JP5957829B2 - シャープペンシル - Google Patents
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Description
更に、前記先部材3の内径部には戻り止め4が軽い圧入で固定されており、その戻り止め4の圧入部よりも後方には、チャック体5及びチャックリング6が配置されている。図3の参照符号3cは、先部材3の内径部に形成された段部であり、この段部はチャックリングが当接する当接部となっている。チャックリングの当接部(段部)3cを先部材3の内径部に形成することにより、全長の長い前軸筒(筒状部材)1の内径部にチャックリングの当接部(段部)を形成する場合に比べ、段部を形成した位置の寸法確認が容易になっている。このため、品質確認が早く正確に行えるようになり安定した生産を実施することができる。
本例は、前記先部材3と中軸セット7の中子8とを当接させたので、それら先部材3と中軸セット7とからなるシャープペンシルユニット9の外径が先部材3の外径に左右されない。即ち、先部材3の外径を、中軸セット7の外径より太くすることも細くすることも出来る。このように、先部材3の外径を任意の大きさに設定することが出来るため、前軸筒(筒状部材)1の内部におけるシャープペンシルユニット9や前軸筒(筒状部材)1の外径の調整が可能となり、従来よりもシャープペンシルのデザインの幅を広げることができる。
また、前記先部材3と中子8とを本構成にすることで、従来技術のような中子の外周部に先部材が配置されている構成や、中子に対して先部材が螺合によって固定されている構成に比べて、先部材3の大きさが小さくなり、部品のコストダウンにもなる。
また、本例においては、先部材3のガイドリブ3bを、チャックリング6が摺動する領域(チャックリング摺動領域)Xの外周部に設けている(図3)。このため、先部材3内部のチャックリング摺動領域の軸芯と前軸筒1の軸芯を容易に合わせることができる。また、筆記時に外力がかかった際にもガイドリブ3bにより先部材3のガタを防止することができチャックリング6及びチャック体5への影響を無くすことができる。即ち、先部材3が前軸筒(筒状部材)1の軸線方向からずれてしまい、即ち、先部材3が軸筒1の軸芯(センター)からずれてしまい、チャックリング6が先部材3の内部に接触し擦れて、チャック体5及びチャックリング6の摺動が規制されてしまうことによる、芯の出の悪さや芯折れを防ぐことが出来る。
そして、本例では、ガイドリブ3aを前軸筒(筒状部材)1に圧入し、ガイドリブ3bを前軸筒(筒状部材)1に軽く接触させる構成とした。即ち、ガイドリブ3aの圧入力よりもガイドリブ3bの圧入力を小さくすることによって、前記ガイドリブ3aで先部材3を前軸筒(筒状部材)1に確実に固定すると共に、前記ガイドリブ3bが圧入力を受けることによる先部材3への影響を極力少なくしているのである。このようにすることにより、ガイドリブ3bの内方に配置されているチャックリング6の摺動が良好に保たれる。
なお、本例においては、ガイドリブ3aとガイドリブ3bの圧入力を上述のように差をつけたが、これに限らず、ガイドリブ3a及びガイドリブ3bの圧入力を共に同程度としても良いし、また、本例とは逆にガイドリブ3aの圧入力をガイドリブ3bの圧入力よりも小さくしても良い。先部材3が硬質な材質からなる場合には、多少の圧入力を受けても、先部材3が変形しにくいため、ガイドリブ3bの圧入力を高くした場合にも、チャックリング6の摺動が良好に保たれる。
なお、本例においては、前軸筒(筒状部材)1の先端開口部とその内方に位置している先部材3とは、挿入状態となっており、非圧入状態となっている。即ち、先部材3は、中間部に形成したガイドリブ3aによって、前軸筒(筒状部材)1に圧入固定されている。前軸筒(筒状部材)1の先端開口部とその内方に位置している先部材3とを非圧入状態にすることによって、前軸筒(筒状部材)1の先端の割れを防いでいるのである。後述しているように、前軸筒(筒状部材)1の前方部は、一般的に軸筒先端から後方にかけてその外径が大きく形成されるため、前軸筒(筒状部材)1の先端外径は細く、また、肉厚が薄い。この様な状況下において、先部材3を前軸筒(筒状部材)1の先端開口部に圧入してしまうと前軸筒(筒状部材)1の先端開口部付近は割れてしまう可能性がある。本例においては、そのように前軸筒(筒状部材)1の先端開口部が割れてしまうことがない。
本例では、前述したように先部材3のガイドリブ3a及び3bを、前記前軸筒(筒状部材)1のリブ部1dに対して、接触又は圧入している。このように構成することにより、先部材3を前軸筒(筒状部材)1に対して圧入する際に、先部材3のガイドリブ3a若しくは3b、又は前軸筒(筒状部材)1のリブ部1dが変形し、先部材3及び前軸筒(筒状部材)1にかかる負荷が小さくなる。
更に、先部材3を前軸筒(筒状部材)1に対して圧入する際には、先部材3のガイドリブ3a並びに3bと前軸筒(筒状部材)1のリブ部1dが接触し、一方の部材のリブが削れ、削りカスが発生してしまうことが考えられる。しかしながら、その場合においても、本例のような構成では、前軸筒(筒状部材)1の長手方向に長いリブ部1d同士の間に、前記削りカスが入り込むことで、圧入力が高くなることを抑えることが出来、良好に先部材3を前軸筒(筒状部材)1に固定することができる。
なお、前軸筒(筒状部材)1の前方部は、筆記部分が見やすいようにといった配慮や、外観(デザイン)上の理由などにより、一般的に軸筒先端から後方にかけてその外径が大きくなる。このため、軸筒の後方に行くに従い、軸筒の肉厚が厚くなり、軸筒が樹脂成形品の場合には、その成形時にヒケてしまう可能性がある。しかしながら、本例のように、軸筒内部の肉厚部をリブ部1dとすることにより、ヒケ防止にもなる。
一方で、強い力をかけないと先部材3を前軸筒(筒状部材)1から取り外せないようにしても良い。その場合には、高い筆圧で筆記しても、先部材3が前軸筒(筒状部材)1に対して万が一にもガタつく恐れがなくなり、安定した書き易さを得られる。また、この場合には、先部材3を紛失する恐れもない。
なお、本例のシャープペンシルは、後述するように中軸セット7の一部である芯タンク13の後方に消しゴム受け16が嵌め込まれており、その消しゴム受け16に設けられている鍔部16aが後軸筒(筒状部材)2の内面段部2bと当接する構成となっている。このため、中軸セット7を取り外すために、後軸筒(筒状部材)2を前軸筒(筒状部材)1から外すと、その後軸筒(筒状部材)2と一体となって、中軸セット7も取り外すことが出来る。各部材がバラけないため、紛失の恐れが少ない構造となっているのである。
この他、本例のシャープペンシルを組み立てる際は、取り外す場合とは逆に、まず、先部材3を前軸筒(筒状部材)1の後端から挿入した後に、中軸セット7を同様に前軸筒(筒状部材)1に挿入する。そして、後述のスプリング11、パイプ部材(筒状部材)12を順に挿入した後、後軸筒(筒状部材)2を前軸筒(筒状部材)1に螺合する。この時、後軸筒(筒状部材)2を前軸筒(筒状部材)1に螺合する力で、パイプ部材(筒状部材)12、スプリング11、中軸セット7、そして、先部材3が前軸筒(筒状部材)1の前方へ押圧され、螺合の完了とともに、シャープペンシルの組み立てが完了する。
前記中継ぎ部材14の前方には中子8が配置され、前記中子8の前方には芯10の把時・開放を行うチャック体5が位置している。そして、前記チャック体5は前記中継ぎ部材14に圧入固定されており、前記チャック体5の前方外周には前記チャック体5の開閉を行うチャックリング6が囲繞している。符号15は、前記チャック体5や芯タンク10を後方に向けて付勢するコイルスプリングなどの弾撥部材である。
また、前記芯タンク13の後方には、消しゴム受け16が嵌め込まれており、前記消しゴム受け16の後方内部には、消しゴム17が着脱自在に取り付けられている。更に後方にノック18が前記消しゴム17を内包するように前記消しゴム受け16と着脱自在に嵌め込まれている。前記ノック18を下方に向けて押圧する、繰り出し操作によって、芯10の繰り出しがなされるのである。なお、後軸筒(筒状部材)2には、クリップ19が一体に形成されている。
組み立て時には前記パイプ部材(筒状部材)12の前端面12cと前記スプリング11の後端面11aが当接・圧接し、且つ、前記パイプ部材(筒状部材)12の後端面12dのリブ部12aと前記後軸筒(筒状部材)2の端面2aが当接・圧接されている。
図9は、前記パイプ部材(筒状部材)12の後端面12dのリブ部12aに対して圧接する前記後軸筒(筒状部材)2の端面2aの当接の仕方を二点鎖線で表したものである。二点鎖線で囲まれた領域が前記後軸筒(筒状部材)2の端面2aに相当する。本例においては、後軸筒(筒状部材)2の端面2aに対して、リブ部12aの65%程度を接触させている。この接触割合は逆転していても良く、リブ部12aを本例よりも大きく形成し、リブ部12aに対して、後軸筒(筒状部材)2の端面2aの65%程度を接触させても良い(図10)。また、この接触割合は、65%に限定されるものではなく、圧接させる力の値や他に組み合わせる部品との兼ね合いにより、適宜選択することが出来る。
一方で、前記パイプ部材(筒状部材)12の全長を、図12のように、軸筒のリブ部1eの中間付近から後軸筒(筒状部材)2の端面2aとの間の長さとしてもよい。この場合には、前記パイプ部材12のリブ部12aは、前記前軸筒(筒状部材)1に形成されたリブ部1eと前記リブ部1eの間に配置されている(図13)。これにより、前記パイプ部材12は前記前軸筒(筒状部材)1に対して回転しないようになっている。このため、後軸筒(筒状部材)2を前軸筒(筒状部材)1に対して螺合する際に、パイプ部材(筒状部材)12の前方に位置するスプリング11や、そのスプリングと当接している中子8、そして、中子8と当接している先部材3や弾撥部材15に対して回転方向の力がかかることがない。その結果、パイプ部材(筒状部材)12とスプリング11や、スプリング11と中子8、中子8と先部材3又は弾撥部材15の各当接箇所において擦れによる摩耗が発生することもない。
なお、図14は、スプリング11、一例として密着スプリング20の中子8側端面に端面研削部20aを施した例である。端面研削は、主として、圧縮コイルばねの端面を研削する加工で、軸線方向に対する直角度合い(直角度)を良くすることにより荷重の偏心、座屈などを防ぐことを目的に行われる。スプリング11(20)には、図14のように端面研削部20aを設けても良い。この端面研削部20aを形成したスプリング11(20)を本実施例のシャープペンシルに用いた場合には、スプリング11(20)が、軸芯からズレなくなり、それにより中子8も軸芯に対するズレを防止でき、芯折れをより確実に防止することが出来る。
つまり、筆記時や芯の繰り出し操作時などにおいて、筆記体を軸筒本体の軸線方向へ押圧した場合、前記パイプ部12bはスリットや溝などないため、軸線方向に対する鉛直方向への変形が極力防止され、パイプ部12bがほぼ直線状態を維持し、前記リブ部12aに均等に荷重がかかる。
第1に、前記パイプ部材(筒状部材)12のリブ部12aの肉厚T1を、パイプ部12bの肉厚T2よりも薄くする手段がある。
第2に、前記パイプ部材(筒状部材)12のリブ部12aの横断面積を、パイプ部12bの横断面積よりも少なくする手段がある。
第3に、前記パイプ部材(筒状部材)12のリブ部12aの硬度を、パイプ部12bの硬度よりも低くし、それらを2色成形、或いは、多重成形などによって成形する手段がある。或いは、リブ部12aとパイプ部12bとを別部材で構成し、それらを接着などの手段によって固定する手段もある。
また、第1実施例ではリブ部12aはパイプ部12bの外周面(径方向)の等間隔な位置に4箇所形成されているが、その数は適宜選択可能である。このようにパイプ部の径方向の等間隔な位置にリブ部を形成することにより、リブ部が圧接力を均等に受けることが出来る。
更に、第1実施例においては、前軸筒(筒状部材)1の1次成形軸1aと後軸筒(筒状部材)2及び、クリップ19は硬質な材料のポリカーボネート(PC)樹脂、パイプ部材(筒状部材)12はポリプロピレン(PP)樹脂で成形しているが、パイプ部材はポリエチレン(PE)樹脂などでも良く、軸筒とクリップの材料より硬度が低ければ良く、それらを組み合わせるなど適宜選択可能である。一方で、透明な樹脂を使用した軸を用いた場合、外観を向上させる目的としてパイプ部材(筒状部材)12を着色しても良く、また単色のものに限らず、部位によって色を変えたものであっても、模様をつけたものであっても良い。勿論、色を付けない通常のパイプ部材(筒状部材)12でも良い。
なお、図21〜図26は、中子8付近の縦断面斜視図であるが、中子8のみ縦断面にせず外観図で図示している。また、各図とも、左斜め下側がシャープペンシルの前方(先部材3側)であり、右斜め上側がシャープペンシルの後方(ノック18側)である。
また、特に図示は省略するが、中子8の先部材3側の外周にも、前軸筒1の内径より若干小径の全周リブ、或いは、複数個の突部が形成されていれば、更に軸芯に対するズレを防止することができ、芯折れを更に確実に防止することが出来る。
なお、本第1実施例においては、中子8とその内部に配置されている中継ぎ部材14との間にはクリアランスがあり、芯の繰り出し操作時に中軸セット7が摺動しやすいようになっている。このため、中子8を除く中軸セット7は、軸芯から僅かにズレ、中継ぎ部材14に圧入固定されているチャック体5も撓んでしまうことも有り得る。しかしながら、仮に中子8が軸芯からずれてしまった場合と比較し、中子8は軸芯からずれずに、中子8より軸芯に近い位置にある中継ぎ部材14やチャック体5等が撓んだ場合の撓み方は、芯タンク13、中継ぎ部材14、そして、チャック体5が一体となって撓むので緩やかである。このように撓み方が緩やかな場合には、芯折れする恐れがなく、良好に筆記を行うことができる。
図22は、全周突部8cの代わりに、複数個の突部(膨出部)8dを中子8に形成した例である(中子8の第2変形例)。突部(膨出部)8dの外接円径は、前軸筒1のリブ部1eの内接円径よりも若干小径となっているため、本変形例においても、中子8と、前軸筒1のリブ部1eの内接円径との隙間にスプリング11(20)が入り込まないようにすることが出来る。よって、中子8の軸芯に対するズレを防止することにより、芯折れをより確実に防止することが出来る。そして、良好な筆記や芯の繰り出しが出来る。本変形例のように、複数個の突部8dとした場合には、前軸筒(筒状部材)1のリブ部1eの内接円径との接触面積が、図21のような全周突部(膨出部)8cと比較して減るので、組立ての際、或いは、芯折れ時の分解の際、中子8と前軸筒(筒状部材)1のリブ部1eとが接してしまった場合の抵抗が減り、中軸セット7の出し入れがよりスムーズになる。
図23は、中子8の後端面8bにスプリング11(20)のガイド部8eを形成した例である(中子8の第3変形例)。ガイド部8eの外径は、スプリング11(20)の内径と略同一としている。スプリング11(20)が、軸芯からズレないようにガイド部8eがガイドすることにより、中子8も軸芯に対するズレを防止できる。よって、芯折れをより確実に防止することが出来る。そして、良好な筆記や芯の繰り出しが出来る。なお、本変形例は、図21、或いは、図22の変形例と併用しても良く、併用した場合には、更なる芯折れ防止の効果が得られる。
図24は、中子8の後端側に全周突部(膨出部)8gを形成し、切り欠き部8fを設けた例である(中子8の第4変形例)。図示では、切り欠き部8fは2箇所設けているが、その数は1箇所以上あれば良く、切り欠き幅や長手方向の長さは切り欠きによる弾力が得られるように適宜設定すれば良い。本変形例の突部(膨出部)8gの外径は、前軸筒1のリブ部1eの内接円径と比較し、略同一、或いは、若干大径となっている。しかし、切り欠き部8fにより弾力が得られるので、本第1実施例と同様、若干、抵抗はあるが取り外しが可能となっている。この様な構成により、中子8と、前軸筒1のリブ部1eの内接円径との間に隙間はなくなるので、スプリング11(20)が軸芯からズレて曲がっても、中子8の軸芯に対するズレは防止され、芯折れをより確実に防止することが出来る。そして、良好な筆記や芯の繰り出しが出来る。
図26は、図25の変形例のリング部材(膨出部)22の後端にガイド部22aを形成した例である(中子8の第6変形例)。リング部材(膨出部)22の本体部の外径は、中子8の外径より大径であると共に、前軸筒1のリブ部1eの内接円径よりも若干小径となっている。ガイド部22aの外径は、スプリング11(20)の内径と略同一としている。中子8と、前軸筒1のリブ部1eの内接円径との隙間を、リング部材22により極力狭くしたので、スプリング11(20)が、軸芯からズレないようにガイドされる。よって、中子8の軸芯に対するズレを防止することにより、芯折れをより確実に防止することが出来る。そして、良好な筆記や芯の繰り出しが出来る。
中子8の第5変形例(図25)、及び、第6変形例(図26)のようにリング部材(膨出部)22と中子8とを別体で設けた構成は、中子8の後端面に識別標識を設けた場合に有用である。以下、詳述する。例えば、本実施例に記載のシャープペンシルなど、製品に用いる各部材は、良品・不良品の確認や抽出ができるように識別標識を形成することがある。この時、中子8が射出成形部品であった場合、金型の構造上、後端面8bに識別標識を形成する場合がある。一方で、金属製のスプリング11(20)を用いた場合、その加工精度により、スプリング線材の切断面にバリが発生する可能性がある。このようなスプリング11(20)と中子8とを直接当接させる構成とした場合には、前記中子8の後端面に設けた識別標識を傷つけてしまう恐れがある。しかしながら、リング部材22を中子8と別体で設け、スプリング11(20)と中子8との間にリング部材(膨出部)22を設けた場合には、万が一、スプリング線材の切断面にバリが発生していたとしても、その懸念は解消される。
なお、中子8の第2変形例から第6変形例までで示した中子8の変形例のいずれの場合にも、中子8の先部材3側の外周にも、前軸筒1の内径より若干小径の全周リブ、或いは、複数個の突部が形成されていれば、更に中子8の軸芯に対するズレを防止することができ、芯折れを更に確実に防止することが出来る(図示せず)。
本例のシャープペンシルにおいても、軸筒は前軸筒(筒状部材)1と後軸筒(筒状部材)2から構成されており、その内部には、前軸筒1に固定され、内部に戻り止め4が配置された先部材3と、中子8を有する中軸セット7とからなるシャープペンシルユニット9が配置されている。なお、前記前軸筒1と後軸筒2とは、ネジ螺合されており、そのネジ螺合部は、シャープペンシル全体の中間部に位置している。
更に、前記先部材3の内径部には戻り止め4が軽い圧入で固定されており、その戻り止め4の圧入部よりも後方には、チャック体5及びチャックリング6が配置されている。図29の参照符号3gは、先部材3の内径部に形成された段部であり、この段部3gはチャックリング6の前端部が当接する当接部となっている。チャックリング6の当接部(段部)3gを先部材3の内径部に形成することにより、全長の長い前軸筒(筒状部材)1の内径部にチャックリングの当接部(段部)を形成する場合に比較し、段部を形成した位置の寸法確認が容易になっている。このため、品質確認が早く正確に行えるようになり安定した生産を実施することができる。
ここで、本例の先部材3においては、前記ガイドリブ3fの後方に大径部(外径大径部)3hが形成されており、その外径大径部3hの内径部も、その前方部より大径に形成されている(内径大径部3i)。この内径大径部3iの前端部に、前記チャックリングの当接部(段部)3gは形成されている。後述するが、チャックリング6はその前方部に前鍔部6aを有しており、この前鍔部6aが、前記先部材3の内径大径部3i内に位置している。
なお、先部材3の軸線方向での位置決めは、前記ガイドリブ3eの前方に形成されている先部材3の外段部3jが、前軸筒1の前方に形成された内段部1gに当接することにより、なされている。
このように、本例においても、前記先部材3と中軸セット7の中子8とを当接させたので、それら先部材3と中軸セット7とからなるシャープペンシルユニット9の外径が先部材3の外径に左右されない。即ち、先部材3の外径を、中軸セット7の外径より太くすることも細くすることも出来る。このように、先部材3の外径を任意の大きさに設定することが出来るため、前軸筒(筒状部材)1の内部におけるシャープペンシルユニット9や前軸筒(筒状部材)1の外径の調整が可能となり、従来よりもシャープペンシルのデザインの幅を広げることが出来る。
更には、本例においては、チャックリング6の後方部が前記中軸セット7の中子8内に位置しているため、中軸セット7の中子8からのチャック体5及びチャックリング6の突出割合が、第1実施例に比較して少なく、チャック体5及びチャックリング6の中軸セット7に対する安定感が増したものとなっている。このため、前記中軸セット7を前軸筒(筒状部材)1、ひいては、その前軸筒1の前方内部に固定された先部材3に挿入する際に、チャック体5やチャックリング6が、軸筒の内壁や先部材3の後端部に当接するなどして挿入の邪魔になることがなく、中軸セット7の無理な挿入防止や組み立て時間の短縮を図ることができる。また、同時に、万が一、中軸セット7を落下させてしまったとしても、チャック体5が曲がってしまったり、折れてしまったりする恐れがより低いものとなっている。
まず、前記中軸セット7の軸筒への固定方法について、説明する。本例においても、第1実施例同様に、中軸セット7を先部材3と後軸筒2とで狭持している。詳述すると、中軸セット7の前方部は、前述の先部材3と中子8との当接により、位置決めされている。そして、シャープペンシルユニットの後方部は、後軸筒2内に形成された内面段部2cにより、位置決めされている。中軸セット7の後方を後軸筒2内に挿入した状態で、前軸筒1を後軸筒2にネジ螺合させていくと、前記中子8が完全に狭持された時点で前記ネジ螺合が完了し、中子8が軸筒に対して固定される。結果として、中軸セット7が軸筒に対して固定される。
ここで、本例においては、前軸筒1のネジ部(雌ネジ部)1hの前方に形成された段部1iから、前軸筒1の前方に形成した環状凸部1jの後方の間にグリップ部1kを形成しており、このグリップ部1kの外周面にエラストマーからなるグリップ23を装着している。そして、そのグリップ23の全長を、前記グリップ部1kの長さよりも長くしている。これにより、中子8の全長にばらつきがあった場合に起こる軸筒の全長のばらつきを吸収し、シャープペンシルの外観を良好に保っている。仮に、中子8の全長に寸法誤差などのばらつきがあった場合には、ネジ螺合の完了位置が変化してしまい、軸筒の全長が変化しまう。しかしながら、グリップ23の全長をグリップ部1kよりも長く形成することにより、中子8が短い場合、即ち、軸筒の全長が短くなる場合は、グリップ23が潰れ、一方、中子8が長い場合、即ち、軸筒の全長が長くなる場合には、装着時のグリップ23の長さを保つこととなる。そして、いずれの場合にも、シャープペンシルの外観を良好に保つことができる。また、ばらつきをシャープペンシルの機能とは直接関係のないグリップ23で吸収するため、例えば、芯の繰り出し機能や、チャック体の芯把持力などのシャープペンシルとしての実機能への影響は全く無い。
なお、前記後軸筒2の内面段部2cは、その内面段部2cから後方に形成された4点のリブ部2dの前端面から形成されている(図29、図30)。一方、前記芯タンク13の消しゴム受け部13aも、4点のリブ部13cが形成されており、この芯タンク13のリブ部13cは、前記後軸筒2のリブ部2d間に収まるよう形成されている。このため、前述の組み立て時において後軸筒2内に中軸セット7を挿入した際に、後軸筒2のリブ部2d間に芯タンク13のリブ部13cを収めることで、芯タンク13の後軸筒2に対する回転が規制される。
なお、本例においては、前記ノック18を2部品から構成しており、前記ノック18の押圧部にはエラストマーからなるノックカバー18aが装着されている。
また、後軸筒の後方外周部には、外径方向に突出したクリップ装着部2eが形成されており、このクリップ装着部2eには、横断面がコの字型の金属製のクリップ19が装着されている。
本例においては、先部材3の後方外周部に略円形状の切り欠き部3kを対向する位置に形成する一方、中子8に先部材3の前記切り欠き部3kに対応する略円形状の突部8iを形成した。この先部材3の切り欠き部3kと中子8の突部8iとが当接・係合するように中軸セット7を前軸筒(筒状部材)1に組み立てる。このような構成とすることで、中軸セット7を外したときに、先部材3も共に外すことができるため、芯折れ時などの芯の除去がしやすくなっている。
そして、本例においても、前記先部材3と中軸セット7の中子8とを当接させたので、それら先部材3と中軸セット7とからなるシャープペンシルユニット9の外径が先部材3の外径に左右されない。即ち、先部材3の外径を、中軸セット7の外径より太くすることも細くすることも出来る。このように、先部材3の外径を任意の大きさに設定することが出来るため、前軸筒(筒状部材)1の内部におけるシャープペンシルユニット9や前軸筒(筒状部材)1の外径の調整が可能となり、従来よりもシャープペンシルのデザインの幅を広げることが出来る。
1a 1次成形軸
1b 2次成形グリップ
1c 延設部
1d リブ部
1e リブ部
1f リブ部
1g 内段部
1h ネジ部(雌ネジ部)
1i 段部
1j 環状凸部
1k グリップ部
2 後軸筒(筒状部材)
2a 端面
2b 内面段部
2c 内面段部
2d リブ部
2e クリップ装着部
3 先部材
3a ガイドリブ
3b ガイドリブ
3c 当接部(段部)
3d 後端面
3e ガイドリブ
3f ガイドリブ
3g 当接部(段部)
3h 外径大径部
3i 内径大径部
3j 外段部
3k 切り欠き部
4 戻り止め
5 チャック体
6 チャックリング
6a 前鍔部
7 中軸セット
8 中子
8a 前端面
8b 後端面
8c 全周突部(膨出部)
8d 突部(膨出部)
8e ガイド部
8f 切り欠き部
8g 突部(膨出部)
8h 内面段部
8i 突部
9 シャープペンシルユニット
10 芯
11 スプリング
11a 後端面
12 パイプ部材(筒状部材)
12a リブ部
12b パイプ部
12c 前端面
12d 後端面
13 芯タンク
13a 消しゴム受け部
13b 外周段部
13c リブ部
14 中継ぎ部材
15 弾撥部材
16 消しゴム受け
16a 鍔部
17 消しゴム
18 ノック
18a ノックカバー
19 クリップ
20 密着スプリング
20a 端面研削部
21 弾性スプリング(弾撥部材)
22 リング部材(膨出部)
22a ガイド部
23 グリップ
23a 円周状ヒダ部
T1 肉厚
T2 肉厚
X 摺動領域
Y 摺動領域
Claims (3)
- 軸筒内に、芯の把持・開放を行うチャック体を含むシャープペンシルユニットが配置されたシャープペンシルであって、前記シャープペンシルユニットを、内部に戻り止めが配置された一部材からなる先部材と、中子を有する中軸セットとから構成し、前記軸筒の内径部にはリブ部を形成し、また、前記先部材の後方部にガイドリブを形成すると共に、その後方部に形成したガイドリブを前記先部材の後端部にまで形成し、前記軸筒のリブ部と前記先部材の後方部に形成したガイドリブとを圧入構造とすると共に、前記先部材の後端面と前記中軸セットの中子の前端面とを当接させたことを特徴とするシャープペンシル。
- 前記軸筒のリブ部と前記先部材に形成したガイドリブとの圧入構造を、前記先部材の中間部に形成したガイドリブによる圧入力を前記後方部に形成したガイドリブによる圧入力よりも大きくしたことを特徴とする請求項1に記載のシャープペンシル。
- 前記中軸セットの前方部に膨出部を形成し、その膨出部の外径を、その膨出部の外方に位置する前記軸筒の内径よりも若干小径としたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシャープペンシル。
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