JPH06128381A - 高分子量ポリシランの製造法 - Google Patents

高分子量ポリシランの製造法

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JPH06128381A
JPH06128381A JP30152392A JP30152392A JPH06128381A JP H06128381 A JPH06128381 A JP H06128381A JP 30152392 A JP30152392 A JP 30152392A JP 30152392 A JP30152392 A JP 30152392A JP H06128381 A JPH06128381 A JP H06128381A
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polysilane
phenyl
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JP30152392A
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Yasuo Nomura
泰生 野村
Ryuji Sato
隆二 佐藤
Yoshiharu Okumura
義治 奥村
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Tonen General Sekiyu KK
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Tonen Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 主鎖骨格がSiだけからなる高分子量ポリシ
ランを、高収率にて得る。 【構成】 ヒドロシラン(化合物I)を遷移金属錯体触
媒の存在下に脱水素縮合させるに際し、その構造中に>
SiH2 および/または−SiH3 を少なくとも2つ有
する化合物(化合物II)を共存させる(化合物I:化合
物IIのモル比= 100:1〜1:100 )ことによる、主鎖
骨格がSiだけからなる高分子量のポリシランの製造
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリシランの製造法、
特に、主鎖骨格がSi原子だけからなる高分子量のポリ
シランの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリシランは、フォトレジスト材料、半
導体および導電体等の電子材料、光重合開始剤、ならび
に、炭化ケイ素繊維、炭化ケイ素バインダー、炭化ケイ
素シート、炭化ケイ素コーティングおよび炭化ケイ素セ
ラミックス等の炭化ケイ素材料の前駆体として有用なポ
リマーである。
【0003】ポリシランはジハロシランのウルツ反応
(トルエンなどの炭化水素溶媒中、ジクロロシランをア
ルカリ金属で縮合する)、またはヒドロシランの脱水素
縮合(通常、遷移金属錯体を触媒として使用する)等に
よって合成されている。
【0004】しかしながらポリシランをジハロシランの
ウルツ反応により調製する方法は、ジハロシラン1モル
に対して2モル以上のアルカリ金属を必要とし、しかも
アルカリ金属等が発火する危険を伴うこと;反応条件が
過激であり、製造可能なポリシラン側鎖の種類が限定さ
れること;分子量および分子量分布の制御性に乏しいこ
と;多量の塩が副生し、また、ポリシランの収率が10〜
50%程度と低いこと;ならびに、副生した微量の塩素が
ポリシラン中に残存し(これを除去するのは困難であ
る)、ポリシランの電気的特性が低下することなどの欠
点を有する。
【0005】一方、ヒドロシランの脱水素縮合による方
法には、ウルツ法に比べて温和な条件を用いることがで
きること、副生成物が水素のみで分離精製が容易なこ
と、および収率が90%以上と高いこと等の利点があるも
のの、高分子量のポリシランを得るのが困難である欠点
がある。ポリシランを電子材料等に使用する場合、加工
の容易さ、加工後の形状の安定性等の観点より、このよ
うなポリシランはある程度以上の分子量を有することが
求められ、重量平均で概ね(置換基の種類によっても異
なるが)10,000以上の分子量を有するのが良いと考えら
れるが、上記の脱水素縮合法では、平均重合度が10〜20
程度、分子量が1000程度の、分子鎖長の短いポリシラン
しか得ることができない。
【0006】高分子量のポリシランを得るために、本発
明者らは先に、特願平4-40565 号において、ヒドロシラ
ンを脱水素縮合させる際に、トリヒドロシリル基2個で
脂肪族基を挟んだ構造の化合物を共存させる方法を見出
した。しかしながら、上記の用途に使用されるポリシラ
ンはさらに、その主鎖骨格がすべてケイ素原子からなる
ポリシランが理想的とされているが、この方法では主鎖
骨格がすべてケイ素原子からなる高分子量ポリシランを
得ることはできない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、主鎖
骨格がSi原子だけからなる高分子量のポリシランの製
造法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ヒドロシ
ランを脱水素縮合させる際に、1分子中に少なくとも2
つのトリヒドロシリル基(H3 Si−基)、ジヒドロシ
リル基(例えばH2 MeSi−基)またはジヒドロシリ
レン基(H2 Si<基)を有するヒドロオリゴシラン化
合物を共存させ、両者のモル比を特定の範囲内に設定す
ることにより、重量平均分子量10,000以上の、主鎖骨格
がSi原子だけからなるポリシランが得られることを見
出した。
【0009】 すなわち本発明は、式 Ra b SiH2 (I) 〔ここで、Ra およびRb は同じでも異なっていても良
く、水素原子;炭素数1〜20のアルキル基;該アルキル
基より誘導される置換アルキル基;フェニル基;該フェ
ニル基より誘導される置換フェニル基;ならびに式R′
3 Si−で表される基(ここで、三つのR′は同じでも
異なっていても良く、炭素数1〜20のアルキル基および
それより誘導される置換アルキル基、ならびにフェニル
基およびそれより誘導される置換フェニル基から成る群
より選択される)から成る群より選択され、Ra および
b が置換アルキル基または置換フェニル基である場合
の置換基はH、O、N、SiおよびGeを含むことがで
きるが、Si−H結合またはGe−H結合を含まない炭
素数1〜20の基である〕で示されるヒドロシラン化合物
および/またはその重合体、ならびに Sik (Rc m n (II) (ここで、k=2〜5、m=1〜8、n=4〜11であ
り、Rc はすべて同一であっても異なっていてもよく、
水素原子、炭素数1〜20のアルキル基およびそれより誘
導される置換アルキル基、ならびにフェニル基およびそ
れより誘導される置換フェニル基から成る群より選択さ
れ、Rc が置換アルキル基または置換フェニル基である
場合の置換基はH、OまたはNを含むことができる炭素
数1〜20の基である、またここで式IIの構造内には>S
iH2 および/または−SiH3 が少なくとも2個含ま
れる)で示されるヒドロオリゴシラン化合物を、遷移金
属錯体触媒の存在下、 100:1〜1:100 のモル比で脱
水素縮合させることを特徴とする、主鎖骨格がSiだけ
からなる高分子量ポリシランの製造法を提供するもので
ある。
【0010】本発明の方法に従い、主鎖骨格がSi原子
だけからなる高分子量のポリシランを、高い収率で得る
ことができる。従来の脱水素縮合により製造されるポリ
シランの分子量が通常1000程度であったのに対し、本発
明のポリシランは約10,000以上と、約10倍以上の分子量
を有する。また、従来のウルツ法では10〜50%程度であ
った収率が、本発明では70%以上、特に80%以上へと、
大幅に改善される。
【0011】本発明で使用するヒドロシラン化合物は、
上記の式Iで示されるヒドロシラン化合物(以下、式I
の化合物と云うことがある)および/またはその重合体
であり、これらは単独で用いてもよいが、2種以上組合
せて用いることもできる。
【0012】式Iの化合物の例としては、H3 SiM
e、H3 SiPh、H2 SiEt2 、H3 SiSiMe
3 、および次式(化1):
【0013】
【化1】 の化合物を挙げることができるが、これらに限定されな
い。ここで、Meはメチル基を、Etはエチル基を、P
hはフェニル基を表す。以下、同様にプロピル基をPr
と略すことがある。
【0014】次に、式IIで示される化合物(以下、式II
の化合物と云うことがある)もまた、単独で使用しても
よく、2種以上組合せて使用してもよい。式IIの化合物
の例としては例えば、次式(化2):
【0015】
【化2】 等、および次式(化3):
【0016】
【化3】 が挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】本発明の脱水素縮合反応は、上記の式Iの
化合物および式IIの化合物を、モル比100 :1〜1:10
0 、好ましくは20:1〜1:20で使用して行う。脱水素
縮合反応の条件およびその際の操作に特に制限はない
が、遷移金属錯体を脱水素縮合触媒として用い、その存
在下で反応を行う。
【0018】遷移金属錯体としては、Ti、Zr、H
f、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、PdまたはPt等
を中心金属とし、置換または非置換のシクロペンタジエ
ニル基、置換または非置換のアルキル基、置換または非
置換のアリール基、置換または非置換のシリル基、ホス
フィン、一酸化炭素、ハロゲンイオン、π‐エチレン、
アセチレン、水素アニオン等の配位子を有する錯体を使
用するのが好ましい。それらの錯体として、例えば、P
tCl2 (CO)PPh3 、HPt(PEt3 2
l、PtCl2 (PPh3 2 、PtCl2 (AsPh
3 2 、PtCl2(SbPh3 2 、PtBr2 (P
Et3 2 、[Pt(PBu3 )Cl2 2、PtO2
(PPh3 2 、Pt(PPh3 4 、Pt(Ph2
CH2 CH2PPh2 )Cl2 、HRh(CO)(PPh
3 3 、HRh(CO)(AsPh3 3 、HRh(CO)
(SbPh3 3 、RhCl(PPh3 3 、RhCl(A
sPh33 、RhCl(SbPh3 3 、HRh(PPh
3 4 、[PPh3 Rh(OAc)2 2 、RhCl
3 (PEt3 3 、RuCl2 (PPh3 3 、Ru
(CO)3 (PPh3 2 、Ru(Ph2 PCH2 CH
2 PPh2 2 Cl2 、RuCl2 (CO)2 (PPh
3 2 、RuCl2 (CO)(PPh3 3 、RuCl
3(PPh3 3 、HRuCl(CO)(PPh3 3 、Ru
(PPh3 3 (OAc)2、RuCl2 (AsP
3 3 、RuCl2 (SbPh3 3 、Ru(Ph2
sCH2 CH2 AsPh2 2 Cl2 およびRu(Ph
2 SbCH2 CH2 SbPh2 2 Cl2 等を挙げるこ
とができる。好ましい別の触媒としては、式 Cp2 M (R1 1+n (R2 1-n (A) 〔ここで、Cpは夫々独立して、置換または非置換のη
5 ‐シクロペンタジエニル基を表し;MはTi、Zrま
たはHfであって、R1 またはR1 およびR2 と結合し
ており;R1 およびR2 は同じでも異なっていても良
く、水素原子、置換もしくは非置換のフェニル基、置換
もしくは非置換のナフチル基、置換もしくは非置換のベ
ンジル基、直鎖の、分枝のもしくは環状の、置換もしく
は非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のシリル基
(これらはH、O、N、SiまたはGeを含むことがで
きる)、またはハロゲン原子であり、但し、二つのR1
同志またはR1 とR2 とが結合している場合は、直接結
合、もしくは−O−、−N−、−C−、−Si−または
−Ge−を介して互いに結合してMを含む環を形成する
ことができ(この場合、R1 上の水素原子もしくは置換
基の一つと、もう一方のR1 またはR2 上の水素原子も
しくは置換基の一つまたは基自体が、一つの−O−、−
N−、−C−、−Si−または−Ge−で置換されて、
それらを介在してのR1 同志またはR1 とR2 との結合
を形成することができる);nは0または1である〕で
示される錯体を使用することができる。式(A)で示さ
れる錯体として、例えば、Cp2 TiMe2 、Cp2
rMe2 、Cp2 HfMe2 、Cp2 Ti(n-Bu)2 、C
2 Zr(n-Bu)2 、Cp2 Hf(n-Bu)2 、Cp2
iPh2 、Cp2 ZrPh2 、Cp2 HfPh2 、Cp
2 Ti(CH2 Ph)2 、Cp2 Zr(CH2Ph)2 、Cp2
Hf(CH2 Ph)2 、Cp2 Ti(CH2 CMe3
2 、Cp 2 Zr(CH2 CMe3 2 およびCp2 Hf
(CH2 CMe3 2 等を挙げることができる。特に好
ましくは、式 Cp2 M (CHk 3-k 1+n (R2'
1-n (B) 〔ここで、Cp、Mおよびnは前記と同義であり;基C
k 3-k は式(A)のR1 の一態様であり(それ故、
以下でこの基をR1と云うことがある);(3-k)×(1+
n)個のXは同じでも異なっていても良く、次式(化
4):
【0019】
【化4】 で示される基であり;kは0〜2の整数であり;式(化
4)においてM' はSiまたはGeであり;R3 、R4
およびR5 は夫々独立して、炭素原子数1〜20個のアル
キル基もしくはフェニル基またはそれらから誘導される
置換アルキル基もしくは置換フェニル基(ここで置換基
はH、O、N、Siおよび/またはGeを含むことがで
きる)であり、但しそのR1 が他のR1 またはR2'と結
合している場合に限り単結合であることができ;mは1
〜3の整数であり;R2'は水素原子、β‐水素原子を有
しない置換もしくは非置換のアルキル基(ここで、置換
基は上記Xであることができる)、置換もしくは非置換
のフェニル基(ここで、置換基は上記Xであることがで
きる)、置換もしくは非置換のナフチル基(ここで、置
換基は上記Xであることができる)、またはハロゲン原
子であり、但しR2'がR1 と結合している場合に限り単
結合であることができ;R1 同志またはR1 とR2'
は、−O−、−N−、−C−、−Si−または−Ge−
を介して互いに結合してMを含む環を形成することがで
きる(この場合、n=1の時の二つのR1 における上記
3 、R4 およびR5 の夫々一つずつの基、またはn=
0の時のR1 における上記R3 、R4 およびR5 の一つ
の基とR2'基の、基自体またはこの基の中の水素原子
が、一つの−O−、−N−、−C−、−Si−または−
Ge−で置換されて、それらを介在してのR1 同志また
はR1 とR2'との結合を形成することができる〕で示さ
れる錯体を使用することができる。そのような錯体とし
ては、例えば、Cp2 Ti(CH2 SiMe3 2 、C
2 Zr(CH2 SiMe3 2 、Cp2Hf(CH2
SiMe3 2 、Cp2 TiCl[CH(SiMe3
2 ]、Cp2 ZrCl[CH(SiMe3 2 ]、Cp
2 HfCl[CH(SiMe3 2 ]、Cp2 Ti(CH
2 GeMe3 2 、Cp2 Zr(CH2 GeM
3 2 、Cp2 Hf(CH2 GeMe3 2 、Cp2
Ti(CH2 SiEt3 2 、Cp2Zr(CH2 Si
Et3 2 、Cp2 Hf(CH2 SiEt3 2 、Cp
2 Ti{CH2 Si(n-Pr)3 2 、Cp2 Zr{CH
2 Si(n-Pr)3 2 、Cp2Hf{CH2 Si(n-P
r)3 2 、Cp2 Ti(CH2 SiPh3 2 、Cp2
Zr(CH2 SiPh3 2 、Cp2 Hf(CH2 SiP
3 2 、Cp2 Ti{CH2 Si(Ph)2 (Me)}2
Cp2 Zr{CH2 Si(Ph)2 (Me)}2 、Cp2Hf
{CH2 Si(Ph)2 (Me)}2 、Cp2 Ti(Ph)
[CH(SiMe3 2 ]、Cp2 Zr(Ph)[CH
(SiMe3 2 ]、Cp2 Hf(Ph)[CH(SiMe
3 2 ]等の錯体、および次式(化5):
【0020】
【化5】 で示される錯体、ならびにCp2 TiCl2 、Cp2
nCl2 、Cp2 HfCl2 等と適当な還元剤(例え
ば、LiAlH4 、Li金属、周期律表第12族、第13族
金属の有機金属化合物、芳香族ラジカルアニオン等)と
から成る触媒を挙げることができる。これらの触媒は、
別途に合成したものを使用しても良いが、触媒を生成す
る原料を反応系中に加え、反応系中で触媒を調製するこ
ともできる。また、これらの触媒を担体に担持させて使
用しても良い。
【0021】本発明の製造法において、脱水素縮合反応
は開放系で行っても良く、また密閉系で行っても良い。
また、反応は液相中で行うのが一般的であり、その場
合、無溶媒にて行っても良いが、一般に、ヘキサン、ト
ルエンなどの炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン(T
HF)、ジエチルエーテルなどのエーテル系溶媒等の溶
媒中で行う。ここで、アルコール系溶媒およびハロゲン
化炭化水素系溶媒は、化合物中のSi−H基と反応する
可能性があるため、好ましくない。好ましい反応条件を
例示すると、両化合物に対して 1.0×10-4〜100 モル
%、より好ましくは1.0×10-2〜10モル%の上記触媒活
性成分を用い、反応系を水素、窒素、アルゴン等の不活
性なガス雰囲気下に置き、反応温度を約−60〜300 ℃、
より好ましくは約20〜180 ℃とし、反応時間を5分間〜
10日間程度、より好ましくは10分間〜48時間程度とす
る。反応の際の両化合物の比率、温度、反応時間、触媒
等を変化させて、ポリマーの分子量、繰り返し単位、脱
水素化率、架橋度を変化させることができる。例えば、
式Iの化合物に対する式IIの化合物の比率を低め、反応
温度を低く、反応時間を短くすると、分子量および架橋
度が低くなり、逆にその比率を高く、反応温度を高く、
反応時間を長くすると、分子量および架橋度が高くな
る。本発明においては、式Iの化合物:式IIの化合物の
モル比を、100 :1〜1:100 、特に20:1〜1:20と
することが好ましい。式IIの化合物の比率をこの範囲未
満とすると、得られる生成物の分子量が有効に増大せ
ず、この範囲を超えると生成物が溶媒に不溶となる場合
があるため、好ましくない。
【0022】
【作用】本発明は特定の理論により限定されるものでは
ないが、本発明が効果を奏する理由として、式IIの化合
物が少なくとも二つのH3 Si−またはH2 Si<によ
って、二つのポリシラン鎖同志を結合することが考えら
れる。すなわち、式IIの化合物は二つ以上のH3 Siま
たはH2 Si<を有するため、一個のH3 SiまたはH
2 Si<が分子鎖長の短い(例えば重合度10〜20の)ポ
リシラン中に取り込まれても、別のH3 SiまたはH2
Si<が残っており、他のポリシラン鎖と結合し得る。
このようにして式IIの化合物一つが二つのポリシラン鎖
を結合し、その結果として生成するポリシランの分子量
が増大するのであろう。式Iの化合物に対する式IIの化
合物のモル比が小さいと上記の結合が少ししか生じず、
分子量はさほど増大しない、逆に、このモル比が大きい
と架橋が進み過ぎ、生じるポリシランが不溶化するもの
と考えられる。
【0023】このようにして得られる本発明のポリシラ
ンは、種々の用途に使用することができる。本発明のポ
リシランは、塩素を含有せず、優れた電気的特性を有す
るため、電子材料デバイス等の用途に有用である。本発
明のポリシランは、炭化ケイ素前駆体として特に適して
おり、焼成されて、優れた特性の炭化ケイ素を高収率に
て与える。
【0024】以下、本発明を実施例によりさらに説明す
るが、本発明はこれら実施例に限定されるものではな
い。
【0025】
【実施例】以下の実施例および比較例において使用した
ヒドロシラン類は、直接法によって生じた対応するオリ
ゴクロロシランまたはアルカリ金属などを用いて合成し
たオリゴクロロシランを公知の方法により還元して得
た。実施例1 ニードルバルブおよび磁気撹拌子を備えた容量 100mlの
耐圧反応器に、1,2-ジメチルジシラン1.0g(11ミ
リモル)、フェニルシラン(PhSiH3 )6.0g
(56ミリモル)、Cp2 Zr(CH2 SiMe3 2
96mg(全化合物に対して触媒活性成分が0.29
モル%に相当)を仕込んだ。凍結脱気を二回行った後、
窒素雰囲気下で封管した。これを80℃の油浴で2時間
反応させ、次いでフロリジルカラム(トルエン溶媒)を
通して触媒を除いた後、溶媒を減圧留去することによ
り、86%の収率で有機ケイ素共重合体を得た。この生
成物のGPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラ
フィー)分析による分子量は、ポリスチレン換算でMn
=8400、Mw =32400 であった。この有機ケイ素共重合
体の 1H‐NMRスペクトル(C6 6 溶媒にて測定、
60MHz)、IRスペクトル(KBr板として測定)、
FD−MSスペクトルおよびUVスペクトルを測定し
た。 1H‐NMRおよびIRのチャートを、それぞれ図
1および図2に示す。
【0026】1H‐NMRスペクトルの結果より、−
0.4〜0.6ppm にメチル基のプロトンに起因するピ
ークが、4.2〜5.4ppm にケイ素原子に結合したプ
ロトンに起因するピークが、また6.4〜8.0ppm に
ケイ素原子に結合したフェニル基のプロトンに起因する
ピークがそれぞれ観察された。
【0027】IRスペクトルの結果より、2097cm-1
付近にSi−H、Si−H2 に基づく吸収が、916cm
-1付近にSi−H2 に基づく吸収がそれぞれ観察され
た。
【0028】FD−MSスペクトルの結果より、2つの
モノマーが共重合したフラグメントが観察された。
【0029】UVスペクトルの結果から、上記で製造し
た有機ケイ素共重合体の吸収は、ポリフェニルシランポ
リマー単独の吸収と比較して、20〜50nm長波長側に
シフトし、ケイ素鎖が伸びて共役系が拡大していること
がわかった。実施例2 実施例1と同様の耐圧反応器に、メチルジシラン5.0
g(66ミリモル)、ポリフェニルシラン2.0g(M
w420、フェニルシランをCp2 Zr(CH2 SiM
3 2 触媒の存在下に重合して得た)、トルエン5m
lおよびCp2Ti(CH2 SiMe3 2 46.
5mg(メチルジシランに対して触媒活性成分が0.2
2モル%に相当)を仕込み、実施例1と同様の操作で封
管した。これを100℃の油浴で5時間反応させ、次い
で実施例1と同様の操作で処理して、84%の収率で
5.9gの有機ケイ素共重合体を得た。GPC分析によ
り分子量を測定すると、ポリスチレン換算でMn =570
0、Mw =13200 であった。実施例3 実施例1と同様の耐圧反応器に、1,2-ジフェニルジシラ
ン5.0g(23ミリモル)、フェニルシラン4.2g
(39ミリモル)、n-ヘキシルシラン2.8g(24ミ
リモル)およびCp2 ZrCl2 /LiAlH4
0.3mg/3.3mg(全化合物に対して触媒活性成
分が0.20モル%に相当)を仕込み、実施例1と同様
の操作で封管した。これを室温で12時間反応させ、次
いで実施例1と同様の操作で処理して、83%の収率で
10gの有機ケイ素共重合体を得た。GPC分析により
分子量を測定すると、ポリスチレン換算でMn =3800、
Mw=10100 であった。実施例4 実施例1と同様の耐圧反応器に、2,2-ジメチルトリシラ
ン6.7g(56ミリモル)、フェニルシラン4.4g
(41ミリモル)およびCp2 ZrPh2 72.8m
g(全化合物に対して触媒活性成分が0.20モル%に
相当)を仕込み、実施例1と同様の操作で封管した。こ
れを40℃の油浴で6時間反応させ、次いで実施例1と
同様の操作で処理して、91%の収率で10.1gの有
機ケイ素共重合体を得た。GPC分析により分子量を測
定すると、ポリスチレン換算でMn =4300、Mw =1910
0 であった。比較例1 実施例1と同様の耐圧反応器に、フェニルシラン12.
8g(119ミリモル)およびCp2 Zr(CH2 Si
Me3 2 96mg(全ヒドロシリル基に対して触媒
活性成分が0.20モル%に相当)を仕込み、実施例1
と同様の操作で封管した。これを80℃の油浴で5時間
反応させ、次いで実施例1と同様の操作で処理して、9
0%の収率で11.5gの有機ケイ素重合体を得た。G
PC分析により分子量を測定すると、ポリスチレン換算
でMn =641 、Mw =720 であった。
【0030】
【発明の効果】本発明によれば、重量平均分子量10,000
以上の、主鎖骨格がSiだけからなる高分子量ポリシラ
ンを、高収率で、かつ簡単な操作により製造する方法を
提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施例1で得られたポリシランの 1H‐
NMRスペクトルの結果を表すチャートである。
【図2】図2は実施例1で得られたポリシランのIRス
ペクトルの結果を表すチャートである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式 Ra b SiH2 (I) 〔ここで、Ra およびRb は同じでも異なっていても良
    く、水素原子;炭素数1〜20のアルキル基;該アルキル
    基より誘導される置換アルキル基;フェニル基;該フェ
    ニル基より誘導される置換フェニル基;ならびに式R′
    3 Si−で表される基(ここで、三つのR′は同じでも
    異なっていても良く、炭素数1〜20のアルキル基および
    それより誘導される置換アルキル基、ならびにフェニル
    基およびそれより誘導される置換フェニル基から成る群
    より選択される)から成る群より選択され、Ra および
    b が置換アルキル基または置換フェニル基である場合
    の置換基はH、O、N、SiおよびGeを含むことがで
    きるが、Si−H結合またはGe−H結合を含まない炭
    素数1〜20の基である〕で示されるヒドロシラン化合物
    および/またはその重合体、ならびに Sik (Rc m n (II) (ここで、k=2〜5、m=1〜8、n=4〜11であ
    り、Rc はすべて同一であっても異なっていてもよく、
    水素原子、炭素数1〜20のアルキル基およびそれより誘
    導される置換アルキル基、ならびにフェニル基およびそ
    れより誘導される置換フェニル基から成る群より選択さ
    れ、Rc が置換アルキル基または置換フェニル基である
    場合の置換基はH、OまたはNを含むことができる炭素
    数1〜20の基である、またここで式IIの構造内には>S
    iH2 および/または−SiH3 が少なくとも2個含ま
    れる)で示されるヒドロオリゴシラン化合物を、遷移金
    属錯体触媒の存在下、 100:1〜1:100 のモル比で脱
    水素縮合させることを特徴とする、主鎖骨格がSiだけ
    からなる高分子量ポリシランの製造法。
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