JPH06179716A - (メタ)アクリルアミド系カチオン変性共重合体及びその製法、該共重合体を含有する熱可塑性組成物及び水性組成物、並びに該共重合体含有層と熱可塑性樹脂層とを有する積層体 - Google Patents

(メタ)アクリルアミド系カチオン変性共重合体及びその製法、該共重合体を含有する熱可塑性組成物及び水性組成物、並びに該共重合体含有層と熱可塑性樹脂層とを有する積層体

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JPH06179716A
JPH06179716A JP5174495A JP17449593A JPH06179716A JP H06179716 A JPH06179716 A JP H06179716A JP 5174495 A JP5174495 A JP 5174495A JP 17449593 A JP17449593 A JP 17449593A JP H06179716 A JPH06179716 A JP H06179716A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 熱可塑性樹脂に配合したときに相溶性が良好
で且つ機械的物性が優れているカチオン変性共重合体を
提供する。 【構成】 エチレン構造単位97.9〜65モル%と、
アクリル酸エステル若しくはメタクリル酸エステルの構
造単位1〜15モル%と、化1で表されるカルボン酸構
造単位(III)0.1〜2モル%と、化1で表される
アミド構造単位(IV)1〜35モル%とを分子内に含
有する重量平均分子量1,000〜50,000で線状
のカチオン変性共重合体。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なアクリルアミド
系及びメタクリルアミド系のカチオン変性共重合体、そ
の製造方法、該カチオン変性共重合体を含有する熱可塑
性樹脂組成物及び水性組成物、更に上記カチオン変性共
重合体層又はこれを含有する熱可塑性樹脂組成物層と熱
可塑性樹脂層とを有する積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】カチオン変性されたポリオレフィンは、
ポリオレフィンのもつ優れた加工性、低温特性及び柔軟
性並びにカチオン性の基を有するため、従来より帯電防
止剤、導電性樹脂、トナーの静電荷付与剤、紙のサイズ
剤、抗菌剤、ガラスのコーティング剤等の幅広い用途に
使用されており、産業的に重要な材料となりつつある。
【0003】このようなカチオン変性されたポリオレフ
ィンの例として、以下に示す(イ)〜(ホ)がある。
【0004】(イ) ヨーロッパ公開特許公報第025
8724号及び特開昭63−57609号公報には、改
質ポリエチレンと称し、分子量500〜10,000
(好ましくは1,000〜5,000)のポリエチレン
の側鎖に1〜10個(好ましくは1〜5個)のカチオン
化されたアクリルアミド単位が導入された変性ポリエチ
レンが開示されており、ガラス容器のコーティング剤へ
の用途が提案されている。
【0005】また、その製造方法として、酸化されたポ
リエチレンにモル過剰量のジアルキルアミノアルキルア
ミンを反応させてアミド化した後、ベンジルクロライド
等の4級化剤で4級化する方法が開示されている。
【0006】(ロ) 特開昭63−246750号公報
には、無水マレイン酸、アクリル酸等の不飽和カルボン
酸とオレフィンとの共重合樹脂に、N,N−ジメチル−
1,3−プロパンジアミン等のアミンをカルボキシル基
1モルに対して1モル以上作用させイミド又はアミド、
アミン塩等に変換した後、4級化剤を用いて全体的又は
部分的に4級化して得られるカチオン変性ポリオレフィ
ンが開示されている。また、このカチオン変性ポリオレ
フィンが電子写真に用いられるトナーの静電荷付与剤と
して使用できることが開示されている。
【0007】(ハ) 特開昭63−304010号公報
及び特開平2−36106号公報には、ラジカル共重合
法により得られる分子量5,000〜50,000のエ
チレン−ジアルキルアミノアルキルアクリルアミド系共
重合体、場合によっては、製造時の利便性及び共重合体
の柔軟性を増す目的で導入された第3のモノマーとの共
重合体、例えばエチレン−ジアルキルアミノアルキルア
クリルアミド−メタクリル酸エステル共重合体の塩酸塩
をエピハロヒドリンで4級化して、カチオン変性ポリエ
チレンを水分散体として得る方法が開示されている。こ
のようにして得られたものは、プラスチックフィルムに
塗布する帯電防止剤、静電記録紙の導電層並びに殺菌剤
として有効とされている。
【0008】(ニ) 特開平4−198308号公報及
び特開平4−198307号公報には、本発明者等によ
るエチレン−アクリル酸エステル−アクリロイルアミノ
アルキルトリアルキルアンモニウム共重合体とその製造
法が開示されている。このカチオン変性共重合体は積極
的にアクリル酸エステル単位が導入されており、これに
よって、例えば、実用面で次のような利点をもたらす。
【0009】すなわち、熱可塑性樹脂に配合したときに
強靱性と耐衝撃性が付与されるため、物性の低下が少な
い。また、静電記録紙の導電層に用いた場合製膜性に優
れるので、導電性が良好であるだけでなく耐溶剤性も良
好となる。さらに、水分散体の形態でプラスチック等の
塗布型帯電防止剤として用いたとき、造膜性が良いので
導電性と基材への密着性とが良好である。
【0010】(ホ) 特開昭60−22904号公報
(特公平−5−17923号公報)には、制電性官能基
としてアミノアルキルアクリレートの4級化物を用いた
例が記載されている。この例では、エチレン−アクリル
酸エチル−ジメチルアミノエチルアクリレートの三元共
重合体をトリアルキルホスフェートで4級化したカチオ
ン性共重合体を、ポリオレフィン樹脂、ポリエステルエ
ラストマー、ポリスチレン樹脂、ABS、ポリアミド樹
脂等にブレンドして帯電防止性の樹脂が得られている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来のカチオン変性ポリオレフィンやカチオン変性ポ
リエチレンは、実際の使用場面、例えばポリオレフィ
ン、スチレン系樹脂、ABS樹脂、ポリエステル、ポリ
アミド等の熱可塑性樹脂に配合して制電性ポリマーアロ
イにしたときに、次の問題点を有する。すなわち、前記
(イ)と(ロ)のカチオン変性ポリオレフィンは相溶性
が不良であるため、フィルム用途の場合透明性を悪化さ
せる。また、耐衝撃性に代表される機械的物性も著しく
低下する。前記(ハ)と(ニ)のカチオン変性ポリオレ
フィンは相溶性の点では改良されているが、耐衝撃性等
の機械的物性が未だ十分とはいえない。
【0012】また、前記(ホ)の場合には、4級化反応
に用いられるトリアルキルホスフェートが高価であるた
め、経済的に不利であるばかりでなく、その公報の実施
例に示されているように4級化反応が完全に進行せず、
その結果、3級アミノ基であるジメチルアミノエチルア
クリレート単位が残存する。ジメチルアミノエチルアク
リレート単位が残存したままのカチオン共重合体を樹脂
組成物の一成分として使用すると、帯電防止性能が劣る
ばかりではなく、加熱加工時に残存アミノ基の変質に起
因すると考えられる着色を呈したり、ポリアミド樹脂、
ポリエステル樹脂等のアミド結合やエステル結合を有す
る熱可塑性樹脂と共に配合する場合には、機械的強度の
著しい低下をもたらすという問題があった。
【0013】また、上記従来のカチオン変性ポリオレフ
ィンを水分散体の形でコーティング剤として用いたとき
には、次の問題点を有する。すなわち、前記(イ)と
(ロ)のカチオン変性ポリオレフィンの場合導電性が劣
り、また、前記(ハ)と(ニ)のカチオン変性ポリオレ
フィンの場合、導電性は改良されているがプラスチッ
ク、ガラス、紙等の基材表面への接着性が十分でない。
更に、前記(ホ)の公報には、前記カチオン性共重合体
の水性分散物をポリエステルフィルム又は紙に塗布する
ことにより、帯電防止性の紙又はフィルムが得られるこ
とが例示されているが、この場合にも経済的不利益を免
れることはできない。
【0014】本発明は、上述した従来技術の課題に鑑み
発明されたものであって、その目的とするところは、ポ
リオレフィン等の熱可塑性樹脂に配合して制電性ポリマ
ーアロイにしたときに帯電防止能を発揮し得て、しかも
相溶性が良好で耐衝撃性等の機械的物性が優れているカ
チオン変性共重合体を提供すること、そのカチオン変性
共重合体の製造方法を提供すると、並びにその共重合体
を含有する熱可塑性樹脂組成物及び水性組成物を提供す
ることにある。また、本発明の他の目的は、上記カチオ
ン変性共重合体層又は該共重合体を含有する熱可塑性樹
脂組成物層と熱可塑性樹脂層とを有する積層体を提供す
ることである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明に係るカチオン変
性共重合体は、式化7で表されるエチレン構造単位(I)
97.9〜65モル%と、一般式化8で表されるエステ
ル構造単位(II)1〜15モル%と、一般式化9で表され
るカルボン酸構造単位(III) 0.1〜2モル%と、一般
式化10で表されるアミド構造単位(IV)1〜35モル%
とを分子内に含有し、重量平均分子量1,000〜5
0,000で線状の共重合体である。各構造単位は規則
的に配列していても不規則に配列していてもどちらでも
よい。
【0016】
【化7】
【0017】
【化8】
【0018】
【化9】
【0019】
【化10】
【0020】ここで、化8、化9及び化10において、
Rは水素原子又はメチル基を示し、R1 は炭素数1〜4
のアルキル基を示し、R2 は炭素数2〜8のアルキレン
基を示し、R3 及びR4 は各々独立に炭素数1〜4のア
ルキル基を示し、R5 は炭素数1〜18のアルキル基又
は炭素数6〜8のアリールアルキル基を示し、X- はハ
ロゲン化物イオン、CH3 OSO3 - 又はC2 5 OS
3 - を示す。
【0021】上記カチオン変性共重合体は、一般式化1
0で表されるアミド構造単位(IV)のRが水素原子である
場合にアクリルアミド系共重合体となり、アミド構造単
位(IV)のRがメチル基である場合にメタクリルアミド系
共重合体となる。
【0022】本発明のカチオン変性共重合体の構成につ
いて、以下にさらに詳しく説明する。
【0023】本発明のカチオン変性共重合体において、
式化7で表されるエチレン構造単位(I) は、前述したよ
うに分子内に97.9〜65モル%含有されている。こ
の含有割合が65モル%未満である場合には、相対的に
エステル構造単位(II)及びアミド構造単位(IV)の含有割
合が増加するため熱可塑性樹脂、特にポリオレフィンに
配合したときに相溶性が悪化し、その結果、樹脂の機械
的物性の悪化を招く。
【0024】また、エチレン構造単位(I) の含有割合が
97.9モル%を超える場合は、本発明のカチオン変性
共重合体の帯電防止能が小さくなる。エチレン構造単位
(I) の含有割合は軟化点、機械的物性及び帯電防止能の
釣り合いの点から97〜85モル%であることが特に好
ましい。
【0025】本発明のカチオン変性共重合体において、
一般式化8で表されるエステル構造単位(II)は、前述し
たように分子内に1〜15モル%含有されている。この
含有割合が15モル%を超える場合には、共重合体の結
晶性が低くなり粘着性やべたつきを生じて、帯電防止能
の湿度依存性が大きくなる。さらには、ポリオレフィン
等に配合する場合に機械的物性の悪化を招く。エステル
構造単位(II)が含有されていることにより、メチルメタ
クリレート樹脂等のアクリレート系樹脂,ABS樹脂な
どに対する相溶性が大きく改善され、本発明のカチオン
変性共重合体を内部添加型帯電防止剤として用いる場合
に種々の構造をもつ樹脂に対して相溶性が良好となり、
樹脂物性の低下を少なくするので好ましい。なお、エス
テル構造単位(II)の含有割合は軟化点及び樹脂に対する
相溶性の点から3〜7モル%であることが特に好まし
い。
【0026】なお、一般式化8で表されるエステル構造
単位(II)において、Rは水素原子又はメチル基を示し、
これらの基は1分子中に混在してもよい。また、R1
炭素数1〜4のアルキル基を示し、具体例として、メチ
ル基,エチル基,n−プロピル基,iso−プロピル
基,n−ブチル基,iso−ブチル基,tert−ブチ
ル基が挙げられ、これらの基は1分子中に混在してもよ
い。これらの中でメチル基及びエチル基が得られるカチ
オン変性共重合体の軟化点を維持する上でより好まし
い。
【0027】本発明のカチオン変性共重合体において、
一般式化9で表されるカルボン酸構造単位(III) は分子
内に0.1〜2モル%含有されているが、この存在によ
り次の利点がある。
【0028】すなわち、カルボン酸構造単位(III) が一
般式化10で表されるアミド構造単位(IV)と分子間及び
/又は分子内でイオン結合を形成して、本発明のカチオ
ン変性共重合体を内部添加した樹脂の耐衝撃性及び耐屈
曲性を改善する。
【0029】また、本発明のカチオン変性共重合体の分
子量が比較的小さいにもかかわらずカルボン酸構造単位
(III) がアミド構造単位(IV)と分子間でイオン結合を形
成して、カチオン変性共重合体は、見かけ上の分子量が
増大して、通常の成型品用熱可塑性樹脂と溶融混練時の
粘度が一致するため樹脂中へ微分散する。その結果、本
発明のカチオン変性共重合体を少量添加することによ
り、高い帯電防止能を発現する。
【0030】さらに、本発明のカチオン変性共重合体を
水性組成物の形にしてプラスチック、ガラス、紙等の基
材のコーティング剤として用いた場合、残存しているカ
ルボキシル基が密着性向上に働き、コーティングされた
薄膜が剥がれにくく、帯電防止効果の永続性が大きい。
【0031】本発明のカチオン変性共重合体においてカ
ルボン酸構造単位(III) の含有割合が2モル%を超える
場合には、内部添加した熱可塑性樹脂が硬くなる。ま
た、カルボン酸構造単位(III) とイオン結合するアミド
構造単位(IV)が多くなり、共重合体の帯電防止能が不足
する。
【0032】カルボン酸構造単位(III) の含有割合が
0.1モル%未満である場合は、内部添加した熱可塑性
樹脂の耐衝撃性及び耐屈曲性が改善されず、水性組成物
の形にしてコーティング剤として用いてもコーティング
膜の密着性が不良である。
【0033】カルボン酸構造単位(III) の含有割合は帯
電防止能、耐衝撃性、耐屈曲性及び密着性の点から0.
2〜1.5モル%がより好ましく、0.3〜0.8モル
%が特に好ましい。
【0034】なお、一般式化9で表されるカルボン酸構
造単位(III) において、Rは水素原子又はメチル基を示
し、これらの基は1分子中に混在してもよい。
【0035】本発明のカチオン変性共重合体において、
一般式化10で表されるアミド構造単位(IV)は、分子内
に1〜35モル%含有されているが、この含有割合が1
モル%未満である場合には共重合体の帯電防止能が不足
する。また、含有割合が35モル%を超える場合には熱
可塑性樹脂に配合したときに吸湿性が生じたり、相溶性
の悪化により樹脂の機械的物性が低下する。これらの兼
ね合いから、アミド構造単位(IV)の含有割合は2〜15
モル%であることが特に好ましい。
【0036】なお、一般式化10で表されるアミド構造
単位(IV)において、Rは水素原子又はメチル基を示し、
これらの基は1分子中に混在してもよい。また、R2
炭素数2〜8のアルキレン基を示し、具体例として、エ
チレン基,プロピレン基,ヘキサメチレン基,ネオペン
チレン基等が挙げられ、これらの基は1分子中に混在し
ていてもよい。これらの基の中で、製造の容易性や経済
性の点からエチレン基,プロピレン基がより好ましく、
プロピレン基が特に好ましい。
【0037】アミド構造単位(IV)におけるR3 及びR4
は各々独立に炭素数1〜4のアルキル基を示し、具体例
として、メチル基,エチル基,プロピル基,ブチル基等
が挙げられ、これらの基は構造単位毎に同一であっても
異なってもよい。これらの基の中で、帯電防止性付与の
点からメチル基及びエチル基が特に好ましい。
【0038】アミド構造単位(IV)におけるR5 は炭素数
1〜18のアルキル基又は炭素数6〜8のアリールアル
キル基を示し、具体例として、メチル基,エチル基,n
−プロピル基,iso−プロピル基,ベンジル基等が挙
げられ、これらの基は1分子中に混在していてもよい。
これらの基の中では、帯電防止能付与の点から低級アル
キル基がより好ましく、耐熱性の点から低級アルキル基
又はベンジル基がより好ましい。特に好ましいのはメチ
ル基とエチル基である。
【0039】さらに、X- はCl- , Br- , I- 等の
ハロゲン化物イオン,CH3 OSO3 - 又はC2 5
SO3 - を示し、これらのイオンは構造単位毎に同一で
あっても異なってもよい。これらの中では、帯電防止能
付与の点からCl- , CH3OSO3 - 及びC2 5
SO3 - が特に好ましい。
【0040】上記構成のカチオン変性共重合体の重量平
均分子量の測定はゲルパーミュエーションクロマトグラ
フィーで行い、ポリスチレン換算の重量平均分子量で超
高温GPC法(絹川等,「高分子論文集第44巻2
号」,139〜141頁,1987)に準じて測定でき
るが、その重量平均分子量の範囲は1,000〜50,
000である。重量平均分子量が1,000未満である
場合には分子量が小さくなりすぎて、本発明のカチオン
変性共重合体は熱可塑性樹脂に配合し加熱したときに熱
により揮散する。また、重量平均分子量が50,000
を超える場合には、本発明のカチオン変性共重合体を溶
融したときの粘度が大きくなりすぎ、作業性が悪化す
る。本発明のカチオン変性共重合体の特に好ましい重量
平均分子量は、3,000〜35,000の範囲であ
る。
【0041】次に、本発明に係る上記カチオン変性共重
合体の製造方法について説明する。
【0042】本発明に係るカチオン変性共重合体の製造
方法は、式化7で表されるエチレン構造単位(I) 97.
9〜65モル%と、一般式化8で表されるエステル構造
単位(II)1〜15モル%と、一般式化9で表されるカル
ボン酸構造単位(III) 1.1〜37モル%とを分子内に
含有する原料共重合体に、上記カルボン酸構造単位(II
I) のカルボキシル基に対し0.7〜0.99倍モルの
一般式化11で表されるジアミン(V) を反応させてアミ
ド化した後、
【0043】
【化11】
【0044】上記アミド化反応によって導入された3級
アミノ基に対して1倍モルの一般式化12で表される4
級化剤(VI)を用いて4級化することにより、
【0045】
【化12】
【0046】式化7で表されるエチレン構造単位(I)
と、一般式化8で表されるエステル構造単位(II)と、一
般式化9で表されるカルボン酸構造単位(III) と、一般
式化10で表されるアミド構造単位(IV)とを分子内に含
有する共重合体を得るものである。
【0047】ここで、化11及び化12において、R2
は炭素数2〜8のアルキレン基を示し、R3 及びR4
各々独立に炭素数1〜4のアルキル基を示し、R5 は炭
素数1〜18のアルキル基又は炭素数6〜8のアリール
アルキル基を示し、Xはハロゲン原子、CH3 OSO3
又はC2 5 OSO3 を示す。
【0048】本発明に係るカチオン変性共重合体の製造
方法の構成について、以下にさらに詳しく説明する。
【0049】(1) 原料共重合体 まず、本発明の製造方法において用いる原料共重合体
は、式化7で表されるエチレン構造単位(I) と一般式化
8で表されるエステル構造単位(II)とからなる共重合体
の(部分)加水分解物である。より詳細には、このエチ
レン−エステル共重合体は分子量が大きいので、例え
ば、水の存在下、高温高圧で加水分解すると同時に熱分
解を行う減成方法により低分子量化して原料共重合体を
得ればよい。
【0050】具体的には、特開昭53−57295号公
報、特開昭53−65389号公報、特開昭60−79
008号公報及び特開昭60−79015号公報に記載
されているが、特に特開昭60−79008号公報に記
載の方法が好ましい。この他に使用できる原料共重合体
としては、酸化ポリエチレンワックスを部分的にエステ
ル化したものが挙げられる。
【0051】原料共重合体の各構造単位の含有割合は、
式化7で表されるエチレン構造単位(I) が97.9〜6
5モル%であり、一般式化8で表されるエステル構造単
位(II)が1〜15モル%であり、さらに一般式化9で表
されるカルボン酸構造単位(III) が1.1〜37モル%
である。
【0052】カルボン酸構造単位(III) の含有量は、本
発明のカチオン変性共重合体を配合した樹脂の帯電防止
性、耐衝撃性及び耐屈曲性を改善し、また該カチオン変
性共重合体を水性組成物の形にしてコーティング膜とし
たときの密着性を改善するという機能を発現させるのに
重要である。
【0053】原料共重合体は比較的極性が小さいので、
この原料共重合体の重量平均分子量と本発明によって得
られる4級アンモニウム基を有するカチオン変性共重合
体の重量平均分子量とは同一分子量であってもゲルパー
ミュエーションクロマトグラフィー(GPC)の溶出時
間が異なる。GPCによるポリスチレン換算の重量平均
分子量が3,000〜60,000の原料共重合体を用
いれば、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子
量1,000〜50,000のカチオン変性共重合体が
得られる。
【0054】(2) アミド化反応 次に、(1) に記載した原料共重合体と一般式化11で表
されるジアミン(V) とのアミド化反応を行うことによっ
て、原料共重合体のカルボン酸構造単位(III)が部分的
に一般式化13で表される中間アミド構造単位(VII) に
変換された中間共重合体が得られる。この中間共重合体
の中間アミド構造単位(VII) は3級アミノ基を有してい
る。
【0055】
【化13】
【0056】ここで、化13において、Rは水素原子又
はメチル基を示し、R2 は炭素数2〜8のアルキレン基
を示し、R3 及びR4 は各々独立に炭素数1〜4のアル
キル基を示す。なお、R及びR2 〜R4 はそれぞれ構造
単位毎に同一であっても異なってもよい。
【0057】アミド化反応において用いるジアミン(V)
は、一般式化11で表され、式中、R2 は炭素数2〜8
のアルキレン基を示し、具体例としてエチレン基,プロ
ピレン基,ヘキサメチレン基,ネオペンチレン基等が挙
げられる。これらの中でエチレン基及びプロピレン基が
製造の容易性や経済性の点から特に好ましい。
【0058】ジアミン(V) におけるR3 及びR4 は各々
独立に炭素数1〜4のアルキル基を示し、具体例として
メチル基,エチル基,プロピル基,ブチル基等が挙げら
れる。これらの中でメチル基及びエチル基が帯電防止性
の点から特に好ましい。
【0059】ジアミン(V) の具体例としては、N,N−
ジメチルアミノエチルアミン,N,N−ジメチルアミノ
プロピルアミン,N,N−ジエチルアミノエチルアミ
ン,N,N−ジエチルアミノプロピルアミン,N,N−
ジプロピルアミノエチルアミン,N,N−ジプロピルア
ミノプロピルアミン,N,N−ジブチルアミノエチルア
ミン,N,N−ジブチルアミノプロピルアミン,N,N
−ジメチルアミノブチルアミン,N,N−ジエチルアミ
ノブチルアミン,N,N−ジメチルアミノネオペンチル
アミン,N,N−ジメチルアミノヘキシルアミン,N,
N−ジメチルアミノオクチルアミン等が挙げられる。こ
れらのジアミンは単独で又は2種以上を混合して使用さ
れる。
【0060】ジアミン(V) の使用量は、原料共重合体の
カルボン酸構造単位(III) によるカルボン酸成分に対し
て0.70〜0.99倍モル、好ましくは0.85〜
0.99倍モルである。ジアミン(V) の使用量が少ない
場合はアミド化反応に長時間を要する。また、ジアミン
(V) の使用量が多い場合には、アミド化反応によって得
られる中間共重合体中にカルボン酸構造単位(III) が残
らず、従って、帯電防止性、耐衝撃性及び耐屈曲性に優
れた熱可塑性樹脂組成物や密着性に優れたコーティング
膜を提供できない。
【0061】アミド化反応に用いる反応溶媒として、ベ
ンゼン,トルエン,キシレン等の芳香族炭化水素、リグ
ロイン,ケロシン等の脂肪族炭化水素、クロロベンゼン
等のクロロ系炭化水素、ケトン類などの原料共重合体を
溶解しうる不活性溶媒が使用される。反応溶媒の使用量
は全反応剤に対して0.3〜5重量倍、好ましくは0.
5〜3重量倍である。
【0062】アミド化反応の反応温度及び時間は、使用
する反応溶媒の種類によって異なるが、通常100〜3
00℃、好ましくは130〜260℃で1〜25時間反
応させればよい。反応温度が100℃以下であれば反応
に長時間を要し、反応温度が300℃を超えると反応生
成物の分解が生じる。
【0063】アミド化反応を行うには、まず、上記不活
性溶媒中で(1) に記載した原料共重合体とジアミン(V)
とを混合して中和反応を行う。中和反応において発熱が
もはや認められなくなったら、溶媒が還流する温度に加
熱する。アミド化の進行は溶媒と共に共沸する水の発生
により確認することができる。この共沸する水をディー
ン・スターク分水器などにより反応系外に除去すること
により、反応をより効率的に進行させることができる。
また、反応を窒素気流下で行うことが反応混合物の着色
を防止し、より効率的に水を除去する上で好ましい。
【0064】アミド化反応の完結は、共沸水がもはや認
められなくなったことにより確認することができる。ま
た、アミド化反応の完結は、反応混合物を一部採取した
ものをメタノール中へ投入し、反応溶媒等を除去して精
製し、さらにこの精製物の含有アミン量を中和滴定によ
り求め、所定のアミン量が共重合体中に導入されている
か否かで確認することができる。さらに、この中和滴定
により次に行われる4級化反応における4級化剤の使用
量が決定される。
【0065】(3) 4級化反応 (2) で得られたアミド化反応終了後の反応混合物は、必
要に応じて多量のメタノールなどの不混和性溶媒中に投
入して精製することも可能であるが、通常は、そのまま
で以下に説明する4級化反応に導くことができる。
【0066】本発明の製造方法における4級化反応に用
いる4級化剤(VI)は、一般式化12で表されるアルキル
化剤である。一般式化12において、R5 は、炭素数1
〜18のアルキル基又は炭素数6〜8のアリールアルキ
ル基を示しているが、得られるカチオン変性共重合体の
耐熱性の観点から直鎖状アルキル基及びアリールアルキ
ル基が好ましく、また帯電防止性の観点から低級アルキ
ル基が好ましい。特に好ましいR5 はメチル基とエチル
基である。
【0067】一般式化12において、Xは、Cl,B
r,I等のハロゲン原子、CH3 OSO3 又はC2 5
OSO3 を示しており、これらの中では、帯電防止性の
観点からCl,CH3 OSO3 及びC2 5 OSO3
特に好ましい。
【0068】上記4級化剤の具体例としては、ジメチル
硫酸,ジエチル硫酸等のアルキル硫酸、アルキルベンジ
ルクロライド、ベンジルクロライド、メチルクロライ
ド、エチルクロライド、ブチルクロライド、プロピルク
ロライド、エチルブロマイド、ブチルブロマイド、メチ
ルアイオダイド、エチルアイオダイド、ブチルアイオダ
イド、α−クロロパラキシレンなどが挙げられ、これら
の4級化剤は通常単独で又は2種以上を混合して用いら
れる。
【0069】4級化剤の使用量は、アミド化反応によっ
て原料共重合体中に導入された3級アミノ基量に対して
1.00倍モルである。3級アミノ基のモル数は、前述
の如くアミド化反応終了後の反応混合物を一部採取した
ものをメタノール中へ投入し、反応溶媒等を除去して精
製した後、中和滴定により求めることができる。
【0070】4級化反応は、反応物の着色を防止する観
点から窒素雰囲気下、反応温度70〜140℃で行うこ
とが望ましい。4級化反応は、上記アミド化反応終了後
の反応混合物又はこれを精製したものに4級化剤を添加
した後、70〜140℃で約1〜6時間熟成することで
完了する。反応終了後には、溶剤を留去した後、粉砕す
るか又はメタノール,エタノール,イソプロパノール,
n−ヘキサン等の不混和性溶媒中に投入することにより
析出、単離した後乾燥することにより、最終生成物であ
る本発明のカチオン変性共重合体が得られる。
【0071】次に、本発明に係るカチオン変性共重合体
を含有する水性組成物について説明する。本発明に係る
水性組成物は、上述した本発明のカチオン変性共重合体
を均一に水に分散してなる水性組成物である。
【0072】なお、本明細書において、均一に水に分散
してなる水性組成物とは、水にカチオン変性共重合体を
分散させたもの、乳化させたもの、可溶化させたもの
等、巨視的に均一な系を包含する概念である。
【0073】カチオン変性共重合体を水に分散、乳化又
は可溶化させる方法には、特に限定がなく、その例とし
て、通常のポリエチレンエマルジョンを製造する際に採
用される高圧乳化法などが挙げられる。
【0074】高圧乳化法は、本発明のカチオン変性共重
合体と、水と、必要であるならば界面活性剤とを、例え
ばオートクレーブなどの機械的攪拌装置を備えた高圧容
器中に仕込み、攪拌しながら加熱する方法である。
【0075】ここで、上記界面活性剤としては、非イオ
ン性及びカチオン性のものが好ましい。アニオン性の界
面活性剤はカチオン変性共重合体とイオン的に錯体を形
成し、水に対して不溶性を呈するので好ましくない。な
お、本発明に用いられるカチオン変性共重合体はそれ自
体が乳化力を有するため、界面活性剤は必ずしも必要で
ない。
【0076】上記界面活性剤を多量に使用した場合に
は、得られる水性組成物をコーティング剤等として用い
たときに耐久性の低下を招き且つ粘着性を呈する。従っ
て、界面活性剤の使用量は、通常、カチオン変性共重合
体100重量部に対して25重量部以下、好ましくは2
0重量部以下である。
【0077】さらに、上記高圧容器での加熱温度は、通
常、カチオン変性共重合体が溶融する温度よりも5〜2
0℃高い温度、すなわち60〜200℃が好ましい。ま
た、加熱時間は加熱温度によって異なるが、10分間〜
1時間程度で十分である。加熱温度が低すぎる場合や加
熱時間があまりにも短すぎる場合には、経時的に沈殿物
を生じ、安定性の悪い組成物となる。また、加熱温度が
高すぎる場合や加熱時間が長すぎる場合には、経済的に
不利となるばかりでなく、カチオン変性共重合体の加水
分解が生じるようになる。
【0078】本発明の水性組成物におけるカチオン変性
共重合体の含有割合は、特に限定がなく、水性組成物の
目的や用途に応じて適宜調整すればよい。通常は経済性
などを考慮して、水性組成物100重量部に対してカチ
オン変性共重合体を5〜40重量部、好ましくは10〜
30重量部用いればよい。
【0079】なお、本発明の水性組成物には用途等に応
じて適宜、消泡剤、増粘剤などを配合してもよい。
【0080】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記カチ
オン変性共重合体を熱可塑性樹脂に配合したものであ
る。また、本発明の積層体は、熱可塑性樹脂層に、上記
カチオン変性共重合体の層又は該カチオン変性共重合体
含有熱可塑性樹脂組成物の層を形成したものであり、上
記カチオン変性共重合体の層は、その水性組成物から形
成することも可能である。カチオン変性共重合体を配合
する熱可塑性樹脂、又は本発明の積層体の基材に用いら
れる熱可塑性樹脂として、例えば、ポリエチレン,ポリ
プロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン,
ABS樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹
脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレー
ト,ボリブチレンテレフタレート等のポリエステル、変
性ポリフェニレンエーテル等のポリエーテル等、各種の
熱可塑性樹脂を挙げることができる。
【0081】また、積層体の基材の形態として、フィル
ム、シート、成形物等、更には本発明のカチオン変性共
重合体と前記熱可塑性樹脂を含有する熱可塑性樹脂組成
物と熱可塑性樹脂とを積層した複合体からなるフィル
ム、シート成形物等、各種のものを挙げることができ
る。
【0082】本発明のカチオン変性共重合体と前記熱可
塑性樹脂との組成物とする場合、熱可塑性樹脂100重
量部に対し、カチオン変性共重合体を3〜30重量部配
合することが好ましい。カチオン変性共重合体の配合割
合が3重量部未満であると帯電防止効果が小さくなり、
30重量部を越えると樹脂物性が低下し、経済的にも不
利となる。
【0083】カチオン変性共重合体と前記熱可塑性樹脂
との配合は、一軸又は二軸押出機、加圧ニーダーなどを
用いて行い、熱可塑性樹脂とカチオン変性共重合体を加
熱溶融下で混練することによって、本発明の組成物が得
られる。
【0084】本発明の積層体が積層フィルムである場
合、カチオン変性共重合体を含有する熱可塑性樹脂組成
物のフィルムの厚さは、最終の積層フィルムとしたとき
に0.1〜50μmであればよい。かかる厚さが0.1
μm未満である場合には、積層フィルムの両フィルムの
界面で凝集破壊を生じ、結果的に接着性が悪化するよう
になる。また、積層フィルムの厚さが50μmを越える
場合には、カチオン変性共重合体又は組成物のフィルム
層の柔軟性が顕著となるのでブロッキングを生じるよう
になる。
【0085】一方、基材となる熱可塑性樹脂のフィルム
の厚さについては特に限定はなく、得られる積層フィル
ムの用途に応じて適宜選択すれば良いが、通常は10〜
500μmが好ましい。
【0086】前記組成物及び熱可塑性樹脂のフィルムの
各々の製造方法は、特に限定されず、公知の各種の製膜
方法を採用することができる。かかるフィルムの製造方
法の具体例としては、キャスト法、インフレーション
法、チューブラ法、テンター法などが挙げられる。な
お、前記フィルムは、未延伸、縦一軸延伸あるいは二軸
延伸のいずれのものであっても良い。
【0087】前記両フィルムを一体化する方法として
は、例えば前記カチオン変性共重合体を含有する熱可塑
性樹脂組成物を、加熱溶融させた状態で又はエマルジョ
ンの状態で、リバースロールコート法、グラビアコート
法、バーコート法などにより樹脂フィルム上にコーティ
ングする方法、あるいは熱可塑性樹脂組成物と基材とな
る熱可塑性樹脂を短管内複合法、口金内複合法や溶融押
出しラミネート法などにより複合一体化する方法などが
挙げられるが、本発明はこれら方法のみに限定されるも
のではない。
【0088】本発明に於ては、更に本発明のカチオン変
性共重合体を基材の熱可塑性樹脂に積層することによっ
て帯電防止に優れたフィルム、シート状の製品を得るこ
とができる。すなわち共押出し装置を用いて、溶融下に
ラミネートするかあるいは本発明の水性組成物を基材フ
ィルム又はシートに塗布、乾燥することによって、帯電
防止層が複合された熱可塑性樹脂複合体が得られる。
【0089】
【発明の効果】本発明は以上説明したように構成されて
いるので、以下に記載の顕著な効果を奏する。
【0090】すなわち、本発明のカチオン変性共重合体
を用いれば、優れた帯電防止性を付与することができ、
しかも熱可塑性樹脂への相溶性が良好で、耐衝撃性等の
機械的物性の低下も生じない。また、本発明の熱可塑性
樹脂組成物は、上記カチオン変性共重合体を含有してい
るので、帯電防止性に優れ、相溶性が良好で機械的物性
が優れている。
【0091】また、本発明によって得られる水性組成物
をコーティング剤として用いたとき、導電性に優れ且つ
プラスチック、ガラス、紙等の基材表面への接着性が良
好なコーティング膜が得られる。
【0092】更に、本発明の積層体は、上記カチオン変
性共重合体の含有層を有しているので、帯電防止性に優
れている。
【0093】
【実施例】以下に、本発明の実施例について説明する
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。
【0094】<実施例1> (カチオン変性共重合体の製造例)温度計、攪拌機、滴
下ロート及びディーン・スターク分水器を備えた内容量
1Lの4つ口フラスコに、キシレン400mLとエチレ
ン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体(エチレン
/アクリル酸エチル/アクリル酸=92/3/5モル%)(
原料共重合体)150g(カルボキシル基0.231モ
ル含有)とを仕込み、100℃に加熱して均一に溶解さ
せた。次に、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン2
1.3g(0.208モル)を仕込み140℃に加熱
し、生成した水をキシレンとの共沸により連続的に除去
した。さらに140℃で20時間反応し、生成する水の
共沸が認められなくなるまでアミド化反応を継続した。
得られた反応混合物を80℃に冷却し、反応混合物に対
し5倍量のメタノール中へ反応混合物を投入することに
より析出させ、さらにメタノールで洗浄を重ね減圧乾燥
して中間共重合体を得た。得られた中間共重合体に導入
された3級アミノ基量を中和滴定により求めたところ
1.24meq/gであった。
【0095】次に、中間共重合体150gを再度キシレ
ンに溶解し、メチルアイオダイド26.4gを滴下ロー
トより1時間かけて滴下した。この間発熱が認められた
が冷却により反応温度を110℃に保ち、滴下終了後は
120℃で3時間熟成反応を行い、3級アミノ基を4級
アンモニウム塩基に変換した。得られた反応混合物をメ
タノール中に投入し析出させ、さらにメタノールで洗浄
し減圧乾燥して、アクリルアミド系のカチオン変性共重
合体173gを得た。
【0096】得られたカチオン変性共重合体の赤外吸収
スペクトル、13C−NMRスペクトル及び重量平均分子
量を下記方法により測定した。測定結果とアミド構造単
位(IV)の置換基を表2に示す。図1には赤外吸収スペク
トルのチャートを示す。
【0097】(重量平均分子量の測定)「高分子論文集
第44巻2号(1987年)」の139〜141頁に記
載の方法に準じて測定した。ウォーターズ社製GPC−
244(カラム;昭和電工(株)製Shodex,A−
80M/S(2本))を用い、溶媒として1−クロロナ
フタレンを用い流量0.7mL/min、カラム温度2
10℃で測定した。
【0098】(赤外吸収スペクトルの測定)株式会社堀
場製作所製FT−200を用いてKBr錠剤法により測
定した。
【0099】(13C−NMRスペクトルの測定)日本電
子(株)製JMN−GSX270を用いて、溶媒として
重DMSOを用い100℃で測定した。
【0100】<実施例2〜5>実施例1において用いた
エチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体の代
わりに表1に示した原料共重合体を用い、また、ジアミ
ン及び4級化剤も表1に示したものを用いて、実施例1
と同様にしてカチオン変性共重合体を得た。
【0101】得られたカチオン変性共重合体の赤外吸収
スペクトル、13C−NMRスペクトル及び重量平均分子
量を実施例1と同様にして測定した。測定結果とアミド
構造単位(IV)の置換基を表2に示す。
【0102】<比較例1>実施例1〜5と同じ反応装置
を用い、エチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重
合体(エチレン/アクリル酸エチル/アクリル酸=93
/3/4モル% ;重量平均分子量22,000)150g
(カルボキシル基0.190モル含有)をキシレン40
0mLに溶解し、次にN,N−ジメチルアミノプロピル
アミン21.4g(0.209モル)を仕込み、キシレ
ン還流下140℃で共沸的に水を脱水しアミド化反応を
17時間行った。生成する水の共沸が認められなくなっ
たことを確認した後、アミド化反応を終了した。反応混
合物を80℃まで冷却し、滴下ロートよりジエチル硫酸
31.2gを1時間かけて徐々に滴下した。この間発熱
が認められたので冷却により反応温度を90℃に保ち、
滴下終了後は100℃で4時間熟成反応を行った。得ら
れた反応混合物をメタノール中に投入し真空乾燥して、
表2に示すカルボン酸構造単位を含有しないカチオン変
性共重合体を得た。
【0103】
【表1】
【0104】
【表2】
【0105】各実施例1〜5で得られたカチオン変性共
重合体並びに比較例1で得られた共重合体の色調は、い
ずれも淡黄色であった。
【0106】<実施例6〜10> (水性組成物の調製例)実施例1〜5で得られたカチオ
ン変性共重合体、水並びに必要に応じて界面活性剤を用
いて、表3に示す乳化温度及び乳化時間にて水性組成物
を得た。製造装置としてガラス製オートクレーブTEM
−V−1000型(耐圧硝子工業(株)製)を使用し
た。
【0107】得られた水性組成物の物性として粘度、粒
径及びpHを下記方法により測定して、結果を表3に示
した。
【0108】(粘度の測定)得られた水性組成物を25
℃の恒温室中に24時間放置後、BM型粘度計(トキメ
ック(株)製)を用いて回転数60rpm(25℃)で
測定した。
【0109】(粒径の測定)大塚電子(株)製DLS−
700を用いて測定した。測定及び解析条件は以下のと
おりである。
【0110】・光源;5mW He−Neレーザー ・温度;25℃ ・測定角度;90° ・溶媒;水 ・解析方法;ヒストグラム法 (pHの測定)水性組成物をそのままの状態で25℃で
測定した。
【0111】<比較例2>比較例1で得たカルボン酸構
造単位を含有しないカチオン変性共重合体を表3に示す
条件にて、実施例6〜10と同様にして水性組成物を得
た。得られた水性組成物の粘度、粒径及びpHを測定し
て表3に示した。
【0112】
【表3】
【0113】<実施例11〜15>実施例1〜5で得ら
れたカチオン変性共重合体10重量部とポリプロピレン
(徳山曹達(株)製、UPポリプロME−230)90
重量部とのブレンド物を、200℃に加熱した定量供給
器付き二軸押出し機にて溶融混練しペレット化した。こ
のペレットを射出成型機で成形して試験片とし、下記方
法により各種物性を測定した。結果を表4に示す。
【0114】(表面固有抵抗) 表面固有抵抗値 試験片を20℃,30%RH(相対湿度)の条件並びに
20℃,60%RHの条件下にて24時間放置した後、
アドバンテスト(株)製R8340を用いて印加電圧5
00Vで表面固有抵抗値を測定した。
【0115】持続性 試験片を30日間室温で保存後、20℃,60%RHの
条件下にて24時間放置した後、上記と同様にして表
面固有抵抗値を測定した。
【0116】耐水性 試験片を40℃のオーブン中で14日間エージングした
後、その表面を洗剤としてママレモン(ライオン(株)
製)水溶液で十分に洗浄後、イオン交換水で十分にすす
いだ。その後、20℃,60%RHの条件で24時間放
置し、上記と同様にして表面固有抵抗値を測定した。
【0117】(帯電減衰速度)スタティックオネストメ
ーター(宍戸商会社製)にて、試験片に10,000V
×30秒印加して、初期電圧の半分になるのに要した時
間を秒数で示した。
【0118】(アイゾット衝撃強度)試験片のアイゾッ
ト衝撃強度をJIS K−7110に従って測定した。
【0119】<比較例3>実施例11〜15において、
カチオン変性共重合体を添加せずポリプロピレンのみを
用いて試験片を作製し、各種物性を測定した。結果を表
4に示す。
【0120】<比較例4>実施例11〜15においてカ
チオン変性共重合体として比較例1で得た共重合体を用
いて、試験片を作製し、各種物性を測定した。結果を表
4に示す。
【0121】
【表4】
【0122】表4より、実施例1〜5のカチオン変性共
重合体をポリプロピレンに配合した樹脂は、比較例1の
共重合体を配合した樹脂やポリプロピレンのみの樹脂に
比べて、帯電防止性、持続性及び耐水性に優れていた。
また、比較例1の共重合体を配合した樹脂は、それ以外
の樹脂に比べて耐衝撃性が低下した。
【0123】<実施例16〜19>実施例12に於ける
ポリプロピレン樹脂に代えて表5の熱可塑性樹脂を用
い、表6の配合及び温度条件で、実施例12と同様に成
型を行って試験片を得た。これらの試験片について、実
施例11〜15と同様に各物性を測定し、その結果を表
6に併せて示す。
【0124】<比較例5〜8>カチオン変性共重合体と
して比較例1のものを用いる他は、実施例16〜19と
同様にして、比較例5〜8の試験片を得た。これらの試
験片について、実施例11〜15と同様に各物性を測定
し、その結果を表6に併せて示す。
【0125】
【表5】
【0126】
【表6】
【0127】表6に示した結果から明かなように、実施
例2のカチオン変性共重合体を使用した実施例16〜1
9の成型物は、比較例1の共重合体を配合した比較例5
〜8の成型物に比べて帯電防止能に優れ、帯電防止能の
持続性及び耐水性にも優れていた。また、実施例16〜
19の成型物のアイゾット衝撃強度も、対応する比較例
5〜8に比べて良好な結果が得られている。
【0128】<実施例20〜24>実施例6〜10で得
られた水性組成物を用いて、下記方法にて試験片を作製
し、下記方法により物性評価を行った。結果を表7に示
す。
【0129】(試験片の作製)50μmのポリプロピレ
ン(UPポリプロME−230、以下、PPという)フ
ィルム上にバーコーターを用いてカチオン変性共重合体
の付着量が2.0g/m2 となるように、水性組成物を
塗布し、一夜室温で乾燥後、105℃で2分間通風乾燥
して導電性PPフィルム(試験片)を得た。
【0130】(表面固有抵抗値の測定)得られた導電性
PPフィルムを20℃,30%RH並びに20℃,60
%RHの雰囲気中に48時間放置した後、アドバンテス
ト(株)製極超絶縁計R8340を用いて表面固有抵抗
値を測定した。
【0131】(透明性の判定)表面固有抵抗値の測定に
使用したフィルムの透明性を、目視により下記基準で判
定した。
【0132】○…透明性が良好 △…完全な透明性を有しない (摩擦耐久性の評価)ポリプロピレン板にカチオン変性
共重合体の付着量が2.0g/m2 となるように水性組
成物を塗布し、一夜室温で乾燥後、105℃で2時間通
風乾燥し、さらに20℃,65%RHの雰囲気中に48
時間放置して、試験片を得た。
【0133】高さ2cmのシャーレにタバコの新しい灰
を入れる。試験片を脱脂綿で摩擦し、ただちにシャーレ
上に置き、灰の付着状態を観察した。灰が付着したとき
の摩擦回数で摩擦耐久性を評価した。摩擦回数が多いも
のほど耐久性は良好である。
【0134】(密着性試験方法)PP成型板に水性組成
物を、乾燥後重量が2g/m2 となるように塗布し、一
夜放置後、105℃2分間通風乾燥して得た試験片の1
0mm×10mmの部分に1mmの等間隔で直交する方
向に傷をつけて100個の1mm角の矩形からなる碁盤
目を形成した。この碁盤目にセロハンテープを圧着した
後、強い力で引きはがし、セロハンテープに付着せず試
験片から剥がれなかった矩形の数をかぞえる。数字が大
きいほど密着性が大きいことを示している。
【0135】<比較例9>比較例2で得られた水性組成
物を用いて、実施例20〜24と同様にして各種物性評
価を行った。結果を表7に示す。
【0136】
【表7】
【0137】表7より、実施例6〜10の水性組成物を
用いた実施例20〜24と比較例2の水性組成物を用い
た比較例9とは導電性がほぼ同等であるが、摩擦耐久性
や密着性において比較例9は著しく劣り、透明性におい
ても比較例9はやや劣る。
【0138】<実施例25〜30>実施例21に於ける
ポリプロピレン樹脂に代えて表8の熱可塑性樹脂のフィ
ルムを用い、実施例7の水性組成物を用いて、表9の配
合で実施例21と同様にして試験片を得た。これらの試
験片について、実施例20〜24と同様に各物性を測定
し、その結果を表9に併せて示す。
【0139】<比較例10〜15>カチオン変性共重合
体として比較例2のものを用いる他は、実施例25〜3
0と同様にして、比較例10〜15の試験片を得た。こ
れらの試験片について、実施例25〜30と同様に各物
性を測定し、その結果を表9に併せて示す。
【0140】
【表8】
【0141】
【表9】
【0142】表9に示した結果から明かなように、実施
例7の水性組成物を使用した実施例25〜30のフィル
ムと、比較例2の水性組成物を配合した比較例10〜1
5のフィルムとを比較すると、導電性はほぼ同等である
が、摩擦耐久性及び密着性に於いて実施例25〜30の
方が優れている。また、透明性に於いても実施例25〜
30の方が優れている。
【0143】<実施例31>低密度ポリエチレン(宇部
興産(株)製、UBEポリエチレンF022)90重量
部と、実施例1で得られたカチオン変性共重合体10重
量部とのブレンド物を、200℃〜210℃に加熱した
Tダイ式の製膜装置に導入し、厚さ50μm、幅500
mmの未延伸フィルムとした。
【0144】得られたフィルムを10cm×10cmに
切り出し、試験用フィルムとした。
【0145】次に、得られたフィルムについて、表面固
有抵抗、耐水性、耐ブロッキング性、透明性及び強伸度
を、以下に示す方法に従って調べた。その結果を表10
に示した。
【0146】(表面固有抵抗) 表面固有抵抗値 (株)川口電気製作所製の超絶縁計R−503を用いた
こと以外は前述の実施例11〜15と同様にして表面固
有抵抗値を測定した。
【0147】持続性及び耐水性 前述の実施例11〜15と同様にして、(株)川口電気
製作所製の超絶縁計R−503を用いて持続性及び耐水
性を測定した。
【0148】(耐ブロッキング性)上記試験フィルム2
枚を20cm×20cmのガラス板に挟み、40℃のオ
ーブンに入れ、14日間エージングした。14日後にフ
ィルムを取り出し、手で引き剥がし、ブロッキングの有
無を測定した。評価は基準は以下のとおりである。
【0149】○:ブロッキングなし ×:ブロッキングあり (透明性)試験フィルムの透明性を目視により判定し
た。評価は基準は以下のとおりである。
【0150】○:透明性良好 ×:完全な透明性を有しない (強伸度)試験フィルムを幅10mm、長さ100mm
に切り出し、厚さ(Tmm)を測定した。この試験フィ
ルムをチャック間50mmに設定したテンシロン型引張
り試験装置にかけ、300mm/minの速度で引っ張
り、破断強さ(S)と破断伸び(s)とを測定し、次式
により引張り強度及び伸度を求めた。
【0151】引張り強度=S(kg)/10(mm)・T(mm)
(kg/mm2 ) 伸度 =(s(mm)/50(mm))×100 (%) <実施例32>実施例31に於いて、低密度ポリエチレ
ンに代えてポリプロピレン樹脂(徳山曹達(株)製、U
PポリプロME−230)85部を使用し、実施例1の
カチオン変性共重合体に代えて実施例2のカチオン変性
共重合体15部を使用する他は実施例31と同様にし
て、厚さ500μm、幅500mmの未延伸フィルムを
得た。次に、このフィルムを150〜160℃に加熱
し、縦延伸倍率5倍、横延伸率4倍に逐次延伸し、二軸
延伸フィルムを得た。得られたフィルムについて、実施
例31と同様の試験を行った。その結果を表10に示し
た。
【0152】<実施例33>実施例31に於いて、低密
度ポリエチレンに代えて、ポリスチレン(昭和電工
(株)製、エスブライト500SD)95部を使用し、
実施例1のカチオン変性共重合体に代えて実施例3のカ
チオン変性共重合体5部を使用する他は実施例31と同
様にして、本実施例の未延伸フィルムを得た。得られた
フィルムについて、実施例31と同様の試験を行った。
その結果を表10に示した。
【0153】<実施例34>実施例31に於いて、低密
度ポリエチレンに代えてポリアミド−66(旭化成工業
(株)製、レオナNy66 1702)90部を使用
し、実施例1のカチオン変性共重合体に代えて実施例4
のカチオン変性共重合体10部を使用すると共に、製膜
加工温度を240〜250℃で行う他は実施例31と同
様にして、本実施例の未延伸フィルムを得た。得られた
フィルムについて、実施例31と同様の試験を行った。
その結果を表10に示した。
【0154】<実施例35>実施例31に於いて、低密
度ポリエチレンに代えてポリエチレンテレフタレート
(三菱化成(株)製、ダイヤナイトKR461S)95
部を使用し、実施例1のカチオン変性共重合体に代えて
実施例5のカチオン変性共重合体5部を使用すると共
に、製膜加工温度を245〜255℃で行う他は、実施
例31と同様にして、本実施例の未延伸フィルムを得
た。得られたフィルムについて、実施例31と同様の試
験を行った。その結果を表10に示した。
【0155】<比較例16及び17>カチオン変性共重
合体として比較例1で得たカチオン変性共重合体を用い
る以外は、実施例31及び32と同様にして、それぞれ
比較例16及び17のフィルムを得た。それぞれのフィ
ルムについて、実施例31と同様の試験を行った。その
結果を表10に示した。
【0156】
【表10】
【0157】表10に示した結果から明かなように、実
施例1〜5のカチオン変性共重合体を使用した実施例3
1〜35のフィルムは優れた帯電防止能を有し、フィル
ムの透明性も良好である。また、耐ブロッキング性にも
優れていることが分かる。また、実施例31と比較例1
6、及び実施例32と比較例17との比較から、実施例
31及び32のフィルムは本発明のカチオン変性共重合
体を用いないフィルムに比べ、強伸度に於いても優れて
いることが分かる。
【0158】<実施例36>実施例2のカチオン変性共
重合体10重量部と、低密度ポリエチレン(宇部興産
(株)製、UBEポリエチレンF022)90重量部と
をドライブレンドし、200〜210℃で押出し成型機
にかけ、積層用樹脂組成物を作製した。前述の低密度ポ
リエチレンを主押出し機に、作製した積層用樹脂組成物
を副押出し機に200〜210℃で導入し、次いで短管
内複合装置を装備した共押出しフィルム化装置に導入し
て200〜210℃で共押出しし、25℃に冷却された
ロールを通して厚さ100μmのフィルムを得た。フィ
ルムの厚さは低密度ポリエチレン層75μm、積層用樹
脂組成物層25μmであった。得られた積層フィルムに
ついて、実施例21〜25と同様の試験を行い、その結
果を表10に示した。
【0159】<実施例37>低密度ポリエチレンに代え
てポリプロピレン(徳山曹達(株)製、UPポリプロM
E−230)を使用する他は、実施例36と同様にして
実施例37の積層フィルムを得た。得られた積層フィル
ムについて、実施例36と同様の試験を行い、その結果
を表11に示した。
【0160】<比較例18及び19>実施例36及び3
7に於いて、実施例2のカチオン変性共重合体に代えて
比較例1の共重合体を用い、実施例36及び37と同様
にして比較例18及び19の積層フィルムを得た。得ら
れた積層フィルムについて、実施例36及び37と同様
の試験を行い、その結果を表11に示した。
【0161】
【表11】
【0162】表11に示した結果から明かなように、実
施例36及び37の積層フィルムは優れた帯電防止能を
有し、フィルムの透明性も良好である。また、耐ブロッ
キング性にも優れていることが分かる。また、実施例3
6と比較例18、及び実施例37と比較例19との比較
から、実施例36及び37の積層フィルムは、強伸度に
於いても優れていることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のアクリルアミド系カチオン変性共重
合体についての赤外吸収スペクトルのチャートである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 23/26 LDB 7107−4J C09D 123/08 PER 7107−4J // C08F 220/60 MNH 7242−4J (C08F 210/02 220:60 7242−4J 220:18) 7242−4J

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子内に、 式化1で表されるエチレン構造単位(I) 97.9〜65
    モル%と、 一般式化2で表されるエステル構造単位(II)1〜15モ
    ル%と、 一般式化3で表されるカルボン酸構造単位(III) 0.1
    〜2モル%と、 一般式化4で表されるアミド構造単位(IV)1〜35モル
    %と、を含有する、重量平均分子量1,000〜50,
    000で線状のカチオン変性共重合体。 【化1】 【化2】 【化3】 【化4】 (ここで、化2、化3及び化4において、Rは水素原子
    又はメチル基を示し、R1 は炭素数1〜4のアルキル基
    を示し、R2 は炭素数2〜8のアルキレン基を示し、R
    3 及びR4 は各々独立に炭素数1〜4のアルキル基を示
    し、R5 は炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数6〜
    8のアリールアルキル基を示し、X- はハロゲン化物イ
    オン、CH3 OSO3 - 又はC2 5 OSO3 - を示
    す。)
  2. 【請求項2】 式化1で表されるエチレン構造単位(
    I) 97.9〜65モル%と、一般式化2で表されるエ
    ステル構造単位(II)1〜15モル%と、一般式化3で表
    されるカルボン酸構造単位(III) 1.1〜37モル%と
    を分子内に含有する原料共重合体に、 前記カルボン酸構造単位(III) のカルボキシル基に対し
    0.7〜0.99倍モルの一般式化5で表されるジアミ
    ン(V) を反応させてアミド化した後、 【化5】 前記アミド化反応によって導入された3級アミノ基に対
    して1倍モルの一般式化6で表される4級化剤(VI)を用
    いて4級化することにより、 【化6】 式化1で表されるエチレン構造単位(I) と、一般式化2
    で表されるエステル構造単位(II)と、一般式化3で表さ
    れるカルボン酸構造単位(III) と、一般式化4で表され
    るアミド構造単位(IV)とを分子内に含有する共重合体を
    得ることを特徴とするカチオン変性共重合体の製造方
    法。(ここで、化5及び化6において、R2 は炭素数2
    〜8のアルキレン基を示し、R3 及びR4 は各々独立に
    炭素数1〜4のアルキル基を示し、R5 は炭素数1〜1
    8のアルキル基又は炭素数6〜8のアリールアルキル基
    を示し、Xはハロゲン原子、CH3 OSO3 又はC2
    5 OSO3 を示す。)
  3. 【請求項3】 請求項1記載のカチオン変性共重合体を
    均一に水に分散してなる水性組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のカチオン変性共重合体と
    熱可塑性樹脂とを含有してなる熱可塑性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1記載のカチオン変性共重合体層
    と熱可塑性樹脂層とを有する積層体。
  6. 【請求項6】 請求項4記載の熱可塑性樹脂組成物層と
    熱可塑性樹脂層とを有する積層体。
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