JPH0621749Y2 - パイプスライド式シャープペンシル - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、パイプスライド式のシャープペンシルに関す
るものである。

〔従来技術とその問題点〕

シャープペンシルは、先口から突出する鉛筆芯を保護す
るために、先口にガイドパイプが取り付けられ、ガイド
パイプの先端から鉛筆芯を僅かに突出させて筆記する。
このため、少し筆記するとガイドパイプの先端から突出
した鉛筆芯が消耗して筆記不能になり、頻繁にノック操
作を行って鉛筆心を繰出させなければならない。そこ
で、ガイドパイプの先口の先端開口に摺動自在に配置
し、鉛筆芯が消耗してガイドパイプの先端が筆記面に接
触するとガイドパイプが後退し、そのまま筆記を続行で
きるパイプスライド式のシャープペンシルが実用化され
ている。

ノック式シャープペンシルは、ノック操作を行ってガイ
ドパイプの先端から鉛筆芯が繰出するとノック操作を解
除するが、これによって円周方向に拡開したチャックが
後退し、チャックリングがチャックの外周に係合してチ
ャックを締め付け、鉛筆芯を咬持する。そして、前進位
置のチャックが円周方向に拡開して鉛筆芯を解放してい
るときは、鉛筆芯は、先口に取り付けられたブレーカー
によって保持されており、鉛筆芯がガイドパイプから抜
け落ちたり、芯ケース内に逆戻りすることがないように
なっている。ここで、チャックが円周方向に拡開してい
るときでも、チャックの内周面と鉛筆芯とのクリアラン
スは極く僅かであり、チャックが後退するときに鉛筆芯
の表面に摺動して鉛筆芯を引き戻そうとするするが、こ
の摺動抵抗による駆動力よりもブレーカーの保持力の方
が大きいので、鉛筆芯は移動しない。

ところで、パイプスライド式のシャープペンシルでは、
ブレーカーはガイドパイプに取り付けられることが多
く、この場合は、チャックが後退するときに鉛筆芯を引
き戻す力が働くと、ブレーカーが鉛筆芯を保持している
ので、ブレーカーが取り付けられたスライド式のガイド
パイプも一緒に後退してしまう。また、先口を上向きに
してノック操作を行うと鉛筆芯の自重によってガイドパ
イプも一緒に後退してしまう。つまり、ガイドパイプが
先口内に投入していまい、この投入したガイドパイプを
先口から突出させるとともに鉛筆芯をガイドパイプの先
端から繰出させるのに数回のノック操作を必要とし、鉛
筆芯の繰出が非常に煩雑になる不具合がある。このた
め、ガイドパイプと先口との摺動抵抗を大きくすると、
ガイドパイプの先端が筆記面に接触してもガイドパイプ
が後退しにくくなり、本来のパイプスライド機能が阻害
されてしまう。

〔考案の目的〕

そこで本考案は、簡単な構造で、パイプスライド機能が
阻害されることがなくてノック操作時のガイドパイプの
後退を防止でき、鉛筆芯の繰出が容易なパイプスライド
式シャープペンシルを提供することを目的とする。

〔考案の構成とその作用〕

本考案の構成は、鉛筆芯が挿通される合成樹脂製のガイ
ドパイプが先口の先端開口に摺動自在に配置され、ガイ
ドパイプの先端が筆記面に接触すると当該ガイドパイプ
が後退するパイプスライド式シャープペンシルにおい
て、先口内面に、角度がモールステーパ角度よりも僅か
に小さなテーパー状保持面が形成され、ノック操作によ
ってブレーカー機能を有するガイドパイプが鉛筆芯とと
もに前進したときに、ガイドパイプの後端に形成された
大径の基端部の隅角縁がテーパー状保持面に喰い付いて
弱く保持されることを特徴とするものである。

かかるにパイプスライド式シャープペンシルおいて、先
口内面に所定角度のテーパー状保持面が形成されている
ので、ノック操作によってブレーカー機能を有するガイ
ドパイプが鉛筆芯とともに前進したときに、合成樹脂製
のガイドパイプの後端に形成された基端部の隅角縁がテ
ーパー状保持面に喰い付く。つまり、先口とガイドパイ
プがテーパー嵌合するので、テーパー角度を適宜選定す
ることによって保持力を調整でき、この保持力をチャッ
クの鉛筆芯を引き戻す力に僅かに打ち勝つようにすると
ノック操作時にガイドパイプが後退するのを防止でき
る。そして、先口とガイドパイプが弱い保持力によるテ
ーパー嵌合であるので、ガイドパイプの先端が筆記面に
接触すると、テーパー嵌合で解除され、ガイドパイプは
自由に後退するので、パイプスライド機構が阻害される
ことがない。

〔実施例〕

以下に図面に示す実施例に基いて本考案を具体的に説明
する。

第５図は、スライド式のシャープペンシルを示すが、軸
筒１は、先口と一体型に合成樹脂で射出成形され、先口
部分である先端がテーパー状である。この軸筒１の内周
面には、連結筒７を係止するための係合突起11が形成さ
れ、その前方には、チャックリング６が当接してチャッ
ク５との係合が外れる内段12が形成されている。内段12
の前方が、チャック５が前後動するストレート部13であ
り、その前にテーパー部14が続いている。そして、スト
レート部13とテーパー部14の境界部には、第１図および
第２図に示すように、所定のテーパー角度を有する４個
のテーパー状保持面15が形成されている。もっともテー
パー状保持面15は４個に限られるものではなく、例えば
円環状であってもよい。軸筒１内に収容された芯ケース
３の先端には鉛筆芯４を咬持するチャック５が連結され
ている。そして、チャックリング６の受けの役目をする
連結筒７が軸筒１に固定されている。この連結筒７は、
軸筒１の後端開口から挿入すると、軸筒１の係合突起11
が連結筒７の凹部71に係止して固定されるようになって
いる。この連結筒７と芯ケース３との間にはスプリング
８が介装され、このスプリング８によってチャック５が
後方に弾発されており、非ノック時はチャックリング６
がチャック５を締め付けて鉛筆芯４を咬持する。そし
て、芯ケース３の後端にはノックカバー９が嵌着され、
軸筒１の後端開口から突出している。

軸筒１の先端開口にはガイドパイプ２が摺動自由に配置
されている。このガイドパイプ２は、弾性に富んだ合成
樹脂で成形されたものであり、第３図に示すように、後
端に形成された基端部24は大径で、その外周はストレー
ト外周面25とテーパー外周面26からなり、ストレート外
周面25の外径は軸筒１のストレート部13の内径にほぼ等
しく、テーパー外周面26のテーパー角度はテーパー部14
のテーパー角度に等しくなっている。そして、ストレー
ト外周面25とテーパー外周面26の境界が隅角縁27であ
る。ここで、テーパー外周面26およびテーパー部14のテ
ーパー角度は、テーパー嵌合したときに嵌合力が生じる
限界角度であるモールステーパー角度よりも大きく、テ
ーパー外周面26がテーパー部14に接触した時に嵌合力が
生じないが、軸筒１のテーパー状保持面15のテーパー角
度はモールステーパー角度よりも僅かに小さく、ガイド
パイプ２が前進して隅角縁27がテーパー状保持面15に接
触して少し押し込まれると合成樹脂からなる隅角縁27が
テーパー状保持面15に喰い付き、弱く保持されるように
なっている。

また、基端部24の近傍であって、軸筒１の内部に位置す
る部分の内面には、２個の突起21が対向して形成されて
いる。これらの突起21の頂点を結ぶ仮想内接円は使用さ
れる鉛筆芯４の直接よりもやゝ小さくなっている。そし
て、第４図に示すように、突起21間には縦方向に所定長
さの切り割り22が穿設されており、この部分がたわみ部
23である。つまり、基端部24は切り割られていない円周
状であり、たわみ部23は、両端が円周で保持されてい
る。従って、鉛筆芯４がガイドパイプ２内に挿通される
と、たわみ部23が膨らむように弾性変形し、その弾発力
で突起21が鉛筆芯４を保持するが、基端部24は拡開しな
い。すなわち、ガイドパイプ２は、その中間部にブレー
カーの機能を有する。

しかして、ノックカバー９を押圧してノック操作を行う
と、鉛筆芯４を咬持したチャック５が前進し、従って、
ガイドパイプ２も前進して隅角縁27がテーパー状保持面
15に押し付けられて喰い付いた状態になり、弱い保持力
のテーパー嵌合になる。そして、チャック５が更に前進
してチャックリング６が軸筒１の内段12に当接し、チャ
ック５との係合が外れるので、鉛筆芯４が開放される
が、拡開したチャック５は更に前進する。次に、ノック
操作を解除すると、チャック５が拡開した状態で後退す
るが、このとき、チャック５の内周面が鉛筆芯４に接触
して摺動抵抗が生じ、鉛筆芯４を引き戻そうとする。し
かし、ブレーカー機能を有して鉛筆芯４を保持している
ガイドパイプ２が軸筒１の先口部分に弱い保持力でテー
パー嵌合しているので、チャック５のみが後退し、チャ
ックリング６が再び係合して締め付け、鉛筆芯４が咬持
される。このときに、ガイドパイプ２の先端から鉛筆芯
４が突出しておれば筆記可能になるが、もし突出量が不
足したり、突出していなければ再びノック操作を行えば
よく、このときはガイドパイプ２はパイプ固定式と同様
に最前位置にあるので、鉛筆芯４は確実に繰出して筆記
可能になる。

次に、筆記を続行して鉛筆芯４が消耗し、ガイドパイプ
２の先端が筆記面に接触すると、軸筒１の先口部分とガ
イドパイプ２が弱い保持力によるテーパー嵌合であるの
で、テーパー嵌合が直ちに解除され、ガイドパイプ２は
自由に後退できる。従って、パイプスライド機能が阻害
されることがなく、筆記を続行することができる。

〔考案の効果〕

以上説明したように、本考案のパイプスライド式シャー
プペンシルは、ガイドパイプが鉛筆芯とともに前進した
ときに、ガイドパイプの後端に形成された大径の基端部
の隅角縁がテーパー状保持面に喰い付いて弱く保持され
るようにしたので、簡単な構造で、パイプスライド機能
が阻害されることがなくてノック操作時のガイドパイプ
の後退を防止でき、鉛筆芯の繰出が容易なパイプスライ
ド式シャープペンシルとすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は軸筒の要部断面図、第２図は第１図のII−II線
での断面図、第３図はガイドパイプの断面図、第４図は
第３図のIV−IV線での断面図、第５図はパイプスライド
式シャープペンシルの説明図である。 １…軸筒、15…テーパー状保持面 ２…ガイドパイプ、24…基端部 27…隅角縁、３…芯ケース ４…鉛筆芯、５…チャック ６…チャックリング

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】鉛筆芯が挿通される合成樹脂製のガイドパ
   イプが先口の先端開口に摺動自在に配置され、ガイドパ
   イプの先端が筆記面に接触すると当該ガイドパイプが後
   退するパイプスライド式シャープペンシルにおいて、 前記先口内面に、角度がモールステーパー角度よりも僅
   かに小さなテーパー状保持面が形成され、ノック操作に
   よってブレーカー機能を有するガイドパイプが鉛筆芯と
   ともに前進したときに、ガイドパイプの後端に形成され
   た大径の基端部の隅角縁が該テーパー状保持面に喰い付
   いて弱く保持されることを特徴とするパイプスライド式
   シャープペンシル。