JP3636904B2 - カルボラン含有ケイ素系重合体及びその製造方法 - Google Patents

カルボラン含有ケイ素系重合体及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は耐熱性、難燃性に優れた機能性材料として有用なカルボラン含有ケイ素系重合体及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
炭素−炭素不飽和結合とヒドロシランとのヒドロシリル付加反応は非常に効率の良い反応としてよく知られており、これを利用したケイ素系重合体の合成は数多く行われている。例えば、特開平4−53874号公報及び特開平4−53875号公報には、末端をアルケニル化したケイ素系プレポリマーと2官能以上のヒドロシリル基を含有する低分子化合物との架橋反応がなされている。
しかし、これら重合体は耐熱性に関して改良の余地があった。
【0003】
一方、カルボラン含有ケイ素系重合体についてはいくつか知られており、例えば、J. Macromol. Sci. -Rev. Macromol. Chem., C17(2), 173-208 (1979) には、ポリ(ドデカカルボラン−シロキサン)について報告されている。
また、特表平8−505649号公報には、有機ホウ素ポリマーが開示されており、カルボランを導入することによりシロキサンポリマーの熱安定性が向上することが報告されている。
【0004】
しかしながら、上記有機ホウ素ポリマーはアセチレン基含有ジリチオ塩と両末端クロロ基含有カルボランシロキサンとの反応から得られるもので、モノマーのカルボラン含有ケイ素系化合物の合成に数段階を要するため、簡便な方法ではなく、分子量も増加し難いため機械強度も十分ではなかった。
また、上記従来の有機ホウ素ポリマー以外に、カルボラン含有ケイ素系重合体はほとんど知られておらず、耐熱性に優れた新規なカルボラン含有ケイ素系重合体の開発が期待されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記欠点鑑み、分子量の増加及び架橋構造の構築によって力学的強度に優れ、しかもカルボランの効果により耐熱性に優れたカルボラン含有ケイ素系重合体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ヒドロシリル基を含有するカルボラン含有ケイ素系重合体とジエチニルベンゼン誘導体とを反応させることを試みた結果、本発明に至った。
三重結合基とシリル基の反応性は高く、架橋反応が効率よく進行し、分子量が増加することが期待できる。
【0007】
請求項1記載の発明(以下、第1発明という)のカルボラン含有ケイ素系重合体の製造方法は、一般式(1)で表されるカルボランユニット及び一般式(2)で表されるシリレンユニットの繰り返し単位を持つ重合体と、一般式(3)で表されるジエチニルベンゼン誘導体とを反応させることを特徴とする。
【0008】
【化3】
Figure 0003636904
【0009】
一般式(1)中、CBp q Cは、2価のかご状のホウ素化合物であるカルボランを示し、p、qは3〜16の整数を示す。
【0010】
一般式(1)で表されるカルボラニレン基としては、例えば、ドデカカルボラニレン、デカカルボラニレン、ヘプタカルボラニレン、ヘキサカルボラニレン、ペンタカルボラニレン等が挙げられる。
【0011】
一般式(2)中、R1 はケイ素原子に結合した炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜30のアリール基を示し、一般式(3)中、R2 、R3 、R4 及びR5 は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜30のアリール基を示し、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。なお、二つのエチニレン基及び 2 〜R 5 のベンゼン環に対する位置は任意である。
【0012】
上記R1 〜R5 で示される炭化水素基の炭素数は、脂肪族の場合多くなると結合が切れやすくなり耐熱性が低下するため、芳香族の場合多くなると溶媒に対する溶解性が低下するため、上記範囲に限定される。
【0013】
上記R1 〜R5 で示されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基などが挙げられる。
【0014】
上記R1 〜R5 で示されるアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
【0015】
一般式(2)で表されるシリレンユニットとしては、例えば、メチルシリレン、エチルシリレン、プロピルシリレン、ブチルシリレン、ペンチルシリレン、ヘキシルシリレン、フェニルシリレン、トリルシリレン、キシリルシリレン、及びこれらの異性体等が挙げられる。
【0016】
一般式(3)で表されるジエチニルベンゼン誘導体としては、例えば、1,4-ジエチニルベンゼン、1,4-ジエチニルー2ーメチルベンゼン、1,4-ジエチニル-2,3-ジメチルベンゼン、1,4-ジエチニル-2,5-ジメチルベンゼン、1,4-ジエチニル-2,6-ジメチルベンゼン、1,4-ジエチニル-3,5-ジメチルベンゼン、1,4-ジエチニル-2,3,5,6-テトラメチルベンゼン、1,4-ジエチニル-2-(トリメチルシリル)ベンゼン、1,4-ジエチニル-2,3-ビス(トリメチルシリル)ベンゼン、1, 4-ジエチニル-2,5-ビス(トリメチルシリル)ベンゼン、1,4-ジエチニル-2,6-ビス(トリメチルシリル)ベンゼン、1,4-ジエチニル-2,3,5,6-テトラキス(トリメチルシリル)ベンゼン、1,3-ジエチニルベンゼン、1,3-ジエチニル-2-メチルベンゼン、1,3-ジエチニル-4-メチルベンゼン、1,3-ジエチニル-5-メチルベンゼン、1,3-ジエチニル-2,4-ジメチルベンゼン、1,3-ジエチニル-2,5-ジメチルベンゼン、1,3-ジエチニル-4,5-ジメチルベンゼン、1,3-ジエチニル-4,6-ジメチルベンゼン、1,3-ジエチニル-2,4,5,6-テトラメチルベンゼン、1,3-ジエチニル-2-(トリメチルシリル)ベンゼン、1,3-ジエチニル-4-(トリメチルシリル)ベンゼン、1,3-ジエチニル-5-(トリメチルシリル)ベンゼン、1,3-ジエチニル-2,4-ビス(トリメチルシリル)ベンゼン、1,3-ジエチニル-2,5-ビス(トリメチルシリル)ベンゼン、1,3-ジエチニル-4,5-ビス(トリメチルシリル)ベンゼン、1,3-ジエチニル-4,6-ビス(トリメチルシリル)ベンゼン、1,3-ジエチニル-2,4, 5,6-テトラキス(トリメチルシリル)ベンゼン、1,2-ジエチニルベンゼン、1,2-ジエチニル-3-メチルベンゼン、1,2-ジエチニル-4-メチルベンゼン、1,2-ジエチニル-3,4-ジメチルベンゼン、1,2-ジエチニル-3,5-ジメチルベンゼン、1,2-ジエチニル-3,6-ジメチルベンゼン、1,2-ジエチニル-4,5-ジメチルベンゼン、1,2-ジエチニル-3,4,5,6-テトラメチルベンゼン、1,2-ジエチニルベンゼン、1,2-ジエチニル-3-(トリメチルシリル)ベンゼン、1,2-ジエチニル-4-(トリメチルシリル)ベンゼン、1,2-ジエチニル-3,4-ビス(トリメチルシリル)ベンゼン、1,2-ジエチニル3,5-ビス(トリメチルシリル)ベンゼン、1,2-ジエチニル-3,6-ビス(トリメチルシリル)ベンゼン、1,2-ジエチニル-4,5- ビス(トリメチルシリル)ベンゼン、1,2-ジエチニル-3,4,5,6-テトラキス(トリメチルシリル)ベンゼン、1,4-ビス(トリメチルシリルエチニル)ベンゼン、1,4-ビス(トリメチルシリルエチニル)-2-メチルベンゼン、1,4-ビス(トリメチルシリルエチニル)-2,3-ジメチルベンゼン、1,4-ビス(トリメチルシリルエチニル)-2,5-ジメチルベンゼン、1,4-ビス(トリメチルシリルエチニル)-2,6-ジメチルベンゼン、1,4-ビス(トリメチルシリルエチニル)-3,5-ジメチルベンゼン、1,4-ビス(トリメチルシリルエチニル)-2,3,5,6-テトラメチルベンゼン、1,4-ビス(トリメチルシリルエチニル)-2-(トリメチルシリル)ベンゼン、1,4-ビス(トリメチルシリルエチニル)-2,3-ビス(トリメチルシリル)ベンゼン、1,4-ビス(トリメチルシリルエチニル)-2,5-ビス(トリメチルシリル)ベンゼン、1,4-ビス(トリメチルシリルエチニル)-2,6-ビス(トリメチルシリル)ベンゼン、1,4-ビス(トリメチルシリルエチニル)-2,3,5,6-テトラキス(トリメチルシリル)ベンゼン、1,3-ビス(トリメチルシリルエチニル)ベンゼン、1,3-ビス(トリメチルシリルエチニル)-2-メチルベンゼン、1,3-ビス(トリメチルシリルエチニル)-4-メチルベンゼン、1,3-ビス(トリメチルシリルエチニル)-5-メチルベンゼン、1,3-ビス(トリメチルシリルエチニル)-2,4-ジメチルベンゼン、1,3-ビス(トリメチルシリルエチニル)-2,5-ジメチルベンゼン、1,3-ビス(トリメチルシリルエチニル)-4,5-ジメチルベンゼン、1,3-ビス(トリメチルシリルエチニル)-4,6-ジメチルベンゼン、1,3-ビス(トリメチルシリルエチニル)-2,4,5,6-テトラメチルベンゼン、1,3-ビス(トリメチルシリルエチニル)-2-(トリメチルシリル)ベンゼン、1,3-ビス(トリメチルシリルエチニル)-4-(トリメチルシリル)ベンゼン、1,3-ビス(トリメチルシリルエチニル)-5-(トリメチルシリル)ベンゼン、1,3-ビス(トリメチルシリルエチニル)-2,4-ビス(トリメチルシリル)ベンゼン、1,3-ビス(トリメチルシリルエチニル)-2,5-ビス(トリメチルシリル)ベンゼン、1,3-ビス(トリメチルシリルエチニル)-4,5-ビス(トリメチルシリル)ベンゼン、1,3-ビス(トリメチルシリルエチニル)-4,6-ビス(トリメチルシリル)ベンゼン、1,3-ビス(トリメチルシリルエチニル)-2,4,5,6-テトラキス(トリメチルシリル)ベンゼン、1,2-ビス(トリメチルシリルエチニル)ベンゼン、1,2-ビス(トリメチルシリルエチニル)-3-メチルベンゼン、1,2-ビス(トリメチルシリルエチニル)-4-メチルベンゼン、1,2-ビス(トリメチルシリルエチニル)-3,4-ジメチルベンゼン、1,2-ビス(トリメチルシリルエチニル)-3,5-ジメチルベンゼン、1,2-ビス(トリメチルシリルエチニル)-3,6-ジメチルベンゼン、1,2-ビス(トリメチルシリルエチニル)-4,5-ジメチルベンゼン、1,2-ビス(トリメチルシリルエチニル)-3,4,5,6-テトラメチルベンゼン、1,2-ビス(トリメチルシリルエチニル)ベンゼン、1,2-ビス(トリメチルシリルエチニル)-3-(トリメチルシリル)ベンゼン、1,2-ビス(トリメチルシリルエチニル)-4-(トリメチルシリル)ベンゼン、1,2-ビス(トリメチルシリルエチニル)-3,4-ビス(トリメチルシリル)ベンゼン、1,2-ビス(トリメチルシリルエチニル)-3,5-ビス(トリメチルシリル)ベンゼン、1,2-ビス(トリメチルシリルエチニル)-3,6-ビス(トリメチルシリル)ベンゼン、1,2-ビス(トリメチルシリルエチニル)-4,5-ビス(トリメチルシリル)ベンゼン、1,2-ビス(トリメチルシリルエチニル)-3,4,5,6-テトラキス(トリメチルシリル)ベンゼン等が挙げられる。
【0017】
上記一般式(1)で表されるカルボランユニット及び一般式(2)で表されるシリレンユニットの繰り返し単位を持つ重合体(1-2) の重量平均分子量は、小さくなると後の架橋反応が進行しにくく、十分な成形性、耐熱性、力学強度が得られなくなるため500以上が好ましく、逆に大きくなるとわずかな架橋反応で分子量が大きく増加し、架橋反応後に得られる重合体の分子量の制御が困難になるため10万以下が好ましい。
【0018】
第1発明で得られるカルボラン含有ケイ素系重合体の重量平均分子量は、小さくなると十分な成形性、耐熱性、力学強度が得られなくなるため1000以上が好ましく、逆に大きくなると溶媒に対する溶解性、温度による溶融性が低下し、成形が困難になるため500万以下が好ましい。
【0019】
上記重合体(1-2) とジエチニルベンゼン誘導体(3)との反応に使用される触媒としては、例えば、塩化白金酸、ヘキサロジウムヘキサデカカルボニル、ビス(ジビニルテトラメチルジシロキサン)白金等が挙げられる。
上記触媒の使用量は、少なすぎると反応が十分進行せず、多すぎると合成後の重合体中に残存しやすくなり、耐熱性が低下するため、エチニル基1molに対して0.001〜20mol%が好ましく、より好ましくは0.01〜10mol%である。
【0020】
上記反応に使用される重合体(1-2) とジエチニルベンゼン誘導体とのモル比は、少なすぎても多すぎても得られるカルボラン含有ケイ素系重合体の分子量が増加せず、成形性、耐熱性、力学強度があまり向上しないため、重合体(1-2) :ジエチニルベンゼン誘導体(モル比)=1:0.01〜20が好ましく、より好ましくは1:0.1〜10である。
【0021】
上記反応に使用される溶媒は極性、無極性いずれでも良いが、好ましくはトルエン、テトラヒドロフランなどの非プロトン性溶媒である。
上記溶媒の使用量は、カルボラン含有ケイ素系重合体の構成単位の濃度で0.01〜50mol/L(リットル)が好ましく、より好ましくは0.05〜5mol/Lである。
【0022】
上記反応は室温から溶媒の沸点の間で行われる。また、この反応は空気中または不活性ガス雰囲気下のいずれでも行えるが、好ましくはアルゴンガスまたは窒素ガス雰囲気下である。
【0023】
上記反応の反応時間は短すぎると架橋反応が十分進行せず、逆に長くなりすぎると架橋反応が進行しすぎて溶媒に溶けなくなり、取り扱いが困難になるため、1〜72時間が好ましい。
【0024】
反応終了後、カルボラン含有ケイ素系重合体の精製方法としては、再沈殿法またはゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分取等が挙げられる。
【0025】
次に請求項2記載の発明(以下、第2発明という)について説明する。
第2発明は一般式(4)で表される構成単位を重合体中に持つカルボラン含有ケイ素系重合体であって、重量平均分子量が1000以上であることを特徴とする。
【0026】
【化4】
Figure 0003636904
【0027】
一般式(4)中、R1 はケイ素原子に結合した炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜30のアリール基を示す。一般式(4)中、R2 、R3 、R4 及びR5 は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜30のアリール基を示し、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。なお、二つのエチニレン基及び 2 〜R 5 のベンゼン環に対する位置は任意である。
【0028】
また、CBp q Cは、2価のかご状のホウ素化合物であるカルボランを示し、p、qは3〜16の整数を示す。
【0029】
1 〜R5 で表されるアルキル基、アリール基及びCBp q Cで表されるカルボラニレン基に関しては第1発明と同様である。
【0030】
第2発明のカルボラン含有ケイ素系重合体の重量平均分子量は、第1発明と同様の理由により、1000以上に制限され、500万以下が好ましい。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施例を挙げる。
【0032】
(実施例1)
<ポリ(1,7−ドデカカルボラン・メチルシリレン)の合成>
還流管及び滴下ロート付1Lの4つ口フラスコ(反応器)をアルゴン置換した後、これに1,7−ドデカカルボラン28.85g(200.0mmol)を入れ、テトラヒドロフラン500mlに溶解した。反応器をドライアイス・メタノール浴で冷却した後、n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.6mol/L)250mlを1時間かけて滴下した後、氷冷下で2時間攪拌した。
さらに、再び反応器をドライアイス・メタノール浴で冷却し、メチルジクロロシラン23.50g(204.3mmol)のテトラヒドロフラン溶液60mlを25分かけて滴下し、室温で24時間撹拌した。反応液を塩化アンモニウム飽和水溶液500mL中に投入し、数分攪拌後、テトラヒドロフラン層を分離した。水層をジエチルエーテルで3回抽出後、有機層を合わせて無水硫酸マグネシウムで乾燥した。有機溶媒を濃縮、真空乾燥し、液状のポリマーを37.27g得た。この重合体の重量平均分子量はポリスチレン換算で1,900であった。
【0033】
<架橋体の合成>
アルゴン置換した還流管付500mlの4つ口フラスコ(反応液)に前述のポリ(1,7−ドデカカルボラン・メチルシリレン)14.92g(80.1mmol)を入れ、トルエン250mlに溶解した。反応液を50℃に昇温し、0.4mmolの触媒(ビス(ジビニルテトラメチルジシロキサン)白金、[Pt(CH2=CHSi(CH3)2OSi(CH3)2CH=CH2)2])のトルエン溶液を入れ、10分撹拌した。
次いで、1,4−ジエチニルベンゼン5.05g(40.1mmol)のトルエン溶液100mlを滴下後、オイルバスの温度を120℃にし、10時間加熱還流した。反応溶液を減圧留去した後、メタノール1.7L中に投入した。
生成した沈殿を濾別し、黄白色の粉末10.7gを得た。この重合体の重量平均分子量はポリスチレン換算で86,600であった。
【0034】
実施例1の 1H−NMRスペクトル(ブルカー社製「DRX300」で測定)を図1に、IRスペクトル(バイオラッド社製「FTS135システム」で測定)を図2にそれぞれ示した。
図1で、1〜4ppmにかけてカルボランに基づくプロトンのピークがみられる。また、0〜0.8ppmにケイ素原子に結合したメチル基のプロトンのピークが、5.5〜6.5ppmには二重結合のプロトンのピークが、7〜8ppmにはフェニル基のプロトンのピークが確認される。また、図2では2600cm-1 にカルボランに起因する吸収がみられる。これらのことから実施例1は一般式(5)の構造を持つカルボラン含有ケイ素系重合体であることを確認した。
【0035】
【化5】
Figure 0003636904
【0036】
(比較例1)
還流管及び滴下ロート付300mLの4つ口フラスコ(反応器)をアルゴン置換した。これに1,7−ドデカカルボラン10.10g(70.0mmol)を入れ、テトラヒドロフラン180mlに溶解した。反応器をドライアイス・メタノール浴で冷却した後、n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.6mol/L)88mlを30分かけて滴下した後、氷冷下で2時間攪拌した。さらに、再び反応器をドライアイス・メタノール浴で冷却し、ジメチルジクロロシラン9.04g(70.1mmol)のテトラヒドロフラン溶液30mlを20分かけて滴下し、室温で24時間攪拌した。反応液を塩化アンモニウム飽和水溶液300mL中に投入し、数分攪拌後、テトラヒドロフラン層を分離した。水層をジエチルエーテルで3回抽出後、有機層を合わせて無水硫酸マグネシウムで乾燥した。
有機溶媒を濃縮後、メタノール1.2L中に投入した。沈殿を濾別し、一般式(6)で表される白色粉末のポリマーを9.38g得た。この重合体の重量平均分子量はポリスチレン換算で4,400であった。
【0037】
【化6】
Figure 0003636904
【0038】
実施例1、比較例1の重合体の熱重量分析をセイコー電子製SSC5200システムで測定した。空気雰囲気下で測定した5重量%分解温度(Td5 )は共に800℃以上となり、非常に優れた耐熱性を示した。
実施例1、比較例1の重合体の成形を行った。実施例1の重合体は330℃でプレス成形により成形体が得られたが、比較例1の重合体は溶融粘度が低く、プレス成形が不可能であった。そこでアルミニウム板を折り曲げた型でオーブン中、250℃で溶融成形を行った。
【0039】
得られた成形体の曲げ試験を島津製作所製「テンシロンUTA−500」で行い、曲げ弾性率を求めた。実施例1の成形体は曲げ弾性率2.16GPaとなり、高剛性材料であった。一方、比較例1の成形体は非常に脆く、曲げ弾性率算出可能な変位に達する前に破断した。これらの結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
Figure 0003636904
【0041】
表1からわかるように実施例1のカルボラン含有ケイ素系重合体は成形性、耐熱性、力学強度に非常に優れた材料であることがわかる。
【0042】
【発明の効果】
本発明のカルボラン含有ケイ素系重合体及びその製造方法は、上述の通りであり、得られたカルボラン含有ケイ素系重合体は、耐熱性、力学強度に優れており、宇宙・航空材料、建築材料などに好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の重合体の 1H−NMRスペクトルである。
【図2】実施例1の重合体のIRスペクトルである。

Claims (2)

  1. 一般式(1)で表されるカルボランユニット及び一般式(2)で表されるシリレンユニットの繰り返し単位を持つ重合体と、一般式(3)で表されるジエチニルベンゼン誘導体とを反応させることを特徴とするカルボラン含有ケイ素系重合体の製造方法
    Figure 0003636904
    〔式(1)中、CBp q Cは、2価のかご状のホウ素化合物であるカルボランを示し、p、qは3〜16の整数を示す。
    式(2)中、R1 はケイ素原子に結合した炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜30のアリール基を示す。
    式(3)中、R2 、R3 、R4 及びR5 は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜30のアリール基を示し、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。なお、二つのエチニレン基及び 2 〜R 5 のベンゼン環に対する位置は任意である〕
  2. 一般式(4)で表される構成単位を重合体中に持ち、重量平均分子量が1000以上であることを特徴とするカルボラン含有ケイ素系重合体。
    Figure 0003636904
    〔式中、R1 はケイ素原子に結合した炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜30のアリール基を示す。式中、R2 、R3 、R4 及びR5 は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜30のアリール基を示し、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。なお、二つのエチニレン基及び 2 〜R 5 のベンゼン環に対する位置は任意である。また、CBp q Cは、2価のかご状のホウ素化合物であるカルボランを示し、p、qは3〜16の整数を示す〕
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