JPH0620366B2 - 田植機における苗取量調節装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は田植機における苗取量調節装置の構造に関する
ものである。

〔従来の技術と発明が解決しようとする課題〕

従来、苗載台を植付機構に対して上下動させていわゆる
苗載台上の苗マットの縦取り量を調節するための、苗取
量調節装置としては、苗載台を基部材に上下摺動可能に
装着し、苗載台と基部材の上下長孔を貫通させた調節ネ
ジを一旦緩めて、苗載台の高さ位置を調節した後、再度
調節ネジを締着するか、苗載台をねじ機構を介して基部
材に対して昇降可能に装着しこのネジ機構を回転式ハン
ドルにより作動させるものであったから、その調節作業
に手間が掛かると共に、左右に長い苗載台を一挙に且つ
並行状に移動させることが困難であり、しかも、構成が
複雑になるという問題があった。

本発明は、これらの問題を解決し、苗取量調節を正確に
且つその操作を容易にできるようにした苗取量調節装置
を提供することを目的とするものである。

〔課題を解決するための手段〕

前記目的を達成するため、本発明は、田植機の左右方向
に横移動自在な苗載台を支持する左右一対の支持部材を
左右適宜隔てて配設し、該両支持部材を基部材に対して
植付機構による苗取量を増減する方向に沿って上下動自
在に設ける一方、当該両支持部材間に横架する一本の回
転軸と、該回転軸の左右両端に設けたクランク部とから
なる揺動作動手段を配置し、前記左右両端のクランク部
を前記左右両支持部材に軸支し、前記回転軸を支持する
ための軸受部材を基部材に設け、該軸受部材には、前記
揺動作動手段が前記苗取量を増減する方向と略直交する
方向に逃げ移動できるようにした一端開放状の軸受溝を
形成し、前記回転軸に取付けられた操作レバーの操作に
より、当該回転軸の適宜角度回動にて前記左右両支持部
材が一斉に上下動するように構成したものである。

〔実施例〕

次に、本発明の一例を４条植え歩行型田植機に適用した
実施例図面について説明する。図において、符号１はミ
ッションケース２の前部にエンジン台を、後部に筒型フ
レーム４を各々連結した機体で、この機体１におけるエ
ンジン台の上面に前記ミッションケース２に動力をベル
ト６にて伝動するエンジン５が設けられ、ミッションケ
ース２の左右両側面には後方に延びるスイングアーム
７，７をその基端を回転自在に枢着して設け、該両スイ
ングアーム７，７の先端にはミッションケース２からア
ーム内のチエン等を介して動力伝達される車輪８，８を
各々設ける一方、機体１の下部及び両車輪８，８の外側
には圃場面を滑走するようにしたフロート１０、１１，
１１を備えている。

前記機体１におけるフレーム４の後端には苗植装置９に
おける中央部伝動ケース１２を連結し、該中央部伝動ケ
ース１２の後端下部には上部を後方向の斜め上向きに向
って延長した左右一対の操縦ハンドル１３，１３′を取
付ける。

この両操縦ハンドル１３，１３′の前面側にはこれと略
平行に配置した後傾式の苗載台１４を機体の左右方向に
横移動自在、且つ後述の苗植付機構１２に対して上下動
可能に装着するにあたり、まず、左右一対の支持部材１
５，１５′を基部材である前記両ハンドル１３，１３′
と略平行に配置する。該各支持部材１５，１５′の上端
には各々転子１６を設ける一方、両支持部材１５，１
５′の下端間には、一端に角型摺動レール部１７を形成
した左右長手の苗取出し枠体１８を装架固着する。他
方、苗載台１４の裏面上下位置には各々断面下向きコ字
状の上下ガイドレール１９，２０を固着して、上部ガイ
ドレール１９を前記両支持部材１５，１５′上端の転子
１６，１６に被嵌する一方、下部ガイドレール２０を前
記苗取出し枠体１８の角型摺動レール部１７に摺動自在
に被嵌して、苗載台１４を機体１の進行方向左右に往復
動自在となるように装架する。

なお、このとき、前記下部ガイドレール２０または角型
摺動レール部１７のいずれか一方もしくは両方の摺動面
には摺動抵抗が少なくなるようにナイロン等の合成樹脂
製材料でコーティングするようにしても良い。

この苗載台１４を前記左右両支持部材１５，１５′の一
斉上下移動調節により、後述の植付機構２１の苗植爪２
２による苗マットの苗縦取量を調節するにあたり、前記
左右両ハンドル１３，１３′の下部に左右長手に連結し
た連結部材２３には、両ハンドル１３，１３′の外側に
その後向き傾斜角と略同じように傾けた左右一対の摺動
案内部材２４，２４′を立設する一方、前記両ハンドル
１３，１３′上部の外側から突設する断面コ字状のブラ
ケット２５，２５を横向き突設し、これに前記摺動案内
部材２４，２４′の側面を固着し、該両摺動案内部材２
４，２４′に沿って上下動するように前記支持部材１
５，１５′を配設する。

そして、該両支持部材１５，１５′の側面には、その上
部及び中途部に上下方向の長穴２６，２６を穿設し、前
記各摺動案内部材の側面から横向き突設したボルト２７
を前記各長穴２６に貫通させ、該各ボルト２７に螺着し
たナット２９と被嵌したばね２８及び座金とにより弾力
付勢することにより、各支持部材１５，１５′を摺動案
内部材２４，２４′に対して、前記植付機構２１による
苗縦取量が増減する方向に沿って上下動自在且つその上
下位置で位置保持できるように構成する。

前記左右一対の支持部材１５，１５′を一斉に、前記植
付機構２１による苗縦取量が増減する方向に沿って上下
動させるための揺動作動手段は、左右一対の支持部材１
５，１５′間に横架する一本の回転軸３０と、該回転軸
３０の左右両端に取付くクランク部３３とから構成され
ており、回転軸３０は前記左右両ブラケット２５，２５
から突出する軸受部材３１，３１にわたって回動自在に
軸支されている。各軸受部材３１には回転軸３０をその
軸線と直角に挿入でき且つ軸支できるようにコ字状等の
一端開放した軸受溝３２を形成してある。そして、該回
転軸３０の左右両端にはその軸線から適宜回転半径
（ｒ）だけ偏心させてなるクランク部３３，３３を形成
し、該丸軸状の両クランク部３３，３３を前記左右両支
持部材１５，１５′の側面に回動自在に枢支する。

符号３４は前記回転軸３０を回動操作するための操作レ
バーで、該操作レバー３４は偏平な板ばねからなり、そ
の二股状基部を回転軸３０の長手方向中途部適宜位置好
ましくは回転軸３０の長手中央位置の取付片３５に軸線
と直角方向から臨ませてねじ３６止めする一方、左右両
ハンドル１３，１３′の上部間を継ぐ連結杆３７に取り
付けた側面視円弧状案内板３８の長手ガイド溝３９に、
前記操作レバー３４の中途部を貫通させ、操作レバー３
４の中途部側縁を折曲形成した係止部４０が前記長手ガ
イド溝３９の一側に沿って適宜間隔で切欠き形成した係
止溝４１内に臨むように配設し、操作レバー３４をそれ
自体のばね弾性に抗して撓ませるときは係止部４０が係
止溝４１から外れ、操作レバー３４を撓ませないときに
は係止部４０が係止溝４１に係止するように構成するも
のである。

なお、前記中央部伝動ケース１２内には、前記エンジン
５の動力がフレーム４内の軸４２及び傘歯車対４３を介
して伝達される植付クラッチ付き中間軸４４、該中間軸
４４からチエン伝動されるメイン軸４５及び該メイン軸
４５から変速歯車機構４６を介して動力伝達されるカム
軸４７を、各々機体と直角に軸支すると共に、両端が前
記苗載台１４の前面に取付けたブラケット４８，４８の
内側面に接当する送り軸４９を前記カム軸４７と平行に
摺動自在に設け、カム軸４７の外周に設けた往復ねじ溝
５０に、送り軸４９に固着した船型すべりキー５１を係
合してカム軸４７の回転により苗載台１４を左右に往復
して横送りするように構成する。

前記中央部伝動ケース１２内に前記カム軸４７と平行に
軸支された揺動軸５２の左右両端には、カム５３，５３
を固着する一方、カム軸４７の左右端にはこの軸線に摺
動自在にばね付勢されたカム板５４，５４を設け、苗載
台１４の横送り左右終端で前記すべリキー５１が一方の
カム板５４または５４を押圧して前記カム５３または５
３に接当させて揺動軸５２を適宜角だけ回動させる。前
記中央部伝動ケース１２外においてこの揺動軸５２に取
付く位相復帰装置（例えばねじりばね）を介して連結し
た運動杆５５を、苗載台１４裏面に回動自在に取付く揺
動杆５６のレバーに連結し、該揺動杆５６に苗載台１４
の横送り距離だけ隔てて固着した一対のホロアカム５
７，５７が苗載台１４裏面下部に軸支された縦送り軸５
８に取付く一方向送りカム５９を間欠回転して、該縦送
り軸５８に設けた爪車６０により、苗載台１４の横送り
の終端で苗マットを機体の走行方向に間欠的に縦送りす
るものである。

そして、前記中央部伝動ケース１２の左右両側から突出
するパイプ状支持部材６１，６１に各々植付伝動ケース
１２′，１２′を固着し、前記中央部伝動ケース１２の
左右両側面に取付く植付機構２１，２１には前記中間軸
４４から伝達し、左右両植付伝動ケース１２′，１２′
の側面に設けた植付機構２１には各支持部材６１内の伝
動軸６２から動力伝達して各植付機構２１における苗植
爪２２が前記苗取出し枠体１８に設けた苗取出口と圃場
面との間を上下揺動するように構成する。

この構成により、苗植作業に先立って操作レバー３４を
それ自体のばね弾性力に抗して撓ませ、係止部４０を案
内板３８の係止溝４１から外した状態で、例えば第３図
の一点鎖線で示すように上向き回動すれば、回転軸３０
は第６図の矢印Ａ方向に適宜角度だけ回動し、該回転軸
３０両端に偏心して取付くクランク部３３，３３は第６
図の二点鎖線で示すように同じだけ移動するから、両ク
ランク部３３，３３と共に両支持部材１５，１５′は、
基部材である左右両ハンドル１３，１３′に対して一斉
に上昇し、該両支持部材１５，１５′に装架された苗取
出し枠体１８と共に苗載台１４も適宜量だけ斜めに上昇
する。他方、各植付機構２１における苗植爪２２の上下
揺動軌跡６３（第３図中６３は軌跡の一部を示す）は一
定であるので、前記苗取出し枠体１８の苗取出し口と軌
跡６３との重複寸法（ｌ）が短くなり、これにより苗載
台１４上の苗マットの苗植爪２２による苗縦取量が少な
くなる。反対に第３図の実線で示すように操作レバー３
４を下向き回動させれば、苗縦取量が多くなるのであ
る。

前記実施例では、回転軸３０両端に偏心して取付くクラ
ンク部３３，３３は両支持部材１５，１５′に回転のみ
自在に枢支されているので、回転軸３０をその軸線回り
回動するときには、前記偏心により、回転軸３０は、軸
受部材３１，３１における軸受溝３２，３２に沿って、
前記苗縦取り量増減方向と略直交する方向に逃げ移動す
るので、揺動作動手段にこじれが生じず、円滑に作動す
るものである。

なお、本発明では、前記左右両支持部材を上部と下部と
に二分割し、該上部の左右両支持部材または下部左右両
支持部材を一斉に上下動させるように前記回転軸３０を
関連させても良い。このときは、固定側の支持部材に対
する苗載台裏面の上または下のガイドレールの上下嵌合
深さを、苗載台１４の上下移動量に対して充分なように
しておくことは云うまでもない。また、回転軸３０の回
動操作は操作レバーによる手動操作に換えてトルクモー
タや油圧アクチェータにて遠隔操作するようにしても良
い。

そして、本発明は歩行型ばかりでなく乗用型の田植機に
も適用できることは云うまでもない。

〔発明の作用・効果〕

以上要するに、本発明の田植機における苗取量調節装置
は、田植機の左右方向に横移動自在な苗載台を支持する
左右一対の支持部材を左右適宜隔てて配設し、該両支持
部材を基部材に対して植付機構による苗取量を増減する
方向に沿って上下動自在に設ける一方、当該両支持部材
間に横架する一本の回転軸と、該回転軸の左右両端に設
けたクランク部とからなる揺動作動手段を配置し、前記
左右両端のクランク部を前記左右両支持部材に軸支し、
前記回転軸を支持するための軸受部材を基部材に設け、
該軸受部材には、前記揺動作動手段が前記苗取量を増減
する方向と略直交する方向に逃げ移動できるようにした
一端開放状の軸受溝を形成し、前記回転軸に取付けられ
た操作レバーの操作により、当該回転軸の適宜角度回動
にて前記左右両支持部材が一斉に上下動するように構成
したものであって、一本の回転軸の回動にて左右両支持
部材を一斉に上下動させることができると共にその上下
移動量も苗載台の左右両側で変わらず、従って、苗載台
の左右で各植付機構ごとでの苗縦取量が同じになり、圃
場に植付ける苗の量にバラ付きが生じない。

しかも、苗取量調節を回転軸一本の操作で行えるので、
操作が極めて簡単であると共に回動操作の構造も簡単に
できる効果を有する。

そして、本発明では、前記左右両端のクランク部を前記
左右両支持部材に軸支し、前記基部材に設けた軸受部材
にて回転軸を支持することにより、前記揺動作動手段を
支持させるものであり、前記軸受部材に形成された軸受
溝は、前記揺動作動手段が前記苗取量を増減する方向と
略直交する方向に逃げ移動できるように一端開放状に形
成されているので、揺動作動手段にこじれが生じず、円
滑に作動できると共に、クランク部を有する揺動作動手
段の取付け作業も至極容易になるという効果を奏するの
である。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例を示し、第１図は田植機の側面
図、第２図は平面図、第３図は第２図のIII−III線断面
図、第４図は第３図のIV−IV線断面図、第５図は第４図
の部分斜視図、第６図は第５図のVI−VI線視断面図、第
７図は第３図のVII−VII線視断面図、第８図は第７図の
VIII−VIII線視断面図、第９図は第１図のIX−IX線視断
面図である。 １……機体、８，８……車輪、２……ミッションケー
ス、１３，１３′……ハンドル、９……苗植装置、１４
……苗載台、１５，１５′……支持部材、１８……苗取
出し枠体、２１……植付機構、２２……苗植爪、２４，
２４′……摺動案内部材、２６……長穴、２７……ボル
ト、２８……ばね、３０……回転軸、３１……軸受部
材、３３……クランク部、３４……操作レバー。

フロントページの続き (72)発明者 西 陽一朗 大阪府大阪市北区茶屋町１番32号 ヤンマ ー農機株式会社内 (72)発明者 星澤 明 大阪府大阪市北区茶屋町１番32号 ヤンマ ー農機株式会社内 (56)参考文献 特開 昭59−118012（ＪＰ，Ａ)

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】田植機の左右方向に横移動自在な苗載台を
   支持する左右一対の支持部材を左右適宜隔てて配設し、
   該両支持部材を基部材に対して植付機構による苗取量を
   増減する方向に沿って上下動自在に設ける一方、当該両
   支持部材間に横架する一本の回転軸と、該回転軸の左右
   両端に設けたクランク部とからなる揺動作動手段を配置
   し、前記左右両端のクランク部を前記左右両支持部材に
   軸支し、前記回転軸を支持するための軸受部材を基部材
   に設け、該軸受部材には、前記揺動作動手段が前記苗取
   量を増減する方向と略直交する方向に逃げ移動できるよ
   うにした一端開放状の軸受溝を形成し、前記回転軸に取
   付けられた操作レバーの操作により、当該回転軸の適宜
   角度回動にて前記左右両支持部材が一斉に上下動するよ
   うに構成したことを特徴とする田植機における苗取量調
   節装置。