JPH06182299A - 塗装金属物品及びその製造方法 - Google Patents

塗装金属物品及びその製造方法

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JPH06182299A
JPH06182299A JP34042392A JP34042392A JPH06182299A JP H06182299 A JPH06182299 A JP H06182299A JP 34042392 A JP34042392 A JP 34042392A JP 34042392 A JP34042392 A JP 34042392A JP H06182299 A JPH06182299 A JP H06182299A
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昌宏 吹擧
Kazuo Seto
和夫 瀬戸
Hisami Toba
久美 鳥羽
Takashi Urabe
孝 占部
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 (1)(イ)ケイ素原子に結合する水酸基又
はアルコキシル基を有する特定のポリオルガノシロキサ
ン100重量部、(ロ)有機チタン酸エステル及び/又
はその部分加水分解物0.1〜100重量部及び(ハ)
有機溶剤を含有するプライマー組成物を塗布・硬化さ
せ、(2)アルコキシル基を有する特定のオルガノシラ
ンをコロイド状シリカ存在下で加水分解・縮重合させて
得られるコーティング剤−1、あるいは(a)特定の加
水分解性オルガノシランをコロイド状シリカの存在下で
加水分解して得られる溶液、(b)シラノール基を有す
る特定のポリオルガノシラン及び(c)硬化触媒を含有
するコーティング剤−2を施して透明被膜が形成された
塗装金属物品及びその製造方法。 【効果】 金属基材の材質感を残し、長期に渡って防食
性、耐候性及び耐汚染性を確保し、メンテナスフリーの
塗装金属物品を与える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属基材の材質感を残
し、長期に渡って防食性、耐候性及び耐汚染性等を確保
し、メンテナンスフリーである塗装金属物品及びその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ステンレススチールなどの鋼板、
アルミニウムなどの非鉄金属の塗装物品として、金属表
面に有機系被膜を形成したものや水ガラス系被膜を形成
したものが知られている。しかしながら、ほとんどが着
色層を有したものである。
【0003】最近、外観上、金属の材質感を残し、腐食
するという金属の欠点を克服した塗装物品が望まれるよ
うになってきた。そのニーズを反映して、一部では、フ
ッ素系クリヤー塗装を施したステンレススチール基材や
水ガラス系のコーティング剤を塗装したものがあるが、
長期の耐久性という面で、十分ではない。
【0004】そこで、ケイ素化合物を主体とする透明コ
ーティング剤の使用について検討がされている。しかし
この被膜は、直接ステンレススチールやアルミニウムの
ような基材に長期に密着することは難しく、通常プライ
マーを使用するが、基材の材質感を残すような場合(ク
リアー系の塗膜)には、プライマーに紫外線が当り劣化
する欠点がある。
【0005】これに対し、金属基材の化成処理法(特願
平3−246306号)が提案され、これにより、ある
程度の性能が確保できた。しかし、化成処理では、金属
とケイ素化合物を主体とする透明性を有するコーティン
グ剤の長期に渡る密着力が不十分であり、また、化成処
理自身、着色しているため、外観的にも制約を受ける。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
を解決し、紫外線に強い透明なプライマー組成物を使用
し、外観上においても金属基材の材質感を残し、長期に
渡って防食性、耐候性、耐汚染性を確保し、メインテナ
ンスフリーである塗装金属物品及びその製造方法を提供
することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
点の解決方法を鋭意検討した結果、第1層としてシリコ
ーンレジン、硬化触媒及び有機溶剤よりなる、紫外線に
対して強固であり、かつ、密着性が優れた透明なプライ
マー組成物を塗装、硬化させた後、第2層にはアルコ
キシシランをコロイド状シリカ分散液中で加水分解縮重
合させたコーティング剤を塗装、硬化させるか、オル
ガノシランをコロイド状シリカ分散液中で部分加水分解
したシリカ分散オリゴマーとシラノール基を有するポリ
オルガノシロキサン及び触媒からなるコーティング剤を
塗装、硬化させることによって課題を解決できることを
見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち本発明は、金属表面に、 (1)(イ)平均組成式(R1)a SiO(4-a-b)/2(OR2)b (I) (式中、R1 は各々置換もしくは非置換の炭素数1〜8
の1価の炭化水素基を表し、R2 は各々水素原子又は炭
素数1〜4のアルキル基を表し、aは0.6〜1.8で
あり、bはケイ素原子に結合する水酸基又はアルコキシ
ル基が1分子中に1個以上となる数を表し、かつa+b
<4である)で示されるポリオルガノシロキサン(ロ)
有機チタン酸エステル及び/又はその部分加水分解物を
含有するプライオマー組成物を硬化させた透明なプライ
マー層からなる塗膜、 (2)該塗膜の上に、 (A)式(R3)m Si(OR4)4-m (II) (式中、R3 は各々メチル基、エチル基又はフェニル基
を表し、R4 は各々炭素数1〜4のアルキル基を表し、
mは0、1又は2である)で示されるアルコキシシラン
の加水分解、縮重合物とコロイド状シリカを含み硬化さ
せたケイ素アルコキシド系透明被膜−1、あるいは (B)(a)式(R5)n SiX4-n (III) (式中、R5 は各々置換もしくは非置換の炭素数1〜8
の1価の炭化水素基を表し、Xは加水分解性基を表し、
nは0〜3である)で示される加水分解性オルガノシラ
ンの加水分解、縮重合物とコロイド状シリカを含むシリ
カ分散オリゴマーと、 (b)平均組成式(R6)c Si(OH)d(4-c-d)/2 (IV) (式中、R6 は各々置換もしくは非置換の炭素数1〜8
の1価の炭化水素基を表し、cは0.2≦c≦2、dは
0.0001≦d≦3であり、c+d<4である)で示
されるシラノール基含有ポリオルガノシロキサンを含み
硬化させたケイ素アルコキシド系透明被膜−2を有する
塗装金属物品であり、
【0009】また本発明は、金属表面に、 (1)(イ)平均組成式(R1)a SiO(4-a-b)/2(OR2)b (I) (式中、R1 は各々置換もしくは非置換の炭素数1〜8
の1価の炭化水素基を表し、R2 は各々水素原子又は炭
素数1〜4のアルキル基を表し、aは0.6〜1.8で
あり、bはケイ素原子に結合する水酸基又はアルコキシ
ル基が1分子中に1個以上となる数を表し、かつa+b
<4である)で示されるポリオルガノシロキサン100
重量部に対し、 (ロ)有機チタン酸エステル及び/又はその部分加水分
解物0.1〜100重量部及び (ハ)有機溶剤を含有するプライマー組成物を塗布して
硬化させた後、 (2)次いで、(A)式(R3)m Si(OR4)4-m (II) (式中、R3 は各々メチル基、エチル基又はフェニル基
を表し、R4 は各々炭素数1〜4のアルキル基を表し、
mは0、1又は2である)で示されるアルコキシシラン
を、コロイド状シリカ分散液中で加水分解、縮重合させ
てケイ素アルコキシド系コーティング剤−1を塗布する
か、あるいは (B)(a)式(R5)n SiX4-n (III) (式中、R5 は各々置換もしくは非置換の1価の炭化水
素基を表し、Xは加水分解性基を表し、nは0〜3であ
る)で示される加水分解性オルガノシランをコロイド状
シリカ分散液中で部分加水分解、縮重合させたシリカ分
散オリゴマー、 (b)平均組成式(R6)c Si(OH)d(4-c-d)/2 (IV) (式中、R6 は各々置換もしくは非置換の炭素数1〜8
の1価の炭化水素基を表し、cは0.2≦c≦2、dは
0.0001≦d≦3であり、c+d<4である)で示
されるシラノール基含有ポリオルガノシロキン及び (c)硬化触媒を含有するケイ素アルコキシド系コーテ
ィング剤−2を塗布して、プライマー層の上に透明被膜
を形成することを特徴とする塗装金属物品の製造方法で
ある。
【0010】以下、本発明を詳しく説明する。
【0011】本発明で第1層のプライマー組成物に使用
する成分(イ)のポリオルガノシロキサンは、本発明の
プライマー組成物の主体となる成分であり、本発明のプ
ライマー組成物に接着性、特に耐水接着性を付与するた
めに、1分子中に1個以上の水酸基又はアルコキシル基
を有し、平均組成式(I)で示される。式中、R1 は置
換若しくは非置換の1価の炭化水素基を表し、その具体
例としては、メチル、エチル、n−プロピル、iso −プ
ロピル、n−ブチル、iso −ブチル、tert−ブチルなど
炭素数1〜4のアルキル基;ビニル、アリルなどのアル
ケニル;フェニル、トリルなどのアリール基;あるいは
それらの水素原子をハロゲン原子、シアノ基などで置換
したものが挙げられるが、全R1 中、炭素数1〜4のア
ルキル基を40モル%以上含有することが好ましい。R
2 は水素原子又はメチル、エチル、n−プロピル、iso
−プロピル、n−ブチル、iso −ブチル、tert−ブチル
などの炭素数1〜4のアルキル基を表し、aは0.6〜
1.8であり、bは1分子中にケイ素原子に結合する水
酸基又はアルコキシル基が1個以上になる数であり、か
つa+b<4である。
【0012】この水酸基又はアルコキシル基を有するポ
リオルガノシロキサン(I)は、一般式(R1)p SiY
4-p(式中、R1 は前記と同じであり、YはCl又はOR
2 を表し、ここでR2 も前記と同じであり、pは0、
1、2又は3を表す)で示される置換若しくは非置換の
1価の炭化水素基を有するクロロシラン又はアルコキシ
シランのそれぞれ1種又は2種以上の混合物を、有機溶
媒の存在下、通常の方法で加水分解し、副生する塩酸、
アルコールなどを除去して得られる。
【0013】成分(ロ)の有機チタン酸エステル、及び
/又はその部分加水分解物は、水酸基又はアルコキシル
基を有するポリオルガノシロキサン(イ)の硬化触媒と
して作用するものであり、更に(1)のプライマー組成
物の基材に対する良好な接着性を得るための成分でもあ
る。これら有機チタン酸エステルとしては、チタン酸テ
トラエチル、チタン酸テトラ(n−プロピル)、チタン
酸テトライソプロピル、チタン酸テトラ(n−ブチ
ル)、チタン酸テトラ(2−エチルヘキシル)などが例
示され、またそれらの部分加水分解物も同様に使用でき
る。
【0014】成分(ロ)の使用量は、成分(イ)100
重量部に対して0.1〜100重量部の範囲である。成
分(ロ)が0.1重量部未満では被膜の硬化が遅くなる
ばかりでなく、耐水接着性が低下する。逆に100重量
部超過では耐水接着性が低下し、また被膜が脆くなる。
【0015】成分(ハ)の有機溶剤は、基材表面に適度
な厚みの被膜を作業性良く均一に施すための成分であ
る。これら有機溶剤(ハ)としては、メタノール、エタ
ノール、イソプロパノールのようなアルコール;トルエ
ン、キシレンのような芳香族炭化水素;ノルマルヘキサ
ン、ガソリンのような脂肪族炭化水素;酢酸エチル、酢
酸ブチルのようなカルボン酸エステル;アセトン、メチ
ルエチルケトンのようなケトン;ジメチルエーテル、テ
トラヒドロフランのようなエーテル;ケイ素原子数3〜
7の環状ポリジメチルシロキサン、好ましくはヘキサメ
チルシクロポリシロキサン、オクタメチルシクロポリシ
ロキサン、デカメチルシクロポリシロキサンなど;末端
がトリメチルシロキシ基で封鎖されたケイ素原子数2〜
20の鎖状ポリジメチルシロキサンなどが例示される。
これら溶剤は、単独又は複数種混合して用いる。
【0016】本発明に使用するプライマー組成物(1)
には、上記成分以外に後に詳述するコロイド状シリカ等
を1種又は複数種配合することができる。
【0017】プライマーの組成物(1)の塗装方法は、
例えば、スプレー塗装、ロール塗装、浸漬塗装などが挙
げられ、特に限定されない。プライマー組成物の焼付乾
燥温度は50〜250℃の範囲であることが好ましく、
100〜250℃の範囲であることがより好ましい。ま
た、プライマー層の好ましい膜厚は0.1〜10μmで
ある。
【0018】プライマー層を形成した後、ケイ素アルコ
キシド系コーティング層を第2層として施すが、本発明
で用いるケイ素アルコキシド系コーティング剤には次の
2種類がある。
【0019】第1のケイ素アルコキシド系コーティング
剤−1は、上記一般式(II)で示されるケイ素化合物を
コロイド状シリカ分散液中で加水分解、縮重合させて得
られる末端シラノール封鎖のプレポリマーを必須成分と
するものである。このケイ素アルコキシド系コーティン
グ剤−1は、例えば、下記の成分(i)、(ii)及び
(iii)を主成分とする混合物を適当な溶剤で希釈し、硬
化剤及び触媒を必要量添加して加水分解及び重縮合反応
させて得られる、重量平均分子量Mwがポリスチレン換算
で500〜3,000、かつ、分子量分布Mw/Mn が1.
0〜3.0(Mnは数平均分子量)であるものが好まし
い。より好ましくは、Mw=600〜3,000、かつMw
/Mn =1.2〜1.8である。重量平均分子量及び分子
量分布が前記範囲よりも小さいときには、縮重合の際の
硬化収縮が大きくなる傾向にあり、焼付け後に塗膜にク
ラックが発生しやすくなる傾向になる。また、前記範囲
よりも大きいときには、反応が遅すぎて硬化しにくい
か、又は硬化しても柔らかい塗膜になったり、塗膜のレ
ベリング性が非常に悪いものとなる傾向にある。
【0020】(i)一般式(II)においてm=0で示さ
れるケイ素化合物及びコロイド状シリカ20〜200重
量部 (ii)一般式(II)においてm=1で示されるケイ素化
合物100重量部 (iii)一般式(II)においてm=2で示されるケイ素化
合物0〜80重量部
【0021】また、前記組成において、成分(i)の割
合が20重量部未満又は200重量部を超えると、耐ク
ラック性が悪いという問題がある。上記成分(iii)が8
0重量部を超えると塗膜が柔らかすぎて実用的でない。
【0022】前記コロイド状シリカは、微粒子シリカ成
分を水、メタノール等の有機溶剤又はこれらの混合溶剤
に分散して使用するが、それらがコロイド状である限
り、その粒径、溶剤種等は特に限定されるものではな
い。なお、上記成分(i)のコロイド状シリカ配合割合
は、分散媒も含む重量部である。上記硬化剤としては、
たとえば水が用いられ、この量としては、特に限定はな
いが、コーティング剤組成物中の重量%で、好ましくは
45%以下、より好ましくは25%以下がよい。
【0023】また、上記触媒は特に限定されないが、例
えば、塩酸、リン酸、硫酸等の無機酸や、ギ酸、酢酸、
クロロ酢酸等の有機酸の希薄溶液などの酸性触媒、後で
述べる塩基性触媒などを単独で又は2種以上を併せて使
用することができる。また、上記成分(i)として酸性
コロイド状シリカ分散液(酸性シリカゾル)を用いる場
合には、これが触媒の代りになるので、触媒としては何
も入れなくてもよい。
【0024】ケイ素アルコキシド系コーティング剤−1
は、pH値を3.8〜6.0に調整することによって、上
記の分子量の範囲内で、安定して使用することができ
る。pH値が前記範囲外であると、コーティング剤組成物
の安定性が悪いため、塗料調製後の使用できる期間が限
られることがある。ここで、pH値調整方法は特に限定さ
れるものではないが、例えば、コーティング剤の原料混
合時にpH値が3.8未満となった場合は、アンモニア等
の塩基性試薬を用いて前記範囲内のpHに調整すればよ
く、pH値が6.0を超えた場合も、塩酸等の酸性試薬を
用いて調整すればよい。また、pHによっては、分子量が
小さいままで反応が進まず、上記分子量範囲に到達する
のに時間がかかる場合は、コーティング剤を加熱して反
応を促進させてもよいし、酸性試薬でpH値を下げて反応
を進めた後、塩基性試薬で所定のpH値に戻すようにして
もよい。
【0025】上記のようにpHを調整した場合、又はpH調
整のない場合でも、使用にいたるまでの間又は少なくと
も使用時に、コーティング剤に、塩基性触媒を添加すれ
ば、縮合反応を促進し、塗膜中の架橋点を増やすことが
できるので、安定して耐クラック性の良い塗膜を得るこ
とができる。
【0026】また、架橋反応を促進することによって、
硬化時間を短縮し、あるいは、硬化温度を下げることが
できるため、経済的であり、しかも、低温焼付けしかで
きない基材にも適用できる効果もある。塩基性触媒とし
ては、アミン類(例えば、トリエタノールアミン等)、
アミノシラン類(例えば、γ−アミノプロピルトリエト
キシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプ
ロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)
−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等)や、
無機酸(例えば、塩酸、硝酸、リン酸等)又は有機酸
(例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等)のアンモニ
ア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、n−ブチル
アミン等の塩、あるいは、無機酸又は有機酸の塩と第4
級アンモニウム塩との複分解塩等が例示されるが、その
種類、添加量については特に限定されるものではない。
【0027】以上の製法によって調製されたケイ素アル
コキシド系コーティング剤−1には、上記の成分の他、
必要に応じて、各種着色剤、上記コロイド状シリカ分散
液(シリカゾル)以外の充填剤(例えば、アルミナゾ
ル、ヒュームドシリカなどの無機充填剤)、希釈溶剤、
増粘剤、界面活性剤、紫外線吸収剤等種々の添加剤が1
種以上加えられてもよい。
【0028】前記希釈溶剤としては、メタノール、エタ
ノール、イソプロパノール(IPAともいう)等のアル
コール;エチレングリコール、メチルセロソルブ、エチ
ルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブが例示
され、これらは単独で又は複数で使用される。
【0029】本発明における、ケイ素アルコキシド系コ
ーティング剤−1の塗装方法は、例えば、スプレー塗
装、ロール塗装、フローコーター塗装、浸漬塗装などが
挙げられ、特に限定されない。また、塗装後の乾燥・焼
付け条件についても、特に限定されないが、60〜20
0℃程度で行うことが好ましい。
【0030】次に、ケイ素アルコキシド系コーティング
剤−2について説明する。このコーティング剤は、下記
の成分(a)、成分(b)及び成分(c)を必須成分と
するものである。 (a)一般式 (R5)n SiX4-n (III) (式中、R5 、X及びnは前記と同じ)で示される加水
分解性オルガノシランを、コロイド状シリカを分散した
有機溶媒及び/又は水中で部分加水分解して得られるオ
ルガノシランのシリカ分散オリゴマー溶液 (b)平均組成式 (R6)c Si(OH)d(4-c-d)/2 (IV) (式中、R6 、c及びdは前記と同じ)で示される、シ
ラノール基を有するポリオルガノシロキサン (c)硬化触媒
【0031】本発明で用いる成分(a)のシリカ分散オ
リゴマーは被膜形成に際して、硬化反応に預かる加水分
解性基(X)を有するベースポリマーの主成分である。
これは、コロイド状シリカを分散した有機溶媒及び/又
は水中に一般式(III)で示される加水分解性オルガノシ
ランの1種又は2種以上を加え、分散液中の水又は別途
添加された水で、該加水分解性オルガノシランを部分加
水分解して得られる。
【0032】加水分解性オルガノシランを示す一般式
(III)中のR5 は炭素数1〜8の置換又は非置換の1価
の炭化水素基を表し、例えば、メチル、エチル、プロピ
ル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル
などのアルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシルな
どのシクロアルキル基;2−フェニルエチル、2−フェ
ニルプロピル、3−フェニルプロピルなどのアラルキル
基;フェニル、トリルなどのようなアリール基;ビニ
ル、アリルなどのようなアルケニル基;クロロメチル、
γ−クロロプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピ
ルなどのようなハロゲン置換炭化水素基;又は、γ−メ
タクリロキシプロピル、γ−グリシドキシプロピル、
3,4−エポキシシクロヘキシルエチル、γ−メルカプ
トプロピルなどの置換炭化水素基などを例示することが
できる。これらの中でも合成の容易さ及び入手の容易さ
から炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基が好まし
い。
【0033】加水分解性基Xの例としては、アルコキシ
ル基、アセトキシ基、オキシム基[−O−N=C(−R
´)−R]、エノキシ基[−O−C(−R)=C(−
R″)−R´]、アミノ基、アミノキシ基[−O−N
(−R)−R´]、アミド基[−N(−R´)−CO−
R](ここで、R、R´およびR″は、例えば、各々水
素又は1価の炭化水素基などである)などが挙げられ
る。入手の容易さ及びシリカ分散オリゴマー溶液を調製
しやすいことからアルコキシル基が好ましい。
【0034】このような加水分解性オルガノシランとし
ては、一般式(III)中のnが0〜3の整数であるモノ
−、ジ−、トリ−、テトラ−の各官能性のアルコキシシ
ラン類、アセトキシシラン類、オキシムシラン類、エノ
キシシラン類、アミノシラン類、アミノキシシラン類、
アミドシラン類などが挙げられる。入手の容易さ及びシ
リカ分散オルガノシランオリゴマー溶液を調製しやすい
ことからアルコキシシラン類が好ましい。
【0035】特に、n=0のテトラアルコキシシランと
してはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシランな
どが例示でき、n=1のオルガノトリアルコキシシラン
としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエト
キシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、フェニ
ルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、
3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン
などが例示できる。また、n=2のジオルガノジアルコ
キシシランとしては、ジメチルジメトキシシラン、ジメ
チルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、
ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキ
シシランなどが例示でき、n=3のトリオルガノアルコ
キシシランとしてはトリメチルメトキシシラン、トリメ
チルエトキシシラン、トリメチルイソプロポキシシラ
ン、ジメチルイソブチルメトキシシランなどが例示でき
る。更に、一般にシランカップリング剤と呼ばれるオル
ガノシラン化合物もアルコキシシラン類に含まれる。
【0036】加水分解性オルガノシラン(III)のうち5
0モル%以上がn=1で示される三官能性のものである
ことが好ましく、より好ましくは60モル%以上であ
り、最も好ましくは70モル%以上である。これが50
モル%未満では十分な塗膜硬度が得られないとともに、
乾燥硬化性が劣ることがある。
【0037】成分(a)中のコロイド状シリカは、本発
明で用いるケイ素アルコキシド系コーティング剤−2の
硬化被膜の硬度を高くするために必須のものである。こ
のようなコロイド状シリカとしては、水分散性あるいは
アルコールなどの非水系の有機溶媒分散性コロイド状シ
リカが使用できる。一般にこのようなコロイド状シリカ
分散液は固形分としてのシリカを20〜50重量%含有
しており、この値からシリカ配合量が決定できる。ま
た、水分散性コロイド状シリカを使用する場合、固形分
以外の成分として存在する水は成分(a)の加水分解性
オルガノシランの加水分解に用いることができる。これ
らは通常水ガラスから作られるが、このようなコロイド
状シリカ分散物は市販品を容易に入手することができ
る。
【0038】また、有機溶媒分散コロイド状シリカは前
記水分散性コロイド状シリカの水を有機溶媒と置換する
ことで容易に調製することができる。このような有機溶
媒分散コロイド状シリカも水分散コロイド状シリカ同様
に市販品として容易に入手することができる。コロイド
状シリカが分散している有機溶媒の種類は、例えば、メ
タノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノ
ール、イソブタノール等の低級脂肪族アルコール類;エ
チレングリコール、エチレングリコールモノブチルエー
テル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル等の
エチレングリコール誘導体;ジエチレングリコール、ジ
エチレングリコールモノブチルエーテル等のジエチレン
グリコールの誘導体又はジアセトンアルコール等を挙げ
ることができ、これらのうちから1種又は2種以上のも
のを使用することができる。これらの親水性有機溶媒と
併用して、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチ
ル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メ
チルエチルケトオキシムなども用いることができる。
【0039】成分(a)はコロイド状シリカを5〜95
重量%の範囲で含有することが好ましい。より好ましく
は10〜90重量%、最も好ましくは20〜85重量%
の範囲である。含有量が5重量%未満であると所望の被
膜硬度が得られず、また、95重量%を超えるとシリカ
の均一分散が困難となり成分(a)がゲル化などの不都
合を招来することがある。
【0040】成分(a)のシリカ分散オリゴマーは、通
常加水分解性オルガノシランを水分散コロイド状シリカ
又は有機溶媒分散コロイド状シリカ中で部分加水分解し
て得ることができる。加水分解性オルガノシランに対す
る水の使用量は、加水分解性基(X)1モルに対して水
0.001〜0.5モルが好ましい。0.001モル未
満では十分な部分加水分解物が得られず、0.5モルを
超えると部分加水分解物の安定性が悪くなることがあ
る。部分加水分解する方法は特に限定されず、加水分解
性オルガノシランとコロイド状シリカ分散液とを混合し
て、必要量の水を添加配合すればよく、このとき部分加
水分解反応は常温で進行する。部分加水分解反応を促進
させるため60〜100℃に加温してもよい。更に部分
加水分解反応を促進させる目的で、塩酸、酢酸、ハロゲ
ン化シラン、クロロ酢酸、クエン酸、安息香酸、ジメチ
ルマロン酸、ギ酸、プロピオン酸、グルタル酸、グリコ
ール酸、マレイン酸、マロン酸、トルエンスルホン酸、
シュウ酸などの有機酸又は無機酸を触媒に用いてもよ
い。
【0041】成分(a)は長期的に安定した性能を得る
ためには、液のpHを2.0〜7.0、好ましくは2.5
〜6.5、より好ましくは3.0〜6.0にするとよ
い。pHがこの範囲外であると、特に水の使用量がX1モ
ルに対し0.3モル以上で成分(a)の長期的な性能低
下が著しくなることがある。成分(a)のpHがこの範囲
外にあるときは、この範囲より酸性側であればアンモニ
ア、エチレンジアミン等の塩基性試薬を添加して調整す
ればよく、塩基性側のときは塩酸、硝酸、酢酸等の酸性
試薬を用いて調整すればよい。しかし、その調整方法は
特に限定されるものではない。
【0042】成分(b)のシラノール基を有するポリオ
ルガノシロキサンは、この発明の特徴をなす重要な成分
である。このような成分(b)は上記平均組成式(IV)
で示される。
【0043】式中、R6 としては上記(III)式中のR5
と同じものが例示されるが、好ましくは、炭素数1〜4
のアルキル基、フェニル基、ビニル基、γ−グリシドキ
シプロピル基、γ−メタクリロキシプロピル基、γ−ア
ミノプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基
などの置換炭化水素基、より好ましくはメチル基又はフ
ェニル基である。また、式中、a及びbはそれぞれ上記
の関係を満たす数であり、cが0.2未満又はdが3を
超えると硬化被膜にクラックが生じるなどの不都合があ
り、また、cが2を超え又はdが0.0001未満では
硬化が好ましく進行しない。
【0044】このようなシラノール基を有するポリオル
ガノシロキサンは、例えば、メチルトリクロロシラン、
ジメチルジクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、
ジフェニルジクロロシラン、又はこれらに対応するアル
コキシシランの1種若しくは2種以上の混合物を公知の
方法により大量の水で加水分解して得ることができる。
シラノール基を有するポリオルガノシロキサンを得るの
に、アルコキシシランを用いて公知の方法で加水分解し
た場合、加水分解されないアルコキシル基が微量に残る
場合がある。つまりシラノール基と極微量のアルコキシ
ル基が共存するようなポリオルガノシロキサンが得られ
ることもあるが、本発明では、このようなポリオルガノ
シロキサンを用いることができる。
【0045】本発明の成分(c)である硬化触媒は、上
記成分(a)と成分(b)との縮合反応を促進し、被膜
を硬化させるものである。このような触媒としては、例
えば、アルキルチタン酸塩、オクチル酸スズ、ジブチル
スズジラウレート、ジオクチルスズジマレート等のカル
ボン酸の金属塩;ジブチルアミン−2−ヘキソエート、
ジメチルアミンアセテート、エタノールアミンアセテー
ト等のアミン塩;酢酸テトラメチルアンモニウム等のカ
ルボン酸第4級アンモニウム塩;テトラエチレンペンタ
ミンのようなアミン類;N−β−アミノエチル−γ−ア
ミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−アミノエチ
ル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のア
ミン系シランカップリング剤;p−トルエンスルホン
酸、フタル酸、塩酸等の酸類;アルミニウムアルコキシ
ド、アルミニウムキレート等のアルミニウム化合物;水
酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物;テトライソ
プロピルチタネート、テトラブチルチタネート、チタニ
ウムテトラアセチルアセトネート等のチタニウム化合
物;メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラ
ン、トリメチルモノクロシラン等のハロゲン化シラン等
があるが、これらの触媒の他に成分(a)及び成分
(b)との縮合反応に有効なものであれば特に制限はな
い。
【0046】成分(a)及び成分(b)の配合割合は、
成分(a)と成分(b)の合計量を100重量部とし
て、成分(a)1〜99重量部に対して成分(b)99
〜1重量部であり、より好ましくは成分(a)5〜95
重量部に対して成分(b)95〜5重量部、特に好まし
くは成分(a)10〜90重量部に対して成分(b)9
0〜10重量部である。成分(a)が1重量部未満であ
ると常温硬化性が劣り、また十分な被膜硬度が得られな
い。一方、成分(a)が99重量部を超えると硬化性が
不安定でかつ良好な塗膜が得られないことがある。
【0047】また、成分(c)の添加量は、成分(a)
と成分(b)の合計100重量部に対して0.0001
〜10重量部であることが好ましく、より好ましくは
0.0005〜8重量部であり、特に好ましくは0.0
007〜5重量部である。成分(c)の添加量が0.0
001重量部未満では常温で硬化しないことがあり、ま
た、10重量部を超えると耐熱性、耐候性が悪くなるこ
とがある。
【0048】成分(a)のシリカ分散オリゴマーに含有
される加水分解性基と成分(b)のシラノール基とは、
成分(c)の硬化触媒存在下で、常温又は低温(例え
ば、温度100℃以下)にて縮合反応し、硬化被膜を形
成する。したがって、湿気硬化タイプのコーティング用
組成物のように、本発明で用いるケイ素アルコキシド系
コーティング剤−2は常温で硬化するときにも湿度の影
響をほとんど受けない。一方、加熱処理により縮合反応
を促進して硬化被膜を形成することができる。
【0049】以上の製法によって調製されたケイ素アル
コキシド系コーティング剤−2は、上記の成分の他、必
要に応じて、各種着色剤、上記コロイド状シリカ分散液
(シリカゾル)以外の充填剤(アルミナゾル、ヒューム
ドシリカ等の無機充填剤)、希釈溶剤、増粘剤、界面活
性剤、紫外線吸収剤等種々の添加剤を1種以上加えても
よい。
【0050】前記希釈剤としては、メタノール、エタノ
ール、イソプロパノール等のアルコール;エチルセロソ
ルブ、ブチルセロソルブ、エチレングリコールモノメチ
ルエーテル等のセロソルブが例示され、これらは、単独
で又は複数で使用される。また、これらの親水性有機溶
剤と併用してトルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブ
チル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、
メチルエチルケトオキシムなども使用することができ
る。
【0051】このケイ素アルコキシド系コーティング剤
−2の保存方法としては、成分(a)、(b)及び
(c)をそれぞれ別々に保存する3梱包形態をとるのが
一般的であるが、成分(a)と成分(c)の混合成分と
成分(b)を分けて2梱包形態とし、使用時に両者を混
合するか、すべての成分を混合して一容器内に保存する
1梱包形態とすることも可能である。
【0052】ケイ素アルコキシド系コーティング剤−2
は、通常の塗布方法でコーティングすることができ、例
えば、刷毛塗り、スプレー、浸漬、フロー等の各種塗布
方法を選択できる。硬化条件は、5〜200℃が好まし
く、10〜150℃がより好ましい。5℃未満であれば
硬化しにくく、200℃を超えると発泡のおそれがあ
る。
【0053】ケイ素アルコキシド系コーティング剤−1
及び2による第2層の塗装膜厚は、硬化後3μm 以上約
30μm 以下となるようにするのが好ましい。3μm 未
満ではピンホールができやすく防食性が悪化することが
ある。一方、30μm を超えると耐クラック性が劣る不
都合がある。
【0054】本発明の塗装物品、又は本発明の製造方法
により得られた塗装物品は、ステンレススチールなどの
鋼板、アルミニウムなどの非鉄金属の材質感を残し、長
期の防食性、耐候性、耐汚染性等を有し、メインテナン
スフリーである。このため、このような塗装物品は、例
えば、外装用の壁材、屋根材、雨樋などの部材として利
用される。
【0055】
【作用】金属基材の表面に、第1層としてプライマー層
を、その上に第2層として上記ケイ素アルコキシド系コ
ーティング剤−1又は−2からなる透明被膜を形成する
ことにより、防食性、耐候性、耐汚染性等が確保され、
メインテナンスフリーとすることができる。しかも、そ
の透明被膜の上から下地である金属が透けて見えるの
で、金属の材質感が得られる。
【0056】
【実施例】以下に、本発明を具体的な実施例により詳細
に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるもの
ではない。以下で、「部」及び「%」は「重量部」及び
「重量%」を表す。
【0057】参考例1:シリコーン樹脂溶液(S−1)
の調製 メチルトリクロロシラン70部、ジメチルジクロロシラ
ン6部、テトラクロロシラン3部をトルエン85部と混
合し、これを還流冷却器付きの容器に入れた水200部
とn−ブタノール50部混合液中に、温度を50℃以下
に保ち、撹拌しつつ滴下し、加水分解、縮合を行った。
【0058】生成したポリメチルシロキサンを水で洗浄
し、副生した塩化水素を除去した。これを、加圧下で加
熱し、溶剤の一部として残存する水を除去し、濃度50
%のシリコーン樹脂トルエン溶液(S−1)を得た。
【0059】参考例2:シリコーン樹脂溶液(S−2)
の調製 メチルトリクロロシラン33部、ジメチルジクロロシラ
ン28部、フェニルトリクロロシラン75部をトルエン
130部と混合し、これを還流冷却器付きの容器に入れ
た水150部とアセトン70部混合液中に、温度を50
℃以下に保ち、撹拌しつつ滴下し、加水分解、縮合を行
った。
【0060】生成したポリメチルフェニルシロキサンを
水で洗浄し、副生した塩化水素を除去した。これを、加
圧下で加熱し、溶剤の一部として残存する水を除去し、
濃度50%のシリコーン樹脂トルエン溶液(S−2)を
得た。
【0061】参考例3:プライマー組成物の調製 (イ)シリコーン樹脂トルエン溶液(S−1)又は(S
−2)に対して、表1に示すチタン酸エステル(ロ)及
び/又は有機溶剤(ハ)を加えて、各プライマー組成物
(P−1)〜(P−7)を調製した。
【0062】
【表1】
【0063】参考例4:ケイ素アルコキシド系コーティ
ング剤−1(C−1)の調製 メチルトリメトキシシラン100部、テトラエトキシシ
ラン20部、イソプロピルアルコール(IPA)分散コ
ロイド状シリカゾル(商品名「OSCAL1432」、
SiO2 含量30%、触媒化成社製)150部、ジメチ
ルジメトキシシラン40部及びイソプロピルアルコール
(IPA)100部を混合し、更に水200部を添加し
て撹拌した。これを60℃の恒温槽中で分子量Mwを
1,200に調整した。この液を(C−1)という。な
お、分子量はGPC(ゲルパーミェーションクロマトグ
ラフィー、東ソー社製:HLC8020)を用いて、標
準ポリスチレンで検量線を作成し、測定した。
【0064】参考例5:ケイ素アルコキシド系コーティ
ング剤−1(C−2)の調製 (C−1)100部に対して充填剤としてヒュームドシ
リカ(商品名「アエロジル#200」、日本アエロジル
社製)3部を加え、グレンミルで分散させ、コーティン
グ液(C−2)を得た。
【0065】参考例6:ケイ素アルコキシド系コーティ
ング剤−2(C−3)の成分(a)及び成分(b)の調
製 撹拌機、加温ジャケット、コンデンサー及び温度計を取
り付けたフラスコ中にIPA−ST(商品名、イソプロ
ピルアルコール分散コロイド状シリカゾル;粒子径10
〜20m μ、固形分30%、水0.5%、日産化学工業
社製)100部、メチルトリメトキシシラン68部、ジ
メチルジメトキシシラン18部、水2.7部、無水酢酸
0.1部を投入して撹拌しながら80℃の温度で約3時
間かけて部分加水分解反応を行い冷却して(C−3)の
成分(a)を得た。このものは、室温で48時間放置し
たときの固形分が36%であった。
【0066】 <成分(a)の調製条件> ・加水分解性基1モルに対する水のモル数 …1×10-1 ・成分(a)のシリカ分含有率 …40.2% ・n=1の加水分解性オルガノシランのモル% …77モル%
【0067】また、撹拌機、加温ジャケット、コンデン
サー、滴下ロート及び温度計を取り付けたフラスコにメ
チルトリイソプロポキシシラン220部(1モル)とト
ルエン150部との混合液を計り取り、1%塩酸水溶液
108部を上記混合液に20分で滴下してメチルトリイ
ソプロポキシシランを加水分解した。滴下40分後に撹
拌を止め、2層に分離した少量の塩酸を含んだ下層の水
とイソプロピルアルコールの混合液を分液し、次に残っ
たトルエンの樹脂溶液の塩酸を水洗で除去し、更にトル
エンを減圧除去した後、イソプロピルアルコールで希釈
し平均分子量約2,000のシラノール基含有オルガノ
ポリシロキサンのイソプロピルアルコール40%溶液と
して(C−3)の成分(b)を得た。
【0068】参考例7:(C−4) 大日本塗料社製フッ素クリヤー(ルミフロン系)(商品
名「Vフロン#2000クリヤー」)を(C−4)とす
る。
【0069】参考例8:(C−5) 水ガラス系セラミックコーティング剤(CRM−700
(S)奥野製薬工業社製、原液pH=12.0)を(C−
5)とする。
【0070】参考例9:(C−6) 日本油脂社製フッ素クリヤー(カイナー系)(商品名
「プレカラーNo. 8300クリヤ−」)を(C−6)と
する。
【0071】実施例1〜8 第1層にプライマー、第2層にケイ素アルコキシド系の
コーティング剤−1を用いた。実施にあたり、基材は、
日新製鋼社製ヘアーライン仕上げのステンレススチール
基材(SUS304)をアルカリ脱脂して用いた。
【0072】この基材に表2に示したプライマー組成物
を膜厚1〜3μm になるよう塗布し、セッティング時間
5分間キープした後、150℃で30分焼付け、常温ま
で冷却した後、(C−1)又は(C−2)コーティング
剤をスプレーで塗装し、膜厚7〜10μm とし、セッテ
ィング5分間とった後、180℃で20分の焼付けを行
い試験体を作成した。
【0073】得られた塗装物品について、密着性、防食
性及び耐候性を調べ、結果を表2に示した。
【0074】密着性は、煮沸水に10時間浸漬後、風乾
し、3時間以内に粘着テープ(セロハンテープ)で確認
した。
【0075】防食性は、ソルトスプレー試験2,000
時間後の状況を目視で評価した。
【0076】耐候性は、アイス−パーUVテスターで、
次の表を1サイクルとする(8時間+4時間=12時間
を1サイクル)試験をUV照射時間1,000時間まで
行った後の状況を評価した。 試験条件 時間 8時間 4時間 UV照射 有り(100mW/cm2) 無し 温度 63℃ 35℃ 湿度 50% 90%以上(結露あり)
【0077】
【表2】
【0078】実施例9〜12 第1層にプライマー、第2層にケイ素アルコキシド系コ
ーティング剤−2を用いた。ケイ素アルコキシド系コー
ティング剤−2としては、(C−3)の成分(a)と成
分(b)を用い、成分(a)65部と成分(b)35部
に、成分(c)の触媒としてN−β−アミノエチル−γ
−アミノプロピルメチルジメトキシシラン3部を混合し
て調製した。
【0079】このケイ素アルコキシド系コーティング剤
−2を、実施例1〜8と同様に処理した基材にスプレー
で塗装し、塗布膜厚は7〜10μm とし、セッティング
を5分間とった後、60℃で20分間の焼付けを行っ
て、塗装金属物品を得た。結果を表2に示す。
【0080】比較例1〜3 プライマーとして(P−5)、(P−6)及び(P−
7)をそれぞれ使用した以外は、実施例1〜8と同様に
実施した。結果を表2に示す。
【0081】比較例4 実施例1において、プライマーを用いなかったこと以外
は、実施例1と同様に実施した。結果を表2に示す。
【0082】比較例5〜7 基材をアルカリ脱脂後、化成処理を施し、表2に示すケ
イ素アルコキシド系コーティング剤を使用した以外は、
実施例1〜8と同様に実施した。結果を表2に示す。化
成処理液は、表3に示す組成のものを用いた。
【0083】
【表3】
【0084】比較例8 (C−1)の代りに、(C−4)のコーティング剤をス
プレーで膜厚が25μm になるように塗布し、5分間セ
ッティングをとった後、200℃で10分間の焼付けを
行った以外は、比較例5〜7と同様に実施した。結果を
表2に示す。
【0085】比較例9 化成処理を施した基材を予備熱処理(230℃、30
分)をした後、(C−5)のコーティング剤をスプレー
で膜厚が20μm となるように塗布し、230℃で20
分間の焼付けを行った以外は、比較例5〜7と同様に実
施した。結果を表2に示す。
【0086】比較例10 (C−1)の代りに、(C−6)のコーティング剤をス
プレーで膜厚が20μm になるように塗布し、5分間セ
ッティングをとった後、240℃で10分間の焼付けを
行った以外は、比較例5〜7と同様に実施した。結果を
表2に示す。
【0087】表2にみるように、金属基材上に、第1層
としてプライマー層、及び第2層としてケイ素アルコキ
シド系コーティング剤−1又は−2からなる塗膜が形成
されていることにより、密着性、防食性及び耐候性のす
べてに優れた塗装物品が得られるが、プライマー層が形
成されていないか、又はケイ素アルコキシド系コーティ
ング剤からなる塗膜が形成されていないと、それら3つ
の特性の1つ以上が劣っている。
【0088】
【発明の効果】本発明によれば、金属基材の材質感を残
し、長期に渡って防食性、耐候性、耐汚染性等を確保
し、メインテナンスフリーである塗装金属物品が提供さ
れる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B05D 7/24 303 B 8720−4D B32B 15/08 G (72)発明者 鳥羽 久美 東京都港区六本木6丁目2番31号 東芝シ リコーン株式会社内 (72)発明者 占部 孝 東京都港区六本木6丁目2番31号 東芝シ リコーン株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属表面に、 (1)(イ)平均組成式(R1)a SiO(4-a-b)/2(OR2)b (I) (式中、R1 は各々置換もしくは非置換の炭素数1〜8
    の1価の炭化水素基を表し、R2 は各々水素原子又は炭
    素数1〜4のアルキル基を表し、aは0.6〜1.8で
    あり、bはケイ素原子に結合する水酸基又はアルコキシ
    ル基が1分子中に1個以上となる数を表し、かつa+b
    <4である)で示されるポリオルガノシロキサン(ロ)
    有機チタン酸エステル及び/又はその部分加水分解物を
    含有するプライマー組成物を硬化させた透明なプライマ
    ー層からなる塗膜、 (2)該塗膜の上に、 (A)式(R3)m Si(OR4)4-m (II) (式中、R3 は各々メチル基、エチル基又はフェニル基
    を表し、R4 は各々炭素数1〜4のアルキル基を表し、
    mは0、1又は2である)で示されるアルコキシシラン
    の加水分解、縮重合物とコロイド状シリカを含み硬化さ
    せたケイ素アルコキシド系透明被膜−1、あるいは (B)(a)式(R5)n SiX4-n (III) (式中、R5 は各々置換もしくは非置換の炭素数1〜8
    の1価の炭化水素基を表し、Xは加水分解性基を表し、
    nは0〜3である)で示される加水分解性オルガノシラ
    ンの加水分解、縮重合物とコロイド状シリカを含むシリ
    カ分散オリゴマーと、 (b)平均組成式(R6)c Si(OH)d(4-c-d)/2 (IV) (式中、R6 は各々置換もしくは非置換の炭素数1〜8
    の1価の炭化水素基を表し、cは0.2≦c≦2、dは
    0.0001≦d≦3であり、c+d<4である)で示
    されるシラノール基含有ポリオルガノシロキサンを含み
    硬化させたケイ素アルコキシド系透明被膜−2を有する
    塗装金属物品。
  2. 【請求項2】 金属表面に、 (1)(イ)平均組成式(R1)a SiO(4-a-b)/2(OR2)b (I) (式中、R1 は各々置換もしくは非置換の炭素数1〜8
    の1価の炭化水素基を表し、R2 は各々水素原子又は炭
    素数1〜4のアルキル基を表し、aは0.6〜1.8で
    あり、bはケイ素原子に結合する水酸基又はアルコキシ
    ル基が1分子中に1個以上となる数を表し、かつa+b
    <4である)で示されるポリオルガノシロキサン100
    重量部に対し、 (ロ)有機チタン酸エステル及び/又はその部分加水分
    解物0.1〜100重量部及び (ハ)有機溶剤を含有するプライマー組成物を塗布して
    硬化させた後、 (2)次いで、(A)式(R3)m Si(OR4)4-m (II) (式中、R3 は各々メチル基、エチル基又はフェニル基
    を表し、R4 は各々炭素数1〜4のアルキル基を表し、
    mは0、1又は2である)で示されるアルコキシシラン
    を、コロイド状シリカ分散液中で加水分解、縮重合させ
    てケイ素アルコキシド系コーティング剤−1を塗布する
    か、あるいは (B)(a)式(R5)n SiX4-n (III) (式中、R5 は各々置換もしくは非置換の1価の炭化水
    素基を表し、Xは加水分解性基を表し、nは0〜3であ
    る)で示される加水分解性オルガノシランをコロイド状
    シリカ分散液中で部分加水分解、縮重合させたシリカ分
    散オリゴマー、 (b)平均組成式(R6)c Si(OH)d(4-c-d)/2 (IV) (式中、R6 は各々置換もしくは非置換の炭素数1〜8
    の1価の炭化水素基を表し、cは0.2≦c≦2、dは
    0.0001≦d≦3であり、c+d<4である)で示
    されるシラノール基含有ポリオルガノシロキン及び (c)硬化触媒を含有するケイ素アルコキシド系コーテ
    ィング剤−2を塗布して、プライマー層の上に透明被膜
    を形成することを特徴とする塗装金属物品の製造方法。
JP34042392A 1992-12-21 1992-12-21 塗装金属物品及びその製造方法 Expired - Fee Related JP2608666B2 (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2004351750A (ja) * 2003-05-29 2004-12-16 Takiron Co Ltd 不燃性化粧板

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