JPH0620328Y2 - 整畦機 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、整畦機に係り、特に泥土を堀り起こして盛り
上げこの盛り上げた土を叩き固める水鉄砲式油圧型整畦
機において、盛り上げた土を叩く畦叩き板の叩き面に土
が付着するのを防止するようにしたものに関する。

従来の技術 田圃には畦を作り、水を堰して蓄えたり、他人の田圃と
の境界にしたり、あるいは農作業のための歩道にするこ
とが行なわれている。このような畦は漏水しないこと、
人が歩いても崩れないこと及び高さや幅が変化せず安定
していること等が良いものとされている。

このような畦を作るためには、従来、耕耘機で畦際に練
り土を作っておき、つぎにこれまでの畦表面の風化した
土や草を鍬で取り除き、そしてその跡に練り土を載せて
鍬で叩く方法も行なわれている。この方法は練り土が配
向構造となっているため乾くとしっかり固まり最も良い
方法であるが、一度に厚く盛ると乾いたときに大きくひ
び割れを起こして漏水の原因になるため３cm位しか盛れ
ずその調整を行いつつ作業を進めなければならないなど
手間がかかり、農作業の省力化には問題があった。そこ
で上記の練り土を鍬で盛る方法を機械化した整畦機が開
発されたが、これは土と泥を練り上げるものであるの
で、田圃に水が多い時機にしか用いられず、この時機は
例えば春先の短い期間しかないので使用期間が制限され
るという欠点があり、これを改善しようとしてポンプで
水を補給するようにしたものも開発されたが労力がかか
る上に機械の操作も煩わしいものであった。

つぎにこれらの欠点を改善して春秋を通じて使用できる
整畦機が開発された。これはロータで土を堀り起こして
盛り上げこの盛り上げた土を叩き板で叩くものである。
この整畦機の叩き板は、トラクタの動力取出軸にクラン
ク機構を介して設けられたロッドに連結され、かつ機枠
に回動自在に連結された２本の平行リンクに回動自在に
連結されているので、ロッドの進退運動が２本のリンク
による平行四辺形の変形運動に拘束されるという一定運
動に従って動作される。

しかしながら、この整畦機は、動作機構部のガタツキ、
騒音、故障を起こし易く、その回転数も１５０ｒｐｍ程
度にしか上がらないという問題や、その叩き板の過大な
圧を緩和できなかったために畦の埋没等のことがあっ
て、田圃の畦の状態によっては良好な畦作りを行えない
という問題があった。

また、その畦叩き板を鋼板で作成すると、盛り土を叩く
面に特に粘着質の濡れ土が付着し易く、そのまま盛り土
を叩いても均一で有効な叩き圧が得られず、その結果で
きた畦の形状も不揃いになるという欠点を有していた。
この欠点を改善するために、叩き面に布、ビニール、ゴ
ムあるいは多孔性プラスチックの被覆層を形成したもの
も提案されたが、これらのものは激しい衝撃を伴う畦叩
き動作が繰り返し続けられているうちに摩耗、破損を避
け難く、その予備のものを用意しなければならない不便
や、その取替の手間がかかる等の欠点を有するものであ
った。

また、上記の整畦機の畦叩き板はその取り付け部が固定
されているので、畦の上面と側面の盛り土の例えば上面
の盛り土に例えば土の大きな塊りがあったような場合で
も同じ姿勢で畦を叩くので、畦叩き板の畦の上面を叩く
叩き面がこの土の塊りに当たると畦の側面を叩く叩き面
は盛り土から離れた状態になることがあってこの盛り土
が叩かれないのみならず、畦叩き板の取り付け部に無理
な力がかかるという問題もあった。

考案が解決しようとする問題点 以上のように、従来の整畦機は、畦叩き機構やその畦叩
き板に土を付着しにくくした被覆材の耐久性に問題があ
るのみならず、畦叩き板がその取り付け部において固定
されていることによる問題があり、これらの改善が望ま
れていた。

問題点を解決するための手段 本考案は、上記の問題点を解決するために、機枠に泥土
を堀り起こして旧畦に盛り上げる土起こし手段と、該土
起こし手段により盛り上げられた泥土を叩き固める畦叩
き板を有する整畦機において、ピストンとシリンダーか
らなる油圧ポンプとピストンとシリンダーからなるピス
トン装置を上記機枠に設け、該油圧ポンプ及び該ピスト
ン装置の油の往復動兼用の可撓性管により連結し、上記
ピストン装置により上記畦叩き板を動作させ、該畦叩き
板をその取り付け部において畦に向かって回動自在に支
持して畦の盛り土に対して接触角度が可変である畦の上
面及び一方側面を叩く形状の畦叩き面を設け、該畦叩き
面に多数のガス吹き出し孔を設け、該ガス吹き出し孔か
らガスを吹き出すようにしたことを特徴とする整畦機を
提供するものである。

作用 油圧ポンプとピストン装置を可撓性管により連結した油
圧機構を用いたので、畦叩き板の叩き動作に伴う衝撃は
可撓性管によりある程度は吸収され、畦に過大に叩き圧
がかかるのもある程度は緩和され、その衝撃を受ける機
械的連結部も少ないのでガタツキ、騒音、故障を少なく
できる。

また、整畦面からガスを吹き出すようにしたので、付着
した土は空気圧により吹き落とされる。

また、畦叩き面の畦の盛り土に対する接触角度が可変で
あるので、畦叩き板の例えば畦の上面を叩く叩き面が土
の塊りに当たっても畦の側面を叩く叩き面は盛り土を叩
き易くなるのみならず、畦の上面の叩き面にかかった偏
った荷重は逃がされる結果、畦叩き板の取り付け部に無
理な力がかからない。

実施例 次に本考案の一実施例を第１図および第２図に基づいて
説明する。

第１図中、Ｔはトラクタ、Ａは整畦機であって、整畦機
Ａは、その機枠が主機枠１とこれに後述のピストン装置
を取り付ける部材とからなり、主機枠１がトラクタＴの
後方上部に設けられた取付枠ａにリンクｂ、ｃを介して
取り付けられているとともに、トラクタ後方下部両側に
設けられた回動自在のリンクｄ、ｅに回動自在に連結さ
れ、さらにこの主機枠１の前方上部とトラクタ後方上部
中央が長さを調整自在にできる調整リンクｆで連結さ
れ、これらにより調整リンクｆにより定められた角度に
保持された整畦機Ａは図示省略した油圧装置によって回
動する上記取付枠ａを介して下方に回動でき、また、こ
の油圧装置による取付枠ａの上方の回動により元の位置
に戻ることができるようになっている。

上記整畦機Ａは、トラクタの動力取出軸ｇに図示省略し
た自在継手を介して連結された動力伝達軸に減速器が連
結され、この減速器には伝動軸が連結され、この伝動軸
にロータＲが取り付けられ、これにより上記動力伝達軸
の回転力が上記伝動軸に上記減速器により減速かつ方向
を変えられ、さらにその回転方向がトラクタの進行方向
に対応する回転方向と逆方向に回転するように伝達さ
れ、ロータＲの軸がトラクタの進行方向とほぼ直角方向
に向きかつその回転方向がトラクタの進行方向に対する
回転方向とは逆方向に回転するようになっている。な
お、１′は上記ロータの上部及び両側を覆う覆い板、
１′ａは畦の上面を走行する車輪を有する上下動板であ
る。

また、上記整畦機Ａには、図示省略したが上記減速器に
クランク機構を介してピストンとシリンダーからなる水
鉄砲の如きプランジャーポンプが連結され、このプラン
ジャーポンプにはゴム等からなる可撓性管２が連結され
てこれにピストン装置３が連結されている。

このピストン装置３は、その詳細は図示省略したが、ス
リーブ３ａがシリンダーに挿入されたピストンのピスト
ンロッド３ｂとともに進退可能に設けられ、かつこのス
リーブとシリンダーとの間にはスプリングが設けられ、
これにより油圧の作用でピストンロッドとともに押し下
げられたスリーブた３ａによりスプリングは圧縮される
が、その油圧の解放によりその弾性力が作用してスリー
ブ３ａが押し上げられるようになっている。

このピストン装置３は支持枠４に回動自在に支持され、
かつ畦叩き板復帰機構５によりその回動範囲が制限され
てその元の位置に復帰できるようになっている。

上記ピストンロッド３ｂには畦叩き板６が取り付けられ
ている。すなわちこの畦叩き板６は畦の芯部に向かって
進退できるように位置決めされて上記ピストンロッドに
回動自在になるように軸支され、畦叩き板６の畦叩き面
は畦の盛り土に対する接触角度が可変に形成されてい
る。この畦叩き板６の形状は、第２図に示すような、畦
の上面及び側面に盛られた土を叩くほぼへの字状の叩き
板及び前後の起立壁を有し、かつこれらの形状に即した
それぞれに対応する一定中空厚さの叩き板空洞部７ａ、
前側起立壁空洞部７ｂ、後側起立壁空洞部７ｃからなる
ガス流通用空洞部７が形成され、それぞれの空洞部の外
壁面には多数のガス吹き出し孔８、８・・・が形成され
ている。そしてこのガス流通用空洞部７にはそれぞれの
空洞部に配気されるように第３図に示す配気管９が設け
られ、この配気管の一端は上記後側起立壁空洞部７ｃを
貫通して外側に突出され、その先端に可撓性導管10が嵌
合されている。この導管はトラクタＴのマフラーに連通
接続され、これによりこのマフラーから排出されたガス
がこの導管10を通して上記配気管９から上記各空洞部に
供給されてそれぞれのガス吹き出し孔８、８・・から吹
き出されるようになっている。

このようにして形成された畦叩き板６を整畦時に畦の高
さに合わせるには、第１図に示すように、支持枠４に取
り付けられたスライダ11を固定軸12、12′に沿ってねじ
13により上下動することにより行う。これらのスライ
ダ等の上下動機構部は取付板14に取り付けられ、この取
付板は水平位置調整板15に取り付けられている。なお16
はロータＲが堀り起こした跡の窪地の壁面に沿って走行
する尾輪である。

次に本実施例の作用を説明する。

まず第１図に示すように整畦機ＡをトラクタＴに取り付
けて田圃に入り、動力取出軸ｇを駆動しロータＲ及び畦
叩き板６を動作させる。そしてロータＲの回転羽根の上
下位置を整畦機全体の高さにより調整し、畦叩き板６の
位置も調整する。

この状態でトラクタＴを畦に平行に進行させると、ロー
タＲの回転羽根は畦の側面及び田圃の表層土を堀り起こ
し、これらの土を先端側に送って畦に土を盛り上げる。
このようにして盛られた土は反復振動する畦叩き板６に
より叩き固められる。

この際、畦叩き板６は油圧により繰り返し進退されて畦
叩き動作を行なうが、この動作中は上記各空洞部7a、7
b、7cにトラクタＴのマフラーからエンジンの排気ガス
が供給され、それぞれの外壁のガス吹き出し孔８、８・
・からガスが吹き出される結果、畦叩き板６が後退して
その叩き面及び壁面が土から離れるときには、これらに
土が付着してもガス吹き出し孔からガスが吹き出される
のでこの土は吹き飛ばされる。

上記は配気管９を第３図のように形成したが、さらにこ
れらの管の両側に複数の枝管を設け、この枝管に多数の
ガス吹き出し孔を設けて先端側に供給されるガスが不足
しないようにしても良い。

また、畦叩き板はその叩き面の前側を複数の段状にして
も良く、また叩き面に純毛、皮のような土離れの良いも
のを空気の吹き出しを妨げないように例えば穴を開けて
被覆したものでも良い。

また、上記のロータは例えば畦だけを堀り起こすものと
田圃の土だけを堀り起こし畦に盛るように複数にしたも
のでも良く、またこのロータは畦に対して平行のもので
も良く、さらにはロータでなく鋤のようなものでも良い
ことは勿論である。

また、上記は整畦機をトラクタで牽引し、その動力を利
用して畦叩き板を動作させたが、整畦機に原動機を搭載
して自走式にし、その動力を利用して上記と同様に畦叩
き板を動作させても良いことは当然である。

考案の効果 以上説明したように、本考案によれば、油圧ポンプとピ
ストン装置を可撓性管により連結した油圧機構を設け、
ピストン装置により畦叩き板を動作させたので、畦叩き
板の過大な叩き圧はある程度可撓性管により緩和される
のみならず、従来のてこ−クランク型整畦機に比べて機
械的連結部分も少ないのでガタツキ、騒音、故障を少な
くでき、その回転数を高めることができる。

また、畦叩き面にガス吹き出し孔を形成し、ここからガ
スを吹き出すようにしたので、畦叩き板が盛り土から離
反するときはガスの吹き出し圧により叩き面に付着した
土も飛ばされる。このようにして畦叩き面に付着した土
は取り除かれるので、畦叩き面が鋼板により作られてい
ても土の付着を伴わない面を用いて土を整えることがで
きる。

また、畦叩き面の畦の盛り土に対する接触角度を可変に
したので、畦叩き板の取り付け部に無理な力がかからな
いとともに、畦の上面及び側面の両方の盛り土により良
く接触し易いためこれらの盛り土を良く締め固めること
ができる。これらにより整畦の質と作業効率を高めるこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の整畦機の一実施例の使用状態の斜視
図、第２図はその部分拡大斜視図、第３図はその配気管
の斜視図である。 図中、Ａは整畦機、１は主機枠、Ｒはロータ、３はピス
トン装置、６は畦叩き板、８はガス吹き出し孔、10は導
管である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】機枠に泥土を堀り起こして旧畦に盛り上げ
   る土起こし手段と、該土起こし手段により盛り上げられ
   た泥土を叩き固める畦叩き板を有する整畦機において、
   ピストンとシリンダーからなる油圧ポンプとピストンと
   シリンダーからなるピストン装置を上記機枠に設け、該
   油圧ポンプ及び該ピストン装置を油の往復動兼用の可撓
   性管により連結し、上記ピストン装置により上記畦叩き
   板を動作させ、該畦叩き板をその取り付け部において畦
   に向かって回動自在に支持して畦の盛り土に対して接触
   角度が可変である畦の上面及び一方側面を叩く形状の畦
   叩き面を設け、該畦叩き面に多数のガス吹き出し孔を設
   け、該ガス吹き出し孔からガスを吹き出すようにしたこ
   とを特徴とする整畦機。