JPH0618914Y2 - キャップの嵌合構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、日用品、化粧品などの断面が楕円形状をした
小型容器に使用されるキャップの嵌合構造に関する。

〔従来の技術〕

日常頻繁に使用される日用品，化粧品などの容器は、取
扱いや保管の容易さなどから、断面が楕円形状に形成さ
れたものが多く使用され、またそのキャップは内容物を
取出すための開栓，密封の動作が簡便かつ安定した機能
であることが要望されている。さらにこれらの構造は、
使用時に快い使用感、例えば嵌合時に適度の嵌合音を発
し、容器本体とキャップとの嵌合が確実に行なわれた表
現を音色によっても得られるなどの趣向をこらしたキャ
ップが購買意欲をそそる商品とされている。

従来このような容器に適したキャップ構造としては、考
案者は先に実願昭60-143269号，実願昭60-150041号，実
願昭60-161848号のそれぞれの出願において、ロック機
能を有するキャップとして提案している。

〔考案が解決しようとする課題〕

ところで上記それぞれの出願明細書に提案しているキャ
ップは、密封性は確実であるが構造が複雑であり、必ず
しも使用感に優れたキャップとは云えなかった。

本考案はこのような問題点に鑑みなされたもので、楕円
形状をした容器に使用され、開閉容易にしてかつ快い使
用感のあるキャップの嵌合構造を提供する。

〔課題を解決するための手段〕

上記問題点を解決するための技術的手段としての本考案
は、断面形状が楕円形の容器本体の首部と、容器本体と
同じ断面形状を有し前記首部に嵌合するキャップとから
なり、前記首部は外周面に容器の下方に向ってテーパー
状に拡幅した張り出し頂面部と該頂面部の基端部に断面
が台形の環状溝とを設け、容器の短径方向の張り出し頂
面部には相対する周面中間部付近から環状溝の底面に達
する抉り面を形成するとともに縦方向に案内溝を刻設
し、前記キャップは天井部の中心部に内筒と周縁部に外
筒とを取付け、内筒の先端部を楕円形状に対して斜方向
の位置に刻設したスリットにより分割し、該分割した内
筒先端部のうち楕円形状の短径側の内筒の内側縦方向に
前記案内溝に嵌入する案内支柱を設けるとともに長径側
の内筒の下部内周面に沿って突起部を設け、さらに外筒
内面には長径側の内筒との間に一定の隙間を保ち該内筒
の拡径を抑止するストッパーリブを取付け、前記案内溝
にてキャップを案内しながら突起部を首部の環状溝に係
止してキャップを嵌合することを特徴とするものであ
る。

〔作用〕

以上の如く構成されており、キャップの内筒先端部はス
リットにより分割されて若干拡径可能となっているの
で、キャップを容器の首部に嵌合させる場合、内筒を首
部に押当て案内支柱を案内溝に嵌合させて押圧すると、
内筒の先端部はテーパー状に拡幅された張り出し頂面部
に沿って摺動し、かつ内筒先端部を押し拡げて首部に嵌
入される。この場合外筒の内面に取付けられているスト
ッパーリブは、内筒が過度の拡径により破損しないよう
に外部から内筒を抑止する。このようにして案内溝によ
ってキャップを案内しながら嵌入し、長径側の内筒先端
部に設けられた突起部が首部の基端部に設けられた環状
溝まで達すると突起部は環状溝に嵌り込み、内筒は反動
により元の径に縮径するとともに突起部は環状溝に係止
してキャップは首部に嵌合される。

ついでキャップを開栓する場合は、楕円形状のキャップ
の短径側の外筒外面を双方から押圧して内筒を押圧する
ようにすると、内筒は楕円形状に変形し、この変形した
内筒の長径側に位置する内筒先端部は外方向に拡径され
るので突起部は環状溝から離脱する。この状態でキャッ
プを上方に引き上げると、突起部は張り出し頂面部に沿
い、また短径側の内筒先端部は抉り面に沿って摺動し、
キャップは案内溝に案内されながら上方に引き上げられ
てキャップを首部から取外すことができる。

本考案の嵌合構造においては、容器本体の断面形状が楕
円形をなし、またキャップも本体と同じ楕円形状の断面
を有しているので、この形状が合致するように嵌合、開
栓をおこなえば、押圧する位置や方向が容易に判断さ
れ、嵌合開栓操作も容易となる。

〔実施例〕

以下本考案の一実施例を図面に基づいて説明する。

第１図は容器本体の平面図、第２図は第１図のＡ部から
見た一部断面とした首部の側面図、第３図は第１図のＢ
部から見た一部断面とした首部の側面図である。

容器本体１は断面が楕円形状をなし、その首部２は、合
成樹脂を射出成形して製作され、容器本体１の上部に接
着されている。その構成は、開口部３の外周面に下方に
向ってテーパー状に拡幅された張り出し頂面部４を設
け、首部２の基端部には断面が台形をなす環状溝５が設
けられている。この楕円形状をなす容器１の短径側に面
する張り出し頂面部４の中間部付近から環状溝５の底面
にかけて相対するように１対の抉り面６が形成されると
ともに、さらに抉り面６の中央に縦方向に案内溝７が刻
設されている。

第４図はキャップの底面図、第５図は第４図のＣ−Ｃ断
面図、第６図は第４図のＤ−Ｄ断面図である。

首部２に嵌合されるキャップ11は、ポリエチレン，ポリ
プロピレン，エチレン−プロピレン共重合体などの適度
に柔軟性のある熱可撓性樹脂を射出成形して作られ、こ
の構成は横断面が容器本体１と同じ楕円形状をなし、天
井部12の中心部に内筒13と、周縁部に外筒14が取付けら
れており、内筒13の先端部は楕円形状の斜対角の位置に
先端から内筒中間部にかけてスリット15が刻設されて４
分割され、短径側に面する内筒先端部13aと長径側に面
する内筒先端部13bとを形成し、弾性的に拡径可能とな
っている。このうち内筒先端部13aには内側縦方向に前
記案内溝７に嵌入する案内支柱16が設けられ、また内筒
先端部13b下部内周面に沿って突起部17が設けられてい
る。また外筒14の内面には長径側に面する内筒先端部13
bの中間位置を指向するようにストッパーリブ18が取付
けられ、内筒先端部13bとの間には一定の間隙19が保持
されて内筒13の過度の拡径を抑止するようになってい
る。なお20は突起栓であり、天井部12内面中央に取付け
られ、首部２の開口部３に嵌入されて容器１を密封す
る。

次にキャップ11を首部２に嵌合する場合の各部の作用に
ついて説明する。

第７図はキャップ11を嵌合した状態を示す楕円形状の短
径側から見た一部断面とした側面図、第８図は同様に長
径側から見た一部断面とした側面図、第９図は一部断面
とした斜視図である。

先ずキャップ11の内筒先端部13a,13bを首部２の張り出
し頂面部４に押当て、案内支柱16を案内溝７に嵌合させ
て下方に押圧すると、内筒先端部13a，および突起部17
は張り出し頂面部４に沿って下方に摺動し、かつ内筒先
端部13a,13bは押し拡げられて若干の抵抗感を感じさせ
ながら首部２に嵌入される。この場合外筒14に取付けら
れているストッパーリブ18は、内筒先端部13bが過度の
拡径により破損しないように外部から内筒13を抑止す
る。このようにして案内溝７によってキャップ11を案内
しながら嵌入して、突起部17が環状溝５まで達すると、
突起部17は内筒先端部13bの弾性により環状溝５に嵌り
込み、内筒13は元の径に縮径するとともに、嵌合による
嵌合音が発生して突起部17は環状溝５に係止してキャッ
プ11は首部２に嵌合される。

キャップ11が首部２に嵌合された状態では、突起部17は
環状溝５の上縁部に係止され、かつ内筒先端部13bが縮
径しようとする弾性力によってキャップ全体を下方に付
勢し、突起栓20を密に開口部に嵌入する。またキャップ
11は案内支柱16が案内溝７に嵌合されているので、不用
意に回動することはなく、楕円形状をなした容器本体１
とキャップ11の長短径を常に一致させうるので外観上も
好ましい嵌合となる。

ついで開栓する場合は、楕円形状のキャップ11の短径側
の外筒14外面を双方から押圧すると、外筒14は変形して
内筒先端部13aを押圧し、さらに内筒先端部13aは抉り面
６に接するように縮径するとともに内筒先端部13bはそ
の歪力によって拡径し、内筒13は楕円形状に変形する。
従って拡径した内筒先端部13bに設けた突起部17は環状
溝から離脱し、また内筒先端部13aは抉り面６に接し、
この状態でキャップ11を上方に引き上げると突起部17は
張り出し頂面部４に沿い、また内筒先端部13aは抉り面
６に沿って摺動し、同時に案内溝７に案内されながらキ
ャップ11を首部２から取外すことができる。

この場合キャップ11の短径側を押圧することなく無理に
キャップ11をこじ上げて開栓しようとすると、内筒先端
部13bは間隙19の間だけは移動するが、それ以上はスト
ッパーリブ18が内筒13の動きを抑止するので、無理な力
が内筒13には加わらず不用意の開栓と内筒13の破損が防
止され、また内筒13の柔軟性も保もたれる。

〔考案の効果〕

以上説明した如く本考案に係るキャップの嵌合構造は、
断面が楕円形状の容器本体の首部の外周面に下方に向っ
てテーパー状に拡幅した張り出し頂面部と１対の抉り面
と、さらにこの抉り面に縦方向に案内溝を設けるととも
に、その基端部に環状溝を設け、またキャップは断面が
容器本体と同じ楕円形状とし、内筒先端部を拡径可能な
るようにスリットを刻設するとともに上記の案内溝に嵌
合する案内支柱と、環状溝に係止する突起部を設け、ま
た内筒の過度の拡幅を抑止するストッパーリブを取付け
た構造としているので、楕円形状をした容器本体とキャ
ップの長短径を一致させてキャップを押圧するのみで確
実に嵌合させることができ、また開栓に際しては開栓マ
ークなどは必要なくキャップの短径側を押圧するだけで
開栓できるなど、嵌合開栓操作が極めて容易となり、ま
た嵌合に際しては内筒の反動により軽い嵌合音を発する
ので、快い使用感とともに確実な嵌合操作をおこなうこ
とができる。さらにキャップは案内溝に嵌合されている
ので、不用意に回動することはなく、また内筒はストッ
パーリブによって過度の拡径、変形を防止するようにな
っているので、内筒は柔軟性を失うことなく繰返して使
用しても嵌合力が低下せず、長期の使用に耐えうる。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第９図は本考案の実施例であり、第１図は容器
本体の平面図、第２図は第１図のＡ部から見た一部断面
とした首部の側面図、第３図は第１図のＢ部から見た一
部断面とした首部の側面図、第４図はキャップの底面
図、第５図は第４図のＣ−Ｃ断面図、第６図は第４図の
Ｄ−Ｄ断面図、第７図はキャップを嵌合した状態を示す
楕円形状の短径側から見た一部断面とした側面図、第８
図はキャップを嵌合した状態を示す楕円形状の長径側か
ら見た一部断面とした側面図、第９図はキャップの嵌合
状態の一部断面とした斜視図である。 １…容器本体、２…首部、３…開口部、４…張り出し頂
面部、５…環状溝、６…抉り面、７…案内溝、11…キャ
ップ、12…天井部、13…内筒、13a,13b…内筒先端部、1
4…外筒、15…スリット、16…案内支柱、17…突起部、1
8…ストッパーリブ、19…隙間、20…突起栓

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】断面形状が楕円形の容器本体の首部と、容
   器本体と同じ断面形状を有し前記首部に嵌合するキャッ
   プとからなり、前記首部は外周面に容器の下方に向って
   テーパー状に拡幅した張り出し頂面部と該頂面部の基端
   部に断面が台形の環状溝とを設け、容器の短径方向の張
   り出し頂面部には相対する周面中間部付近から環状溝の
   底面に達する抉り面を形成するとともに縦方向に案内溝
   を刻設し、前記キャップは天井部の中心部に内筒と周縁
   部に外筒とを取付け、内筒の先端部を楕円形状に対して
   斜方向の位置に刻設したスリットにより分割し、該分割
   した内筒先端部のうち楕円形状の短径側の内筒の内側縦
   方向に前記案内溝に嵌入する案内支柱を設けるとともに
   長径側の内筒の下部内周面に沿って突起部を設け、さら
   に外筒内面には長径側の内筒との間に一定の隙間を保ち
   該内筒の拡径を抑止するストッパーリブを取付け、前記
   案内溝にてキャップを案内しながら突起部を首部の環状
   溝に係止してキャップを嵌合することを特徴とするキャ
   ップの嵌合構造。