JP3503354B2 - 難燃性ポリプロピレン樹脂成形材料、及びポリプロピレン樹脂成形品 - Google Patents

難燃性ポリプロピレン樹脂成形材料、及びポリプロピレン樹脂成形品

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JP3503354B2
JP3503354B2 JP22907696A JP22907696A JP3503354B2 JP 3503354 B2 JP3503354 B2 JP 3503354B2 JP 22907696 A JP22907696 A JP 22907696A JP 22907696 A JP22907696 A JP 22907696A JP 3503354 B2 JP3503354 B2 JP 3503354B2
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flame
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正徳 前田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリプロピレンに
難燃剤を配合した難燃性ポリプロピレン樹脂成形材料及
びポリプロピレン樹脂成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレン樹脂は、強度、軽さ、耐
薬品性等が優れるため、広く使用されている。しかし、
ポリプロピレン樹脂は燃焼しやすいという問題があり、
難燃化するために難燃剤を配合する方法が多数提案され
ている。
【0003】しかし、ポリプロピレン樹脂は極性を持た
ない結晶性樹脂であるために、難燃剤との相溶性が悪
く、難燃剤が成形品の表面にブリードアウトし、成形の
際に成形金型を汚染したり、成形品の外観を損ねたりす
る場合があるという問題があった。そのため、ブリード
アウトの発生が少ない難燃剤が検討され、例えば、特開
平6−299007号公報で提案されている。
【0004】また、照明装置等、光の照射が強い部分で
使用されるポリプロピレン樹脂成形品には、耐光変色防
止のために紫外線吸収剤を配合する方法が検討されてい
る。しかし、変色防止の性能を高めるために紫外線吸収
剤の配合比率を高めてゆくと、難燃剤のブリードアウト
が発生する場合があり、変色防止とブリードアウトの低
減を両立させることは困難であった。
【0005】そのため、紫外線吸収剤の配合比率を高め
た場合に、変色防止性及び難燃性が優れ、かつ、ブリー
ドアウトの発生が少ないポリプロピレン樹脂成形品を製
造することが可能な難燃性ポリプロピレン樹脂成形材料
が求められている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を改善するために成されたもので、その目的とするとこ
ろは、紫外線吸収剤を配合した場合であっても、変色防
止性及び難燃性が優れ、かつ、ブリードアウトの発生が
少ないポリプロピレン樹脂成形品を提供することにあ
る。
【0007】また、そのポリプロピレン樹脂成形品を製
造することが可能な難燃性ポリプロピレン樹脂成形材料
を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
難燃性ポリプロピレン樹脂成形材料は、ポリプロピレン
と、紫外線吸収剤と、難燃剤としてブロム化リン酸エス
テルとが配合されていて、スズ化合物をも配合されてい
て、スズ化合物が、スズ含有率1〜50重量%のブチル
スズ系化合物であり、紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾ
ール系化合物を含有するとともに、ポリプロピレン10
0重量部に対して0.1〜10重量部の無機フィラーを
も配合されていることを特徴とする。
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】 本発明の請求項2に係るポリプロピレン
樹脂成形品は、請求項1記載の難燃性ポリプロピレン樹
脂成形材料が成形されて成ることを特徴とする。
【0017】本発明によると、ブロム化リン酸エステル
を難燃剤として用いているため、紫外線吸収剤を配合し
た場合であっても、ブリードアウトの発生が少ない状態
で難燃化することが可能となり、かつ、紫外線吸収剤の
変色防止の効果を妨げることもないため、変色防止性及
び難燃性が優れ、かつ、ブリードアウトの発生が少ない
ポリプロピレン樹脂成形品を得ることが可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明に係る難燃性ポリプロピレ
ン樹脂成形材料は、ポリプロピレンと、紫外線吸収剤
と、難燃剤としてブロム化リン酸エステルとが配合され
ている。
【0019】本発明で用いるポリプロピレンとしては、
成形用に使用されている任意のものを用いることができ
るものであり、酸化防止剤を配合したポリプロピレンを
用いることもできる。
【0020】なお、ポリプロピレンに配合することがで
きる酸化防止剤は、成形材料の耐熱性や耐光性を向上さ
せるために用いられるものであり、例えば下記式(a)
で表されるペンタエリスリチル−テトラキス〔3−
(3,5−ジ−tブチル−4−ヒドロキシフェニル)プ
ロピオネート〕等のヒンダードフェノール系化合物を用
いることができる。なお、配合量としては、ポリプロピ
レン100重量部に対して0.1〜1.0重量部の範囲
でこの酸化防止剤を配合すると好ましい。
【0021】
【化1】
【0022】本発明で用いる紫外線吸収剤は、成形品の
変色防止のために配合されるものであり、例えば下記式
(b)で表される2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’
−ジ−t−アミル フェニル)ベンゾトリアゾールや、
下記式(c)で表される2−(2−ヒドロキシ−3−t
−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾト
リアゾール等のベンゾトリアゾール系化合物を用いるこ
とができる。なお、紫外線吸収剤の配合量としては、ポ
リプロピレン100重量部に対して0.1〜5.0重量
部の範囲で配合すると好ましい。
【0023】
【化2】
【0024】
【化3】
【0025】本発明で用いる難燃剤としては、ブロム化
リン酸エステルが配合されていることが重要であり、ブ
ロム化リン酸エステルを配合していない場合は、難燃性
が低下するか、あるいは、ブリードアウトが発生する場
合がある。なお、ブロム化リン酸エステルの配合量とし
ては、ポリプロピレン100重量部に対して2〜10重
量部の範囲で配合すると好ましい。ブロム化リン酸エス
テルの配合量が2重量部未満であると、難燃性が低下す
る場合があり、10重量部を超えると、成形品の強度低
下を起こす場合があり好ましくない。
【0026】ブロム化リン酸エステルを難燃剤として用
いた場合、紫外線吸収剤を配合した場合であっても、ブ
リードアウトの発生が少ない状態で難燃化することが可
能となり、かつ、紫外線吸収剤の変色防止の効果を妨げ
ることもないため、変色防止性及び難燃性が優れ、か
つ、ブリードアウトの発生が少ないポリプロピレン樹脂
成形品を得ることが可能となる。
【0027】なお、ブロム化リン酸エステルとしては、
下記式(d)で表されるトリス(トリブロモネオペンチ
ル)ホスフェートや、トリス(トリブロモフェニル)ホ
スフェート等を用いることができる。
【0028】
【化4】
【0029】なお、本発明で用いる難燃剤としては、ブ
ロム化リン酸エステルのみに限定するものではなく、ポ
リプロピレンその他の樹脂用に使用されている難燃剤一
般を用いることができ、三酸化アンチモン、テトラブロ
モビスフェノールA系化合物、テトラブロモビスフェノ
ールS系化合物、あるいはこれらの変性化合物等を用い
ることができ、これらは併用することもできる。なおこ
れらの配合量としては、例えば三酸化アンチモンの場
合、ポリプロピレン100重量部に対して1.5〜5重
量部の範囲で配合すると好ましい。
【0030】本発明で用いるスズ化合物としては、ブチ
ルスズ系化合物用いる。ブチルスズ系化合物として
は、例えば下記式(e)で表されるジ−n−ブチルスズ
マレイン酸塩等のブチルスズマレート系化合物を用いる
ことができる
【0031】
【化5】
【0032】
【0033】このスズ化合物は難燃剤等が熱や光で変色
劣化することを防ぐために配合されて、成形品の変色防
止を行うものである。このスズ化合物を配合すると、変
色防止性が特に優れる。スズ化合物の配合量は難燃剤1
00重量に対して1〜10重量部の範囲が好ましい。ス
ズ化合物の配合量が1重量部未満では、変色防止性の向
上効果を十分に得ることができず、またスズ化合物の配
合量による効果は10重量部で平衡に達するために、1
0重量部を超えて配合することは経済的なロスとなる。
【0034】なお、スズ化合物としては、スズ含有率が
1〜50重量%のブチルスズマレート系化合物が好まし
い。スズ含有率が1重量%未満のものであると、変色防
止性の向上効果が得にくく、またスズ含有率が50重量
を超えると、成形材料の色調が不安定になるために好ま
しくない。
【0035】また本発明の難燃性ポリプロピレン樹脂成
形材料に、無機フィラーを配合することによってブリー
ドアウトを防止する効果を一層高く得ることができる。
無機フィラーとしてはタルク、酸化チタン、ガラス繊維
フレークなどを用いることができるものであり、無機フ
ィラーの配合量はポリプロピレン100重量部に対して
0.1〜10重量部配合すると好ましい。無機フィラー
の配合量が0.1重量部未満であると、無機フィラーの
配合によるブリードアウトを防止する効果を有効に得る
ことができず、また無機フィラーの配合量が10重量部
を超えると、成形品の物性に与える影響が大きくなって
好ましくない。
【0036】さらに本発明の難燃性ポリプロピレン樹脂
成形材料では、銅害防止剤や帯電防止剤を配合すると好
ましい。銅害防止剤は、金属不活性剤とも呼ばれるもの
であり、一般にポリプロピレン等の樹脂は金属との接触
や重金属イオンの作用によって劣化が発生するが、銅害
防止剤はこのような金属の作用による樹脂の劣化を防ぐ
ために使用されるものである。銅害防止剤としては、例
えば下記式(g)で表されるN,N′−ビス〔3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオニル〕ヒドラジン等のヒソラジン系化合物を用
いることができる。この銅害防止剤の配合量はポリプロ
ピレン100重量部に対して0.1〜1.0重量部配合
すると好ましい。
【0037】
【化6】
【0038】また、帯電防止剤は成形品が帯電してゴミ
やホコリ等が付着することを防止するために配合される
されるものであり、帯電防止剤としては、例えば下記一
般式(h)で表されるアルキルスルフォネート等の界面
活性剤を用いることができる。なお式(h)中R及び
R’は、アルキル基を表す。この帯電防止剤の配合量は
ポリプロピレン100重量部に対して0.1〜1.0重
量部配合すると好ましい。
【0039】
【化7】
【0040】そして、上記の各成分を混合して混練する
ことによって難燃性ポリプロピレン樹脂成形材料を製造
する。そしてこれを射出成形等の任意の成形法で成形す
ることによって、ポリプロピレン樹脂成形品を得ること
ができる。
【0041】このようにして得られるポリプロピレン樹
脂成形品は、ブロム化リン酸エステルを難燃剤として用
いているため、紫外線吸収剤を配合した場合であって
も、ブリードアウトの発生が少ない状態で難燃化するこ
とが可能となり、変色防止性及び難燃性が優れ、かつ、
ブリードアウトする難燃剤で成形金型を汚染したり、ま
た成形品の表面にブリードアウトする難燃剤で成形品の
外観を損ねたりすることを未然に防止することができる
ものである。
【0042】
【実施例】(参考例1〜3、実施例〜6、比較例1〜
3、参考例) 難燃性ポリプロピレン樹脂成形材料の原料として、下記
のポリプロピレン、酸化防止剤、紫外線吸収剤、4種類
の難燃剤、スズ化合物、無機フィラー、銅害防止剤及び
帯電防止剤を表1に示す重量比で配合した。
【0043】
【表1】
【0044】ポリプロピレンとしては、宇部興産(株)
製、商品名 J130G(ASTMD 1238で規定
されるメルトフローレイトが30のホモポリマー)を用
いた。
【0045】酸化防止剤としては、上記式(a)で表さ
れるヒンダードフェノール系化合物[日本チバガイギー
(株)製、商品名 IRGANOX1010]を用い
た。なお、この酸化防止剤は、予めポリプロピレンに添
加した後配合した。
【0046】紫外線吸収剤としては、上記式(b)で表
されるベンゾトリアゾール系化合物[共同薬品(株)
製、商品名 Viosorb591]を用いた。
【0047】難燃剤としては、以下の4種類の難燃剤を
用いた。 ・難燃剤1:ブロム化リン酸エステルとして上記式
(d)で表されるトリス(トリブロモネオペンチル)ホ
スフェート[東ソー(株)製、商品名 フレームカット
175R] ・難燃剤2:変性テトラブロモビスフェノールA系化合
物として2,2ビス〔4−(2,3−ジブロモプロポキ
シ)3,5−ジブロモフェノール〕(プロパンテトラブ
ロモビスフェノールAビス(2,3−ジブロモプロピル
エーテル))[東ソー(株)製、商品名 フレームカッ
ト121R] ・難燃剤3:変性テトラブロモビスフェノールS系化合
物としてビス〔3,5−ジブロモ−4−(2,3−ジブ
ロモプロポキシ)フェニル〕スルホン[東ソー(株)
製、商品名 フレームカット161R] ・難燃剤4:三酸化アンチモン。
【0048】スズ化合物としては、上記式(e)で表さ
れるブチルスズ系化合物[三協有機合成(株)製、商品
名 Stann MMS−22A(スズ含有率32重量
%)]を用いた。
【0049】無機フィラーとしては、酸化チタンを、銅
害防止剤としては上記式(g)で表されるヒソラジン系
化合物[日本チバガイギー(株)製、商品名 IRGA
NOX MD1024]を、帯電防止剤としては上記式
(h)で表されるアルキルスルフォネート[日鉱石油化
学(株)製、商品名 アトレーAS−1000]を、そ
れぞれ用いた。
【0050】上記各原料を配合した後、タンブラーにて
混合し、これを二軸混練押出機(混練条件;バレル温度
160〜220℃、吐出量100kg/h)で混練造粒
することによって、難燃性ポリプロピレン樹脂成形材料
を得た。
【0051】 次に、参考例1〜3、実施例〜6、比
較例1〜3及び参考例で得られた難燃ポリプロピレン樹
脂成形材料を射出成形して直径50mm、厚み3mmの
円板形状の成形品を作製し、これをテストピースとして
難燃性、ブリードアウト性、耐光耐熱変色性を測定し
た。
【0052】難燃性の試験はUL規格プロジェクト94
に従い、V2合格の場合を○、V2不合格の場合を×と
した。ブリードアウト性の試験は、テストピースを90
℃熱風乾燥機で30日間処理した後、テストピースの表
面の光沢度の保持率を光沢計で測定することによって行
なった。耐光耐熱変色性の試験は、120℃熱風乾燥機
の中央部内に水銀灯ランプ(松下電器産業社製「パナス
ーパーH400」)を設けて形成したUV照射熱風乾燥
機にテストピースを入れ、90℃の温度で加熱しながら
紫外線を照射する処理を30日間行ない、処理をする前
と処理をした後のテストピースの表面の色差ΔEを色差
計で測定することによって行なった。
【0053】結果は表1に示すように、各実施例は、難
燃剤として三酸化アンチモンのみを配合している比較例
1と比較して難燃性が優れていることが確認された。ま
た、各実施例は、難燃剤としてブロム化リン酸エステル
以外の難燃剤を配合している比較例2,3と比較して、
ブリードアウト性が優れていることが確認された。ま
た、各実施例は、紫外線吸収剤を配合していない参考例
と比較して、耐光耐熱変色性が優れていることが確認さ
れた。すなわち、各実施例は、変色防止性及び難燃性が
優れ、かつ、ブリードアウトの発生が少ないことが確認
された。
【0054】 また、スズ化合物を配合している参考例
2、3及び実施例〜6は、参考例1と比較して、耐光
耐熱変色性が優れていることが確認された。
【0055】
【発明の効果】 本発明の請求項1に係る難燃性ポリプロ
ピレン樹脂成形材料は、ポリプロピレンと、紫外線吸収
剤と、難燃剤としてブロム化リン酸エステルと、無機フ
ィラーとが配合されているため、この成形材料を用いて
成形を行うと、変色防止性及び難燃性が優れ、かつ、ブ
リードアウトの発生が少ないポリプロピレン樹脂成形品
が得られる。
【0056】 本発明の請求項2に係るポリプロピレン
樹脂成形品は、ポリプロピレンと、紫外線吸収剤と、難
燃剤としてブロム化リン酸エステルと、無機フィラーと
が配合されている成形材料を用いているため、変色防止
性及び難燃性が優れ、かつ、ブリードアウトの発生が少
ないポリプロピレン樹脂成形品となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 23/02 - 23/24

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリプロピレンと、紫外線吸収剤と、難
    燃剤としてブロム化リン酸エステルとが配合されてい
    て、スズ化合物をも配合されていて、スズ化合物が、ス
    ズ含有率1〜50重量%のブチルスズ系化合物であり、
    紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾール系化合物を含有す
    とともに、ポリプロピレン100重量部に対して0.
    1〜10重量部の無機フィラーをも配合されていること
    を特徴とする難燃性ポリプロピレン樹脂成形材料。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の難燃性ポリプロピレン樹
    脂成形材料が成形されて成ることを特徴とするポリプロ
    ピレン樹脂成形品
JP22907696A 1996-08-29 1996-08-29 難燃性ポリプロピレン樹脂成形材料、及びポリプロピレン樹脂成形品 Expired - Lifetime JP3503354B2 (ja)

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