JPH06220201A - ケイ素系高分子化合物及びその製造方法 - Google Patents

ケイ素系高分子化合物及びその製造方法

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JPH06220201A
JPH06220201A JP2869293A JP2869293A JPH06220201A JP H06220201 A JPH06220201 A JP H06220201A JP 2869293 A JP2869293 A JP 2869293A JP 2869293 A JP2869293 A JP 2869293A JP H06220201 A JPH06220201 A JP H06220201A
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Yoshitaka Hamada
吉隆 濱田
Shigeru Mori
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 下記式(2)で表される含ケイ素アセチレン
化合物と下記式(3)で表される芳香族ハライドとを大
過剰のアミン存在下でパラジウム化合物触媒下にてハロ
ゲン化水素の脱離をともなう縮重合を行うことにより下
記式(1)で表されるケイ素系高分子化合物を製造す
る。 【化1】 (但し、式中R1,R2,R3,R4は同一又は異種の置換
又は非置換の炭素数1〜10のアルキル基、シクロアル
キル基、アリール基又はアラルキル基を示し、Aは2価
の炭素系又は複素環式芳香族残基を示す。nは5以上で
ある。) 【効果】 本発明によれば、単純な系によって規則性の
高いポリシラン共重合体を高選択性を持って得ることが
でき、得られたポリシラン共重合体(ケイ素系高分子化
合物)は耐熱材料や導電性材料等として有用なものであ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐熱材料、導電性材料
等として有用な新規なケイ素系高分子化合物及びその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ケイ素
ケイ素結合(Si−Si結合)はσ結合のエネルギー準
位が炭素のそれに比べて非常に高くなっており、この結
果としてはポリシランに見られるようなσ共役や各種の
π結合との共役があることが知られている。
【0003】このようなSi−Si結合の特徴を機能的
に発揮させ、材料化させるためには、規則性の高いポリ
マーの合成やそれらの効果的な配列が必要であると考え
られている。
【0004】そこで、このようなポリシラン骨格を含有
するポリマーの合成方法としては、例えばジシラニレン
フェニレンをビス(ハロジアルキルシリル)ベンゼンの
ウルツカップリング反応により得る方法が一般的に行わ
れている。しかし、その反応機構は明らかになっていな
いばかりか、反応自体も複雑であり規則性の高いポリマ
ーを合成する手段としては問題がある。一方、ウルツカ
ップリング反応以外の合成方法としては、ジエチニル化
合物のヒドロカルビレーションによる方法が報告されて
いるが、位置選択性がないために2重結合と3重結合の
配列がばらばらで規則性の高いポリマーを得るには至っ
ていない。
【0005】最近、Robert J.P.Corri
uらはジエチニルシラン類と種々の芳香族ジハライドと
の反応によるポリマーの合成方法を報告している(Jo
urnal of Polymer Science:
Part C:Polymer Letters,Vo
l.28,431−437(1990))。また、これ
に類するポリマーの合成反応としては、Hua Qin
Liu & John F.Harrodによるヒド
ロシランとアセチレン化合物との脱水素反応の例におい
て、1,3−ジエチニルベンゼンとフェニルシランとの
間で銅触媒によるポリマーの合成が報告されている(C
an.J.Chem.,68,1100(199
0))。しかしながら、前者についてはジシラン類など
のポリシラン鎖の切断を引き起こす問題点があり、一方
後者についてはヒドロシランの種類により活性がかなり
異なっており、特にポリシラン鎖を含むポリマーの合成
反応として一般に利用するには制約が多いという欠点を
有する。
【0006】本発明は上記事情に鑑みなされたもので、
耐熱材料や導電材料として有用なケイ素系高分子化合物
及びかかる化合物を製造する方法として、ポリシラン鎖
の切断を引き起こさず、かつ使用するシラン化合物の制
限を受け難く、しかも規則性が高いポリシラン共重合体
を得ることができるケイ素系高分子化合物及びその製造
方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明者は、上
記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、下記一般
式(2)で示される含ケイ素アセチレン化合物と下記一
般式(3)で示される芳香族ハライドとをアミン溶媒中
にてパラジウム化合物を触媒としてハロゲン化水素を脱
離させたところ、前述したRobert J.P.Co
rriuらによる系がジシラン類などのポリシラン鎖を
持つようなアセチレン化合物にも、ポリシラン鎖の切断
を引き起こすことなく、しかもハロゲン化水素の脱離と
いう単純な系による反応であるため高い選択性を持って
下記一般式(1)のケイ素系高分子化合物が得られると
共に、この式(1)の化合物を耐熱材料や導電性材料等
として利用するのに適していることを知見した。
【0008】
【化4】 (但し、式中R1,R2,R3,R4は同一又は異種の置換
又は非置換の炭素数1〜10のアルキル基、シクロアル
キル基、アリール基又はアラルキル基を示し、Aは2価
の炭素系又は複素環式芳香族残基を示し、Xはハロゲン
原子示す。また、nは5以上である。)
【0009】ここで、Si−Si結合は一般にパラジウ
ムなどの遷移金属触媒に活性であり、各種の挿入反応や
ダブルシリル化反応を引き起こすことが知られている
(Nagai et. al., J. Organo
metal. Chem.,186, 51, (19
80), Tanaka et. al., Che
m. Lett., 241, (1991))が、本
発明者らはアミン大過剰、ヨウ化第一銅存在条件では上
記の反応が抑制され、脱ハロゲン化水素カップリングに
よる重合反応が選択性良く起こることを見い出し、本発
明に至った。本発明の方法によれば、基本的にはジシラ
ンのみならず両末端にアセチレン基を持つようないずれ
のポリシラン化合物にも応用可能である。
【0010】以下、本発明を更に詳述すると、本発明の
ケイ素系高分子化合物は下記式(1)で表されるもので
ある。
【0011】
【化5】
【0012】ここで、R1乃至R4は同一又は異種の置換
又は非置換の炭素数1〜10のアルキル基、シクロアル
キル基、アリール基又はアラルキル基であり、アルキル
基としてはメチル基,エチル基,プロピル基等、シクロ
アルキル基としてはシクロペンチル基,シクロヘキシル
基等、アリール基としてはフェニル基,トリル基,ナフ
チル基等、アラルキル基としてはベンジル基,フェネチ
ル基等が挙げられる。また、Aは2価の炭素系又は複素
環式芳香族残基であり、具体的には下記に示すものを挙
げることができる。
【0013】
【化6】 (但し、式中Rは水素は又は同一又は異種の置換もしく
は非置換の炭化水素基を示す。)
【0014】また、nは5以上、好ましくは10以上、
より好ましくは20〜10,000である。
【0015】本発明の上記式(1)で示されるケイ素系
高分子化合物は、下記式(2)の含ケイ素アセチレン化
合物と下記式(3)の芳香族ハライドとをアミン溶媒中
でパラジウム化合物を触媒としてハロゲン化水素を脱離
することにより縮重合を行うことによって得ることがで
きる。
【0016】
【化7】 (但し、R1〜R4、A、X、nは上記と同様の意味を示
す。)
【0017】ここで、上記式(2)で示される含ケイ素
アセチレン化合物としては、具体的に1,2−ジエチニ
ルテトラメチルジシラン、1,2−ジエチニルテトラブ
チルシラン、1,2−ジエチニル−1,2−ジメチル−
1,2−ジフェニルシラン等のジアセチレン化合物を挙
げることができる。
【0018】また、上記式(3)で示される芳香族ハラ
イドにおけるXはハロゲン原子であり、塩素,臭素,ヨ
ウ素を例示することができるが、芳香族ハライドとして
は臭素又はヨウ素が結合したものを使用することが好ま
しい。この式(3)の芳香族ハライドとしては、p−ジ
ヨードベンゼン、2,6−ジブロモピリジン、2,5−
ジヨードチオフェン等を挙げることができる。
【0019】なお、含ケイ素アセチレン化合物と芳香族
ハライドとの配合割合は、アセチレン化合物1モルに対
して芳香族ハライド0.5〜2モル、特に0.9〜1.
1モルとすることが好ましい。
【0020】上述した含ケイ素アセチレン化合物及び芳
香族ハライドは、パラジウム化合物を触媒として反応さ
せるものである。このパラジウム化合物触媒としては、
trans−塩化ビス(トリフェニルフォスフィン)パ
ラジウム,塩化パラジウム(II)等を例示することが
できるが、上記パラジウム触媒以外に他の種類の触媒と
してトリフェニルホスフィン、ヨウ化第一銅などを使用
することが好ましい。上記三成分の触媒を用いた場合、
特に限定されるものではないが、例えばトリフェニルホ
スフィン/パラジウム触媒/ヨウ化第一銅で2/1/1
程度の割合で使用することが好ましい。また、触媒量は
仕込み量(化合物(2)+(3))に対して0.1〜5
重量部が好ましい。
【0021】本発明の製造方法においては、アミン溶媒
を使用するもので、これによりSi−Si結合の開裂を
防止して目的のポリシラン化合物を得ることができる。
即ち、Si−Si結合はパラジウムなどの遷移金属触媒
に活性であることが知られているものの、アミン溶媒、
アミン大過剰という条件ではSi−Si結合開裂反応は
進行せず、脱ハロゲン化水素によるポリマーを生成し得
ることを、本発明者によって初めて明らかにしたもので
ある。
【0022】ここで、アミン触媒としては、トリエチル
アミン等を使用することができ、その使用量は仕込み量
(化合物(2)+(3))に対して2〜20倍量で、好
ましくは5〜10倍量とすることが好ましい。
【0023】なお、本発明の効果を妨げない範囲で他の
溶媒を混合使用することは差し支えない。
【0024】上記重縮合は、反応温度25〜110℃、
特に60〜90℃で行うことができる。また、反応時間
は通常3〜8時間である。
【0025】本発明の方法によれば、基本的にはジシラ
ンのみならず両末端にアセチレン基を持つようないずれ
のポリシラン化合物にも応用可能なものである。
【0026】このようにして得られるポリシラン化合物
は、導電材料、耐熱材料として有用である。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、単純な系によって規則
性の高いポリシラン共重合体を高選択性を持って得るこ
とができ、得られたポリシラン共重合体(ケイ素系高分
子化合物)は耐熱材料や導電性材料等として有用なもの
である。
【0028】
【実施例】以下、実施例を示して本発明を具体的に説明
するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではな
い。なお、以下の例において、ポリマーの平均分子量は
GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量を示
す。
【0029】[実施例1]ジアセチレン化合物として
1,2−ジエチニルテトラブチルジシラン1000mg
と芳香族ジハライドとしてp−ジヨードベンゼン100
0mgとを溶媒として30mlのトリエチルアミンに溶
解し、これに触媒としてtrans−塩化ビス(トリフ
ェニルフォスフィン)パラジウム10mg、トリフェニ
ルフォスフィン20mg及びヨウ化第一銅10mgを加
えて6時間、80〜90℃にて反応した。冷却後、濾
過、濃縮によりトリエチルアミンを除去し、次いでこれ
をトルエンに溶解させ、水洗、濃縮により平均分子量4
4,000を主成分とするポリマーAを得た(収率79
%、収量972mg)。
【0030】
【化8】 このポリマーで作成したフィルムを25℃、1気圧の条
件でヨウ素ドーピングを行ったものの電気伝導度は5.
6×10-5S/cmであった。
【0031】[実施例2]芳香族ジハライドとして2,
6−ジブロモピリジン707mg、反応溶媒としてTH
Fを30ml及びトリエチルアミン30mlを使用した
以外は実施例1と同様にして反応させ、平均分子量2
5,000を主成分とするポリマーBを得た(収率78
%、収量955mg)。
【0032】このポリマーBをIR、1H−NMRで分
析したところ、IRでは2152cm-1に非対称アセチ
レンの特性吸収を示し、1H−NMRでは芳香族プロト
ンとブチル基上のプロトンの積分比は3:36であっ
た。
【0033】
【化9】 このポリマーで作成したフィルムを25℃、1気圧の条
件でヨウ素ドーピングを行ったものの電気伝導度は2.
2×10-4S/cmであった。
【0034】[実施例3]芳香族ジハライドとして2,
5−ジヨードチオフェンを723mg使用した以外は実
施例1と同様にして反応を行い、平均分子量6,200
を主成分とするポリマーCを得た(収率63%、収量7
81mg)。
【0035】
【化10】
【0036】[実施例4]ジアセチレン化合物として
1,2−ジエチニルテトラメチルジシランを504m
g、芳香族ジハライドとしてp−ジヨードベンゼンを1
000mgを使用し、更に触媒として塩化パラジウム
(II)を10mg、トリフェニルフォスフィンを20
mg及びヨウ化第一銅を10mg使用し、溶媒としてト
リエチルアミン30ml中に8時間還流し、溶媒不溶の
成分を主体とする重合物Dを得た(収率73%、収量5
32mg)。
【0037】
【化11】
【0038】[実施例5]ジアセチレン化合物として
1,2−ジエチニル−1,2−ジメチル−1,2−ジフ
ェニルジシランを881mg、芳香族ジハライドとして
p−ジヨードベンゼンを1000mgを使用した以外は
実施例1と同様にして合成を行い、平均分子量11,0
00を主成分とする重合物Fを得た(収率70%、収量
744mg)。
【0039】
【化12】

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で表されるケイ素系高
    分子化合物。 【化1】 (但し、式中R1,R2,R3,R4は同一又は異種の置換
    又は非置換の炭素数1〜10のアルキル基、シクロアル
    キル基、アリール基又はアラルキル基を示し、Aは2価
    の炭素系又は複素環式芳香族残基を示す。nは5以上で
    ある。)
  2. 【請求項2】 下記一般式(2)で表される含ケイ素ア
    セチレン化合物と下記一般式(3)で表される芳香族ハ
    ライドとを大過剰のアミン存在下でパラジウム化合物触
    媒下にてハロゲン化水素の脱離をともなう縮重合を行う
    ことを特徴とする請求項1記載の一般式(1)で示され
    るケイ素系高分子化合物の製造方法。 【化2】 (但し、式中R1,R2,R3,R4は同一又は異種の置換
    又は非置換の炭素数1〜10のアルキル基、シクロアル
    キル基、アリール基又はアラルキル基を示す。) 【化3】 (但し、式中Aは2価の炭素系又は複素環式芳香族残
    基、Xはハロゲン原子を示す。)
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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JP2003509557A (ja) * 1999-09-16 2003-03-11 コミツサリア タ レネルジー アトミーク ポリ(エチニレン−フェニレン−エチニレン−シリレン)およびその調製方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPS6234923A (ja) * 1985-08-09 1987-02-14 Hitachi Ltd 新規な重合体

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