合成ゼオライト及び周
期律表第I族、第II族、希土類の塩基性金属酸化物から
なる群から選択された1種又は2種以上を、ポリカ−ボ
ネ−ト系樹脂100重量部に対して、0.01〜2重量
部、好ましくは0.1〜2重量部配合する0.01重量
部未満では酸中和効果が得られず、また2重量部を超え
ても添加量の増量に見合うほどの酸中和効果が得られな
い。これらの中で、特にアルカリ土類金属置換型の合成
ゼオライトが好ましく、遊離金属イオン等の不純物の含
有量が多い天然ゼオライトは使用できない。またこれら
の合成ゼオライト及び塩基性金属酸化物(以下合成ゼオ
ライト等という)は、その粒径が10μm以下か、特に
は1〜5μmが好ましく、単独で使用しても、適宜の割
合で混合して使用してもよい。
【0020】前記の合成ゼオライトは、次の各一般式で
表される化合物である。
【0021】
【数1】
【0022】さらに、前記の周期律表第I族、第II族、
希土類の塩基性金属酸化物としてはリチウム、ナトリウ
ム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、
亜鉛、ランタン、セリウムなどイオン電場強度の強い金
属の酸化物が挙げられる。
【0023】また、本発明のポリカ−ボネ−ト系樹脂組
成物は、前記特定した添加剤が一つ欠けても、後述の実
施例で示すように期待する効果は得られない。つまり本
発明は、前記の3種の添加剤が過不足なく配合されて使
用されることによって、ポリカ−ボネ−ト系樹脂組成物
として、あるいはその製造において、熱安定性及び成形
加工性が良く、かつ安定した帯電防止及び酸化防止能を
長期間維持する等の総合的、実用的に優れた効果を発揮
するものである。
【0024】また、本願第2の発明は、ポリカ−ボネ−
ト系樹脂に添加して、前述の優れたポリカ−ボネ−ト系
樹脂組成物を得ることのできる添加剤であり、 a.アルカンスルホン酸アルカリ金属塩及び/又はアル
カンスルホン酸アルカリ土類金属塩100重量部、 b.ヒンダードフェノール系酸化防止剤0.1〜100
重量部、 c.合成ゼオライト、及び周期律表第I族、第II族、希
土類の塩基性金属酸化物からなる群から選択された1種
又は2種以上1〜100重量部からなるポリカ−ボネ−
ト系樹脂組成物用熱安定化・帯電防止剤である。
【0025】すなわち、(a):(b):(c)=0.
1〜5:0.005〜5:0.01〜2(重量部)の割
合で混合した添加剤組成物であり、ポリカ−ボネ−ト系
樹脂ポリマーの成形時に添加、混練して前述の優れた性
能を有するポリカ−ボネ−ト系樹脂組成物を容易に製造
することができる。なお、ポリカ−ボネ−ト系樹脂ポリ
マーはその製造、出荷段階で既に酸化防止剤が配合され
て流通されている場合があるが、このような場合には、
(b)の酸化防止剤をその分だけ減じて添加剤組成物を
調製すればよい。
【0026】本発明の組成物の製造にあたっては、ポリ
カ−ボネ−ト系樹脂(ポリマー)、アルカンスルホン酸
アルカリ金属又はアルカリ土類金属塩、ヒンダードフェ
ノール系酸化防止剤及び合成ゼオライト等を所定量、ヘ
ンシェルミキサー、タンブラーなどを用いて室温〜10
0℃で1分ないし1時間混合し、引続きバンバリーミキ
サー、ロール、ニーダー、あるいは単軸又は二軸の押出
機などを用い260〜350℃で、10秒〜5分混練
し、押出して、ペレット状のポリカ−ボネ−ト系樹脂組
成物を製造する。このようにして得られたペレット状の
ポリカ−ボネ−ト系樹脂組成物を目的に応じ、射出成
形、押出成形などの成形法により、ポリカ−ボネ−ト系
樹脂組成物の成形品を製造する。なお、添加剤は、ペレ
ット成形後に添加することもできるが、高熱に曝される
前に添加する方が好ましい。また、混練機能を十分に備
えた成形機を用いた場合には、ペレットを成形すること
なく、直接成形品の製造を行うこともできる。
【0027】このようにして製造された本発明のポリカ
−ボネ−ト系樹脂組成物においては、それに含まれる特
定中和剤と特定の酸化防止剤との相乗効果により、樹脂
と帯電防止剤であるアルカンスルホン酸金属塩の酸化劣
化が効果的に抑制され、たとえその高温での成形時にお
いて、それらが熱分解を受けて酸性物質を発生しても、
これは組成物中の合成ゼオライト等により中和されるの
で、前記酸性物質による前記アルカンスルホン酸金属塩
の分解が抑制され、帯電防止効果及び酸化防止効果は長
期間保持されるものである。又成形時酸性物質が発生し
ても直ちに中和されるので、金型腐食も防止することが
できる。
【0028】本発明の組成物には必要に応じて、通常ポ
リカ−ボネ−ト系樹脂に添加される各種の添加物、例え
ば酸化防止剤、光安定剤、滑剤、顔料等を本発明の効果
を阻害しない範囲内で適宜併用することができる。
【0029】ポリカ−ボネ−ト系樹脂を用いて成形材料
を製造する場合、従来から公知の無機充填材を使用する
ことができる。この充填材としては、ガラス繊維、溶融
シリカ、結晶シリカ、アルミナ、ジルコニア、ケイ酸カ
ルシウム、タルク、ガラスビーズ、ガラス粉、亜鉛華、
炭酸カルシウム、粘土及び表面が絶縁膜で覆われた金属
粉などがある。
【0030】本発明の樹脂組成物においても上記無機充
填材を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもか
まわない。無機充填材は、シラン系、チタネート系等の
表面処理剤により処理しておくことが好ましい。
【0031】本発明のポリカ−ボネ−ト系樹脂組成物は
上記特定三成分の添加により、成形加工時と成形品使用
時にわたり、耐熱性が改良され、二次成形加工も含めて
様々な成形工程において、変色、臭気発生、成形機の腐
食などの不具合がなく、成形プロセス、成形条件上の制
約が減るため経済性を高めることができる。
【0032】さらに成形品は優れた帯電防止能を有する
ので、静電気による塵埃の吸着がなく、また、帯電防止
剤を加えたことによる寿命低下も抑制されるため、自動
車、精密機器、電子、電機製品の部品として極めて好適
である。
【0033】
【実施例】次に本発明の実施例について説明するが、本
発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0034】以下に示すように試験片を作製し、その物
性、帯電圧半減期、表面抵抗率、腐食性、臭気、加圧安
定性、熱老化性の試験を行い評価した。なお、試験片の
作製方法及び評価試験の方法は下記の通りである。
【0035】1)試料の調製と試験片の作製 (1)ポリカ−ボネ−ト(PC)樹脂の調製 2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを水
酸化ナトリウム溶液に溶かし、その中にフォスゲンを吹
き込んでポリカ−ボネ−トA(PC−A)を得た。
【0036】試験片の作製は上記PC−Aを用いて下記
の方法で行った。 PC−A又はPC−Aとガラス繊維
(日本板硝子社製、RES−03)を70/30重量比
でブレンドしたGF−PC−A100重量部に炭素数1
1の2級アルカンスルホン酸ナトリウム(日鉱石油化学
製、SAS195)、及びその他の添加剤を表1又は表
2に示す割合で混合し、この混合物を熱風循環乾燥機で
120℃、3時間乾燥後、40mmφ(L/D=32)
単軸押出機(田辺プラスチック機社製、VS40−3
2)を用い、280℃でペレット化した。このペレット
を120℃で3時間乾燥し、100t射出成形機(東芝
機械社製、IS−100FIV)によって、シリンダ温度
270〜300℃、金型温度80℃で射出成形して、実
施例及び比較例の試験片として、50mmφ×3mmの
平板を得た。
【0037】2)帯電圧半減期 上記の平板を23℃、50%RHで1週間状態調節し、
スタティックオネストメーター(シシド静電気製)を用
いて帯電圧半減期を測定した。印加電圧は−10KVで
ある。
【0038】3)表面抵抗率 上記平板を23℃、50%RHで1週間状態調節し、高
抵抗抵抗計ハイレスタIP(三菱油化製)を用いて表面
抵抗率を測定した。印加電圧は500V,10secで
ある。
【0039】4)腐食性(鋼板腐食試験) 試験管に入れたペレットを250℃で加熱溶融し、次い
で、軟鋼製の試験片を18℃に冷却しながら溶融したポ
リカ−ボネ−ト系樹脂組成物直上に90分間曝し、揮発
凝縮した物質による腐食状態を顕微鏡で観察し、腐食の
有無(不良/良)を判定した。
【0040】5)臭気 ペレット成形時の臭気発生状況をポリカ−ボネ−ト系樹
脂単独で行ったブランクの場合と比較して、次の基準で
評価した。
【0041】(1)弱:ブランクと同等ないし極くわず
かに臭気が感じられる。
【0042】(2)やや強:臭気が感じられる (3)強:強く臭気が感じられる 6)加工安定性 押出機で3回繰返し押出し成形を行い、外観形状の変
化、色相の安定性を評価した。
【0043】7)熱老化性 ギヤーオーブン(東洋精機製作所製)を用い、長期安定
性の指標としての熱老化性を、試験温度は140℃に
て、外観上、褐色の着色が認められるまでの時間を測定
し、評価した。
【0044】実施例1〜4及び比較例1〜9 ポリカ−ボネ−ト樹脂(PC−A)100重量部に各成
分を種々の割合で配合したものの結果を表1に示す。実
施例1〜4において、良好な帯電防止能及び耐腐食性、
臭気発生防止の効果が認められる。各成分の配合が不適
当で、また配合量が低い、比較例1〜9では帯電防止能
及び耐腐食性等に欠点を有する。
【0045】
【表1】
【0046】実施例5〜8及び比較例10〜18 GF−PC−A100重量部に各成分を種々の割合で配
合したものの結果を表2に示す。実施例5〜8におい
て、良好な帯電防止能及び耐腐食性、臭気発生防止の効
果が認められる。各成分の配合が不適当で、また配合量
が低い、比較例10〜18では帯電防止能及び耐腐食性
等に劣っている。
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】
【表4】
【0050】
【発明の効果】本発明は、ポリカ−ボネ−ト系樹脂にア
ルカンスルホン酸アルカリ金属及びアルカリ土類金属
塩、特定の酸化防止剤及び合成ゼオライト又は塩基性金
属酸化物を配合したものであり、優れた帯電防止及び酸
化防止効果が長期間に亘って保持され、さらに、臭気、
金型腐食などの問題もなくなるので、自動車、精密機
器、電子、電機製品の部品の成形用として極めて好適に
使用されるものである。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリカ−ボネ−ト系樹脂100重量部に
    対し、 a.アルカンスルホン酸アルカリ金属塩及び/又はアル
    カンスルホン酸アルカリ土類金属塩0.1〜5重量部、 b.ヒンダードフェノール系酸化防止剤0.005〜5
    重量部、 c.合成ゼオライト、及び周期律表第I族、第II族、希
    土類の塩基性金属酸化物からなる群から選択された1種
    又は2種以上0.01〜2重量部を添加してなる熱安定
    性に優れた帯電防止性ポリカ−ボネ−ト系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 a.アルカンスルホン酸アルカリ金属塩
    及び/又はアルカンスルホン酸アルカリ土類金属塩10
    0重量部、 b.ヒンダードフェノール系酸化防止剤0.1〜100
    重量部、 c.合成ゼオライト、及び周期律表第I族、第II族、希
    土類の塩基性金属酸化物からなる群から選択された1種
    又は2種以上1〜100重量部からなるポリカ−ボネ−
    ト系樹脂組成物用帯電防止剤。
JP2272193A 1993-02-10 1993-02-10 熱安定性に優れた帯電防止性ポリカ−ボネ−ト系樹脂組成物及び該ポリカ−ボネ−ト系樹脂組成物用の帯電防止剤 Expired - Fee Related JP2572192B2 (ja)

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