JP6062186B2 - 分岐鉄塔の架空線工事方法 - Google Patents
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Description
そして、それぞれの架空送電線は、略T字状であって三方に延びるジャンパー線により連結が図られている(例えば、特許文献1の図2のジャンパー線)。
このジャンパー線は、一般に、二本の架空送電線に両端部が接続される主線と、残る一本の架空送電線に接続される分岐線と、主線の中間において分岐線を連結するT字状の分岐スリーブとから作られている。
その場合には、上記ジャンパー線は各架空送電線との接続部から取り外され、代わりに、適切な経路を辿る仮設のジャンパー線が取り付けられる。
そして、工事が終わり、元の状態に復旧させる場合には、仮設のジャンパー線が取り外され、もとのジャンパー線が再び各架空送電線に接続されていた。
また、上記の事情により、仮設のジャンパー線は、作業現場で適切な長さのものを作り出す必要がある。
仮設のジャンパー線の取り付け作業中は、いずれの架空送電線にも通電を行うことができなくなるため、当該作業は速やかに行う必要がある。
しかしながら、仮設のジャンパー線は作業現場で作り出す必要があるので、仮設のジャンパー線の取り付け作業の遅れの原因となっていた。
なお、上記発明では、架空送電線と架空地線とを総称して「架空線」というものとする。
さらに、仮設ジャンパー装置は、架空線工事の際に毎回適切な長さに調節可能であるため、繰り返し使い回すことができ、工事のコスト低減を図ることが可能となる。
そのような場合に、上記架空線工事方法では、既設のジャンパー線と異なる経路上にアーム部材を仮設することで、地絡防止を図りつつ仮設ジャンパー装置をより短い経路で取り付けることが可能となる。或いは、張り替える架空送電線又は架空地線から離れた場所に仮設ジャンパー装置を取り付けて、仮設ジャンパー装置との地絡の発生を効果的に回避することが可能となる。
また、アーム部材は分岐鉄塔に対して仮設的に取り付けられるので、工事終了の際に撤去することも可能である。
これにより、各オーバーラップ部分の両端部に装備されたクランプ部材の一端側のクランプ部材に故障が生じた場合でも、ジャンパー線の端部の垂れ下がる長さが十分に短くなり、地絡の発生をより効果的に低減することが可能となる。
このようにオーバーラップ部分の両端部をそれぞれ複数のクランプ部材で連結すると、複数のクランプ部材うちの一部のものが外れても、他のクランプ部材がジャンパー線を保持するので、ジャンパー線の端部の垂れ下がりを最小限に抑制でき、地絡の発生をより効果的に防止できる。
このようにアダプタ部材を設けると、架空送電線側に設けられた被接続部の取り付け構造に適したアダプタ部材に交換することで接続端子を架空送電線に接続することができ、仮設ジャンパー装置の汎用性をより向上することが可能となる。
このようにキャップ部材を設けると、ジャンパー線の先端からのコロナ放電の発生を効果的に抑制することが可能となる。
本発明の第一の実施形態として、分岐鉄塔の架空線工事方法及びこれに好適な仮設ジャンパー装置について図面を参照して説明する。
図1に示すように、分岐鉄塔100は、主材101から水平方向片側に向かって延出された三本の腕金102を有している。これらの腕金102は、三相交流の各相に個別に対応しており、当該各腕金102及びこれらに接続される架空送電線の接続構造はいずれも同一であるため、一つの腕金102についてのみ説明する。
若番側架空送電線111aと老番側架空送電線111bは、それぞれ、腕金102の延出方向に直交する方向の一方と他方とに向かって延びており、分岐側架空送電線111cは、腕金102の延出方向に向かって延びている。
この引き留めクランプ112は、図3に示すように、一端部には碍子104に連結するためのボルト挿入孔112aが形成され、他端部には架空送電線111の端部を挿入する有底の挿入穴112bが形成されている。この挿入穴112bに架空送電線111を挿入した状態で、コンプレッサーに接続された圧縮機により外側から圧縮を行い、塑性変形により架空送電線111への固定を行っている。
また、引き留めクランプ112の一端部近傍には、その長手方向に直交する方向に向かって延出された被接続部112cを備えている。この被接続部112cは、略平板状であって、表裏を貫通するボルト挿入孔(図示略)が複数形成されており、後述するジャンパー線120及び後述する仮設ジャンパー装置10との接続が可能となっている。
引き留めクランプ112は、例えばアルミ合金、その他の良導体から形成されており、架空送電線111とジャンパー線120との導通を図っている。
上述した若番側架空送電線111a,老番側架空送電線111b,分岐側架空送電線111cは、図2に示す三叉構造のジャンパー線120により相互の導通が図られている。
このジャンパー線120は、若番側架空送電線111aと老番側架空送電線111bとに接続される本線121と、分岐側架空送電線111cに接続される分岐線122と、本線121と分岐線122とを連結するT字形の分岐スリーブ123とを備えている。
分岐スリーブ123は、本線121を貫通させる円筒部123aと、円筒部123a外周面から直交する方向に向かって延出された分岐部123bとからなり、これらがアルミ合金のような良導体により一体的に形成されている。
円筒部123aは、本線121を貫通させた状態で外部から前述した圧縮機で圧縮して塑性変形により本線121を固定している。
分岐部123bは、分岐線122の一端部が挿入される有底の挿入穴が形成されており、当該挿入状態で圧縮機により圧縮して塑性変形により分岐線122を固定している。
このジャンパーソケット124は、アルミ合金のような良導体で形成されており、一端部に本線121又は分岐線122の端部を挿入する有底の挿入穴124aが形成されている。そして、この挿入穴124aに本線121又は分岐線122の端部を挿入した状態で圧縮機により圧縮することで塑性変形により本線121又は分岐線122に対してジャンパーソケット124を固定している。
また、ジャンパーソケット124の他端部は、二叉状となるようにスリット124bが形成されると共に当該スリット124bに直交する方向に図示しないボルト挿入孔が貫通形成されている。そして、スリット124bに引き留めクランプ112の被接続部112cを挿入し、相互のボルト挿入孔を一致させた状態でボルト125を通してナット126により締結することで、引き留めクランプ112に対する本線121及び分岐線122の連結を行っている。なお、ジャンパーソケット124には図示しないボルト125の回り止めの突起が形成されており、ナット126側には図示しないバネ座金が介挿され、ボルト125の緩み防止が図られている。
また、図1に示すように、分岐鉄塔100は、その頂上部において、引き留めクランプ114を介して、三本の架空地線113の端部を支持している。これらの架空地線は、前述した架空送電線111a,111b,111cと同じ方向に向かって沿って延びており、若番側架空地線113a,老番側架空地線113b,分岐側架空地線113cからなる。以下、これらを特に区別する必要がない場合には総称して架空地線113というものとする。
上記分岐鉄塔100に支持された三方向分岐送電線において、例えば、架空送電線の張り替えのために、一方向(例えば老番側)の送電線路に対して区間分断を行う場合の架空線工事方法について説明する。
この架空線工事では、一定期間に老番側架空送電線111bに対する送電を中断した後に、再び老番側架空送電線111bに対する送電を復旧させることを前提としている。上記中断期間中は、既設のジャンパー線120が取り外されて、若番側架空送電線111aと分岐側架空送電線111cの間の送電を行う仮設ジャンパー装置10が取り付けられる。
仮設ジャンパー装置10は、図4に示すように、第一のジャンパー線11と第二のジャンパー線12とを互いに長手方向に沿って並べてオーバーラップ部分13を形成し、当該オーバーラップ部分13の長さを変えることでその全長の調節を可能としている。
第一及び第二のジャンパー線11,12は、架空送電線のように引っ張り強度を必要としないことから軽量化のために電線種として耐熱アルミ合金撚り線(TAL)を選択し、通常の架空送電線として採り得る最大の電流容量よりも電流容量の大きなサイズ850mm2の電線を使用している。
これにより、仮設ジャンパー装置10は種々の架空線工事の場で使用可能となっている。
上記スペーサ14とPGクランプ15はいずれも、良導体からなり、第一のジャンパー線11と第二のジャンパー線12との導通を図っている。
また、スペーサ14とPGクランプ15はいずれも、合わせ構造の二部材でジャンパー線11,12を挟み込んでボルトの締結により保持する構造となっており、二部材の対向面には二本のジャンパー線11,12が嵌合する溝が形成されている。
また、スペーサ14とPGクランプ15はボルトを緩めることで、各ジャンパー線11,12をその長手方向に沿って移動させたり、各ジャンパー線11,12をその長さ方向を軸にして回したりすることが可能であることから、オーバーラップ部分13の長さを任意の長さに調節することができる。例えば、図4のように、オーバーラップ部分13の長さを長くすると仮設ジャンパー装置10の全長を短くすることができ、図6のように、オーバーラップ部分13の長さを短くすると、仮設ジャンパー装置10の全長を長くすることができる。
また、オーバーラップ部分13の両端部のいずれにも、隣接配置されたスペーサ14及びPGクランプ15が設けられているので、スペーサ14とPGクランプ15の何れか一方からジャンパー線11又は12が外れた場合にでも、他方のスペーサ14又はPGクランプ15が保持し、ジャンパー線11又は12の端部の垂れ下がりの発生を低減することができる。
なお、このジャンパーソケット17にも、図示しないボルト172の回り止めの突起が形成されており、ナット173側には図示しないバネ座金が介挿され、ボルト172の緩み防止が図られている。
そして、架空送電線111に設けられている引き留めクランプ112の被接続部112cの寸法や構造が異なる場合でも、これに対応するアダプタ部材18に交換することで、仮設ジャンパー装置10をより多くの種類の架空送電線に連結することが可能となっている。
上記仮設ジャンパー装置10を用いた区間分断を行うための架空線工事の手順について説明する。
図1の分岐鉄塔100において、各架空送電線111の引き留めクランプ112に取り付けられているジャンパーソケット124(図2参照)を外し、既設のジャンパー線120を撤去し保管する(既設のジャンパー線の取り外し工程)。
次に、仮設ジャンパー装置10を分岐鉄塔100の上部へ運搬する作業と、仮設ジャンパー装置10の必要長さを算出し、長さを調節する作業とを行う。
また、実際に取り付け箇所で仮設ジャンパー装置10の長さ調節を行う必要がある場合や取り付け箇所での微調整が必要な場合には、運搬作業後の仮設ジャンパー装置10の長さ調節作業を行うことも可能である。
仮設ジャンパー装置10の両端部のジャンパーソケット17には、引き留めクランプ112の被接続部112cに対応するアダプタ部材18を地上で予め装備しておくことが望ましい。
そして、それぞれのアダプタ部材18のスリット183に引き留めクランプ112の被接続部112cを挿入させた状態でボルト186とナット187を締結させて、各架空送電線111a,111cに仮設ジャンパー装置10の一端部と他端部とを連結する。
これにより、図10に示すように、架空送電線111aと架空送電線111cとが仮設ジャンパー装置10により連結される。そして、老番側架空送電線111b側では送電が停止され、その間、架空送電線111aと架空送電線111cとの間では仮設ジャンパー装置10を介して送電が行われる。
また、仮設ジャンパー装置10の取り外し作業に前後して、保管されていた既設のジャンパー線120を分岐鉄塔100の上部に運搬する。
さらに、ジャンパー線120の三つのジャンパーソケット124を各架空送電線111a,111b,111cの引き留めクランプ112の被接続部112cに連結する。
これにより、区間分断を行う前の状態に戻り、各架空送電線111a,111b,111cの間での送電が再開される(三方向の架空送電線を再接続する工程)。
従来、分岐鉄塔100の区間分断のための架空線工事では、鉄塔上で適正な長さのジャンパー線を新しく作成し、区間分断が行われない架空送電線同士を連結する作業が行われていた。このため、鉄塔の上部にジャンパー線にジャンパーソケットを圧縮して取り付けるためのエアーコンプレッサーや圧縮機等までを運搬し、高所で作業を行わねばならなかった。しかしながら、上記仮設ジャンパー装置10を用いた架空線工事方法では、スペーサ14及びPGクランプ15のボルトの締結作業のみによりその長さ調節を行うことが可能であり、エアーコンプレッサーや圧縮機等の機器類の運搬を不要とし、容易且つ迅速な作業を行うことが可能となる。
また、地上で予め仮設ジャンパー装置10の長さ調節を済ませておけば、分岐鉄塔100の上で調節作業を不要とすることができ、さらなる作業性の向上と迅速化を図ることが可能となる。
また、仮設ジャンパー装置10は、長さ調節が可能で、複数のアダプタ部材18を選択装備可能であることから汎用性が高く、より多くの架空線工事において、繰り返し使用することが可能である。そして、これらの工事に際し、ジャンパー線の使い捨てを回避するので、工事コストの低減を図ることが可能である。
また、この第一の実施形態で用いた仮設ジャンパー装置10は、オーバーラップ部分13の両端部にスペーサ14及びPGクランプ15からなるクランプ部材のセットが一組ずつ設けられているので、スペーサ14及びPGクランプ15の一方が外れても、他方のクランプ部材でジャンパー線が保持され、ジャンパー線の端部の垂れ下がりによる地絡の発生をより効果的に防止できる。
なお、クランプ部材の一組は、三つ以上のクランプ部材で構成しても良い。
仮設ジャンパー装置の他の例について図11に基づいて説明する。
この仮設ジャンパー装置10Aは、主に、架空送電線111に連結される第一と第二のジャンパー線11,12の間に、それらと両端部でオーバーラップ部分13A,13Aを介して連結される第三のジャンパー線19Aを有する点が前述した仮設ジャンパー装置10と異なっている。
以下、この仮設ジャンパー装置10Aについて、前述した仮設ジャンパー装置10と異なる部分について説明し、同一の部分については同一の符号を付して重複する説明は省略するものとする。
また、第三のジャンパー線19Aは、ジャンパーソケット17は備えておらず、その両端部にキャップ部材16が装備されている。
また、図4及び図6に示した仮設ジャンパー装置10では、オーバーラップ部分13が連結状態にある二本のジャンパー線11,12の中間に位置している。このため、分岐鉄塔100に取り付けた場合に、連結状態にある二本のジャンパー線11,12が垂れ下がると、オーバーラップ部分13は最も低い位置になり、スペーサ14又はPGクランプ15が外れてジャンパー線11又は12の端部が垂れ下がるトラブルがあると、地絡などの発生が生じやすくなる。
一方、仮設ジャンパー装置10Aは、図11に示すように、三本のジャンパー線で構成されているため、それぞれのオーバーラップ部分13Aが、中央部よりジャンパーソケット17寄りとなる。このため、仮設ジャンパー装置10Aを分岐鉄塔100に取り付けた場合でも、各オーバーラップ部分13Aは、最も低くなる中央部より高位置となり、スペーサ14又はPGクランプ15が外れてジャンパー線11又は12の端部に垂れ下がりを生じても、地絡などの発生を抑制することができる。
なお、ジャンパー装置を五本以上の奇数本のジャンパー線で構成した場合も、同様の効果を期待できる。
また、仮設ジャンパー装置10Aがオーバーラップ部分13Aを複数有する場合にも、各オーバーラップ部分13Aの両端部のそれぞれにスペーサ14とPGクランプ15の組を一つずつ設けても良い。
このように、上記仮設ジャンパー装置10Aは、仮設ジャンパー装置10の場合と同様に、容易且つ迅速に工事を進めることができ、工事コストの低減及び地絡の発生を効果的に抑制することが可能である。
また、仮設ジャンパー装置は、図12に示すように、ジャンパー線を四本以上としても良い。
この仮設ジャンパー装置10Cは、主に、オーバーラップ部分13Aを介して互いの端部が連結された第一〜第四のジャンパー線11,12,19A,20Cを備えている。
以下、この仮設ジャンパー装置10Cについて、前述した仮設ジャンパー装置10,10Aと異なる部分について説明し、同一の部分については同一の符号を付して重複する説明は省略するものとする。
また、この仮設ジャンパー装置10Cは仮設ジャンパー装置10Aと同様に、容易且つ迅速に工事を進めることができ、工事コストの低減及び地絡の発生を効果的に抑制することが可能である。また、ジャンパー線の本数を増やしたことにより、より長い区間に仮設ジャンパー装置10Cを掛け渡すことが可能となる。
なお、仮設ジャンパー装置10Cのように、全長が長くなる場合に畳んでおくことが有効だが、前述した仮設ジャンパー装置10,10Aについても同様に畳んで保管することは可能である。
また、各スペーサ14及びPGクランプ15はジャンパー線に対して着脱可能であることから、必要に応じて、新たにジャンパー線及びスペーサ14及びPGクランプ15を追加してより長く調節することも可能である。
本発明の第四の実施形態として、前述した分岐鉄塔100と異なる分岐鉄塔100Bにおける仮設ジャンパー装置10を用いた架空線工事方法について図面を参照して説明する。
この分岐鉄塔100Bは、図14〜図16に示すように、若番側架空送電線111aと老番側架空送電線111bとを支持する第一の腕金102Bと、当該第一の腕金102Bとは反対側に延出され、分岐側架空送電線111cを支持する第二の腕金105Bと、分岐鉄塔100Bにおける若番側を経由して敷設されたジャンパー線120を支持する第三、第四の腕金106B,107Bとが主材101に設けられている。
各架空送電線111が碍子104を介して第一又は第二の腕金102B,105Bに支持されている点及び分岐鉄塔100Bの頂上部で架空地線113a〜113cが支持されている点は前述した分岐鉄塔100と同様である。
第四の腕金107Bは、第三の腕金106Bと第二の腕金105Bとの間に設けられ、その先端部に碍子108Bが吊下されている。
各碍子108Bは、その下端部にジャンパー線120の分岐線122を挟持する支持金具109Bが装備されている。
この架空地線の張り替えは、例えば、使用年数の経過により新規のものとの交換の必要が生じた場合や異種の架空地線との交換の必要が生じた場合等に行われる。後者の場合としては、例えば、従前は専ら雷サージを逃がすことを目的とする亜鉛メッキ鋼線からなる電線からOPGW(optical ground wire:光ファイバ複合架空地線)への交換などが該当する。
架空地線113aは平時には電流が流れていないので、その張り替えの際には、各架空送電線111a〜111cに対する送電を行ったままの状態で工事が行われる。
従って、この鉄塔100Bの若番側架空地線113aを張替える際には、予め、仮設ジャンパー装置10を分岐鉄塔100Bの老番側を回して取り付ける必要がある。
まず、分岐鉄塔100Bからジャンパー線120を撤去する作業(既設のジャンパー線を取り外す工程)と、分岐鉄塔100Bに仮設ジャンパー装置10を支持する仮設のアーム部材131B,132B,133Bとを装備する作業を行う(仮設のアーム部材を装備する工程)。なお、ジャンパー線120の撤去作業とアーム部材131B,132B,133Bの装備する作業とは、いずれを先に行っても良いし、並行して行っても良い。
また、分岐鉄塔100Bにパイプ材が使用されている場合には、アーム部材131B,132B,133Bにアングル材を使用しても良い。
また、それぞれのアーム部材131B,132B,133Bは、支持される仮設ジャンパー装置10が分岐鉄塔100Bに対して地絡を生じないように十分な長さに設計される。
若番側架空送電線111aと老番側架空送電線111bとの間の距離は既知であるため、これらの区間については、長さ調節可能な仮設ジャンパー装置10ではなくジャンパー線120Bが使用されるが、仮設ジャンパー装置10を使用することも可能である。
上記長さ調節作業は、運搬作業の前に済ませても良いし、運搬作業前におおよその長さ調節を行い、取り付け作業の際に微調整を起こっても良いし、取り付け作業時に長さ調節作業を並行して行ってもよい。
取り付け作業は、まず、前述した各アーム部材131B,132B,133Bの懸垂クランプ135Bに各ジャンパー線11,12支持させる(仮設ジャンパー装置を支持させる工程)。
そして、仮設ジャンパー装置10の両端部のジャンパーソケット17を老番側架空送電線111bと分岐側架空送電線111cのそれぞれの引き留めクランプ112の被接続部112cに接続することにより行われる(二つの架空送電線を接続する工程)。
このアダプタ部材18Bは、一端部にジャンパーソケット17のスリット171とジャンパーソケット124のスリット124bの双方に対して挿入可能な厚さの平板部181Bを備え、他端部に引き留めクランプ112の被接続部112cの厚さに略一致する隙間間隔のスリットが形成された二叉部184を備えている。
上記平板部181Bは、前述したアダプタ部材18の平板部181(図8参照)に比して横幅が二倍以上となっている。さらに、平板部181Bには、ジャンパーソケット17側のボルト挿入孔(図示略)と孔数、配置及び内径が一致するボルト挿入孔とジャンパーソケット124側のボルト挿入孔(図示略)と孔数、配置及び内径が一致するボルト挿入孔とが並んで形成されている。これにより、平板部181Bに対して、ジャンパー線120Bの一端部のジャンパーソケット124と仮設ジャンパー装置10の一端部のジャンパーソケット17とを並んで連結することができるようになっている。
そして、送電再開後、架空地線113aの張り替え作業が実行される。
そして、先に撤去され保管されていた既設のジャンパー線120により各架空送電線111a,111b,111cを再接続する(三方向の架空送電線を再接続する工程)。
これにより、各架空送電線111a,111b,111cの間での送電が再開される。
なお、この場合も、既設のジャンパー線120を再利用せずに、新規のジャンパー線120により三方向の架空送電線111a,111b,111cを再接続しても良い。
また、上記架空線工事に、仮設ジャンパー装置10に変えて図11の仮設ジャンパー装置10Aや図12の仮設ジャンパー装置10Cを使用しても良い。架設ジャンパー装置10Aは、中央部分が、架設ジャンパー装置10と異なり、第三のジャンパー線19A一本で形成されている。このため、この仮設ジャンパー装置10Aは中央部分を懸垂クランプ135Bで支持し易く、図18で示すように、短い経路で取り付けるときの作業性が良い利点がある。また、架設ジャンパー装置10A,10Cは、オーバーラップ部分を短くすることができるので懸垂クランプ135Bで支持し易く、図18で示すように、短い経路で取り付けるときの作業性が良い利点がある。
また、上記架空線工事では、架空地線113aの張り替えを例示したが、架空送電線111aの張り替え作業において、ジャンパー線が作業性を損なわせるような場合にも仮設ジャンパー装置10により経路を替えて取り付けることができる。
また、上記架空線工事では、架空地線とジャンパー線の接触による地絡防止のための経路変更を行ったが、その他、架空送電線の張り替え或いは区間分断作業を行うときに、ジャンパー線の経路が冗長化するのを回避する目的で、仮設ジャンパー装置10を用いて経路変更を行うことも可能である。すなわち、図14に示した分岐鉄塔100Bにおいて、若番側架空送電線111aを張り替える場合、既設の架空送電線111aとジャンパー線120を取り外した後、老番側架空送電線111bと分岐側架空送電線111cとを仮設ジャンパー線10で接続するが、このとき、ジャンバー線120の分岐線122を支持するために鉄塔100Bの若番側に設けてある第三、第四の腕金106B、107Bを利用して仮設ジャンパー装置10を支持すると、老番側架空送電線111bに接続した仮設ジャンパー装置10を一旦鉄塔の若番側に迂回させてから分岐側架空送電線111cに接続することになり、ジャンパー線の経路が冗長化する。本実施形態のように、鉄塔の老番側にアーム部材131B,132B,133Bを仮設して、老番側架空送電線111bから分岐側架空送電線111cに仮設ジャンパー装置10を導くようにすれば、より短い経路で仮設ジャンパー装置10を敷設できる。
例えば、若番側架空送電線111aと老番側架空送電線111bとの間に敷設したジャンパー線120Bの途中部分に、図22に示すように、仮設ジャンパー装置10の一端部をPGクランプ15により連結しても良い。その際、仮設ジャンパー装置10の一端部には、ジャンパーソケット17に替えてキャップ部材16を装備することが望ましい。
11 第一のジャンパー線
12 第二のジャンパー線
13,13A オーバーラップ部分
14 スペーサ(クランプ部材)
15 PGクランプ(クランプ部材)
16 キャップ部材
17 ジャンパーソケット
18 アダプタ部材
19A 第三のジャンパー線
100,100B 分岐鉄塔
101 主材
102 腕金
102B 第一の腕金
104,108B 碍子
105B 第二の腕金
106B 第三の腕金
107B 第四の腕金
111 架空送電線
111a 若番側架空送電線
111b 老番側架空送電線
111c 分岐側架空送電線
112 クランプ
112c 被接続部
113a 若番側架空地線
113b 老番側架空地線
113c 分岐側架空地線
120 ジャンパー線
123 分岐スリーブ
124 ジャンパーソケット
131B,132B,133B アーム部材
134B シリコン碍子
Claims (3)
- 既設のジャンパー線により全てが導通接続された三方向の架空送電線を支持すると共に架空地線が装備された分岐鉄塔の前記架空送電線又は前記架空地線の張り替えを行う架空線工事方法であって、
前記既設のジャンパー線を各々の前記架空送電線から取り外す工程と、
端部同士をオーバーラップさせて連結した複数のジャンパー線からなる長さ調節可能な仮設ジャンパー装置により少なくともいずれか二つの前記架空送電線を接続する工程と、
前記架空送電線又は前記架空地線の張り替え後に前記仮設ジャンパー装置を取り外す工程と、
前記既設のジャンパー線又は新規のジャンパー線により前記三方向の架空送電線を再接続する工程とを有することを特徴とする分岐鉄塔の架空線工事方法。 - 前記分岐鉄塔に仮設のアーム部材を装備する工程と、
前記アーム部材の先端部で前記仮設ジャンパー装置のジャンパー線の途中部分を支持させる工程と、
前記仮設ジャンパー装置の取り外し後に前記アーム部材を前記分岐鉄塔から撤去する工程とを有することを特徴とする請求項1記載の分岐鉄塔の架空線工事方法。 - 予め用意した複数種のアダプタ部材中から架空送電線に設けられた被接続部に接続可能なものを選択し、当該選択したアダプタ部材を介して前記仮設ジャンパー装置を前記架空送電線に接続することを特徴とする請求項1又は2記載の分岐鉄塔の架空線工事方法。
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