JPH0618455B2 - 架空送電線用付属部品 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （技術分野） 本発明は、架空送電線用付属部品、特にスペーサ、ダン
パ、捻れ防止器具等の所謂アーマーグリップ方式の電線
把持部を有する架空送電線用付属部品に関するものであ
る。

（従来技術） この種の架空送電線用付属部品としては、例えば実開昭
４９−１３７０９５号公報に見られる如く、電線に係合
する金属製係合部（通常はアルミニウム）と該係合部の
内外表面を被覆したゴム状弾性体とからなる電線把持体
を、電線に係合すると共に、電線把持体外周から複数本
のヘリカルロッド、例えばアーマーロッド（通常はアル
ミニウム）を巻付けて電線に把持固着した電線把持部を
有する例えばスペーサが知られている。ゴム状弾性体は
金属製係合部と電線との接触摩耗や電線の振動防止作用
を奏する。

しかしながら、前記金属製係合部とこれを係合した電線
とはゴム状弾性体を介して接していると共に、ゴム状弾
性体の電気抵抗は一般に１００Ω〜２ＭΩとして構成さ
れているばかりか、ゴム状弾性体の厚さは２．５ｍｍ〜
１０ｍｍとなっているため、次のような問題が生じる。

即ち、被把持電線例えばＡ相の電線にギャロッピング振
動、ストリートジャンプ等の振動が生じ、他相例えばＢ
相の電線が、スペーサのフレーム等前記金属製係合部と
導通している部分に接触して相間短絡が生じた場合に
は、前記Ｂ相の電流はスペーサ本体−金属製係合部−ゴ
ム状弾性体−Ａ相の電線に流れる。一般にこのような場
合には遮断器が作動し略０．１〜０．７５秒以内に電流
が遮断するが、電線に流れる電流は通常２０ＫＡ以上で
あり、これが前記遮断器の動作時間内流れることにな
る。そして前記ゴム状弾性体の厚さが２．５ｍｍ〜１０
ｍｍであるので、前記金属製係合部と電線との間で局部
的なアーク放電が生じ、電線が溶断してしまう恐れがあ
った。また、単に金属製係合部に導電性ヘリカルロッド
を巻いても、その接続部は線接触であり、腐食劣化によ
り前記接続部に酸化皮膜等が形成されれば上記と同様の
問題が生じる恐れがあった。

（発明の目的） 本発明は、上述の事情に鑑み、金属製係合部に他相の電
線の電流が流れた場合でも局部的なアーク放電が生じな
いようにした所謂アーマーグリップ方式の電線把持部を
有する架空送電線用付属部品を提供することを目的とす
るものである。

（発明の構成） 本発明は上述の目的を達成するため、次のような構成と
したものである。即ち、本発明はアームの先端に設けた
電線に係合する金属製係合部と該係合部の内外表面に被
覆したゴム状弾性体とからなる電線把持体を、電線に係
合させると共に、ヘリカルロッドを電線把持体外周から
電線に巻付けて電線に把持固着した電線把持部を有する
架空送電線用付属部品において、前記電線とアームとに
電気的に接触させて導電性金属板を取り付け、かつヘリ
カルロッドのうちの少なくとも１本を、その中間を前記
導電性金属板の内側に挿通接触させると共にその両端部
を電線に巻き付けて取り付けた電線把持部を有するもの
である。

（実施例） 本発明の一実施例を第１図及び第２図に基づき説明す
る。

図は本発明を架空送電線用付属部品である電線の捻れ防
止器の電線把持部に適用した例を示したものである。

図において(1)は電線、(2)は重錘、(3)は重錘(2)を電線
(1)に取付けるための電線把持体を示す。

電線把持体(3)は重錘(2)の対向側面に揺動可能に取付け
たアーム(4)(5)の先端に設けた金属製係合部と(6)(7)
と、該金属製係合部と(6)(7)の内外表面に被覆したゴム
状弾性体(8)(9)とから構成される。

アーム(4)(5)はアルミニウムからなり、その下端は重錘
(2)の対向側面に夫々ボルトを介して揺動可能に取付
け、上端にはフック状に折曲げて電線(1)と係合するよ
うに形成した金属製係合部(6)(7)を設けてある。この係
合部(6)(7)の内外表面及び側面即ち全表面にはゴム状弾
性体(8)(9)をモールディングにより一体的に被覆してあ
る。ゴム状弾性体(8)(9)としてはクロロプレンゴム、シ
リコンゴム等が採用される。

更に上記アーム(4)(5)の上端に設けてなる、ゴム状弾性
体(8)(9)を被覆した金属製係合部(6)(7)は、その開口方
向が相互に対向するようにしてあると共に、第２図に示
すようにこれらを電線(1)に係合した際、これらが電線
(1)上に隣接して並ぶように、その相対的位置をずらし
てある。

このように構成した電線把持体(3)は第１図及び第２図
に示すように、ゴム上弾性体(8)(9)を被覆した金属製係
合部(6)(7)を電線(1)に吊下げる如く係合させると共
に、この電線把持体(3)の外周即ちゴム状弾性体(8)(9)
の上から複数本のヘリカルロッド(10)を電線(1)に巻付
けて電線(1)に把持固着させて電線把持部を構成してい
る。この状態においては電線(1)と金属製係合部(6)(7)
とはゴム状弾性体(8)(9)を介して接続している。従って
両者間は絶縁状態になっている。

更に本発明は電線(1)とアーム(4)(5)とに電気的に接触
させて導電性金属板(12)例えばアルミニウム板を取り付
け、かつヘリカルロッド(10)のうちの少なくとも１本の
ヘリカルロッド(13)を、その中間を前記導電性金属板の
内側に挿通接触させると共にその両端部を電線に巻き付
けて取り付けて電線把持部を構成してある。

上記のように、電線(1)とアーム(4)(5)とに電気的に接
触させて導電性金属板(12)を取り付け、かつヘリカルロ
ッド(13)を、その中間を前記導電性金属板の内側に挿通
接触させると共にその両端部を電線に巻き付けたので、
電線(1)と金属製係合部(6)(7)とを電気的に同電位とす
ることができる。またヘリカルロッド(13)と導電性金属
板(12)および導電性金属板(12)と電線(1)との接触面積
をそれぞれ増大させることができる。

このように導電性金属板(12)は電線(1)と金属製係合部
(6)(7)とのバイパス回路(11)として作用する。

上記導電性金属板(12)の外面と電線(1)との接触構造
は、第１図に示す如く導電性金属板(12)の上端を開放ル
ープ状に折曲げると共に、この開放ループ状部内に、導
電性ヘリカルロッド(13)の中間部を挿通接触させると共
にその両端部を電線(1)に巻き付けて取り付けることに
より、導電性金属板(12)のループ状部を電線(1)に押付
けて、その導電性を確保している。

従って、電線(1)と金属製係合部(6)(7)とは、電線(1)−
導電性金属板(12)−アーム(4)(5)−金属製係合部(6)(7)
の回路と、電線(1)−ヘリカルロッド(13)−導電性金属
板(12)−アーム(4)(5)−金属製係合部(6)(7)との回路に
より、電気的に同電位になっている。

（第２実施例） 次に本発明の第２実施例を、第３図に基づき説明する。

図は第１図及び第２図に示した本発明に係る架空送電線
用付属部品である電線の捻れ防止器において、その導電
性金属板(12)を変形した例を示したものである。

即ち、この第３図に示したものは導電性金属板(12)を、
その下端を一方のアーム(4)にのみ抱持させ、上端を開
放ループ状に折曲げ、この開放ループ部内に電線(1)に
巻付けたヘリカルロッド(13)を収納したものである。

したがって導電性金属板(12)がバイパス回路(11)として
作用し、電線(1)と金属製係合部(6)(7)とを同電位にす
ることができる。また、ヘリカルロッド(13)と導電性金
属板(12)および導電性金属板(12)と電線(1)との接触面
積をそれぞれ増大させてこれらに電気的接触の安定性を
向上させたものである。

尚、導電性金属板は、ボンド線のような線も含むもので
ある。

更に、本発明はスプーサ、ダンパ等のように電線把持部
を有する架空送電線用付属部品に適用し得るものであ
る。

（発明の効果） 以上説明のように、本発明はアームの先端に設けた電線
に係合する金属製係合部と該係合部の内外表面に被覆し
たゴム状弾性体とからなる電線把持体を、電線に係合さ
せると共に、ヘリカルロッドを電線把持体外周から電線
に巻付けて電線に把持固着した電線把持部を有する架空
送電線用付属部品において、前記電線とアームとに電気
的に接触させて導電性金属板を取り付け、かつヘリカル
ロッドのうちの少なくとも１本を、その中間を前記導電
性金属板の内側に挿通接触させると共にその両端部を電
線に巻き付けて取り付けた電線把持部を有するので、電
線と金属製係合部とを同電位にすることができる。した
がって、電線が振動し他相の電線が架空送電線用付属部
品であるスペーサのフレームや捻れ防止器のアーム等に
接触し、この他相の電流が金属製係合部に流れた場合で
も、ゴム状弾性体を介して電線に流れることは極めて少
なく、特にヘリカルロッドと導電性金属板および導電性
金属板と電線との接触面積がそれぞれ増大しており電流
容量が大きいので、殆どが導電性金属板を介して電線に
流れる。従って、金属製係合部と電線との間で局部的ア
ーム放電が生じることが殆どなくもって電線の溶断等が
生じることがなくなる。

しかも、電線と金属製係合部との間及び金属製係合部と
ヘリカルロッドとの間にはゴム状弾性体が介在している
ので、電線の振動抑止及び金属製係合部と電線若しくは
ヘリカルロッドとの間の接触摩耗を防止し得る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る架空送電線用付属部品の一実施例
を示す正面図、第２図は同側面図、第３図は第２の実施
例を示す正面図である。 (1)は電線、(2)は重錘、(3)は電線把持体、(4)(5)はア
ーム、(6)(7)は金属製係合部、(8)(9)はゴム状弾性体、
(10)(13)はヘリカルロッド、(12)は導電性金属板。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き 審判の合議体 審判長 本田 紘一 審判官 柿沢 恵子 審判官 木内 高彦 (56)参考文献 実開 昭53−135592（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭58−626（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】アームの先端に設けた、電線に係合する金
   属製係合部と該係合部の内外表面に被覆したゴム状弾性
   体とからなる電線把持体を、電線に係合させると共に、
   ヘリカルロッドを電線把持体外周から電線に巻付けて電
   線に把持固着した電線把持部を有する架空送電線用付属
   部品において、前記電線とアームとに電気的に接触させ
   て導電性金属板を取り付け、かつヘリカルロッドのうち
   の少なくとも１本を、その中間を前記導電性金属板の内
   側に挿通接触させると共にその両端部を電線に巻き付け
   て取り付けた電線把持部を有する架空送電線用付属部
   品。