JPH05214107A - 高分子量ポリシランの製造法 - Google Patents

高分子量ポリシランの製造法

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JPH05214107A
JPH05214107A JP4056592A JP4056592A JPH05214107A JP H05214107 A JPH05214107 A JP H05214107A JP 4056592 A JP4056592 A JP 4056592A JP 4056592 A JP4056592 A JP 4056592A JP H05214107 A JPH05214107 A JP H05214107A
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polysilane
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JP4056592A
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Inventor
Masashi Nakajima
雅司 中島
Yasuo Nomura
泰生 野村
Ryuji Sato
隆二 佐藤
Yoshiharu Okumura
義治 奥村
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Tonen General Sekiyu KK
Original Assignee
Tonen Corp
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08GMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
    • C08G77/00Macromolecular compounds obtained by reactions forming a linkage containing silicon with or without sulfur, nitrogen, oxygen or carbon in the main chain of the macromolecule
    • C08G77/60Macromolecular compounds obtained by reactions forming a linkage containing silicon with or without sulfur, nitrogen, oxygen or carbon in the main chain of the macromolecule in which all the silicon atoms are connected by linkages other than oxygen atoms

Abstract

(57)【要約】 【目的】 高分子量のポリシラン、特に、狭い分子量分
布を有する高分子量のポリシランを、高収率にて得るこ
と。 【構成】 ヒドロシラン(化合物I)を遷移金属錯体触
媒の存在下に脱水素縮合させるに際し、1分子中に2つ
のH3 Siを有する化合物(化合物II)を共存させ、か
つ、化合物I:化合物IIのモル比を 100:1〜5:1と
することにより、高分子量のポリシランが製造された。
こうして得られたポリシランを再沈殿すると、狭い分子
量分布を有する高分子量のポリシランを得ることができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリシランの製造法、
特に、高分子量のポリシランの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリシランは、フォトレジスト材料、半
導体及び導電体等の電子材料、光重合開始剤、並びに、
炭化ケイ素繊維、炭化ケイ素バインダー、炭化ケイ素シ
ート、炭化ケイ素コーティング及び炭化ケイ素セラミッ
クス等の炭化ケイ素材料の前駆体として有用なポリマー
である。
【0003】ポリシランはジハロシランのウルツ反応
(トルエンなどの炭化水素溶媒中、ジクロロシランをア
ルカリ金属で縮合する)、またはヒドロシランの脱水素
縮合(通常、遷移金属錯体を触媒として使用する)等に
よって合成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながらポリシラ
ンをジハロシランのウルツ反応により調製する方法は、
ジハロシラン1モルに対して2モル以上のアルカリ金属
を必要とし、しかもアルカリ金属等が発火する危険を伴
うこと;反応条件が過激であり、製造可能なポリシラン
側鎖の種類が限定されること;分子量及び分子量分布の
制御性に乏しいこと;多量の塩が副生し、また、ポリシ
ランの収率が10〜50%程度と低いこと;並びに、副生し
た微量の塩素がポリシラン中に残存し(これを除去する
のは困難である)、ポリシランの電気的特性が低下する
ことなどの欠点を有する。
【0005】一方、ヒドロシランの脱水素縮合による方
法には、ウルツ法に比べて温和な条件を用いることがで
きること、副生成物が水素のみで分離精製が容易なこ
と、及び収率が90%以上と高いこと等の利点があるもの
の、高分子量のポリシランを得るのが困難である欠点が
ある。ポリシランを電子材料等に使用する場合、加工の
容易さ、加工後の形状の安定性等の観点より、該ポリシ
ランはある程度以上の分子量を有することが求められ、
重量平均で概ね(置換基の種類によっても異なるが)1
0,000以上の分子量を有するのが良いと考えられるが、
上記の脱水素縮合法では、平均重合度が10〜20程度、分
子量が1000〜3000程度の、分子鎖長の短いポリシランし
か得ることができない。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ヒドロシ
ランを脱水素縮合させるに際し、1分子中に2つのトリ
ヒドロシリル基(例えばH3 Si−基)を有する化合物
を共存させることにより、生成するポリシランの分子量
が増大すること、及び、両者のモル比を特定の範囲内に
設定することにより、重量平均分子量10,000以上のポリ
シランが得られることを見出した。
【0007】 すなわち本発明は、式 Ra b SiH2 (I) 〔ここで、Ra 及びRb は同じでも異なっていても良
く、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、フェニル
基、それらより誘導される置換アルキル基及び置換フェ
ニル基(ここで、Ra 、Rb 上の置換基はH、O、N、
Si及びGeを含むことができるが、Si−H結合また
はGe−H結合を含まない炭素数1〜20の基である)、
並びに、式R´3 Si−で表される基(ここで、三つの
R´は同じでも異なっていても良く、炭素数1〜20のア
ルキル基及びそれより誘導される置換アルキル基、並び
にフェニル基及びそれより誘導される置換フェニル基か
ら成る群より選択される)から成る群より選択される〕
で表される化合物、及び、 式 H3 Si−Rc −SiH3 (II) 〔ここで、Rc は主鎖の炭素数が1〜6の分枝または直
鎖の飽和または不飽和の、置換または非置換の二価の脂
肪族基(ここで、Rc 上の置換基はH、O、N、Si及
びGeを含むことができるが、Si−H結合またはGe
−H結合を含まない炭素数1〜20の基である)である〕
で表される化合物を、遷移金属錯体触媒の存在下、100
:1〜5:1のモル比で脱水素縮合させることを特徴
とする、ポリシランの製造法である。
【0008】本発明の方法に従い、高分子量のポリシラ
ンを、高い収率で得ることができる。従来の脱水素縮合
により製造されるポリシランの分子量が通常1000〜3000
程度であったのに対し、本発明のポリシランは約10,000
以上と、約10倍以上の分子量を有する。また、従来のウ
ルツ法では10〜50%程度であった収率が、本発明では70
%以上、特に80%以上へと、大幅に改善される。
【0009】ここで、式Iで表される化合物(以下、式
Iの化合物と云うことがある)は、意図する目的物に応
じ、ヒドロシランとして、式Iの任意の一以上の化合物
を使用することができる。式Iで表されるヒドロシラン
化合物の例としては、H3 SiMe、H3 SiPh、H
2 SiEt2 、H3 SiSiMe3 、及び次式
【0010】
【化1】 の化合物を挙げることができるが、これらに限定されな
い。ここで、Meはメチル基を、Etはエチル基を、P
hはフェニル基を表す。以下、同様にプロピル基をPr
と、アシル基をAcと略すことがある。、式II表される
化合物(以下、式IIの化合物と云うことがある)もま
た、意図する目的物に応じ、式IIの任意の一以上の化合
物を使用することができる。式IIの化合物の例として
は、次式
【0011】
【化2】 等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0012】本発明の脱水素縮合反応は、上記の式Iの
化合物及び式IIの化合物を、モル比100 :1〜5:1、
好ましくは20:1〜5:1で使用して行う。脱水素縮合
反応の条件及びその際の操作に特に制限はないが、遷移
金属錯体を脱水素縮合触媒として用い、その存在下で反
応を行う。
【0013】遷移金属錯体としては、Ti、Zr、H
f、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、PdまたはPt等
を中心金属とし、置換または非置換のシクロペンタジエ
ニル基、置換または非置換のアルキル基、置換または非
置換のアリール基、置換または非置換のシリル基、ホス
フィン、一酸化炭素、ハロゲンイオン、π‐エチレン、
アセチレン、水素アニオン等の配位子を有する錯体を使
用するのが好ましい。それらの錯体として、例えば、P
tCl2 (CO)PPh3 、HPt(PEt3 2
l、PtCl2 (PPh3 2 、PtCl2 (AsPh
3 2 、PtCl2(SbPh3 2 、PtBr2 (P
Et3 2 、[Pt(PBu3 )Cl2 2、PtO2
(PPh3 2 、Pt(PPh3 4 、Pt(Ph2
CH2 CH2PPh2 )Cl2 、HRh(CO)(PPh
3 3 、HRh(CO)(AsPh3 3 、HRh(CO)
(SbPh3 3 、RhCl(PPh3 3 、RhCl(A
sPh33 、RhCl(SbPh3 3 、HRh(PPh
3 4 、[PPh3 Rh(OAc)2 2 、RhCl
3 (PEt3 3 、RuCl2 (PPh3 3 、Ru
(CO)3 (PPh3 2 、Ru(Ph2 PCH2 CH
2 PPh2 2 Cl2 、RuCl2 (CO)2 (PPh
3 2 、RuCl2 (CO)(PPh3 3 、RuCl
3(PPh3 3 、HRuCl(CO)(PPh3 3 、Ru
(PPh3 3 (OAc)2、RuCl2 (AsP
3 3 、RuCl2 (SbPh3 3 、Ru(Ph2
sCH2 CH2 AsPh2 2 Cl2 及びRu(Ph2
SbCH2 CH2 SbPh2 2 Cl2 等を挙げること
ができる。より好ましくは、式 Cp2 M (R1 1+n (R2 1-n (A) 〔ここで、Cpは夫々独立して、置換または非置換のη
5 ‐シクロペンタジエニル基を表し;MはTi、Zrま
たはHfであって、R1 またはR1 及びR2 と結合して
おり;R1 及びR2 は同じでも異なっていても良く、水
素原子、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしく
は非置換のナフチル基、置換もしくは非置換のベンジル
基、直鎖の、分枝のもしくは環状の、置換もしくは非置
換のアルキル基、置換もしくは非置換のシリル基(これ
らはH、O、N、SiまたはGeを含むことができ
る)、またはハロゲン原子であり、但し、二つのR1
志またはR1 とR2 とが結合している場合は、直接結
合、もしくは−O−、−N−、−C−、−Si−または
−Ge−を介して互いに結合してMを含む環を形成する
ことができ(この場合、R1 上の水素原子もしくは置換
基の一つと、もう一方のR1またはR2 上の水素原子も
しくは置換基の一つまたは基自体が、一つの−O−、−
N−、−C−、−Si−または−Ge−で置換されて、
それらを介在してのR1 同志またはR1 とR2 との結合
を形成することができる);nは0または1である〕で
表される錯体を使用する。式(A)で示される錯体とし
て、例えば、Cp2 TiMe2 、Cp2 ZrMe2 、C
2 HfMe2 、Cp2 Ti(n-Bu)2 、Cp2Zr(n-
Bu)2 、Cp2 Hf(n-Bu)2 、Cp2 TiPh2 、C
2 ZrPh2、Cp2 HfPh2 、Cp2 Ti(CH2
Ph)2 、Cp2 Zr(CH2 Ph)2 、Cp2 Hf(CH2
Ph)2 、Cp2 Ti(CH2 CMe3 2 、Cp2
r(CH2 CMe3 2 及びCp2 Hf(CH2 CMe
3 2 等を挙げることができる。特に好ましくは、式
Cp2 M (CHk 3-k 1+n (R2'1-n (B) 〔ここで、Cp、M及びnは上記式(A)中のそれら同
じであり;基CHk 3-k は式(A)のR1 の一態様で
あり(それ故、以下でこの基をR1と云うことがあ
る);(3-k)×(1+n)個のXは同じでも異なっていても
良く、次式(a)
【0014】
【化3】 で表される基であり;kは0〜2の整数であり;式
(a)においてM' はSiまたはGeであり;R3 、R
4 及びR5 は夫々独立して、炭素原子数1〜20個のアル
キル基もしくはフェニル基またはそれらから誘導される
置換アルキル基もしくは置換フェニル基(ここで置換基
はH、O、N、Si及び/またはGeを含むことができ
る)であり、但しそのR1 が他のR1 またはR2'と結合
している場合に限り単結合であることができ;mは1〜
3の整数であり;R2'は水素原子、β‐水素原子を有し
ない置換もしくは非置換のアルキル基(ここで、置換基
は上記Xであることができる)、置換もしくは非置換の
フェニル基(ここで、置換基は上記Xであることができ
る)、置換もしくは非置換のナフチル基(ここで、置換
基は上記Xであることができる)、またはハロゲン原子
であり、但しR2'がR1 と結合している場合に限り単結
合であることができ;R1 同志またはR1 とR2'とは、
−O−、−N−、−C−、−Si−または−Ge−を介
して互いに結合してMを含む環を形成することができる
(この場合、n=1の時の二つのR1 における上記
3 、R4 及びR5 の夫々一つずつの基、またはn=0
の時のR1 における上記R3 、R4 及びR5 の一つの基
とR2'基の、基自体または該基中の水素原子が、一つの
−O−、−N−、−C−、−Si−または−Ge−で置
換されて、それらを介在してのR1 同志またはR1 とR
2'との結合を形成することができる〕で表される錯体を
使用する。それらの錯体として、例えば、Cp2 Ti
(CH2SiMe3 2 、Cp2 Zr(CH2 SiMe
3 2 、Cp2 Hf(CH2 SiMe3 2 、Cp2
iCl[CH(SiMe3 2 ]、Cp2 ZrCl[C
H(SiMe3 2 ]、Cp2 HfCl[CH(SiMe
3 2 ]、Cp2 Ti(CH2 GeMe3 2 、Cp2
Zr(CH2 GeMe3 2 、Cp2 Hf(CH2Ge
Me3 2 、Cp2 Ti(CH2 SiEt3 2 、Cp
2 Zr(CH2 SiEt3 2 、Cp2 Hf(CH2
iEt3 2 、Cp2 Ti{CH2 Si(n-P
r)3 2 、Cp2 Zr{CH2 Si(n-Pr)3 2 、C
2 Hf{CH2 Si(n-Pr)3 2 、Cp2 Ti(C
2 SiPh3 2 、Cp2 Zr(CH2 SiPh3
2 、Cp2 Hf(CH2 SiPh3 2 、Cp2 Ti{C
2 Si(Ph)2(Me)}2 、Cp2 Zr{CH2 Si(Ph)
2 (Me)}2 、Cp2 Hf{CH2 Si(Ph)2 (M
e)}2 、Cp2 Ti(Ph)[CH(SiMe3 2 ]、
Cp2 Zr(Ph)[CH(SiMe3 2 ]、Cp2
f(Ph)[CH(SiMe3 2 ]等の錯体、及び次式
【0015】
【化4】 で表される錯体を挙げることができる。これらの触媒
は、別途に合成したものを使用しても良いが、触媒を生
成する原料を反応系中に加え、該系中で触媒を調製する
こともできる。また、これらの触媒を担体に担持させて
使用しても良い。
【0016】本発明の製造法において、脱水素縮合反応
は開放系で行っても良く、また密閉系で行っても良い。
また、反応は液相中で行うのが一般的であり、その場
合、無溶媒にて行っても良いが、一般に、ヘキサン、ト
ルエンなどの炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン(T
HF)、ジエチルエーテルなどのエーテル系溶媒等の溶
媒中で行う。ここで、アルコール系溶媒及びハロゲン化
炭化水素系溶媒は、モノマー中のSi−H基と反応する
可能性があるため、好ましくない。好ましい反応条件を
例示すると、原料モノマーの全ヒドロシリル基に対して
1.0×10-4〜100モル%、より好ましくは 1.0×10-2〜1
0モル%の上記触媒を用い、反応系を水素、窒素、アル
ゴン等の不活性なガス雰囲気下に置き、反応温度を約−
60〜300 ℃、より好ましくは約20〜180 ℃とし、反応時
間を5分間〜10日間程度、より好ましくは10分間〜48時
間程度とする。反応の際の両モノマーの比率、温度、反
応時間、触媒等を変化させて、ポリマーの分子量、繰り
返し単位、脱水素化率、架橋度を変化させることができ
る。例えば、式Iの化合物に対する式IIの化合物の比率
を低め、反応温度を低く、反応時間を短くすると、分子
量及び架橋度が低くなり、逆にその比率を高く、反応温
度を高く、反応時間を長くすると、分子量及び架橋度が
高くなる。本発明においては、式Iの化合物:式IIの化
合物のモル比を、100 :1〜5:1、特に20:1〜5:
1とすることが好ましい。式IIの化合物の比率をこの範
囲未満とすると、得られる生成物の分子量が有効に増大
せず、この範囲を越えると生成物が溶媒に不溶となるた
め、好ましくない。
【0017】本発明は特定の理論により限定されるもの
ではないが、本発明が効果を奏する理由として、式IIの
化合物が二つのH3 Siによって、二つのポリシラン鎖
同志を結合することが考えられる。すなわち、式IIの化
合物は二つのH3 Siを有するため、一方のH3 Siが
分子鎖長の短い(例えば重合度10〜20の)ポリシラン中
に取り込まれても、もう一方のH3 Siが残っており、
他のポリシラン鎖と結合し得る。このようにして式IIの
化合物一つが二つのポリシラン鎖を結合し、その結果と
して生成するポリシランの分子量が増大するのであろ
う。式Iの化合物に対する式IIの化合物のモル比が小さ
いと上記の結合が少ししか生じず、分子量はさほど増大
しない、逆に、このモル比が大きいと架橋が進み過ぎ、
生じるポリシランが不溶化するものと考えられる。
【0018】ポリシランの分子量分布を狭いものとする
ために、本発明に従い、得られたポリシランを再沈殿し
て精製するのが好ましい。再沈殿は例えば、得られたポ
リシランを良溶媒に溶解し、該溶液を貧溶媒と混合する
ことによって行うことができる。良溶媒としては、ポリ
シラン中のSi−Si結合及びSi−H結合に対して不
活性で、かつ高分子量及び低分子量のポリシランが易溶
なものを、単独で、または2種以上混合して使用するの
が好ましい。好ましい良溶媒の例として、ベンゼン、ト
ルエン、o-キシレン、m-キシレン及びエチルベンゼン等
の芳香族炭化水素、並びに、ジエチルエーテル、ジプロ
ピルエーテル、ジブチルエーテル、メチル‐t-ブチルエ
ーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシ
エタン及びジメチレングリコールジメチルエーテル等の
エーテルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
より好ましくは芳香族炭化水素を使用する。貧溶媒とし
ては、ポリシラン中のSi−Si結合及びSi−H結合
に対して不活性で、かつ低分子量(分子量約5000以下)
のポリシランは易溶だが高分子量(分子量約10,000以
上)のポリシランは難溶なものを、単独で、または2種
以上混合して使用するのが好ましい。好ましい貧溶媒の
例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタ
ン、シクロヘキサン、デカリン及び石油エーテル等の、
直鎖の、分枝の及び環式の脂肪族炭化水素、アセトン、
メチルエチルケトン及びジエチルケトン等のケトン、並
びに蟻酸メチル、蟻酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチ
ル、プロピオン酸メチル及びプロピオン酸エチル等のエ
ステルが挙げられるが、これらに限定されない。より好
ましくは、脂肪族炭化水素を使用する。あるいは、低温
では低分子量ポリシランのみが易溶であるが高温では高
分子量ポリシランをも溶解し得る一種以上の溶媒(また
は溶媒混合物)を用いて再沈殿を行っても良い。ここ
で、ハロゲン化炭化水素、アルコール、アミン、酸等の
溶媒は使用しないことが望ましい。好ましい再沈殿操作
を例示すると、ポリシランを良溶媒に溶解し、5〜90重
量%、より好ましくは30〜90重量%、特に50〜90重量%
の溶液を作る。次に、該溶液と貧溶媒とを、良溶媒:貧
溶媒の容量比が1:1〜1:1000、より好ましくは1:
10〜1:500 、特に1:20〜1:100 である比率にて混
合する。こうして析出する沈殿を上澄液から分離し、残
留溶媒を除去すると、狭い分子量分布を有する、高分子
量のポリシランを得ることができる。これとは別に、特
定の分子量以下の高分子量(分子量約10,000以上)ポリ
シランのみが易溶な溶媒を一種以上併用し、上記と同様
の操作を行うことにより、ポリシランの分子量分布をよ
り狭いものとすることができる。
【0019】このようにして得られる本発明のポリシラ
ンは、種々の用途に使用することができる。本発明のポ
リシランは、塩素を含有せず、優れた電気的特性を有す
るため、電子材料デバイス等の用途に有用である。本発
明のポリシランは、炭化ケイ素前駆体として特に適して
おり、焼成されて、優れた特性の炭化ケイ素を高収率に
て与える。
【0020】以下、本発明を実施例によりさらに説明す
るが、本発明はこれら実施例に限定されるものではな
い。
【0021】
【実施例】
【0022】
【実施例1】ニードルバルブ及び磁気撹拌子を備えた容
量 100mlの耐圧反応器に、5.0g(46mmol)のフェニルシ
ラン、0.52g (5.8mmol) の1,2-ジシリルエタン、及び34
mg(全SiH3 基に対して0.15モル%)のCp2 Zr(C
2 SiMe3 2 を仕込んだ。凍結脱気を二回行った
後、窒素雰囲気下で封管した。これを60℃の温浴で10時
間反応させ、フロリジルカラム(トルエン溶媒)を通し
て触媒を除いた後、溶媒を減圧留去すると、95%の収率
でポリシランが得られた。この生成物のGPC(ゲル・
パーミエーション・クロマトグラフィー)分析による分
子量は、ポリスチレン換算でMn =1750、Mw =26900
であった。
【0023】このポリマーをトルエン10mlに溶解し、該
溶液を 500mlのヘキサンに滴下した。上澄みを除去する
と、Mn =10200 、Mw =27500 のポリシランが収率76
%で得られた。このポリシランの 1H‐NMRスペクト
ル(C6 6 溶媒にてTMSを基準物質として測定、60
MHz)及びIRスペクトル(NaCl板として測定)
を測定した。それらのチャートを、夫々図1及び図2に
示す。
【0024】
【比較例】5.0g(46mmol)のフェニルシラン、及び34mg
(フェニルシランに対して 0.3モル%)のCp2 ZrMe
2 を用いた以外は、実施例1と同じ操作を行い、93%の
収率でポリシランを得た。得られたポリシランのGPC
分析による分子量は、ポリスチレン換算でMn =830 、
Mw =1250であった。
【0025】
【実施例2】5.0g(46mmol)のフェニルシラン、0.57g
(5.5mmol) の1,3-ジシリルプロパン、71mg(全SiH3
基に対して 0.5モル%)のCp2 TiCl2 、及び1.4Nの
n-ブチルリチウム溶液 210μl(Tiに対し2当量)を
用い、かつ、反応をTHF溶媒5ml中、室温で48時間行
った以外は、実施例1と同じ操作を行い、89%の収率で
ポリシランを得た。得られたポリシランの分子量は、M
n =1440、Mw =17600 であった。このポリシランを、
THF10ml及びヘプタン 500mlを用いて再沈殿すると、
Mn =8900、Mw =19800 のポリシランが収率69%で得
られた。
【0026】
【実施例3】5.0g(43mmol)のヘキシルシラン、0.34g
(4.5mmol) のジシリルメタン、及び96mg(全SiH3
に対して 0.2モル%)のHRh(CO)(PPh3 3 を用
い、かつ、反応をトルエン溶媒5ml中、110 ℃で48時間
行った以外は、実施例1と同じ操作を行い、82%の収率
でポリシランを得た。得られたポリシランの分子量は、
Mn =1110、Mw =12100 であった。このポリシラン
を、トルエン5ml及び酢酸エチル 300mlを用いて再沈殿
すると、Mn =5230、Mw =12600 のポリシランが収率
66%で得られた。
【0027】
【実施例4】5.0g(43mmol)のヘキシルシラン、0.68g
(5.7mmol) の1,4-ジシリルブタン、及び45mg(全SiH
3 基に対して 0.4モル%)のCp2 TiMe2 を用いた以
外は、実施例1と同じ操作を行い、91%の収率でポリシ
ランを得た。得られたポリシランの分子量は、Mn =16
20、Mw =21100 であった。このポリシランを、ベンゼ
ン10ml及びアセトン 400mlを用いて再沈殿すると、Mn
=9470、Mw =22300のポリシランが収率71%で得られ
た。
【0028】
【発明の効果】本発明に従い、重量平均分子量10,000以
上のポリシランを、高収率で、かつ簡単な操作により製
造することが可能となった。また、本発明法に従い、狭
い分子量分布を有する上記ポリシランを得ることが可能
となった。従来の脱水素縮合法では高分子量のポリシラ
ンを得ることができなかったこと、及び、ウルツ法では
反応の制御が困難で収率も低かったことに鑑み、本発明
の効果は顕著である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られたポリシランの 1H‐NMR
スペクトルのチャート。
【図2】実施例1で得られたポリシランのIRスペクト
ルのチャート。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 奥村 義治 埼玉県入間郡大井町西鶴ヶ岡一丁目3番1 号 東燃株式会社総合研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式 Ra b SiH2 (I) 〔ここで、Ra 及びRb は同じでも異なっていても良
    く、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、フェニル
    基、それらより誘導される置換アルキル基及び置換フェ
    ニル基(ここで、Ra 、Rb 上の置換基はH、O、N、
    Si及びGeを含むことができるが、Si−H結合また
    はGe−H結合を含まない炭素数1〜20の基である)、
    並びに、式R´3 Si−で表される基(ここで、三つの
    R´は同じでも異なっていても良く、炭素数1〜20のア
    ルキル基及びそれより誘導される置換アルキル基、並び
    にフェニル基及びそれより誘導される置換フェニル基か
    ら成る群より選択される)から成る群より選択される〕
    で表される化合物、及び、 式 H3 Si−Rc −SiH3 (II) 〔ここで、Rc は主鎖の炭素数が1〜6の分枝または直
    鎖の飽和または不飽和の、置換または非置換の二価の脂
    肪族基(ここで、Rc 上の置換基はH、O、N、Si及
    びGeを含むことができるが、Si−H結合またはGe
    −H結合を含まない炭素数1〜20の基である)である〕
    で表される化合物を、遷移金属錯体触媒の存在下、 10
    0:1〜5:1のモル比で脱水素縮合させることを特徴
    とする、高分子量ポリシランの製造法。
  2. 【請求項2】 良溶媒及び貧溶媒を組み合わせての再沈
    殿によってポリシランを精製する操作を含む、請求項1
    記載の製造法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010005106A1 (ja) * 2008-07-11 2010-01-14 独立行政法人科学技術振興機構 重合体の製造方法
WO2010005107A1 (ja) * 2008-07-11 2010-01-14 独立行政法人科学技術振興機構 ポリシランの製造方法
JP2012207152A (ja) * 2011-03-30 2012-10-25 Japan Science & Technology Agency ポリヒドロシランの製造方法

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