JP6062186B2 - 分岐鉄塔の架空線工事方法 - Google Patents

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Description

本発明は、分岐鉄塔の架空線工事方法に関するものである。
架空送電線の線路が途中で分岐する場合、その分岐点には分岐鉄塔が設置される。この分岐鉄塔は腕金を備え、三方に延びる架空送電線のそれぞれの端部を碍子を介して個別に支持している。また、分岐鉄塔は、その頂上部で架空送電線と同様に三方に延びる雷サージ対策のための架空地線を支持している。なお、以下の説明では、架空送電線と架空地線とを総称する場合に単に「架空線」というものとする。
そして、それぞれの架空送電線は、略T字状であって三方に延びるジャンパー線により連結が図られている(例えば、特許文献1の図2のジャンパー線)。
このジャンパー線は、一般に、二本の架空送電線に両端部が接続される主線と、残る一本の架空送電線に接続される分岐線と、主線の中間において分岐線を連結するT字状の分岐スリーブとから作られている。
ところで、上述の分岐鉄塔のいずれか一方の送電線路側で鉄塔補修工事や鉄塔の建て替え工事等の為に区間分断を行う場合や、架空線の張り替え工事の際に張り替え対象の架空線とジャンパー線との安全距離を確保する場合等、種々の場合に、ジャンパー線の経路の変更が必要となることがある。
その場合には、上記ジャンパー線は各架空送電線との接続部から取り外され、代わりに、適切な経路を辿る仮設のジャンパー線が取り付けられる。
そして、工事が終わり、元の状態に復旧させる場合には、仮設のジャンパー線が取り外され、もとのジャンパー線が再び各架空送電線に接続されていた。
特開2002−199563号公報
仮設のジャンパー線を敷設する際には、一方の架空送電線の接続部から他方の架空送電線の接続部までの間で地絡などが生じないように適切な経路を定める必要がある。また、ジャンパー線は、弛みなどが生じないように適切な長さとする必要があるため、分岐鉄塔の各部の寸法を計測する必要がある。
また、上記の事情により、仮設のジャンパー線は、作業現場で適切な長さのものを作り出す必要がある。
仮設のジャンパー線の取り付け作業中は、いずれの架空送電線にも通電を行うことができなくなるため、当該作業は速やかに行う必要がある。
しかしながら、仮設のジャンパー線は作業現場で作り出す必要があるので、仮設のジャンパー線の取り付け作業の遅れの原因となっていた。
さらに、仮設のジャンパー線は、取り付けが行われる作業現場ごとに適切な長さが異なるため、使い回しを行うことができず、取り外された後には廃棄されているため、経済性が悪いという問題があった。
本発明は、作業時間を短縮し、経済性の良い分岐鉄塔の架空線工事方法を提供することを、その目的とする。
分岐鉄塔の架空線工事方法にかかる本発明は、既設のジャンパー線により全てが導通接続された三方向の架空送電線を支持すると共に架空地線が装備された分岐鉄塔の前記架空送電線又は前記架空地線の張り替えを行う架空線工事方法であって、前記既設のジャンパー線を各々の前記架空送電線から取り外す工程と、端部同士をオーバーラップさせて連結した複数のジャンパー線からなる長さ調節可能な仮設ジャンパー装置により少なくともいずれか二つの前記架空送電線を接続する工程と、前記架空送電線又は前記架空地線の張り替え後に前記仮設ジャンパー装置を取り外す工程と、前記既設のジャンパー線又は新規のジャンパー線により前記三方向の架空送電線を再接続する工程とを有することを特徴とする。
なお、上記発明では、架空送電線と架空地線とを総称して「架空線」というものとする。
上記架空線工事方法で用いる仮設ジャンパー装置は、端部同士をオーバーラップさせて連結した複数のジャンパー線からなるので、オーバーラップ部分の長さを変えることでその長さ調節を容易に行うことができる。従って、新しく適正な長さのジャンパー線を作る手間を省略することができ、作業時間を短縮して速やかに工事を進めることが可能となる。
さらに、仮設ジャンパー装置は、架空線工事の際に毎回適切な長さに調節可能であるため、繰り返し使い回すことができ、工事のコスト低減を図ることが可能となる。
また、上記発明において、前記分岐鉄塔に仮設のアーム部材を装備する工程と、前記アーム部材の先端部で前記仮設ジャンパー装置のジャンパー線の途中部分を支持させる工程と、前記仮設ジャンパー装置の取り外し後に前記アーム部材を前記分岐鉄塔から撤去する工程とを加えても良い。
分岐鉄塔の架空線工事では、いずれといずれの架空送電線を接続するかによっては既設のジャンパー線と同じ経路で仮設ジャンパー装置を設置すると、経路長が冗長となる場合がある。また、張り替え中に架空送電線又は架空地線と仮設ジャンパー装置とが地絡が危惧される程接近することが予想される場合がある。
そのような場合に、上記架空線工事方法では、既設のジャンパー線と異なる経路上にアーム部材を仮設することで、地絡防止を図りつつ仮設ジャンパー装置をより短い経路で取り付けることが可能となる。或いは、張り替える架空送電線又は架空地線から離れた場所に仮設ジャンパー装置を取り付けて、仮設ジャンパー装置との地絡の発生を効果的に回避することが可能となる。
また、アーム部材は分岐鉄塔に対して仮設的に取り付けられるので、工事終了の際に撤去することも可能である。
また、上記発明において、予め用意した複数種のアダプタ部材中から架空送電線に設けられた被接続部に接続可能なものを選択し、当該選択したアダプタ部材を介して前記架空送電線に接続する作業を行ってもよい。
上記架空線工事方法では、適宜アダプタ部材を選択することで、接続構造が異なる架空送電線に仮設ジャンパー装置を接続することが可能となる。このため、仮設ジャンパー装置をより多くの現場で使用することが可能となり、さらなる工事のコスト低減を図ることが可能となる。
分岐鉄塔の架空線工事方法に適した仮設ジャンパー装置にかかる本発明は、複数のジャンパー線と、複数の前記ジャンパー線の端部同士を互いにオーバーラップさせて連結するクランプ部材と、前記連結されたジャンパー線の両端部を個々の架空送電線に接続する接続端子とを備え、前記クランプ部材を、前記オーバーラップさせた部分の両端部にそれぞれ装備したことを特徴とする。
上記仮設ジャンパー装置では、クランプ状態を解除することで容易にオーバーラップ部分の長さを変えて、容易に仮設ジャンパー装置の全長を調節することが可能になる。
ジャンパー線を三本以上を用いてオーバーラップ部分を二箇所以上にすると、二本のジャンパー線を連結する場合に比べて、より長く調節したり、個々のオーバーラップ部分の長さをより短くすることが可能となる。
これにより、各オーバーラップ部分の両端部に装備されたクランプ部材の一端側のクランプ部材に故障が生じた場合でも、ジャンパー線の端部の垂れ下がる長さが十分に短くなり、地絡の発生をより効果的に低減することが可能となる。
特に、奇数本のジャンパー線を連結した場合には、オーバーラップ部分が連結されたジャンパー線の丁度中間となる位置からずれて点在する。このため、分岐鉄塔に碍子などを介して取り付ける場合に、オーバーラップ部分を避けてジャンパー線の単線部分を支持しやすく、取り付け作業を容易に行うことが可能である。
また、仮設ジャンパー装置の各オーバーラップ部分の両端部であって前記ジャンパー線の前記接続端子とは逆側の端部の先端より接続端子側の位置には、それぞれ複数のクランプ部材を装備することが望ましい。
このようにオーバーラップ部分の両端部をそれぞれ複数のクランプ部材で連結すると、複数のクランプ部材うちの一部のものが外れても、他のクランプ部材がジャンパー線を保持するので、ジャンパー線の端部の垂れ下がりを最小限に抑制でき、地絡の発生をより効果的に防止できる。
また、上記仮設ジャンパー装置の接続端子には、前記架空送電線側に設けられた被接続部に接続するための交換可能なアダプタ部材を設けても良い。
このようにアダプタ部材を設けると、架空送電線側に設けられた被接続部の取り付け構造に適したアダプタ部材に交換することで接続端子を架空送電線に接続することができ、仮設ジャンパー装置の汎用性をより向上することが可能となる。
また、上記発明において、それぞれの前記ジャンパー線の前記クランプ部材が設けられる端部側の先端に導体又は半導体性のキャップ部材を被せても良い。
このようにキャップ部材を設けると、ジャンパー線の先端からのコロナ放電の発生を効果的に抑制することが可能となる。
以上のように、本発明は、作業時間を短縮して速やかに工事を進めることでき且つ経済性の良い分岐鉄塔の架空線工事方法及び仮設ジャンパー装置を提供することが可能となる。
第一の実施形態における架空線工事の対象となる分岐鉄塔の斜視図である。 分岐鉄塔の腕金に対する架空送電線の接続状態を示した説明図である。 架空送電線に装備された引き留めクランプの拡大図である。 仮設ジャンパー装置の正面図である。 仮設ジャンパー装置のジャンパー線のオーバーラップ部分の端部における拡大図である。 図4の状態から長さを伸ばした状態の仮設ジャンパー装置の正面図である。 仮設ジャンパー装置の架空送電線との接続端部の拡大図である。 図8(A)は仮設ジャンパー装置のアダプタ部材の正面図、図8(B)は側面図である。 図8と二叉部の構造が異なるアダプタ部材の側面図である。 仮設ジャンパー装置取り付け後の分岐鉄塔の斜視図である。 第二の実施形態にかかる仮設ジャンパー装置の正面図である。 第三の実施形態にかかる仮設ジャンパー装置の正面図である。 図12の仮設ジャンパー装置を畳んだ状態を示す図である。 第四の実施形態における架空線工事の対象となる分岐鉄塔の斜視図である。 図14の分岐鉄塔の側面図である。 図14の分岐鉄塔の平面図である。 仮設ジャンパー装置装備後の図14の分岐鉄塔の斜視図である。 図17の分岐鉄塔の側面図である。 図17の分岐鉄塔の平面図である。 アーム部材の取り付け状態を示す説明図である。 仮設ジャンパー装置及びジャンパー線を架空送電線に接続するためのアダプタ部材の側面図である。 仮設ジャンパー装置及びジャンパー線を架空送電線に接続する方法の他の例を示した図である。
[第一の実施形態]
本発明の第一の実施形態として、分岐鉄塔の架空線工事方法及びこれに好適な仮設ジャンパー装置について図面を参照して説明する。
[分岐鉄塔]
図1に示すように、分岐鉄塔100は、主材101から水平方向片側に向かって延出された三本の腕金102を有している。これらの腕金102は、三相交流の各相に個別に対応しており、当該各腕金102及びこれらに接続される架空送電線の接続構造はいずれも同一であるため、一つの腕金102についてのみ説明する。
腕金102は、その先端部において碍子104を介して三方からの架空送電線の端部を支持している。これらの架空送電線は、若番側架空送電線111a,老番側架空送電線111b,分岐側架空送電線111cからなる。以下、これらを特に区別する必要がない場合には総称して架空送電線111というものとする。
若番側架空送電線111aと老番側架空送電線111bは、それぞれ、腕金102の延出方向に直交する方向の一方と他方とに向かって延びており、分岐側架空送電線111cは、腕金102の延出方向に向かって延びている。
各架空送電線111は、図2に示すように、碍子104側の端部に引き留めクランプ112が装備されている(図2では分岐側架空送電線111cの図示を省略している)。
この引き留めクランプ112は、図3に示すように、一端部には碍子104に連結するためのボルト挿入孔112aが形成され、他端部には架空送電線111の端部を挿入する有底の挿入穴112bが形成されている。この挿入穴112bに架空送電線111を挿入した状態で、コンプレッサーに接続された圧縮機により外側から圧縮を行い、塑性変形により架空送電線111への固定を行っている。
また、引き留めクランプ112の一端部近傍には、その長手方向に直交する方向に向かって延出された被接続部112cを備えている。この被接続部112cは、略平板状であって、表裏を貫通するボルト挿入孔(図示略)が複数形成されており、後述するジャンパー線120及び後述する仮設ジャンパー装置10との接続が可能となっている。
引き留めクランプ112は、例えばアルミ合金、その他の良導体から形成されており、架空送電線111とジャンパー線120との導通を図っている。
[ジャンパー線]
上述した若番側架空送電線111a,老番側架空送電線111b,分岐側架空送電線111cは、図2に示す三叉構造のジャンパー線120により相互の導通が図られている。
このジャンパー線120は、若番側架空送電線111aと老番側架空送電線111bとに接続される本線121と、分岐側架空送電線111cに接続される分岐線122と、本線121と分岐線122とを連結するT字形の分岐スリーブ123とを備えている。
上記本線121と分岐線122は、いずれも、ACSR(鋼心アルミ撚り線)で形成されている。
分岐スリーブ123は、本線121を貫通させる円筒部123aと、円筒部123a外周面から直交する方向に向かって延出された分岐部123bとからなり、これらがアルミ合金のような良導体により一体的に形成されている。
円筒部123aは、本線121を貫通させた状態で外部から前述した圧縮機で圧縮して塑性変形により本線121を固定している。
分岐部123bは、分岐線122の一端部が挿入される有底の挿入穴が形成されており、当該挿入状態で圧縮機により圧縮して塑性変形により分岐線122を固定している。
上記本線121の両端部のそれぞれには、図3に示すように、前述した架空送電線111の引き留めクランプ112の被接続部112cに連結するための接続端子としてのジャンパーソケット124が装備されている。分岐線122の分岐スリーブ123とは逆側の端部にも、同様にジャンパーソケット124が装備されている。
このジャンパーソケット124は、アルミ合金のような良導体で形成されており、一端部に本線121又は分岐線122の端部を挿入する有底の挿入穴124aが形成されている。そして、この挿入穴124aに本線121又は分岐線122の端部を挿入した状態で圧縮機により圧縮することで塑性変形により本線121又は分岐線122に対してジャンパーソケット124を固定している。
また、ジャンパーソケット124の他端部は、二叉状となるようにスリット124bが形成されると共に当該スリット124bに直交する方向に図示しないボルト挿入孔が貫通形成されている。そして、スリット124bに引き留めクランプ112の被接続部112cを挿入し、相互のボルト挿入孔を一致させた状態でボルト125を通してナット126により締結することで、引き留めクランプ112に対する本線121及び分岐線122の連結を行っている。なお、ジャンパーソケット124には図示しないボルト125の回り止めの突起が形成されており、ナット126側には図示しないバネ座金が介挿され、ボルト125の緩み防止が図られている。
[架空地線]
また、図1に示すように、分岐鉄塔100は、その頂上部において、引き留めクランプ114を介して、三本の架空地線113の端部を支持している。これらの架空地線は、前述した架空送電線111a,111b,111cと同じ方向に向かって沿って延びており、若番側架空地線113a,老番側架空地線113b,分岐側架空地線113cからなる。以下、これらを特に区別する必要がない場合には総称して架空地線113というものとする。
各架空地線113は、いずれも亜鉛メッキ鋼線(又はアルミ覆鋼線)から形成されている。また、各架空地線113を分岐鉄塔100と連結する引き留めクランプ114は、一端部に分岐鉄塔100から引き出された導電性ワイヤーが連結され、他端部に架空地線113の端部が圧縮接続されている。
[分岐鉄塔の架空線工事方法]
上記分岐鉄塔100に支持された三方向分岐送電線において、例えば、架空送電線の張り替えのために、一方向(例えば老番側)の送電線路に対して区間分断を行う場合の架空線工事方法について説明する。
この架空線工事では、一定期間に老番側架空送電線111bに対する送電を中断した後に、再び老番側架空送電線111bに対する送電を復旧させることを前提としている。上記中断期間中は、既設のジャンパー線120が取り外されて、若番側架空送電線111aと分岐側架空送電線111cの間の送電を行う仮設ジャンパー装置10が取り付けられる。
[仮設ジャンパー装置]
仮設ジャンパー装置10は、図4に示すように、第一のジャンパー線11と第二のジャンパー線12とを互いに長手方向に沿って並べてオーバーラップ部分13を形成し、当該オーバーラップ部分13の長さを変えることでその全長の調節を可能としている。
下記の表1は電線の種類を示している。通常の架空送電線として使用される電線は、ACSR(鋼心アルミ撚り線)でサイズが160〜810mm2のものとTACSR(鋼心耐熱アルミ撚り線)でサイズが410〜810mm2がある。
第一及び第二のジャンパー線11,12は、架空送電線のように引っ張り強度を必要としないことから軽量化のために電線種として耐熱アルミ合金撚り線(TAL)を選択し、通常の架空送電線として採り得る最大の電流容量よりも電流容量の大きなサイズ850mm2の電線を使用している。
これにより、仮設ジャンパー装置10は種々の架空線工事の場で使用可能となっている。
Figure 0006062186
第一と第二のジャンパー線11,12には、図4及び図5に示すように、これらを一定の間隔で連結するクランプ部材としてのスペーサ14及びPGクランプ(parallel-groove clamp)15を一組として、オーバーラップ部分13の両端部にそれぞれ一組づつ設けられている。
上記スペーサ14とPGクランプ15はいずれも、良導体からなり、第一のジャンパー線11と第二のジャンパー線12との導通を図っている。
また、スペーサ14とPGクランプ15はいずれも、合わせ構造の二部材でジャンパー線11,12を挟み込んでボルトの締結により保持する構造となっており、二部材の対向面には二本のジャンパー線11,12が嵌合する溝が形成されている。
また、スペーサ14とPGクランプ15はボルトを緩めることで、各ジャンパー線11,12をその長手方向に沿って移動させたり、各ジャンパー線11,12をその長さ方向を軸にして回したりすることが可能であることから、オーバーラップ部分13の長さを任意の長さに調節することができる。例えば、図4のように、オーバーラップ部分13の長さを長くすると仮設ジャンパー装置10の全長を短くすることができ、図6のように、オーバーラップ部分13の長さを短くすると、仮設ジャンパー装置10の全長を長くすることができる。
また、オーバーラップ部分13の両端部のいずれにも、隣接配置されたスペーサ14及びPGクランプ15が設けられているので、スペーサ14とPGクランプ15の何れか一方からジャンパー線11又は12が外れた場合にでも、他方のスペーサ14又はPGクランプ15が保持し、ジャンパー線11又は12の端部の垂れ下がりの発生を低減することができる。
上記第一及び第二のジャンパー線11,12は、架空送電線111との接続端部とは逆側の端部に、その先端を覆う略球状のキャップ部材16が装着されている。このキャップ部材16は、導体又は半導体、例えば、金属や半導体樹脂から形成されている。これにより、各ジャンパー線11,12の先端に角や凸部がある場合でも、コロナ放電の発生を効果的に防止している。
また、第一及び第二のジャンパー線11,12は、いずれも、架空送電線111との接続端部に、前述したジャンパーソケット124(図3参照)と同じ構造のジャンパーソケット17を備えている。そして、このジャンパーソケット17は、図7に示すように、アダプタ部材18を介して架空送電線111の引き留めクランプ112の被接続部112cに連結される。
アダプタ部材18は、図7及び図8に示すように、一端部にジャンパーソケット17のスリット171の隙間間隔に略一致する厚さの平板部181を備えている。この平板部181には、ジャンパーソケット17側のボルト挿入孔(図示略)と穴数、配置及び内径が一致するボルト挿入孔182が形成されている。そして、ジャンパーソケット17と平板部181のボルト挿入孔の位置を合致させた状態でボルト172を挿入し、ナット173との締結により、ジャンパーソケット17とアダプタ部材18とを連結する構造となっている。アダプタ部材18はジャンパーソケット17に対してボルト172とナット173により連結されているので、ジャンパーソケット17から取り外して交換することが可能となっている。
なお、このジャンパーソケット17にも、図示しないボルト172の回り止めの突起が形成されており、ナット173側には図示しないバネ座金が介挿され、ボルト172の緩み防止が図られている。
さらに、アダプタ部材18は、他端部に引き留めクランプ112の被接続部112cの厚さに略一致する隙間間隔のスリット183が形成された二叉部184を備えている。この二叉部184には、被接続部112c側のボルト挿入孔(図示略)と穴数、配置及び内径が一致するボルト挿入孔185が形成されている。そして、二叉部184と被接続部112cのボルト挿入孔の位置を合致させた状態でボルト186を挿入し、ナット187との締結により、アダプタ部材18と引き留めクランプ112を連結する構造となっている。なお、このアダプタ部材18もボルト186とナット187とを緩めることで引き留めクランプ112から取り外し可能である。さらに、二叉部184には、ボルト186の回り止めの突起188が形成されており、ナット173側にはバネ座金189が介挿され、ボルト186の緩み防止が図られている。
上記アダプタ部材18は、図8、図9に示すように、平板部181の寸法及び構造を変えずに、二叉部184の寸法や構造(例えば、スリット183の隙間間隔やボルト挿入孔185の穴数、配置及び内径等)を、提供されている引き留めクランプ112の種類に対応して、変更したものが複数種類用意されている。
そして、架空送電線111に設けられている引き留めクランプ112の被接続部112cの寸法や構造が異なる場合でも、これに対応するアダプタ部材18に交換することで、仮設ジャンパー装置10をより多くの種類の架空送電線に連結することが可能となっている。
[工事方法の手順]
上記仮設ジャンパー装置10を用いた区間分断を行うための架空線工事の手順について説明する。
図1の分岐鉄塔100において、各架空送電線111の引き留めクランプ112に取り付けられているジャンパーソケット124(図2参照)を外し、既設のジャンパー線120を撤去し保管する(既設のジャンパー線の取り外し工程)。
次に、仮設ジャンパー装置10を分岐鉄塔100の上部へ運搬する作業と、仮設ジャンパー装置10の必要長さを算出し、長さを調節する作業とを行う。
仮設ジャンパー装置10の必要長さは、その一端部の連結位置から他端部の連結位置までの経路長、仮設ジャンパー装置10の垂れ下がり量の許容値などから総合的に算出することが可能である。事前に仮設ジャンパー装置10の必要長さを算出するための計測作業が可能であれば、運搬を行う前に地上で仮設ジャンパー装置10の長さ調節作業を完了させておくことも可能である。
また、実際に取り付け箇所で仮設ジャンパー装置10の長さ調節を行う必要がある場合や取り付け箇所での微調整が必要な場合には、運搬作業後の仮設ジャンパー装置10の長さ調節作業を行うことも可能である。
具体的には、仮設ジャンパー装置10の長さ調節は、図4及び図6に示すように、各ジャンパー線11,12のオーバーラップ部分13の両側においてそれぞれのスペーサ14及びPGクランプ15のボルトを緩め、ジャンパー線11,12を移動してオーバーラップ部分13の長さを変更調節する。そして、仮設ジャンパー装置10の全長を目標長さに合わせ、各ボルトを締めて全てのスペーサ14及びPGクランプ15を固定することで作業が完了する。
次に、図7に示すように、区間分断を行わない架空送電線111aと架空送電線111cの引き留めクランプ112に仮設ジャンパー装置10を連結する作業を行う(仮設ジャンパー装置により二つの架空送電線を接続する工程)。
仮設ジャンパー装置10の両端部のジャンパーソケット17には、引き留めクランプ112の被接続部112cに対応するアダプタ部材18を地上で予め装備しておくことが望ましい。
そして、それぞれのアダプタ部材18のスリット183に引き留めクランプ112の被接続部112cを挿入させた状態でボルト186とナット187を締結させて、各架空送電線111a,111cに仮設ジャンパー装置10の一端部と他端部とを連結する。
これにより、図10に示すように、架空送電線111aと架空送電線111cとが仮設ジャンパー装置10により連結される。そして、老番側架空送電線111b側では送電が停止され、その間、架空送電線111aと架空送電線111cとの間では仮設ジャンパー装置10を介して送電が行われる。
そして、老番側架空送電線111b側の区間分断を終了する場合には、仮設ジャンパー装置10の撤去が行われる。即ち、仮設ジャンパー装置10の両端のアダプタ部材18を若番側架空送電線111aと分岐側架空送電線111cのそれぞれの引き留めクランプ112から取り外す(仮設ジャンパー装置を取り外す工程)。
また、仮設ジャンパー装置10の取り外し作業に前後して、保管されていた既設のジャンパー線120を分岐鉄塔100の上部に運搬する。
さらに、ジャンパー線120の三つのジャンパーソケット124を各架空送電線111a,111b,111cの引き留めクランプ112の被接続部112cに連結する。
これにより、区間分断を行う前の状態に戻り、各架空送電線111a,111b,111cの間での送電が再開される(三方向の架空送電線を再接続する工程)。
なお、上述の場合、保管されていたジャンパー線120を再利用せずに新規のジャンパー線120を利用しても良い。ジャンパー線120の再利用は工事コストの低減に有利だが、ジャンパー線120に劣化が生じた場合や、設置場所が特別に高い信頼性が要求される場合には、新規のジャンパー線120の利用が適している。
[第一の実施形態の技術的効果]
従来、分岐鉄塔100の区間分断のための架空線工事では、鉄塔上で適正な長さのジャンパー線を新しく作成し、区間分断が行われない架空送電線同士を連結する作業が行われていた。このため、鉄塔の上部にジャンパー線にジャンパーソケットを圧縮して取り付けるためのエアーコンプレッサーや圧縮機等までを運搬し、高所で作業を行わねばならなかった。しかしながら、上記仮設ジャンパー装置10を用いた架空線工事方法では、スペーサ14及びPGクランプ15のボルトの締結作業のみによりその長さ調節を行うことが可能であり、エアーコンプレッサーや圧縮機等の機器類の運搬を不要とし、容易且つ迅速な作業を行うことが可能となる。
また、地上で予め仮設ジャンパー装置10の長さ調節を済ませておけば、分岐鉄塔100の上で調節作業を不要とすることができ、さらなる作業性の向上と迅速化を図ることが可能となる。
また、仮設ジャンパー装置10は、長さ調節が可能で、複数のアダプタ部材18を選択装備可能であることから汎用性が高く、より多くの架空線工事において、繰り返し使用することが可能である。そして、これらの工事に際し、ジャンパー線の使い捨てを回避するので、工事コストの低減を図ることが可能である。
また、この第一の実施形態で用いた仮設ジャンパー装置10は、オーバーラップ部分13の両端部にスペーサ14及びPGクランプ15からなるクランプ部材のセットが一組ずつ設けられているので、スペーサ14及びPGクランプ15の一方が外れても、他方のクランプ部材でジャンパー線が保持され、ジャンパー線の端部の垂れ下がりによる地絡の発生をより効果的に防止できる。
なお、クランプ部材の一組は、三つ以上のクランプ部材で構成しても良い。
[第二の実施形態]
仮設ジャンパー装置の他の例について図11に基づいて説明する。
この仮設ジャンパー装置10Aは、主に、架空送電線111に連結される第一と第二のジャンパー線11,12の間に、それらと両端部でオーバーラップ部分13A,13Aを介して連結される第三のジャンパー線19Aを有する点が前述した仮設ジャンパー装置10と異なっている。
以下、この仮設ジャンパー装置10Aについて、前述した仮設ジャンパー装置10と異なる部分について説明し、同一の部分については同一の符号を付して重複する説明は省略するものとする。
前述したように、この仮設ジャンパー装置10Aは、新たに第三のジャンパー線19Aを備えており、奇数本のジャンパー線によって構成されている。そして、オーバーラップ部分13Aはこの第三のジャンパー線19Aの両端部の二箇所に形成されている。また、この第三のジャンパー線19Aは、第一と第二のジャンパー線11,12と同じサイズ850mm2の耐熱アルミ合金撚り線(TAL)を使用している。
また、第三のジャンパー線19Aは、ジャンパーソケット17は備えておらず、その両端部にキャップ部材16が装備されている。
また、それぞれのオーバーラップ部分13Aには、一端部にスペーサ14、他端部にPGクランプ15が設けられ、一つのオーバーラップ部分13Aに対してスペーサ14及びPGクランプ15が一組(クランプ部材が二つ)しか使用されていない点が仮設ジャンパー装置10と異なっている。
この仮設ジャンパー装置10Aは、オーバーラップ部分13Aを二つ備えるので、仮に、長さ調節範囲を前述した仮設ジャンパー装置10と等しくした場合、一つのオーバーラップ部分13Aの長さは仮設ジャンパー装置10のオーバーラップ部分13の約半分にすることができる。従って、オーバーラップ部分13Aにおいてスペーサ14又はPGクランプ15のいずれか一方が外れた場合でも、ジャンパー線19Aの垂れ下がる長さは仮設ジャンパー装置10の場合に比べて十分に短くなり、地絡等の発生を低減することができる。
また、図4及び図6に示した仮設ジャンパー装置10では、オーバーラップ部分13が連結状態にある二本のジャンパー線11,12の中間に位置している。このため、分岐鉄塔100に取り付けた場合に、連結状態にある二本のジャンパー線11,12が垂れ下がると、オーバーラップ部分13は最も低い位置になり、スペーサ14又はPGクランプ15が外れてジャンパー線11又は12の端部が垂れ下がるトラブルがあると、地絡などの発生が生じやすくなる。
一方、仮設ジャンパー装置10Aは、図11に示すように、三本のジャンパー線で構成されているため、それぞれのオーバーラップ部分13Aが、中央部よりジャンパーソケット17寄りとなる。このため、仮設ジャンパー装置10Aを分岐鉄塔100に取り付けた場合でも、各オーバーラップ部分13Aは、最も低くなる中央部より高位置となり、スペーサ14又はPGクランプ15が外れてジャンパー線11又は12の端部に垂れ下がりを生じても、地絡などの発生を抑制することができる。
なお、ジャンパー装置を五本以上の奇数本のジャンパー線で構成した場合も、同様の効果を期待できる。
また、仮設ジャンパー装置10Aがオーバーラップ部分13Aを複数有する場合にも、各オーバーラップ部分13Aの両端部のそれぞれにスペーサ14とPGクランプ15の組を一つずつ設けても良い。
このように、上記仮設ジャンパー装置10Aは、仮設ジャンパー装置10の場合と同様に、容易且つ迅速に工事を進めることができ、工事コストの低減及び地絡の発生を効果的に抑制することが可能である。
[第三の実施形態]
また、仮設ジャンパー装置は、図12に示すように、ジャンパー線を四本以上としても良い。
この仮設ジャンパー装置10Cは、主に、オーバーラップ部分13Aを介して互いの端部が連結された第一〜第四のジャンパー線11,12,19A,20Cを備えている。
以下、この仮設ジャンパー装置10Cについて、前述した仮設ジャンパー装置10,10Aと異なる部分について説明し、同一の部分については同一の符号を付して重複する説明は省略するものとする。
前述したように、この仮設ジャンパー装置10Cは、第三のジャンパー線19Aと第二のジャンパー線12との間に新たに第四のジャンパー線20Cを備えている。この第四のジャンパー線20Cは、第三のジャンパー線19Aと同一のジャンパー線であり、その一端部はオーバーラップ部分13Aを介して第三のジャンパー線19Aと連結され、他端部がオーバーラップ部分13Aを介して第二のジャンパー線12と連結されている。
この仮設ジャンパー装置10Cは、オーバーラップ部分13Aを三つ備えるので、仮設ジャンパー装置10Aと同様にして、オーバーラップ部分13Aの一端部側にスペーサ14を一つ設け、他端側にPGクランプ15を一つ設けることでこれらのいずれか一方が外れた場合でも、地絡等の発生を低減することができる。
また、この仮設ジャンパー装置10Cは仮設ジャンパー装置10Aと同様に、容易且つ迅速に工事を進めることができ、工事コストの低減及び地絡の発生を効果的に抑制することが可能である。また、ジャンパー線の本数を増やしたことにより、より長い区間に仮設ジャンパー装置10Cを掛け渡すことが可能となる。
また、前述したように、スペーサ14及びPGクランプ15はそのボルトを緩めることでジャンパー線を摺動させたり回したりすることができる。このため、各ジャンパー線11,12,19A,20Cの端部位置を揃えて、各スペーサ14及びPGクランプ15が干渉しないようにジャンパー線をその長さ方向を軸にして回動させることで、仮設ジャンパー装置10Cの非使用時には、図13に示すように、コンパクトに縮めて保管することが可能である。
なお、仮設ジャンパー装置10Cのように、全長が長くなる場合に畳んでおくことが有効だが、前述した仮設ジャンパー装置10,10Aについても同様に畳んで保管することは可能である。
また、各スペーサ14及びPGクランプ15はジャンパー線に対して着脱可能であることから、必要に応じて、新たにジャンパー線及びスペーサ14及びPGクランプ15を追加してより長く調節することも可能である。
[第四の実施形態]
本発明の第四の実施形態として、前述した分岐鉄塔100と異なる分岐鉄塔100Bにおける仮設ジャンパー装置10を用いた架空線工事方法について図面を参照して説明する。
この分岐鉄塔100Bは、図14〜図16に示すように、若番側架空送電線111aと老番側架空送電線111bとを支持する第一の腕金102Bと、当該第一の腕金102Bとは反対側に延出され、分岐側架空送電線111cを支持する第二の腕金105Bと、分岐鉄塔100Bにおける若番側を経由して敷設されたジャンパー線120を支持する第三、第四の腕金106B,107Bとが主材101に設けられている。
各架空送電線111が碍子104を介して第一又は第二の腕金102B,105Bに支持されている点及び分岐鉄塔100Bの頂上部で架空地線113a〜113cが支持されている点は前述した分岐鉄塔100と同様である。
ジャンパー線120は、本線121が若番側架空送電線111aと老番側架空送電線111bを連結しており、分岐線122が分岐側架空送電線111cに連結されている。また、分岐線122は、第三、第四の腕金106B,107Bに支持されている。
第三の腕金106Bは、主材101から若番側に向かって延出されており、その先端部に二つの碍子108B,108Bが吊下されている。
第四の腕金107Bは、第三の腕金106Bと第二の腕金105Bとの間に設けられ、その先端部に碍子108Bが吊下されている。
各碍子108Bは、その下端部にジャンパー線120の分岐線122を挟持する支持金具109Bが装備されている。
上記分岐鉄塔100Bに支持された若番側架空地線113aの張り替えを行う場合の架空線工事方法について説明する。
この架空地線の張り替えは、例えば、使用年数の経過により新規のものとの交換の必要が生じた場合や異種の架空地線との交換の必要が生じた場合等に行われる。後者の場合としては、例えば、従前は専ら雷サージを逃がすことを目的とする亜鉛メッキ鋼線からなる電線からOPGW(optical ground wire:光ファイバ複合架空地線)への交換などが該当する。
架空地線113aは平時には電流が流れていないので、その張り替えの際には、各架空送電線111a〜111cに対する送電を行ったままの状態で工事が行われる。
ところが、図16に示すように、分岐鉄塔100Bは、腕金106B,107Bにより、ジャンパー線120の分岐線122を鉄塔に対して若番側を回して支持する構造となっている。つまり、掛け替えを行う架空地線113aの下方をジャンパー線120の分岐線122が横切るように設けられているので、架空地線113aに弛みを生じたり、落下を生じたりすると、架空地線113aがジャンパー線120の分岐線122に接近して地絡が発生する恐れがある。
従って、この鉄塔100Bの若番側架空地線113aを張替える際には、予め、仮設ジャンパー装置10を分岐鉄塔100Bの老番側を回して取り付ける必要がある。
上記架空線工事の手順について図17〜図19に基づいて説明する。
まず、分岐鉄塔100Bからジャンパー線120を撤去する作業(既設のジャンパー線を取り外す工程)と、分岐鉄塔100Bに仮設ジャンパー装置10を支持する仮設のアーム部材131B,132B,133Bとを装備する作業を行う(仮設のアーム部材を装備する工程)。なお、ジャンパー線120の撤去作業とアーム部材131B,132B,133Bの装備する作業とは、いずれを先に行っても良いし、並行して行っても良い。
アーム部材131B,132B,133Bは、棒状のパイプ材を使用する。これらアーム部材131B,132B,133Bは、架空地線113aの張り替え完了までの期間のみ仮設ジャンパー装置10の支持を行えばよいので、分岐鉄塔100Bに対する取り付けは撤去作業を考慮した仮設的な方法で行う。例えば、図20に示すように、分岐鉄塔100Bにアングル材136Bが使用されている場合には、アングル材136Bの凹部に嵌合するようにアーム部材131B,132B又は133Bを当ててバインド線137Bにより固定する。固定の方法はバインド線に限らず、ワイヤーや締め付け金具、強度を有する粘着テープのような切断や取り外しが容易なもので行っても良い。
また、分岐鉄塔100Bにパイプ材が使用されている場合には、アーム部材131B,132B,133Bにアングル材を使用しても良い。
そして、アーム部材131B,132Bは、分岐鉄塔100Bから老番側に向かって互いに平行に延出され、アーム部材133Bは、アーム部材132Bと腕金105Bとの間で斜め方向に延出された状態で分岐鉄塔100Bに取り付けられる。
また、それぞれのアーム部材131B,132B,133Bは、支持される仮設ジャンパー装置10が分岐鉄塔100Bに対して地絡を生じないように十分な長さに設計される。
それぞれのアーム部材131B,132B,133Bは、その先端部で碍子を介して仮設ジャンパー装置10を支持する必要がある。前述した碍子104,108Bには陶器製のものが多く使用されているが、アーム部材131B,132B,133Bの碍子には陶器製のものの他、運搬や取り付け作業が容易で割れにくく軽量なシリコン碍子134Bを使用しても良い。
また、各シリコン碍子134Bの下端部にはジャンパー線を把持する懸垂クランプ135Bが装備されている。この懸垂クランプ135Bは、断面略コ字状であって平面視舟形の受け座を揺動可能に支持する構造であり、当該受け座によって仮設ジャンパー装置10の各ジャンパー線11,12を包持する。なお、ジャンパー線を把持する装置としては、この他にも、2枚の円板の間にジャンパー線を挟む溝を設けたものなど、種々のものを利用できる。
次に、ジャンパー線120Bの分岐鉄塔100Bの上部への運搬作業と取り付け作業とが行われる。このジャンパー線120Bは、若番側架空送電線111aと老番側架空送電線111bとを接続する為のものである。このジャンパー線120Bは、前述したジャンパー線120から分岐線122と分岐スリーブ123とを除いたものと同一である。即ち、このジャンパー線120Bは、若番側架空送電線111aの引き留めクランプ112と老番側架空送電線111bの引き留めクランプ112の二箇所を連結するためのものである。
若番側架空送電線111aと老番側架空送電線111bとの間の距離は既知であるため、これらの区間については、長さ調節可能な仮設ジャンパー装置10ではなくジャンパー線120Bが使用されるが、仮設ジャンパー装置10を使用することも可能である。
次に、仮設ジャンパー装置10の長さ調節作業と分岐鉄塔100Bの上部への運搬作業と取り付け作業とが行われる。
上記長さ調節作業は、運搬作業の前に済ませても良いし、運搬作業前におおよその長さ調節を行い、取り付け作業の際に微調整を起こっても良いし、取り付け作業時に長さ調節作業を並行して行ってもよい。
取り付け作業は、まず、前述した各アーム部材131B,132B,133Bの懸垂クランプ135Bに各ジャンパー線11,12支持させる(仮設ジャンパー装置を支持させる工程)。
そして、仮設ジャンパー装置10の両端部のジャンパーソケット17を老番側架空送電線111bと分岐側架空送電線111cのそれぞれの引き留めクランプ112の被接続部112cに接続することにより行われる(二つの架空送電線を接続する工程)。
なお、分岐側架空送電線111cの引き留めクランプ112に対しては、アダプタ部材18(図8、図9参照)を介して仮設ジャンパー装置10のジャンパーソケット17が接続される。一方、老番側架空送電線111bの引き留めクランプ112に対しては、前述したジャンパー線120Bの一端部のジャンパーソケット124と仮設ジャンパー装置10の一端部のジャンパーソケット17とを接続しなければならないので、図21に示す二端子接続可能なアダプタ部材18Bを使用して接続される。
このアダプタ部材18Bは、一端部にジャンパーソケット17のスリット171とジャンパーソケット124のスリット124bの双方に対して挿入可能な厚さの平板部181Bを備え、他端部に引き留めクランプ112の被接続部112cの厚さに略一致する隙間間隔のスリットが形成された二叉部184を備えている。
上記平板部181Bは、前述したアダプタ部材18の平板部181(図8参照)に比して横幅が二倍以上となっている。さらに、平板部181Bには、ジャンパーソケット17側のボルト挿入孔(図示略)と孔数、配置及び内径が一致するボルト挿入孔とジャンパーソケット124側のボルト挿入孔(図示略)と孔数、配置及び内径が一致するボルト挿入孔とが並んで形成されている。これにより、平板部181Bに対して、ジャンパー線120Bの一端部のジャンパーソケット124と仮設ジャンパー装置10の一端部のジャンパーソケット17とを並んで連結することができるようになっている。
上記ジャンパー線120Bと仮設ジャンパー装置10の接続により、若番側架空送電線111a,老番側架空送電線111b及び分岐側架空送電線111cが全て導通し、送電を行うことが可能となる。
そして、送電再開後、架空地線113aの張り替え作業が実行される。
また、架空地線113aの張り替え作業が完了すると、各架空送電線111a,111b,111cの間での送電を一時停止させて、仮設ジャンパー装置10の撤去が行われる(仮設ジャンパー装置を取り外す工程)。
そして、先に撤去され保管されていた既設のジャンパー線120により各架空送電線111a,111b,111cを再接続する(三方向の架空送電線を再接続する工程)。
これにより、各架空送電線111a,111b,111cの間での送電が再開される。
上記架空線工事のように、既設のジャンパー線120の経路が架空地線の張り替えに支障を生じ得る場合でも、アーム部材131B,132B,133Bを仮設することで、地絡防止を図りつつ仮設ジャンパー装置を適切な経路で取り付けることが可能となる。
なお、この場合も、既設のジャンパー線120を再利用せずに、新規のジャンパー線120により三方向の架空送電線111a,111b,111cを再接続しても良い。
また、上記架空線工事に、仮設ジャンパー装置10に変えて図11の仮設ジャンパー装置10Aや図12の仮設ジャンパー装置10Cを使用しても良い。架設ジャンパー装置10Aは、中央部分が、架設ジャンパー装置10と異なり、第三のジャンパー線19A一本で形成されている。このため、この仮設ジャンパー装置10Aは中央部分を懸垂クランプ135Bで支持し易く、図18で示すように、短い経路で取り付けるときの作業性が良い利点がある。また、架設ジャンパー装置10A,10Cは、オーバーラップ部分を短くすることができるので懸垂クランプ135Bで支持し易く、図18で示すように、短い経路で取り付けるときの作業性が良い利点がある。
また、上記架空線工事では、架空地線113aの張り替えを例示したが、架空送電線111aの張り替え作業において、ジャンパー線が作業性を損なわせるような場合にも仮設ジャンパー装置10により経路を替えて取り付けることができる。
また、上記架空線工事では、架空地線とジャンパー線の接触による地絡防止のための経路変更を行ったが、その他、架空送電線の張り替え或いは区間分断作業を行うときに、ジャンパー線の経路が冗長化するのを回避する目的で、仮設ジャンパー装置10を用いて経路変更を行うことも可能である。すなわち、図14に示した分岐鉄塔100Bにおいて、若番側架空送電線111aを張り替える場合、既設の架空送電線111aとジャンパー線120を取り外した後、老番側架空送電線111bと分岐側架空送電線111cとを仮設ジャンパー線10で接続するが、このとき、ジャンバー線120の分岐線122を支持するために鉄塔100Bの若番側に設けてある第三、第四の腕金106B、107Bを利用して仮設ジャンパー装置10を支持すると、老番側架空送電線111bに接続した仮設ジャンパー装置10を一旦鉄塔の若番側に迂回させてから分岐側架空送電線111cに接続することになり、ジャンパー線の経路が冗長化する。本実施形態のように、鉄塔の老番側にアーム部材131B,132B,133Bを仮設して、老番側架空送電線111bから分岐側架空送電線111cに仮設ジャンパー装置10を導くようにすれば、より短い経路で仮設ジャンパー装置10を敷設できる。
また、上記架空線工事では、老番側架空送電線111bの引き留めクランプ112に対してアダプタ装置18Bを用いて仮設ジャンパー装置10とジャンパー線120Bとを連結したが、これらの連結方法はこれに限定されるものではない。
例えば、若番側架空送電線111aと老番側架空送電線111bとの間に敷設したジャンパー線120Bの途中部分に、図22に示すように、仮設ジャンパー装置10の一端部をPGクランプ15により連結しても良い。その際、仮設ジャンパー装置10の一端部には、ジャンパーソケット17に替えてキャップ部材16を装備することが望ましい。
10,10A,10C 仮設ジャンパー装置
11 第一のジャンパー線
12 第二のジャンパー線
13,13A オーバーラップ部分
14 スペーサ(クランプ部材)
15 PGクランプ(クランプ部材)
16 キャップ部材
17 ジャンパーソケット
18 アダプタ部材
19A 第三のジャンパー線
100,100B 分岐鉄塔
101 主材
102 腕金
102B 第一の腕金
104,108B 碍子
105B 第二の腕金
106B 第三の腕金
107B 第四の腕金
111 架空送電線
111a 若番側架空送電線
111b 老番側架空送電線
111c 分岐側架空送電線
112 クランプ
112c 被接続部
113a 若番側架空地線
113b 老番側架空地線
113c 分岐側架空地線
120 ジャンパー線
123 分岐スリーブ
124 ジャンパーソケット
131B,132B,133B アーム部材
134B シリコン碍子

Claims (3)

  1. 既設のジャンパー線により全てが導通接続された三方向の架空送電線を支持すると共に架空地線が装備された分岐鉄塔の前記架空送電線又は前記架空地線の張り替えを行う架空線工事方法であって、
    前記既設のジャンパー線を各々の前記架空送電線から取り外す工程と、
    端部同士をオーバーラップさせて連結した複数のジャンパー線からなる長さ調節可能な仮設ジャンパー装置により少なくともいずれか二つの前記架空送電線を接続する工程と、
    前記架空送電線又は前記架空地線の張り替え後に前記仮設ジャンパー装置を取り外す工程と、
    前記既設のジャンパー線又は新規のジャンパー線により前記三方向の架空送電線を再接続する工程とを有することを特徴とする分岐鉄塔の架空線工事方法。
  2. 前記分岐鉄塔に仮設のアーム部材を装備する工程と、
    前記アーム部材の先端部で前記仮設ジャンパー装置のジャンパー線の途中部分を支持させる工程と、
    前記仮設ジャンパー装置の取り外し後に前記アーム部材を前記分岐鉄塔から撤去する工程とを有することを特徴とする請求項1記載の分岐鉄塔の架空線工事方法。
  3. 予め用意した複数種のアダプタ部材中から架空送電線に設けられた被接続部に接続可能なものを選択し、当該選択したアダプタ部材を介して前記仮設ジャンパー装置を前記架空送電線に接続することを特徴とする請求項1又は2記載の分岐鉄塔の架空線工事方法。
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