JP2880279B2 - 絶縁ジャンパー装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、架空送電線の耐張鉄塔部に取り付けられる
ジャンパー装置に関するものである。

〔従来技術とその課題〕

架空送電線路ではカラスなどの大型鳥類による地絡事
故が発生することがある。すなわち、カラス等の大型鳥
類は22〜77KV程度の比較的相間クリアランスの小さい鉄
塔に好んで営巣する傾向があり、営巣時期には巣材とし
て長い針金などをくわえて鉄塔アームの先端などに止ま
ることがあり、時としてこの針金がジャンパー線に接触
または接近して地絡事故を引き起こしていた。

このため、こうした事故が起きそうな箇所には、針山
や風車などを設置するとか、テグスを張り巡らす等の対
策がとられているが、これらの対策は間接的である上、
カラスなどは学習能力があるため、一時的には効果があ
っても、慣れてしまうとほとんど効果が期待できない。

またジャンパー線に絶縁被覆を被せることも考えられ
るが、絶縁被覆を被せるとジャンパー線の放熱性がわる
くなって電流容量が低下するため、ジャンパー線に１ラ
ンク上の電線を使用しなければならない等の不都合があ
った。

〔課題の解決手段〕

本発明は、上記のような従来技術の課題を解決したジ
ャンパー装置を提供するもので、その構成は、それぞれ
一端にジャンパー端子を、他端にジャンパー線クランプ
を圧着した２本のジャンパー線を、ジャンパー端子側の
一部を残してオーバーラップさせ、各々のジャンパー線
クランプで相手方のジャンパー線を把持すると共に、ジ
ャンパー線のオーバーラップ部分に絶縁被覆を被せたこ
とを特徴とするものである。

〔作用〕

このジャンパー装置は、ジャンパー線のオーバーラッ
プ部分すなわち長手方向中間部分に絶縁被覆が被せてあ
るので、カラスなどがくわえて来た針金などが接近また
は接触しても地絡事故が起こらない。

またジャンパー線のオーバーラップ部分では、電流が
オーバーラップしたジャンパー線に半分ずつ流れるの
で、発熱量が少なく、絶縁被覆が被せあっても、電流容
量が不足することはない。

さらにジャンパー線クランプで相手方のジャンパー線
を把持する位置を変えることにより、全体の長さすなわ
ち鉄塔アームとのクリアランスを調節することも可能で
ある。

〔実施例〕

以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明す
る。

図−１は本発明の一実施例を示す。この絶縁ジャンパ
ー装置は、一端にジャンパー端子1Aを、他端にジャンパ
ー線クランプ2Aを圧着した第一のジャンパー線3Aと、同
様に一端にジャンパー端子1Bを、他端にジャンパー線ク
ランプ2Bを圧着した第二のジャンパー線3Bとを備えてお
り、この２本のジャンパー線3A、3Bを、ジャンパー端子
1A、1B側の一部を残してオーバーラップさせ、各々のジ
ャンパー線クランプ2A、2Bで相手方のジャンパー線3B、
3Aを把持すると共に、ジャンパー線3A、3Bのオーバーラ
ップ部分に絶縁被覆4A、4Bを被せたものである。

絶縁被覆4A、4Bは、ポリエチレンまたはエチレンプロ
ピレンゴムなどからなるポリマーチューブ、あるいは自
己融着性を有するポリマーテープを所要の絶縁厚さにな
るようにラップ巻きしたもの等である。

図−２は上記絶縁ジャンパー装置の使用状態を示す。
５は鉄塔アーム、6A、6Bは耐張碍子連、7A、7Bは引留ク
ランプ、8A、8Bは架空送電線である。図示のように上記
絶縁ジャンパー装置は、その両端のジャンパー端子1A、
1Bを引留クランプ7A、7Bに取り付け、ジャンパー線クラ
ンプ2A、2Bによるジャンパー線3B、3Aの把持位置を変え
ることにより、全体の長さすなわち鉄塔アーム５とのク
リアランスを調節できるものである。また取り付けた状
態では中間部が絶縁被覆4A、4Bで覆われた状態となるた
め、たとえカラスなどが針金をくわえたまま鉄塔アーム
５に止まっても地絡事故を起こすことがなくなる。

図−２から明らかなように各ジャンパー線3A、3Bの長
さは、ジャンパー装置として必要な全長より短く、その
全長の２分の１より長い、適当な長さとすればよい。

図−３ないし図−５はジャンパー端子1Aの引留クラン
プ7Aへの取付け構造の一例を示す。ここでは一端側のジ
ャンパー端子1Aについて説明するが、他端側のジャンパ
ー端子1Bも同じ構造である。

ジャンパー端子1Aは、断面六角形に圧縮された引留ク
ランプ7Aの外周に装着される筒部11を有している。この
筒部11は、軸線方向にアリ溝12を形成した本体部13と、
そのアリ溝12に差し込まれる蓋部14とからなり、本体部
13に引留クランプ7Aを収納した後、蓋部12をアリ溝12に
差し込むことにより、引留クランプ7Aの外周に装着さ
れ、その外周から圧縮することにより引留クランプ7Aに
圧着されるものである。圧縮前の断面形状は図−５のと
おりであり、これを圧縮すると図−３および図−４のよ
うになる。

引留クランプ7Aの表面はジャンパー端子1Aの筒部11を
装着する前にワイヤーブラシ等で磨いた後、グリース等
を塗布しておくとよい。

ジャンパー端子の構造は上記のものに限定するもので
はないが、本発明の絶縁ジャンパー装置は、既設のジャ
ンパー装置と交換して使用される場合が多く、ジャンパ
ー端子を送電線に圧着する構造では、送電線表面に酸化
被膜などが出来ていて接触抵抗の増大により過熱事故を
起こす危険性があるので、表面洗浄の容易な引留クラン
プに圧着する方式が望ましい。

なおジャンパー線3A、3Bのオーバーラップ部分は図−
６に示すように互いに撚り合わせておけば、その部分の
剛性が増し、風圧による横振れが小さくできる。

〔発明の効果〕

以上説明したように本発明に係る絶縁ジャンパー装置
は、鉄塔アーム下の中間部が絶縁被覆で覆われた構造で
あるため、カラス等の大型鳥類が針金等をくわえて鉄塔
アーム部に止まり、その針金等が垂れ下がったとして
も、地絡事故が発生することがなくなり、架空送電線路
の信頼性を向上させることができる。また中間部で２本
のジャンパー線がオーバーラップする構造であるので、
電流は２本のジャンパー線に分流し、発熱量が少なくな
るため、絶縁被覆が被せてあっても過熱する危険性はな
く、十分な電流容量を確保できる。さらにジャンパー線
クランプの把持位置を変えることにより全体の長さが調
節可能であるので、１種類のジャンパー装置で多くの鉄
塔に対応することができ、量産が可能で、経済的であ
る。

【図面の簡単な説明】

図−１は本発明の一実施例に係る絶縁ジャンパー装置の
側面図、図−２は同装置の使用状態を示す側面図、図−
３は同装置におけるジャンパー端子の引留クランプへの
取付け構造を示す側面図、図−４は図−３のIV−IV線断
面図、図−５は図−４と同じ部分の圧縮前の断面図、図
−６は本発明の他の実施例に係る絶縁ジャンパー装置の
中間部を示す側面図である。 1A、1B:ジャンパー端子 2A、2B:ジャンパー線クランプ 3A、3B:ジャンパー線 4A、4B:絶縁被覆

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】それぞれ一端にジャンパー端子を、他端に
   ジャンパー線クランプを圧着した２本のジャンパー線
   を、ジャンパー端子側の一部を残してオーバーラップさ
   せ、各々のジャンパー線クランプで相手方のジャンパー
   線を把持すると共に、ジャンパー線のオーバーラップ部
   分に絶縁被覆を被せたことを特徴とする絶縁ジャンパー
   装置。
2. 【請求項２】請求項１記載の絶縁ジャンパー装置であっ
   て、ジャンパー線のオーバーラップ部分が互いに撚り合
   わされているもの。