JPH06122726A - アルケニル基を含有するカチオン変性エチレン共重合体、該共重合体を含有する分散組成物及び該分散組成物を用いた帯電防止性皮膜の形成方法 - Google Patents

アルケニル基を含有するカチオン変性エチレン共重合体、該共重合体を含有する分散組成物及び該分散組成物を用いた帯電防止性皮膜の形成方法

Info

Publication number
JPH06122726A
JPH06122726A JP4273055A JP27305592A JPH06122726A JP H06122726 A JPH06122726 A JP H06122726A JP 4273055 A JP4273055 A JP 4273055A JP 27305592 A JP27305592 A JP 27305592A JP H06122726 A JPH06122726 A JP H06122726A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
structural unit
cation
group
copolymer
ethylene copolymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP4273055A
Other languages
English (en)
Inventor
Hideyuki Sumi
英行 角
Yutaka Nakayama
豊 中山
Hiroshi Hotta
寛史 堀田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
DKS Co Ltd
Original Assignee
Dai Ichi Kogyo Seiyaku Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Ichi Kogyo Seiyaku Co Ltd filed Critical Dai Ichi Kogyo Seiyaku Co Ltd
Priority to JP4273055A priority Critical patent/JPH06122726A/ja
Publication of JPH06122726A publication Critical patent/JPH06122726A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Macromonomer-Based Addition Polymer (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 熱又は活性放射線を用いて硬化させることに
より接着性が良好な帯電防止能を有する塗膜が得られる
カチオン変性共重合体を提供する。 【構成】 エチレン構造単位65〜99モル%と、アル
ケニル基含有アミド構造単位(VIII)0.05〜35モル
%とを含有し、重量平均分子量が1,000〜50,0
00であることを特徴とするカチオン変性エチレン共重
合体。但し、Rはメチル基又は水素原子、R2 は炭素数
2〜8のアルキレン基、R3 及びR4 は各々独立に炭素
数1〜4のアルキル基、R6 はアルケニル基、X- はハ
ロゲンイオン、CH3 OSO3 - 又はC2 5 OSO3
- を表す。 【効果】 加熱又は活性放射線の照射により、R6 のア
ルケニル基が架橋反応を起こして硬化し、強固で帯電防
止能に優れた塗膜が形成される。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルケニル基を含有す
るカチオン変性エチレン共重合体と、該共重合体の分散
組成物と、該分散組成物を用いた帯電防止性皮膜の形成
方法とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、ポ
リエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹
脂、塩化ビニル系樹脂等の熱可塑性樹脂は、フィルム、
袋体等の包装材料として、また、自動車部品などの材料
として従来から汎用されている。これらの熱可塑性樹脂
は一般に電気抵抗が大きく、摩擦によって容易に帯電
し、塵等を吸着するという重大な欠点があった。
【0003】従来より、熱可塑性樹脂の帯電を防止する
ために、帯電防止剤が使用されている。帯電防止剤の使
用にあたり、例えば、 (1)内部添加型帯電防止剤を樹脂中に練り込む方法 (2)帯電防止を樹脂表面に塗布した後乾燥する方法等
が採用されている。
【0004】上記の(1)の方法では、内部添加型帯電
防止剤としてグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂
肪酸エステル、アルキルジエタノールアミド、アルキル
ベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルイミダゾール
の四級塩等が用いられている。これらの内部添加型帯電
防止剤を用いた場合には、表面の帯電防止剤が洗浄によ
り失われた場合であっても、その内部から新たな帯電防
止剤が順次ブリードするため、帯電防止能が長期に亘っ
て持続されるという利点がある。
【0005】しかしながら、このような内部添加型帯電
防止剤には、洗浄後帯電防止能が回復するまでに長時間
を要し、また、帯電防止剤が過度にブリードした場合に
は樹脂表面に粘着性が生じ、かえって塵等が付着し易く
なるという欠点がある。これに加えて、これらの帯電防
止剤は低分子量であるため、例えば高温での成形加工時
の加熱により揮散してしまう。従って、練り込みに際し
て過剰の帯電防止剤を添加しなければならない。更には
適切な帯電防止能を得るための添加量の調整が微妙であ
るという欠点もある。また、帯電防止能を付与する必要
のない表面層以外の内部にも帯電防止剤が添加されるた
め、経済的にも不利である。
【0006】一方、上記(2)の方法では、基材表面に
のみ帯電防止剤が塗布されるため、上記のような経済的
な不利益はない。しかし、帯電防止剤として界面活性剤
溶液が使用されているため、洗浄により基材表面の帯電
防止剤が容易に除去され、恒久的な帯電防止能を付与す
ることができないという致命的な欠点がある。
【0007】上記(1)及び(2)に示したような低分
子量の帯電防止剤に特有の欠点を解消すべく、近時、帯
電防止性能を有する高分子化合物が開発されつつある。
このような高分子化合物として、例えばメトキシ基の2
0〜80モル%がジエタノールアミン変性されたポリメ
チルメタクリレート(特開平1−170603号公
報)、アルコキシポリエチレングリコールメタクリレー
トのグラフト共重合体(特開昭58−39860号公
報)、スチレン−無水マレイン酸共重合体をイミド変性
した後四級化によりカチオン化したポリマー(特公平1
−29820号公報)、ポリメチルメタクリレートの末
端のカルボキシル基をグリシジルメタクリレートでメタ
クリロイル基に変換した高分子量単量体と、アミノアル
キルアクリル酸エステル又はアクリルアミドとのくし型
共重合体、及びその四級化カチオン変性品(特開昭62
−121717号公報)等の制電性官能基を有する高分
子化合物を挙げることができる。更にはポリオレフィン
の有する優れた加工性、低温特性、柔軟性等を生かし
て、これをカチオン変性したカチオン変性ポリオレフィ
ンも知られている。
【0008】このようなカチオン化されたポリオレフィ
ンとして、例えば以下のものが知られている。 .ヨーロッパ公開特許公報第0258724号及び特
開昭63−57609号公報には、改質ポリエチレンと
称して、分子量500〜10,000(好ましくは1,
000〜5,000)のポリエチレンの側鎖に1〜10
個(好ましくは1〜5個)のカチオン化されたアクリル
アミド単位が導入された変性ポリエチレンが開示され、
ガラス容器のコーティング剤としての用途が提案されて
いる。その具体的な製造方法としては、酸化されたポリ
エチレンにモル過剰量のジアルキルアミノアルキルアミ
ンを反応させてアミド化した後、150〜160℃の溶
融温度下、無溶剤でベンジルクロライド等の4級化剤で
4級化する方法が開示されている。
【0009】.特開昭63−246750号公報に
は、オレフィンと、無水マレイン酸、アクリル酸等の不
飽和カルボン酸との共重合樹脂に、N,N−ジメチル−
1,3−プロパンジアミン等のアミンをカルボキシル基
1モルに対して1モル以上作用させて、イミド基、アミ
ド基又はアミン塩等に変換した後、アルコール、芳香族
炭化水素、DMF(ジメチルホルムアミド)等の溶剤の
存在下110℃以下の温度で、4級化剤を用いて全部又
は部分的に4級化する方法が開示されている。また、こ
の公報には、このカチオン変性エチレン共重合体が電子
写真用のトナーの静電荷付与剤として使用できることが
提案されている。
【0010】.特開昭63−304010号公報及び
特開平2−36106号公報には、ラジカル共重合法で
得られる分子量5,000〜50,000のエチレン−
ジアルキルアミノアルキルアクリルアミド系共重合体、
又はこれと製造時の利便性及び共重合体の柔軟性を増す
目的で導入された第3のモノマーとの共重合体が開示さ
れている。即ち、例えばエチレン−ジアルキルアミノア
ルキルアクリルアミド−メタアクリル酸エステル共重合
体の塩酸塩をエピハロヒドリンで4級化し、該カチオン
変性ポリエチレンを水分散体として得る方法が開示され
ている。このカチオン変性ポリエチレンの水分散体は、
必要に応じてジエタノールアミンのようなアルキロール
アミンを添加してプラスチックフィルムに塗布すれば帯
電防止剤として有効であり、また、静電記録紙の導電
層、殺菌剤等としても有効であると記載されている。
【0011】.特開昭63−75004号公報には、
エチレン−ジメチルアミノメタクリレート共重合体塩酸
塩の水溶液をエピクロルヒドリンで四級化してと同様
の用途に使用できることが開示されている。
【0012】.本願発明者らが先に出願した特開平4
−198308号公報及び特開平4−198307号公
報では、積極的にアクリル酸エステル単位の導入を図る
ことを提起した。即ち、これらの公報では、エチレン−
アクリル酸エステル−アクリロイルアミノアルキルトリ
アルキルアンモニウム共重合体とその製造方法を提起し
た。
【0013】アクリル酸エステル単位が存在することに
よって例えば、実用面で次のような利点がある。 (a)熱可塑性樹脂に配合したときに強靱性、耐衝撃性
が付与され、物性の低下が少ない。 (b)静電記録紙の導電層に用いた場合、製膜性に優れ
るので、導電性が良好であるだけでなく、耐溶剤性も良
好となる。 (c)水分散体の形態でプラスチック等の塗布形帯電防
止剤として用いると造膜性が良いので、導電性良好で基
材への密着性も良好となる。
【0014】そして、その具体的製法として、エチレン
−アクリル酸エステル−アクリル酸共重合体をジアルキ
ルアミノアルキルアミンでアミド化して、エチレン−ア
クリル酸エステル−N,N−ジアルキルアミノアルキル
アクリルアミド共重合体に変換した後、4級化剤で4級
化反応を行う方法を提案した。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来のカチオン変性ポリオレフィンには、以下のよ
うな問題点がある。即ち、及びの共重合体にあって
は、帯電防止剤の製品形態が固形であるため、基材への
塗布による帯電防止能付与が不可能である。また、,
及びの共重合体は、水への分散物であるため、プラ
スチックフィルム等の基材への適用が簡単であり、乾燥
後の皮膜は良好な帯電防止性を示すが、基材への接着性
が不十分で、水、溶剤等と長期間接触した場合に塗膜が
流出してしまい、帯電防止能が消失してしまうという問
題点がある。
【0016】本発明はこのような問題点を解決するもの
であり、本発明の目的は、熱又は活性放射線を用いて硬
化させることにより基材への接着性が良好な塗膜が得ら
れるカチオン変性共重合体と、該共重合体を含有する分
散組成物と、該分散組成物を用いた帯電防止性皮膜の形
成方法とを提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明に係るカチオン変
性エチレン共重合体は、化6で表されるエチレン構造単
位( I) 65〜99モル%と、一般式化7で表されるア
ルケニル基含有アミド構造単位(VIII)0.05〜35モ
ル%とを含有し、重量平均分子量が1,000〜50,
000であることを特徴とするカチオン変性エチレン共
重合体。
【0018】
【化6】
【0019】
【化7】
【0020】ここで、化7に於いてRはメチル基又は水
素原子、R2 は炭素数2〜8のアルキレン基、R3 及び
4 は各々独立に炭素数1〜4のアルキル基、R6 はア
ルケニル基、X- はハロゲンイオン、CH3 OSO3 -
又はC2 5 OSO3 - を表す。
【0021】また、一般式化8で表されるアミド構造単
位(IV)を更に含有し、
【0022】
【化8】
【0023】該アミド構造単位(IV)と前記アルケニル基
含有アミド構造単位(VIII)との合計の含有率が1〜35
モル%である構成とすることもできる。ここで、化8に
於いて、R、R2 、R3 及びR4 は前記と同じであり、
5 は炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数6〜8の
アリールアルキル基を表す。
【0024】更に、本発明のカチオン変性エチレン共重
合体は、一般式化9で表される15モル%以下のエステ
ル構造単位(II)、及び/又は一般式化10で表される2
モル%以下のカルボン酸構造単位(III) を含有する構成
とすることもできる。
【0025】
【化9】
【0026】
【化10】
【0027】ここで、化9に於いて、Rは前記と同じで
あり、R1 は炭素数1〜4のアルキル基を表す。また、
化10に於いて、Rは前記と同じである。
【0028】本発明に係るカチオン変性エチレン共重合
体の分散組成物は、前記のカチオン変性共重合体を水に
均一に分散させたことを特徴とする。ここで、本明細書
に於いて、分散組成物とは、水に前記カチオン性エチレ
ン共重合体を乳化させたもの、可溶化させたもの、分散
させたもの等、巨視的に均一な系を包含する概念であ
る。
【0029】更に、本発明の帯電防止性皮膜の形成方法
は、前記の分散組成物を含有する組成物を基材表面に塗
布して乾燥させ、その後に熱若しくは活性放射線の作用
により硬化させることを特徴とする。
【0030】本発明に於いて、化6で表されるエチレン
構造単位( I) の割合は、65〜99モル%であること
が好ましく、エチレン構造単位( I) の割合が65モル
%未満である場合は、このカチオン変性エチレン共重合
体の親水性が強くなりすぎ、水への分散組成物として塗
布、乾燥及び硬化させて得られる皮膜の耐水性が悪化す
るので好ましくない。また、99モル%を超える場合、
本発明のカチオン変性エチレン共重合体の帯電防止能が
小さくなる。エチレン構造単位( I) の割合は、耐水性
及び帯電防止能の釣り合いの点から85〜97モル%で
あることが特に好ましい。
【0031】本発明のカチオン変性エチレン共重合体に
は、一般式化7で表されるアルケニル基含有アミド構造
単位(VIII)が0.05〜35モル%で含有されている。
アルケニル基含有アミド構造単位(VIII)の含有量が0.
05モル%未満である場合には塗膜の耐久性が劣り、ま
た、アルケニル基含有アミド構造単位(VIII)の含有量が
35モル%を超える場合には分散組成物としたときの製
品安定性が劣る。アルケニル基含有アミド構造単位(VII
I)の含有量は、このアルケニル基含有アミド構造単位(V
III)と後述のアミド構造単位(IV)との合計量に対し、5
モル%以上であるのが好ましく、10モル%以上である
のが更に好ましい。5モル%以下では塗膜にしたときの
硬化が不十分となるので好ましくない。
【0032】ここで、アルケニル基含有アミド構造単位
(VIII)に於けるR2 は炭素数2〜8のアルキレン基であ
り、具体的にはエチレン基、プロピレン基、ヘキサメチ
レン基、ネオペンチレン基であり、これらが1分子中に
混在していても良い。製造の容易性、経済性の点からエ
チレン基及びプロピレン基が好ましく、特にプロピレン
基が好ましい。
【0033】アルケニル基含有アミド構造単位(VIII)に
於けるR3 及びR4 は各々独立に炭素数1〜4のアルキ
ル基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基である。これらのアルキル基は1分子中に
混在しても良い。帯電防止性付与の点からメチル基及び
エチル基が好ましい。
【0034】アルケニル基含有アミド構造単位(VIII)に
於けるR6 はアルケニル基である。
【0035】R6 の具体例として、1−プロペニル基、
2−プロペニル基(アリル基)、イソプロペニル基、3
−ブテニル基、5−ヘキセニル基等を挙げることがで
き、これらのアルケニル基は1分子中に混在しても良
い。これらのうち、原料入手か容易である点、及び帯電
防止性能の点から、アリル基が好ましい。アルケニル基
6は基材の表面に塗布されて形成された皮膜内で、熱
若しくは活性放射線の作用によってラジカル重合し、皮
膜を硬化させる機能を果たす。
【0036】アルケニル基含有アミド構造単位(VIII)に
於けるX- イオンは、Cl- ,Br- ,I- などのハロ
ゲンイオン、CH3 OSO3 - 又はC2 5 OSO3 -
である。これらのイオンは1分子中に混在しても良い。
帯電防止能付与の観点からCl- ,C2 5 OS
3 - ,CH3 OSO3 - が好ましい。
【0037】本発明に於けるカチオン変性エチレン共重
合体には、一般式化8で示されるアミド構造単位(IV)が
含有されていてもよい。アミド構造単位(IV)の含有割合
は、前述のアルケニル基含有アミド構造単位(VIII)とこ
のアミド構造単位(IV)との合計が1〜35モル%となる
範囲である。アミド構造単位(VIII)及び(IV)の合計の割
合が1モル%未満であると、得られるカチオン変性エチ
レン共重合体に十分な帯電防止能を付与することができ
ず、35モル%を超えると、このカチオン変性エチレン
共重合体の親水性が強くなりすぎ、水への分散組成物と
して塗布、乾燥及び硬化させて得られる皮膜の耐水性が
悪化するので好ましくない。帯電防止能と耐水性との兼
ね合いから、アミド構造単位(VIII)及び(IV)の合計の含
有量は、3〜15モル%であることが特に好ましい。
【0038】アミド構造単位(IV)に於けるR2 、R3
4 及びX- イオンは、前述のアルケニル基含有アミド
構造単位(VIII)の場合と同様である。アミド構造単位(I
V)に於けるR5 は、炭素数1〜18のアルキル基又は炭
素数6〜8のアリールアルキル基である。具体的にはメ
チル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、
n−オクチル基、ラウリル基、ステアリル基、ベンジル
基、4−メチルベンジル基等であり、これらの基は1分
子中に混在しても良い。これらのうち、帯電防止能付与
の観点から好ましいのは、メチル基及びエチル基であ
る。
【0039】本発明に於けるカチオン変性エチレン共重
合体には、一般式化9で表されるエステル構造単位(II)
を含有していてもよい。エステル構造単位(II)の含有割
合は15モル%以下である。エステル構造単位(II)が含
有されていると、塗膜の皮膜形成能が向上し、より良好
な帯電防止能が付与されるので好ましい。エステル構造
単位(II)の含有割合が15モル%を超える場合には、本
発明の共重合体の軟化点が低くなり、乾燥硬化後の皮膜
にタックやべたつきを生じる。エステル構造単位(II)の
含有割合は、軟化点及び皮膜形成能の観点から3〜7モ
ル%であることが好ましい。
【0040】エステル構造単位(II)において、Rはメチ
ル基又は水素原子である。R1 は炭素数1〜4のアルキ
ル基であり、R1 の具体例としてはメチル基、エチル
基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、
i−ブチル基が挙げられる。これらのアルキル基は1分
子中に混在しても良い。なお、これらの中で、得られる
カチオン変性エチレン共重合体の軟化点を維持する上
で、メチル及びエチル基が特に好ましい。
【0041】本発明のカチオン変性エチレン共重合体に
は、化10で表されるカルボン酸構造単位(III) 、即ち
アクリル酸又はメタクリル酸が2モル%以下で含有され
ていてもよい。カルボン酸構造単位(III) が含有されて
いると、得られる塗膜の密着性が向上する。カルボン酸
構造単位(III) の含有量が2モル%を超える場合には、
帯電防止能が低下するので好ましくない。また、カルボ
ン酸構造単位(III) として、塗膜の可撓性を保持する観
点からアクリル酸が好ましい。
【0042】本発明のカチオン変性エチレン共重合体の
重量平均分子量は、1,000〜50,000である。
重量平均分子量が1,000未満では、水への分散組成
物として塗布したときの皮膜形成能が低下するので好ま
しくない。重量平均分子量が50,000を超える場合
には、水への分散組成物としたときの粘度が大きくな
り、作業性が悪くなるので好ましくない。好ましい重量
平均分子量の範囲は3,000〜35,000である。
【0043】なお、本明細書中でいう重量平均分子量と
は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GP
C)で測定した単分散のポリスチレン換算の重量平均分
子量をいう。本発明のカチオン変性エチレン共重合体
は、テトラハイドロフラン(THF)やキシレン等の通
常のGPC用の溶媒に難溶なので容易には測定すること
はできないが、超高温GPC法(絹川、高分子論文集4
4巻2号139〜141頁(1987年))に従って測
定することができる。
【0044】本発明のカチオン変性エチレン共重合体
は、以下のように製造することができる。即ち、化6で
表されるエチレン構造単位( I) と、一般式化11で表
される中間体アミド構造単位(VII) と、必要に応じて、
一般式化9で表されるエステル構造単位(II)と一般式化
10で表されるカルボン酸構造単位(III) とを含有す
る、線状で不規則に配列した、重量平均分子量1,00
0〜50,000の共重合体(以下「中間体共重合体」
と称する)を4級化することにより得られる。
【0045】
【化11】
【0046】ここで、化11に於けるR、R2 、R3
びR4 は化7及び化8で説明したものと同じである。
【0047】4級化は適当な媒体の存在下に、一般式化
12で表される4級化剤(IX)又はこれと一般式化13で
表される4級化剤(VI)との混合物を用いて行われる。
【0048】
【化12】
【0049】
【化13】
【0050】ここで、化12に於けるR6 及び化13に
於けるR5 は、それぞれ化7及び化8で説明したものと
同じである。
【0051】中間体共重合体の製造原料としては特に限
定されないが、エチレンと一般式化9で表されるエステ
ル構造単位(II)とを含有する共重合体を、完全に又は部
分的に加水分解したものを用いることが有利である。こ
の共重合体は、エチレンと一般式化14で表されるエス
テルとを高圧重合法で共重合させることにより容易に得
られる。
【0052】
【化14】
【0053】ここで、化14に於けるR及びR1 は、前
述と同様である。
【0054】前記エチレンに由来するエチレン構造単位
( I) と化14のエステル(X) に由来するエステル構造
単位(II)との含有割合は、最終的に得られるカチオン変
性エチレン共重合体のエチレン構造単位( I) と、他の
構造単位との含有割合を考慮して決定する必要がある。
即ち、モル比(エチレン/エステル(X) )は、(エチレ
ン構造単位( I) /(エステル構造単位(II)+カルボン
酸構造単位(III) +アルケニル基含有アミド構造単位(V
III)+アミド構造単位(IV))に等しくなるように決定さ
れる。
【0055】エチレンとエステル(X) との共重合体は、
導入されたエステル構造単位(II)の全部又は一部を加水
分解すればそのままでも用いることができるが、分子量
が大きい場合には、例えば水の存在下、反応温度150
〜500℃、反応圧力3〜500kg/cm2 の高温高
圧で加水分解と同時に熱分解を行う減成方法により、低
分子量化を行うのが好ましい。上記加水分解により、一
般式化9で表されるエステル構造単位(II)の全部又は一
部が、一般式化10で表されるカルボン酸構造単位(II
I) に変換される。カルボン酸構造単位(III) の含有割
合は、エステル構造単位(II)に対する水のモル比、反応
の温度、圧力、時間などによって任意に調整することが
できる。
【0056】前記減成方法の具体例として、例えば特開
昭53−57295号公報、特開昭53−65389号
公報、特開昭60−79008号公報、特開昭60−7
9015号公報等に記載されている方法を挙げることが
できる。なお、本発明のカチオン変性エチレン共重合体
は、着色すると商品価値を損なうので、特開昭60−7
9008号公報に記載の方法で製造した原料を用いるの
が好ましい。
【0057】上記のようにして得られた、エチレン構造
単位( I) 、カルボン酸構造単位(III) 及び必要に応じ
てエステル構造単位(II)を含有する共重合体から、更に
アルケニル基含有アミド構造単位(VIII)及び必要に応じ
てアミド構造単位(IV)を含有する中間体共重合体が、ア
ミド化反応によって得られる。アミド化反応の方法につ
いては特に限定されない。以下にその一例について説明
する。
【0058】上述のように減成した原料共重合体は、例
えばベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサノ
ン、デカン、クメン、シメン等の芳香族、脂肪族炭化水
素、ケトン等の不活性溶媒に溶解され、前記原料共重合
体のカルボキシル基に対して70〜150モル%、好ま
しくは80〜120モル%の、一般式化15で表される
ジアミン( V) を用いてアミド化される。
【0059】
【化15】
【0060】ここで、化15に於けるR2 、R3 及びR
3 は、化7で説明したものと同じである。アミド化反応
の温度は130〜220℃であり、このアミド化反応に
より、原料共重合体中に含まれるカルボキシル基の一部
又は全てがジアルキルアミノアミドに変換され、中間体
共重合体が得られる。なお、中間体共重合体として、上
記の他に、例えばエチレン、N,N−ジアルキルアミノ
アルキル(メタ)アクリルアミド、並びに必要に応じて
(メタ)アクリルエステル及び/又は(メタ)アクリル
酸をラジカル重合したものを用いることができるが、帯
電防止性能、色相などの点で上記の方法によるものの方
が好ましい。
【0061】化15で表されるジアミン( V) の具体例
としては、例えばN,N−ジメチルアミノエチルアミ
ン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、N,N−
ジエチルアミノエチルアミン、N,N−ジエチルアミノ
プロピルアミン、N,N−ジプロピルアミノエチルアミ
ン、N,N−ジプロピルアミノプロピルアミン、N,N
−ジブチルアミノエチルアミン、N,N−ジブチルアミ
ノプロピルアミン、N,N−ジメチルアミノブチルアミ
ン、N,N−ジエチルアミノブチルアミン、N,N−ジ
メチルアミノネオペンチルアミン、N,N−ジメチルア
ミノヘキシルアミン、N,N−ジメチルアミノオクチル
アミン等を挙げることができる。これらのジアミン(
V) は単独又は2種以上混合して使用される。
【0062】アミド化反応の後、3級アミンの4級化反
応が行われる。この4級化反応により、カチオン変性エ
チレン共重合体にアルケニル基が導入され、一般式化7
で表されるアルケニル基含有アミド構造単位(VIII)が含
有されることになる。即ち、アルケニル基は、一般式化
12で表される4級化剤(IX)をもちいて4級化反応を行
うことにより導入される。アミド化によって得られる中
間体共重合体は、通常溶融時に於いても非常に高い粘度
を有するので、適当な溶媒の存在下に4級化反応を行う
ことが好ましい。そのような溶媒として、例えばキシレ
ン、トルエン、高沸点炭化水素系溶媒、シクロヘキサノ
ン、クロルベンゼン、ジメチルホルムアミド(DMF)
等を挙げることができる。
【0063】4級化剤(IX)の具体例としては、1−プロ
ペニルクロライド、2−プロペニルクロライド(アリル
クロライド)、イソプロペニルクロライド、3−ブテニ
ルクロライド、5−ヘキセニルクロライド、1−プロペ
ニルブロマイド、2−プロペニルブロマイド(アリルブ
ロマイド)、イソプロペニルブロマイド、5−ヘキセニ
ルブロマイド、2−プロペニルアイオダイド(アリルア
イオダイド)等の、炭素数3〜6のアルケニルハライド
が例示できる。これらのうち、好ましいものは、帯電防
止性能及び原料の入手の容易さから、アリルクロライド
及びアリルブロマイドである。
【0064】上記アルケニル基含有アミド構造単位(VII
I)の他に、一般式化8で表されるアルケニル基を含有し
ないアミド構造単位(IV)を含有したカチオン変性エチレ
ン共重合体を製造する場合には、上記一般式化12で表
される4級化剤(IX)の他に一般式化13で表される4級
化剤(VI)を用いて同時に4級化を行えばよい。4級化剤
(IV)の具体例としては、例えばジメチル硫酸、ジエチル
硫酸などのアルキル硫酸、アルキルベンジルクロライ
ド、ベンジルクロライド、メチルクロライド、エチルク
ロライド、ブチルクロライド、プロピルクロライド、エ
チルブロマイド、ブチルブロマイド、メチルアイオダイ
ド、エチルアイオダイド、ブチルアイオダイド、α−ク
ロロパラキシレンなどが挙げられ、これらの4級化剤(V
I)は通常単独で、又は2種以上を混合して用いられる。
【0065】上記4級化剤(IX)及び4級化剤(VI)の使用
量は、3級アミノ基の含有量に応じて適宜決められる。
3級アミノ基の含有量は、アミド化反応後の共重合体に
ついて、中和滴定を行うことによって求めることができ
る。4級化剤(IX)及び4級化剤(VI)の合計の使用量は、
3級アミノ基に対して1.00倍モル〜1.2倍モルが
好ましく、1.00倍モルより少ない場合には、4級化
反応が不十分となり十分な帯電防止能を有するカチオン
変性エチレン共重合体が得られない。また、1.2倍モ
ルを超える量を用いても、過剰添加による効果の向上は
見られず、経済的に不利となる。なお、アルケニル基含
有アミド構造単位(VIII)とアミド構造単位(IV)とを含有
するカチオン変性エチレン共重合体を製造する場合に
は、アルケニル基含有アミド構造単位(VIII)の含有量
は、前述のようにアミド構造単位(IV)との合計量に対
し、5モル%以上であるのが好ましく、10モル%以上
であるのが更に好ましい。
【0066】4級化反応は、反応物の着色を防止する観
点から窒素雰囲気下、70〜140℃の反応温度で行う
ことが望ましい。4級化反応は、4級化剤の添加後約1
〜6時間、70〜140℃で熟成することで完了する。
反応終了後、溶剤を留去した後に粉砕することにより、
又はメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−
ヘキサンなどの不混和性溶媒中に投入して生成物を析出
及び単離させた後に乾燥することにより、生成物である
カチオン変性エチレン共重合体を得ることができる。
【0067】本発明の分散組成物は、前記カチオン変性
エチレン共重合体を水に均一に分散させることにより得
られる。ここで、分散組成物とは、前述のように、水に
前記カチオン性エチレン共重合体を乳化させたもの、可
溶化させたもの、分散させたもの等、巨視的に均一な系
を包含する概念である。
【0068】前記カチオン変性エチレン共重合体を水に
分散させる方法については特に限定されない。その一例
として、通常のポリエステルエマルジョンの製造に採用
されている高圧乳化法を挙げることができる。この高圧
乳化法では、カチオン変性エチレン共重合体、水、必要
に応じて界面活性剤が例えばオートクレーブ等の機械的
攪拌装置を備えた高圧容器中に仕込まれ、攪拌しながら
加熱が行われる。
【0069】前記界面活性剤としては、非イオン性及び
カチオン性のものが好ましい。アニオン性の活性剤はカ
チオン変性エチレン共重合体とイオン的に錯体を形成
し、水に不溶となるので好ましくない。なお、本発明に
用いられるカチオン変性エチレン共重合体は、それ自体
が乳化力を有するので、界面活性剤は必ずしも必要では
ない。
【0070】前記界面活性剤を多量に使用した場合、得
られる塗膜の耐久性の低下を招き、且つ塗膜が粘着性を
呈するので好ましくない。好ましい界面活性剤の使用量
は、カチオン変性エチレン共重合体100重量部に対し
て界面活性剤25部以下であり、20重量部以下である
ことが更に好ましい。
【0071】カチオン変性エチレン共重合体を高圧容器
中で分散組成物にするに際し、加熱する温度は、通常カ
チオン変性エチレン共重合体が溶解する温度より5〜2
0℃高い温度、即ち60〜200℃が好ましい。また、
加熱時間は、加熱温度によって異なるが、通常10分〜
1時間程度で十分である。加熱温度が上記より低い場合
及び加熱時間が上記より短い場合には経時的に沈澱物が
生じ、安定性に劣る分散組成物となる。また、加熱温度
が上記より高い場合及び加熱時間が上記より長い場合に
は経済的に不利となるばかりでなく、カチオン変性エチ
レン共重合体の加水分解が生じるようになるので好まし
くない。
【0072】本発明の分散組成物に占めるカチオン変性
エチレン共重合体の含有割合は、特に限定されるもので
はなく、分散組成物の目的及び用途に応じて適宜選択す
ればよいが、通常経済性等を考慮して、分散組成物10
0重量部に対して5〜40重量部、好ましくは10〜3
0重量部である。なお、用途などに応じて、本発明の分
散組成物に、適宜消泡剤、増粘剤等を配合してもよい。
【0073】本発明の分散組成物は、基材に塗布し、こ
れを乾燥させ、更に硬化させることにより、帯電防止性
の皮膜を形成する。本発明の分散組成物を用い得る基材
としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の
ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、ABS樹脂等の
ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリブチレン
テレフタレート等のポリエステル、変性ポリフェニレン
エーテル等のポリエーテル等、各種の熱可塑性樹脂を挙
げることができ、また、フィルム、シート、繊維状製
品、成形物等、各種の形態のものを挙げることができ
る。更に、本発明の分散組成物は、上記熱可塑性樹脂以
外に、合成紙、天然紙、天然繊維、ガラス、セラミック
ス等にも適用することができるが、これらの例示に限定
されるものではない。
【0074】本発明の分散組成物には、必要に応じて公
知のラジカル重合開始剤が配合される。ラジカル重合開
始剤としては、例えば有機若しくは無機過酸化物、アゾ
化合物を挙げることができる。
【0075】上記組成物の塗布方法は特に限定されず、
公知の各種方法を用いて行うことができる。フィルム、
シート等の基材の場合には例えばロールコーター、エア
ナイフコーターが用いられ、不定形の基材の場合にはス
プレーなどの方法が用いられる。
【0076】上記のように形成した塗膜は、50〜20
0℃の温度、好ましくは70〜150℃の温度で乾燥さ
せるのがよい。乾燥温度は30秒〜30分が好ましく、
温風乾燥によるのがよい。
【0077】乾燥した塗膜は、各種の方法によって硬化
させることができる。塗膜の硬化は、分散組成物中のカ
チオン変性エチレン共重合体に含有されるアルケニル基
含有アミド構造単位(VIII)のアルケニル基の架橋反応に
よって起こるものである。上記の乾燥工程に於いて、乾
燥条件が高温かつ長時間の場合は、特にラジカル重合開
始剤を用いなくても熱的に架橋反応が起こるので、塗膜
は自然に硬化する。しかし、より好ましくは、ラジカル
重合開始剤を前述のように塗布前に予め配合しておき、
例えば90〜120℃の温度で乾燥と同時に強制的に架
橋反応を起こさせて塗膜を硬化させる方がよい。強制的
な塗膜の硬化は、例えば紫外線、電子線等の活性放射線
を照射する公知の方法によっても行うことができる。こ
のような架橋反応による塗膜の硬化により、塗膜の耐水
性、密着性などが大きく向上する。
【0078】
【発明の効果】本発明に係るカチオン変性エチレン共重
合体は、アルケニル基及びアルキル基を含有するアミド
構造単位を含有しているので、熱可塑性樹脂に配合した
ときに帯電防止性などの優れた物性を発現する。また、
本発明のカチオン変性エチレン共重合体は水への分散組
成物とすることができるので、基材表面に塗布して帯電
防止能を有する皮膜を形成することができる。しかも、
本発明の共重合体はアルケニル基を含有しているので、
架橋反応により強固な塗膜を形成することができ、耐水
性及び基材への密着性等に優れた塗膜を形成することが
できる。
【0079】
【実施例】
A.カチオン変性エチレン共重合体の合成 <実施例1>温度計、攪拌器、滴下ロート及びディーン
・スターク分水器を備えた内容量1Lの4つ口フラスコ
に、キシレン400mL、表1に示す組成を有するエチ
レン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体(原料共
重合体)150g(カルボキシル基0.232モル含
有)を仕込み、100℃に加熱して均一に溶解させた。
【0080】次に、N,N−ジメチルアミノプロピルア
ミン25.9g(アクリル酸に対し1.1倍モルに相
当)を仕込み、140℃に加熱し、生成した水をキシレ
ンとの共沸により連続的に除去した。さらに140℃で
20時間反応し、生成する水の共沸が認められなくなる
までアミド化反応を継続した。反応混合物を80℃に冷
却し、反応混合物に対し5倍のメタノール中へ反応混合
物を投入した。析出物をさらにメタノールで洗浄を重
ね、減圧乾燥することにより、中間体アミド構造単位(V
II) を含有する共重合体を得た。得られた共重合体に導
入された3級アミンの量を中和滴定により求めたとこ
ろ、1.36meq/gであった。
【0081】中間体アミド構造単位(VII) 150gを再
度キシレンに溶解し、アリルクロライド16.4gを滴
下ロートより5時間かけて滴下した。この間発熱が認め
られたが、冷却により反応温度を90〜95℃に保ち、
滴下終了後は100℃で3時間熟成反応を行った。これ
により、3級アミノ基を4級アンモニウム塩基に変換し
た。得られた反応混合物をメタノール中に投入し、析出
物をさらにメタノールで洗浄し減圧乾燥して、本実施例
のカチオン変性エチレン共重合体153gを得た。
【0082】
【表1】
【0083】<実施例2〜6>表1に示した原料共重合
体、ジアミン及び4級化剤を用い、実施例1と同様にし
てカチオン変性エチレン共重合体を得た。
【0084】<比較例1>実施例1に於けるアリルクロ
ライドに代えて、ジエチル硫酸33.0gを用いて4級
化を行い、アルケニル基を含有しないカチオン変性エチ
レン共重合体を得、これを比較例1とした。
【0085】実施例1〜6及び比較例1に於ける原料共
重合体の重量平均分子量、得られたカチオン変性エチレ
ン共重合体の1 H−NMRスペクトル、赤外吸収スペク
トル及び色調を調べた。これらの結果とアミド構造単位
の置換基とを表2及び表1に示す。
【0086】
【表2】
【0087】1 H−NMRスペクトル、重量平均分子量
及び赤外吸収スペクトルの測定方法を以下に示す。 <重量平均分子量の測定>高分子論文集、44巻、2
号、139〜141頁(1987年)に記載の方法に準
じて測定した。ウォーターズ社製、GPC−244(カ
ラム:昭和電工( 株) 製、Shodex、A−80M/
S( 2本) )を用い、溶媒として1−クロロナフタレン
を用いて、流量0.7mL/min、カラム温度210
℃で測定した。
【0088】<赤外吸収スペクトルの測定>( 株) 堀場
製作所FT−200を用い、KBrの錠剤にして測定し
た。
【0089】<1 H−NMRスペクトルの測定>日本電
子(株)製、JMN−GSX270により、溶媒として
重クロロホルムを用いて55℃で測定した。
【0090】B.水への分散組成物の調製 <実施例7〜12>実施例1〜6で得られたカチオン変
性エチレン共重合体を用い、表3に示す組成及び条件
で、水への分散組成物を調製した。分散に用いた装置
は、耐圧硝子工業(株)製、ガラス製オートクレーブT
EM・V・1000型である。
【0091】<比較例2>比較例1で合成した共重合体
を用い、表3に示す組成及び条件で、実施例7〜12と
同様にして水への分散組成物を調製した。
【0092】<比較例3>実施例1に於けるアミド化後
の共重合体を用い、特開昭63−304010号公報の
参考例6に従って、エピクロルヒドリンで4級化反応を
行って水への分散組成物を得、これを比較例3とした。
【0093】実施例7〜12及び比較例2の分散組成物
について、粘度、粒径、pHを調べ、その結果を表3に
示した。
【0094】
【表3】
【0095】粘度、粒径及びpHの測定方法を以下に示
す。 <粘度>測定すべきカチオン変性エチレン共重合体の分
散組成物を25℃の恒温室中に24時間放置後、(株)
トキメック製、BM型粘度計を用い、回転数60rpm
(25℃)で測定した。
【0096】<粒径>大塚電子(株)製、DLS−70
0を用いて測定した。測定及び解析条件は、以下のとお
りである。 光 源 : 5mW He−Neレーザー 温 度 : 25℃ 測定角度 : 90゜ 溶 媒 : 水 解析方法 : ヒストグラム法 <pH>カチオン変性エチレン共重合体の分散物を希釈
せずにそのままの状態で、25℃でpHメーターを用い
て測定した。 C.カチオン変性エチレン共重合体の性能評価 <実験例1〜8、比較実験例1,2>実施例7〜12及
び比較例2〜3で得られた分散組成物を用い、後述のよ
うに表4の条件で基材上に硬化皮膜を形成した試験片を
作製し、各種物性の評価試験を行った。評価項目は表面
固有抵抗、透明性、帯電減衰速度、摩擦耐久性、密着性
及び耐水性である。上記試験を行った結果を表4に示し
た。
【0097】
【表4】
【0098】以下に試験片の作製方法及び各試験方法を
示す。
【0099】<試験片の作製>実施例7〜12及び比較
例2〜3で得られた分散組成物に必要に応じてラジカル
開始剤又は光増感剤を混合したものをポリプロピレンフ
ィルム上にバーコーターを用いて塗布した。塗布量はカ
チオン変性エチレン共重合体の付着量が2.5g/m2
となるように調整した。塗布後、このフィルムを一夜室
温中で乾燥させた後、105℃で2分間通風乾燥した。
その後、表4に示す硬化方法で塗膜の硬化を行った。熱
重合による硬化の場合は、120℃の温度下、10分間
加熱した。紫外線(UV)硬化の場合には、80W/1
inchの超高圧水銀灯で2分間照射した。また、電子
線(EB)硬化の場合の硬化条件は、加速電圧200k
V、処理速度5Mrad/minである。このようにし
て得られた硬化後のフィルムをPP試験片として以下の
試験に用いた。
【0100】<表面固有抵抗>PP試験片を20℃、3
0%RH(相対湿度)、及び20℃、60%RHの条件
下に48時間放置した後、(株)アドバンテスト製、R
8340を用いて表面固有抵抗を測定した。
【0101】<透明性>表面固有抵抗の測定に使用した
フィルムの透明性を目視で評価した。○は透明性が良好
であることを示し、△は透明性がやや劣ることを示し、
×は透明性が劣ることを示している。
【0102】<帯電減衰速度>スタティックオネストネ
ーター(宍戸商会製)を用い、PP試験片に10,00
0Vの電圧を30秒間印加した後、初期電圧の2分の1
となるのに要した時間を測定した。
【0103】<摩擦耐久性>PPフィルムにカチオン変
性エチレン共重合体の付着量が2.0g/m2 となるよ
うに各実施例及び比較例の分散組成物を塗布し、一夜室
温で乾燥させた後、105℃で2分間通風乾燥した後、
120℃で10分間硬化したものを20℃、65%RH
の雰囲気中に48時間放置して試験片を得た。高さ2c
mのシャーレにタバコの新しい灰をいれておき、上記試
験片を脱脂綿で摩擦して直ちにシャーレ上に置き、灰の
付着状態を観察した。灰の付着が起こるまでの摩擦回数
により、摩擦耐久性を評価した。摩擦回数が多いものほ
ど耐久性は良好であることを示している。
【0104】<密着性試験>PP試験片の表面の10mm
×10mmの部分に、1mmの等間隔で直交する方向に傷を
つけて100個の1mm角の矩形からなる碁盤目を形成し
た。この碁盤目にセロハンテープを圧着した後強い力で
引き剥し、セロハンテープに塗膜が付着せず、試験片か
ら剥がれなかった矩形の数を数える。数字が大きいほど
層状剥離が起こり難いことを示す。
【0105】<耐水性>PP試験片を50℃の温水中に
1週間浸漬後、室温で風乾した後に、試験片の表面状態
を観察した後、表面固有抵抗と帯電減衰速度とを測定し
た。表4中、○は塗膜の剥がれが見られないことを表
し、×は塗膜が完全に消失したことを表す。
【0106】<実験例9〜12>基材をPPフィルムに
代えて表5に記載の基材を用い、実験例1と同様の条件
で上記と同様の評価試験を行った。実験例9〜12で用
いた基材は、ポリエチレンフィルム、ポリエチレンテレ
フタレートフィルム(PET)、ポリアミド6−6フィ
ルム及び上質紙である。これらの試験結果を表5に示
す。
【0107】
【表5】
【0108】表4及び表5から明らかなように、実施例
7〜12の分散組成物を用いた場合の実験例1〜12の
表面固有抵抗は、比較例2及び3の分散組成物を用いた
比較実験例1及び2の場合に比べて同等又はそれ以下で
あることが分かる。透明性については実験例1〜12の
場合は何れも比較実験例1及び2の場合に比べて良好で
あった。帯電減衰速度についても実験例1〜12はの場
合は何れも比較実験例1及び2の場合と同等又はそれよ
りも優れており、摩擦耐久性、密着性及び耐水性は、実
験例1〜12の場合の方が比較実験例1及び2よりも優
れていた。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年5月25日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0073
【補正方法】変更
【補正内容】
【0073】本発明の分散組成物は、基材に塗布し、こ
れを乾燥させ、更に硬化させることにより、帯電防止性
の皮膜を形成する。本発明の分散組成物を用い得る基材
としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の
ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、ABS樹脂等の
ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネ
ート樹脂、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステ
ル、変性ポリフェニレンエーテル等のポリエーテル等、
各種の熱可塑性樹脂を挙げることができ、また、フィル
ム、シート、繊維状製品、成形物等、各種の形態のもの
を挙げることができる。更に、本発明の分散組成物は、
上記熱可塑性樹脂以外に、合成紙、天然紙、天然繊維、
ガラス、セラミックス等にも適用することができるが、
これらの例示に限定されるものではない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 23/26 LDB 7107−4J C09D 5/00 PPM 6904−4J 123/08 PER 7107−4J // C08F 220/60 MNH 7242−4J 299/00 MRN 7442−4J (C08F 210/02 220:60)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化1で表されるエチレン構造単位( I)
    65〜99モル%と、一般式化2で表されるアルケニル
    基含有アミド構造単位(VIII)0.05〜35モル%とを
    含有し、重量平均分子量が1,000〜50,000で
    あることを特徴とするカチオン変性エチレン共重合体。 【化1】 【化2】 (但し、化2に於いてRはメチル基又は水素原子、R2
    は炭素数2〜8のアルキレン基、R3 及びR4 は各々独
    立に炭素数1〜4のアルキル基、R6 はアルケニル基、
    - はハロゲンイオン、CH3 OSO3 - 又はC2 5
    OSO3 - を表す。)
  2. 【請求項2】 一般式化3で表されるアミド構造単位(I
    V)を更に含有し、 【化3】 該アミド構造単位(IV)と前記アルケニル基含有アミド構
    造単位(VIII)との合計の含有率が1〜35モル%である
    ことを特徴とする請求項1記載のカチオン変性エチレン
    共重合体。(但し、化3に於いて、R、R2 、R3 及び
    4 は前記と同じであり、R5 は炭素数1〜18のアル
    キル基又は炭素数6〜8のアリールアルキル基を表す)
  3. 【請求項3】 一般式化4で表されるエステル構造単位
    (II)を15モル%以下で更に含有する請求項1又は2記
    載のカチオン変性エチレン共重合体。 【化4】 (但し、化4に於いて、Rは前記と同じであり、R1
    炭素数1〜4のアルキル基を表す)
  4. 【請求項4】 一般式化5で表されるカルボン酸構造単
    位(III) を2モル%以下で更に含有する請求項1乃至3
    の何れかに記載のカチオン変性エチレン共重合体。(但
    し、化5に於いて、Rは前記と同じである) 【化5】
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4の何れかに記載のカチオ
    ン変性共重合体を水に均一に分散させたことを特徴とす
    る分散組成物。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の分散組成物を含有する組
    成物を基材表面に塗布して乾燥させ、その後に熱若しく
    は活性放射線の作用により硬化させることを特徴とする
    帯電防止性皮膜の形成方法。
JP4273055A 1992-10-12 1992-10-12 アルケニル基を含有するカチオン変性エチレン共重合体、該共重合体を含有する分散組成物及び該分散組成物を用いた帯電防止性皮膜の形成方法 Pending JPH06122726A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4273055A JPH06122726A (ja) 1992-10-12 1992-10-12 アルケニル基を含有するカチオン変性エチレン共重合体、該共重合体を含有する分散組成物及び該分散組成物を用いた帯電防止性皮膜の形成方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4273055A JPH06122726A (ja) 1992-10-12 1992-10-12 アルケニル基を含有するカチオン変性エチレン共重合体、該共重合体を含有する分散組成物及び該分散組成物を用いた帯電防止性皮膜の形成方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06122726A true JPH06122726A (ja) 1994-05-06

Family

ID=17522527

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4273055A Pending JPH06122726A (ja) 1992-10-12 1992-10-12 アルケニル基を含有するカチオン変性エチレン共重合体、該共重合体を含有する分散組成物及び該分散組成物を用いた帯電防止性皮膜の形成方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06122726A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08208753A (ja) * 1994-12-07 1996-08-13 Dai Ichi Kogyo Seiyaku Co Ltd アクリルアミド系またはメタクリルアミド系カチオン変性共重合体、該共重合体を含有する帯電防止剤、熱可塑性樹脂組成物、水性組成物および熱可塑性樹脂積層体
JPH0931145A (ja) * 1995-07-13 1997-02-04 Kuraray Co Ltd ブロック共重合体および樹脂組成物
JP2013124267A (ja) * 2011-12-13 2013-06-24 Seiko Pmc Corp カチオン変性ポリオレフィン水性エマルションおよびその製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08208753A (ja) * 1994-12-07 1996-08-13 Dai Ichi Kogyo Seiyaku Co Ltd アクリルアミド系またはメタクリルアミド系カチオン変性共重合体、該共重合体を含有する帯電防止剤、熱可塑性樹脂組成物、水性組成物および熱可塑性樹脂積層体
JPH0931145A (ja) * 1995-07-13 1997-02-04 Kuraray Co Ltd ブロック共重合体および樹脂組成物
JP2013124267A (ja) * 2011-12-13 2013-06-24 Seiko Pmc Corp カチオン変性ポリオレフィン水性エマルションおよびその製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5717048A (en) Cation-modified acrylamide or methacrylamide copolymer as well as antistatic agent, thermoplastic resin composition, aqueous composition and thermoplastic resin laminate comprising same
JPH0541668B2 (ja)
EP0485057B1 (en) Curable composition
JPH06122726A (ja) アルケニル基を含有するカチオン変性エチレン共重合体、該共重合体を含有する分散組成物及び該分散組成物を用いた帯電防止性皮膜の形成方法
JP3246956B2 (ja) アクリルアミド系及びメタクリルアミド系カチオン変性共重合体の製造方法
JP3335429B2 (ja) (メタ)アクリルアミド系カチオン変性共重合体及びその製法、該共重合体を含有する熱可塑性組成物及び水性組成物、並びに該共重合体含有層と熱可塑性樹脂層とを有する積層体
JP3246953B2 (ja) カチオン変性エチレン共重合体の製造方法
JP3014467B2 (ja) 水性分散体組成物及びそれを用いた硬化被膜ならびにその製法
JP3335430B2 (ja) カチオン変性エチレン共重合体、その製造方法、該共重合体を含有する熱可塑性樹脂組成物及び分散組成物、並びに該共重合体含有層と熱可塑性樹脂層とを有する積層体
JP2925723B2 (ja) アクリルアミド系共重合体の製造法
JP3132890B2 (ja) Abs樹脂組成物
JP2867013B2 (ja) アクリルアミド系またはメタクリルアミド系カチオン変性共重合体、該共重合体を含有する帯電防止剤、熱可塑性樹脂組成物、水性組成物および熱可塑性樹脂積層体
JP4205783B2 (ja) 帯電防止用水性分散液及びその利用
JP3262294B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH05295244A (ja) ポリエステル系及びポリカーボネート系樹脂組成物
JP2003138088A (ja) リン酸基含有重合体を含有する導電性樹脂組成物及びコーティング剤、並びにその導電性樹脂組成物の用途
JP2945468B2 (ja) ポリアクリルアミド系水性組成物
JPH05194660A (ja) マレイミド系共重合体
JP3466917B2 (ja) 硬化性樹脂組成物
JPH05295253A (ja) ポリアミド樹脂組成物
JPH07150130A (ja) 帯電防止剤
JPS6375004A (ja) カチオン性ポリマ−の水分散液
JPS60229904A (ja) 導電性エチレン系共重合体の製造法
JPH0625356A (ja) エポキシ基含有アクリルアミド系共重合体及びその製造方法
JPS6218434A (ja) ポリオレフイン系樹脂用被覆組成物